(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094256
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及びガス供給方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230628BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20230628BHJP
H05H 1/46 20060101ALN20230628BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/205
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209634
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】四本松 康太
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 昂
(72)【発明者】
【氏名】李 黎夫
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2G084BB14
2G084CC04
2G084CC05
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD23
2G084DD24
2G084DD37
2G084DD38
2G084DD55
2G084FF13
2G084FF15
5F004AA16
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5F004BB22
5F004BB23
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5F004CA03
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5F045AA08
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5F045EF05
5F045EF09
5F045EH13
5F045EH20
5F045EM05
(57)【要約】
【課題】プラズマ処理の面内均一性を制御するプラズマ処理装置及びガス供給方法を提供する。
【解決手段】基板を支持するように構成される基板支持部を有するプラズマ処理チャンバと、前記プラズマ処理チャンバ内の各領域にそれぞれガスを導入するように構成される複数のガス導入部を有するシャワーヘッドと、複数の前記ガス導入部にガスを供給するように構成されるガス供給部と、前記ガスのプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、少なくとも前記ガス供給部を制御するように構成される制御部と、を備え、前記ガス供給部は、複数の前記ガス導入部に共通ガスを供給するように構成されるガスユニットと、複数の前記ガス導入部のうち選択された前記ガス導入部に注入ガスを供給するように構成されるインジェクションユニットと、を有し、前記制御部は、2種類以上の前記注入ガスを2つの異なる前記ガス導入部に供給するように前記インジェクションユニットを制御する、プラズマ処理装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するように構成される基板支持部を有するプラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内の各領域にそれぞれガスを導入するように構成される複数のガス導入部を有するシャワーヘッドと、
複数の前記ガス導入部にガスを供給するように構成されるガス供給部と、
前記ガスのプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、
少なくとも前記ガス供給部を制御するように構成される制御部と、を備え、
前記ガス供給部は、
複数の前記ガス導入部に共通ガスを供給するように構成されるガスユニットと、
複数の前記ガス導入部のうち選択された前記ガス導入部に注入ガスを供給するように構成されるインジェクションユニットと、を有し、
前記制御部は、
2種類以上の前記注入ガスを2つの異なる前記ガス導入部に供給するように前記インジェクションユニットを制御する、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記インジェクションユニットは、前記ガス導入部ごとに前記注入ガスのガス種を選択可能に構成される、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記インジェクションユニットは、前記ガス導入部ごとに前記注入ガスの流量を調整可能に構成される、
請求項1または請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
第1ステップと、第2ステップと、を繰り返して前記基板にプラズマ処理を施し、
前記第1ステップと前記第2ステップで前記ガス導入部ごとに供給される前記注入ガスのガス種、流量のうち少なくとも一方を切り替える、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記ガス供給部は、前記ガスユニットから供給される前記共通ガスを分配して複数の前記ガス導入部に供給するように構成されるフロースプリッタを備え、
前記インジェクションユニットは、前記フロースプリッタの下流であって、前記シャワーヘッドの複数のガス導入部のそれぞれに対応して設けられたガス流路に接続され、前記フロースプリッタで分配された前記共通ガスに前記注入ガスを注入するように構成される、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
基板を支持するように構成される基板支持部を有するプラズマ処理チャンバと、前記プラズマ処理チャンバ内の各領域にそれぞれガスを導入するように構成される複数のガス導入部を有するシャワーヘッドと、複数の前記ガス導入部にガスを供給するように構成されるガス供給部と、前記ガスのプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、を備えるプラズマ処理装置のガス供給方法であって、
複数の前記ガス導入部に共通ガスを供給し、
2種類以上の注入ガスを2つの異なる前記ガス導入部に供給する、
ガス供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置及びガス供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、チャンバ内のセンター領域にガスを導入する第1ガス導入部と、チャンバ内のエッジ領域にガスを導入する第2ガス導入部と、第2ガス導入部よりも外側領域にガスを導入する第3ガス導入部と、を有するシャワーヘッドを備えた基板処理装置が開示されている。また、第1ガス導入部及び第2ガス導入部は、処理ガスをチャンバ内に導入することが開示されている。また、第3ガス導入部は、切換バルブによって、処理ガスまたは付加ガスを切り換えてチャンバ内に導入することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一の側面では、本開示は、プラズマ処理の面内均一性を制御するプラズマ処理装置及びガス供給方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、基板を支持するように構成される基板支持部を有するプラズマ処理チャンバと、前記プラズマ処理チャンバ内の各領域にそれぞれガスを導入するように構成される複数のガス導入部を有するシャワーヘッドと、複数の前記ガス導入部にガスを供給するように構成されるガス供給部と、前記ガスのプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部と、少なくとも前記ガス供給部を制御するように構成される制御部と、を備え、前記ガス供給部は、複数の前記ガス導入部に共通ガスを供給するように構成されるガスユニットと、複数の前記ガス導入部のうち選択された前記ガス導入部に注入ガスを供給するように構成されるインジェクションユニットと、を有し、前記制御部は、2種類以上の前記注入ガスを2つの異なる前記ガス導入部に供給するように前記インジェクションユニットを制御する、プラズマ処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、プラズマ処理の面内均一性を制御するプラズマ処理装置及びガス供給方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図の一例。
【
図3】ガス供給部を有するプラズマ処理装置を用いた基板処理結果の一例を示す図。
【
図5】正規化されたエッチングレートのグラフの一例。
【
図6】エッチングプロセスを説明するタイムチャートの模式図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0009】
以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。
図1は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図の一例である。
【0010】
プラズマ処理システムは、容量結合型のプラズマ処理装置1及び制御部2を含む。容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0011】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0012】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF(Radio Frequency)電源31及び/又はDC(Direct Current)電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0013】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0014】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0015】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a(13a1~13a3)、少なくとも1つのガス拡散室13b(13b1~13b3)、及び複数のガス導入口13c(13c1~13c3)を有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。
【0016】
また、
図1に示すシャワーヘッド13は、ガス導入部51と、ガス導入部52と、ガス導入部53と、を有する。ガス導入部51は、プラズマ処理チャンバ10内の基板Wの中心領域(センター領域)にガスを導入する。ガス導入部52は、ガス導入部51よりも外側領域(中間領域)にガスを導入する。ガス導入部53は、ガス導入部52よりも外側領域(エッジ領域)にガスを導入する。ガス導入部51、ガス導入部52及びガス導入部53は、同心状に配置されている。
【0017】
ガス拡散室13bは、ガス拡散室13b1と、ガス拡散室13b2と、ガス拡散室13b3と、を有する。
【0018】
ガス拡散室13b1には、ガス供給口13a1及び複数のガス導入口13c1が、ガスが通流可能に接続される。ガス導入部51は、ガス供給口13a1、ガス拡散室13b1、複数のガス導入口13c1を有して構成される。また、ガス拡散室13b2には、ガス供給口13a2及び複数のガス導入口13c2が、ガスが通流可能に接続される。ガス導入部52は、ガス供給口13a2、ガス拡散室13b2、複数のガス導入口13c2を有して構成される。また、ガス拡散室13b3には、ガス供給口13a3及び複数のガス導入口13c3が、ガスが通流可能に接続される。ガス導入部53は、ガス供給口13a3、ガス拡散室13b3、複数のガス導入口13c3を有して構成される。
【0019】
また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0020】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0021】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0022】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0023】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0024】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のバイアスDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0025】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0026】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0027】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0028】
次に、ガス供給部20について
図2を用いて更に説明する。
図2は、ガス供給部20の構成図の一例である。
【0029】
ガス供給部20は、ガスソース21と、流量制御器22(213,223)を有するガスユニット210及びインジェクションユニット220と、フロースプリッタ230と、バルブ240と、を備える。
【0030】
ガスソース21は、複数のガスソース21a~21eを有する。以下の説明において、プラズマ処理装置1は、基板Wに形成されたSiO2膜をエッチングするプラズマエッチング装置であって、ガスソース21aはO2ガスを供給し、ガスソース21bはNF3ガスを供給し、ガスソース21cはCH2F2ガスを供給し、ガスソース21dはC4F8ガスを供給し、ガスソース21dはC4F6ガスを供給するものとして説明する。
【0031】
ガスユニット210は、ガスソース21(21a~21e)から各ガスが供給され、フロースプリッタ230に供給するガスを選択し、選択したガスの流量を調整する。
【0032】
具体的には、ガスユニット210は、バルブ211と、バルブ212と、流量制御器213と、バルブ214と、ガス流路301(301a~301e)と、ガス流路302と、を備える。
【0033】
ガス流路301(301a~301e)は、ガスソース21のガス種毎に設けられる。
図2に示す例において、ガス流路301(301a~301e)は、ガスソース21のガス種に対応して5系統設けられる。各ガス流路301(301a~301e)の上流側は、各ガスソース21(21a~21e)にそれぞれ接続される。ガス流路301(301a~301e)には、ガスソース21の側から順番に、バルブ211、バルブ212、流量制御器213(22)、バルブ214が設けられる。ガス流路301(301a~301e)の下流側は、合流してガス流路302に接続される。また、ガス流路302の下流側は、フロースプリッタ230に接続される。
【0034】
バルブ211は、ガス流路301を開閉するための開閉弁である。バルブ212,214は、フロースプリッタ230に供給するガスを選択する際に用いる開閉弁であり、バルブ212は流量制御器213の上流側に設けられ、バルブ214は流量制御器213の下流側に設けられる。流量制御器213は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を用いることができる。
【0035】
このような構成により、制御部2は、バルブ212及びバルブ214の開閉を制御することにより、フロースプリッタ230に供給するガスを選択することができる。また、制御部2は、流量制御器213を制御することにより、選択したガスの流量を調整することができる。そして、ガスユニット210で選択され流量が調整されたガス(複数のガスが選択された場合は混合ガス)は、フロースプリッタ230に供給される。なお、以下の説明において、ガスユニット210からフロースプリッタ230に供給されるガスを共通ガス(または、メインガス)ともいう。
【0036】
フロースプリッタ230は、ガスユニット210(ガス流路302)から供給された共通ガスをガス流路303(303C,303M,303E)に分配して供給する。
【0037】
ガス流路303(303C,303M,303E)は、シャワーヘッド13の分割されたガス導入部毎に設けられる。
図2に示す例において、シャワーヘッド13は、3つに区画されたガス導入部(ガス導入部51、ガス導入部52、ガス導入部53)を有しており、ガス流路303(303C,303M,303E)は、ガス導入部の数に対応して3系統設けられる。ガス流路303(303C,303M,303E)には、バルブ240が設けられる。バルブ240は、ガス流路303を開閉するための開閉弁である。また、ガス流路302の下流側は、シャワーヘッド13のガス供給口13aに接続される。
【0038】
即ち、ガス流路303Cの下流側は、ガス供給口13a1に接続される。ガス流路303Mの下流側は、ガス供給口13a2に接続される。ガス流路303Eの下流側は、ガス供給口13a3に接続される。
【0039】
このような構成により、フロースプリッタ230で分配された共通ガスは、ガス流路303を介して、シャワーヘッド13のガス供給口13a1~ガス供給口13a3に供給される。
【0040】
したがって、ガスユニット210で選択され流量が調整された共通ガスは、ガス導入部51、ガス導入部52及びガス導入部53からプラズマ処理チャンバ10内のセンター領域、中間領域及びエッジ領域に導入される。
【0041】
インジェクションユニット220は、ガスソース21(21a~21e)から各ガスが供給され、ガス流路303C(ガス供給口13a1)、ガス流路303M(ガス供給口13a2)及びガス流路303E(ガス供給口13a3)に供給するガス(注入ガス)をそれぞれ独立して選択し、選択したガスの流量を調整する。
【0042】
具体的には、インジェクションユニット220は、バルブ221と、バルブ222と、流量制御器223と、バルブ224と、ガス流路304(304a~304e)と、ガス流路305(305C,3035,305E)と、を備える。
【0043】
ガス流路304(304a~304e)は、ガスソース21のガス種毎に設けられる。
図2に示す例において、ガス流路304(304a~304e)は、ガスソース21のガス種に対応して5系統設けられる。各ガス流路304(304a~304e)の上流側は、バルブ211とバルブ212との間の各ガス流路301(301a~301e)にそれぞれ接続される。ガス流路304(304a~304e)には、バルブ221が設けられる。
【0044】
また、ガス流路304(304a~304e)は、バルブ221よりも下流側において、ガス流路303(303C,303M,303E)の数(換言すれば、ガス導入部の区画された数)に対応して3つに分岐する。ガス流路304aにおいて、ガス流路304aC、ガス流路304aM及びガス流路304aEに分岐する。分岐したガス流路304aC,304aM,304aEには、バルブ221の側から順番に、バルブ222、流量制御器223(22)、バルブ224が設けられる。
【0045】
ガス流路304b~304eにおいても同様に、バルブ221よりも下流側において3つに分岐し、分岐したガス流路のそれぞれにおいて、バルブ221の側から順番に、バルブ222、流量制御器223(22)、バルブ224が設けられる。
【0046】
ガス流路304aCの下流側は、ガス流路304bから分岐したガス流路304bC、ガス流路304cから分岐したガス流路304cC、ガス流路304dから分岐したガス流路304dC、ガス流路304eから分岐したガス流路304eCと合流してガス流路305Cに接続される。ガス流路305Cの下流側は、フロースプリッタ230とバルブ240との間のガス流路303Cに接続される。
【0047】
同様に、ガス流路304aMの下流側は、ガス流路304bから分岐したガス流路、ガス流路304cから分岐したガス流路、ガス流路304dから分岐したガス流路、ガス流路304eから分岐したガスと合流してガス流路305Mに接続される。ガス流路305Mの下流側は、フロースプリッタ230とバルブ240との間のガス流路303Mに接続される。また、ガス流路304aEの下流側は、ガス流路304bから分岐したガス流路、ガス流路304cから分岐したガス流路、ガス流路304dから分岐したガス流路、ガス流路304eから分岐したガスと合流してガス流路305Eに接続される。ガス流路305Eの下流側は、フロースプリッタ230とバルブ240との間のガス流路303Eに接続される。
【0048】
バルブ221は、ガス流路304を開閉するための開閉弁である。バルブ222,224は、ガス流路303C(ガス供給口13a1)、ガス流路303M(ガス供給口13a2)及びガス流路303E(ガス供給口13a3)に供給するガスをそれぞれ独立して選択する際に用いる開閉弁であり、バルブ222は流量制御器223の上流側に設けられ、バルブ224は流量制御器223の下流側に設けられる。流量制御器223は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を用いることができる。なお、流量制御器223は、インジェクションユニット220に供給されるガス種(
図2では、5つ)と、ガス流路303の数(換言すれば、ガス導入部の区画された数。
図2では、3つ)とを積算した数(
図2では15個)設けられている。
【0049】
このような構成により、制御部2は、バルブ222及びバルブ224の開閉を制御することにより、ガス流路303C(ガス供給口13a1)、ガス流路303M(ガス供給口13a2)及びガス流路303E(ガス供給口13a3)に供給するガスをそれぞれ独立して選択することができる。また、制御部2は、流量制御器223を制御することにより、選択したガスの流量を調整することができる。そして、インジェクションユニット220で各ガス導入部51~53ごとに選択され流量が調整されたガス(複数のガスが選択された場合は混合ガス)は、各ガス導入部51~53に対応するガス流路303C,303M,303Eに供給される。即ち、ガス流路303C,303M,303Eを流れるガスに、個別にガスを注入することができる。なお、以下の説明において、インジェクションユニット220からガス流路303(303C,303M,303E)を流れる共通ガスに注入されるガスを注入ガスともいう。
【0050】
なお、
図2に示すガス供給部20において、ガスソース21が供給するガス種は、5つ(ガスソース21a~21e)であるものとして説明したが、これに限られるものではなく、2つ以上であってもよい。例えば、SiO
2膜をエッチングする場合、ガスソース21が供給するガスとしては、CF
4、C
4F
6、C
4F
8、C
3F
8、CH
2F
2、CHF
3、NF
3、HBr、Cl
2、N
2、O
2、CO、CO
2、Ar、Kr等のガスのうちいずれかのガスを用いることができる。
【0051】
また、
図1及び
図2に示すシャワーヘッド13のガス導入部は3つ(ガス導入部51~53)に区画されているものとして説明したが、これに限られるものではなく、2つ以上であってもよい。また、ガスユニット210におけるガス流路301(301a~301e)の系統数(
図2では5つ)とインジェクションユニット220におけるガス流路304(304a~304e)の系統数(
図2では5つ)とは、等しいものとして説明したが、これに限られるものではなく、異なっていてもよい。即ち、ガスソース21がガスユニット210に供給するガス種のうち、一部のガス種がインジェクションユニット220に供給される構成であってもよい。即ち、インジェクションユニット220は、共通ガスとしてのみ用いられるガス種に対応するガス流路304が設けられていなくてもよい。これにより、流量制御器223等の部品点数を削減することができる。
【0052】
図3は、ガス供給部20を有するプラズマ処理装置1を用いた基板処理の面内均一制御を説明する模式図である。
図3では、基板支持部11に支持された基板Wを示し、基板Wに対向して配置されるシャワーヘッド13のガス導入部51~53の位置を二点鎖線で示す。
【0053】
制御部2は、インジェクションユニット220を制御することにより、例えば、ガス導入部51から第1の注入ガスをプラズマ処理空間10s内に導入し、ガス導入部52から第2の注入ガスをプラズマ処理空間10s内に導入する。なお、
図3に示す例では、ガス導入部53からは注入ガスを導入しない。また、この制御では、ガスユニット210を制御することにより、ガス導入部51~53からプラズマ処理空間10s内に共通ガスが導入される。基板Wの表面における第1の注入ガスの分布の一例を実線で示す。また、基板Wの表面における第2の注入ガスの分布の一例を破線で示す。
【0054】
このように、ガス供給部20は、任意のガスを、任意の場所(ガス導入部51~53)に、任意の量で、注入することができる。これにより、基板処理における面内均一性の制御性を拡大し、プロセスウィンドウを広げることができる。
【0055】
次に、ガス供給部20を有するプラズマ処理装置1を用いた基板処理結果の一例について、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は、ガス供給部20を有するプラズマ処理装置1を用いた基板処理結果の一例を示す図である。ここでは、ガスソース21はO
2ガス、CH
2F
2ガス、C
4F
8ガス、C
4F
6ガスを供給し、プラズマ処理装置1は基板Wに形成されたSiO
2膜に対してプラズマエッチング処理を施した。
【0056】
「Main CxHyFz」で示す行において、「On」は、ガスユニット210からフロースプリッタ230を介してガス導入部51~53にCH
2F
2ガスを供給することを示す。「Main O2」で示す行において、「On」は、ガスユニット210からフロースプリッタ230を介してガス導入部51~53にO
2ガスを供給することを示す。即ち、
図4の(a)~(f)は、共通ガスとしてCH
2F
2ガス及びO
2ガスを供給することを示す。
【0057】
「Inj. C4F8」で示す行において、インジェクションユニット220からガス導入部51~53のうち選択されたガス導入部にC
4F
8ガスを供給することを示す。「Inj. C4F6」で示す行において、インジェクションユニット220からガス導入部51~53のうち選択されたガス導入部にC
4F
6ガスを供給することを示す。また、「C」は、ガス導入部51(ガス流路303C)に注入ガスを注入することを示す。「M」は、ガス導入部52(ガス流路303M)に注入ガスを注入することを示す。「E」は、ガス導入部53(ガス流路303E)に注入ガスを注入することを示す。即ち、
図4の(b)~(f)は、注入ガスとしてC
4F
8ガス及びC
4F
6ガスを供給することを示す。なお、
図4の(a)は、注入ガスを用いず、共通ガスのみを供給することを示す。
【0058】
具体的には、(b)では、ガス導入部51(ガス流路303C)に注入ガスとしてC4F8ガス及びC4F6ガスを供給した。(c)では、ガス導入部52(ガス流路303M)に注入ガスとしてC4F8ガス及びC4F6ガスを供給した。(d)では、ガス導入部53(ガス流路303E)に注入ガスとしてC4F8ガス及びC4F6ガスを供給した。(e)では、ガス導入部51(ガス流路303C)に注入ガスとしてC4F8ガスを供給し、ガス導入部53(ガス流路303E)に注入ガスとしてC4F6ガスを供給した。(f)では、ガス導入部52(ガス流路303M)に注入ガスとしてC4F8ガスを供給し、ガス導入部53(ガス流路303E)に注入ガスとしてC4F6ガスを供給した。
【0059】
また、
図4において、上下2段のグラフのうち上側のグラフは、エッチングレートを示す。なお、このグラフにおいて、横軸は、基板Wの径方向の位置[mm]を示し、0[mm]は基板Wの中心を示す。縦軸は、エッチングレートを示す。ここでは、上に向かうほどエッチングレートが高くなるものとして図示している。
【0060】
また、
図4において、上下2段のグラフのうち下側のグラフは、注入ガスを用いない(a)のエッチングレートを1として正規化したエッチングレートを実線で示す。また、正規化された(a)の結果を破線で示す。即ち、下側のグラフは、注入ガスを用いない場合に対して注入ガスを用いたことによるエッチングレートの変化を示す。なお、このグラフにおいて、横軸は、基板Wの径方向位置を示し、0[mm]は基板Wの中心を示す。縦軸は、エッチングレートを示す。ここでは、上に向かうほどエッチングレートが高くなるものとして図示している。
【0061】
図5は、
図4の(d)~(f)において、注入ガスを用いない
図4(a)のエッチングレートを1として正規化されたエッチングレートのグラフ(下段のグラフ)を1つのグラフ上に重ねて縦軸を拡大したグラフの一例である。
図4の(d)を一点鎖線で示し、
図4の(e)を実線で示し、
図4の(f)を破線で示す。
【0062】
図4の(b)~(d)に示すように、ガス供給部20を有するプラズマ処理装置1は、2種類の注入ガス(C
4F
8ガス、C
4F
6ガス)を同一のガス導入部に供給することができる。また、
図4の(e)~(f)に示すように、ガス供給部20を有するプラズマ処理装置1は、2種類の注入ガス(C
4F
8ガス、C
4F
6ガス)を異なるガス導入部に供給することができる。換言すれば、ガス導入部に供給される注入ガスの種類及び流量をガス導入部ごとに異ならせることができる。
【0063】
また、
図4の(d)~(f)及び
図5に示すように、C
4F
8ガスを供給するガス導入部を変更することで、正規化されたエッチングレートが低下する位置が異なる。C
4F
8ガスをガス導入部51(ガス流路303C)に供給した際は、基板Wのセンター領域で正規化されたエッチングレートが低下する(
図5の実線矢印参照)。C
4F
8ガスをガス導入部52(ガス流路303M)に供給した際は、基板Wの中間領域で正規化されたエッチングレートが低下する(
図5の破線矢印参照)。C
4F
8ガスをガス導入部53(ガス流路303E)に供給した際は、基板Wのエッジ領域で正規化されたエッチングレートが低下する(
図5の一点鎖線矢印参照)。
【0064】
このように、ガス供給部20を有するプラズマ処理装置1は、C
4F
8ガスを供給するガス導入部の位置を切り換えることができる。
図5に示すように、C
4F
8ガスをガス導入部53(ガス流路303E)に供給する状態(
図4(d)参照)からガス導入部51(ガス流路303C)に供給する状態(
図4(e)参照)またはガス導入部52(ガス流路303M)に供給する状態(
図4(f)参照)に変更する。これにより、エッチングレートの面内均一性又は制御性を微調整することができる。
【0065】
なお、
図4及び
図5に示すプラズマエッチング処理において、共通ガスとして供給されるCH
2F
2ガスはエッチングに用いられ、注入ガスの一例をして用いられるC
4F
8ガスはエッチングレートを低下させる機能を果たす。このため、C
4F
8ガスは、基板Wにホール等の凹部のパターンを形成する際、凹部のボーイング(Bowing)を縮小させることができる。
【0066】
次に、プラズマエッチング処理において、2つ以上のステップを複数サイクル行うエッチングプロセスについて、説明する。
図6は、エッチングプロセスを説明するタイムチャートの模式図の一例である。
【0067】
図6に示すエッチングプロセスでは、第1ステップS1(例えば保護膜堆積ステップ)と、第2ステップS2(例えばエッチングステップ)と、を複数サイクル繰り返す。
【0068】
第1ステップS1では、例えば、第1注入ガスをガス導入部51(ガス流路303C)及びガス導入部53(ガス流路303E)に供給し、第2注入ガスをガス導入部53(ガス流路303E)に供給する。また、ガス導入部53(ガス流路303E)に供給される第1注入ガスの流量は、ガス導入部51(ガス流路303C)に供給される第1注入ガスの流量よりも少なくしている。
【0069】
第2ステップS2では、例えば、第1注入ガスをガス導入部51(ガス流路303C)及びガス導入部52(ガス流路303M)に供給し、第2注入ガスをガス導入部51(ガス流路303C)及びガス導入部52(ガス流路303M)に供給する。また、ガス導入部51(ガス流路303C)に供給される第1注入ガスの流量は、ガス導入部52(ガス流路303M)に供給される第1注入ガスの流量よりも少なくしている。また、ガス導入部52(ガス流路303M)に供給される第2注入ガスの流量は、ガス導入部51(ガス流路303C)に供給される第2注入ガスの流量よりも少なくしている。
【0070】
このように、ガス供給部20を有するプラズマ処理装置1は、インジェクションユニット220から各ガス導入部51~53に供給される注入ガスのガス種、流量をステップごとに切り換えて制御することができる。
【0071】
また、インジェクションユニット220は、共通ガスのフロースプリッタ230よりも下流側の、よりシャワーヘッド13に近いガス流路303(303C,303M,303E)に注入ガスを供給する。これにより、ガス導入部51~53からプラズマ処理空間10s内に供給されるガスの切り替えの応答性を向上させることができる。
【0072】
例えば、
図4(d)に示すC
4F
8ガスをガス導入部53(ガス流路303E)に供給するステップと、
図4(e)に示すC
4F
8ガスをガス導入部51(ガス流路303C)に供給するステップと、を高速で切り替え、複数サイクル繰り返す。これにより、基板Wのエッジ領域に形成される凹部の形状を維持しつつ、基板Wのセンター領域に形成される凹部のボーイングを抑制することができる。
【0073】
以上、プラズマ処理システムの実施形態等について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0074】
W 基板
1 プラズマ処理装置
2 制御部
10 プラズマ処理チャンバ
11 基板支持部
13 シャワーヘッド
20 ガス供給部
21 ガスソース
21a~21e ガスソース
22,213,223 流量制御器
30 電源
40 排気システム
210 ガスユニット
211,212,214,221,222,224,240 バルブ
220 インジェクションユニット
230 フロースプリッタ
301~305 ガス流路
51~53 ガス導入部