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特開2023-92138ユーザー操作装置、画像読取装置及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092138
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】ユーザー操作装置、画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20230626BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230626BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20230626BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20230626BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
H04N1/00 519
G03G21/00 370
G03G21/16 104
G03G15/00 107
B41J29/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207151
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】長野 竜明
【テーマコード(参考)】
2C061
2H076
2H171
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061HK11
2C061HV01
2C061HV26
2C061HV28
2C061HV33
2H076BA49
2H076BA66
2H171FA21
2H171FA28
2H171HA29
2H171HA30
2H171HA31
2H171HA33
2H171KA27
2H171KA30
2H171QA04
2H171RA02
2H171RA03
2H171WA04
2H171WA16
2H270KA54
2H270LA44
2H270LA48
2H270LA49
2H270LA63
2H270LD03
2H270MC74
2H270QA03
2H270QA13
2H270QA43
2H270ZC03
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB32
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC58
(57)【要約】
【課題】第一被操作部材の移動領域内に第二被操作部材が移動可能に構成されても、これらの2つの被操作部材が互いに接触する事態の発生を抑制する。
【解決手段】ユーザー操作装置500は、第一被操作部材2が第一箇所から第2箇所へ移動するまでの移動領域内に、第二被操作部材52が移動可能に構成され、前記第二被操作部材が前記移動領域内に位置するか否かを検出する検出手段と、前記第一箇所に位置する前記第一被操作部材の前記第2箇所への移動を規制可能な移動規制部材と、前記検出手段の検出結果に基づき、前記第二被操作部材が前記移動領域内に位置する場合には前記第一被操作部材の前記移動を前記移動規制部材に規制させる制御を実行する制御手段600とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対してユーザー操作力により移動される2つの被操作部材を備えるユーザー操作装置であって、
前記2つの被操作部材は、該2つの被操作部材のうちの一方である第一被操作部材が第一箇所から第2箇所へ移動するまでの移動領域内に、該2つの被操作部材のうちの他方である第二被操作部材が移動可能に構成され、
前記第二被操作部材が前記移動領域内に位置するか否かを検出する検出手段と、
前記第一箇所に位置する前記第一被操作部材の前記第2箇所への移動を規制可能な移動規制部材と、
前記検出手段の検出結果に基づき、前記第二被操作部材が前記移動領域内に位置する場合には前記第一被操作部材の前記移動を前記移動規制部材に規制させる制御を実行する制御手段とを有することを特徴とするユーザー操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載のユーザー操作装置において、
前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に基づき、前記第二被操作部材が前記移動領域内に位置しない場合には前記移動規制部材による前記第一被操作部材の前記移動の規制を解除する制御を実行することを特徴とするユーザー操作装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のユーザー操作装置において、
前記第一被操作部材が前記第一箇所に位置するか否かを検出する第二の検出手段と、
前記移動領域の外に位置する前記第二被操作部材の該移動領域内への移動を規制可能な第二の移動規制部材とを有し、
前記制御手段は、前記第二の検出手段の検出結果に基づき、前記第一被操作部材が前記第一箇所に位置しない場合には前記第二被操作部材の前記移動を前記第二の移動規制部材に規制させる制御を実行することを特徴とするユーザー操作装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のユーザー操作装置において、
前記制御手段は、前記第二の検出手段の検出結果に基づき、前記第一被操作部材が前記第一箇所に位置する場合には前記第二の移動規制部材による前記第二被操作部材の前記移動の規制を解除する制御を実行することを特徴とするユーザー操作装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のユーザー操作装置において、
前記2つの被操作部材のうちの一方は、装置本体に対して開閉される開閉部材であり、
前記2つの被操作部材のうちの他方は、ユーザー指示を入力する入力操作部又は情報表示部であることを特徴とするユーザー操作装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のユーザー操作装置において、
前記第一箇所に位置する前記第一被操作部材を前記第2箇所へ移動させるユーザー操作が行われることを検知するユーザー操作検知手段と、
ユーザーに情報を報知する情報報知手段とを有し、
前記制御手段は、前記第二被操作部材が前記移動領域内に位置する場合に、前記ユーザー操作検知手段が前記ユーザー操作を検知したとき、前記第二被操作部材を前記移動領域の外へ移動させることを促す情報を前記情報報知手段に報知させる報知制御を実行することを特徴とするユーザー操作装置。
【請求項7】
請求項6に記載のユーザー操作装置において、
前記ユーザー操作検知手段は、前記第一箇所に位置する前記第一被操作部材を前記第2箇所へ移動させるときの前記ユーザー操作力が加えられる箇所に設けられる検知センサであることを特徴とするユーザー操作装置。
【請求項8】
装置本体に対してユーザー操作力により移動される2つの被操作部材を含むユーザー操作部を備えた画像形成装置であって、
前記ユーザー操作部として、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のユーザー操作装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
装置本体に対してユーザー操作力により移動される2つの被操作部材を含むユーザー操作部を備えた画像読取装置であって、
前記ユーザー操作部として、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のユーザー操作装置を用いることを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザー操作装置、画像読取装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、装置本体に対してユーザー操作力により移動される2つの被操作部材を備えるユーザー操作装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、装置本体に対してユーザー操作力により開閉(移動)される自動原稿搬送装置と、装置本体に対してユーザー操作力により移動可能な操作パネルとを備えた画像形成装置(ユーザー操作装置)を含む画像形成システムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のユーザー操作装置では、装置の小型化等の目的で、2つの被操作部材のうちの一方である第一被操作部材の移動領域内に他方である第二被操作部材が移動可能な構成とする場合、当該2つの被操作部材が互いに接触してしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、装置本体に対してユーザー操作力により移動される2つの被操作部材を備えるユーザー操作装置であって、前記2つの被操作部材は、該2つの被操作部材のうちの一方である第一被操作部材が第一箇所から第2箇所へ移動するまでの移動領域内に、該2つの被操作部材のうちの他方である第二被操作部材が移動可能に構成され、前記第二被操作部材が前記移動領域内に位置するか否かを検出する検出手段と、前記第一箇所に位置する前記第一被操作部材の前記第2箇所への移動を規制可能な移動規制部材と、前記検出手段の検出結果に基づき、前記第二被操作部材が前記移動領域内に位置する場合には前記第一被操作部材の前記移動を前記移動規制部材に規制させる制御を実行する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、2つの被操作部材のうちの一方である第一被操作部材の移動領域内に他方である第二被操作部材が移動可能に構成されても、これらの2つの被操作部材が互いに接触する事態の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る複合機の概要説明図。
図2】同複合機の外観を示す正面図。
図3】同複合機の上面図。
図4】(a)は、同複合機の操作表示部52を、パネル面の法線方向が水平方向を向く位置に回動させたときの説明図。(b)は、同複合機の操作表示部52を、パネル面の法線方向が上方へ向く位置に回動させたときの説明図。
図5】(a)及び(b)は、開閉される自動原稿搬送ユニットと同操作表示部とが接触する様子を示す説明図。
図6】自動原稿搬送ユニットが閉じている状態におけるADF開閉センサの構成を示す説明図。
図7】自動原稿搬送ユニットが開いている状態におけるADF開閉センサの構成を示す説明図。
図8】ロック爪がロック位置に位置する状態におけるロック機構の構成を示す説明図。
図9】ロック爪がロック解除位置に位置する状態におけるロック機構の構成を示す説明図。
図10】自動原稿搬送ユニットが開いている状態におけるロック機構の構成を示す説明図。
図11】(a)~(e)は、パネル位置検出機構の構成及び動作を示す説明図。
図12】(a)及び(b)は可動ストッパの構成及び動作を示す説明図。
図13】実施形態において、自動原稿搬送ユニットが閉じているときの制御装置の制御の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を、ユーザー操作装置である画像形成装置又は画像読取装置としての電子写真方式のカラー複合機(以下、複合機500という。)に適用した一実施形態について説明する。
なお、本発明は、装置本体に対してユーザー操作力により移動される2つの被操作部材を備え、その一方が第一箇所から第2箇所へ移動するまでの移動領域内に他方が移動可能に構成された装置(ユーザー操作装置)であれば、適用可能である。
【0009】
図1は、本実施形態に係る複合機500の概要説明図である。
図2は、本実施形態に係る複合機500の外観を示す正面図である。
【0010】
本実施形態の複合機500は、最下方に給紙装置200を備え、給紙装置200の上方に画像形成部100、画像形成部100の上方にスキャナ300を備え、更にスキャナ300の上方に自動原稿搬送装置である自動原稿搬送ユニット(ADF)2を備えている。この複合機500では、スキャナ300と自動原稿搬送ユニット2とで、画像読取装置としての原稿読取部3を構成している。なお、本実施形態の複合機500は、タンデム型で中間転写方式を採用する電子写真方式のカラー複合機である。
【0011】
画像形成部100には、その略中央に、無端状ベルトからなる中間転写体としての中間転写ベルト110が設けられている。この中間転写ベルト110は、3つの支持ローラ111,112,113に掛け渡されており、第三支持ローラ113を駆動ローラとして図中時計回り方向に回転移動する。また、3つの支持ローラのうち、第一支持ローラ111と第二支持ローラ112との間に張り渡したベルト部分には、各色に対応した4つの作像ユニット121Y,121M,121C,121Kを含むタンデム型作像部120が対向配置されている。本実施形態のタンデム型作像部120では、ベルト移動方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの作像ユニット121Y,121M,121C,121Kが並べて配置されている。
【0012】
タンデム型作像部120の上方には、露光手段としての露光装置130が設けられている。また、露光装置130の上方には、各作像ユニット121Y,121M,121C,121Kの各現像装置91Y,91M,91C,91Kに補給されるトナーを収容したトナーボトル135Y,135M,135C,135Kが配置されている。
【0013】
作像ユニット121Y,121M,121C,121Kは、それぞれ、像担持体としてのドラム状の感光体80Y,80M,80C,80Kを有している。感光体80Y,80M,80C,80Kの周りには、それぞれ、帯電手段としての帯電装置90Y,90M,90C,90K、現像手段としての現像装置91Y,91M,91C,91Kが配置されている。また、感光体80Y,80M,80C,80Kの周りには、それぞれ、クリーニング手段としての感光体クリーニング装置93Y,93M,93C,93K、除電装置なども、配置されている。
【0014】
作像ユニット121Y,121M,121C,121Kと対向する中間転写ベルト110の内周面側には、4つの一次転写ローラ92Y,92M,92C,92Kがそれぞれ中間転写ベルト110に接触するように配設されている。一次転写ローラ92Y,92M,92C,92Kには、電源から一次転写バイアスが印加される。これらの一次転写ローラ92Y,92M,92C,92Kにより、各感光体80Y,80M,80C,80K上に形成される各色トナー像が中間転写ベルト110上に順次転写される。これにより、中間転写ベルト110上には、各色トナー像が互いに重なり合ったカラートナー像が形成される。
【0015】
中間転写ベルト110を挟んでタンデム型作像部120の反対側には、二次転写装置140が設けられている。二次転写装置140は、第一ベルトローラ142と第二ベルトローラ143とに掛け渡された無端状ベルトからなる記録材搬送部材としての二次転写ベルト141を備えている。二次転写ベルト141は、中間転写ベルト110を介して第三支持ローラ(駆動ローラ)113に押し当てられるように設けられている。中間転写ベルト110と二次転写ベルト141との間には、二次転写バイアスが印加され、これにより中間転写ベルト110上のトナー像が二次転写ベルト141上の記録材である用紙Pに転写される。
【0016】
また、二次転写装置140には、トナー像の二次転写後に中間転写ベルト110上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置115が設けられている。
【0017】
また、二次転写装置140の図中左方には、用紙P上に転写されたトナー像を用紙Pへ定着させる定着手段としての定着装置145が設けられている。定着装置145は、定着ローラ147と加熱ローラ148とに架け渡された無端状ベルトである定着ベルト146に、加圧ローラ149を押し当てた構成を有する。
【0018】
また、本実施形態では、二次転写装置140及び定着装置145の用紙搬送方向下流側に、用紙Pの両面に画像を形成するために用紙Pを反転搬送させる用紙反転装置160も設けられている。
【0019】
複合機500を用いてコピーをとるときは、自動原稿搬送ユニット2の原稿台2a上に原稿をセットする。あるいは、被操作部材としての開閉部材である自動原稿搬送ユニット2を上方に開いてスキャナ300のコンタクトガラス302上に原稿をセットし、自動原稿搬送ユニット2を閉じて押さえる。その後、操作パネル5のスタートスイッチを押す。
【0020】
操作パネル5のスタートスイッチを押すと、自動原稿搬送ユニット2に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス302上へと移動させ、スキャナ300を駆動する。あるいは、コンタクトガラス302上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動する。
【0021】
スキャナ300を駆動すると、第一走行体303及び第二走行体304が走行する。そして、第一走行体303で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第二走行体304に向け、第二走行体304のミラーで反射して結像レンズ305を通して読取センサ306に入れ、原稿内容を読み取る。
【0022】
この原稿読み取りに並行して、駆動源である駆動モータで第三支持ローラ(駆動ローラ)113を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト110が図中時計回り方向に移動するとともに、この移動に伴って残り2つの支持ローラ(従動ローラ)である第一支持ローラ111と第二支持ローラ112が連れ回り回転する。
【0023】
また、これと同時に、個々の作像ユニット121Y,121M,121C,121Kにおいて、感光体80Y,80M,80C,80Kをそれぞれ回転させている。回転させた感光体80Y,80M,80C,80K上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別の画像情報を用いてそれぞれ露光現像し、各色のトナー像を形成する。そして、感光体80Y,80M,80C,80K上のトナー像を中間転写ベルト110上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト110上に合成カラートナー像を形成する。
【0024】
このような画像形成に並行して、給紙装置200の給紙ローラ211の1つを選択回転させ、ペーパーバンク201に多段に備える第一給紙カセット8、第二給紙カセット9、第三給紙カセット10及び第四給紙カセット11のうちの1つから用紙Pを繰り出す。繰り出した用紙Pは、分離ローラ212で1枚ずつ分離されて給紙路213に送り出される。その後、用紙Pは、搬送ローラ215によって搬送され、画像形成部100内の給紙路に導かれて、レジストローラ150に突き当てて止められる。
【0025】
また、手差し給紙を行う場合、手差し給紙ローラ151を回転して、手差しトレイ上の用紙Pを繰り出し、手差し分離ローラ152で1枚ずつ分離して手差し給紙路153に入れ、同じくレジストローラ150に突き当てて止める。
【0026】
その後、中間転写ベルト110上の合成カラートナー像にタイミングを合わせてレジストローラ150を回転し、中間転写ベルト110と二次転写装置140との間に用紙Pを送り込む。そして、二次転写装置140で転写して用紙P上にカラートナー像を転写する。
【0027】
トナー像転写後の用紙Pは、二次転写ベルト141で搬送されて定着装置145へと送り込まれ、定着装置145で定着ベルト146と加圧ローラ149とによって熱と圧力とが加えられてトナー像が定着される。その後、トナー像が定着された用紙Pを、切換爪155で切り替えて排出ローラ156で機外に排出する。
【0028】
また、用紙Pの両面に画像形成を行う場合には、切換爪155で切り替えて用紙反転装置160に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面に画像を形成し、その後に排出ローラ156で排紙トレイ等上に排出する。
【0029】
トナー像転写後の中間転写ベルト110は、中間転写ベルトクリーニング装置115で、トナー像転写後に中間転写ベルト110上に残留する残留トナーを除去し、タンデム型作像部120による再度の画像形成に備える。
【0030】
また、本実施形態においては、図1図2に示すように、装置本体400の側方上部に、操作パネル5が設けられている。操作パネル5は、装置本体400の図中右側の側面に固定されているパネル支持部51の上部に、操作表示部52が取り付けられた構成となっている。操作パネル5の操作表示部52は、タッチパネルであり、ユーザー指示を入力する入力操作部と、情報を表示する情報表示部との両機能を有している。なお、操作パネル5は、情報表示部の機能を有しないキーボード等の入力操作部であってもよいし、入力操作部の機能を有しないディスプレイ等の情報表示部であってもよい。
【0031】
本実施形態の操作パネル5は、原稿読取部3に対するユーザーの取り扱いを考慮して、図3に示すように、自動原稿搬送ユニット2の上方エリア(自動原稿搬送ユニット2を開閉するときの移動領域)から外れた位置に配置されている。詳しくは、自動原稿搬送ユニット2のユーザーによる開閉操作や、原稿読取部3のコンタクトガラス302への原稿セットの邪魔になりにくいように、操作パネル5が装置本体の側方上部に配置されている。
【0032】
ここで、本実施形態の操作パネル5は、操作表示部52に対するユーザー指示を入力しやすさ、操作表示部52に表示される情報のユーザーの見やすさなどのユーザー利便性を考慮し、パネル支持部51に対して操作表示部52が移動可能に構成されている。
【0033】
詳しくは、操作表示部52は、図3に示すように、パネル支持部51の上部に設けられるヒンジ部53の鉛直回動軸Oを中心に回動可能に構成されている。これにより、ユーザーは、操作表示部52を把持して鉛直回動軸Oを中心に回動させる操作力を加えると、操作表示部52のパネル面が向く方向が鉛直回動軸Oを中心に変更されるように、操作表示部52を図中矢印Aのように回動(移動)させることができる。
【0034】
更に、操作表示部52は、パネル支持部51の上部に設けられるヒンジ部53の水平回動軸を中心に、図4(a)及び(b)に示すように、回動可能に構成されている。これにより、ユーザーは、操作表示部52を把持して水平回動軸を中心に回動させる操作力を加えることにより、操作表示部52のパネル面が向く方向が水平回動軸を中心に変更されるように、操作表示部52を図中矢印Bのように回動(移動)させることができる。その結果、操作表示部52は、例えば、図4(a)に示すようにパネル面の法線方向が水平方向を向く位置(姿勢)と、図4(b)に示すようにパネル面の法線方向が上方へ向く位置(姿勢)との間で、操作表示部52を回動(移動)させることができる。
【0035】
ところが、このように、ユーザー利便性を考慮して操作表示部52が装置本体400に対して図3図4に示すように移動可能な構成とすると、自動原稿搬送ユニット2の開閉時に自動原稿搬送ユニット2が操作表示部52と接触してしまうという課題が発生する。
【0036】
詳しくは、図4(a)に示すようにパネル面の法線方向が水平を向く位置(姿勢)に操作表示部52がある場合、鉛直回動軸Oの回りで操作表示部52を回動(移動)させても、開閉される自動原稿搬送ユニット2が操作表示部52と接触することはない。これは、操作表示部52が図4(a)に示す位置(姿勢)である場合、操作表示部52を鉛直回動軸Oの回りで回動(移動)させても、自動原稿搬送ユニット2が開閉時に移動する移動領域内に操作表示部52が進入し得ない位置関係だからである。
【0037】
一方、図4(b)に示すようにパネル面の法線方向が上方を向く位置(姿勢)に操作表示部52がある場合、鉛直回動軸Oの回りで操作表示部52を回動(移動)させると、開閉される自動原稿搬送ユニット2が操作表示部52と接触し得る。これは、次の理由による。すなわち、操作表示部52を図4(b)に示す位置(姿勢)に移動させると、鉛直回動軸Oの回りで回動(移動)する操作表示部52の最外周軌道が広がる。このため、自動原稿搬送ユニット2が開閉時に移動する移動領域内に操作表示部52が進入し得る位置関係となってしまい、図5(a)や図5(b)に示すように、開閉される自動原稿搬送ユニット2と操作表示部52とが接触してしまう事態が生じ得る。
【0038】
このような自動原稿搬送ユニット2と操作表示部52との接触を回避する方法としては、例えば、操作表示部52が自動原稿搬送ユニット2の移動領域から遠ざかるように、操作パネル5の鉛直回動軸Oの水平方向位置を変更する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、操作表示部52が装置本体400の側方に延出して配置されてしまい、複合機500(あるいは原稿読取部3)が水平方向に大型化してしまう。
【0039】
また、他の方法としては、例えば、操作パネル5の鉛直回動軸Oを上方へ延ばして、操作表示部52が自動原稿搬送ユニット2の移動領域よりも上方へ遠ざかるように配置変更する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、操作表示部52が装置本体400の上方高くに延出して配置されてしまい、操作表示部52に対するユーザー操作性が悪化し、また、複合機500(あるいは原稿読取部3)が鉛直方向に大型化してしまう。
【0040】
そこで、本実施形態においては、開閉される自動原稿搬送ユニット2の移動領域内に操作表示部52が移動可能に構成されていても、自動原稿搬送ユニット2と操作表示部52とが互いに接触する事態を回避する構成を採用するものである。具体的には、操作表示部52が自動原稿搬送ユニット2の移動領域内に位置する場合には、閉じられている自動原稿搬送ユニット2の開き動作(移動)を規制して、自動原稿搬送ユニット2と操作表示部52との接触を回避する構成を採用している。
【0041】
図6及び図7は、第一被操作部材である自動原稿搬送ユニット2が第一箇所である閉じ位置に位置するか否かを検出する第二の検出手段としてのADF開閉センサ21の構成を示す説明図である。
本実施形態において、自動原稿搬送ユニット2は、装置背面側に設けられるヒンジ部22により開閉可能に支持されており、このヒンジ部22にADF開閉センサ21が設けられている。
【0042】
ADF開閉センサ21は、自動原稿搬送ユニット2に設けられるフィラー21aと、装置本体400側(スキャナ300側)に設けられるセンサ部21bとから構成されている。センサ部21bは、例えば透過型の光センサで構成され、センサ部21bの出力信号は制御手段としての制御装置600へ送られる。
【0043】
自動原稿搬送ユニット2が閉じられている場合、図6に示すように、自動原稿搬送ユニット2上のフィラー21aがセンサ部21bの光路を遮る位置をとる。これにより、センサ部21bの発光部からの光が受光部に受光されず、センサ部21bの出力信号(L信号=ON信号)が制御装置600に受信されることで、制御装置600は、自動原稿搬送ユニット2が閉じ位置に位置することを検出する。
【0044】
一方、ユーザーUが自動原稿搬送ユニット2の取手部23を持ち上げるようにして自動原稿搬送ユニット2を開くと、図7に示すように、自動原稿搬送ユニット2上のフィラー21aがセンサ部21bの光路から外れる。これにより、センサ部21bの発光部からの光が受光部に受光されるようになり、センサ部21bの出力信号(H信号=OFF信号)が制御装置600に受信される。その結果、制御装置600は、自動原稿搬送ユニット2が閉じ位置に位置しない(自動原稿搬送ユニット2が開いている)ことを検出する。
【0045】
また、本実施形態において、自動原稿搬送ユニット2の取手部23には、ユーザーUが取手部23に触れているか否かを検出するユーザー操作検知手段としての取手接触センサ24が設けられている。取手接触センサ24の検出信号は制御装置600に送られる。制御装置600は、この検出信号に基づき、ユーザーUが自動原稿搬送ユニット2を開けようとしていることを検出することができる。
【0046】
図8及び図9は、第一箇所である閉じ位置に位置する自動原稿搬送ユニット2の開き動作(第2箇所である開き位置への移動)を規制可能な移動規制部材としてのロック機構25の構成を示す説明図である。
本実施形態のロック機構25は、装置本体400側(スキャナ300側)に設けられるロック爪25aと、ロック爪25aをロック位置とロック解除位置との間で回動させる駆動部25bと、自動原稿搬送ユニット2に設けられるロック板25cとから構成される。駆動部25bは、制御手段としての制御装置600により制御される。
【0047】
制御装置600が駆動部25bを制御してロック爪25aが図8に示すようなロック位置にあるとき、閉じられている自動原稿搬送ユニット2のロック板25cにロック爪25aの先端が掛かる。これにより、閉じ位置にある自動原稿搬送ユニット2を開けようとしても、ロック板25cがロック爪25aの先端に引っ掛かり、自動原稿搬送ユニット2の開き動作が規制される。
【0048】
一方、制御装置600が駆動部25bを制御してロック爪25aが図9に示すようなロック解除位置にあるとき、閉じられている自動原稿搬送ユニット2のロック板25cからロック爪25aの先端が外れ、自動原稿搬送ユニット2の開き動作の規制が解除される。これにより、自動原稿搬送ユニット2の取手部23をユーザーUが持ち上げることで、図10に示すように、ヒンジ部22を中心に自動原稿搬送ユニット2が上方へ回動され、自動原稿搬送ユニット2を開くことができる。
【0049】
図11(a)~(e)は、操作表示部52が自動原稿搬送ユニット2の移動領域内に位置するか否かを検出する検出手段としてのパネル位置検出機構54の構成及び動作を示す説明図である。
なお、図11(a)~(e)の操作表示部52の位置を示す図は、鉛直回動軸Oの回りにおける操作表示部52の回動位置を示す上面図である。図11(a)~(e)のパネル支持部51の図は、操作表示部52がそれぞれの回動位置に位置するときのパネル位置検出機構54の状態を示す説明図である。
【0050】
本実施形態において、操作表示部52の回転軸部55はパネル支持部51の内部で回動可能に保持されている。回転軸部55には、径方向外側に突出する凸部55aが設けられている。ユーザーUが操作表示部52を鉛直回動軸O回りで第一方向(図中反時計回り方向)へ回転させると、回転軸部55の凸部55aがパネル支持部51の固定ストッパ51aに当接するまで、操作表示部52は回転することができる。図11(a)に示すように、凸部55aが固定ストッパ51aが当接すると、操作表示部52をそれ以上は第一方向へ回転させることができない。
【0051】
また、ユーザーUが操作表示部52を鉛直回動軸O回りで第二方向(図中時計回り方向)へ回転させると、回転軸部55の凸部55aがパネル支持部51の固定ストッパ51bに当接するまで、操作表示部52は回転することができる。図11(e)に示すように、凸部55aが固定ストッパ51bが当接すると、操作表示部52をそれ以上は第二方向へ回転させることができない。
【0052】
パネル位置検出機構54は、鉛直回動軸Oの回りを操作表示部52と一体的に回転するフィラー部54aと、装置本体400側に設けられるセンサ部54bとから構成されている。フィラー部54aは、操作表示部52の回転軸部55に取り付けられており、操作表示部52と一体的に鉛直回動軸Oの回りを回転する。センサ部54bは、例えば透過型の光センサで構成され、センサ部21bの出力信号は制御手段としての制御装置600へ送られる。
【0053】
操作表示部52が図11(a)に示す回動位置と図11(c)に示す回動位置との間に位置するとき、操作表示部52は自動原稿搬送ユニット2の移動領域の外側に位置する。このとき、操作表示部52の回転軸部55上のフィラー部54aは、図11(a)~(c)に示すように、センサ部54bの光路から外れた位置をとる。これにより、センサ部54bの発光部からの光が受光部に受光され、センサ部21bの出力信号(H信号=OFF信号)が制御装置600に受信される。その結果、制御装置600は、操作表示部52が自動原稿搬送ユニット2の移動領域の外に位置することを検出する。
【0054】
一方、操作表示部52が図11(d)に示す回動位置と図11(e)に示す回動位置との間に位置するとき、操作表示部52は自動原稿搬送ユニット2の移動領域内に位置する。このとき、操作表示部52の回転軸部55上のフィラー部54aは、図11(d)及び(e)に示すように、センサ部54bの光路を遮る位置をとる。これにより、センサ部54bの発光部からの光が受光部に受光されず、センサ部21bの出力信号(L信号=ON信号)が制御装置600に受信される。その結果、制御装置600は、操作表示部52が自動原稿搬送ユニット2の移動領域内に位置することを検出する。
【0055】
図12(a)及び(b)は、自動原稿搬送ユニット2の移動領域の外に位置する操作表示部52の当該移動領域内への移動を規制可能な第二の移動規制部材としての可動ストッパ56の構成及び動作を示す説明図である。
なお、図12(a)及び(b)の操作表示部52の位置を示す図は、鉛直回動軸Oの回りにおける操作表示部52の回動位置を示す上面図である。図12(a)及び(b)のパネル支持部51の図は、可動ストッパ56の進退状態を示す説明図である。
【0056】
本実施形態において、可動ストッパ56は、パネル支持部51側に設けられるストッパ駆動部56aによって、操作表示部52の回動範囲内で回転軸部55が回動するときの凸部55aの移動軌道に対して進退する。ストッパ駆動部56aは、ウォームギアと駆動モータから構成され、制御手段としての制御装置600により制御される。
【0057】
制御装置600は、所定の制御条件に従い、図12(b)に示すように、ストッパ駆動部56aを制御して可動ストッパ56を進出させることにより、可動ストッパ56が凸部55aの移動軌道の途中を遮るように位置する。これにより、回転軸部55の凸部55aが可動ストッパ56に当接することで、操作表示部52をそれ以上は第二方向へ回転させることができなくなる。
【0058】
一方、制御装置600は、所定の制御条件に従い、図12(a)に示すように、可動ストッパ56を凸部55aの移動軌道から退避させることにより、可動ストッパ56が凸部55aの移動軌道の途中を遮らないようになる。この場合、操作表示部52は当該移動軌道の途中を超えて第二方向へ回転することができる。
【0059】
したがって、可動ストッパ56が凸部55aの移動軌道の途中に進出している状態では、操作表示部52の回動範囲は、図11(a)に示す回動位置(回転角度=+45°)と図11(c)に示す回動位置(回転角度=-45°)との間に規制される。一方、可動ストッパ56が凸部55aの移動軌道から退避している状態では、操作表示部52の回動範囲は、可動ストッパ56により規制されない。そのため、操作表示部52の回動範囲は、図11(a)に示す回動位置(回転角度=+45°)と図11(e)に示す回動位置(回転角度=-135°)との間となる。
【0060】
図13は、本実施形態において、自動原稿搬送ユニット2が閉じているときの制御装置600の制御の一例を示すフローチャートである。
自動原稿搬送ユニット2が閉じているとき、制御装置600は、ADF開閉センサ21からON信号を受信している(S1)。なお、このとき、ロック爪25aはロック位置にあり、自動原稿搬送ユニット2の開き動作が規制された状態になっている。また、可動ストッパ56は退避位置にあり、操作表示部52の回動位置は可動ストッパ56によって規制されていない状態である。
【0061】
この状態において、閉じている自動原稿搬送ユニット2をユーザーが開けるために取手部23に手を掛けると、制御装置600は、取手接触センサ24からON信号を受信する(S2のYes)。これにより、制御装置600は、パネル位置検出機構54の出力信号がON信号であるか否かを判断する(S3)。パネル位置検出機構54の出力信号がON信号である場合(S3のYes)、操作表示部52が図11(d)に示す回動位置と図11(e)に示す回動位置との間に位置し、操作表示部52は自動原稿搬送ユニット2の移動領域内に位置する。そのため、このままユーザーが自動原稿搬送ユニット2を開いてしまうと、自動原稿搬送ユニット2が操作表示部52に接触してしまう。
【0062】
そのため、本実施形態では、パネル位置検出機構54の出力信号がON信号である場合(S3のYes)、制御装置600は、情報報知手段としての操作パネル5に報知アラートを出力させる(S4)。この報知アラートは、操作表示部52を自動原稿搬送ユニット2の移動領域の外へ移動させることをユーザーに促すことのできる情報であれば、特に制限はない。この情報を報知する情報報知手段は、操作パネル5のような画像表示部に限らず、音によって報知を行うスピーカーやブザー等の音出力手段であってもよい。
【0063】
その後、この報知アラートを受けたユーザーが自動原稿搬送ユニット2の移動領域の外まで操作表示部52を回動させることにより、パネル位置検出機構54の出力信号がOFF信号に変わる(S3のNo)。これにより、操作表示部52は自動原稿搬送ユニット2の移動領域の外まで移動したので、ユーザーが自動原稿搬送ユニット2を開いても、自動原稿搬送ユニット2が操作表示部52に接触することはない。
【0064】
そこで、制御装置600は、パネル位置検出機構54の出力信号がOFF信号に変わったら(S3のNo)、駆動部25bを制御してロック爪25aをロック解除位置に移動させる(S5)。これにより、自動原稿搬送ユニット2のロック板25cからロック爪25aの先端が外れ、自動原稿搬送ユニット2の開き動作の規制が解除される。よって、自動原稿搬送ユニット2の取手部23をユーザーUが持ち上げることで、自動原稿搬送ユニット2を開くことができる。
【0065】
また、自動原稿搬送ユニット2が開いた状態になっているときに、操作表示部52が自動原稿搬送ユニット2の移動領域内へ回動されてしまうと、自動原稿搬送ユニット2を閉じるときに自動原稿搬送ユニット2が操作表示部52に接触してしまう。そのため、本実施形態では、制御装置600は、パネル位置検出機構54の出力信号がOFF信号に変わったら(S3のNo)、ストッパ駆動部56aを制御して可動ストッパ56を進出させる(S6)。これにより、自動原稿搬送ユニット2の移動領域外に位置する操作表示部52が当該移動領域内へ回動することが可動ストッパ56によって規制される。したがって、開いている自動原稿搬送ユニット2を閉じるときに、自動原稿搬送ユニット2が操作表示部52に接触することを回避することができる。
【0066】
閉じている自動原稿搬送ユニット2をユーザーが実際に開くと、ADF開閉センサ21からの出力信号がON信号からOFF信号へ変化する(S7のYes)。これにより、制御装置600は、自動原稿搬送ユニット2が開いていることを検出することができる。その後、ユーザーが自動原稿搬送ユニット2を閉じると、制御装置600は、ADF開閉センサ21からON信号を受信する(S8のYes)。
【0067】
制御装置600は、ADF開閉センサ21からON信号を受信したら、駆動部25bを制御してロック爪25aをロック位置に移動させる(S9)。その結果、自動原稿搬送ユニット2のロック板25cにロック爪25aの先端が掛かり、自動原稿搬送ユニット2の開き動作が規制される。また、制御装置600は、ADF開閉センサ21からON信号を受信したら、ストッパ駆動部56aを制御して可動ストッパ56を退避させる(S10)。
【0068】
なお、複合機500の電源がOFFになっても、ロック爪25aをロック位置に保持させてもよい。この場合、複合機500の電源OFF時に可動ストッパが退避位置に保持されても、自動原稿搬送ユニット2が操作表示部52に接触する事態を回避することができる。複合機500の電源OFF時に可動ストッパを退避位置に保持しておけば、複合機500の運搬時や設置時などに操作表示部52の回動位置が可動ストッパによって制限されないため、運搬時や設置時における複合機500の取り扱い性が向上する。
【0069】
なお、本実施形態では、4つの感光体上の画像を中間転写ベルトを介して用紙に転写するタンデム型中間転写タイプの画像形成装置について説明したが、本発明を適用可能な画像形成装置は、これに限られない。例えば、他のタイプの電子写真方式の画像形成装置であってもよいし、電子写真方式以外の例えばインクジェット方式の画像形成装置であってもよく、本発明は、あらゆる画像形成装置(例えば、画像読取装置を備えていないプリンタ等の画像形成装置なども含む。)において、適用可能である。
【0070】
そのほか、本発明は、装置本体に対してユーザー操作力により移動される2つの被操作部材を備え、その一方が第一箇所から第2箇所へ移動するまでの移動領域内に他方が移動可能に構成された装置(ユーザー操作装置)であれば、適用可能である。例えば、本実施形態の複合機500における給紙装置200や画像形成部100を省いた、スキャナ300及び自動原稿搬送ユニット2からなる画像読取装置などにも、適用可能である。また、自動原稿搬送ユニット2の代わりに原稿抑え部材としての原稿圧板を備えたスキャナ300からなる画像読取装置にも、適用可能である。また、本発明は、上述したユーザー操作装置であれば、画像形成装置や画像読取装置以外の、他の機能、用途をもつ装置に対しても適用可能である。
【0071】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する
[第1態様]
第1態様は、装置本体400に対してユーザー操作力により移動される2つの被操作部材(例えば自動原稿搬送ユニット2と操作表示部52)を備えるユーザー操作装置(例えば複合機500)であって、前記2つの被操作部材は、該2つの被操作部材のうちの一方である第一被操作部材(例えば自動原稿搬送ユニット2)が第一箇所(例えば閉じ位置)から第2箇所(例えば開き位置)へ移動するまでの移動領域内に、該2つの被操作部材のうちの他方である第二被操作部材(例えば操作表示部52)が移動可能に構成され、前記第二被操作部材が前記移動領域内に位置するか否かを検出する検出手段(例えばパネル位置検出機構54)と、前記第一箇所に位置する前記第一被操作部材の前記第2箇所への移動を規制可能な移動規制部材(例えばロック機構25)と、前記検出手段の検出結果に基づき、前記第二被操作部材が前記移動領域内に位置する場合には前記第一被操作部材の前記移動を前記移動規制部材に規制させる制御を実行する制御手段(例えば制御装置600)とを有することを特徴とするものである。
本態様では、第一被操作部材が第一箇所から第2箇所へ移動するまでの移動領域内に第二被操作部材が位置するか否かが検出手段により検出される。そして、この検出手段の検出結果を用い、第二被操作部材が前記移動領域内に位置する場合には、第一被操作部材の第一箇所から第2箇所への移動が移動規制部材によって規制される。これにより、第二被操作部材が前記移動領域内に位置する場合、第一箇所に位置する第一被操作部材が当該移動領域へ移動することはない。よって、2つの被操作部材のうちの一方である第一被操作部材の移動領域内に他方である第二被操作部材が移動可能に構成されても、これらの2つの被操作部材が互いに接触する事態の発生を抑制することができる。
【0072】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に基づき、前記第二被操作部材が前記移動領域内に位置しない場合には前記移動規制部材による前記第一被操作部材の前記移動の規制を解除する制御を実行することを特徴とするものである。
第二被操作部材が移動領域内に位置しない場合に2つの被操作部材が互いに接触する事態が発生しない場合、移動規制部材による第一被操作部材の前記移動の規制を解除して、第一被操作部材を第一箇所から第2箇所へ移動できるようにしても、2つの被操作部材が互いに接触する事態が発生しない。よって、2つの被操作部材が互いに接触する事態を発生させずに、第一被操作部材の移動範囲を広げることができ、ユーザーの利便性が向上する。
【0073】
[第3態様]
第3態様は、第1又は第2態様において、前記第一被操作部材が前記第一箇所に位置するか否かを検出する第二の検出手段(例えばADF開閉センサ21)と、前記移動領域の外に位置する前記第二被操作部材の該移動領域内への移動を規制可能な第二の移動規制部材(例えば可動ストッパ56)とを有し、前記制御手段は、前記第二の検出手段の検出結果に基づき、前記第一被操作部材が前記第一箇所に位置しない場合には前記第二被操作部材の前記移動を前記第二の移動規制部材に規制させる第二の制御を実行することを特徴とするものである。
本態様によれば、第一被操作部材が第一箇所に位置しない場合、第一被操作部材が第一箇所から第2箇所へ移動するまでの移動領域内に第二被操作部材を移動させることを第二の移動規制部材によって規制することができる。その結果、第一被操作部材を第一箇所に戻すときに、2つの被操作部材が互いに接触する事態の発生を抑制することができる。
【0074】
[第4態様]
第4態様は、第1乃至第3態様のいずれかにおいて、前記制御手段は、前記第二の検出手段の検出結果に基づき、前記第一被操作部材が前記第一箇所に位置する場合には前記第二の移動規制部材による前記第二被操作部材の前記移動の規制を解除する制御を実行することを特徴とするものである。
第一被操作部材が第一箇所に位置する場合に2つの被操作部材が互いに接触する事態が発生しない場合、第二の移動規制部材による第二被操作部材の前記移動の規制を解除して、第二被操作部材を第一被操作部材の前記移動領域内へ移動できるようにしても、2つの被操作部材が互いに接触する事態が発生しない。よって、2つの被操作部材が互いに接触する事態を発生させずに、第二被操作部材の移動範囲を広げることができ、ユーザーの利便性が向上する。
【0075】
[第5態様]
第5態様は、第1乃至第4態様のいずれかにおいて、前記2つの被操作部材のうちの一方は、装置本体400に対して開閉される開閉部材(例えば自動原稿搬送ユニット2)であり、前記2つの被操作部材のうちの他方は、ユーザー指示を入力する入力操作部(例えば操作表示部52)又は情報表示部(例えば操作表示部52)であることを特徴とするものである。
これによれば、開閉部材と入力操作部又は情報表示部とが互いに接触する事態の発生を抑制することができる。
【0076】
[第6態様]
第6態様は、第1乃至第5態様のいずれかにおいて、前記第一箇所に位置する前記第一被操作部材を前記第2箇所へ移動させるユーザー操作が行われることを検知するユーザー操作検知手段(例えば取手接触センサ24)と、ユーザーに情報を報知する情報報知手段(例えば操作表示部52)とを有し、前記制御手段は、前記第二被操作部材が前記移動領域内に位置する場合に、前記ユーザー操作検知手段が前記ユーザー操作を検知したとき、前記第二被操作部材を前記移動領域の外へ移動させることを促す情報を前記情報報知手段に報知させる報知制御(例えば報知アラートの出力)を実行することを特徴とするものである。
これによれば、第一箇所に位置する第一被操作部材をユーザーが第2箇所へ移動させようとするとき、第二被操作部材が前記移動領域内に位置する場合でも、ユーザーによって第二被操作部材を前記移動領域の外へ移動させることが可能となる。これにより、2つの被操作部材が互いに接触する事態の発生が抑制されて、第一箇所に位置する第一被操作部材を第2箇所へ移動させることができる。
【0077】
[第7態様]
第7態様は、第6態様において、前記ユーザー操作検知手段は、前記第一箇所に位置する前記第一被操作部材を前記第2箇所へ移動させるときの前記ユーザー操作力が加えられる箇所(例えば取手部23)に設けられる検知センサ(例えば取手接触センサ24)であることを特徴とするものである。
これによれば、第一箇所に位置する第一被操作部材を第2箇所へ移動させるユーザー操作が行われることを、簡易に事前検知することができる。
【0078】
[第8態様]
第8態様は、装置本体400に対してユーザー操作力により移動される2つの被操作部材(例えば自動原稿搬送ユニット2と操作表示部52)を含むユーザー操作部を備えた画像形成装置(例えば複合機500)であって、前記ユーザー操作部として、第1乃至第7のいずれかのユーザー操作装置を用いることを特徴とするものである。
本態様によれば、2つの被操作部材のうちの一方である第一被操作部材の移動領域内に他方である第二被操作部材が移動可能に構成されても、これらの2つの被操作部材が互いに接触する事態の発生が抑制された画像形成装置を提供することができる。
【0079】
[第9態様]
第9態様は、装置本体400に対してユーザー操作力により移動される2つの被操作部材(例えば自動原稿搬送ユニット2と操作表示部52)を含むユーザー操作部を備えた画像読取装置(例えば原稿読取部3)であって、前記ユーザー操作部として、第1乃至第7のいずれかのユーザー操作装置を用いることを特徴とするものである。
本態様によれば、2つの被操作部材のうちの一方である第一被操作部材の移動領域内に他方である第二被操作部材が移動可能に構成されても、これらの2つの被操作部材が互いに接触する事態の発生が抑制された画像読取装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0080】
2 :自動原稿搬送ユニット
3 :原稿読取部
5 :操作パネル
21 :ADF開閉センサ
21a :フィラー
21b :センサ部
22 :ヒンジ部
23 :取手部
24 :取手接触センサ
25 :ロック機構
25a :ロック爪
25b :駆動部
25c :ロック板
51 :パネル支持部
51a :固定ストッパ
51b :固定ストッパ
52 :操作表示部
53 :ヒンジ部
54 :パネル位置検出機構
54a :フィラー部
54b :センサ部
55 :回転軸部
55a :凸部
56 :可動ストッパ
56a :ストッパ駆動部
80 :感光体
90 :帯電装置
91 :現像装置
92 :一次転写ローラ
93 :感光体クリーニング装置
100 :画像形成部
110 :中間転写ベルト
115 :中間転写ベルトクリーニング装置
120 :タンデム型作像部
121 :作像ユニット
130 :露光装置
135 :トナーボトル
140 :二次転写装置
141 :二次転写ベルト
145 :定着装置
150 :レジストローラ
200 :給紙装置
300 :スキャナ
302 :コンタクトガラス
400 :装置本体
500 :複合機
600 :制御装置
P :用紙
U :ユーザー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】特開2015-199578号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13