(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023092886
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】正極活物質、正極、リチウムイオンポリマー固体二次電池、リチウムイオン無機全固体二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/48 20100101AFI20230627BHJP
H01M 10/0565 20100101ALI20230627BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20230627BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20230627BHJP
C01G 49/06 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
H01M4/48
H01M10/0565
H01M10/052
H01M10/0562
C01G49/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208179
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 宏次
(72)【発明者】
【氏名】忍足 暁
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸一
【テーマコード(参考)】
4G002
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
4G002AA03
4G002AB04
4G002AD04
4G002AE05
5H029AJ03
5H029AJ12
5H029AK02
5H029AL03
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM12
5H029AM16
5H029DJ16
5H029HJ13
5H050AA08
5H050AA15
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA02
5H050CB03
5H050CB11
5H050CB12
5H050FA17
5H050HA13
(57)【要約】
【課題】デンドライトの生成による安全性の懸念がなくリチウムを含有する負極を備えるリチウムイオン固体二次電池の構成が可能となり、毒性や資源量の懸念の無い異方性形状の酸化鉄(III)粒子を用いた結着剤や導電助剤の大量添加の不要なリチウムイオンポリマー固体二次電池及びリチウムイオン無機全固体二次電池を作製できる正極活物質、その正極活物質を備えたリチウムイオンポリマー固体二次電池及び高リチウムイオン無機全固体二次電池の提供。
【解決手段】本発明の正極活物質は、リチウム含有負極を備えるリチウムイオン固体二次電池に用いられる正極活物質であって、酸化鉄(III)又は異種元素置換酸化鉄(III)を含み、X線回折測定によって得られる面指数110面に由来する回折線の半値幅aに対する、X線回折測定によって得られる面指数104面に由来する回折線の半値幅bの比(b/a)が2.0以上の異方性酸化鉄粒子からなる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム含有負極を備えるリチウムイオン固体二次電池に用いられる正極活物質であって、
酸化鉄(III)または異種元素置換酸化鉄(III)を含み、
X線回折測定によって得られる面指数110面に由来する回折線の半値幅aに対する、X線回折測定によって得られる面指数104面に由来する回折線の半値幅bの比(b/a)が2.0以上の異方性酸化鉄粒子からなる、正極活物質。
【請求項2】
請求項1に記載の正極活物質を含有する、正極。
【請求項3】
請求項1に記載の正極活物質を含有する正極と、リチウムを含有する負極と、イオン導電性ポリマー電解質と、を備える、リチウムイオンポリマー固体二次電池。
【請求項4】
請求項1に記載の正極活物質を含有する正極と、リチウムを含有する負極と、無機固体電解質と、を備える、リチウムイオン無機全固体二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極活物質、正極、リチウムイオンポリマー固体二次電池およびリチウムイオン無機全固体二次電池に関する。なお、電解質としてポリマー電解質を用いたリチウムイオンポリマー固体二次電池および無機固体電解質を用いたリチウムイオン無機全固体二次電池を、単にリチウムイオン固体二次電池と呼ぶことがある。
【背景技術】
【0002】
近年、小型化、軽量化、高容量化が期待される電池として、リチウムイオン二次電池等の非水電解液系の二次電池が提案され、実用に供されている。リチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有する正極および負極と、非水系の電解質とから構成されている。
リチウムイオン二次電池の負極材料の負極活物質としては、一般に炭素系材料またはリチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有する、SiやSnといった金属材料、またはLi含有金属酸化物が用いられる。そのようなLi含有金属酸化物としては、例えば、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)が挙げられる。
【0003】
一方、リチウムイオン二次電池の正極としては、正極材料およびバインダー等を含む正極材料合剤が用いられている。正極活物質としては、層状酸化物系のコバルト酸リチウム(LCO)やコバルトの一部をマンガンおよびニッケルで置換した三元系層状酸化物(NCM)、マンガン酸リチウム化合物であるスピネルマンガンリチウム(LMO)、リン酸鉄リチウム(LFP)、リン酸鉄マンガンリチウム(LFMP)等のリチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有するLi含有金属酸化物が用いられる。そして、この正極材料合剤を電極集電体と称される金属箔の表面に塗布することにより、リチウムイオン二次電池の正極が形成される。
【0004】
リチウムイオン二次電池の電解液には非水系溶媒が用いられる。非水系溶媒としては、高電位で酸化還元する正極活物質や、低電位で酸化還元する負極活物質を適用することができる。これにより、高電圧を有するリチウムイオン二次電池を実現することができる。
【0005】
このようなリチウムイオン二次電池は、鉛電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池等の従来の二次電池と比べて、軽量かつ小型であるとともに、高エネルギーを有している。そのため、リチウムイオン二次電池は、携帯用電話機およびノート型パーソナルコンピューター等の携帯用電子機器に用いられる小型電源のみならず、定置式の非常用大型電源としても用いられている。
【0006】
近年、リチウムイオン二次電池の性能向上が求められ、性能向上について種々検討されている。例えば、リチウムイオン二次電池の安全性をさらに向上するために、電解質に可燃性有機溶剤を用いず、不揮発性のポリマー電解質膜や無機固体電解質を用いた全固体電池や、イオン液体を用いた電池等が検討されている。中でもポリマー電解質膜を用いたリチウムイオンポリマー二次電池は、従来の液体電解質を用いた電池と同様に塗工による製造プロセスを適用可能であること、低価格であること、ポリマー電解質膜の導電性が高く、薄膜化が容易であること等から、盛んに検討されている。さらに、ポリマー電解質膜は、緻密な固体状であることから、ポリマー電解質膜ではデンドライトと呼ばれる針状の金属結晶の生成が抑制される。従って、リチウムイオンポリマー二次電池では、安全性を損なわずにリチウム金属負極を用いることができるため、容量の大幅な向上が見込める。
【0007】
リチウム金属負極を用いるリチウムイオン電池の正極活物質としては、例えば、平均粒子径が1~10nmの範囲で、かつ粒子径の分布幅が1~10nmの範囲である酸化鉄超微粒子からなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
酸化鉄は、微粒子化することにより、正極活物質として動作することが知られている。しかしながら、正極活物質としての酸化鉄微粒子を含む正極を作製する場合、結着剤や導電助剤を大量に必要とするため、電池容量が上がらないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、リチウムイオンポリマー二次電池または無機全固体電池等の緻密な固体電解質を用いる二次電池においては、デンドライトの生成による安全性の懸念がなく、リチウム含有負極を備えるリチウム二次電池の構成が可能となること、特殊形状の酸化鉄粒子を用いることで、結着剤や導電助剤を大量に添加しなくとも良好に動作可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明の正極活物質は、リチウム含有負極を備えるリチウムイオン固体二次電池に用いられる正極活物質であって、酸化鉄(III)または異種元素置換酸化鉄(III)を含み、X線回折測定によって得られる面指数110面に由来する回折線の半値幅aに対する、X線回折測定によって得られる面指数104面に由来する回折線の半値幅bの比(b/a)が2.0以上の異方性酸化鉄粒子からなる。
【0012】
本発明の正極は、本発明の正極活物質を含有する。
【0013】
本発明のリチウムイオンポリマー固体二次電池は、本発明の正極活物質を含有する正極と、リチウムを含有する負極と、イオン導電性ポリマー電解質と、を備える。
【0014】
本発明のリチウムイオン無機全固体二次電池は、本発明の正極活物質を含有する正極と、リチウムを含有する負極と、無機固体電解質と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明の正極活物質によれば、デンドライトの生成による安全性の懸念がなく、リチウム含有負極を備えるリチウムイオン全固体二次電池の構成が可能となり、結着剤や導電助剤の大量添加が不要で、安価且つ毒性の懸念もない、非超微粒子酸化鉄で動作可能である全固体リチウムイオン二次電池を作製することができる。
【0016】
本発明の正極によれば、デンドライトの生成による安全性の懸念がなく、リチウム含有負極を備えるリチウムイオン全固体二次電池の構成が可能となり、高温動作させることで、アルカリ金属非含有活物質が、結着剤や導電助剤の大量添加の不要な非超微粒子で動作可能である全固体リチウムイオン二次電池を提供することができる。
【0017】
本発明のリチウムイオンポリマー固体二次電池によれば、デンドライトの生成による安全性の懸念がなく、リチウム含有負極を備えるリチウムイオンポリマー二次電池の構成が可能となり、高温動作させることで、アルカリ金属非含有活物質が、結着剤や導電助剤の大量添加の不要な非超微粒子で動作可能であるリチウムイオンポリマー二次電池を提供することができる。
【0018】
本発明のリチウムイオン無機全固体二次電池によれば、デンドライトの生成による安全性の懸念がなく、リチウム含有負極を備えるリチウムイオン無機全固体二次電池の構成が可能となり、高温動作させることで、アルカリ金属非含有活物質が、結着剤や導電助剤の大量添加の不要な非超微粒子で動作可能であるリチウムイオン無機全固体二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例1~3と比較例1,2のX線回折図形を示す図である。
【
図2】実施例1~3と比較例1,2の2サイクル目の放電曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の正極活物質、正極、リチウムイオンポリマー固体二次電池およびリチウムイオン無機全固体二次電池の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0021】
[正極活物質]
本実施形態の正極活物質は、リチウム含有負極を備えるリチウムイオン固体二次電池に用いられる。本実施形態の正極活物質は、酸化鉄(III)または異種元素置換酸化鉄(III)を含み、X線回折測定によって得られる面指数110面に由来する回折線の半値幅aに対する、X線回折測定によって得られる面指数104面に由来する回折線の半値幅bの比(b/a)が2以上の異方性酸化鉄粒子からなる。
なお、リチウムイオン固体二次電池は、リチウムイオンポリマー固体二次電池とリチウムイオン無機全固体二次電池を含む。
【0022】
本実施形態の正極活物質は、酸化鉄(III)または異種元素置換酸化鉄(III)を主成分とする。
【0023】
本実施形態の正極活物質は、異種元素置換酸化鉄(III)を主成分とする場合、電子伝導性の向上、構造安定化等の目的で、種々の金属元素や、非金属元素を適宜ドーパントとして含んでいてもよい。すなわち、本実施形態の正極活物質が、異種元素置換酸化鉄(III)を主成分とする場合、酸化鉄(III)を構成する鉄元素の少なくとも一部が、鉄以外の種々の金属元素や、非金属元素で置換されていてもよい。
金属元素としては、例えば、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)等が挙げられる。
非金属元素としては、例えば、ホウ素(B)、リン(P)、ヒ素(As)、ケイ素(Si)等が挙げられる。
【0024】
酸化鉄(III)を構成する鉄元素の少なくとも一部が、鉄以外の種々の金属元素や、非金属元素で置換される場合、すなわち、異種元素置換酸化鉄(III)が、ドーパントとして、金属元素や非金属元素を含む場合、異種元素置換酸化鉄(III)の全質量を100質量%とした場合に、ドーパントの含有量は、0.001質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上1質量%以下であることがさらに好ましい。ドーパントの含有量が上記下限値以上であると、電子伝導性の向上や、構造安定化の効果が期待できる。ドーパントの含有量が上記上限値以下であると、不活性元素の増加による容量低下や価格上昇の問題を抑制することができる。
【0025】
上記異方性酸化鉄粒子の平均粒子径の下限値は30nm以上であることが好ましく、200nm以上であることがより好ましく、0.5μm以上であることがさらに好ましい。また、上記酸化鉄粒子の平均粒子径の上限値は50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることがさらに好ましい。
異方性酸化鉄粒子の平均粒子径が前記下限値未満であると、導電助剤や結着剤といった添加物が過度に必要となり、電極容量の低下を招くことがある。異方性酸化鉄粒子の平均粒子径が前記上限値以下であると、活物質として良好に動作させることができる。
【0026】
ここで、異方性酸化鉄粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。
【0027】
上記異方性酸化鉄粒子のBET比表面積は10m2/g以上であることが好ましく、20m2/g以上であることがより好ましく、60m2/g以上であることがさらに好ましい。また、上記酸化鉄粒子のBET比表面積は500m2/g以下であることが好ましく、300m2/g以下であることがより好ましく、200m2/g以下であることがさらに好ましい。
異方性酸化鉄粒子のBET比表面積が前記下限値以上であると、電子伝導性の向上や、構造安定化の効果が期待できる。異方性酸化鉄粒子のBET比表面積が前記上限値以下であると、結着剤や導電材の添加量が少なくできるため、容量低下や価格上昇の問題を抑制することができる。
ここで、異方性酸化鉄粒子のBET比表面積は、窒素等の気体を用いたガス吸着法を用いて測定することができる。
【0028】
上記異方性酸化鉄粒子は、上記の比(b/a)が2.0以上であり、2.2以上であることが好ましい。また、上記の比(b/a)の上限値は、4.0以下であることが好ましく、3.3以下であることがより好ましい。上記の比(b/a)が上記下限値未満では、非超微粒子酸化鉄(III)は正極活物質として十分な容量が発現しない。
【0029】
[正極活物質の製造方法]
本実施形態の正極活物質の製造方法は、特に限定されない。本実施形態の正極活物質は、湿式法や乾式法等の所望の酸化鉄粒子が得られる方法を適宜選択することによって、製造することができる。
また、必要に応じて、有機物の熱分解による湿式炭素被覆、アトライターや遊星ボールミルと炭素系材料を用いた、乾式および半乾式のカーボン複合を施してもよい。
同様に、リチウムイオンポリマー二次電池用に、イオン導電性高分子被覆を施してもよく、リチウムイオン無機全固体電池用に無機固体電解質の被覆を形成してもよい。
【0030】
[リチウムイオンポリマー固体二次電池]
本実施形態のリチウムイオンポリマー固体二次電池は、本実施形態の正極活物質を含有するリチウムイオンポリマー固体二次電池用正極と、リチウムを含有する負極と、リチウムイオンポリマー固体二次電池用正極とリチウムを含有する負極との間に存在するイオン導電性ポリマー電解質と、を備える。
【0031】
「リチウムイオンポリマー固体二次電池用正極」
リチウムイオンポリマー固体二次電池用正極は、金属箔からなる電極集電体と、その電極集電体上に形成された正極合剤層と、を備える。正極合剤層は、本実施形態の正極活物質と、イオン導電性ポリマー電解質とを含む。また、正極合剤層は、必要に応じて、カーボンブラック等の導電助剤や結着剤を含んでいてもよい。
【0032】
正極合剤層における正極活物質の含有量は特に限定されないが、例えば、正極合剤層の全質量を100質量%とした場合に、50質量%以上95質量%以下であることが好ましく、60質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上70質量%以下であることがさらに好ましい。正極活物質の含有量が上記下限値未満であると、その正極活物質を含むリチウムイオンポリマー固体二次電池用正極を備えるリチウムイオンポリマー二次電池の容量が低くなる。正極活物質の含有量が上記上限値を超えると、イオンや電子が活物質表面に充分に到達できないため、その正極活物質を含むリチウムイオンポリマー固体二次電池用正極を備えるリチウムイオンポリマー二次電池の容量が低下する。
【0033】
「イオン導電性ポリマー電解質」
イオン導電性ポリマー電解質としては、例えば、過塩素酸リチウム、6フッ化リン酸リチウム、Liトリフルイミド(LiTFSI)等のLi電解質を含むポリエチレンオキシド、変性ポリエチレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン等の様々なものが広く知られており、適宜使用可能である。
【0034】
電解質であるイオン導電性ポリマー電解質を正極合剤層に含有させる必要があり、その正極合剤層におけるイオン導電性ポリマー電解質の含有量は特に限定されないが、例えば、正極合剤層の全質量を100質量%とした場合に、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。イオン導電性ポリマー電解質の含有量が上記下限値以上であると、正極活物質表面に充分なイオン導電性経路が形成され、反応に寄与しない活物質が生じることがなく、電池容量が低下することを抑制できる。イオン導電性ポリマー電解質の含有量が上記上限値以下であると、イオン導電性ポリマー電解質が無駄になることがなく、電極中の活物質割合が低くなり過ぎることもないため、電池容量が低下することを抑制できる。
【0035】
「結着剤」
イオン導電性ポリマー電解質に密着性がある場合は、結着剤を必ずしも必要とはしない。結着剤、すなわち、バインダー樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂、フッ素ゴム等が好適に用いられる。
【0036】
正極合剤層における結着剤の含有量は特に限定されないが、例えば、正極合剤層の全質量を100質量%とした場合に、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。結着剤の含有量が上記上限値以下であると、正極合剤層と電極集電体との間の結着性を充分に高くすることができる。これにより、正極合剤層の圧密形成時等において正極合剤層の割れや脱落が生じることを抑制できる。また、リチウムイオンポリマー二次電池の充放電過程において、正極合剤層が電極集電体から剥離し、電池容量および充放電レート特性が低下することを抑制できる。結着剤の含有量が上記上限値以下であると、リチウムイオンポリマー固体二次電池用正極材料の内部抵抗が低下し、高速充放電レートにおける電池容量が低下することを抑制できる。
【0037】
「導電助剤」
導電助剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック、ファーネスブラックの粒子状炭素や、気相成長炭素繊維(VGCF;Vapor Grown Carbon Fiber)、カーボンナノチューブ等の繊維状炭素およびグラフェンからなる群から選択される少なくとも1種が用いられる。
【0038】
正極合剤層における導電助剤の含有量は特に限定されないが、例えば、正極合剤層の全質量を100質量%とした場合に、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。導電助剤の含有量が上記下限値以上であると、リチウムイオンポリマー二次電池を充分に動作させることが可能である。導電助剤の含有量が上記上限値を超えると、無駄なばかりか、結着力不足による正極活物質の脱落や、容量の低下を招くことがある。
【0039】
本実施形態の正極は、本実施形態の正極活物質を含有するため、本実施形態の正極を用いたリチウムイオンポリマー二次電池は、電池容量に優れる。
【0040】
「リチウムイオンポリマー固体二次電池用正極の製造方法」
リチウムイオンポリマー固体二次電池用正極の製造方法は、本実施形態の正極活物質を用いて、電極集電体の少なくとも一主面に正極合剤層を形成できる方法であれば特に限定されない。正極の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、本実施形態の正極活物質と、イオン導電性ポリマー電解質と、溶媒とを混合して、正極材料ペーストを調製する。この際、本実施形態における正極材料ペーストには、必要に応じて、カーボンブラック等の導電助剤および結着剤を添加してもよい。
【0041】
「溶媒」
本実施形態の正極活物質を含む正極材料ペーストに用いられる溶媒は、結着剤の性質に応じて適宜選択される。溶媒を適宜選択することにより、正極材料ペーストを、電極集電体等の被塗布物に対して塗布し易くすることができる。
溶媒としては、例えば、水、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、アミド類、グリコール類等が挙げられる。
これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0042】
正極材料ペーストにおける溶媒の含有量は、価格の面から少ない方が望ましいが、正極形成性、塗工性を考慮し適宜決定すればよい。
【0043】
本実施形態の正極活物質と、イオン導電性ポリマー電解質と、溶媒と、必要に応じて導電助剤と結着剤とを混合する方法としては、これらの成分を均一に混合できる方法であれば特に限定されない。例えば、ボールミル、サンドミル、プラネタリー(遊星式)ミキサー、ペイントシェーカーおよびホモジナイザー等の混錬機を用いた混合方法が挙げられる。
【0044】
正極材料ペーストを、電極集電体の少なくとも一主面に塗布して塗膜とし、その後、この塗膜を乾燥し、上記の正極材料と結着剤との混合物からなる塗膜が少なくとも一主面に形成された電極集電体を得る。その後、必要に応じて塗膜を加圧圧着してもよい。
【0045】
「リチウムを含有する負極」
リチウムを含有する負極としては、例えば、金属Li、Li合金、Li4Ti5O12、Si系材料(Li4.4Si)等の負極材料を含むものが挙げられる。
【0046】
本実施形態のリチウムイオンポリマー固体二次電池は、正極として、本実施形態の正極活物質を含む正極を備えているため、電池容量に優れる。
【0047】
[リチウムイオン無機全固体二次電池]
本実施形態のリチウムイオン無機全固体二次電池は、本実施形態の正極活物質を含有するリチウムイオン無機全固体二次電池用正極と、リチウムを含有する負極と、リチウムイオン無機全固体二次電池用正極とリチウムを含有する負極との間に存在する無機固体電解質と、を備える。
【0048】
「リチウムイオン無機全固体二次電池用正極」
リチウムイオン無機全固体二次電池用正極としては、金属箔からなる電極集電体と、その電極集電体上に形成された正極合剤層と、を備える。正極合剤層は、本実施形態の正極活物質と、無機固体電解質とを含む。また、正極合剤層は、必要に応じて、カーボンブラック等の導電助剤や結着剤を含んでいてもよい。
【0049】
正極合剤層における正極活物質の含有量は特に限定されないが、例えば、正極合剤層の全質量を100質量%とした場合に、50質量%以上95質量%以下であることが好ましく、60質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上70質量%以下であることがさらに好ましい。正極活物質の含有量が上記下限値未満であると、その正極活物質を含むリチウムイオン無機全固体二次電池用正極を備えるリチウムイオン無機全固体二次電池の容量が低くなる。正極活物質の含有量が上記上限値を超えると、イオンや電子が活物質表面に充分に到達できないため、その正極活物質を含むリチウムイオン無機全固体二次電池用正極を備えるリチウムイオン無機全固体二次電池の容量が低下する。
【0050】
「無機固体電解質」
無機固体電解質としては、例えば、Li7La3Zr2O12等の酸化物系、Li-Sn-Si-P-S系硫化物等の様々なものが広く知られており、適宜使用可能である。
【0051】
電解質である無機固体電解質を正極合剤層に含有させる必要があり、その正極合剤層における無機固体電解質の含有量は特に限定されないが、例えば、正極合剤層の全質量を100質量%とした場合に、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。無機固体電解質の含有量が上記下限値以上であると、正極活物質表面に充分なイオン導電性経路が形成され、反応に寄与しない活物質が生じることがなく、電池容量が低下することを抑制できる。無機固体電解質の含有量が上記上限値以下であると、無機固体電解質が無駄になることがなく、電極中の活物質割合が低くなり過ぎることもないため、電池容量が低下することを抑制できる。
【0052】
「結着剤」
無機固体電解質に密着性がある場合は、結着剤を必ずしも必要とはしない。結着剤、すなわち、バインダー樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂、フッ素ゴム等が好適に用いられる。
【0053】
正極合剤層における結着剤の含有量は特に限定されないが、例えば、正極合剤層の全質量を100質量%とした場合に、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。結着剤の含有量が上記上限値以下であると、正極合剤層と電極集電体との間の結着性を充分に高くすることができる。これにより、正極合剤層の圧密形成時等において正極合剤層の割れや脱落が生じることを抑制できる。また、リチウムイオン無機全固体の充放電過程において、正極合剤層が電極集電体から剥離し、電池容量および充放電レートが低下することを抑制できる。結着剤の含有量が上記上限値以下であると、リチウムイオン無機全固体二次電池用正極材料の内部抵抗が低下し、高速充放電レートにおける電池容量が低下することを抑制できる。
【0054】
「導電助剤」
導電助剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック、ファーネスブラックの粒子状炭素や、気相成長炭素繊維(VGCF;Vapor Grown Carbon Fiber)、カーボンナノチューブ等の繊維状炭素およびグラフェンからなる群から選択される少なくとも1種が用いられる。
【0055】
正極合剤層における導電助剤の含有量は特に限定されないが、例えば、正極合剤層の全質量を100質量%とした場合に、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。導電助剤の含有量が上記下限値以上であると、リチウムイオン無機全固体二次電池を充分に動作させることが可能である。導電助剤の含有量が上記上限値を超えると、無駄なばかりか、結着力不足による正極活物質の脱落や、容量の低下を招くことがある。
【0056】
「リチウムイオン無機全固体二次電池用正極の製造方法」
リチウムイオン無機全固体二次電池用正極の製造方法は、本実施形態の正極活物質を用いて、電極集電体の少なくとも一主面に正極合剤層を形成できる方法であれば特に限定されない。正極の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、本実施形態の正極活物質と、無機固体電解質と、溶媒とを混合して、正極材料ペーストを調製する。この際、本実施形態における正極材料ペーストには、必要に応じて、カーボンブラック等の導電助剤および結着剤を添加してもよい。
【0057】
「溶媒」
本実施形態の正極活物質を含む正極材料ペーストに用いられる溶媒は、結着剤の性質に応じて適宜選択される。溶媒を適宜選択することにより、正極材料ペーストを、電極集電体等の被塗布物に対して塗布し易くすることができる。
溶媒としては、例えば、水、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類、アミド類、グリコール類等が挙げられる。
これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0058】
正極材料ペーストにおける溶媒の含有量は、価格の面から少ない方が望ましいが、正極形成性、塗工性を考慮し適宜決定すればよい。
【0059】
本実施形態の正極活物質と、無機固体電解質と、溶媒と、必要に応じて導電助剤と結着剤とを混合する方法としては、これらの成分を均一に混合できる方法であれば特に限定されない。例えば、ボールミル、サンドミル、プラネタリー(遊星式)ミキサー、ペイントシェーカーおよびホモジナイザー等の混錬機を用いた混合方法が挙げられる。
【0060】
正極材料ペーストを、電極集電体の少なくとも一主面に塗布して塗膜とし、その後、この塗膜を乾燥し、上記の正極材料と結着剤との混合物からなる塗膜が少なくとも一主面に形成された電極集電体を得る。その後、必要に応じて塗膜を加圧圧着してもよい。
【0061】
「リチウムを含有する負極」
リチウムを含有する負極としては、例えば、金属Li、Li合金、Li4Ti5O12、Si系材料(Li4.4Si)等の負極材料を含むものが挙げられる。
【0062】
本実施形態のリチウムイオン無機全固体二次電池は、正極として、本実施形態の正極活物質を含む正極を備えているため、電池容量に優れる。
【実施例0063】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0064】
[実施例1]
「酸化鉄粒子の作製」
1mol/Lの硫酸鉄(II)水溶液に、過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH12になるまで中和した。さらに、攪拌下で空気を24時間バブリングすることで充分に鉄を酸化させた。得られた沈殿を、水洗、乾燥後、大気中、450℃で、3時間焼成し、試料(粉末)を得た。得られた試料を、ボールミルを用いて粉砕し、電極活物質とした。得られた粉末はXRD測定により、ヘマタイト構造の酸化鉄(III)(Fe2O3)であることが確認された。面指数110面に由来する回折線の半値幅aは0.1893°、面指数104面に由来する回折線の半値幅bは0.6030°であった。また、半値幅aに対する半値幅bの比(b/a)は約3.2であった。
【0065】
「リチウムイオンポリマー固体二次電池の作製」
溶媒であるN-メチル-2-ピロリジノン(NMP)に、上記の酸化鉄(III)(Fe2O3)と、イオン導電性ポリマー(母材)としてのポリエチレンオキキシド(PEO20000、平均分子量20000g/mol)と、リチウム塩としてのLiTFSIと、導電助剤としてのアセチレンブラック(AB)とを、ペースト中の質量比で、酸化鉄(III)(Fe2O3):PEO20000:LiTFSI:AB=70:22:6:2、さらにペーストの総固形分量が36質量%となるよう混合し、混練機(商品名:あわとり練太郎、シンキー社製)を用いて、公転2000rpm、自転1000rpmの条件で15分混練し、正極材料ペースト(正極用)を調製した。
この正極材料ペースト(正極用)を、厚さ20μmのアルミニウム箔(電極集電体)の表面に塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥し、アルミニウム箔の表面に正極合剤層を形成した。
その後、正極合剤層を、4kN/100mmの線圧にて加圧し、実施例1の正極を作製した。
【0066】
この正極に対し、電解質としてイオン導電性ポリマーフィルム、負極としてリチウム金属を配置し、所定の圧力で圧着した後、2cm2の大きさに切り出し、電池用部材とした。
次に、電池用部材をCR2032型コインセル内に配し、実施例1のリチウムイオンポリマー固体二次電池を作製した。
【0067】
[実施例2]
「酸化鉄粒子の作製」
1mol/Lの硝酸鉄(III)水溶液に、ポリエチレングリコール400を、Feイオンと、ポリエチレングリコールの-CH2CH2O-単位の物質量が1:1となるように加え、1晩静置した。得られた溶液に、28%アンモニア水を加えて中和し、得られたスラリー状の試料を、スプレードライヤーを用いて乾燥した。さらに、得られた乾燥物を、500℃で、2時間焼成し、試料を得た。その際、発生したガスは、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いたスクラバーに通し吸収、除害した。得られた粉末はXRD測定により、ヘマタイト構造の酸化鉄(III)(Fe2O3)であることが確認された。面指数110面に由来する回折線の半値幅aは0.1632°、面指数104面に由来する回折線の半値幅bは0.5377°であった。また、半値幅aに対する半値幅bの比(b/a)は約3.3であった。
【0068】
「リチウムイオンポリマー固体二次電池の作製」
実施例2のFe2O3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2のリチウムイオンポリマー固体二次電池を作製した。
【0069】
[実施例3]
「酸化鉄粒子の作製」
水溶液中の、ポリエチレングリコール400の量を半分とした(Feイオン:-CH2CH2O-単位の物質量が2:1)以外は実施例2と同様にして、実施例3の試料を得た。得られた粉末はXRD測定により、ヘマタイト構造の酸化鉄(III)(Fe2O3)であることが確認された。面指数110面に由来する回折線の半値幅aは0.1667°、面指数104面に由来する回折線の半値幅bは0.3734°であった。また、半値幅aに対する半値幅bの比(b/a)は約2.2であった。
【0070】
「リチウムイオンポリマー固体二次電池の作製」
実施例3のFe2O3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3のリチウムイオンポリマー固体二次電池を作製した。
【0071】
[比較例1]
「酸化鉄粒子の作製」
ポリエチレングリコール400を加えなかった以外は実施例2と同様にして、比較例1の試料を得た。得られた粉末はXRD測定により、ヘマタイト構造の酸化鉄(III)(Fe2O3)であることが確認された。面指数110面に由来する回折線の半値幅aは0.1759°、面指数104面に由来する回折線の半値幅bは0.1836°であった。また、半値幅aに対する半値幅bの比(b/a)は約1.0であった。
【0072】
「リチウムイオンポリマー固体二次電池の作製」
比較例1のFe2O3を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1のリチウムイオンポリマー固体二次電池を作製した。
【0073】
[比較例2]
「リチウムイオンポリマー固体二次電池の作製」
市販のヘマタイト型酸化鉄(富士フィルム和光純薬 試薬1級)を用いて実施例1と同様にして、比較例2のチウムイオンポリマー固体二次電池を作製した。用いた酸化鉄の面指数110面に由来する回折線の半値幅aは0.1684°、面指数104面に由来する回折線の半値幅bは0.1703°であった。また、半値幅aに対する半値幅bの比(b/a)は約1.0であった。
【0074】
[X線回折測定]
試料のX線回折測定は、Malvern Panalytical社製粉末X回折装置Aerisを用いて、CuKα線(600W)により粉末法で実施した。得られた回折線の半値幅は、装置付属の解析Software X’Pert Proを用い、Pseudo Voigt関数で最小二乗法フィッティングにより求めた。実施例と比較例のX線回折図形を
図1に、面指数110面に由来する回折線の半値幅aと面指数104面に由来する回折線の半値幅bを、二次電池の評価結果と共に表1に示す。
【0075】
[二次電池の評価]
実施例1~実施例3と比較例1および比較例2のリチウムイオンポリマー固体二次電池を用いて定電流充放電試験を行った。試験温度を50℃、測定電流を100mA/g(活物質重量当たり)、カットオフ電圧を1V-4Vとした。2サイクル目の放電曲線を
図2に、2サイクル目の放電容量とサイクル試験の結果(10サイクル試験後の容量と維持率)を表1に示す。
【0076】
【0077】
図2および表1に示す結果から、X線回折測定によって得られる面指数110面に由来する回折線の半値幅aに対する、X線回折測定によって得られる面指数104面に由来する回折線の半値幅bの比(b/a)が2以上である酸化鉄粒子を正極活物質として含む実施例1~実施例3のリチウムイオンポリマー固体二次電池は、放電容量と容量維持率に優れることが分かった。
一方、X線回折測定によって得られる面指数110面に由来する回折線の半値幅aに対する、X線回折測定によって得られる面指数104面に由来する回折線の半値幅bの比(b/a)が2未満である酸化鉄粒子を正極活物質として含む比較例1および比較例2のリチウムイオンポリマー固体二次電池は、放電容量と容量維持率に劣ることが分かった。
本発明の正極活物質を用いたリチウムイオンポリマー固体二次電池またはリチウムイオン無機全固体二次電池は、電池容量に優れるため、移動体用途を初めとするリチウムイオン固体二次電池の信頼性の進歩に大きく貢献することができる。