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特開2023-92549落水検知装置および落水検知方法ならびに排水システム
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  • 特開-落水検知装置および落水検知方法ならびに排水システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092549
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】落水検知装置および落水検知方法ならびに排水システム
(51)【国際特許分類】
   F04D 15/00 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
F04D15/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207649
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】230129621
【弁護士】
【氏名又は名称】井深 大
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 善彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 弘史
【テーマコード(参考)】
3H020
【Fターム(参考)】
3H020AA01
3H020BA25
3H020CA05
3H020CA10
3H020DA02
3H020EA05
3H020EA12
3H020EA14
3H020EA17
(57)【要約】
【課題】より精度よく、運転中のポンプ内から落水を検知する落水検知装置および落水検知方法、ならびに、そのような落水検知装置を備える排水システムを提供する。
【解決手段】羽根車を有するポンプと、前記ポンプの羽根車を回転駆動させる駆動源と、前記駆動源から排出される排ガスの温度を計測する温度計と、前記排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率に基づいて落水を検知する落水検知部と、を備える排水システムが提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根車を有するポンプと、
前記ポンプの羽根車を回転駆動する駆動源と、
前記駆動源から排出される排ガスの温度を計測する温度計と、
前記排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率に基づいて落水を検知する落水検知部と、を備える排水システム。
【請求項2】
前記落水検知部は、
前記羽根車の回転速度が規定速度に達してから所定時間経過までは、前記排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率に基づいて落水を検知し、
前記羽根車の回転速度が規定速度に達してから前記所定時間経過後は、前記排ガスの温度に基づいて落水を検知する、請求項1に記載の排水システム。
【請求項3】
前記落水検知部は、
前記羽根車の回転速度が規定速度に達してから所定時間経過までは、前記排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率と、第1規定値との比較に基づいて落水を検知し、
前記羽根車の回転速度が規定速度に達してから前記所定時間経過後は、前記排ガスの温度と、第2規定値との比較に基づいて落水を検知する、請求項2に記載の排水システム。
【請求項4】
前記落水検知部は、前記羽根車の回転速度が規定速度に達したときの前記排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率に基づいて前記落水検知を行う、請求項1乃至3のいずれかに記載の排水システム。
【請求項5】
羽根車を有するポンプと、
前記ポンプの羽根車を回転駆動する駆動源と、
前記駆動源から排出される排ガスの温度を計測する温度計と、
前記羽根車の回転速度が規定速度に達してから所定時間経過後に、前記排ガスの温度に基づいて落水を検知する落水検知部と、を備える排水システム。
【請求項6】
前記落水検知部は、前記羽根車の回転速度が規定速度に達した時点を基準として計時を行い、前記所定時間経過後に、前記排ガスの温度に基づいて落水を検知する、請求項5に記載の排水システム。
【請求項7】
前記羽根車の回転速度が規定速度に達してから所定時間経過後に、前記排ガスの温度に基づいて落水を検知することで、前記排ガスの温度の上昇遅れによる誤検知を抑制する、請求項5または6に記載の排水システム。
【請求項8】
ポンプの羽根車を回転駆動する駆動源から排出される排ガスの温度を計測する温度計と、
前記排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率に基づいて落水を検知する落水検知部と、を備える落水検知装置。
【請求項9】
ポンプの羽根車を回転駆動する駆動源から排出される排ガスの温度を計測する温度計と、
前記羽根車の回転速度が規定速度に達してから所定時間経過後に、前記排ガスの温度に基づいて落水を検知する落水検知装置と、を備える落水検知装置。
【請求項10】
ポンプの羽根車を回転駆動する駆動源から排出される排ガスの温度を計測する工程と、
前記排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率に基づいて落水を検知する工程と、を備える落水検知方法。
【請求項11】
ポンプの羽根車を回転駆動する駆動源から排出される排ガスの温度を計測する工程と、
前記羽根車の回転速度が規定速度に達してから所定時間経過後に、前記排ガスの温度に基づいて落水を検知する工程と、を備える落水検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水システム、落水検知装置および落水検知方法に関し、特に運転中のポンプ内から液体が欠落したことを検知する落水検知機能を備えた排水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプは、定常運転時においても、一定の原因により落水が発生することがある。落水が発生すると、羽根車が空転して水中軸受が損傷するなどのおそれがある。このようなことに鑑み、運転中のポンプの落水を検知する装置が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポンプ装置が開示されている。この技術によれば、定常運転時にポンプ内に液体が存在するか否かを検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4854478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、より精度よく、運転中のポンプ内からの落水を検知する落水検知装置および落水検知方法、ならびに、そのような落水検知装置を備える排水システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、羽根車を有するポンプと、前記ポンプの羽根車を回転駆動させる駆動源と、前記駆動源から排出される排ガスの温度を計測する温度計と、前記排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率に基づいて落水を検知する落水検知部と、を備える排水システムが提供される。
【0007】
前記落水検知部は、前記羽根車の回転速度が規定速度に達してから所定時間経過までは、前記排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率に基づいて落水を検知し、前記羽根車の回転速度が規定速度に達してから前記所定時間経過後は、前記排ガスの温度に基づいて落水を検知するものであってもよい。
【0008】
前記落水検知部は、前記羽根車の回転速度が規定速度に達してから所定時間経過までは、前記排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率と、第1規定値との比較に基づいて落水を検知し、前記羽根車の回転速度が規定速度に達してから前記所定時間経過後は、前記排ガスの温度と、第2規定値との比較に基づいて落水を検知するものであってもよい。
【0009】
前記落水検知部は、前記羽根車の回転速度が規定速度に達したときの前記排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率に基づいて前記落水検知を行うものであってもよい。
【0010】
本件発明の別の態様によれば、羽根車を有するポンプと、前記ポンプの羽根車を回転駆動する駆動源と、前記駆動源から排出される排ガスの温度を計測する温度計と、前記羽根車の回転速度が規定速度に達してから所定時間経過後に、前記排ガスの温度に基づいて落水を検知する落水検知部と、を備える排水システムが提供される。
【0011】
前記落水検知部は、前記羽根車の回転速度が規定速度に達した時点を基準として計時を行い、前記所定時間経過後に、前記排ガスの温度に基づいて落水を検知するものであってもよい。
【0012】
前記羽根車の回転速度が規定速度に達してから所定時間経過後に、前記排ガスの温度に基づいて落水を検知することで、前記排ガスの温度の上昇遅れによる誤検知を抑制するものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の排水システム、排水システムの制御装置および排水システムの制御方法によれば、運転中のポンプ内からの落水を検知するとともに、落水の誤検知を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態における排水システムの概略構成を示す図。
図2】排ガスの温度が上昇する様子を模式的に示すグラフ。
図3】排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率に基づいて落水を検知する手順の一例を示すフローチャート。
図4】排ガスの温度に基づいて落水を検知手順の一例を示すフローチャート。
図5】排ガスの温度およびその単位時間当たりの上昇率に基づいて落水を検知する手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態における排水システム1の概略構成を示す図である。
【0017】
排水システム1は、吸込水槽11から吐出水槽18に液体を移送するポンプ10と、ポンプ10と吸込水槽11とを連通する吸込管13と、ポンプ10と吐出水槽18とを連通する吐出管15と、ポンプ10を駆動する駆動源としての原動機5とを備えている。
【0018】
ポンプ10は、ポンプ10に収容される羽根車(図示しない)を備えている。羽根車は回転軸を介して減速機6に連結され、減速機6は原動機5に連結されている。このポンプ10は、回転軸が水平方向に延びる、いわゆる横軸ポンプである。原動機5が羽根車を回転駆動する際に、原動機5の内燃機関から排ガスが排出される。排ガスは原動機5に接続された排ガス管5aから大気に放出される。原動機5の負荷が大きいほど、排ガスの温度は高くなる。
【0019】
吸込管13は、垂直に延び、その吸込口12は吸込水槽11内の液体中に位置している。ポンプ10は、吸込水槽11内の液面位置よりも上方に配置され、吸込水槽11の上部を構成する設置床20に架台21を介して設置されている。吸込管13の下流側部分は、曲管部となっており、これにより吸込管13とポンプ10とが滑らかに接続されている。
【0020】
吐出管15は、吐出水槽18内で開口する吐出口16を有している。この吐出口16は、ポンプ10よりも低い位置にあり、かつ、吸込口12よりも高い位置にある。吐出口16には、吐出水槽18に移送された液体の逆流を防止するためのフラップ弁17が設けられている。
【0021】
図1から分かるように、吸込管13、ポンプ10および吐出管15は、全体としてサイフォン型通路を形成している。ポンプ10の上部には、内部に電極棒を有する満水検知器30が設けられており、この満水検知器30により、ポンプ10内が液体で満たされているかどうかが検知される。さらに、ポンプ10の内部は、満水検知器30を介して真空ポンプ31に連通している。
【0022】
このような構成において、排水システム1を起動するときは、まず、吐出弁14を全閉した後、真空ポンプ31により、ポンプ10の内部を真空引きして負圧を形成し、吸込管13内の液面位置を上昇させる。ポンプ10の内部が液体で満たされていることを満水検知器30が検知すると、原動機5により、羽根車が回転し、吐出弁14が開かれ、これにより、液体が吸込水槽11から吐出水槽18に移送される。
【0023】
上述したように、ポンプ10は、吸込水槽11の液面位置より高い位置にある。このため、排水システム1の運転中に落水が起こると、ポンプ10が排水不能に陥ってしまったり、ポンプ10が損傷したりするおそれがある。そこで、本実施形態では、落水検知部2により、落水を検知する。
【0024】
詳細には、排水システム1は、温度計3と、速度計4と、落水検知部2とを備えている。なお、温度計3および落水検知部2から落水検知装置が構成される。
【0025】
温度計3は、例えば排ガス管5a内に設けられ、原動機5から排出される排ガスの温度を計測する。計測された排ガスの温度は落水検知部2に通知される。速度計4は原動機5の回転速度を計測する。羽根車の回転速度は、原動機5の回転速度を減速機6によって所定比で減速したものであるから、速度計4は羽根車の回転速度を計測するとも言える。計測された回転速度は落水検知部2に通知される。
【0026】
落水検知部2は、図1に示すように、温度計3および速度計4と連結している。そして、落水検知部2は、取得した排ガスの温度に基づき、また必要に応じて原動機5(羽根車)の回転速度も考慮して、落水を検知する。落水検知部2は、落水が起きたと判断した場合、吐出弁14に指令を出して吐出弁14を閉じるとともに、原動機5を停止させて排水システム1の運転を停止させたり、警報を発したりしてもよい。
【0027】
図2は、上述の排ガスの温度が上昇する様子を模式的に示すグラフである。
【0028】
図2が示すように、曲線C1で示す正常運転時、すなわち、落水が発生しない場合、ポンプ10の始動に伴ってポンプ10内に水が吸い上げられるため、原動機5の負荷は大きくなる。したがって、排ガスの温度は450度程度まで上昇する。曲線C2で示すように、原動機5が冷えた状態で始動した場合、排ガスの初期温度は低いため、時間を要するものの、やがて排ガスの温度は450度程度まで上昇する。
【0029】
一方、曲線C3で示す落水発生時、ポンプ10内に水が吸い上げられないため、原動機5の負荷はあまり大きくならない。したがって、排ガスの温度は150度程度までしか上昇しない。
【0030】
そこで、羽根車の回転速度が規定速度に達した時の排ガスの温度に基づいて落水検知を行うことが考えられる。例えば、排ガスの温度が規定温度(図2であれば、例えば200度)未満である場合に、落水が発生したと判断することが考えられる。
【0031】
しかし、原動機5が冷えた状態で始動した場合には、排ガス温度の上昇速度が遅く、例えば図2の時刻T1で羽根車の回転速度が規定速度に達したとしても、排ガスの温度が規定温度まで上昇していないことがある。そうすると、実際には落水が発生していなくても、落水と誤検知してしまうおそれがある。
【0032】
そこで、本実施形態では、排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率に基づいて落水検知を行う。図2に示すように、正常運転時は、特にポンプ10の始動から所定期間において、始動時に原動機5が冷えた状態であるか否かに関わらず、排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率(ΔT/dt)はある程度大きな値となる。一方、落水時は、同所定期間においても、排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率(ΔT/dt)はそれほど大きな値とは
ならない。
【0033】
すなわち、正常運転時の排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率(ΔT/dt)は、落
水時の排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率(ΔT/dt)よりも大きい。本実施形態
では、このことを利用して落水を検知する。なお、単位時間は任意に定めてよいが、例えば5秒程度とすることができる。落水の判断の基準となる排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率の規定値は、明らかに落水と判断できるものに定められるのが望ましい。
【0034】
図3は、上述の排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率に基づいて落水を検知することを説明するためのフローチャートである。
【0035】
まず、原動機5が始動する(ステップS1)。そして、速度計4によって計測される回転速度が規定速度に達した時点において(ステップS2のYES)、落水検知部2は、排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率(ΔT/dt)が規定値(ΔT0/dt)未満であ
る場合(ステップS3のYES)、落水と判定し(ステップS4)、同上昇率(ΔT/d
t)が規定値(ΔT0/dt)以上である場合(ステップS3のNO)、落水なしと判定
する(ステップS5)。
【0036】
このように、第1実施形態では、排ガスの温度の上昇率に基づいて落水を検知する。そのため、原動機5が冷えた状態でポンプ10を始動したような場合であっても、精度よく落水を検知できる。
【0037】
(第2実施形態)
上述した第1実施形態は、原動機5の始動から所定期間内であれば、正常運転時と落水時とで、排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率が大きく異なるため、特に有効である。しかし、図2に示すように、原動機5の始動からある程度時間が経過すると、正常運転時と落水時とで、排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率の差が小さくなり(いずれの場合にも排ガスの温度はほとんど上昇しなくなり)、上昇率に基づく落水検知が困難になることもある。
【0038】
一方、図2に示すように、十分な時間(例えば、図2の時間T2、60秒程度)が経過すれば、原動機5が冷えた状態でポンプ10を始動したとしても正常運転時には排ガスの温度は高くなるし、落水時には排ガスの温度は低い。第2実施形態では、この点に着目する。
【0039】
図4は、上述の排ガスの温度に基づいて落水を検知することを説明するためのフローチャートである。
【0040】
まず、原動機5が始動する(ステップS11)。そして、速度計4によって計測される回転速度が規定速度に達すると(ステップS12のYES)、落水検知部2はその時点を基準とする計時を行う(ステップS13)。落水検知部2は、回転速度が規定速度に達してから規定時間が経過した時点あるいはその後において(ステップS14のYES)、排ガスの温度が規定温度以下である場合(ステップS15のYES)、落水と判定し(ステップS16)、排ガスの温度が規定温度以上である場合(ステップS15のNO)、落水なしと判定する(ステップS17)。
【0041】
このように、第2実施形態では、回転速度が規定速度に達してから規定時間経過後に、排ガス温度に基づいて落水を検知する。すなわち、回転速度が規定速度に達してから規定時間経過するまでは、排ガス温度に基づく落水検知を行わない。そのため、原動機5が冷えた状態でポンプ10を始動したような場合であっても、排ガス温度の上昇遅れによる誤検知を抑制でき、精度よく落水を検知できる。
【0042】
(第3実施形態)
上述した第2実施形態における排ガスの温度に基づく落水検知は、回転速度が規定速度に達してから規定時間経過後に行われるものであり、規定時間経過するまでは落水検知が行われない。
【0043】
そこで、次に述べる第3実施形態は、上述の第2実施形態に第1実施形態を組み合わせ、規定時間が経過するまでも、経過後も、落水検知を行えるようにする。
【0044】
図5は、排ガスの温度およびその単位時間当たりの上昇率に基づいて落水を検知することを説明するためのフローチャートである。
【0045】
まず、原動機5が始動する(ステップS21)。そして、速度計4によって計測される回転速度が規定速度に達すると(ステップS22のYES)、落水検知部2はその時点を基準とする計時を行う(ステップS23)。
【0046】
回転速度が規定速度に達してから規定時間が経過するまでは(ステップS24のNO)、落水検知部2は、第1実施形態で述べたように、排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率に基づいて、落水を検知する。すなわち、落水検知部2は、排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率(ΔT/dt)が規定値(ΔT0/dt)未満である場合(ステップS25
のYES)、落水と判定し(ステップS26)、上昇率(ΔT/dt)が規定値(ΔT0
/dt)以上である場合(ステップS25のNO)、落水なしと判定し(ステップS27)、規定時間が経過するまで判定を繰り返す。
【0047】
回転速度が規定速度に達してから規定時間が経過した後は(ステップS24のYES)、落水検知部2は、第2実施形態で述べたように、排ガスの温度に基づいて、落水を検知する。すなわち、落水検知部2は、排ガスの温度が規定温度以下である場合(ステップS28のYES)、落水と判定し(ステップS29)、排ガスの温度が規定温度以上である場合(ステップS28のNO)、落水なしと判定する(ステップS30)。
【0048】
このように、第3実施形態では、回転速度が規定速度に達してから規定時間が経過するまでは排ガスの温度の単位時間当たりの上昇率に基づいて落水を検知し、同規定時間が経過した後は排ガスの温度に基づいて落水を検知する。そのため、原動機5が冷えた状態でポンプ10を始動したような場合であっても、排ガス温度の上昇遅れによる誤検知を抑制しつつ、排ガス温度が上昇する前でも落水検知ができる。
【0049】
なお、図3のステップS2、図4のステップS12および図5のステップS22において、回転速度が規定速度に達したことに変えて、原動機5の始動から所定時間経過したことに応じて、次のステップに進んでもよい。
【0050】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になし得ることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用し得ることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0051】
1 排水システム
2 落水検知部
3 温度計
4 速度計
5 原動機
6 減速機
10 ポンプ
11 吸込水槽
12 吸込口
13 吸込管
14 吐出弁
15 吐出管
16 吐出口
17 フラップ弁
18 吐出水槽
20 設置床
21 架台
30 満水検知器
31 真空ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5