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特開2023-92011記録媒体用冷却装置および画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092011
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】記録媒体用冷却装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20230626BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
G03G21/00 530
G03G15/20 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021206955
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 隆
(72)【発明者】
【氏名】吉永 洋
(72)【発明者】
【氏名】長谷 岳誠
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA02
2H033BA02
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA26
2H033BA29
2H033BA31
2H033BA32
2H033BB03
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB13
2H033BB14
2H033BB15
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB33
2H033BC03
2H033BE00
2H033CA07
2H033CA27
2H033CA53
2H270MA33
2H270MA34
2H270MA40
2H270MC61
2H270MC78
2H270MD10
2H270SA09
2H270SB14
2H270SB15
2H270SB20
2H270SB21
2H270SC14
2H270SC15
(57)【要約】
【課題】記録媒体のブロッキング現象を有効に防止する。
【解決手段】画像形成装置100に備えられた定着装置200のニップ部を通過した記録媒体Pを冷却する冷却装置300であって、記録媒体の非画像面側に接触するガイド部材320と、ガイド部材と対向し記録媒体Pの画像面側に接触する回転可能なブラシ状部材310とを有することを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に備えられた定着装置のニップ部を通過した記録媒体を冷却する冷却装置であって、前記記録媒体の非画像面側に接触するガイド部材と、前記ガイド部材と対向し前記記録媒体の画像面側に接触する回転可能なブラシ状部材とを有することを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記ブラシ状部材が、芯金の回りにブラシ繊維を植毛したブラシローラであることを特徴とする請求項1の冷却装置。
【請求項3】
前記ブラシローラが、前記記録媒体の搬送速度と同速度かそれ以上の速度で駆動手段により回転駆動されることを特徴とする請求項2の冷却装置。
【請求項4】
前記ブラシローラの前記ブラシ繊維が、前記芯金の回りに螺旋状に植毛されていることを特徴とする請求項2又は3の冷却装置。
【請求項5】
前記ガイド部材が熱伝導性金属で構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項の冷却装置。
【請求項6】
前記ガイド部材が、前記ブラシローラの外周形状に沿った凹曲面を有することを特徴とする請求項2から5のいずれか1項の冷却装置。
【請求項7】
前記ガイド部材に向けて送風する送風手段を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項の冷却装置。
【請求項8】
前記ブラシローラの前記芯金の内部に送風路が形成され、当該送風路が前記芯金の表面の複数の空気孔を介して前記ブラシローラの外周と連通していることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項の冷却装置。
【請求項9】
前記芯金の内周面であって前記ガイド部材から離間した部分に、前記空気孔を閉塞する内周ガイド部材を設けたこと特徴とする請求項8の冷却装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項の冷却装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録媒体用冷却装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、用紙に担持した未定着トナー画像を、定着装置のニップ部に通紙して加熱・加圧することで用紙に定着する。定着後の用紙は排紙ローラから排出されて排紙トレイに積載されるが、この積載状態の用紙には定着時の熱が畜熱されている。このため、複数枚の用紙のトナーが畜熱によって溶融し、隣接する用紙が溶融したトナーを媒介として貼りつくブロッキング現象が発生することがある(排紙接着)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記ブロッキング現象を防止するため、従来、用紙表面に向けて送風したり(特許文献1:特開2011-191706号公報)、放熱冷却可能なローラ間に用紙を通紙して冷却したりすることが行われていた(特許文献2:特開2019-101360号公報)。しかしながら、生産速度が速くなったり連続プリント枚数が多くなったりすると、このような冷却方法では充分な冷却が困難となって排紙の温度下げ幅を確保することができず、その結果としてブロッキング現象を有効に防止できないという課題があった。
【0004】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、記録媒体のブロッキング現象を有効に防止する冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明の冷却装置は、画像形成装置に備えられた定着装置のニップ部を通過した記録媒体を冷却する冷却装置であって、前記記録媒体の非画像面側に接触するガイド部材と、前記ガイド部材と対向し前記記録媒体の画像面側に接触する回転可能なブラシ状部材とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ガイド部材とブラシ状部材によって記録媒体の冷却効果が高まり、ブロッキング現象を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図2】定着装置の断面図である。
図3】第1実施形態に係る冷却装置の断面図である。
図4A】放熱フィンに対する送風状態を示す(a)側面図と(b)平面図である。
図4B】放熱フィンに対する送風状態を示す平面図である。
図5】ブラシローラの変形例の斜視図である。
図6】第2実施形態に係る冷却装置の断面図である。
図7】第3実施形態に係る冷却装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る冷却装置および画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0009】
(●画像形成装置)
図1は、本発明の実施形態にかかる画像形成装置の概略構成を説明する図である。図1に示した画像形成装置100は、複数の色画像を形成する作像部がベルトの展張方向に沿って並置されたタンデム方式のカラープリンタある。なお、本発明はこの方式に限られず、またプリンタだけではなく複写機やファクシミリ装置などを対象とすることも可能である。
【0010】
画像形成装置100は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体としての感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkを並設したタンデム構造が採用されている。
【0011】
画像形成装置100では、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに形成された可視像が、各感光体ドラムに対峙しながら矢印A1方向に移動可能な無端ベルトである中間転写体(以下、転写ベルトという)11に対して1次転写される。この1次転写工程の実行によってそれぞれの色の画像が重畳転写され、その後、用紙Pに対して2次転写工程を実行することで一括転写される。
【0012】
各感光体ドラムの周囲には、感光体ドラムの回転に従い画像形成処理するための装置が配置されている。ブラック画像形成を行う感光体ドラム20Bkを代表として説明すると、感光体ドラム20Bkの回転方向に沿って画像形成処理を行う帯電装置30Bk、現像装置40Bk、1次転写ローラ12Bkおよびクリーニング装置50Bkが配置されている。帯電後に行われる書込み光Lbを用いた書込みには、光書込み装置8が用いられる。
【0013】
転写ベルト11に対する重畳転写では、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに形成された可視像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写される。このために、転写は、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに対向して配設された1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
【0014】
各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkは、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkは、イエロー、シアン、
マゼンタ、ブラックの画像をそれぞれ形成するための画像ステーションに備えられている。
【0015】
画像形成装置100は、色毎の画像形成処理を行う4つの画像ステーションと、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkの上方に対向して配設され、転写ベルト11及び1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkを備えた転写ベルトユニット10と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11に従動し、連れ回りする2次転写ローラ5と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11をクリーニングするベルトクリーニング装置13と、これら4つの画像ステーションの下方に対向して配設された光書込み装置8とを有している。
【0016】
光書込み装置8は、光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、折り返しミラーおよび偏向手段としての回転多面鏡などを装備している。光書込み装置8は、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに対して色毎に対応した書込み光Lbを出射して感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに静電潜像を形成するよう構成されている。書込み光Lbは、図1では、便宜上、ブラック画像の画像ステーションのみを対象として符号が付けてあるが、その他の画像ステーションも同様である。
【0017】
画像形成装置100には、感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkと転写ベルト11との間に向けて搬送される用紙Pを積載した給紙カセットとしての給紙装置61が設けられている。また、給紙装置61から搬送されてきた用紙Pを、画像ステーションによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、各感光体ドラムと転写ベルト11との間の転写部に向けて繰り出すレジストローラ対4が設けられている。また、用紙Pの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知するセンサが設けられている。
【0018】
また、画像形成装置100には、トナー像が転写された用紙Pにトナー像を定着させるためのローラ定着方式の定着装置200と、定着済みの用紙Pを画像形成装置100の本体外部に排出する排出ローラ7が備えられている。この排出ローラ7の上流側には、後述するように排紙を冷却するための冷却装置300が配設されている。
【0019】
また、画像形成装置100の本体上部には、排出ローラ7により画像形成装置100の本体外部に排出された用紙Pを積載する排紙トレイ17が備えられている。排紙トレイ17の下側には、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル9Y、9C、9M、9Bkが備えられている。転写ベルトユニット10は、転写ベルト11、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkの他に、転写ベルト11が掛け回されている駆動ローラ72及び従動ローラ73を有している。
【0020】
従動ローラ73は、転写ベルト11に対する張力付勢手段としての機能も備えており、このため、従動ローラ73には、バネなどを用いた付勢手段が設けられている。このような転写ベルトユニット10と、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkと、2次転写ローラ5と、クリーニング装置13とで転写装置71が構成されている。
【0021】
給紙装置61は、画像形成装置100の本体下部に配設されており、最上位の用紙Pの上面に当接する給送ローラ3を有している。給送ローラ3が図中反時計回りに回転駆動されることにより、最上位の用紙Pをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
【0022】
転写装置71に装備されているクリーニング装置13は、詳細な図示を省略するが、転写ベルト11に対向、当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有している。クリーニング装置13は、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。クリーニング装置13はまた、転写ベルト11から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための排出手段を有している。
【0023】
(●定着装置)
図2は定着装置200の概略構成図である。この定着装置200は、回動可能な無端ベルト状の定着部材としての定着ベルト201と、定着部材201との間でニップ部Nを形成する加圧部材としての加圧ローラ203とを備える。
【0024】
定着部材201の内側には、定着部材201を加熱するハロゲンヒータ等の熱源202A,202Bと、非回転のニップ形成部材206と、定着部材201の熱移動を補助する熱移動補助部材216が配設されている。加圧ローラ203はニップ形成部材206と対向して配置され、定着ベルト201を挟んでニップ部Nを形成する。
【0025】
そして、未定着画像を担持した用紙Pをニップ部Nに通して定着を行う。本実施形態では、熱移動補助部材216の定着ベルト201に直接接触する面がニップ形成面となる。
【0026】
定着ベルト201は、複数の熱源202A,202Bにより内周側から輻射熱で直接加熱される。
また、定着ベルト201の温度を検知するため、温度センサ230A,230Bが取り付けられ、非接触で定着ベルト201の温度を検知し、その検知温度によってそれぞれの熱源202A,202Bの点灯率を制御し、定着ベルト201の温度を所望の温度に制御している。
【0027】
すなわち、温度センサ230A,230Bによる検知温度がそれぞれ所定の検知目標温度となるように、制御手段がそれぞれの熱源202A,202Bの発熱(熱源への通電)を制御する。以下、複数の熱源を区別しないときは、単に「熱源202」と表す。
【0028】
図2の定着ベルト201の内側には、加圧ローラ203に対向して配置されたニップ形成部材206と、ニップ形成部材206の定着ベルト201の内面に対向する面を覆う熱移動補助部材216と、ニップ形成部材206を加圧ローラ203からの加圧力に対抗して保持するステー部材207とを有している。ニップ形成部材206は、定着ベルト201を介して加圧ローラ203との間でニップ部Nを形成し、定着ベルト内面と熱移動補助部材216を介して間接的に摺動するようになっている。ニップ部Nにトナー像が担持された用紙Pを通過させることにより記録媒体上のトナーを熱により溶融させ加圧により記録媒体に定着させる。
【0029】
熱移動補助部材216の定着ベルト201との接触面には、摩擦係数の低い摺動コーティングが施されている。摺動コーティングとしては、例えば、フッ素コーティングや、耐摩耗性の高いDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等のガラスコーティング等が挙げられる。
【0030】
また、熱移動補助部材216の定着ベルト201との接触面には潤滑剤が塗布される。潤滑剤としては、耐熱温度の高いフッ素グリスもしくはシリコーンオイルが適当である。フッ素グリスは基油となるフッ素オイルに増ちょう剤を分散させてゲル状にした潤滑剤であり、粘度がオイルより高いため摺動部からの流出対策として有効である。
【0031】
熱移動補助部材216は、熱が局所的に留まることを防止し、積極的に長手方向に熱を移動させて長手方向の温度不均一性を低減するために設けられている。このため、熱移動補助部材216の材料としては、短時間で熱移動が可能な材料が好ましく、例えば、熱伝導率の高い銅、アルミニウム、銀等が挙げられる。これらのうち、コスト面、入手性、熱伝導率特性、加工性を総合的に考慮すると、銅が最も好ましい。
【0032】
定着ベルト201は、ニッケルやSUSなどの金属ベルトやポリイミドなどの樹脂材料を用いた無端ベルトまたはフィルムで構成される。ベルトの表層はPFAまたはPTFE層などの離型層を有し、トナーが付着しないように離型性を持たせている。ベルトの基材とPFAまたはPTFE層の間にはシリコーンゴムの層などで形成された弾性層があっても良い。
【0033】
シリコーンゴム層がない場合は熱容量が小さくなり、定着性が向上するが、未定着画像を押し潰して定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部にユズ肌状の光沢ムラ(ユズ肌画像)が残るという不具合が生じ得る。これを改善するにはシリコーンゴム層を100[μm]以上設ける必要がある。シリコーンゴム層の変形により、微小な凹凸が吸収されユズ肌画像が改善する。
【0034】
定着ベルト201の熱移動補助部材216と摺動する面には、上述のように摺動コーティングを施すことができるが、この場合、耐熱性や耐摩耗性を考慮し、ポリイミドやポリアミドイミドなどの摺動コーティング材料を選択することができる。
【0035】
ステー部材207はニップ部N側と反対側が起立した起立部を有した形状となっており、起立部を隔て、熱源202A、202Bが配置され、定着ベルト201は熱源202によりニップ部以外の領域で内面側から輻射熱で直接加熱される。
【0036】
定着ベルト201の内部にはニップ形成部材206とニップ部Nを支持するための支持部材としてのステー部材207を設け、加圧ローラ203により圧力を受けるニップ形成部材206の撓みを防止し、軸方向で均一なニップ幅を得られるようにしている。このステー部材207は両端部で保持部材としてのフランジに保持固定され位置決めされている。また、熱源202とステー部材207の間に反射部材209を備え、熱源202からの輻射熱などによりステー部材207が加熱されてしまうことによる無駄なエネルギー消費を抑制している。
【0037】
また、反射部材209を設けることで、お互いのヒータが相手のガラス管を加熱しないようにすることで、効率的に定着ベルト201を加熱することができる。反射部材209は、熱源202の熱を吸収しないように、放射率が低い材料で形成されている。なお、反射部材209を備える代わりに、ステー部材207表面に断熱もしくは鏡面処理を行っても同様の効果を得ることが可能となる。
【0038】
加圧ローラ203は、芯金205の外周を弾性ゴム層204で覆ったものであり、離型性を得るために弾性ゴム層204表面に離型層(PFAまたはPTFE層)が設けてある。加圧ローラ203は、画像形成装置100に設けられたモータなどの駆動源からギヤを介して駆動力が伝達され回転する。
【0039】
また、加圧ローラ203は、スプリングなどにより定着ベルト201側に押付けられており、弾性ゴム層204が押し潰されて変形することにより、所定のニップ幅を有している。加圧ローラ203は中空のローラであっても良く、加圧ローラ203にハロゲンヒータなどの加熱源を有していても良い。
【0040】
弾性ゴム層204はソリッドゴムでも良いが、加圧ローラ203内部にヒータが無い場合は、スポンジゴムを用いても良い。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルトの熱が奪われにくくなるので、より望ましい。
【0041】
定着ベルト201は加圧ローラ203により連れ回り回転する。図2の場合は加圧ローラ203が駆動源により回転し、ニップ部Nでベルトに駆動力が伝達されることにより定着ベルト201が回転する。定着ベルト201はニップ部Nで挟み込まれて回転し、ニップ部以外では両端部でフランジにガイドされ、走行する。上記のような構成により安価で、ウォームアップが速い定着装置を実現することが可能となる。
【0042】
(●第1実施形態の冷却装置)
図3は、記録媒体としての用紙Pを冷却するための第1実施形態の冷却装置300の断面図である。この冷却装置300は、定着装置200の下流側に配設された搬送ローラ6と排出ローラ7との間に配設される。
【0043】
冷却装置300は、用紙Pの画像面側に接触するブラシ状部材としてのブラシローラ310と、用紙Pの非画像面側に接触して用紙Pの冷却と共に搬送ガイドとして機能するガイド部材としての金属製ガイド板320と、当該ガイド板320の上面に配設された放熱フィン330を有する。ブラシローラ310によって用紙Pをガイド板320の下面320aに軽加圧することで、ガイド板320に対する用紙Pの接触状態(伝熱効率)を良好にし、排紙トレイ17における用紙Pのブロッキング現象を防止することができる。
【0044】
ガイド板320は、用紙Pの冷却効果を高めるため熱容量の大きな熱伝導性金属で構成することができる。例えば、SECC(ボンデ鋼板)やアルミ、ステンレス材でガイド板320を構成することができる。
【0045】
ブラシローラ310は、用紙Pの搬送負荷とならないように、排紙速度と同速で回転駆動されるか、或いは排紙速度よりもやや高速(例えば1~10%の増速)で回転駆動される。定着後の高温用紙Pを、熱容量が大きく熱伝導率が高い金属製ガイド板320に直接接触させて熱を上方に逃がすことで、高速搬送される用紙であっても、より早く効果的に冷却可能になる。
【0046】
また、金属製ガイド板320の上面に放熱フィン330や、さらには放熱フィン330を冷却する送風装置を設けることで、蓄熱で高温になったガイド板320を放熱フィン330からの放熱によって速やかに冷却することができる。これにより、効率良く用紙Pを継続して冷却可能になる。
【0047】
ブラシローラ310は毛の先端が容易に変形(湾曲)して用紙Pの画像面側にソフトに接触するので、軽圧力であってもガイド板320との広い接触幅を確保できる。したがって、ガイド板320への熱移動を促進することができ、従来方式よりも用紙Pの温度下げ幅を大きくして排紙冷却をすることができる。また、ブラシローラ310のブラシ繊維312はソフトであるから、用紙Pの画像面側を加圧しても定着画像を粗すことなく良好な用紙搬送が行える。
【0048】
ブラシローラ310は、芯金311上にブラシ繊維312を直接植毛して構成することができる。ブラシ植毛密度、繊維径、繊維種類、ブラシ繊維の喰込量等は特に限定されず、適宜選択することができる。
【0049】
ブラシ繊維312に使用する繊維の種類としては、例えばナイロン、アクリル、ポリエステル等が挙げられるが、これらに限定されない。ブラシ繊維312として耐熱性を有するポリイミド樹脂やアラミド樹脂等を使用することも可能である。ブラシローラ310は、この他、後述する図5に示すように、芯金311上にポリイミド繊維やアラミド繊維等を植毛したブラシ布313を螺旋状に巻回して構成することもできる。ブラシ布313の帯幅は図5の形態に限るものではなく、隣接する帯同士が密着するまで帯幅を広げてブラシ繊維がローラ幅全体に広がるように構成しても良い。
【0050】
ブラシローラ310は、例えば直径をφ30~35mm、植毛の毛足長さを例えば5~10mmで構成することができ、これによりブラシローラ310がガイド板320に接触する際の搬送方向の幅(ニップ幅)を10mm以上確保することができる。当該ニップ幅10mmは、良好な用紙搬送とともに用紙冷却の好適な条件を得るために十分な長さである。
【0051】
用紙Pに対するブラシローラ310の押付け圧は、ブラシ繊維自体の弾性力で100gf/cm2以上を確保することができる。この100gf/cm2の圧力は、用紙Pを隙間なくガイド板320に押付けるのに好適な圧力である。ブラシの押付け圧を長期にわたって安定化するためには、ブラシローラ310を軸受けにより回転自在に保持しつつ、スプリングなどの押圧部材でガイド板320側に付勢する構成を採用することができる。
【0052】
図3において、ブラシローラ310は用紙Pの搬送速度と同速またはそれ以上の速さで、反時計方向に回転駆動される。ブラシ繊維312は、前述したポリイミド樹脂やアラミド樹脂等の他、例えば低摩耗のフッ素樹脂で構成することもできる。また、耐熱性の樹脂または金属でブラシ繊維312の本体を構成し、当該樹脂または金属の表面における用紙Pとの接触面に、フッ素樹脂など低摩耗化のコーティングを施しても同等の低摩耗効果を発揮できる。
【0053】
図3に示すように、定着後で高温の用紙Pの熱を(熱伝達率が低い空気中でなく)直接、熱伝導率が高い金属製ガイド板320に幅広い接触領域を確保しながら熱伝達するので、従来方式よりも温度下げ幅を大きくして排紙冷却することができる。この排紙冷却の効果は、後述する図6のガイド板320の円弧形状や、図7の空気吹出構造を追加することで、さらに高めることができる。
【0054】
(●放熱フィンに対する送風)
図4Aは、図3の放熱フィン330のリブの方向と送風の方向との関係を示したものである。図4A(a)(b)に示すように、放熱フィン330のリブはブラシローラ310の軸線方向に延びている。そこで、放熱フィン330に対する送風は、例えば放熱フィン330の長手方向両端の斜め上方から、ブラシローラ310の軸線方向中央側に向けて吹き出すのがよい。
【0055】
図4Bは、放熱フィン330のリブがブラシローラ310の軸線方向と直角な方向(用紙搬送方向)に形成された例である。この場合は、放熱フィン330に対して用紙搬送方向で送風を吹き出すのがよい。機内の空気は用紙搬送方向に沿って機外に向かって自然に流れるので、図4Bのようなリブの配置で冷却効果を高めることができる。
【0056】
(●ブラシローラの変形例)
図5は、ブラシ布313を芯金311の回りに螺旋状に設けたブラシローラ310の変形例である。ブラシ布313は、帯状基布に対してポリイミド繊維やアラミド繊維等を植毛したものである。螺旋のピッチは任意であるが、例えば3~10mmとすることができる。
【0057】
ブラシ布313を螺旋状に配置することで、用紙Pに対するブラシ布313の接触をよりソフトにすることができ、軽圧力であってもガイド板320との広い接触幅を確保することができる。また、後述する図7のように芯金311に空気孔314aを形成する場合は、ブラシ布313のピッチ間により多くの空気孔314aを形成することもできる。
【0058】
(●第2実施形態の冷却装置)
図6は、本発明の第2実施形態に係る冷却装置300の断面図である。この冷却装置300のガイド板320は、ブラシローラ310の外周に沿って円弧状に屈曲している。すなわち、ガイド板320の下面320bが、ブラシローラ310の外周形状に沿った凹曲面を有する。また放熱フィン330は、ガイド板320の凸状上面に沿って配設されている。
【0059】
ガイド板320の下面320bが凹曲面を有することで、ガイド板320と用紙Pとの接触長が図3の第1実施形態よりも増加し、当該用紙長の延長により用紙Pの冷却効果が高まり、温度下げ幅も大きくすることができる。
【0060】
また、ガイド板320の凹曲面によって用紙Pのスムーズな方向転換が図られるとともに、用紙Pとブラシ繊維312との接触圧をニップ幅にわたって均等化・低減化することができ、ニップ幅にわたる用紙Pの均等搬送力と相まって、定着画像が粗されるのを防止することができる。
【0061】
(●第3実施形態の冷却装置)
図7は、本発明の第3実施形態に係る冷却装置300の断面図である。この冷却装置300の芯金314は中空であって、芯金314内部に送風路316が形成されている。また、芯金314の表面には前記送風路316に連通した空気孔314aが多数形成されている。なお、ブラシ繊維312は空気孔314aを避けた位置に植毛されている。
【0062】
芯金314の軸線方向一端部には送風機が接続され、当該送風機から吹出された空気が送風路316を通じて空気孔314aから放射状に吹出すように構成されている。送風路316の送風機が接続された側とは反対側の終端部はプラグによって閉塞されている。
【0063】
空気孔314aから芯金314の外周に放射状(図7の白矢印方向)に吹出された空気は、ブラシ繊維312の隙間を通って用紙Pの画像面側に流れる。これにより、搬送用紙Pをさらに効果的に冷却することができる。
【0064】
この際、ブラシローラ310の芯金314の内周面であってガイド板320から離間した部分に図7のように内周ガイド部材315を配設することで、冷却効果を高めることができる。すなわち、内周ガイド部材315は断面U字形ないし馬蹄形であり、芯金314の内周面のほぼ下半分と摺接する。
【0065】
空気孔314aは内周ガイド部材315と重なる位置で閉塞されて空気の吹出しが停止され、内周ガイド部材315から離れて上方を向く位置で開放されて空気の吹出しを再開する。このように、多数の空気孔314aのうち芯金314の下半分を超える数の空気孔314aを内周ガイド部材315で閉塞することができ、無駄な空気の吹出しを防止して冷却効果を高めることができる。
【0066】
また、芯金314の長さを最大の用紙Pの幅よりも長くし、芯金314の両端のブラシ繊維312がない領域にも空気孔314aを形成することができる。これにより、用紙Pの下面に向けて直接空気を吹付けることができ、用紙冷却効果を高めることができる。
【0067】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば前記実施形態ではブラシ状部材としてブラシローラ310を使用したが、ブラシローラ310に代えて、無端ベルトの表面にブラシ繊維を植毛したブラシベルトをガイド板320と対向配置してもよい。
【符号の説明】
【0068】
3:給送ローラ 4:レジストローラ対
5:2次転写ローラ 6:搬送ローラ
7:排出ローラ 8:光書込み装置
9Y、9C、9M、9Bk:トナーボトル 10:転写ベルトユニット
11:転写ベルト 12Y、12C、12M、12Bk:1次転写ローラ
13:ベルトクリーニング装置 17:排紙トレイ
20Y、20C、20M、20Bk:感光体ドラム 30Y、30C、30M、30Bk:帯電装置
40Y、40C、40M、40Bk:現像装置 50Y、50C、50M、50Bk:クリーニング装置
61:給紙装置 71:転写装置
72:駆動ローラ 73:従動ローラ
100:画像形成装置 200:定着装置
201:定着ベルト(定着部材) 202:熱源
202A,202B:熱源 203:加圧ローラ
204:弾性ゴム層 205:芯金
206:ニップ形成部材 207:ステー部材
209:反射部材 216:熱移動補助部材
230A,230B:温度センサ 300:冷却装置
310:ブラシローラ 311:芯金
312:ブラシ繊維 313:ブラシ布
314:芯金 314a:空気孔
315:内周ガイド部材 316:送風路
320:金属製ガイド板 320b:下面
330:放熱フィン Lb:書込み光
N:ニップ部 P:用紙(記録媒体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2011-191706号公報
【特許文献2】特開2019-101360号公報
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7