(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092873
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】充電装置、充電方法、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230627BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230627BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208139
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山堀 俊太
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA04
5G503EA05
5G503EA08
5H030AS11
5H030BB01
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】充電装置に異常が発生した場合に原因を把握可能とする。
【解決手段】充電装置101は、直流負荷103に直流電流である負荷電流を供給する直流電源10と、二次電池102と、直流電源10、直流負荷103、二次電池102と電気的に接続され、二次電池102の充電を制御する充電制御部111と、直流電源10の出力電圧A、充電制御部111の入力電流B、直流負荷103の入力電圧C、二次電池102の充電電流D、及び放電電流Eの入力情報に基づき、異常箇所を判定する異常箇所判定部122と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流負荷に直流電流である負荷電流を供給する直流電源と、
二次電池と、
前記直流電源、前記直流負荷、前記二次電池と電気的に接続され、前記二次電池の充電を制御する充電制御部と、
前記充電制御部内にあって前記直流電源を入力として前記二次電池に充電電流を供給する充電器と、
前記直流電源の前記負荷電流と前記充電電流とが合計された電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部により検出された前記電流が前記直流電源の許容電力以内となるように前記充電電流を可変充電制御する充電電流制御部と、
前記二次電池の前記充電電流と放電電流を検出し積算することで前記二次電池の残量を把握する残量検知部と、
前記直流電源の出力電圧、前記充電制御部の入力電流、前記直流負荷の入力電圧、及び前記二次電池の充放電電流の入力情報に基づき、異常箇所を判定する異常箇所判定部と、
を備える、
充電装置。
【請求項2】
前記直流電源と前記充電制御部を接続する第1コネクタと、
前記充電制御部と前記直流負荷を接続する第2コネクタと、
前記充電制御部と前記二次電池を接続する第3コネクタと、
を備え、
前記異常箇所判定部は、前記入力情報に基づき、前記直流電源の故障、前記充電器の故障、前記第1コネクタの抜け、前記第2コネクタの抜け、前記第3コネクタの抜け、前記二次電池の故障、前記直流負荷の故障のうち少なくとも一部の異常箇所を判定する、
請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記異常箇所判定部は、前記入力情報の検出結果のパターンの組み合わせと、複数の異常箇所候補との対応関係が記録される異常箇所判定表を有し、
前記入力情報に基づき前記異常箇所判定表を参照して、前記複数の異常箇所候補の中から前記異常箇所を特定する、
請求項1または2に記載の充電装置。
【請求項4】
前記二次電池の充電モードと放電モードを切り替えるモード切替部を有し、
前記異常箇所判定部は、前記モード切替部により前記放電モードに強制的に切り替えて、前記二次電池の放電電流を前記入力情報として取得する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の充電装置。
【請求項5】
前記異常箇所判定部の判定した結果から、前記異常箇所を報知する報知部を備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の充電装置。
【請求項6】
直流負荷に直流電流である負荷電流を供給する直流電源と、
二次電池と、
前記直流電源、前記直流負荷、前記二次電池と電気的に接続され、前記二次電池の充電を制御する充電制御部と、
前記充電制御部内にあって前記直流電源を入力として前記二次電池に充電電流を供給する充電器と、
前記二次電池の前記充電電流と放電電流を検出し積算することで前記二次電池の残量を把握する残量検知部と、
前記直流電源の出力電圧、前記充電器の入力電圧、前記直流負荷の入力電圧、及び前記二次電池の充放電電流の入力情報に基づき、異常箇所を判定する異常箇所判定部と、
を有する充電装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の充電装置を備える画像形成装置。
【請求項8】
直流負荷に直流電流である負荷電流を供給する直流電源と、
二次電池と、
前記直流電源、前記直流負荷、前記二次電池と電気的に接続され、前記二次電池の充電を制御する充電制御部と、
前記充電制御部内にあって前記直流電源を入力として前記二次電池に充電電流を供給する充電器と、
を備える充電装置の充電方法であって
前記直流電源の前記負荷電流と前記充電電流とが合計された電流を検出する電流検出ステップと、
前記電流検出ステップにて検出された前記電流が前記直流電源の許容電力以内となるように前記充電電流を可変充電制御する充電電流制御ステップと、
前記二次電池の前記充電電流と放電電流を検出し積算することで前記二次電池の残量を把握する残量検知ステップと、
前記直流電源の出力電圧、前記充電制御部の入力電流、前記直流負荷の入力電圧、及び前記二次電池の充放電電流の入力情報に基づき、異常箇所を判定する異常箇所判定ステップと、
を含む、
充電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置、充電方法、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
供給電力に制限のある電源から、負荷に供給する電力以外の余剰電力分を使って二次電池を充電する充電装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、電源の供給能力を最大限に使い、二次電池の充電時間を短縮する目的で、負荷に応じて充電電流を可変させることで電源の供給能力を最大限に使って二次電池を充電する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、充電装置に何らかの異常が発生した場合に、原因の把握(コネクタ抜け含む異常箇所の特定)ができず、未故障モジュールも同時に交換されてしまうことがある。
【0005】
本発明は、充電装置に異常が発生した場合に原因を把握可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一観点に係る充電装置は、直流負荷に直流電流である負荷電流を供給する直流電源と、二次電池と、前記直流電源、前記直流負荷、前記二次電池と電気的に接続され、前記二次電池の充電を制御する充電制御部と、前記充電制御部内にあって前記直流電源を入力として前記二次電池に充電電流を供給する充電器と、前記直流電源の前記負荷電流と前記充電電流とが合計された電流を検出する電流検出部と、前記電流検出部により検出された前記電流が前記直流電源の許容電力以内となるように前記充電電流を可変充電制御する充電電流制御部と、前記二次電池の前記充電電流と放電電流を検出し積算することで前記二次電池の残量を把握する残量検知部と、前記直流電源の出力電圧、前記充電制御部の入力電流、前記直流負荷の入力電圧、及び前記二次電池の充放電電流の入力情報に基づき、異常箇所を判定する異常箇所判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
充電装置に異常が発生した場合に原因を把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を説明する図
【
図4】第1実施形態に係る充電装置の機能ブロック図
【
図6】異常箇所が直流電源の場合の動作を説明する図
【
図8】異常箇所が第1コネクタ抜けの場合の動作を説明する図
【
図9】異常箇所が第2コネクタ抜けの場合の動作を説明する図
【
図10】異常箇所が第3コネクタ抜けの場合の動作を説明する図
【
図11】異常箇所が二次電池の場合の動作を説明する図
【
図12】異常箇所が直流負荷の場合の動作を説明する図
【
図14】第2実施形態に係る充電装置の機能ブロック図
【
図15】第3実施形態に係る充電装置の機能ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
[第1実施形態]
図1~
図13を参照して第1実施形態を説明する。
【0011】
<画像形成装置の構成>
まず
図1、
図2を参照して、本実施形態に係る充電装置101が適用される画像形成装置100の構成を説明する。
図1は、実施形態に係る画像形成装置100の構成の一例を説明する図である。
図1は、画像形成装置100の内部を部分的に透視した側面図である。
【0012】
画像形成装置100は、コピー機能、FAX機能、プリント機能、スキャナ機能、また、入力画像(スキャナ機能による読み取り原稿や、プリンタ機能あるいはFAX機能により入力された画像)を保存や配信する機能等を複合して有するいわゆるMFP(Multi Function Peripheral/Printer)と称される複合機である。
【0013】
また、画像形成装置100は、PC(Personal Computer)等の外部装置とも通信可能であり、外部装置から受信した指示に応じた動作を行うこともできる。なお、本実施形態において、画像形成装置100で処理される「画像」には画像データだけでなく、画像データが含まれていないデータ、つまりテキスト情報のみのデータも含むものとする。
【0014】
画像形成装置100は、帯電された感光体表面が選択的に露光されることにより書き込まれた静電潜像に、トナーを付着させ、付着させたトナーを用紙等の記録媒体に転写する、いわゆる電子写真方式の画像形成装置である。
【0015】
画像形成装置100は、
図1に示されるように、操作パネル1と、起動スイッチ2と、操作パネル1の操作入力等に基づいて画像形成装置100を制御するコントローラ3と、原稿を読み取る読取部4と、読取部4の読取結果に基づき制御信号を生成するエンジン制御部5と、用紙等の記録媒体上に画像を形成する画像形成部としてのプリンタユニット6と、記録媒体を収納する給紙カセット7A,7Bと、給紙搬送部としての搬送ユニット8を有する。
【0016】
操作部である操作パネル1は、利用者の操作に応じた各種の入力を受け付けるとともに、各種の情報(例えば受け付けた操作を示す情報、画像形成装置100の動作状況を示す情報、画像形成装置100の設定状態を示す情報など)を表示する。操作パネル1は、一例としてタッチパネル機能を搭載した液晶表示装置(LCD:Liquid Cristal Display)で構成されるが、これに限られるものではない。例えばタッチパネル機能が搭載された有機EL(Electro-Luminescence)表示装置で構成されてもよい。さらに、これに加えて又はこれに代えて、ハードウェアキー等の操作部やランプ等の表示部を設けることもできる。
【0017】
起動スイッチ2は、画像形成装置100の電源がオフの状態でユーザによって押圧されると、画像形成装置100を起動する。また画像形成装置100が起動した状態、つまり電源がオンの状態でユーザによって押下されると、画像形成装置をオフ状態とする。このように起動スイッチ2は、ユーザが押圧することによって画像形成装置100をオン/オフしてもよいがこれに限られず、外部装置から受信した指示に基づき画像形成装置100をオン/オフしてもよい。
【0018】
コントローラ3は、画像形成装置100を統括的に制御する。一例として操作パネル1が受け付けた操作や情報に応じた動作を、画像形成装置100に実行させる。その他の例として、PC(Personal Computer)等の外部機器から画像形成装置100が受け付けた指示等を画像形成装置100に実行させる。さらにその他の例として、特定の条件を検知した場合、例えば起動スイッチ2の押下を検知した場合、さらにその他の例として、画像形成装置100に発生した異常を検知した場合等に、あらかじめ決められた動作を画像形成装置100に実行させる。
【0019】
コントローラ3の具体例としては、画像形成装置100を統括的に制御する回路を搭載したコントローラボードである。この回路には、一例としてCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RA
M(Random Access Memory)が搭載されており、CPUが、RAMを作業領域として、ROMやHDD(Hard Disc Drive)に記憶されたプログラムを実行することによって、画像形成装置100を制御する。
【0020】
読取部4は、ADF(Auto Document Feeder)41とスキャナ部42を有する。ADF41は、ADF41上に置かれた原稿を順次し搬送し光学的に読み取り画像データを生成する。スキャナ部42は、透明な原稿台の上に原稿を固定し、固定された原稿を光学的に読み取り画像データを生成する。
【0021】
エンジン制御部5は、読取部4により生成された画像データに基づき、プリンタユニット6や搬送ユニット8を制御する制御信号を生成する。エンジン制御部5の具体例としては、画像データに基づき制御信号を生成するための回路基板である。
【0022】
画像形成部であるプリンタユニット6は、感光体としての感光体ドラム61と、感光体ドラム61の外表面を帯電させる帯電部材62と、読取部4により読み取られた画像データに基づいて、帯電された感光体ドラム61上を露光して、感光体上に静電潜像を書き込む書込みユニット63と、書き込まれた潜像をトナーで現像する現像部材64と、トナー画像を形成する記録媒体を搬送する搬送ベルト65と、記録媒体上のトナーを記録媒体に定着させる定着部66とを有し、記録媒体上にトナー画像を形成する。
【0023】
給紙カセット7A、7Bは画像形成前の記録媒体を収納する。
図1においては一例として二つの給紙カセットを有し、それぞれにサイズの異なる記録媒体を収納しているが、一つであっても良いし、三つ以上であってもよい。
【0024】
給紙搬送部としての搬送ユニット8は、各種ローラを有し、給紙カセット7A、給紙カセット7Bに収納された記録媒体をプリンタユニット6に搬送する。
【0025】
ここで、コピーモードを例として画像形成装置100での画像形成の流れを説明する。まずユーザが、操作パネル1で機能切替キー等をユーザが操作することにより、画像形成装置100のコピー機能、プリンタ機能、及びファクシミリ機能を順次に切り替えて選択し、各機能を動作させることが可能となる。コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリ機能選択時にはファクシミリモードとなる。
【0026】
コピーモードでは、読取部4により、コピーする各原稿の画像情報が読み取られ、画像データが生成される。
【0027】
感光体ドラム61の外周面は、暗中にて帯電部材62により一様に帯電された後、書込みユニット63からの照射光(
図1中に点線矢印Aで示す。)により露光され、その結果
、感光体ドラム61の外周面上に静電潜像が形成される。現像部材64は、この静電潜像をトナーにより可視像化する。これにより、感光体ドラム51上にトナー画像が形成される。感光体ドラム61上に形成されたトナー画像は、搬送ベルト65上の記録媒体に転写される。そして定着部66が記録媒体上のトナー画像のトナーを一例としてヒータで加熱溶融して、記録媒体にトナー画像を定着し、記録媒体を画像形成装置100から排出する。
【0028】
なお、プリンタユニット6がモノクロの電子写真方式によって画像を形成する場合を説明したが、カラーの電子写真方式やインクジェット方式などであってもよく、画像形成方式はこれらに限られない。
【0029】
また、上述の操作パネル1は、コントローラ3によって制御されてもよいし、コントローラ3とは別に操作パネル1を制御するための制御回路を7有し、制御されてもよい。その場合、コントローラ3の制御回路と操作パネル1の制御回路は、相互に通信可能に接続され、コントローラ3は操作パネル1を含む画像形成装置100全体を制御する。
【0030】
なお、コントローラ3と、エンジン制御部5と、プリンタユニット6と、給紙カセット7A、7B、搬送ユニット8は画像形成装置100の外装内に設けられているが
図1においては内部を透視して示している。
【0031】
図2は、画像形成装置100内の電力供給構成図である。画像形成装置100が商用電源に接続された状態を示している。
【0032】
画像形成装置100は、AC(Alternating Current)制御部9と、直流電源10を有する。画像形成装置100はさらに、充電装置101と、二次電池102を有する。
【0033】
AC制御部9は、商用電源から入力されたAC電圧を定着部66へ供給する。定着部66は、エンジン制御部5によってAC電圧が供給された定着ヒータのON/OFF等の制御は、エンジン制御部5によって行われる。
【0034】
直流電源10は、充電装置101に接続され、充電装置101を介してコントローラ3および二次電池102へ供給される電源系統である。直流電源10は、充電装置101を介してコントローラ3および二次電池102へ接続される。
【0035】
また、直流電源10は、充電装置101に接続され、充電装置101及びエンジン制御部5を介して読取部4、画像形成部6、搬送ユニット8などの直流負荷へ供給される電源系統である。直流電源10は、充電装置101を介してエンジン制御部5に接続され、さらにエンジン制御部5から読取部4、画像形成部6、搬送ユニット8などの直流負荷に接続される。なお、以降では読取部4、画像形成部6、搬送ユニット8などの直流負荷を纏めて「直流負荷103」とも表記する場合がある。また、コントローラ3も直流負荷103の一部に含まれ得る。
【0036】
充電装置101は、直流電源10によるコントローラ3や直流負荷103への電力供給と、直流電源10による二次電池102への充電を制御する。したがって、充電装置101は、コントローラ3や直流負荷103への電力供給装置としても機能している。
【0037】
図2に示される電力供給構成による画像形成装置100の動作について説明する。画像形成装置100へ商用電源等の外部電源からの電力供給が通常通り行われているときは、直流電源10からの電力は、コントローラ3へ供給される。ここで、コントローラ3の動作内容によって必要な電力は変わるため、コントローラ3の動作に使用されない電力である余剰電力は、二次電池102へ供給されて、この余剰電力によって二次電池102の充電が行われる。
【0038】
そして災害等によって停電、つまり通常時に供給されていた外部電源からの電力供給がとまったときは、画像形成装置100の直流電源10に対して二次電池102から電力供給する。つまり二次電池102は、直流電源10の補助電源として機能する。
【0039】
ここで、コントローラ3に操作パネル1の制御やファクシミリの制御機能を持たせることにより、停電時でも、コントローラ3が動作し、ファクシミリデータを受信して画像形成装置100のHDD(Hard Disc Drive)等に記憶することができる。そしてAC電源を供給可能なUPS(Uninterruptible Power Supply)による電力供給開始時、もしくは停電からの復旧時には、記憶されたファクシミリデータを印刷出力することが可能である。
【0040】
<参考形態>
図3を参照して、直流電源10を備える画像形成装置100における、従来技術の充電装置101Cの構成を説明する。構成と基本動作(充電/放電)について説明する。
図3は、参考形態に係る従来の充電装置101Cの機能ブロック図であり、充電装置101Cの基本動作を説明する図である。
図3の(A)は充電時の動作、(B)は放電時の動作を示している。
【0041】
図3(A)に示すように、充電時には、充電装置101Cは、直流電源10から負荷103へ電力を供給しつつ(図中の「負荷電流」の矢印)、直流電源103の余剰電力分で二次電池102を充電する(図中の「充電電流」の矢印)。
【0042】
図3(B)に示すように、放電時には、充電装置101Cは、二次電池102から負荷103へ電力を供給する(図中の「放電電流」の矢印)。
【0043】
図3に示すように、充電装置101Cは充電制御部111を備える。充電制御部111は、直流電源10、直流負荷103、二次電池102と電気的に接続され、二次電池102の充電を制御する。また、充電制御部111は、直流電源10による直流負荷103やコントローラ3への電力供給、直流電源10による二次電池102への充電、二次電池102から直流負荷103への放電などの動作を制御する。
【0044】
充電制御部111は、直流電源10とコネクタ116、117(第1コネクタ)を介して電気的に接続され、直流負荷103とコネクタ118、119(第2コネクタ)を介して電気的に接続され、二次電池102とコネクタ120、121(第3コネクタ)を介して電気的に接続されている。
【0045】
充電制御部111は、充電器112と、電流検出部113と、充電電流制御部114と、残量検知部115と、を有する。
【0046】
充電器112は、直流電源10を入力として二次電池102に充電電流を供給する。充電器112は、電流方向の上流側で電流検出部113及び充電電流制御部114と接続され、下流側で残量検知部115と接続される。なお、本実施形態では、電流方向とは、直流電源10から充電制御部111を介して直流負荷103及び二次電池102に電流が流れる方向であり、この電流方向のうち、直流電源10側を上流側、直流負荷103側を下流側と呼ぶ。
【0047】
電流検出部113は、直流電源10の負荷電流と充電電流とが合計された電流(直流電源10の出力電流)を検出する(電流検出ステップ)。電流検出部113は、電流方向の上流側で直流電源10と接続され、下流側で直流負荷103、充電電流制御部114、充電器112と接続される。
【0048】
充電電流制御部114は、電流検出部113により検出された電流が直流電源10の許容電力以内となるように充電電流を可変充電制御する(充電電流制御ステップ)。つまり、直流負荷103に応じて、二次電池102への充電電流が変化する。充電電流制御部114により設定される、直流電源10の最大供給可能電流は、例えばコントローラ3などから通知される画像形成装置100の動作状態によって可変する。画像形成装置100は静音モード(省エネ、待機)のときには許容電力は小さくなり、通常モード(コピーなど)のときには冷却FANも回転しており、最大供給可能電流は大きくなる。充電電流制御部114は、電流方向の上流側で電流検出部113と接続され、下流側で充電器112と接続される。
【0049】
残量検知部115は、二次電池102の充電電流と放電電流を検出し積算することで二次電池102の残量を把握する(残量検知ステップ)。残量検知部115は、電流方向の上流側で充電器112と接続され、下流側で二次電池102と接続される。
【0050】
<第1実施形態の要部構成>
図4~
図13を参照して第1実施形態の要部構成について説明する。
【0051】
図4を参照して第1実施形態の構成を説明する。
図4は、第1実施形態に係る充電装置101の機能ブロック図である。
図3の参考形態からの追加変更点のみ説明する。
【0052】
充電装置101は、異常箇所判定部122を備える。充電制御部111は、スイッチ123(モード切替部)を有する。
【0053】
異常箇所判定部122は、充電装置101の異常発生有無の監視を行い、何らかの異常が発生した場合には異常箇所を判定する。異常箇所判定部122は、直流電源10の出力電圧A、充電制御部111の入力電流B、直流負荷103の入力電圧C、二次電池102の充電電流D、及び放電電流Eを入力情報として取得して、上記の監視と判定を行う。
【0054】
充電制御部111の入力電流Bは、例えば
図4に示すように、電流検出部113と充電電流制御部114との間の電流値を取得する。二次電池102の充電電流D、及び放電電流Eは、例えば
図4に示すように、残量検知部115が残量を検出するために保持している充電電流と放電電流の情報を取得する。また、異常箇所判定部122は、コントローラ3の動作状態も入力情報として取得してもよい。
【0055】
異常箇所判定部122は、上記の入力情報に基づき、直流電源10の故障、充電器112の故障、第1コネクタ(直流電源10と充電制御部111とを接続するコネクタ116またコネクタ117)の抜け、第2コネクタ(充電制御部111と直流負荷103とを接続するコネクタ118またコネクタ119)の抜け、第3コネクタ(充電制御部111と二次電池102とを接続するコネクタ120またコネクタ121)の抜け、二次電池102の故障、直流負荷103の故障の異常箇所を判定する。
【0056】
なお、異常箇所判定部122は、上記の異常箇所候補の少なくとも一部を判定する構成でもよい。
【0057】
また、異常箇所判定部122は、上記の入力情報の検出結果のパターンの組み合わせと、複数の異常箇所候補との対応関係が記録される異常箇所判定表を有する。異常箇所判定部122は、入力情報に基づき異常箇所判定表を参照して、複数の異常箇所候補の中から異常箇所を特定することができる。
【0058】
図5は、異常箇所判定表の一例を示す図である。
図5の例では、入力情報として上述の直流電源10の出力電圧A、充電制御部111の入力電流B、直流負荷103の入力電圧C、二次電池102の充電電流D、及び放電電流Eの5種類の検出箇所と検出情報の組み合わせが含まれる。また、これらの入力情報の検出可否の組み合わせパターンに応じて、「異常なし」、「直流電源10の故障」、「充電器112の故障」、「第1コネクタ抜け」、「第2コネクタ抜け」、「第3コネクタの抜け」、「二次電池102の故障」、「直流負荷103の故障」の8種類の検出結果が含まれる。
図5の表では、各入力情報が検出できる場合を「〇」と表記し、検出できない場合を「×」と表記している。
【0059】
なお、本実施形態では、異常箇所判定部122が、入力情報に基づき
図5に例示する異常箇所判定表を参照して、複数の異常箇所候補の中から異常箇所を特定する構成を例示したが、異常箇所判定表を用いない構成でもよい。例えば異常箇所判定部122が上記の入力情報を入力すると異常箇所を特定する情報を出力する予測器を有し、予め予測器の入出力関係を機械学習手法により取得しておき、学習済の予測器を用いて異常箇所を判定する構成でもよい。
【0060】
スイッチ123は、電流検出部113と直流負荷103との間、かつ、充電器112より上流側に配置される。スイッチ123は、オン状態とオフ状態を切り替えることによって、直流電源10の出力電流を、電流方向の下流側の直流負荷103及び充電器112に供給するか遮断するかを切り替える。
【0061】
スイッチ123がオン状態のとき、直流電源10の充電電流が充電器112を介して二次電池102に供給される充電モードとなる。一方、スイッチ123がオフ状態のとき、直流電源10の充電電流が二次電池102に供給されず、また、直流電源10の負荷電流が直流負荷103に供給されないので、二次電池102からの放電電流が充電制御部111を介して直流負荷103に供給される放電モードとなる。つまり、スイッチ123は、二次電池102の充電モードと放電モードを切り替えるモード切替部として機能する。
【0062】
スイッチ123は、異常箇所判定部122に接続されており、異常箇所判定部122からの指令に応じて動作する。異常箇所判定部122は、異常箇所判定処理において、スイッチ123のオン状態とオフ状態とを切り替える。異常箇所判定部122によりスイッチ123の切り替えタイミングについては
図13を参照して後述する。
【0063】
なお、スイッチ123は、少なくとも直流電源10の出力電流を、電流方向の下流側の直流負荷103及び充電器112に供給するか遮断するかを切り替える機能を有する要素であればよく、同様の機能を有するスイッチ以外の要素を適用する構成でもよい。
【0064】
異常箇所判定部122の動作の概要は例えば以下のとおりである。直流負荷103のいずれかの機器が異常停止した際、コントローラ3から異常箇所判定部122へ判定開始の信号が送られる。異常箇所判定部122は、この信号を受けるのに応じて、
図5に示す箇所(A~E)の電圧値や電流値を検出する。各検出値に基づき
図5の異常箇所判定表を参照して、検出結果の組合せが判定表のどのパターンに該当するのか判定する。
【0065】
異常がない場合は、例えば
図3に示したような動作となるため、全ての検出箇所(A~E)から情報を検出できる。この場合、検出結果の組み合わせが「通常時」となり、異常なしと判定される。一方、何らかの異常がある場合は、検出箇所(A~E)の中で値が検出できない箇所が出てくる。例えば、A、B、Dで検出できなかった場合には、検出結果の組合せが「パターン1」となり、異常の原因が「直流電源10の故障」と判断できる。なお、検出結果の組合せが
図5に示す異常箇所判定表のパターンに該当しない場合は、その他の箇所に異常があると判定する。
【0066】
異常箇所判定部122は、放電電流Eの検出時は、スイッチ123をオフとして、直流電源10からの電力供給を遮断し、強制的に放電動作に切り替える。これにより、充電装置101の動作モードが放電モードに強制的に切り替えられる。
【0067】
次に
図6~
図12を参照して、異常時の各パターンについて個別に説明する。
【0068】
図6は、異常箇所が直流電源10の場合の動作を説明する図である。
図6の(A)は、スイッチ123がオン状態のときの充電装置101の動作を示す図であり、(B)はスイッチ123がオン状態のときの充電装置101の動作を示す図である。以降の
図7~
図12も同様である。
【0069】
図6に示すように、直流電源10が故障している場合、直流電源10の出力電圧Aは、直流電源10が動作せず電圧を出力しないため検出不可(×)となる。また、充電制御部111の入力電流Bは、直流電源10が動作せず充電制御部111に電力供給されないため検出不可(×)となる。直流負荷103の入力電圧Cは、直流電源10が動作せず二次電池102から負荷103に電力供給されるため検出可能(〇)となる。充電制御部111と二次電池102との接続部の充電電流Dは、直流電源10から充電制御部111に電力供給されず充電器112が動作しないため検出不可(×)となる。充電制御部111と二次電池102との接続部の放電電流Eは、二次電池102から直流負荷103に電力供給するため検出可能(〇)となる。これらの各信号A~Eの検出パターンは、
図6(A)に示すスイッチ123がオン状態の場合でも、
図6(B)に示すスイッチ123がオフ状態の場合でも同様である。
【0070】
したがって、直流電源10が故障している場合には、異常箇所判定部122が取得する入力情報A~Eの組合せは、
図5の異常箇所判定表の「パターン1」に該当するので、異常箇所判定部122は『直流電源 故障』と判定することができる。
【0071】
直流電源10が故障している場合は、直流電源10が動作せず電圧を出力しないため、
図6(A)に示すスイッチ123がオン状態の場合でも、
図6(B)に示すスイッチ123がオフ状態の場合でも、共に二次電池102から直流負荷103に放電電流が供給される放電モードとなる。
【0072】
図7は、異常箇所が充電器112の場合の動作を説明する図である。
図7に示すように、充電器112が故障している場合、直流電源10の出力電圧Aは、直流電源10が動作し電圧を出力するため検出可能(〇)となる。また、充電制御部111の入力電流Bは、直流電源10から充電制御部111に電力供給するため検出可能(〇)となる。直流負荷103の入力電圧Cは、直流電源10から直流負荷103に電力供給するため検出可能(〇)となる。充電制御部111と二次電池102との接続部の充電電流Dは、充電器112が動作しないため検出不可(×)となる。充電制御部111と二次電池102との接続部の放電電流Eは、二次電池102から直流負荷103に電力供給するため検出可能(〇)となる。これらの各信号A~Eの検出パターンは、
図7(A)に示すスイッチ123がオン状態の場合でも、
図7(B)に示すスイッチ123がオフ状態の場合でも同様である。
【0073】
したがって、充電器112が故障している場合には、異常箇所判定部122が取得する入力情報A~Eの組合せは、
図5の異常箇所判定表の「パターン2」に該当するので、異常箇所判定部122は『充電器 故障』と判定することができる。
【0074】
充電器112が故障している場合は、
図7(A)に示すスイッチ123がオン状態の場合には、直流電源10から直流負荷103へ負荷電流が供給されるが、充電器112から二次電池102に充電電流が供給されない。一方、
図7(B)に示すスイッチ123がオフ状態の場合には、二次電池102から直流負荷103に放電電流が供給される放電モードとなる。
【0075】
図8は、異常箇所が第1コネクタ抜けの場合の動作を説明する図である。
図8に示すように、第1コネクタ(コネクタ116またはコネクタ117)が抜けている場合、直流電源10の出力電圧Aは、直流電源10が動作し電圧を出力するため検出可能(〇)となる。また、充電制御部111の入力電流Bは、直流電源10と充電制御部111が未接続となり充電制御部111へ電力供給されないため検出不可(×)となる。直流負荷103の入力電圧Cは、直流電源10と充電制御部111が未接続となり直流負荷103へ電力供給されないため検出不可(×)となる。充電制御部111と二次電池102との接続部の充電電流Dは、直流電源10と充電制御部111が未接続となり充電器112が動作しないため検出不可(×)となる。充電制御部111と二次電池102との接続部の放電電流Eは、二次電池102から直流負荷103に電力供給するため検出可能(〇)となる。これらの各信号A~Eの検出パターンは、
図8(A)に示すスイッチ123がオン状態の場合でも、
図8(B)に示すスイッチ123がオフ状態の場合でも同様である。
【0076】
したがって、第1コネクタが抜けている場合には、異常箇所判定部122が取得する入力情報A~Eの組合せは、
図5の異常箇所判定表の「パターン3」に該当するので、異常箇所判定部122は『第1コネクタ抜け』と判定することができる。
【0077】
第1コネクタが抜けている場合は、直流電源10から充電制御部111に電力供給されないため、
図8(A)に示すスイッチ123がオン状態の場合でも、
図8(B)に示すスイッチ123がオフ状態の場合でも、共に二次電池102から直流負荷103に放電電流が供給される放電モードとなる。
【0078】
図9は、異常箇所が第2コネクタ抜けの場合の動作を説明する図である。
図9に示すように、第2コネクタ(コネクタ118またはコネクタ119)が抜けている場合、直流電源10の出力電圧Aは、直流電源10が動作し電圧を出力するため検出可能(〇)となる。また、充電制御部111の入力電流Bは、直流電源10から充電制御部111に電力供給するため検出可能(〇)となる。直流負荷103の入力電圧Cは、充電制御部111と直流負荷103が未接続となり直流負荷103へ電力供給されないため検出不可(×)となる。充電制御部111と二次電池102との接続部の充電電流Dは、直流電源10から充電制御部111に電力供給され充電器112が動作するため検出可能(〇)となる。充電制御部111と二次電池102との接続部の放電電流Eは、充電制御部111と直流負荷103が未接続となり直流負荷103へ電力供給されないため検出不可(×)となる。これらの各信号A~Eの検出パターンは、
図9(A)に示すスイッチ123がオン状態の場合でも、
図9(B)に示すスイッチ123がオフ状態の場合でも同様である。
【0079】
したがって、第2コネクタが抜けている場合には、異常箇所判定部122が取得する入力情報A~Eの組合せは、
図5の異常箇所判定表の「パターン4」に該当するので、異常箇所判定部122は『第2コネクタ抜け』と判定することができる。
【0080】
第2コネクタが抜けている場合は、
図9(A)に示すスイッチ123がオン状態の場合には、充電制御部111と直流負荷103が未接続となるため直流負荷103へ負荷電流は供給されず、また、充電器112から二次電池102には充電電流が供給されるので充電モードとなる。一方、
図9(B)に示すスイッチ123がオフ状態の場合には、直流電源10から直流負荷103に負荷電流が供給されず、また、直流電源10から充電器112に充電電流が供給されないので二次電池102は充電も放電も行われない。
【0081】
図10は、異常箇所が第3コネクタ抜けの場合の動作を説明する図である。
図10に示すように、第3コネクタ(コネクタ120またはコネクタ121)が抜けている場合、直流電源10の出力電圧Aは、直流電源10が動作し電圧を出力するため検出可能(〇)となる。また、充電制御部111の入力電流Bは、直流電源10から充電制御部111に電力供給するため検出可能(〇)となる。直流負荷103の入力電圧Cは、直流電源10から直流負荷103に電力供給するため検出可能(〇)となる。充電制御部111と二次電池102との接続部の充電電流Dは、充電制御部111と二次電池102が未接続となり二次電池102へ電力供給されないため検出不可(×)となる。充電制御部111と二次電池102との接続部の放電電流Eは、充電制御部111と二次電池102が未接続となり二次電池102から直流負荷103へ電力供給されないため検出不可(×)となる。これらの各信号A~Eの検出パターンは、
図10(A)に示すスイッチ123がオン状態の場合でも、
図10(B)に示すスイッチ123がオフ状態の場合でも同様である。
【0082】
したがって、第3コネクタが抜けている場合には、異常箇所判定部122が取得する入力情報A~Eの組合せは、
図5の異常箇所判定表の「パターン5-1」に該当するので、異常箇所判定部122は『第3コネクタ抜け』と判定することができる。
【0083】
第3コネクタが抜けている場合は、
図10(A)に示すスイッチ123がオン状態の場合には、直流電源10から直流負荷103へ負荷電流が供給されるが、充電制御部111と二次電池102とが未接続のため充電器112から二次電池102には充電電流が供給されない。一方、
図10(B)に示すスイッチ123がオフ状態の場合には、直流電源10から直流負荷103に負荷電流が供給されず、また、充電制御部111と二次電池102とが未接続のため充電器112から二次電池102には充電電流が供給されない。このため、二次電池102は充電も放電も行われない。
【0084】
図11は、異常箇所が二次電池102の場合の動作を説明する図である。
図11に示すように、二次電池102が故障している場合、直流電源10の出力電圧Aは、直流電源10が動作し電圧を出力するため検出可能(〇)となる。また、充電制御部111の入力電流Bは、直流電源10から充電制御部111に電力供給するため検出可能(〇)となる。直流負荷103の入力電圧Cは、直流電源10から直流負荷103に電力供給するため検出可能(〇)となる。充電制御部111と二次電池102との接続部の充電電流Dは、二次電池102への充電ができないため検出不可(×)となる。充電制御部111と二次電池102との接続部の放電電流Eは、二次電池102から直流負荷103へ電力供給できないため検出不可(×)となる。これらの各信号A~Eの検出パターンは、
図11(A)に示すスイッチ123がオン状態の場合でも、
図11(B)に示すスイッチ123がオフ状態の場合でも同様である。
【0085】
したがって、二次電池102が故障している場合には、異常箇所判定部122が取得する入力情報A~Eの組合せは、
図5の異常箇所判定表の「パターン5-2」に該当するので、異常箇所判定部122は『二次電池 故障』と判定することができる。
【0086】
なお、
図11に示す二次電池102が故障している場合と、
図10に示す第3コネクタが抜けている場合には、検出結果のパターンは同一となるが、作業員はまず第3コネクタが抜けているかを確認し、第3コネクタ抜けが原因でない場合に、二次電池102の故障が原因と特定することができる。充電装置101の構成上、第3コネクタ(コネクタ120及びコネクタ121)と二次電池102は近傍に位置するため、上記判定でも作業時間削減の効果がある。
【0087】
二次電池102が故障している場合は、
図11(A)に示すスイッチ123がオン状態の場合には、直流電源10から直流負荷103へ負荷電流が供給されるが、充電器112から二次電池102には充電電流を供給できない。一方、
図11(B)に示すスイッチ123がオフ状態の場合には、直流電源10から直流負荷103に負荷電流が供給されず、また、充電器112から二次電池102への充電電流も供給できない。このため、二次電池102は充電も放電も行われない。
【0088】
図12は、異常箇所が直流負荷103の場合の動作を説明する図である。
図12に示すように、直流負荷103が故障している場合、直流電源10の出力電圧Aは、直流電源10が動作し電圧を出力するため検出可能(〇)となる。また、充電制御部111の入力電流Bは、直流電源10から充電制御部111に電力供給するため検出可能(〇)となる。直流負荷103の入力電圧Cは、直流電源10から直流負荷103に電力供給するため検出可能(〇)となる。なお、この場合、入力電圧Cは、直流負荷103内の故障個所以外に供給される。
【0089】
充電制御部111と二次電池102との接続部の充電電流Dは、直流電源10から充電制御部111に電力供給され充電器112が動作するため検出可能(〇)となる。充電制御部111と二次電池102との接続部の放電電流Eは、二次電池102から直流負荷103に電力供給するため検出可能(〇)となる。なお、この場合、放電電流Eは、直流負荷103内の故障個所以外に供給される。これらの各信号A~Eの検出パターンは、
図12(A)に示すスイッチ123がオン状態の場合でも、
図12(B)に示すスイッチ123がオフ状態の場合でも同様である。
【0090】
したがって、直流負荷103が故障している場合には、異常箇所判定部122が取得する入力情報A~Eの組合せは、
図5の異常箇所判定表の「パターン6」に該当するので、異常箇所判定部122は『負荷 故障』と判定することができる。
【0091】
なお、パターン6は、入力情報のすべてが検出可能(〇)であり、通常時と同じパターンとなる。しかしながら、異常箇所判定部122は、直流負荷103の機器側のコントローラ3が異常検知後に判定処理を実施するため、正常時と判断の切り分けが可能である。
【0092】
直流負荷103が故障している場合は、
図12(A)に示すスイッチ123がオン状態の場合には、直流電源10から直流負荷103内の故障個所以外に負荷電流が供給され、かつ、充電器112から二次電池102に充電電流が供給される充電モードとなる。一方、
図12(B)に示すスイッチ123がオフ状態の場合には、二次電池102から直流負荷103内の故障個所以外に放電電流が供給される放電モードとなる。
【0093】
図13は、異常箇所判定処理のフローチャートである。
図13のフローチャートの各処理は、異常箇所判定部122により実施される。
【0094】
充電装置101が正常な状態では、直流負荷103の各機器が正常に動作しているため(ステップS01のNO)、異常発生まで待機する。一方、充電装置101に何らかの異常が発生すると、直流負荷103のいずれかの機器が異常停止するため(S01のYES)、コントローラ3から異常箇所判定部122へ判定開始を指示する信号が送られる(ステップS02)。
【0095】
異常箇所判定部122は、この信号を受けるのに応じて異常発生を検知でき、ステップS03に進み異常箇所判定処理(異常箇所判定ステップ)を開始する。
【0096】
まずスイッチ123をオン状態に切り替え(ステップS03)、直流電源10から充電制御部111に電力供給が行われており、正常時には二次電池102の充電モードが実施されている状態とする。この状態で、直流電源10の出力電圧A、充電制御部111の入力電流B、直流負荷103の入力電圧C、二次電池102の充電電流Dを検出する(ステップS04~S07)。
【0097】
次にスイッチ123をオフ状態に切り替え(ステップS08)、直流電源10から充電制御部111に電力供給が行われず、正常時には二次電池102の放電モードが実施されている状態とする。この状態で、二次電池102の放電電流Eを検出する(ステップS09)。その後スイッチ123をオン状態に戻す(ステップS10)。つまり、異常箇所判定部122は、スイッチ123より二次電池102を放電モードに強制的に切り替えて、二次電池102の放電電流Eを入力情報として取得する。
【0098】
次にステップS04~S07、S09で検出した各信号A~Eの検出結果(検出されたか(〇)、否か(×))の組み合わせのパターンに基づき、
図5の異常箇所判定表を参照して異常箇所を特定する。
【0099】
各信号A~Eの検出結果が異常箇所判定表のパターン1に該当する場合(ステップS11のYES)には、異常の原因が「直流電源10の故障」であると判定し(ステップS12)、本制御フローを終了する。
【0100】
各信号A~Eの検出結果が異常箇所判定表のパターン1に該当せず(ステップS11のNO)、パターン2に該当する場合(ステップS13のYES)には、異常の原因が「充電器112の故障」であると判定し(ステップS14)、本制御フローを終了する。
【0101】
各信号A~Eの検出結果が異常箇所判定表のパターン2に該当せず(ステップS13のNO)、パターン3に該当する場合(ステップS15のYES)には、異常の原因が「第1コネクタ抜け」であると判定し(ステップS16)、本制御フローを終了する。
【0102】
各信号A~Eの検出結果が異常箇所判定表のパターン3に該当せず(ステップS15のNO)、パターン4に該当する場合(ステップS17のYES)には、異常の原因が「第2コネクタ抜け」であると判定し(ステップS18)、本制御フローを終了する。
【0103】
各信号A~Eの検出結果が異常箇所判定表のパターン4に該当せず(ステップS17のNO)、パターン5-1に該当する場合(ステップS19のYES)には、異常の原因が「第3コネクタ抜け」であると判定し(ステップS20)、本制御フローを終了する。
【0104】
各信号A~Eの検出結果が異常箇所判定表のパターン5-1に該当せず(ステップS19のNO)、パターン5-2に該当する場合(ステップS21のYES)には、異常の原因が「二次電池102の故障」であると判定し(ステップS22)、本制御フローを終了する。
【0105】
各信号A~Eの検出結果が異常箇所判定表のパターン5-2に該当せず(ステップS21のNO)、パターン6に該当する場合(ステップS23のYES)には、異常の原因が「直流負荷103の故障」であると判定し(ステップS24)、本制御フローを終了する。
【0106】
各信号A~Eの検出結果が異常箇所判定表のパターン6に該当しない場合(ステップS23のNO)には、異常箇所を特定せず、または、判定表に登録されている異常箇所候補以外の箇所の異常を判定して、本制御フローを終了する。
【0107】
第1実施形態の充電装置101では、このように異常箇所判定部122が、直流電源10の出力電圧A、充電制御部111の入力電流B、直流負荷103の入力電圧C、二次電池102の充電電流D、及び放電電流Eの入力情報に基づき、異常箇所を判定できる。この構成により、充電装置101内の多種の情報を集約して分析することで異常の原因を特定できるので、充電装置に異常が発生した場合に原因を簡易に把握できる。
【0108】
従来は、充電装置101に何らかの異常が発生した場合には、原因の切り分けができず、市場にて原因究明を実施するには装置を分解するなどの工程が必要であり、充電装置の納品先でのダウンタイムが長くなってしまうという問題があった。これに対して本実施形態の充電装置101では、上記の各種入力情報の分析によって、装置を分解することなく簡易に異常原因の切り分けを行うことが可能となるので、充電装置の異常発生時に充電装置の納品先でのダウンタイムを低減できる。
【0109】
また、従来は、故障原因が不明の場合、サービスによる修理時に未故障モジュールも同時に交換されてしまい、無駄にパーツを消費してしまうため、パーツ購入コストが増加する問題があった。これに対して本実施形態の充電装置101では、上記の各種入力情報の分析によって、簡易に異常原因の切り分けを行うことが可能となるので、サービス所有パーツの無駄な消費を削減することできる。
【0110】
また、第1実施形態の充電装置101では、異常箇所判定部122は、入力情報A~Eの検出結果のパターンの組み合わせと、複数の異常箇所候補との対応関係が記録される異常箇所判定表を有し、入力情報に基づき異常箇所判定表を参照して、複数の異常箇所候補の中から異常箇所を特定する。この構成により、予め入出力関係が対応付けられている異常箇所判定表を参照する工程だけで、入力情報に基づき異常箇所を簡易かつ迅速に特定できる。
【0111】
[第2実施形態]
図14を参照して第2実施形態について説明する。
図14は、第2実施形態に係る充電装置101Aの機能ブロック図である。
【0112】
図14に示すように、第2実施形態の充電装置101Aは、異常箇所判定部122の判定した結果から、異常箇所を報知する報知部124を備える。報知部124は、異常箇所判定部122が特定した異常箇所の情報を、例えば文字情報や音声情報などを利用して、充電装置101Aのサービス担当者に報知して、修理を促すことができる。
【0113】
このように、第2実施形態の充電装置101Aは、報知部124を備えることにより、異常箇所をサービスに迅速かつ明確に通知することが可能となり、修理時間をさらに短縮することができる。
【0114】
[第3実施形態]
図15を参照して第3実施形態について説明する。
図15は、第3実施形態に係る充電装置101Bの機能ブロック図である。
【0115】
図14に示すように、第3実施形態の充電装置101Bは、電流検出部113と充電電流制御部114とが非搭載である点で、第1実施形態の充電装置101と異なる。つまり、第3実施形態の充電装置101Bでは、充電制御部111Aが充電電流を可変させない構成である。
【0116】
第3実施形態の構成の場合でも、異常箇所判定部122Aは、入力情報として、充電制御部111Aの入力電流Bの代わりに、充電器112の入力電圧B´を検出箇所とすることで、異常箇所の特定を行うことができる。つまり、異常箇所判定部122Aは、直流電源10の出力電圧A、充電器112の入力電圧B´、直流負荷103の入力電圧C、二次電池102の充電電流D、二次電池102の放電電流Eの入力情報に基づき、異常箇所を判定する。
【0117】
このように、第3実施形態の充電装置101Bのように、直流負荷103に応じて充電電流を可変させる機能がない充電装置においても、第1実施形態と同様に異常箇所の判定を高精度に行うことが可能になる。
【0118】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0119】
10 直流電源
100 画像形成装置
101、101A、101B 充電装置
102 二次電池
103 直流負荷
111、111A 充電制御部
112 充電器
113 電流検出部
114 充電電流制御部
115 残量検知部
122、122A 異常箇所判定部
116、117 コネクタ(第1コネクタ)
118、119 コネクタ(第2コネクタ)
120、121 コネクタ(第3コネクタ)
123 スイッチ(モード切替部)
124 報知部
A 直流電源の出力電圧
B 充電制御部の入力電流
C 直流負荷の入力電圧
D 二次電池の充電電流
E 二次電池の放電電流
B´ 充電器の入力電圧
【先行技術文献】
【特許文献】
【0120】