(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092380
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】液体口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/365 20060101AFI20230626BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20230626BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20230626BHJP
A61K 31/30 20060101ALI20230626BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230626BHJP
A61K 31/4425 20060101ALI20230626BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230626BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230626BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230626BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230626BHJP
A61K 47/08 20060101ALI20230626BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20230626BHJP
A61K 8/362 20060101ALI20230626BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20230626BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
A61K8/365
A61K8/02
A61P1/02
A61K31/30
A61P43/00 121
A61K31/4425
A61K9/08
A61K47/12
A61K47/44
A61K47/26
A61K47/08
A61Q11/00
A61K8/362
A61K8/49
A61K8/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207592
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】倉光 祥平
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB22
4C076CC16
4C076DD07
4C076DD07E
4C076DD38
4C076DD42
4C076DD43
4C076EE23
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4C076FF11
4C076FF36
4C076FF63
4C083AB032
4C083AB282
4C083AB312
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
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4C083AC182
4C083AC291
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC431
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4C083AC442
4C083AC482
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC862
4C083AD532
4C083BB04
4C083CC41
4C083DD01
4C083DD08
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4C086ZA67
4C086ZC75
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4C206MA77
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4C206ZA67
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、トリカルボン酸のアルカリ金属塩と、グルコン酸銅と、塩化セチルピリジニウムとを含み、白濁が抑制されている液体口腔用組成物を提供することである。
【解決手段】(A)トリカルボン酸のアルカリ金属塩、(B)グルコン酸銅、(C)塩化セチルピリジニウム、並びに(D)非イオン性界面活性剤を含有する、液体口腔用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)トリカルボン酸のアルカリ金属塩、(B)グルコン酸銅、(C)塩化セチルピリジニウム、並びに(D)非イオン性界面活性剤を含有する、液体口腔用組成物。
【請求項2】
前記(D)成分が、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の液体口腔用組成物。
【請求項3】
前記(A)成分が、クエン酸のアルカリ金属塩である、請求項1又は2に記載の液体口腔用組成物。
【請求項4】
洗口液である、請求項1~3のいずれかに記載の液体口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリカルボン酸のアルカリ金属塩と、グルコン酸銅と、塩化セチルピリジニウムとを含み、白濁が抑制されている液体口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
クエン酸や酒石酸等のトリカルボン酸のアルカリ金属塩には、pH調整作用、キレート作用、収斂作用等が知られており、口腔用組成物に広く使用されている。従来、トリカルボン酸のアルカリ金属塩を含む口腔用組成物の処方が種々提案されている。例えば、特許文献1には、クエン酸及びクエン酸アルカリ金属塩を、両者を併せて15mmol/L以上の濃度で含み、且つpHが6.0~8.0である液状口腔用組成物が、中性領域でプラーク形成抑制作用を奏し得ることが記載されている。
【0003】
また、グルコン酸銅は、消臭作用があることは知られており、口臭防止の目的で口腔用組成物に使用されている。従来、グルコン酸銅を含む口腔用組成物の処方について、様々な検討が行われている。例えば、特許文献2には、グルコン酸銅と、アラントインと、HLB値が6~20の非イオン性界面活性剤とを所定量含む口腔用組成物は、歯周病及び口臭抑制・改善効果に優れ、使用感が改善されていることが記載されている。
【0004】
また、塩化セチルピリジニウムには、口腔内細菌に対する殺菌作用があり、う蝕や歯周病の予防等の目的で口腔用組成物に使用されている。従来、塩化セチルピリジニウムを含む口腔用組成物の処方についても、様々な検討が行われている。例えば、特許文献3には、塩化セチルピリジニウム、炭酸カルシウム、及びβ-シクロデキストリンを含有する口腔用組成物が、効率的にLPSを不活化し得ることが記載されている。
【0005】
そこで、液体口腔用組成物に、トリカルボン酸のアルカリ金属塩と、グルコン酸銅と、塩化セチルピリジニウムとを配合することによって、優れた機能性を備えさせ得ることが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-153841号公報
【特許文献2】特開2010-189358号公報
【特許文献3】特開2021-107364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、トリカルボン酸のアルカリ金属塩と、グルコン酸銅と、塩化セチルピリジニウムとを含む液体口腔用組成物を開発すべく検討を進めたところ、これらの3種の成分を組み合わせて配合すると、白濁が生じることを知得した。練歯磨剤等の半固形状の液体口腔用組成物はそもそも不透明であるため、白濁が生じても外観上の問題にはならないが、液体口腔用組成物では白濁すると、外観の低下が生じる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、トリカルボン酸のアルカリ金属塩と、グルコン酸銅と、塩化セチルピリジニウムとを含み、白濁が抑制されている液体口腔用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、液体口腔用組成物において、トリカルボン酸のアルカリ金属塩と、グルコン酸銅と、塩化セチルピリジニウムと共に、非イオン性界面活性剤を含有させることにより、白濁を抑制し、透明で良好な外観を備えさせ得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0010】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)トリカルボン酸のアルカリ金属塩、(B)グルコン酸銅、(C)塩化セチルピリジニウム、並びに(D)非イオン性界面活性剤を含有する、液体口腔用組成物。
項2. 前記(D)成分が、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種である、項1に記載の液体口腔用組成物。
項3. 前記(A)成分が、クエン酸のアルカリ金属塩である、項1又は2に記載の液体口腔用組成物。
項4. 洗口液である、項1~3のいずれかに記載の液体口腔用組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明の液体口腔用組成物は、トリカルボン酸のアルカリ金属塩と、グルコン酸銅と、塩化セチルピリジニウムとを含んでいながらも、白濁を抑制できるので、透明で良好な外観を備えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.液体口腔用組成物
本発明の液体口腔用組成物は、トリカルボン酸のアルカリ金属塩((A)成分と表記することもある)、グルコン酸銅((B)成分と表記することもある)、塩化セチルピリジニウム((C)成分と表記することもある)、並びに非イオン性界面活性剤((D)成分と表記することもある)を含有することを特徴とする。以下、本発明の液体口腔用組成物について、詳述する。
【0013】
[(A)トリカルボン酸のアルカリ金属塩]
本発明の液体口腔用組成物は、(A)成分として、トリカルボン酸のアルカリ金属塩を含む。
【0014】
トリカルボン酸の種類については、口腔内に適用可能なものであることを限度として特に限定されないが、例えば、クエン酸、酒石酸、イソクエン酸、プロパントリカルボン酸等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。また、トリカルボン酸のアルカリ金属塩は、水和物等の溶媒和物であってもよい。
【0015】
また、トリカルボン酸のアルカリ金属塩は、トリカルボン酸一アルカリ金属塩、トリカルボン酸二アルカリ金属塩、及びトリカルボン酸三アルカリ金属塩のいずれであってもよいが、好ましくはトリカルボン酸二アルカリ金属塩及び/又はトリカルボン酸三アルカリ金属塩、より好ましくはトリカルボン酸三アルカリ金属塩が挙げられる。
【0016】
トリカルボン酸のアルカリ金属塩の中でも、好ましくはクエン酸のアルカリ金属塩、より好ましくはクエン酸ナトリウム(クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、及びクエン酸三ナトリウム)、更に好ましくはクエン酸三ナトリウムが挙げられる。
【0017】
本発明の液体口腔用組成物において、(A)成分として、トリカルボン酸のアルカリ金属塩の中から1種のものを選択して単独で使用してもよく、またこれらの中から2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
本発明の液体口腔用組成物における(A)成分の含有量については、特に限定されないが、例えば、(A)成分の総量で、0.001~10重量%、好ましくは0.005~5重量%、より好ましくは0.01~1重量%、更に好ましくは0.01~0.5重量%が挙げられる。
【0019】
[(B)グルコン酸銅]
本発明の液体口腔用組成物は、(B)成分として、グルコン酸銅を含有する。グルコン酸銅は、消臭作用があることが知られている公知の成分である。
【0020】
本発明の液体口腔用組成物における(B)成分の含有量については、付与すべき消臭作用の程度等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.001~5重量%、好ましくは0.005~1重量%、より好ましくは0.01~0.5重量%が挙げられる。
【0021】
また、本発明の液体口腔用組成物において、(A)成分と(B)成分の比率については、前述する各含有量の範囲に応じて定まるが、例えば、(A)成分の総量100重量部当たり、(B)成分が1~50000重量部、好ましくは5~10000重量部、より好ましくは10~500重量部が挙げられる。
【0022】
[(C)塩化セチルピリジニウム]
本発明の液体口腔用組成物は、(C)成分として、塩化セチルピリジニウムを含有する。塩化セチルピリジニウムは、第四級アミン化合物であり、口腔内細菌に対する殺菌作用を示す公知の成分である。
【0023】
本発明の液体口腔用組成物における(C)成分の含有量については、付与すべき殺菌作用の程度等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.01~1重量%、好ましくは0.01~0.5重量%、より好ましくは0.01~0.3重量%が挙げられる。
【0024】
また、本発明の液体口腔用組成物において、(A)成分と(C)成分の比率については、前述する各含有量の範囲に応じて定まるが、例えば、(A)成分の総量100重量部当たり、(C)成分が0.1~10000重量部、好ましくは1~1000重量部、より好ましくは10~500重量部が挙げられる。
【0025】
[(D)非イオン性界面活性剤]
本発明の液体口腔用組成物は、(D)成分として、非イオン性界面活性剤を含有する。本発明の液体口腔用組成物では、(D)成分を含むことにより前記(A)~(C)成分が共存する際に生じる白濁を抑制することが可能になる。
【0026】
本発明で使用される非イオン性界面活性剤の種類については、特に制限されないが、例えば、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、レシチン誘導体等が挙げられる。
【0027】
これらの非イオン性界面活性剤の中でも、前記(A)~(C)成分が共存する際に生じる白濁をより効果的に抑制するという観点から、好ましくはポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテルが挙げられる。
【0028】
ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油とは、硬化ヒマシ油をポリオキシアルキレン鎖でエーテル化した化合物である。ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油におけるポリオキシアルキレン鎖としては、ポリオキシエチレン鎖又はポリオキシプロピレン鎖のいずれであってもよいが、好ましくはポリオキシエチレン鎖が挙げられる。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油として、具体的には、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油30、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油70、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油90、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油30、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60が挙げられる。
【0029】
ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルとは、ソルビタン脂肪酸エステルにアルキレンオキサイドが縮合している化合物である。ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルにおけるポリオキシアルキレン鎖としては、ポリオキシエチレン鎖又はポリオキシプロピレン鎖のいずれであってもよいが、好ましくはポリオキシエチレン鎖が挙げられる。ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、具体的には、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリオキシエチレンイソステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレンオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート85等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ポリソルベート80が挙げられる。
【0030】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとは、ポリオキシアルキレン鎖とアルキル基がエーテル結合している化合物である。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおけるポリオキシアルキレン鎖としては、例えば、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレン鎖のいずれであってもよい。ポリオキシアルキレン鎖のアルキレンキサイドの平均付加モル数としては、例えば、2~40、好ましくは10~30、より好ましくは15~25が挙げられる。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおけるアルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。また、当該アルキル基の炭素数としては、例えば、6~24、好ましくは8~22、より好ましくは10~22が挙げられる。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。
【0031】
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルとは、ポリオキシアルキレン鎖とアルケニル基がエーテル結合している化合物である。ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルにおけるポリオキシアルキレン鎖としては、例えば、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレン鎖のいずれであってもよい。ポリオキシアルキレン鎖のアルキレンキサイドの平均付加モル数としては、例えば、15~60、好ましくは30~60、より好ましくは40~55が挙げられる。また、当該アルキル基の炭素数としては、例えば、6~24、好ましくは8~22、より好ましくは10~22が挙げられる。ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルとしては、具体的には、ポリオキシエチレンオレイルエーテルが挙げられる。
【0032】
本発明の液体口腔用組成物は、(D)成分として、1種の非イオン性界面活性剤を単独で使用してもよく、また2種以上の非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
本発明の液体口腔用組成物における(D)成分の含有量としては、例えば、0.005~10重量%、好ましくは0.01~5重量%、更に好ましくは0.1~2重量%が挙げられる。
【0034】
また、本発明の液体口腔用組成物において、(A)成分と(D)成分の比率については、前述する各含有量の範囲に応じて定まるが、例えば、(A)成分の総量100重量部当たり、(D)成分が1~10000重量部、好ましくは10~5000重量部、より好ましくは50~2500重量部が挙げられる。
【0035】
[多価アルコール]
本発明の液体口腔用組成物は、前記(A)~(D)成分に加えて、必要に応じて多価アルコールを含んでいてもよい。
【0036】
本発明で使用される多価アルコールとしては、口腔内に適用可能であることを限度として、特に制限されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコール;グリセリン等の3価アルコールが挙げられる。これらの多価アルコールの中でも、好ましくはグリセリンが挙げられる。
【0037】
これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
本発明の液体口腔用組成物に多価アルコールを含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば、0.1~30重量%、好ましくは1~20重量%、より好ましくは5~15重量%が挙げられる。
【0039】
[水]
本発明の液体口腔用組成物は、溶媒として水を含む。本発明の液状口腔用組成物における水の含有量については、添加する成分を除いた残部であればよい。
【0040】
[その他の成分]
本発明の口腔用組成物は、前述する成分以外に、必要に応じて、前記成分以外に、他の薬効成分が含まれていてもよい。このような薬効成分としては、口腔用組成物に配合可能なものであることを限度として特に制限されないが、例えば、殺菌剤((C)成分以外)、気管支拡張薬、鎮咳薬、去痰薬、抗炎症剤、グルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク抑制剤、知覚過敏抑制剤、歯石予防剤、解熱鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、殺菌剤、胃粘膜保護薬、カフェイン類、ビタミン薬、漢方薬、生薬成分等が挙げられる。
【0041】
また、本発明の液体口腔用組成物には、所望の製剤形態にするために、基剤や添加剤が含まれていてもよい。このような基剤や添加剤としては、口腔用組成物に配合可能なものであることを限度として特に制限されないが、例えば、低級アルコール、油性成分、界面活性剤((D)成分以外)、清涼化剤、防腐剤、増粘剤、香料、矯味剤、色素、消臭成分((B)成分以外)、顔料、緩衝剤・pH調整剤((A)成分以外)等が挙げられる。
【0042】
[pH]
本発明の液体口腔用組成物のpHとしては、口腔内に適用可能な範囲であればよいが、例えば、3~9程度、好ましくは4~7.5程度が挙げられる。
【0043】
[製剤形態]
本発明の液体口腔用組成物の製剤形態は、口腔内に適用されて口腔内で一定時間滞留し得るものである限り制限されないが、例えば、洗口液、液状歯磨剤、口腔用スプレー(喉用のスプレー剤を含む)、含嗽剤、口中清涼剤等の口腔ケア製品が挙げられる。これらの中でも、好ましくは洗口液及び液状歯磨剤、より好ましくは洗口液が挙げられる。
【0044】
2.白濁抑制方法
本発明の白濁抑制方法は、(A)トリカルボン酸のアルカリ金属塩、(B)グルコン酸銅、及び(C)塩化セチルピリジニウムを含む液体口腔用組成物の白濁を抑制する法であって、口腔用組成物に、(A)トリカルボン酸のアルカリ金属、(B)グルコン酸銅、(C)塩化セチルピリジニウム、並びに(D)非イオン性界面活性剤を含有させることを特徴とする。
【0045】
本発明の白濁抑制方法において、使用する成分の種類や使用量、液体口腔用組成物の製剤形態等については、前記「1.液体口腔用組成物」の欄に示す通りである。
【実施例0046】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
試験例1
表1及び2に示す組成の洗口液を調製した。得られた洗口液の外観を目視にて観察した。
【0048】
結果を表1及び2に示す。(A)クエン酸三ナトリウム、(B)グルコン酸銅、並びに(C)塩化セチルピリジニウムの中から2種を組み合わせた洗口液では、白濁が認められず、透明な外観であった(参考例1、3、6及び7)。しかしながら、(A)クエン酸ナトリウム、(B)グルコン酸銅、並びに(C)塩化セチルピリジニウムを組み合わせて配合した場合には、白濁が生じていた(参考例2、4及び5)。一方、前記3種の成分に加えて、陰イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤を配合しても、白濁又は析出が生じ、透明で良好な外観にはならなかった(比較例1~5)。これに対して、前記3種の成分に加えて、非イオン性界面活性剤を配合すると、白濁が抑制され、析出も生じておらず、透明で良好な外観になった(実施例1~7)。
【0049】
【0050】
【0051】
処方例
以下に示す組成の洗口液(処方例1~3)、液体歯磨剤(処方例4及び5)、及び口腔用スプレー(処方例6)を調製した。得られた洗口液、液体歯磨剤、及び口腔用スプレーは、白濁が抑制され、析出も生じておらず、透明で良好な外観であった。
【0052】
処方例1(洗口液)
成分 配合量(重量%)
塩化セチルピリジニウム 0.05
グルコン酸銅 0.1
クエン酸三ナトリウム 0.1
クエン酸 0.01
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
サッカリンナトリウム 0.03
エタノール 10
グリセリン 10
プロピレングリコール 2
香料 微量
精製水 残部
合計 100
【0053】
処方例2(洗口液)
成分 配合量(重量%)
塩化セチルピリジニウム 0.05
グルコン酸銅 0.05
炭酸水素ナトリウム 0.1
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
サッカリンナトリウム 0.03
グリセリン 10
1,3ブチレングリコール 2
香料 微量
精製水 残部
合計 100
【0054】
処方例3(洗口液)
成分 配合量(重量%)
塩化セチルピリジニウム 0.02
グルコン酸銅 0.2
水酸化ナトリウム 0.001
ポリソルベート80 0.3
ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル 0.05
パラオキシ安息香酸メチル 0.05
サッカリンナトリウム 0.03
ソルビトール 10
香料 微量
精製水 残部
合計 100
【0055】
処方例4(液体歯磨剤)
成分 配合量(重量%)
塩化セチルピリジニウム 0.01
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
グルコン酸銅 0.01
クエン酸三ナトリウム 0.2
クエン酸 0.01
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
サッカリンナトリウム 0.03
l-メントール 0.05
グリセリン 10
香料 微量
精製水 残部
合計 100
【0056】
処方例5(液体歯磨剤)
成分 配合量(重量%)
塩化セチルピリジニウム 0.05
ポリリン酸ナトリウム 0.1
グルコン酸銅 0.1
クエン酸三ナトリウム 0.1
クエン酸 0.01
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
パラオキシ安息香酸プロピル 0.05
サッカリンナトリウム 0.03
エタノール 3
グリセリン 10
香料 微量
精製水 残部
合計 100
【0057】
処方例6(口腔用スプレー)
成分 配合量(重量%)
塩化セチルピリジニウム 0.05
グルコン酸銅 0.1
クエン酸三ナトリウム 0.1
クエン酸 0.01
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
l-メントール 0.05
エタノール 35
グリセリン 10
サッカリンナトリウム 0.1
パラオキシ安息香酸プロピル 0.05
香料 微量
精製水 残部
合計 100