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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092381
(43)【公開日】2023-07-03
(54)【発明の名称】液体口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20230626BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230626BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20230626BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20230626BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20230626BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K9/10
A61P1/02
A61K47/04
A61K47/44
A61K47/20
A61K47/22
A61Q11/00
A61K8/04
A61K8/86
A61K8/46
A61K8/49
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207593
(22)【出願日】2021-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】倉光 祥平
(72)【発明者】
【氏名】片桐 百恵
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076BB22
4C076CC16
4C076DD02
4C076DD02F
4C076DD04
4C076DD04F
4C076DD09
4C076DD09F
4C076DD12
4C076DD12F
4C076DD21
4C076DD52
4C076DD52F
4C076DD55
4C076DD55F
4C076DD57
4C076DD57F
4C076FF11
4C076FF43
4C083AA122
4C083AB131
4C083AB132
4C083AB282
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC302
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC482
4C083AC662
4C083AC692
4C083AC781
4C083AC782
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC851
4C083AC862
4C083AD532
4C083BB05
4C083BB07
4C083CC41
4C083DD08
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD39
4C083EE07
4C083EE31
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、活性炭を含む液体口腔用組成物であって、活性炭の分散性安定性が向上しており、且つ活性炭の吸着能を効果的に発現させ得る液体口腔用組成物を提供することである。
【解決手段】平均粒子径が10μm以下の活性炭、並びに陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有する、液体口腔用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が10μm以下の活性炭、並びに
陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有する、液体口腔用組成物。
【請求項2】
前記界面活性剤が、アルキル硫酸エステル及びその塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸及びその塩、イミダゾリン型両性界面活性剤、並びにポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の液体口腔用組成物。
【請求項3】
前記活性炭を0.001~0.1重量%含有する、請求項1又は2に記載の液体口腔用組成物。
【請求項4】
前記界面活性剤を0.001~8重量%含有する、請求項1~3のいずれかに記載の液体口腔用組成物。
【請求項5】
洗口液である、請求項1~4のいずれかに記載の液体口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性炭を含む液体口腔用組成物であって、活性炭の分散性安定性が向上しており、且つ活性炭の吸着能を効果的に発現させ得る液体口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
活性炭は吸着剤として機能することが知られており、口腔用組成物の分野でも、従来、思考や史跡の予防又は除去、歯のホワイトニング、口臭の予防又は除去等の目的で、活性炭が使用されている。
【0003】
従来、活性炭を含む口腔用組成物の処方について種々報告されている。例えば、特許文献1には、粒径10~500μmの炭化物粉末を配合した歯磨き剤は、経年使用においても人体への危険性がなく、食べ滓除去等の歯磨き効果に優れ、磨き心地が良好であることが報告されている。また、特許文献2には、(A)炭粉末を含有する顆粒及び/又は炭顆粒と(B)炭粉末とを含む練歯磨剤は、当該顆粒及び/又は炭顆粒の輪郭を視認し難く、優れた外観を備え得ることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-143467号公報
【特許文献2】特開2019-112376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
活性炭は、液体中では沈降し易く均一な分散状態を維持し難い特性を有しているため、洗口液や液体歯磨剤等の液体口腔用組成物に活性炭を配合する場合には、活性炭が均一に分散できるように製剤設計することが重要になる。また、活性炭を含む液体口腔用組成物において、活性炭に他の添加剤が吸着して活性炭の細孔が埋まった状態になると、吸着能が減弱されるため、活性炭を含む液体口腔用組成物において、活性炭が均一に分散できるように製剤設計する際には、活性炭の吸着能に悪影響を及ぼさないように配慮することも求められる。しかしながら、従来技術では、活性炭を含む液体口腔用組成物において、活性炭の分散性安定性を向上させつつ、活性炭の吸着能を効果的に発現させるための製剤技術については報告されていない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、活性炭を含む液体口腔用組成物であって、活性炭の分散性安定性が向上しており、且つ活性炭の吸着能を効果的に発現させ得る液体口腔用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、平均粒子径が10μm以下の活性炭を選択し、当該活性炭を、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤と共に、液体口腔用組成物に配合することにより、活性炭の分散安定性を向上させ、且つ活性炭の吸着能を効果的に発現させ得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 平均粒子径が10μm以下の活性炭、並びに
陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有する、液体口腔用組成物。
項2. 前記界面活性剤が、アルキル硫酸エステル及びその塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸及びその塩、イミダゾリン型両性界面活性剤、並びにポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる少なくとも1種である、項1に記載の液体口腔用組成物。
項3. 前記活性炭を0.001~0.1重量%含有する、項1又は2に記載の液体口腔用組成物。
項4. 前記界面活性剤を0.001~8重量%含有する、項1~3のいずれかに記載の液体口腔用組成物。
項5. 洗口液である、項1~4のいずれかに記載の液体口腔用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液体口腔用組成物によれば、活性炭の分散性安定性を向上させつつ、活性炭の吸着能を効果的に発現させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.液体口腔用組成物
本発明の液体口腔用組成物は、平均粒子径が10μm以下の活性炭、並びに陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有することを特徴とする。本発明の液体口腔用組成物では、平均粒子径が10μm以下の活性炭を選択し、これを特定の界面活性剤と共存させることにより、活性炭の分散安定性を向上させ、且つ活性炭の吸着能を効果的に発現させることが可能になる。以下、本発明の液体口腔用組成物について詳述する。
【0011】
[活性炭]
本発明の液体口腔用組成物は、平均粒子径が10μm以下の活性炭を含有する。本発明で使用される活性炭の平均粒子径は、10μm以下であればよいが、活性炭の分散安定性をより一層向上させつつ、活性炭の吸着能をより一層効果的に発現させるという観点から、好ましくは8μm以下、より好ましくは7μm以下、更に好ましくは6μm以下が挙げられる。本発明で使用される活性炭の平均粒子径の下限値については、特に限定されないが、例えば、1μm以上、好ましくは2μm以上、より好ましくは4μm以上が挙げられる。本発明で使用される活性炭の平均粒子径として、より具体的には、1~10μm、好ましくは2~8μm、より好ましくは3~7μm、更に好ましくは4~6μmが挙げられる。本発明において、活性炭の平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて湿式法にて測定される体積累積基準粒度分布において累積度が50%となる粒子径(メジアン径、D50)である。
【0012】
本発明で使用される活性炭のD10については、前記平均粒子径の範囲を満たすことを限度として特に制限されないが、例えば、0.5~3μm、好ましくは1~1.5μmが挙げられる。本発明において、活性炭のD10は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて湿式法にて測定される体積累積基準粒度分布において、累積度が10%となる粒子径である。
【0013】
また、本発明で使用される活性炭のD90については、前記平均粒子径の範囲を満たすことを限度として特に制限されないが、例えば、10~30μm、好ましくは15~20μmが挙げられる。本発明において、活性炭のD90は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて湿式法にて測定される体積累積基準粒度分布において、累積度が90%となる粒子径である。
【0014】
本発明の液体口腔用組成物における活性炭の含有量としては、例えば、0.0001~1重量%、好ましくは0.001~0.1重量%、より好ましくは0.005~0.05重量%が挙げられる。
【0015】
[界面活性剤]
本発明の液体口腔用組成物は、前記活性炭と共に、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有する。
【0016】
本発明で使用される陰イオン性界面活性剤の種類については、口腔内に適用可能であることを限度として特に限定されないが、例えば、ラウリル硫酸、ラウレス硫酸、ミリスチル硫酸、セチル硫酸、オレイル硫酸等のアルキル硫酸エステル及びその塩;ラウロイルメチルタウリン、ミリストイルメチルタウリン、ヤシ油脂肪酸メチルタウリン、ラウリルメチルタウリン等の高級脂肪酸アミドスルホン酸及びその塩;αオレフィンスルホン酸及びその塩;N-ミリストイルグルタミン酸、ココイルグルタミン酸、N-ラウロイルグルタミン酸、N-ステアロイルグルタミン酸、ココイルグリシン等のN-アシルアミノ酸及びその塩;ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸及びその塩;ラウロイルサルコシン等のN-アシルサルコシン酸及びその塩等が挙げられる。これらの陰イオン性界面活性剤の塩の形態としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。これらの陰イオン性界面活性剤の中でも、好ましくはアルキル硫酸エステル、高級脂肪酸アミドスルホン酸、及びそれらの塩、より好ましくはラウリル硫酸、ラウロイルメチルタウリン、及びそれらの塩、更に好ましくはラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウムが挙げられる。
【0017】
本発明で使用される両性界面活性剤の種類については、口腔内に適用可能であることを限度として特に限定されないが、例えば、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N-ヤシ油脂肪酸-N-カルボキシメトキシエチル-N-カルボキシメチルエチレンジアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシエトキシエチル-N-カルボキシエチルエチレンジアミンム、及びこれらの塩等のイミダゾリン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パルミチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸ジメチルアミノ酢酸ベタイン、パーム核油脂肪酸ジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、及びこれらの塩等のアルキルベタイン型両性界面活性剤;ラウリルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パルミチルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインラウリルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びこれらの塩等のアミドベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。これらの両性界面活性剤の塩の形態としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。これらの両性界面活性剤の中でも、好ましくはイミダゾリン型両性界面活性剤、より好ましくはN-ヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン及びその塩、更に好ましくはN-ヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムが挙げられる。
【0018】
本発明で使用されるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の種類については、口腔内に適用可能であることを限度として特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油30、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油70、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油90、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100等が挙げられる。これらのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の中でも、好ましくは、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油30、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油70;より好ましくは、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60が挙げられる。
【0019】
これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
これらの界面活性剤の中でも、活性炭の分散安定性を向上させつつ、活性炭の吸着能をより一層効果的に発現させるという観点から、好ましくは、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、より好ましくはアルキル硫酸エステル及びその塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸及びその塩、イミダゾリン型両性界面活性剤;更に好ましくは、ラウリル硫酸、ラウロイルメチルタウリン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、及びそれらの塩;特に好ましくはラウロイルメチルタウリン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、及びそれらの塩が挙げられる。
【0021】
本発明の液体口腔用組成物における前記界面活性剤の含有量としては、例えば、0.001~8重量%、好ましくは0.01~5重量%、より好ましくは0.1~2重量%が挙げられる。
【0022】
また、本発明の液体口腔用組成物において、前記活性炭と前記界面活性剤の比率については、前述する各含有量の範囲に応じて定まるが、例えば、前記活性炭1重量部当たり、前記界面活性剤が0.1~5000重量部、好ましくは1~1000重量部、より好ましくは10~250重量部が挙げられる。
【0023】
[水]
本発明の液体口腔用組成物は、溶媒として水を含む。本発明の液状口腔用組成物における水の含有量については、添加する成分を除いた残部であればよい。
【0024】
[その他の成分]
本発明の口腔用組成物は、前述する成分以外に、必要に応じて、前記成分以外に、他の薬効成分が含まれていてもよい。このような薬効成分としては、口腔用組成物に配合可能なものであることを限度として特に制限されないが、例えば、殺菌剤、気管支拡張薬、鎮咳薬、去痰薬、抗炎症剤、グルコシルトランスフェラーゼ阻害剤、プラーク抑制剤、知覚過敏抑制剤、歯石予防剤、解熱鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、殺菌剤、胃粘膜保護薬、カフェイン類、ビタミン薬、漢方薬、生薬成分等が挙げられる。
【0025】
また、本発明の液体口腔用組成物には、所望の製剤形態にするために、基剤や添加剤が含まれていてもよい。このような基剤や添加剤としては、口腔用組成物に配合可能なものであることを限度として特に制限されないが、例えば、低級アルコール、多価アルコール、油性成分、糖アルコール、前記以外の界面活性剤、清涼化剤、防腐剤、増粘剤、香料、矯味剤、色素、消臭成分、活性炭以外の顔料、緩衝剤、pH調整剤等が挙げられる。
【0026】
[製剤形態]
本発明の液体口腔用組成物の製剤形態は、口腔内に適用されて口腔内で一定時間滞留し得るものである限り制限されないが、例えば、洗口液、液状歯磨剤、口腔用スプレー(喉用のスプレー剤を含む)、含嗽剤、口中清涼剤等の口腔ケア製品が挙げられる。これらの中でも、好ましくは洗口液及び液状歯磨剤、より好ましくは洗口液が挙げられる。
【0027】
2.分散性向上方法
本発明の分散性向上方法は、液体口腔用組成物中で活性炭の分散安定性を向上させる方法であって、液体口腔用組成物に、平均粒子径が10μm以下の活性炭と、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤とを含有させることを特徴とする。
【0028】
本発明の分散性向上方法において、使用する成分の種類や使用量、液体口腔用組成物の製剤形態等については、前記「1.液体口腔用組成物」の欄に示す通りである。
【0029】
3.吸着能の改善方法
本発明の吸着能の改善方法は、液体口腔用組成物中の活性炭の吸着能の改善方法する方法であって、液体口腔用組成物に、平均粒子径が10μm以下の活性炭と、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤とを含有させることを特徴とする。
【0030】
本発明の吸着能の改善方法は、液体口腔用組成物中で活性炭の吸着能が低下するのを抑制するために実施される方法であり、使用する成分の種類や使用量、液体口腔用組成物の製剤形態等については、前記「1.液体口腔用組成物」の欄に示す通りである。
【実施例0031】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
試験例1
表1及び2に示す組成の洗口液を調製した。得られた洗口液について、活性炭の分散安定性及び活性炭の吸着能を以下の方法で評価した。なお、以下の実施例及び比較例で使用した活性炭の平均粒子径(D50)、D10、及びD90は、粒子径分布測定装置MT3300(マイクロトラック・ベル株式会社)を用いたレーザー回折・散乱法で、湿式測定、測定時間10秒に設定して求めた値である。
【0033】
<活性炭の分散安定性>
十分に混合した洗口液100mlを150ml容のガラス容器に充填し、室温で3日間静置した後に外観を観察し、以下の判定基準に従って、活性炭の分散安定性を評価した。なお、ガラス容器に充填した直後では、各洗口液(比較例1以外)において活性炭が十分に分散しており、洗口液全体が活性炭による黒色を呈していた。
・活性炭の分散安定性の判定基準
◎:洗口液全体が黒色を呈しており、活性炭が均一に分散している。
○:洗口液の上部が僅かに透明になっているが、活性炭の分散状態をほぼ維持できている。
×:洗口液の上部が完全に透明になっており、活性炭が沈降して不均一に分布している。
【0034】
<活性炭の吸着能>
各洗口液にメチレンブルー(0.12g/100ml)を100倍希釈となるよう添加して20秒混合した後に、活性炭をフィルターろ過し、得られたろ液の吸光度(644nm)を測定した。また、コントロールとして、メチレンブルー(0.12g/100ml)を精製水で100倍希釈した液についても、同様に吸光度を測定した。以下の式に従って、メチレンブルー吸着率を算出した。
【数1】
【0035】
得られた結果を表1及び2に示す。活性炭を単独で含む場合には、平均粒子径が5μm及び75μmの双方において、分散安定性を備えることができなかった(比較例2及び3)。また、平均粒子径75μmの活性炭と界面活性剤を組み合わせた場合は、いずれの界面活性剤でも分散安定性が改善されず、しかも、活性炭の吸着能を低減させていた(比較例4~6及び8~11)。更に、平均粒子径75μmの活性炭とポリオキシエチレンセチルエーテルを組み合わせた場合には、分散安定性が向上していたが、活性炭の吸着能の低減が認められた(比較例7)。これに対して、平均粒子径5μmの活性炭と、陰イオン性界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム)、両性界面活性剤(N-ヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム)、又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とを組み合わせた場合には、分散安定性が向上し、しかも活性炭の吸着能も優れていた(実施例1~6)。特に、平均粒子径5μmの活性炭と、陰イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤とを組み合わせた場合には、活性炭の吸着能の低下を格段効果的に抑制できていた(実施例1~3)。また、平均粒子径5μmの活性炭とポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とを組み合わせた場合には、特に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60で
良好な結果を得ることができた(実施例4~6)。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
処方例
以下に示す組成の洗口液(処方例1~6)、液体歯磨剤(処方例7及び8)、及び口腔用スプレー(処方例9)を調製した。得られた洗口液、液体歯磨剤、及び口腔用スプレーについて、前記試験例1と同様の方法で活性炭の分散安定性及び吸着能を評価したとろ、いずれも、活性炭が均一に分散できており、吸着能も優れていた。
【0039】
処方例1(洗口剤)
成分 配合量(重量%)
活性炭(平均粒子径5μm) 0.006
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.05
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.1
l-メントール 0.05
パラオキシ安息香酸メチル 0.05
グリセリン 10
1,3-ブチレングリコール 5
サッカリンナトリウム 0.01
エタノール 7
pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
【0040】
処方例2(洗口剤)
成分 配合量(重量%)
活性炭(平均粒子径5μm) 0.01
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
l-メントール 0.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
パラオキシ安息香酸エチル 0.05
グリセリン 10
プロピレングリコール 5
サッカリンナトリウム 0.02
pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
【0041】
処方例3(洗口剤)
成分 配合量(重量%)
活性炭(平均粒子径5μm) 0.05
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 1.0
ラウロイルメチルタウリンNa 0.5
l-メントール 0.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
パラオキシ安息香酸エチル 0.05
グリセリン 10
プロピレングリコール 5
サッカリンナトリウム 0.01
pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
【0042】
処方例4(洗口剤)
成分 配合量(重量%)
活性炭(平均粒子径3μm) 0.006
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.05
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.1
l-メントール 0.05
パラオキシ安息香酸メチル 0.05
グリセリン 10
1,3-ブチレングリコール 5
サッカリンナトリウム 0.01
エタノール 7
pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
【0043】
処方例5(洗口剤)
成分 配合量(重量%)
活性炭(平均粒子径8μm) 0.01
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
l-メントール 0.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
パラオキシ安息香酸エチル 0.05
グリセリン 10
プロピレングリコール 5
サッカリンナトリウム 0.02
pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
【0044】
処方例6(洗口剤)
成分 配合量(重量%)
活性炭(平均粒子径5μm) 0.1
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 1.0
ラウロイルメチルタウリンNa 0.5
l-メントール 0.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
パラオキシ安息香酸エチル 0.05
グリセリン 10
プロピレングリコール 5
サッカリンナトリウム 0.01
pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
【0045】
処方例7(液体歯磨剤)
成分 配合量(重量%)
活性炭(平均粒子径5μm) 0.01
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.1
ラウリル硫酸ナトリウム 0.1
塩化セチルピリジニウム 0.3
ペパーミント系香料(油性成分) 0.1
ソルビトール 10
1,3-ブチレングリコール 5
サッカリンナトリウム 0.01
pH調整剤(リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
【0046】
処方例8(液体歯磨剤)
成分 配合量(重量%)
活性炭(平均粒子径5μm) 0.01
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.8
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.8
塩化セチルピリジニウム 0.3
ペパーミント系香料(油性成分) 0.1
グリセリン 10
プロピレングリコール 5
サッカリンナトリウム 0.01
pH調整剤(リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100
【0047】
処方例9(マウススプレー剤)
成分 配合量(重量%)
活性炭(平均粒子径5μm) 0.01
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.1
ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油 0.05
ハッカ油(油性成分) 0.2
l-メントール 0.05
エタノール 35
グリセリン 10
サッカリンナトリウム 0.1
pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム) 適量
精製水 残部
合計 100