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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092047
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】香料収容物
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/00 20060101AFI20230626BHJP
   B65D 33/04 20060101ALI20230626BHJP
   A45D 34/02 20060101ALI20230626BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
B65D85/00 A
B65D33/04
A45D34/02 510A
B65D83/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207024
(22)【出願日】2021-12-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年10月22日~令和3年11月21日、イトーヨーカドー 八千代店における香料収容物の実証実験
(71)【出願人】
【識別番号】713011603
【氏名又は名称】ハウス食品株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000111487
【氏名又は名称】ハウス食品グループ本社株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】小石原 克典
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 浩平
(72)【発明者】
【氏名】冨永 弦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 渉
(72)【発明者】
【氏名】吉野 彰子
【テーマコード(参考)】
3E064
3E068
【Fターム(参考)】
3E064AA08
3E064BA17
3E064BA26
3E064BA30
3E064BC18
3E064EA21
3E064EA30
3E064FA04
3E064GA02
3E064HD02
3E064HE03
3E064HN05
3E068AA21
3E068AA22
3E068AA40
3E068AB10
3E068AC10
3E068BB01
3E068CC21
3E068CC22
3E068CD01
3E068CE02
3E068DD08
3E068DD11
3E068DD21
3E068DD30
3E068DE13
3E068DE14
3E068EE15
3E068EE40
(57)【要約】
【課題】内部から香料が噴出するのを防止できる香料収容物を提供する。
【解決手段】香料収容物1は、液体状香料を含侵可能な弾性の芯部材40と、内部空間に芯部材40を収容し、液体状香料のガス成分を外部放出することができる開口部30を有する袋体20と、を備え、袋体20は、芯部材40が袋体20内で開口部30に当たる位置に移動するのを規制する移動規制構造32を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体状香料を含侵可能な弾性の芯部材と、
内部空間に前記芯部材を収容し、前記液体状香料のガス成分を外部放出することができる開口部を有する、または、当該開口部を形成可能な袋体と、を備え、
前記袋体は、前記芯部材が前記袋体内で前記開口部に当たる位置、または、前記開口部が形成される位置に移動するのを規制する移動規制構造を有する、
香料収容物。
【請求項2】
前記移動規制構造は、前記袋体の前記内部空間の、前記開口部が形成された部分、及び/又は、前記芯部材が位置する部分と前記開口部の間の部分の幅が狭まることにより構成されている、
請求項1に記載の香料収容物。
【請求項3】
前記袋体は、シート材が接着されて袋状に形成されており、前記移動規制構造は、前記袋体の前面及び後面を構成するシート材同士が接着されて構成されている、
請求項2に記載の香料収容物。
【請求項4】
前記移動規制構造は、前記袋体の前面及び後面を構成するシート材同士がヒートシールにより融着されて構成されている、
請求項3に記載の香料収容物。
【請求項5】
さらに、前記袋体を収容する外装体を有し、
前記外装体は、前記袋体を収容した場合に前記開口部に当たる位置に、当該開口部よりも大きな面積の開口部を有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の香料収容物。
【請求項6】
前記液体状香料は、食品、飲料、調味料、または、それらの香りを模した香料である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の香料収容物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料収容物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品やトイレタリー製品は芳香も重要な特徴であるため、薬局などの商品陳列棚には、香り見本が設けられている。このような香り見本として、例えば、特許文献1には、開口が設けられた中空ボックス内に、香料を収容した構成が開示されており、香料として液体を用いる場合には、スポンジ、綿、不織布などに含侵させたものを用いることが開示されている。このような構成によれば、中空ボックスを外部から押圧することにより、中空ボックス内に充満した香気が開口から噴出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3216599号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、シーズニングなどの食料品を販売するに際し、香りは重要な購買訴求のためにこのような香り見本をスーパーなどの小売店に設定することを企画している。ここで、上記のような香り見本では、香り見本を繰り返し押圧すると、スポンジが中空ボックス内で移動してしまう。このようにしてスポンジが中空ボックス内で開口と重なるような位置まで移動した状態で、購買者が香り見本を押圧すると、スポンジに含侵されていた液の香料が開口から漏れ出てしまい、ユーザーの手に付着してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、内部から香料が漏れ出るのを抑止できる香料収容物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による香料収容物は、液体状香料を含侵可能な弾性の芯部材と、内部空間に芯部材を収容し、液体状香料のガス成分を外部放出することができる開口部を有する、または、開口部を形成可能な袋体と、を備え、袋体は、芯部材が袋体内で開口部に当たる位置、または、開口部が形成される位置に移動するのを規制する移動規制構造を有する。
上記構成の本発明によれば、例えば、香料収容物が繰り返し押圧されても、芯部材が開口部に当たる位置まで移動するのを規制することができる。これにより、芯部材に液体状香料が含侵されていても、香料収容物が押圧された際に液体状香料が開口部から噴出するのを防止できる。
【0007】
本発明において、好ましくは、移動規制構造は、袋体の内部空間の、開口部が形成された部分、及び/又は、芯部材が位置する部分と開口部の間の部分の幅が狭まることにより構成されている。
上記構成によれば、袋体の内部空間の幅を狭くするという簡単な構成により、芯部材の移動を規制することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、袋体は、シート材が接着されて袋状に形成されており、移動規制構造は、袋体の前面及び後面を構成するシート材同士が接着されて構成されている。
上記構成の本発明によれば、シート材を接着して袋状に形成するのと同様の工程により移動規制構造を形成することができ、一連の工程でシート材を袋状に形成し、移動規制構造を形成することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、移動規制構造は、袋体の前面及び後面を構成するシート材同士がヒートシールにより融着されて構成されている。
上記構成の本発明によれば、ヒールシートによりシート材を融着することにより、移動規制構造を形成することができ、簡単な工程で移動規制構造を形成することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、さらに、袋体を収容する外装体を有し、外装体は、袋体を収容した場合に開口部に当たる位置に、当該開口部よりも大きな面積の孔を有する。
上記構成の本発明によれば、例えば、紙材などにより外装体を形成することができ、簡易に外装を形成することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、液体状香料は、食品、飲料、調味料、または、それらの香りを模した香料である。
食品、飲料、調味料、または、それらの香りを模した香料は、トイレタリー製品や化粧品と異なり、身に着ける香りではないため、香りテストの際に手に付着するのが好ましくない。このため、本発明による香料収容物は、このような食品、飲料、調味料、または、それらの香りを模した香料の香り見本として使用する際に好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、内部から香料が漏れ出るのを抑止できる香料収容物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態による香料収容物を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による香料収容物の分解斜視図である。
図3図1に示す香料収容物の香料収容本体を示す斜視図である。
図4図1に示す香料収容物の香料収容本体を示す正面図である。
図5図1に示す香料収容物の香料収容本体を示す背面図である。
図6図1に示す香料収容物の香料収容本体を示す側面図である。
図7図4におけるC-C断面図である。
図8図4におけるD-D断面図である。
図9A】香料収容本体を形成する方法を説明するための図(その1)である。
図9B】香料収容本体を形成する方法を説明するための図(その2)である。
図9C】香料収容本体を形成する方法を説明するための図(その3)である。
図9D】香料収容本体を形成する方法を説明するための図(その4)である。
図9E】香料収容本体を形成する方法を説明するための図(その5)である。
図10図1に示す香料収容物の外装体を示す斜視図である。
図11図1に示す香料収容物の外装体を示す展開図である。
図12図1に示す香料収容物の使用例を示す斜視図である。
図13】本発明による別の実施形態の香料収容物の香料収容本体の構成を示す正面図である。
図14】本発明による別の実施形態の香料収容物の香料収容本体の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による香料収容物の一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による香料収容物を示す斜視図である。また、図2は、図1に示す香料収容物の分解斜視図である。図1及び図2に示すように、本実施形態による香料収容物1は、香料が含侵された芯部材40(図3)を収容した香料収容本体2と、香料収容本体2を外装する外装体4と、外装体4に一端が取り付けられた紐6と、紐6の他端に取り付けられた第1のクリップ8と、外装体4の背面に取り付けられた第2のクリップ10と、を備える。後述するように、香料収容本体2は、液体の香料を含侵した芯部材40が開口部30を有する袋体20に収容されてなる。また、外装体4には香料収容本体2の開口部30に当たる位置に開口部50が形成されている。
【0015】
図3図6は、図1に示す香料収容物の香料収容本体を示し、図3は斜視図、図4は正面図、図5は背面図、図6は側面図である。また、図7および図8は、図4におけるC-C断面図およびD-D断面図である。
図3図8に示すように、香料収容物は、シート材22からなる袋体20と、袋体20内に収容された芯部材40と、を含む。
【0016】
袋体20は、合掌貼袋であり、上下の縁が閉鎖されている。袋体20を構成するシート材22としては、内面同士が熱融着可能(ヒートシール可能)なシート材が用いられている。ヒートシール可能なシート材としては、例えば、アルミニウム層の内面にポリエチレン層(PE層)やポリプロピレン(PP層)が積層されたシート材を用いることができる。このようなシート材を用いれば、ポリエチレン層がシーラント層として機能し、シーラント層同士を当接させた状態で加熱することによりシーラント層同士が融着し、これによりシールを形成することができる。なお、このようなシーラント層としては、ポリエチレン層に限定されず、周知の材料を使用することができ、また、シート基材としてもアルミニウム層以外の周知のシート基材を用いてもよい。
【0017】
なお、本実施形態では、袋体20を構成するシート材22として、ヒートシール可能なシート材が用いられているが、これに限らず、シーラント層を有していないシート材を用いてもよい。このような場合には、接着剤などにより接着を行えばよい。
【0018】
袋体20は、長方形のシート材22の両側部が重ねあわされて融着された縦方向シール部24と、表裏のシート材22の上縁部が重ねあわされて融着された上縁シール部26と、表裏のシート材22の下縁部が重ねあわされて融着された下縁シール部28と、を有する。シート材22は、縦方向シール部24により筒状に形成され、上縁シール部26および下縁シール部28によりシート材22の上下縁が封鎖されることにより、袋状になっており、内部に内部空間36が画成されている。
【0019】
また、袋体20の表面の横方向中心線上には開口部30が形成されている。開口部30は円形であり、直径が1~4mm程度である。開口部30は、袋体20の上端側に形成されている。
【0020】
また、袋体20には、移動規制構造32としての一対の移動規制シール部34が形成されている。移動規制シール部34は、袋体20の縁の所定位置Bと、上縁シール部26の下縁の中央位置Oと、上縁シール部26の下縁の側端位置Aとを結ぶ三角形の領域に形成されている。移動規制シール部34は、表裏のシート材22が重ねあわされて熱融着されることにより形成されている。
【0021】
このように、一対の三角形状の移動規制シール部34が形成されているため、袋体20の内部空間36は、下端から移動規制シール部34の下端までの領域は横幅が一定であり、移動規制シール部34の下端から上端までの領域は、内部空間の横幅が減少するようになっている。これにともない、袋体20の内周面の横方向断面の総距離(図7に示す、袋体20の内面の周回距離)が、下端から移動規制シール部34の下端までの領域は一定であり、移動規制シール部34の下端から上端までの領域(以下、移動規制領域という)は減少するようになっている。
【0022】
袋体20は、内部空間36に芯部材40を収容しない状態では、正面視において長方形状であり、平坦である。
これに対して、袋体20の内部空間36に芯部材40を収容した状態では、袋体20の横断面は、上縁シール部26、下縁シール部28および移動規制シール部34が形成された領域では平坦な状態であるが、袋体20が位置している領域(以下、芯部材配置領域という)では横断面が芯部材40よりもわずかに大きな長方形状となる。
【0023】
芯部材配置領域では、表裏のシート材22が離間しており、上縁シール部26や下縁シール部28に当たる位置に比べて横幅が狭くなっている。そして、芯部材配置領域から下縁シール部28及び移動規制シール部34の下端に向けて、横幅が増加していく。また、表裏のシート材22の間隔は、芯材配置領域では一定であり、上縁シール部26、下縁シール部28、及び下縁シール部28に向かって減少していく。このため、移動規制領域では、上端に向かって表裏のシート材22の間隔が狭くなるとともに、内部空間の横幅が狭まっていく。これにともない、移動規制領域では、芯部材配置領域に比べて、袋体20の内周面の横方向断面の総距離が狭くなっていき、芯部材40の横断面の周回距離よりも小さくなる。
【0024】
なお、袋体20を形成するシート材22の幅は、内周面の横方向断面の総距離が、芯部材40の外周面の横方向断面の総距離よりもわずかに大きくなるように設計されている。具体的には、袋体20の芯部材40が配置される部分における内周面の横断面の総距離(断面C-Cにおける内周面の横断面の総距離であり、芯部材40を収納しない状態での袋体20の幅の2倍に略等しい)は、芯部材40の横断面の外周面の総距離より、わずかに大きい(すなわち、3~10mm程度大きい)のが好ましい。このように、袋体20の横断面の総距離が芯部材40の外周面の総距離よりもわずかに大きいことで、袋体20内への芯部材40の挿入が容易であるとともに、袋体20内での芯部材40の姿勢が拘束され、例えば、回転するなどのずれを防止できる。
【0025】
そして、移動規制シール部34が形成されているため、開口部30が形成された位置における内周面の横方向断面(D-D断面)の総距離が、芯部材40の外周面の横方向断面の総距離よりも小さくなっている。これにより、芯部材40は、袋体20内において開口部30が形成された位置まで移動することを防止できる。
【0026】
芯部材40は、袋体20内に収容可能な吸水性を有する直方体上の弾性部材により形成されている。芯部材40を構成する弾性部材は、袋体20内で押圧後に元の形状に復元することができるような弾性を有しており、吸水性を持たせるために多孔質体により構成するのが好ましい。芯部材40を構成する材料としては、例えば、メラミンスポンジなどが好適であるが、液体香料を含侵できる弾性材料であれば、特に限定されない。
【0027】
芯部材40には、食材、飲料、調味料などの香りを模した香料が含侵されている。香料としては、例えば、製品が各種香辛料、ハーブ、フルーツの香りを訴求するものである場合、それら香辛料、ハーブあるいはフルーツから得た天然香料や、含有する特徴的な香気成分であるテルペン系香気成分(例えば、リモネン、リナロール、シネオールなど)やフェノール系香気成分(例えば、オイゲノール、アネトールなど)などの香気成分を、例えば2種類以上組み合わせて調合した香料などを使用することができる。
なお、本実施形態では、香料として食材等の香りを模した香料を用いているが、これに限らず、液体の調味料等であれば、そのまま香料として使用することも可能である。また、本実施形態では、食材等の香り見本として、香料収容物を使用しているが、これに限らず、化粧品やトイレタリー製品の香り見本として用いることもでき、このような場合には、香料として、化粧品やトイレタリー製品の香りを模したもの、または、化粧品やトイレタリー製品そのものを使用することができる。
【0028】
図9A図9Eは、香料収容本体を形成する方法を説明するための図である。なお、各図において、新たにヒートシールを形成した箇所には、彩色して示す。図9Aに示すように、まず、長方形状のシート材22を用意し、シート材22に開口部30を形成しておく。次に、シート材22の両縁を内面同士が当接するように重ね合わせ、この重ね合わせた部分を加熱する。これにより、図9Bに示すように、シート材22のシーラント層同士が融着し、シート材22の両縁が接着されて縦方向シール部24が形成され、シート材22が筒状になる。
【0029】
次に、シート材22の上縁部の重ねあわされた部分を加熱する。これにより、図9Cに示すように、上縁シール部26が形成され、筒状のシート材22の上縁が封止される。また、筒状のシート材22の上縁シール部26の下方両側の一対の三角形状の領域を加熱する。これにより、シート材22の加熱した領域のシーラント層同士が融着し、一対の移動規制シール部34が形成され、移動規制構造32が形成される。
【0030】
次に、図9Dに示すように、筒状のシート材22の下方から香料を含侵させた芯部材40を挿入する。これにより、芯部材40に当たる位置の表裏のシート材22が離間し、この部分の袋体20の横幅が狭くなる。
【0031】
次に、シート材22の下縁部の重ねあわされた部分を加熱する。これにより、図9Eに示すように、下縁シール部28が形成され、筒状のシート材22の下縁が封止され、香料収容本体2が形成される。
【0032】
なお、貯蔵や搬送中に開口部30から香料が漏れ、揮発するのを防止するべく、袋体20の開口部30をテープなどの取り外し可能な部材で封鎖しておくのが好ましい。また、本実施形態では、香料が含侵された芯部材40を袋体20に収容したが、これに限らず、香料を店舗等で開口部30を通じて芯部材40に含侵させてもよい。
【0033】
図10は、図1に示す香料収容物の外装体を示す斜視図であり、図11は、外装体の展開図を示す。図10および図11に示すように、外装体4は、紙材52が折り曲げられて、内側に香料収容本体2を収容可能に構成されている。外装体4は、長方形状の前面部54および後面部56と、前面部54と後面部56との間をそれぞれ連結する一対の側面部58と、前面部54および後面部56の上部に形成された取り付け部68とを有する。前面部54、後面部56および側面部58により囲まれる空間内に香料収容本体2は収容されている。前面部54には予め開口部50が形成されている。この開口部50は、香料収容本体2を外装体4内に収容された状態で、袋体20に形成された開口部30と重なる位置に形成されており、袋体20に形成された開口部30よりも大きな直径を有している。また、取り付け部68の上端角部には、紐をとりつけるための孔70が形成されている。外装体4の外面には、芯部材40に含侵された香料が模している調味料(シーズニング)などの食材に関する情報を印刷するとよい。
【0034】
展開状態において、一対の側面部58がそれぞれ前面部54の両側縁に結合されており、一方の側面部58にはさらに後面部56が結合されている。また、他方の側面部58には、前面部54と反対側の側縁に沿ってのりしろ部66が結合されている。また、前面部54には、下縁に沿ってのりしろ部64が結合されている。前面部54の上方には略長方形状の表面取り付け部60が結合されており、後面部56の上方には略長方形状の裏面取り付け部62が結合されている。表面取り付け部60および裏面取り付け部62には、組み立て状態で重なる位置に、それぞれ開口部60A、62Aが形成されている。
【0035】
香料収容本体2を収容する前の段階において、一方の側面部58に結合されたのりしろ部66を後面部56の側縁部の内面に接着剤により接着する。また、表面取り付け部60および裏面取り付け部62の内面同士を、開口部60A、62Aが一致するように重ね合わせ、接着剤により接着しておく。このようにして重ねあわされた表面取り付け部60および裏面取り付け部62の開口部60A、62Aが取り付け部68の孔70を構成する。そして、一対の側面部58の横方向中央を内側に向かって凸になるように折り曲げておく。
【0036】
次に、香料収容本体2を下方から前面部54、後面部56および側面部58により囲まれる空間内に挿入し、前面部54の下方に結合されたのりしろ部64を後面部56の内面に接着する。これにより、外装体4を香料収容本体2に一体に取り付けることができる。その後、外装体4の取り付け部68の孔70に紐6の一端を結びつけ、紐6の他端に第1のクリップ8を取り付けることにより、香料収容物1が形成される。
【0037】
図12は、図1に示す香料収容物の使用例を示す斜視図である。本実施形態では、香料収容物1は、調味料(シーズニング)などの食材の香り見本(テスター)として使用されるものであり、香料収容本体2には、食材、飲料、調味料等(以下、食材等という)の香りを模した香料が含侵されている。図12に示すように、香料収容物1は、スーパーマーケットなどの陳列棚100に設置されて用いられる。香料収容物1は、食材等110が陳列された陳列棚100の前方の落下防止柵120に第1のクリップ8が取り付けられるとともに、第2のクリップ10により、落下防止柵120を挟み込むことにより陳列棚100に設置される。購買者は、外装体4を持ち上げて第2のクリップ10を落下防止柵120から取り外す。そして、香料収容物1を外装体4の外側から指で挟んで押圧する。これにより、袋体20内に充満した香料が揮発してなる香気を含むガス成分が開口部30から放出され、外装体4の開口部50を通じて外部に放出される。これにより、購買者は、液体状香料の香気を確認することができる。
【0038】
この際、本実施形態では、袋体20に移動規制構造32としての一対の移動規制シール部34が形成されている。そして、これら一対の移動規制シール部34が形成されていることにより、横方向断面における内部空間の領域が開口部30に向かって狭まっている。これにより、香料収容物1が繰り返し押圧されたとしても、袋体20内で芯部材40が開口部30に当たる位置まで移動するのが規制される。このため、購買者が香料収容物1を押圧したとしても、芯部材40に含侵された液状の香料が開口部30から漏れ出すのを防止できる。
【0039】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態による香料収容物1は、液体状香料を含侵可能な弾性の芯部材40と、内部空間36に芯部材40を収容し、液体状香料のガス成分を外部放出することができる開口部30を有する袋体20と、を備え、袋体20は、芯部材40が袋体20内で開口部30に当たる位置に移動するのを規制する移動規制構造32を有する。このような構成により、例えば、香料収容物1が繰り返し押圧されても、芯部材40が開口部30に当たる位置まで移動するのを規制することができる。これにより、芯部材40に液体状香料が含侵されていても、香料収容物1が押圧された際に液体状香料が開口部30から噴出するのを防止できる。
【0040】
また、本実施形態において、移動規制構造32は、袋体20の内部空間36の開口部30が形成された部分が狭まくなることにより構成されている。これにより、袋体20の内部空間36の幅を狭くするという簡単な構成により、芯部材40の移動を規制することができる。
【0041】
また、本実施形態において、袋体20は、シート材22が接着されて袋状に形成されており、移動規制構造32は、袋体20の前面及び後面を構成するシート材22同士が接着されて構成されている。このように、シート材22を接着して袋状に形成するのと同様の工程により移動規制構造32を形成することができ、一連の工程でシート材22を袋状に形成し、移動規制構造32を形成することができる。
【0042】
また、本実施形態において、移動規制構造32は、袋体20の前面及び後面を構成するシート材22同士がヒートシールにより融着されて構成されている。ヒールシートによりシート材22を融着することにより、移動規制構造32を形成することができ、簡単な工程で移動規制構造32を形成することができる。
【0043】
また、本実施形態の香料収容物1は、さらに、袋体20を収容する外装体4を有し、外装体4は、袋体20を収容した場合に袋体20の開口部30に当たる位置に、開口部30よりも大きな面積の開口部50を有する。このような構成により、例えば、紙材などにより外装体4を形成することができ、簡易に外装を形成することができる。
【0044】
また、本実施形態では、液体状香料は、食品、飲料、調味料、または、それらの香りを模した香料である。食品、飲料、調味料、または、それらの香りを模した香料は、トイレタリー製品や化粧品と異なり、身に着ける香りではないため、香りテストの際に手に付着するのが好ましくない。このため、本実施形態の香料収容物1は、このような食品、飲料、調味料、または、それらの香りを模した香料の香り見本として使用する際に好適である。
【0045】
なお、本実施形態では、移動規制構造32として、移動規制シール部34が袋体20の上方の角部に三角形状に形成された場合を説明したが、本発明はこれに限られない。図13および図14は本発明による別の実施形態の香料収容物の香料収容本体の構成を示す正面図である。なお、図13、14では、図4に示す実施形態と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0046】
図13に示す実施形態の香料収容本体202では、移動規制構造232として、一対の移動規制シール部234が形成されている。一対の移動規制シール部234は、開口部の両側に設けられており、半楕円形(楕円形の半分)である。図4に示す実施形態の移動規制シール部34と同様に、図13に示す実施形態の移動規制シール部234も、一対のシート材22を熱融着させることにより形成されている。このような構成によっても、一対の移動規制シール部234により袋体20内の内部空間の幅が狭まり、芯部材40が開口部30まで移動するのを規制できる。
【0047】
なお、図13に示す実施形態では、一対の移動規制シール部234が開口部30の側方に設けられているが、これに限らず、芯部材40が位置する部分と開口部30との間に一対の移動規制シール部234を設けてもよい。このような構成によれば、内部空間の芯部材40が位置する部分と開口部30との間の部分の幅が狭まり、芯部材40が開口部30まで移動するのを規制できる。すなわち、移動規制シール部234は、袋体の開口部が形成された部分、及び、芯部材が位置する部分と開口部との間の部分の少なくとも一部の幅が狭まるように形成されていればよい。
【0048】
また、図14に示す実施形態では、移動規制構造332として、一つの移動規制シール部334が形成されている。移動規制シール部334は上縁から下方に向かって全幅にわたって形成されており、中央部に比べて両側部が下方に向かって延出している。移動規制シール部334の両側部は、開口部30よりも下方まで延出している。このような構成によっても、移動規制シール部334により袋体20内の内部空間の幅が狭まり、芯部材40が開口部30まで移動するのを規制できる。
【0049】
本実施形態では、移動規制構造32を、シート材同士を融着して移動規制シール部34を形成することにより設けたが、これに限らず、接着剤によりシート材同士を接着して移動規制シール部34を形成してもよい。なお、本願において接着とは、接着剤によりくっつける場合のみならず、ヒートシールなどの熱融着によりくっつける構成も含む。
【0050】
また、本実施形態では、袋体20を、芯部材40を収容しない状態で長方形となるような袋状としたが、例えば、上方に向かって幅が狭くなるような形状(すなわち、図4における左右上方の角部を省略した形状)としてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、芯部材40を直方体形状としたが、これによらず、例えば、円柱状や、球体状としてもよい。すなわち、芯部材の形状は、移動規制シール部34により移動が規制されるような幅を有していればよい。
【0052】
また、本実施形態では、袋体20に予め開口部30を形成していたが、本発明はこれに限られない。例えば、袋体20に開口部を形成すべき位置を明示しておき、スーパーなどの香料収容物を香り見本として使用する場所において開口部を形成する構成としてもよい。このような場合には、移動規制構造32は、芯部材40が、開口部が形成される位置(すなわち、袋体に明示された位置)に移動するのを規制するように形成しておけばよい。
【0053】
また、本実施形態では、袋体20が合掌貼袋である場合について説明したが、ガゼット袋や、三方シール袋などであっても本発明の袋体として使用できる。
また、本実施形態では、袋体20を外装体4内に収容する構成としたが、これに限らず、外装体4を省略してもよい。この場合には、袋体20の外面に印刷をするとよい。
【符号の説明】
【0054】
1 :香料収容物
2 :香料収容本体
4 :外装体
6 :紐
8 :第1のクリップ
10 :第2のクリップ
20 :袋体
22 :シート材
24 :縦方向シール部
26 :上縁シール部
28 :下縁シール部
30 :開口部
32 :移動規制構造
34 :移動規制シール部
36 :内部空間
40 :芯部材
50 :開口部
52 :紙材
54 :前面部
56 :後面部
58 :側面部
60 :表面取り付け部
60A :開口部
62 :裏面取り付け部
62A :開口部
64 :のりしろ部
66 :のりしろ部
68 :取り付け部
70 :孔
100 :陳列棚
110 :食材等
120 :落下防止柵
202 :香料収容本体
232 :移動規制構造
234 :移動規制シール部
332 :移動規制構造
334 :移動規制シール部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
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図13
図14