(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092742
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】基板処理装置、及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230627BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
H01L21/304 601Z
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021207932
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】片岡 正道
【テーマコード(参考)】
5F057
【Fターム(参考)】
5F057AA05
5F057AA14
5F057BA20
5F057BB03
5F057BB05
5F057BB11
5F057CA16
5F057DA19
5F057DA22
5F057EB26
(57)【要約】
【課題】基板の周縁部を除去する際に欠陥の発生を抑制する、技術を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、保持部と、接触部と、移動部と、力印加部と、を備える。前記保持部は、重合基板を保持する。前記重合基板は、第1基板と前記第1基板に接合された第2基板とを有し、前記第1基板を中央部と周縁部とに分割する予定の第1分割ラインに改質層を有する。前記接触部は、前記第1基板の前記周縁部に対して前記第2基板とは反対側から接触する。前記移動部は、前記第1基板の前記周縁部に対して前記接触部を相対的に接離させる。前記力印加部は、前記移動部によって前記接触部を前記第1基板の前記周縁部に押し付けた状態で、前記接触部を介して前記第1基板の前記周縁部に対して前記第1分割ラインの外側に向かう力を印加する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と前記第1基板に接合された第2基板とを有し、前記第1基板を中央部と周縁部とに分割する予定の第1分割ラインに改質層を有する、重合基板を保持する保持部と、
前記第1基板の前記周縁部に対して前記第2基板とは反対側から接触する接触部と、
前記第1基板の前記周縁部に対して前記接触部を相対的に接離させる移動部と、
前記移動部によって前記接触部を前記第1基板の前記周縁部に押し付けた状態で、前記接触部を介して前記第1基板の前記周縁部に対して前記第1分割ラインの外側に向かう力を印加する力印加部と、
を備える、基板処理装置。
【請求項2】
前記接触部は、前記第1基板の前記周縁部に対して前記第2基板とは反対側から接触する回転ローラを含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記力印加部は、前記第1基板の前記周縁部に対して前記力を印加する方向に、前記回転ローラを回転させる回転部を含む、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記力印加部は、前記第1基板の前記周縁部に対して前記力を印加する方向に、前記接触部を移動させる第2移動部を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記保持部を回転させることで前記重合基板を回転させる第2回転部と、前記移動部と前記力印加部と前記第2回転部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記移動部によって前記接触部を前記第1基板の前記周縁部から離間させた状態で前記第2回転部によって前記重合基板を回転させる制御を行うことと、前記第2回転部による前記重合基板の回転を停止させ且つ前記移動部によって前記接触部を前記第1基板の前記周縁部に押し付けた状態で前記力印加部によって前記第1基板の前記周縁部に対して前記力を印加する制御を行うことと、を所望の順番で繰り返し行う、請求項1~4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記保持部を回転させることで前記重合基板を回転させる第2回転部と、前記移動部と前記力印加部と前記第2回転部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記移動部によって前記接触部を前記第1基板の前記周縁部に押し付けた状態で、前記力印加部によって前記第1基板の前記周縁部に対して前記力を印加しながら、前記第2回転部によって前記重合基板を回転させる制御を行う、請求項1~4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記重合基板は、前記第1基板の前記周縁部を周方向に複数の破片に分割する予定の第2分割ラインに改質層を有し、
前記制御部は、前記移動部によって前記接触部を前記第2分割ラインに押し付けた状態で、前記力印加部によって前記第1基板の前記周縁部に対して前記力を印加する制御を行う、請求項5又は6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記接触部は複数であって、複数の前記接触部は前記第1基板の前記周縁部の異なる複数箇所に同時に押し付けられ、
前記力印加部は、複数の前記接触部を介して前記第1基板の前記周縁部の異なる複数箇所に対して前記力を同時に印加する、請求項1~7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第1基板の前記中央部と前記第1基板の前記周縁部の少なくとも一部とが分割されたか否かを監視する監視部を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記監視部は、前記接触部である回転ローラの回転トルクを検出するトルク検出部を含む、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記監視部は、前記接触部を前記第1基板の前記周縁部に押し付ける荷重を検出する荷重検出部を含む、請求項9又は10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
第1基板と前記第1基板に接合された第2基板とを有し、前記第1基板を中央部と周縁部とに分割する予定の第1分割ラインに改質層を有する、重合基板を準備することと、
前記第1基板の前記周縁部に対して前記第2基板とは反対側から接触部を接触させることと、
前記接触部を前記第1基板の前記周縁部に押し付けた状態で、前記接触部を介して前記第1基板の前記周縁部に対して前記第1分割ラインの外側に向かう力を印加することと、
を有する、基板処理方法。
【請求項13】
前記接触部は、前記第1基板の前記周縁部に対して前記第2基板とは反対側から接触する回転ローラを含み、
前記第1基板の前記周縁部に対して前記力を印加する方向に、前記回転ローラを回転させることを有する、請求項12に記載の基板処理方法。
【請求項14】
前記第1基板の前記周縁部に対して前記力を印加する方向に、前記接触部を移動させることを有する、請求項12又は13に記載の基板処理方法。
【請求項15】
前記接触部を前記第1基板の前記周縁部から離間させた状態で前記重合基板を回転させることと、前記重合基板の回転を停止させ且つ前記接触部を前記第1基板の前記周縁部に押し付けた状態で前記接触部を介して前記第1基板の前記周縁部に対して前記力を印加することと、を所望の順番で繰り返し行う、請求項12~14のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記接触部を前記第1基板の前記周縁部に押し付けた状態で、前記接触部を介して前記第1基板の前記周縁部に対して前記力を印加しながら、前記重合基板を回転させることを行う、請求項12~14のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記重合基板は、前記第1基板の前記周縁部を周方向に複数の破片に分割する予定の第2分割ラインに改質層を有し、
前記接触部を前記第2分割ラインに押し付けた状態で、前記接触部を介して前記第1基板の前記周縁部に対して前記力を印加することを行う、請求項12~16のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記接触部は複数であって、複数の前記接触部は前記第1基板の前記周縁部の異なる複数箇所に同時に押し付けられ、
複数の前記接触部を介して前記第1基板の前記周縁部の異なる複数箇所に対して前記力を同時に印加することを有する、請求項12~17のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記第1基板の前記中央部と前記第1基板の前記周縁部の少なくとも一部とが分割されたか否かを監視することを有する、請求項12~18のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項20】
前記接触部である回転ローラの回転トルクを検出することで、または、前記接触部を前記第1基板の前記周縁部に押し付ける荷重を検出することで、前記第1基板の前記中央部と前記第1基板の前記周縁部の少なくとも一部とが分割されたか否かを監視することを有する、請求項18に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の基板処理システムは、被処理基板と支持基板が接合された重合基板において被処理基板の周縁部の除去処理を行う周縁除去部と、周縁除去部で周縁部が除去された被処理基板の露出した面を研削する研削部と、を備える。特許文献2にも、周縁除去部について記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/013042号
【特許文献2】国際公開第2020/105483号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一態様は、基板の周縁部を除去する際に欠陥の発生を抑制する、技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る基板処理装置は、保持部と、接触部と、移動部と、力印加部と、を備える。前記保持部は、重合基板を保持する。前記重合基板は、第1基板と前記第1基板に接合された第2基板とを有し、前記第1基板を中央部と周縁部とに分割する予定の第1分割ラインに改質層を有する。前記接触部は、前記第1基板の前記周縁部に対して前記第2基板とは反対側から接触する。前記移動部は、前記第1基板の前記周縁部に対して前記接触部を相対的に接離させる。前記力印加部は、前記移動部によって前記接触部を前記第1基板の前記周縁部に押し付けた状態で、前記接触部を介して前記第1基板の前記周縁部に対して前記第1分割ラインの外側に向かう力を印加する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、基板の周縁部を除去する際に欠陥の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る基板処理装置で処理される重合基板を示す平面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る基板処理装置を示す断面図である。
【
図4】
図4は、回転部の動作の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、第2移動部の動作の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、無端ベルトの動作の一例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、回転ローラの第1例を示す平面図である。
【
図8】
図8は、回転ローラの第2例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。
【0009】
先ず、
図1および
図2を参照して、一実施形態に係る基板処理装置で処理される重合基板Tについて説明する。重合基板Tは、
図2に示すように、第1基板W1と、第1基板W1に接合された第2基板W2と、を有する。第1基板W1と第2基板W2は、例えばシリコンウェハ、化合物半導体ウェハ、またはガラス基板である。
【0010】
第1基板W1は、第2基板W2と対向する対向面W1aと、対向面W1aとは反対向きの反対面W1bと、を有する。第1基板W1の対向面W1aには、例えば、第1デバイス層D1と、第1接合層F1とがこの順番で形成される。第1デバイス層D1は、電子回路を含む。第1接合層F1は、例えば酸化層であり、好ましくは酸化シリコン層である。
【0011】
酸化層は、熱酸化法、CVD(Chemical Vapor Depositon)法、又はALD(Atomic Layer Deposition)法などで形成される。CVD法で酸化シリコン層を形成する場合、酸化シリコン層の原料としてTEOS(Tetra Ethoxy Silane)などが用いられる。
【0012】
第2基板W2は、第1基板W1と対向する対向面W2aと、対向面W2aとは反対向きの反対面W2bと、を有する。第2基板W2の対向面W2aには、例えば、第2デバイス層D2と、第2接合層F2とがこの順番で形成される。第2デバイス層D2は、電子回路を含む。第2接合層F2は、例えば酸化層であり、好ましくは酸化シリコン層である。
【0013】
重合基板Tは、例えば、第1基板W1と、第1デバイス層D1と、第1接合層F1と、第2接合層F2と、第2デバイス層D2と、第2基板W2と、をこの順番で有する。なお、重合基板Tは、少なくとも第1基板W1と第2基板W2とを有していればよい。例えば、重合基板Tは、第2デバイス層D2を有していなくてもよい。
【0014】
ところで、半導体デバイスの薄化を目的として、シリコンウェハなどの基板の薄化が行われることがある。基板がその周縁部にベベルを有した状態で基板が薄化されると、基板の周縁部がナイフエッジと呼ばれる形状になり、基板の周縁部が欠けやすくなってしまう。そこで、基板の薄化前に、基板の周縁部を除去する技術が検討されている。
【0015】
重合基板Tは、
図1に示すように、第1基板W1を中央部W11と周縁部W12とに分割する予定の第1分割ラインL1に改質層W13(
図2参照)を有する。周縁部W12は、ベベルを有している。周縁部W12は、平面視で環状である。平面視で周縁部W12の幅(外周と内周の距離)は、例えば0.5mm~3mmである。
【0016】
改質層W13(
図2参照)は、例えば第1基板W1に対してレーザー光線を照射することで形成される。レーザー光線は、例えばYAGレーザーによって形成する。改質層W13は、第1基板W1の板厚方向と周方向に間隔をおいて複数形成される。隣り合う改質層W13は、レーザー光線の照射時に形成されるクラックでつながっていてもよい。
【0017】
詳しくは後述するが、
図5に示すように第1基板W1の周縁部W12に力Fを印可することで、改質層W13を起点にクラックが広がり、周縁部W12と中央部W11が分割され、周縁部W12が除去される。第1基板W1の中央部W11は第2基板W2に接合されたままである。
【0018】
重合基板Tは、
図2に示すように、剥離層W14を有してもよい。剥離層W14は、第1基板W1の周縁部W12と第2基板W2の接合強度を、第1基板W1の中央部W11と第2基板W2の接合強度よりも低下させる。剥離層W14は、レーザー光線の照射によって形成される。レーザー光線は、例えばCO
2レーザーによって形成する。剥離層W14を形成することで、周縁部W12を容易に除去できる。
【0019】
剥離層W14は、例えば、第1基板W1の周縁部W12と第1デバイス層D1の界面に、環状に形成される。なお、剥離層W14は、重合基板Tの内部に形成されればよく、例えば第2基板W2と第2デバイス層D2の界面、または第1接合層F1と第2接合層F2の界面に形成されてもよい。
【0020】
重合基板Tは、
図1に示すように、第1基板W1の周縁部W12を周方向に複数の破片に分割する予定の複数の第2分割ラインL2a~L2hに改質層W13(
図2参照)を有してもよい。複数の第2分割ラインL2a~L2hは、放射状に設定される。第2分割ラインL2a~L2hの数は、本実施形態では8つであるが、2つ以上であればよく、特に限定されない。
【0021】
環状の周縁部W12を周方向に複数の破片に分割することで、複数の破片を第1基板W1の径方向外方に取り外すことができる。環状の周縁部W12を周方向に複数の破片に分割することなく第1基板W1の板厚方向に抜き取る場合に比べて、周縁部W12の除去が容易である。
【0022】
次に、主に
図3および
図4を参照して、一実施形態に係る基板処理装置1について説明する。基板処理装置1は、
図3に示すように、保持部10と、接触部20と、移動部30と、力印加部40と、を備える。保持部10は、重合基板Tを保持する。例えば、保持部10は、第1基板W1を上に向けて第2基板W2を下方から水平に保持する。
【0023】
接触部20は、重合基板Tを基準として保持部10とは反対側に配置され、第1基板W1の周縁部W12に対して第2基板W2とは反対側から接触する。例えば、接触部20は、第1基板W1の周縁部W12に対して上方から接触する。接触部20は、周縁部W12と中央部W11を引き裂くべく、周縁部W12のみに接触し、中央部W11には接触しない方が好ましい。
【0024】
接触部20は、例えば、回転ローラ21を含む。回転ローラ21は、その外周面にて第1基板W1に接触する。回転ローラ21と第1基板W1の摩擦力を高めるべく、回転ローラ21の外周面の材質は、ゴムまたは樹脂であってもよい。回転ローラ21の外周面は、回転角による摩擦力の変動を低減すべく、円周面であってよい。回転ローラ21の回転軸22は、第1基板W1の反対面W1bに対して平行に配置される。
【0025】
移動部30は、第1基板W1の周縁部W12に対して接触部20を相対的に接離させる。移動部30は、例えば接触部20を昇降させるが、保持部10を昇降させてもよい。移動部30は、例えば、図示しないモータと、モータの回転運動を直線運動に変換するボールねじとを、を含む。移動部30は、空気圧シリンダを含んでもよい。
【0026】
力印加部40は、移動部30によって接触部20を第1基板W1の周縁部W12に押し付けた状態で、接触部20を介して周縁部W12に対して第1分割ラインL1の外側に向かう力F(
図4参照)を印加する。接触部20を周縁部W12に押し付けることで、摩擦力を増大でき、分割に十分な力Fを印可できる。
【0027】
力Fは、第1分割ラインL1の外側に向かう方向に作用し、周縁部W12と中央部W11とを引き裂く。周縁部W12と中央部W11の分割面同士を引き離す方向に力Fが作用する。分割面同士を引き離すことで、分割面同士が擦れ合うのを抑制でき、欠陥の発生を抑制できる。欠陥は、チッピングまたはシェルクラックなどである。
【0028】
力印加部40は、例えば、回転部41と第2移動部42の少なくとも1つを含む。回転部41は、
図4に示すように、第1基板W1の周縁部W12に対して力Fを印加する方向(
図4では反時計回りの方向)に、回転ローラ21を回転させる。回転ローラ21の回転トルクによって、周縁部W12と中央部W11とを引き裂くことができる。
【0029】
第2移動部42は、
図5に示すように、第1基板W1の周縁部W12に対して力Fを印加する方向(
図5では右方向)に、接触部20を移動させる。接触部20の移動によって、周縁部W12と中央部W11とを引き裂くことができる。なお、力印加部40は、例えば、回転部41と第2移動部42の両方を含んでもよい。なお、力印加部40は、回転部41と第2移動部42の少なくとも1つを含めばよく、両方を含まなくてもよい。
【0030】
図6に示すように、接触部20は、一対の回転ローラ21と、一対の回転ローラ21に掛け回される無端ベルト23と、を含んでもよい。無端ベルト23が、第1基板W1に押し付けられる。無端ベルト23の材質は、例えば樹脂またはゴムである。回転部41は、少なくとも1つの回転ローラ21を回転させることで、無端ベルト23を循環させ、第1基板W1の周縁部W12に対して力Fを印加する。
【0031】
基板処理装置1は、
図3に示すように、監視部50を備えてもよい。監視部50は、第1基板W1の中央部W11と第1基板W1の周縁部W12の少なくとも一部とが分割されたか否かを監視する。周縁部W12を複数の破片に分割して除去する場合、一の破片の除去を確認した後に別の破片の除去を実施することで、全ての破片を確実に除去できる。制御部90は、監視部50の監視結果を作業者に対して報知してもよい。なお、監視部50は、基板処理装置1の消耗部品の交換タイミングを検出する交換タイミング検出部として用いることも可能である。
【0032】
監視部50は、例えば回転部41による回転ローラ21の回転トルクを検出するトルク検出部51を含む。中央部W11と周縁部W12が未分割であれば、中央部W11が回転ローラ21の回転に逆らって周縁部W12をつなぎとめようとするので、回転ローラ21のトルクが閾値以上になる。中央部W11と周縁部W12が分割済みであれば、中央部W11が周縁部W12をつなぎとめることがなく、回転ローラ21の回転トルクが閾値未満になる。なお、回転ローラ21の摩耗が進むと、中央部W11と周縁部W12が未分割であっても、周縁部W12上で回転ローラ21が滑ってしまうので、回転トルクが予め設定した下限値を下回る。交換タイミング検出部は、回転トルクが下限値を下回ることを検出することで、回転ローラ21の交換タイミングを検出してもよい。
【0033】
監視部50は、移動部30によって接触部20を第1基板W1の周縁部W12に押し付ける荷重を検出する荷重検出部52を含んでもよい。荷重検出部52は、例えば荷重によって生じる歪を検出する。中央部W11と周縁部W12が未分割であれば、接触部20が周縁部W12に当接しており、周縁部W12が接触部20を押し返すので、荷重が閾値以上になる。中央部W11と周縁部W12が分割済みであれば、接触部20が周縁部W12に当接しておらず、周縁部W12が接触部20を押し返さないので、回転ローラ21の回転トルクが閾値未満になる。なお、回転ローラ21の摩耗が進むと、周縁部W12が回転ローラ21を押し返したとしても、荷重が予め設定した下限値を下回るか上限値を上回る。交換タイミング検出部は、荷重が予め設定した下限値を下回るか上限値を上回ることを検出することで、回転ローラ21の交換タイミングを検出してもよい。
【0034】
基板処理装置1は、第2回転部60を備えてもよい。第2回転部60は、保持部10を回転させることで重合基板Tを回転させる。重合基板Tは、重合基板Tの中心を中心に回転させられる。重合基板Tを回転させることで、周縁部W12における接触部20の接触位置を変更できる。接触部20の数が少ない場合に有効である。
【0035】
周縁部W12における接触部20の接触位置を変更させるべく、接触部20を第1基板W1の周縁部W12に沿って移動させてもよい。但し、接触部20を第1基板W1の周縁部W12に沿って移動させるよりも、重合基板Tを回転させる方が、周縁部W12における接触部20の接触位置を容易に変更できる。
【0036】
基板処理装置1は、制御部90を備えてもよい。制御部90は、例えばコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)91と、メモリ等の記憶媒体92とを備える。記憶媒体92には、基板処理装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部90は、記憶媒体92に記憶されたプログラムをCPU91に実行させることにより、基板処理装置1の動作を制御する。制御部90は、例えば、移動部30と力印加部40と第2回転部60を制御する。
【0037】
例えば、制御部90は、下記(A)と(B)の制御を所望の順番で繰り返し行う。(A)移動部30によって接触部20を第1基板W1の周縁部W12から離間させた状態で第2回転部60によって重合基板Tを回転させる。(B)第2回転部60による重合基板Tの回転を停止させ且つ移動部30によって接触部20を第1基板W1の周縁部W12に押し付けた状態で、力印加部40によって第1基板W1の周縁部W12に対して力Fを印加する。
【0038】
制御部90は、上記(A)の制御を行うことで、第1基板W1の周縁部W12における接触部20の接触位置を変更する。その接触位置は、例えば、
図7に示すように、各第2分割ラインL2a~L2hである。制御部90は、移動部30によって接触部20を各第2分割ラインL2a~L2hに押し付けた状態で、上記(B)の制御を行う。これにより、各第2分割ラインL2a~L2hと第1分割ラインL1で、周縁部W12と中央部W11を分割できる。
【0039】
制御部90が上記(A)と(B)の制御を所望の順番で繰り返し行う場合、重合基板Tの回転と、回転ローラ21の回転(力Fの印可)とは同時には行われない。この場合、
図7に示すように、回転ローラ21の回転軸22は、第1基板W1の径方向に対して直交するように配置されてもよい。第1分割ラインL1と直交する方向に第1基板W1の周縁部W12に対して力Fを印可できる。
【0040】
制御部90は、上記(A)と(B)の制御を行う代わりに、下記(C)の制御を行ってもよい。(C)移動部30によって接触部20を第1基板W1の周縁部W12に押し付けた状態で、力印加部40によって第1基板W1の周縁部W12に対して力Fを印加しながら、第2回転部60によって重合基板Tを回転させる。周縁部W12の周方向全体(各第2分割ラインL2a~L2hを含む)に亘って接触部20を接触でき、周縁部W12の周方向全体に力Fを印可できる。
【0041】
制御部90が上記(C)の制御を行う場合、重合基板Tの回転と、回転ローラ21の回転(力Fの印可)とが同時に行われる。この場合、
図8に示すように、回転ローラ21の回転軸22は、第1基板W1の径方向に対して斜めに配置されてもよい。重合基板Tの回転と回転ローラ21の回転とを滑らかに実施できる。
【0042】
重合基板Tの回転と、回転ローラ21の回転(力Fの印可)とが同時に行われる場合、
図9に示すように、回転軸22の軸方向から見たときに、回転ローラ21の重合基板Tとの接触位置における回転方向(矢印A1方向)と、重合基板Tの回転方向(矢印A2方向)とが逆方向であってよい。重合基板Tの回転に逆らって回転ローラ21を回転させることで、力Fを増大できる。
【0043】
図10に示すように、複数の接触部20が、第1基板W1の周縁部W12の異なる複数箇所に同時に押し付けられてもよい。例えば、複数の接触部20が、第1基板W1の周方向に間隔をおいて配置されてもよい。複数の接触部20を用いて、第1基板W1の周縁部W12の複数箇所に同時に力Fを印可できる。例えば接触部20の数は第2分割ラインL2a~L2hの数と同数であってよく、全ての第2分割ラインL2a~L2hに同時に力Fが印可されてもよい。この場合、重合基板Tの回転は不要であり、第2回転部60は不要である。
【0044】
図11に示すように、一対の接触部20が、第1基板W1の中心を中心に点対称に配置されてもよい。一対の接触部20を用いて、第1基板W1の周縁部W12の2箇所に同時に力Fを印可できる。接触部20の数が第2分割ラインL2a~L2hの数よりも少ない場合、重合基板Tを回転させることで、第1基板W1の周縁部W12における接触部20の接触位置を変更すればよい。なお、重合基板Tを回転させる代わりに、一対の接触部20を第1基板W1の中心を中心に回転させてもよい。
【0045】
図12に示すように、接触部20は円弧状のパッド24を複数(例えば一対)含んでもよい。一対のパッド24は、第1分割ラインL1の外側に第1分割ラインL1に沿って配置される。パッド24の材質は、例えばゴムまたは樹脂である。一対のパッド24は、第1基板W1の中心を中心に対称に配置され、第1基板W1の中心から遠ざかる方向に移動させられる。これにより、力Fを印可できる。なお、パッド24の数は、2つには限定されず、3つ以上でもよい。
【0046】
接触部20は、図示しないが複数層構造であってもよく、パッド24を補強する補強板を更に含んでもよい。複数のパッドに対応して複数の補強板が用いられる。パッド24が第1基板W1に接触するのに対し、補強板は第1基板W1に接触しない。それゆえ、上方から見たときに、補強板は、パッド24とは異なり、第1基板W1の中央部W11に重なっていてもよい。
【0047】
以上、本開示に係る基板処理装置、及び基板処理方法の実施形態等について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0048】
1 基板処理装置
10 保持部
20 接触部
30 移動部
40 力印加部
L1 第1分割ライン
T 重合基板
W1 第1基板
W11 中央部
W12 周縁部
W13 改質層
W2 第2基板