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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092105
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】演算増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/45 20060101AFI20230626BHJP
   H03F 1/26 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
H03F3/45 110
H03F1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207105
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099818
【弁理士】
【氏名又は名称】安孫子 勉
(72)【発明者】
【氏名】小川 正訓
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA12
5J500AC13
5J500AC44
5J500AC54
5J500AC92
5J500AF12
5J500AF20
5J500AH02
5J500AH25
5J500AH29
5J500AK02
5J500AK03
5J500AK04
5J500AK05
5J500AK09
5J500AK42
5J500AK46
5J500AM04
5J500AM17
5J500AT01
5J500DN14
5J500DN22
5J500DN23
5J500RU02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】入力バイアス電流や入力換算雑音電圧の増加を招くことなく、高周波ノイズ耐性の向上と発振耐性の向上を両立する演算増幅器を提供する。
【解決手段】演算増幅器は、入力信号を差動増幅可能に構成されてなる入力差動対101と、その出力を増幅、出力する出力回路102とを有する。出力回路102は、ベース接地増幅回路152と、ベース接地増幅回路152の後段に接続されたバッファ増幅器153と、ベース接地増幅回路152に対して電流供給を行うカレントミラー回路151とを有し、ベース接地増幅回路152の出力段とバッファ増幅器153との接続点とベース接地増幅回路152を構成するトランジスタのベースとの間に、ハイパスフィルタ110を設け、高周波ノイズ耐性の向上と発振耐性の向上を両立する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を差動増幅可能に構成されてなる入力差動対と、前記入力差動対の出力を増幅、出力する出力回路とを有してなる演算増幅器であって、
前記出力回路は、ベース接地増幅回路と、前記ベース接地増幅回路の後段に接続されたバッファ増幅器と、前記ベース接地増幅回路に対して電流供給を行うカレントミラー回路とを有し、
前記ベース接地増幅回路の出力段と前記バッファ増幅器との接続点と前記ベース接地増幅回路を構成するトランジスタのベースとの間に、ハイパスフィルタが設けられてなることを特徴とする演算増幅器。
【請求項2】
前記入力差動対は、PNP型の差動対用第1及び第2のトランジスタを有し、前記差動対用第1及び第2のトランジスタは、エミッタが相互に接続される共に、当該接続点と正電源端子との間に定電流源が設けられる一方、前記差動対用第1のトランジスタのコレクタは、差動対用第1の抵抗器を介して、前記差動対用第2のトランジスタのコレクタは、差動対用第2の抵抗器を介して、共に負電源端子に接続され、前記差動対用第1のトランジスタのベースが反転入力端子に、前記差動対用第2のトランジスタのベースが非反転入力に、それぞれ接続されてなり、
前記ベース接地増幅回路は、NPN型のバイポーラトランジスタである増幅用第1及び第2のトランジスタを有し、前記増幅用第1及び第2のトランジスタは、ベースが相互に接続されると共に、当該接続点と前記負電源端子との間に、第1の定電圧源が設けられ、前記増幅用第1のトランジスタのエミッタは、前記差動対用第1のトランジスタのコレクタと前記差動対用第1の抵抗器の相互の接続点に、前記増幅用第2のトランジスタのエミッタは、前記差動対用第2のトランジスタのコレクタと前記差動対用第2の抵抗器の相互の接続点に、それぞれ接続されてなり、
前記カレントミラー回路は、PNP型のバイポーラトランジスタであるカレントミラー用第1及び第2のトランジスタを有し、前記カレントミラー用第1及び第2のトランジスタは、ベースが相互に接続されると共に、前記カレントミラー用第1のトランジスタのコレクタと接続され、前記カレントミラー用第1のトランジスタのコレクタは、前記増幅用第1のトランジスタのコレクタに、前記カレントミラー用第2のトランジスタのコレクタは、前記増幅用第2のトランジスタのコレクタに、それぞれ接続される一方、前記カレントミラー用第1及び第2のトランジスタのエミッタは、共に前記正電源端子に接続されてなることを特徴とする請求項1記載の演算増幅器。
【請求項3】
前記ベース接地増幅回路は、前記NPN型のバイポーラトランジスタである増幅用第1及び第2のトランジスタに代えて、PNP型のバイポーラトランジスタである増幅用第1及び第2のトランジスタを有し、前記PNP型の増幅用第1及び第2のトランジスタは、ベースが相互に接続されると共に、当該接続点と前記正電源端子との間に、第2の定電圧源が設けられ、前記PNP型の増幅用第1及び第2のトランジスタのエミッタは、共に前記正電源端子に接続され、
前記カレントミラー回路は、前記PNP型のバイポーラトランジスタであるカレントミラー用第1及び第2のトランジスタに代えて、NPN型のバイポーラトランジスタであるカレントミラー用第1及び第2のトランジスタを有し、前記NPN型のカレントミラー用第1及び第2のトランジスタは、ベースが相互に接続されると共に、前記NPN型のカレントミラー用第1のトランジスタのコレクタと接続され、前記NPN型のカレントミラー用第1のトランジスタのコレクタは、前記PNP型の増幅用第1のトランジスタのコレクタに、前記NPN型のカレントミラー用第2のトランジスタのコレクタは、前記PNP型の増幅用第2のトランジスタのコレクタに、それぞれ接続される一方、前記NPN型のカレントミラー用第1のトランジスタのエミッタは、前記差動対用第1のトランジスタのコレクタと前記差動対用第1の抵抗器の相互の接続点に、前記NPN型の増幅用第2のトランジスタのエミッタは、前記差動対用第2のトランジスタのコレクタと前記差動対用第2の抵抗器の相互の接続点に、それぞれ接続されてなることを特徴とする請求項2記載の演算増幅器。
【請求項4】
前記ハイパスフィルタは、ハイパス用コンデンサとハイパス用抵抗器が、前記ベース接地増幅回路の出力段側から前記ハイパス用コンデンサ、前記ハイパス用抵抗器の順で直列接続されてなり、前記ハイパス用コンデンサの容量は、前記バッファ増幅器の入出力間に接続された位相補償コンデンサの容量に対して同程度以上に設定されたものであることを特徴とする請求項1、請求項2、又は、請求項3いずれか記載の演算増幅器。
【請求項5】
前記ハイパスフィルタを、前記ハイパス用コンデンサと前記ハイパス用抵抗器とで構成することに代えて、前記ハイパス用コンデンサのみから構成したことを特徴とする請求項4記載の演算増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演算増幅器に係り、特に、入力バイアス電流や入力換算雑音電圧の増加を招くことなく高周波ノイズ耐性と発振耐性の向上等を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
演算増幅器においては、入力端子に高周波ノイズが混入すると、出力電圧が大きく変動することは良く知られている通りである。この問題を解決するため、例えば、特許文献1においては、演算増幅器の入力端子にローパスフィルタLPFを挿入する方策が示されており、典型的な高周波ノイズ対策の一つとして知られている。
この特許文献1に開示された高周波ノイズ対策技術について、図10乃至図12を参照しつつ、以下に概括的に説明する。
まず、図10には、特許文献1に開示された高周波ノイズ対策技術を施す前の従来の演算増幅器の回路構成例が示されている。
この従来回路は、トランジスタQ1,Q2からなる入力差動対301と、トランジスタQ3~Q6及び増幅アンプAOからなる出力回路302とに大別されて構成されてなるものである。
【0003】
図11には、図10に示された従来回路に高周波ノイズ対策を施した場合の回路構成例が示さている。
すなわち、図11に示された演算増幅器は、反転入力端子INMとトランジスタQ1のベースとの間にローパスフィルタLPF1が、非反転入力端子INPとトランジスタQ2のベースとの間にローパスフィルタLPF2が、それぞれ設けられた構成となっている。
かかる構成の演算増幅器の高周波ノイズ耐性について、高周波ノイズ対策が施されていない従来回路と比較しつつ以下に説明する。
まず、高周波ノイズ耐性の比較を行うための実験回路について、図12に示された実験回路例を参照しつつ説明する。
【0004】
この実験回路は、演算増幅器OP1の非反転入力端子に接続されたコンデンサCA1を介して高周波信号RFが印加されるようになっており、その際のDC出力電圧Voutの変化を観測するための回路である。
DC出力電圧Voutの変化が小さいほど、高周波ノイズ耐性が強いと判断される。
【0005】
図13には、上述の実験回路を用いた先の従来回路に対する高周波ノイズ対策の有無の比較検証結果が、入力周波数に対する出力電圧の変化を示す特性線によって示されており、以下、同図を参照しつつ、この比較検証結果について説明する。
まず、図13において、横軸は入力高周波信号の周波数を、縦軸は演算増幅器の出力電圧を、それぞれ示している。
また、同図において、実線の特性線は、高周波ノイズ対策の無い場合の従来回路(図10参照)における入力周波数の変化に対する出力電圧の変化を示す特性線である。また、同図において、点線の特性線は、先の高周波ノイズ対策が施された従来回路(図11参照)における入力周波数の変化に対する出力電圧の変化を示す特性線である。
【0006】
この図13に示された特性線は、先の図12に示された実験回路において、高周波信号RFの電圧振幅を0.2Vpp一定とし、周波数を10MHzから3.5GHzまで掃引した際の、演算増幅器OP1におけるDC出力電圧Voutをプロットしたものである。
図13によれば、ローパスフィルタLPFを入力段に挿入することで高周波ノイズ耐性が向上し、演算増幅器の出力電圧Voutの変動が抑制されていることが確認できる。
【0007】
ところが、入力段におけるローパスフィルタの挿入は、演算増幅器における発振耐性を損なう問題がある。
この問題について、図14に示された特性線図を参照しつつ、以下に説明する。
まず、図14は、発振耐性の指標となる位相余裕の負荷容量CLに対する依存性を示した特性線図であり、横軸は負荷容量CLを、縦軸は位相余裕を、それぞれ示している。
通常、電子回路においては、位相余裕が低いほど発振し易い傾向にある。
【0008】
図14において、実線の特性線は、ローパスフィルタLPFの無い従来の演算増幅器(図10参照)における負荷容量に対する位相余裕の変化を示す特性線である。また、同図において、点線の特性線は、入力段にローパスフィルタLPFを設けた従来の演算増幅器(図11参照)における負荷容量に対する位相余裕の変化を示す特性線である。
同図によれば、ローパスフィルタLPFを設けることで位相余裕が減少し、発振し易くなることが確認できる。
【0009】
なお、ローパスフィルタLPFを設けることで位相余裕が減少する理由は、ローパスフィルタLPFで発生するポールにより、演算増幅器の位相特性が低周波でまわるためである。
このように、入力端子にローパスフィルタLPFを挿入し、高周波ノイズ耐性(RFノイズ耐性)を向上させた演算増幅器は、RFノイズ耐性の向上と引き換えに発振耐性が低下するという問題が生ずる。
【0010】
上述のような問題を改善する方策が、例えば、特許文献2に開示されている。
図15には、特許文献2に開示された高周波ノイズ対策が施された従来の演算増幅器の回路構成例が示されており、以下、同図を参照しつつ、この特許文献2に開示された方策について概説する。
図15に示された演算増幅器は、低周波用の入力差動対と高周波用の入力差動対が設けられた構成となっている。
【0011】
すなわち、低周波用の入力差動対は、テイル電流源ITAILと、トランジスタQ101,Q102と、ローパスフィルタLPF1,LPF2を用いて構成されている。かかる低周波用の入力差動対においては、ローパスフィルタLPF1,LPF2により高周波ノイズを含む高周波信号は減衰される。
【0012】
一方、高周波用の入力差動対は、トランジスタQ111,Q112と、コンデンサC101を用いて構成されている。かかる高周波用の入力差動対においては、コンデンサC101がトランジスタQ111のエミッタとQ112のエミッタの間に設けられることで、高周波信号はトランジスタQ111とQ112の両エミッタ間を行き交うことが可能となる。そのため、AC(交流)的にトランジスタQ111とQ112の両エミッタ間は接続されて差動対として動作が可能となる。
【0013】
この高周波用の入力差動対に高周波ノイズが印加された場合の回路動作について、以下に説明する。
まず、先に図10に示されたような従来回路において、入力差動対は、差動対のエミッタ同士が接続さているため、このエミッタノードで高周波ノイズが整流される。この整流作用により差動対がアンバランスになるようなDC電圧が生じ、このアンバランスなDC電圧が意図しないDC出力電圧を生むこととなる。
【0014】
一方、図15に示された演算増幅器においては、高周波用の入力差動対のエミッタは、DC(直流)的に共通ではなく、コンデンサC101でAC的に接続されているだけである。したがって、この高周波用の入力差動対は、高周波ノイズが印加されてエミッタ部分で整流されたDC電圧が発生することはない。そのため、図15に示された演算増幅器は、高周波ノイズが印加されても出力電圧が変動することはなく、高周波ノイズ耐性の向上が図られたものとなっている。
【0015】
さらに、図15に示された演算増幅器は、高周波ノイズ耐性を向上させても発振耐性が低下することがない。
この演算増幅器においては、低周波用の入力差動対のローパスフィルタLPF1,LPF2によりポールが発生し、位相がまわる。その一方で、高周波用の入力差動対は、ハイパスフィルタの構成となっており、ゼロ点が発生して位相が戻る。その結果、このゼロ点によりローパスフィルタによる位相のまわりが打ち消され、位相余裕の低下が改善される。このように、図15に示された演算増幅器においては、高周波ノイズ対策のローパスフィルタLPF1,LPF2を設けても、発振耐性の低下を招くことはなく、高周波ノイズ耐性と発振耐性の両立が図られたものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第3886090号公報
【特許文献2】特許第6879862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述の特許文献2に開示された演算増幅器においては、従来の回路構成に高周波用の入力差動対のトランジスタQ111,Q112を追加する構成であるため(図15参照)、入力バイアス電流や入力換算雑音電圧が増加するという問題がある。
以下、この入力換算雑音電圧の増加について概括的に説明する。
例えば、図15に示された演算増幅器において、低周波用の入力差動対のトランジスタQ101,Q102、及び、高周波用の入力差動対のトランジスタQ111,Q112の各コレクタ電流が、いずれもITAIL/2の大きさで流れた場合を想定する。なお、ここで、ITAILは、テイル電流源ITAILの出力電流の大きさとする。
【0018】
この場合、図15に示された演算増幅器は、図11に示された従来の演算増幅器に比べて、入力バイアス電流が2倍、入力換算雑音電圧が21/2倍、それぞれ増加する。このような入力バイアス電流や入力換算雑音電圧の増加は、出力電圧に誤差を生じさせるという問題を生む。
【0019】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、入力バイアス電流や入力換算雑音電圧の増加を招くことなく、高周波ノイズ耐性の向上と発振耐性の向上の両立を可能とする演算増幅器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係る演算増幅器は、
入力信号を差動増幅可能に構成されてなる入力差動対と、前記入力差動対の出力を増幅、出力する出力回路とを有してなる演算増幅器であって、
前記出力回路は、ベース接地増幅回路と、前記ベース接地増幅回路の後段に接続されたバッファ増幅器と、前記ベース接地増幅回路に対して電流供給を行うカレントミラー回路とを有し、
前記ベース接地増幅回路の出力段と前記バッファ増幅器との接続点と前記ベース接地増幅回路を構成するトランジスタのベースとの間に、ハイパスフィルタが設けられてなるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ハイパスフィルタによって負荷容量が増加しても位相余裕が確保されるため、発振耐性の向上を図ることができ、従来のローパスフィルタを併用することによって、入力バイアス電流や入力換算雑音電圧の増加を招くことなく、高周波ノイズ耐性の向上と発振耐性の向上の両立を可能とするという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態における演算増幅器の第1の基本回路構成例を示す回路図である。
図2図1に示された第1の基本回路構成例の具体回路構成例(第1の具体回路構成例)を示す回路図である。
図3図1に示された第1の基本回路構成例の具体回路構成例(第2の具体回路構成例)を示す回路図である。
図4図3に示された第2の具体回路構成例に用いられるトランジスタの平面図の概略構成例を模式的に示す模式図である。
図5】本発明の実施の形態における演算増幅器の第2の基本回路構成例を示す回路図である。
図6図5に示された第2の基本回路構成例の具体回路構成例(第3の具体回路構成例)を示す回路図である。
図7図5に示された第2の基本回路構成例の具体回路構成例(第4の具体回路構成例)を示す回路図である。
図8】本発明の実施の形態における演算増幅器の負荷容量変化に対する位相余裕の変化特性を示す特性線図である。
図9】本発明の実施の形態における演算増幅器の周波数変化に対する出力電圧の変化特性を示す特性線図である。
図10】高周波ノイズ対策が施されていない従来の演算増幅器の回路構成例を示す回路図である。
図11図10に示された従来回路に高周波ノイズ対策を施した場合の回路構成例を示す回路図である。
図12】演算増幅器の高周波ノイズ耐性を計測する実験回路の回路構成例を示す回路図である。
図13図10に示された演算増幅器と図11に示された演算増幅器の高周波ノイズ耐性の指標としての周波数変化に対する出力電圧の変動特性を示した特性線図である。
図14図10に示された演算増幅器と図11に示された演算増幅器の発振耐性の指標としての負荷容量の変化に対する位相余裕の変化特性を示した特性線図である。
図15】高周波ノイズ耐性と発振耐性の両立を図った従来の演算増幅器の回路構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図9を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における演算増幅器の第1の基本回路構成例について、図1を参照しつつ説明する。
本発明の実施の形態における演算増幅器は、入力差動対101と、出力回路102とに大別されてなるもので、この点は、従来と基本的に同様であるが、後述するように出力回路102に、ハイパスフィルタ(図1においては「HPF」と表記)110を設けた点が従来と異なる構成となっている。
【0024】
入力差動対101は、PNP型のバイポーラトランジスタである差動対用第1及び第2のトランジスタ(図1においては、それぞれ「Q1」、「Q2」と表記)1,2を中心に構成されている。
差動対用第1及び第2のトランジスタ1,2は、エミッタが相互に接続され、その接続点と正電源端子81との間に定電流源60が接続されている。なお、正電源端子81には、外部から電源電圧VCCが印加される。
【0025】
一方、差動対用第1のトランジスタ1のコレクタは、第1の負荷としての差動対用第1の抵抗器(図1においては「R1」と表記)41を介して、差動対用第2のトランジスタ2のコレクタは、第2の負荷としての差動対用第2の抵抗器(図1においては「R2」と表記)42を介して、共に負電源端子82に接続されている。
また、差動対用第1のトランジスタ1のベースは、反転入力端子(図1においては「INM」と表記)83に、差動対用第2のトランジスタ2のベースは、非反転入力端子(図1においては「INP」と表記)84に、それぞれ接続されている。
そして、第1及び第2のトランジスタ1,2の各々のコレクタは、次述するように出力回路102の入力段に接続されている。
【0026】
出力回路102は、カレントミラー回路151と、ベース接地増幅回路152と、バッファ増幅器(図1においては「AO」と表記)153と、ハイパスフィルタ110とを中心に構成されている。
ベース接地増幅回路152は、NPN型のバイポーラトランジスタを用いた増幅用第1及び第2のトランジスタとしての第3及び第4のトランジスタ(図1においては、それぞれ「Q3」、「Q4」と表記)3,4を有して構成されている。
【0027】
第3及び第4のトランジスタ3,4は、ベースが相互に接続されて、その接続点と負電源端子82との間に第1の定電圧源61が設けられている。
また、第3のトランジスタ3のエミッタは、差動対用第1のトランジスタ1のコレクタと差動対用第1の抵抗器41との接続点に、第4のトランジスタ4のエミッタは、差動対用第2のトランジスタ2のコレクタと差動対用第2の抵抗器42との接続点に、それぞれ接続されている。
【0028】
さらに、第4のトランジスタ4のコレクタには、バッファ増幅器153の入力段が接続され、このバッファ増幅器153の出力段は、増幅出力端子(図1においては「OUT」と表記)85に接続されている。また、バッファ増幅器153の入力段と出力段との間には、入力段側から位相補償コンデンサ(図1においては「Cc」と表記)54、位相補償抵抗器(図1においては「Rz」と表記)46が、この順で直列接続されて設けられている。
この第1の基本回路構成例においては、上述の入力差動対101とベース接地増幅回路152とによりフォールデットカスコード増幅回路が構成されたものとなっている。
【0029】
一方、カレントミラー回路151は、ベース接地増幅回路152の電流源となるもので、従来のカレントミラー回路と基本的に同一の構成を有してなるものである。
すなわち、カレントミラー回路151は、PNP型のバイポーラトランジスタを用いたカレントミラー用第1及び第2のトランジスタとしての第5及び第6のトランジスタ(図1においては、それぞれ「Q5」、「Q6」と表記)5,6を有して構成されている。
【0030】
第5及び第6のトランジスタ5,6は、ベースが相互に接続されると共に、その相互の接続点は第5のトランジスタ5のコレクタと接続されており、第5のトランジスタ5は、いわゆるダイオード接続状態となっている。
また、第5のトランジスタ5のエミッタと、第6のトランジスタ6のエミッタは、共に正電源端子81に接続されている。
【0031】
さらに、第5のトランジスタ5のコレクタは、第3のトランジスタ3のコレクタに、第6のトランジスタ6のコレクタは、第4のトランジスタ4のコレクタ及びバッファ増幅器153の入力端子に、それぞれ接続されている。
そして、ハイパスフィルタ110は、第3及び第4のトランジスタ3,4のべース同士の接続点と、第4及び第6のトランジスタ4,6のコレクタ同士の接続点との間に接続されている。
ハイパスフィルタ110は、演算増幅器の発振耐性を向上させるものであるが、その具体的な説明は、次述する第1の具体回路構成例におけるハイパスフィルタ110の具体的な説明を以て、これに代えることとする。
【0032】
図2には、第1の具体回路構成例が示されており、以下、同図を参照しつつ、この第1の具体回路構成例について説明する。
なお、図1に示された第1の基本回路構成例と同一の構成要素については、 同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
まず、この第1の具体回路構成例においては、高周波ノイズ対策として、入力差動対101の入力側に次述するようにローパスフィルタ(図2においてはそれぞれ「LPF1」、「LPF2」と表記)71,72が設けられたものとなっている。
【0033】
すなわち、反転入力端子83と差動対用第1のトランジスタ1のベースとの間には、第1のローパスフィルタ71が、非反転入力端子84と差動対用第2のトランジスタ2のベースとの間には、第2のローパスフィルタ72が、それぞれ直列接続されている。
一方、ハイパスフィルタ(図2においては「HPF1」と表記)110は、ハイパス用抵抗器(図2においては「RX1」と表記)45とハイパス用コンデンサ(図2においては「CX2」と表記)52により構成されている。
【0034】
具体的には、第4のトランジスタ4のコレクタと第3及び第4のトランジスタ3,4のベースとの間に、第4のトランジスタ4のコレクタ側から、ハイパス用コンデンサ52、ハイパス用抵抗器45の順で直列接続されて設けられている。
この具体回路構成例においては、ハイパスフィルタ110を設けたことにより、負荷容量CLが大きな領域、例えば、CL=1nFを超える領域における発振耐性の向上が顕著である。
このため、ハイパス用コンデンサ52の容量値CX2は、下記する式1に基づいて設定される。
【0035】
CX2≧Cc・・・式1
【0036】
ここで、Ccは、バッファ増幅器153の入出力間に設けられた位相補償コンデンサ54の容量値であるとする。
式1が示すように、ハイパス用コンデンサ52の容量値CX2は、位相補償コンデンサ54の容量値(位相補償容量値)Ccと同程度以上とする必要がある。
このように、容量値CX2を、位相補償容量値Ccと同等以上とするのは、位相補償容量値Ccの両端間に発生する信号振幅以上のAC信号を、第3及び第4のトランジスタ3,4のベースに発生させるためである。例えば、位相補償容量値Cc=10pFの場合、ハイパス用コンデンサ52の容量値CX2は10pF以上であることが必要となる。
【0037】
図8には、本発明の実施の形態の演算増幅器における負荷容量CLの変化に対する位相余裕の変化特性を示す特性線図が示されており、以下、同図について説明する。同図において、横軸は負荷容量の変化を、縦軸は位相余裕の変化を、それぞれ示している。
図8において、実線の特性線は、本発明の実施の形態における演算増幅器の負荷容量CLの変化に対する位相余裕の変化特性を示す特性線である。この特性線によれば、負荷容量CL=10nFとなっても位相余裕が0degを下回らないことが確認できる。すなわち、本発明の実施の形態の演算増幅器は、負荷容量CLが1nFを超える大きな場合にあっても十分確実な発振耐性が確保できるものとなっている。
【0038】
また、図8において、二点鎖線の特性線は、ローパスフィルタを有しない従来回路(図10)における負荷容量CLの変化に対する位相余裕の変化特性を示す特性線である。さらに、図8において、点線の特性線は、ローパスフィルタを設けた従来回路(図11参照)における負荷容量CLの変化に対する位相余裕の変化特性を示す特性線である。
これら2つの特性線の場合、いずれも、負荷容量CLが0.1nFを過ぎた付近で位相余裕は0degとなっており、本発明の実施の形態における演算増幅器に比して発振耐性が低いことが確認できる。
【0039】
図9には、本発明の実施の形態における演算増幅器の入力周波数変化に対する出力変化特性例が従来回路の同特性例と共に示されており、以下、同図について説明する。
図9において、横軸は周波数を、縦軸は演算増幅器の出力電圧を、それぞれ示している。
同図において、点線の特性線は、ローパスフィルタを有しない従来回路(図10参照)における周波数変化に対する出力電圧の変化特性を示す特性線である。
【0040】
また、図9において、実線の特性線は、本発明の実施の形態における演算増幅器の周波数変化に対する出力電圧の変化特性を示す特性線である。この実線の特性線は、ローパスフィルタを設けた従来回路(図11参照)の同様な特性を示す特性線とほぼ一致している。
なお、上述の特性は、先の図12に示された実験回路を用いて取得されたものである。
図9によれば、本発明の実施の形態の演算増幅器においては、高周波ノイズ耐性が向上し、出力電圧Voutの変動抑圧されることが確認できる。
このように、本発明の実施の形態の演算増幅器は、従来と異なり、入力バイアス電流の増加や入力換算雑音電圧の増加を招くことなく、高周波ノイズ耐性の向上と、発振耐性の向上の両立が可能となっている。
【0041】
次に、第2の具体回路構成例について、図3を参照しつつ説明する。
なお、図2に示された第1の具体回路構成例と同一の構成要素については、 同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第2の具体回路構成例は、ハイパス用コンデンサ52のみで構成されたハイパスフィルタ(図3においては「HPF2」と表記)110Aが設けられた点が、第1の具体回路構成例と異なるもので、残余の部分は、図2に示された具体回路構成例と同一の構成を有してなるものである。
【0042】
すなわち、ハイパス用コンデンサ52は、第3及び第4のトランジスタ3,4のベース同士の接続点と、第4及び第6のトランジスタ4,6のコレクタ同士の接続点との間に接続されて設けられたものとなっている。
この第2の具体回路構成例におけるハイパスフィルタ110Aは、図2に示された第1の具体回路構成例におけるハイパス用抵抗器45が削除された構成であるため、その抵抗分を補う観点から、NPN型トランジスタである第3及び第4のトランジスタ3,4を次述するような構成を有してなるものとするのが好適である。
【0043】
すなわち、第3及び第4のトランジスタ3,4に用いられるNPN型トランジスタ91は、図4の模式図に示されたように、ベースのコンタクト92とエミッタのコンタクト93間のコンタクト距離を長く確保した構成として、ベース抵抗95を通常よりも大きくなるようにすると好適である。なお、同図において、符号94は、コレクタのコンタクトである。
また、ハイパス用コンデンサ52の容量値CX2は、先に述べた式1に基づいて設定される。
【0044】
なお、式1において、Ccはバッファ増幅器153の入出力間に設けられた位相補償コンデンサ54の容量値であるとする。
この第2の具体回路構成例は、第1の具体回路構成例同様、負荷容量CL=1nF以上での位相余裕の確保が可能であり、高周波ノイズ耐性は、先に、図9で説明したように確実に改善されるものとなっている。
そして、入力バイアス電流の増加や入力換算雑音電圧の増加を招くことなく、高周波ノイズ耐性の向上と、発振耐性の向上の両立が可能となっている。
また、この第2の具体回路構成例では、先に述べたようにハイパス用抵抗器45(図2参照)を不要とした構成であるため、さらなるチップサイズの小型化が可能となっている。
【0045】
次に、第2の基本回路構成例について、図5を参照しつつ説明する。
なお、図1に示された第1の基本回路構成例と同一の構成要素については、 同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
第2の基本回路構成例は、PNP型のバイポーラトランジスタを用いたベース接地増幅回路152Aを設け、NPN型のバイポーラトランジスタを用いたカレントミラー回路151Aをフォールデットカスコードのベース接地入力部分に位置する構成とし、後述するようにベース接地増幅回路152Aにハイパスフィルタ110を設けたものである。
すなわち、まず、PNP型のバイポーラトランジスタを用いた増幅用第1及び第2のトランジスタとしての第11及び第12のトランジスタ(図5においては、それぞれ「Q11」、「Q12」と表記)11,12によりベース接地増幅回路152Aが次述するように構成されている。
【0046】
まず、第11及び第12のトランジスタ11,12は、ベース同士が接続されると共に、その接続点と正電源端子81との間には、第2の定電圧源62が設けられている。この第2の定電圧源62は、正極側が正電源端子81に、負極側が第11及び第12のトランジスタ11,12のベース側となるように設けられている。
また、第11及び第12のトランジスタ11,12のエミッタは、共に正電源端子81に接続されている。
【0047】
一方、カレントミラー回路151Aは、NPN型のバイポーラトランジスタを用いたカレントミラー用第1及び第2のトランジスタとしての第13及び第14のトランジスタ(図5においては、それぞれ「Q13」、「Q14」と表記)13,14を有して構成されている。
第13のトランジスタ13と第14のトランジスタ14は、ベース同士が接続されると共に、第13のトランジスタ13のコレクタと接続されて、第13のトランジスタ13は、いわゆるダイオード接続されたものとなっている。
【0048】
また、第13のトランジスタ13のエミッタは、差動対用第1のトランジスタ1のコレクタに、第14のトランジスタ14のエミッタは、差動対用第2のトランジスタ2のコレクタに、それぞれ接続されている。
一方、第13のトランジスタ13のコレクタは、第11のトランジスタ11のコレクタに、第14のトランジスタ14のコレクタは、第12のトランジスタ12のコレクタに、それぞれ接続されている。
【0049】
そして、第11及び第12のトランジスタ11,12のベースと第12のトランジスタ12のコレクタとの間に、ハイパスフィルタ110が接続されている。
なお、入力バイアス電流の増加や入力換算雑音電圧の増加を招くことなく、高周波ノイズ耐性の向上と、発振耐性の向上の両立が可能となるのは、先の第1の基本回路構成例(図1参照)と同様である。
【0050】
次に、第3の具体回路構成例について、図6を参照しつつ説明する。
なお、図2、又は、図5に示された構成例と同一の構成要素については、 同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第3の具体回路構成例は、図5に示された第2の基本回路構成例の具体回路構成例であって、さらに、高周波ノイズ対策として、図2に示されたように入力差動対101の入力側にローパスフィルタ71,72を設けた構成例である。
ハイパスフィルタ110は、ハイパス用抵抗器45とハイパス用コンデンサ52により構成される点は、先に述べた通りである。この第3の具体回路構成例においては、第11及び第12のトランジスタ11,12のベース同士の接続点と第12のトランジスタ12のコレクタとの間に、ハイパス用抵抗器45とハイパス用コンデンサ52が、第11及び第12のトランジスタ11,12のベース側から、ハイパス用抵抗器45、ハイパス用コンデンサ52の順で直列接続されている。
【0051】
ここで、ハイパス用コンデンサ52の容量値CX2は、先の式1に基づいて設定される。
なお、式1において、Ccは、バッファ増幅器153の入出力間に設けられた位相補償コンデンサ54の容量値であるとする。
式1が示すように、ハイパス用コンデンサ52の容量値CX2は、位相補償コンデンサ54の容量値(位相補償容量値)Ccと同程度以上とする必要がある。
このように、容量値CX2を、位相補償容量値Ccと同等以上とするのは、位相補償容量値Ccの両端間に発生する信号振幅以上のAC信号を、第11及び第12のトランジスタ11,12のベースに発生させるためである。
容量値CX2の具体例としては、例えば、位相補償容量値Cc=10pFの場合、CX2は10pF以上が必要となる。
【0052】
この第3の具体回路構成例における負荷容量CLの変化に対する位相余裕の変化特性については、第1の具体回路構成例(図2参照)において、図8を参照しつつ説明した特性と同様であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
また、この第3の具体回路構成例における入力周波数変化に対する出力変化特性については、第1の具体回路構成例(図2参照)において、図9を参照しつつ説明した特性と同様であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
したがって、入力バイアス電流の増加や入力換算雑音電圧の増加を招くことなく、高周波ノイズ耐性の向上と、発振耐性の向上の両立が可能となる点は、第1の具体回路構成例と同様である。
【0053】
次に、第4の具体回路構成例について、図7を参照しつつ説明する。
なお、図6に示された構成例と同一の構成要素については、 同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第4の具体回路構成例は、ハイパス用コンデンサ52のみで構成されたハイパスフィルタ(図7においては「HPF2」と表記)110Aが設けられた点が、第3の具体回路構成例(図6参照)と異なるもので、残余の部分は、図6に示された具体回路構成例と同一の構成を有してなるものである。
【0054】
すなわち、ハイパス用コンデンサ52は、第11及び第12のトランジスタ11,12のベース同士の接続点と、第12及び第14のトランジスタ12,14のコレクタ同士の接続点との間に接続されたものとなっている。
この第4の具体回路構成例におけるハイパスフィルタ110Aは、先に述べたように、図6に示された構成におけるハイパス用抵抗器45を削除した構成であるが、このようにハイパス用抵抗器45を削除するには、第11及び第12のトランジスタ11,12のベース部分の入力抵抗が、ハイパス用抵抗器45の抵抗値RX1よりも大きな値とするのが好適である。
【0055】
この第4の具体回路構成例における負荷容量CLの変化に対する位相余裕の変化特性については、第1の具体回路構成例(図2参照)において、図8を参照しつつ説明した特性と同様であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
また、この第4の具体回路構成例における入力周波数変化に対する出力変化特性については、第1の具体回路構成例(図2参照)において、図9を照しつつ説明した特性と同様であるので、ここでの再度の詳細な説明は省略する。
したがって、入力バイアス電流の増加や入力換算雑音電圧の増加を招くことなく、高周波ノイズ耐性の向上と、発振耐性の向上の両立が可能となる点は、第1の具体回路構成例と同様である。
【0056】
上述した第1の基本回路構成例(図1参照)は、PNP型バイポーラトランジスタを用いた入力差動対101及びカレントミラー回路151と、NPN型バイポーラトランジスタを用いたベース接地増幅回路152により構成されているが、それぞれ逆の極性のトランジスタで構成することも可能である。
同様に、第2の基本回路構成例(図5参照)においても、入力差動対101、カレントミラー回路151A及びベース接地増幅回路152Aを構成するバイポーラトランジスタを、それぞれ逆の極性のトランジスタで構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
入力バイアス電流や入力換算雑音電圧の増加を招くことなく、高周波ノイズ耐性の向上と発振耐性の向上が所望される演算増幅器に適用できる。
【符号の説明】
【0058】
45…ハイパス用抵抗器
52…ハイパス用コンデンサ
101…入力差動対
102…出力回路
110,110A…ハイパスフィルタ
151,151A…カレントミラー回路
152,152A…ベース接地増幅回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15