IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 小林製薬株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ゲル状洗浄剤組成物 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093956
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】ゲル状洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/00 20060101AFI20230628BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20230628BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20230628BHJP
   C11D 1/62 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
C11D17/00
C11D1/72
C11D3/50
C11D1/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209110
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】上西 加純
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AC08
4H003AE05
4H003BA15
4H003DA05
4H003DA06
4H003DA07
4H003DA08
4H003ED02
4H003FA10
4H003FA26
4H003FA37
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、硬質表面に付着させて使用されるゲル状洗浄剤組成物において、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルと、香料と、水とを含有させ、且つ白濁を抑制する製剤技術を提供することである。
【解決手段】硬質表面に付着させて使用されるゲル状洗浄剤組成物であって、(A)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、(B)香料、(C)第四級アンモニウム塩、並びに(D)水を含有する、ゲル状洗浄剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質表面に付着させて使用されるゲル状洗浄剤組成物であって、
(A)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、(B)香料、(C)第四級アンモニウム塩、並びに(D)水を含有する、ゲル状洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記(A)成分を10~50重量%、前記(B)成分を0.1~20重量%、前記(C)成分を0.5~30重量%、及び前記(D)成分を30~80重量%含有する、請求項1に記載のゲル状洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記(C)成分が、塩化ベンザルコニウム及び/又はジアルキル(炭素数8~22)ジメチルアンモニウムメチルサルフェートである、請求項1又は2に記載のゲル状洗浄剤組成物。
【請求項4】
トイレ便器の洗浄用である、請求項1~3のいずれかに記載のゲル状洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレの便器、ガラス、窓、ドア、浴室の壁等の硬質表面に付着させて使用されるゲル状洗浄剤組成物であって、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルと、香料と、水とを含み、白濁を抑制されているゲル状洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレの便器等の硬質表面に付着する汚れを除去し、衛生的な環境を作り出すために、様々な洗浄剤組成物が使用されている。例えば、水洗トイレの洗浄剤組成物としては、水洗トイレの手洗い部や貯水タンク内に設置することにより、フラッシュ水に洗浄剤を溶出できるように設計されたオンタンク又はインタンク用のトイレ用洗浄剤が使用されている。しかしながら、近年、タンクレスの水洗トイレが普及しており、オンタンク又はインタンク用のトイレ用洗浄剤組成物では、タンクレスの水洗トイレに適用できないという欠点がある。そこで、近年、トイレの便器ボウル等の硬質表面に付着させて使用するゲル状洗浄剤組成物が開発されている。
【0003】
従来、硬質表面に付着させて使用するゲル状洗浄剤組成物では、ゲルの形成、硬質表面への付着性、洗浄性等の要求物性を備えさせるために、界面活性剤としてポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルが汎用されている。例えば、特許文献1には、重合度が13~50のポリオキシエチレンと炭素数12~18のアルキル基で構成されるポリオキシエチレンアルキルエーテルを含むトイレ用ゲル状洗浄剤を、トイレの便器ボウルの表面に付着させることによって、流水と接触しても、便器ボウルの表面に付着した状態を維持したまま、流水に洗浄剤を持続的に放出できることが報告されている。また、特許文献2には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル等のポリアルコキシ非イオン性界面活性剤15~40重量%、特定の共硬化剤1~10重量%、及び水25重量%以上を含む洗浄組成物は、自己粘着性と共に、高い硬度及び剛性を備え得ることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-57780号公報
【特許文献2】特表2018-519398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
硬質表面に付着させて使用されるゲル状洗浄剤組成物に香料を配合することによって、当該ゲル状洗浄剤組成物を使用する空間に芳香を付与することができ、生活の快適性を高めることが期待できる。そこで、本発明者は、硬質表面に付着させて使用するゲル状洗浄剤組成物に香料を配合した処方を開発すべく検討を進めたところ、当該ゲル状洗浄剤組成物で汎用されているポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルと水と共に、香料を配合すると、白濁が生じて外観が低下するという問題点を知得した。
【0006】
そこで、本発明の目的は、硬質表面に付着させて使用されるゲル状洗浄剤組成物において、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルと、香料と、水とを含有させ、且つ白濁を抑制する製剤技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったとこころ、硬質表面に付着させて使用されるゲル状洗浄剤組成物において、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルと、香料と、水と共に、第四級アンモニウム塩を含有させることにより、白濁が抑制でき、透明な外観を備えさせ得ることを見出した。
【0008】
一方、通常、ゲル状洗浄剤組成物は、高温(60~80℃)で原料を混合し、室温まで冷却することにより製造されている。そして、本発明者によって、ゲル状洗浄剤組成物の製造において、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルと水と共に香料を添加して高温で混合すると、原料の混合時の流動性が低下し、製造効率が低下するという問題点があることが確認されている。これに対して、本発明者は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルと、香料と、水と共に、第四級アンモニウム塩を含有させると、原料の混合時の流動性を十分に確保でき、前記問題点を克服して効率的にゲル状洗浄剤組成物を製造できることをも見出した。
【0009】
本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。即ち、本発明は、以下に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 硬質表面に付着させて使用されるゲル状洗浄剤組成物であって、
(A)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、(B)香料、(C)第四級アンモニウム塩、並びに(D)水を含有する、ゲル状洗浄剤組成物。
項2. 前記(A)成分を10~50重量%、前記(B)成分を0.1~20重量%、前記(C)成分を0.5~30重量%、及び前記(D)成分を30~80重量%含有する、項1に記載のゲル状洗浄剤組成物。
項3. 前記(C)成分が、塩化ベンザルコニウム及び/又はジアルキル(炭素数8~22)ジメチルアンモニウムメチルサルフェートである、項1又は2に記載のゲル状洗浄剤組成物。
項4. トイレ便器の洗浄用である、項1~3のいずれかに記載のゲル状洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明のゲル状洗浄剤組成物は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルと、香料と、水を含んでいながらも、白濁を抑制でき、透明で良好な外観を備えることができる。また、本発明のゲル状洗浄剤組成物は、製造時の原料混合の流動性の低下を抑制できるので、効率的な製造も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1、6、及び比較例1のゲル状洗浄剤組成物の外観を撮影した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.ゲル状洗浄剤組成物
本発明のゲル状洗浄剤組成物は、硬質表面に付着させて使用されるゲル状洗浄剤組成物であって、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル((A)成分と表記することもある)、香料((B)成分と表記することもある)、第四級アンモニウム塩((C)成分と表記することもある)、並びに水((D)成分と表記することもある)を含有することを特徴とする。以下、本発明のゲル状洗浄剤組成物について詳述する。
【0013】
[(A)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル]
本発明のゲル状洗浄剤組成物は、(A)成分としてポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルを含有する。本発明のゲル状洗浄剤組成物において、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテルは、ゲル状態の形成、硬質表面に対する付着性の付与、界面活性作用による洗浄性の付与等に寄与する成分である。
【0014】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとは、ポリオキシアルキレン鎖とアルキル基がエーテル結合している非イオン性界面活性剤である。ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルとは、ポリオキシアルキレン鎖とアルケニル基がエーテル結合している非イオン性界面活性剤である。
【0015】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテルを構成するポリオキシアルキレン鎖としては、例えば、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレン鎖のいずれであってもよい。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン鎖は、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドがランダム付加されたものであってもよく、これらがブロック付加されたものであってもよい。
【0016】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテルを構成するポリオキシアルキレン鎖として、好ましくはポリオキシエチレン鎖及びポリオキシプロピレン鎖、より好ましくはポリオキシエチレン鎖が挙げられる。
【0017】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテルを構成するポリオキシアルキレン鎖のアルキレンオキサイドの平均付加モル数としては、例えば、10~100、好ましくは20~70、より好ましくは40~60が挙げられる。
【0018】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテルを構成するアルキル基及びアルケニル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。また、当該アルキル基及びアルケニル基の炭素数としては、例えば、10~24、好ましくは12~22、更に好ましくは14~20が挙げられる。
【0019】
(A)成分の中でも、好ましくは、ポリオキシエチレン(平均付加モル数20~70)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(平均付加モル数20~70)ステアリルエーテル、及びポリオキシエチレン(平均付加モル数20~70)オレイルエーテルが挙げられる。
【0020】
本発明のゲル状洗浄剤組成物において、(A)成分として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテルの中から1種を選択して単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
本発明のゲル状洗浄剤組成物における(A)成分の含有量としては、ゲル状態を形成できる範囲で適宜設定すればよいが、例えば、10~60重量%、好ましくは20~50重量%、より好ましくは30~40重量%が挙げられる。
【0022】
[(B)香料]
本発明のゲル状洗浄剤組成物は、(B)成分として香料を含有する。本発明のゲル状洗浄剤組成は、香料成分を含有することにより、使用する空間に所望の香気を付与することが可能になる。
【0023】
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物に含有される香料の種類については、備えさせる香気に応じて油性香料の中から適宜選択すればよく、例えば、天然香料(精油)の他、炭化水素系香料、エーテル系香料、エステル系香料、アルコール系香料、アルデヒド系香料、ケトン系香料等の合成香料が挙げられる。
【0024】
本発明のゲル状洗浄剤組成物において、(B)成分として、1種の香料を単独で使用してもよく、また所望の香りが呈するように2種以上の香料を組み合わせて調合香料として使用してもよい。
【0025】
本発明のゲル状浄剤組成物において、(B)成分の含有量については、(B)成分の種類や備えさせる香気の強さ等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.1~20重量%、好ましくは0.5~10重量%、より好ましくは1~5重量%が挙げられる。
【0026】
[(C)第四級アンモニウム塩]
本発明のゲル状浄剤組成物は、(C)成分として第四級アンモニウム塩を含有する。前記(A)及び(B)成分並びに後述する(D)成分を含むゲル状洗浄剤組成物は、白濁して外観の悪化を招くが、本発明のゲル状洗浄剤組成物では、これらの成分と共に第四級アンモニウムを含むことにより、白濁を抑制することができる。また、前記(A)及び(B)成分並びに後述する(D)成分を高温(60~80℃)で混合すると、原料の混合時の流動性が低下により製造効率の低下を招くが、本発明のゲル状洗浄剤組成物では、これらの成分と共に第四級アンモニウムを含むことにより、製造における原料の混合時の流動性の低下を抑制し、効率的な製造が可能になっている。
【0027】
本発明で使用される第四級アンモニウム塩の種類については、特に限定されないが、例えば、第四級アンモニウムの塩化物、第四級アンモニウムのメチル硫酸塩等が挙げられる。第四級アンモニウム塩として、具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化デカリニウム、塩化ジアルキル(炭素数8~22)ジメチルアンモニウム、塩化アルキル(炭素数8~22)トリメチルアンモニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム、ジアルキル(炭素数8~22)ジメチルアンモニウムメチルサルフェート、アルキル(炭素数8~22)トリメチルアンモニウムメチルサルフェート等が挙げられる。
【0028】
これらの第四級アンモニウム塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
(C)成分の中でも、白濁抑制効果、及び製造における原料の混合時の流動性の低下抑制効果をより一層向上させるという観点から、好ましくは塩化ベンザルコニウム及びジアルキル(炭素数8~22)ジメチルアンモニウムメチルサルフェート;より好ましくは塩化ベンザルコニウム及びジアルキル(炭素数8~16)ジメチルアンモニウムメチルサルフェート;更に好ましくは塩化ベンザルコニウム及びジデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェートが挙げられる。
【0030】
本発明のゲル状洗浄剤組成物において、(C)成分として、1種の第四級アンモニウム塩を単独で使用してもよく、また2種以上の第四級アンモニウム塩を組み合わせて調合香料として使用してもよい。
【0031】
本発明のゲル状洗浄剤組成物において、(B)成分と(C)成分の比率としては、例えば、(B)成分100重量部当たり、(C)成分が1~5000重量部、好ましくは10~1000重量部、より好ましくは50~400重量部が挙げられる。
【0032】
本発明のゲル状洗浄剤組成物における(C)成分の含有量としては、(C)成分の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.5~30重量%、好ましくは1~15重量%、より好ましくは2~8重量%が挙げられる。
【0033】
[(D)水]
本発明のゲル状洗浄剤組成物は、(D)成分として水を含む。本発明のゲル状洗浄剤組成物において、水はゲル状態の形成に寄与する成分である。
【0034】
本発明のゲル状洗浄剤組成物において、(D)成分の含有量については、ゲル状態を形成できる範囲で適宜設定すればよいが、例えば、30~80重量%、好ましくは40~75重量%、より好ましくは50~70重量%が挙げられる。
【0035】
[その他の成分]
本発明のゲル状洗浄剤組成物には、前述する成分の他に、必要に応じて、溶剤((D)成分以外)、界面活性剤((A)成分以外)、酵素、殺菌剤、キレート剤、着色剤、顔料、消臭剤、乳化剤、可溶化剤、増量剤、溶解性調整剤、漂白剤、撥水剤、親水剤、充填剤、pH調整剤、増粘剤、緩衝剤、消泡剤等の添加剤を適量含むことができる。
【0036】
[製造方法]
本発明のゲル状洗浄剤組成物は、60~80℃程度の温度条件で前記(A)~(D)成分、及び必要に応じて添加される他の成分を所定量混合し、その後冷却することにより製造することができる。本発明のゲル状洗浄剤組成物は、(A)~(D)成分を含むことにより、製造における原料の混合時の流動性の低下を抑制できるので、効率的な製造が可能である。
【0037】
[用途]
本発明のゲル状洗浄剤組成物は、硬質表面の洗浄に使用される。具体的には、本発明のゲル状洗浄剤組成物を硬質表面に付着させて、硬質表面上に付着した状態で水と接触させることにより、水に配合成分が流出して洗浄が行われる。
【0038】
本発明のゲル状洗浄剤組成物において、洗浄対象となる硬質表面としては、水との接触が可能な硬質表面であればよく、例えば、トイレ便器、トイレの手洗い部、ガラス、窓、ドア、浴室の壁等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはトイレ便器が挙げられる。
【0039】
本発明のゲル状洗浄剤組成物をトイレ便器の洗浄に使用する場合、本発明のゲル状洗浄剤組成物は、フラッシュ水として供給される水と接触する部位に付着させればよい。このような付着部位として、好ましくは便器ボウルの表面が挙げられるが、貯水タンクの上に手洗い部が付いている水洗トイレの場合であれば、当該手洗い部の受け皿(貯水タンクの上蓋表面)であってもよい。本発明のゲル状洗浄剤組成物は、このような部位に付着させても、硬質表面に対する優れた付着性を備えているため、フラッシュ水が流れても、又はフラッシュ水として貯水タンクに供給される水と接触しても、付着した状態を維持することができる。
【0040】
本発明のゲル状洗浄剤組成物を硬質表面に付着させるには、硬質表面に対して本発明のゲル状洗浄剤組成物を収容した容器から押出又は噴射させればよい。
【0041】
[収容する容器]
本発明のゲル状洗浄剤組成物は、チューブ容器、ボトル容器、シリンジ型容器等の押出式容器;エアゾール容器等の噴射式容器等に収容して供給される。押出式容器の押出機構については、特に制限されず、手動式、圧縮式等のいずれであってもよい。
【0042】
2.白濁抑制方法
本発明の白濁抑制方法は、(A)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、(B)香料、及び(D)水を含むゲル状洗浄剤組成物の白濁を抑制する方法であって、ゲル状洗浄剤組成物中で、(A)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、(B)香料、(C)第四級アンモニウム塩、並びに(D)水を含有させることを特徴とする。
【0043】
本発明の白濁抑制方法において、使用される(A)~(D)成分の種類や配合量、ゲル状洗浄剤組成物の用途等については、前記「1.ゲル状洗浄剤組成物」の欄に記載の通りである。
【0044】
3.流動性低下抑制方法
本発明の流動性低下抑制方法は、(A)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、(B)香料、及び(D)水を含むゲル状洗浄剤組成物の製造における原料混合時の流動性の低下を抑制する方法であって、ゲル状洗浄剤組成物の原料として、(A)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、(B)香料、並びに(D)水と共に、(C)第四級アンモニウム塩を使用することを特徴とする。
【0045】
本発明の流動性低下抑制方法において、使用される(A)~(D)成分の種類や配合量、ゲル状洗浄剤組成物の用途等については、前記「1.ゲル状洗浄剤組成物」の欄に記載の通りである。
【実施例0046】
以下、実施例を挙げて、本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0047】
試験例1
表1に示す組成のゲル状洗浄剤組成物を調製した。具体的には、表1に示す各成分を60℃で混合した後に、室温に冷却することによりゲル状態にして、ゲル状洗浄剤組成物を調製した。なお、全てのゲル状洗浄剤組成物の調製において、60℃での混合は、各成分が十分に均一な状態になるまで行った。得られたゲル状洗浄剤組成物は、いずれも、便器ボウルの表面への付着性を備えていた。
【0048】
製造時に各成分を60℃で混合した際の原料混合物の流動性、及び得られたゲル状洗浄剤組成物の外観について、以下の評価基準で判定した。
【0049】
<製造時の原料混合物の流動性>
○:十分な流動性があり、製造上の問題はない。
×:流動性が不充分で、十分に混合するのに、十分に均一な状態になるまで混合時間が長くなったり、混合所要動力が大きくなったりした。
【0050】
<ゲル状洗浄剤組成物の外観>
○:透明な外観である。
×:顕著に白濁し、透明性を完全に喪失した外観である。
【0051】
結果を表1に示す。また、実施例1、6及び比較例1のゲル状洗浄剤組成物の外観を撮影した像を図1に示す。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び水を含むゲル状洗浄剤組成物(参考例1)は、透明な外観であり、製造時の原料混合物の流動性も問題なかったが、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、香料、及び水を含むゲル状洗浄剤組成物(比較例1)は、白濁して外観が悪化しており、更に製造時の原料混合物の流動性も低下していた。これに対して、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、香料、及び水と共に、塩化ベンザルコニウム又はジデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェートを含むゲル状洗浄剤組成物(実施例1~6)は、透明で良好な外界であり、製造時の原料混合物の流動性の低下も認められなかった。
【0052】
【表1】
図1