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特開2023-9435プラズマ処理装置及びシースの厚さを求める方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009435
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置及びシースの厚さを求める方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/00 20060101AFI20230113BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230113BHJP
   H05H 1/46 20060101ALN20230113BHJP
【FI】
H05H1/00 A
H01L21/302 103
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112704
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】久保田 紳治
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC14
2G084CC33
2G084DD24
2G084DD37
2G084DD38
2G084DD55
2G084FF15
2G084HH02
2G084HH06
2G084HH27
2G084HH30
2G084HH34
2G084HH42
2G084HH44
5F004AA16
5F004BA09
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB23
5F004CA06
5F004CB01
(57)【要約】
【課題】基板上のシースの厚さを求める技術を提供する。
【解決手段】開示されるプラズマ処理装置では、誘電体部材がチャンバ内で基板支持部の外周を囲んでいる。第1及び第2の受信器の各々の受信アンテナと送信器の送信アンテナが、誘電体部材の下方に設けられている。送信器は、誘電体部材を介して上方にマイクロ波を送信する。第1及び第2の受信器は、シースとプラズマとの界面で反射されたマイクロ波を、誘電体部材を介して受信する。第1の受信器の受信アンテナと送信アンテナが配置されている第1の領域と第2の受信器の受信アンテナが配置されている第2の領域とは、基板支持部の中心軸線に対して軸対称である。演算部が、第1の受信器によって受信されるマイクロ波の信号強度の第2の受信器によって受信されるマイクロ波の信号強度に対する比の値からシースの厚さを求める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
電極を含み、前記チャンバ内に設けられた基板支持部と、
前記チャンバ内でプラズマを生成するように構成されたプラズマ生成部と、
前記電極に電気バイアスエネルギーを供給するように構成されたバイアス電源と、
前記基板支持部を囲むように前記基板支持部の外周に沿って配置された誘電体部材と、
各々が前記誘電体部材の下方に配置された送信アンテナを含み、前記誘電体部材を介して上方にマイクロ波を送信するように構成された一つ以上の送信器と、
各々が前記誘電体部材の下方に配置された受信アンテナを含み、前記基板支持部上のシースとプラズマとの界面で反射されたマイクロ波を前記誘電体部材を介して受信するように構成された二つ以上の受信器であり、該二つ以上の受信器のうち第1の受信器の前記受信アンテナと前記一つ以上の送信器のうち一つの送信器の前記送信アンテナが配置されている第1の領域と該二つ以上の受信器のうち第2の受信器の前記受信アンテナが配置されている第2の領域とは、前記基板支持部の中心軸線に対して軸対称である、該二つ以上の受信器と、
前記一つの送信器によって送信されて前記第1の受信器によって受信される前記マイクロ波の第1の信号強度と、前記一つの送信器によって送信されて前記第2の受信器によって受信される前記マイクロ波の第2の信号強度に対する比の値から前記シースの厚さを求めるように構成された演算部と、
を備えるプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記演算部は、前記基板支持部上に載置された基板の電位を前記シースの厚さから求めるように構成されている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記第1の受信器によって受信される前記マイクロ波の信号強度が周期的且つ最も急激に増加するタイミングを検出することにより前記電気バイアスエネルギーの周期の位相を検出するように、構成されている、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記第1の受信器の前記受信アンテナは、前記一つの送信器の前記送信アンテナの近傍に配置されている、請求項1~3の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記一つ以上の送信器として複数の送信器を備え、
前記二つ以上の受信器として複数の受信器を備え、
前記複数の送信器の送信アンテナ及び前記複数の受信器の受信アンテナは、前記誘電体部材の下方で前記中心軸線を中心に周方向に沿って配列されており、
前記複数の送信器及び前記複数の受信器は、該複数の送信器のうち一つの送信器と該複数の受信器のうち対応の第1の受信器及び対応の第2の受信器を各々が含む複数のグループを構成し、
前記複数のグループの各々において、前記一つの送信器の前記送信アンテナと前記対応の第1の受信器の前記受信アンテナが配置されている第1の領域と前記対応の第2の受信器の前記受信アンテナが配置されている第2の領域とは、前記中心軸線に対して軸対称であり、
前記演算部は、前記複数のグループの各々について、前記一つの送信器によって送信されて前記対応の第1の受信器によって受信される前記マイクロ波の第1の信号強度と、前記一つの送信器によって送信されて前記対応の第2の受信器によって受信される前記マイクロ波の第2の信号強度と、を取得し、前記第1の信号強度の前記第2の信号強度に対する比の値から前記シースの厚さを求めることにより、シースの複数の厚さを求めるように構成されている、
請求項1~4の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記複数のグループの各々において、前記対応の第1の受信器の前記受信アンテナは、前記一つの送信器の前記送信アンテナの近傍に配置されている、請求項5に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記電気バイアスエネルギーは、バイアス周波数を有し、
前記複数の送信器は、前記電気バイアスエネルギーが前記電極に供給されているときに、前記バイアス周波数の逆数の時間長を有する周期内で前記マイクロ波を順に送信するように構成されている、
請求項5又は6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記電気バイアスエネルギーは、前記バイアス周波数を有する高周波バイアス電力であるか、前記バイアス周波数の逆数の時間間隔で発生される電圧のパルスである、請求項7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記誘電体部材は、石英又はセラミックから形成されている、請求項1~8の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記演算部は、前記比の値と前記シースの厚さの予め定められた関係に基づき、前記シースの厚さを求めるように構成されている、請求項1~9の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記誘電体部材は第1の誘電体部材であり、
該プラズマ処理装置は、
前記第1の誘電体部材を囲むように該第1の誘電体部材の外周に沿って配置された第2の誘電体部材と、
各々が前記第2の誘電体部材の下方に配置された送信アンテナを有し、該第2の誘電体部材を介して上方にマイクロ波を送信するように構成された一つ以上の別の送信器と、
各々が前記第2の誘電体部材の下方に配置された受信アンテナを有し、前記界面で反射されたマイクロ波を、前記第2の誘電体部材を介して受信するように構成された二つ以上の別の受信器であり、第3の受信器及び第4の受信器を含み、該第3の受信器の前記受信アンテナと前記一つ以上の別の送信器のうち一つの送信器の前記送信アンテナが配置されている第3の領域と該第4の受信器の前記受信アンテナが配置されている第4の領域とは、前記中心軸線に対して軸対称である、該二つ以上の別の受信器と、
を更に備え、
前記第3の領域は、前記中心軸線に直交する径方向に沿って前記第1の領域と整列されており、
前記演算部は、前記一つ以上の別の送信器のうち前記一つの送信器によって送信されて前記第3の受信器によって受信される前記マイクロ波の第3の信号強度と、前記一つ以上の別の送信器のうち前記一つの送信器によって送信されて前記第4の受信器によって受信される前記マイクロ波の第4の信号強度と、を取得し、前記第3の信号強度の前記第4の信号強度に対する比の値から前記シースの厚さを求めるように構成されている、
請求項1~4の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記第3の受信器の前記受信アンテナは、前記一つ以上の別の送信器のうち前記一つの送信器の前記送信アンテナの近傍に配置されている、請求項11に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記演算部は、
前記第1の受信器で前記マイクロ波が受信されている場合に、前記第1の信号強度の前記第2の信号強度に対する前記比の値から求められる前記シースの厚さを採用し、
前記第1の受信器で前記マイクロ波が受信されていない場合に、前記第3の信号強度の前記第4の信号強度に対する前記比の値から求められる前記シースの厚さを採用する、
ように構成されている、請求項11又は12に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記一つ以上の送信器として複数の送信器を備え、
前記二つ以上の受信器として複数の受信器を備え、
前記複数の送信器の送信アンテナ及び前記複数の受信器の受信アンテナは、前記第1の誘電体部材の下方で前記中心軸線を中心に周方向に沿って配列されており、
前記複数の送信器及び前記複数の受信器は、該複数の送信器のうち一つの送信器と該複数の受信器のうち対応の第1の受信器及び対応の第2の受信器を各々が含む複数のグループを構成し、
前記複数のグループの各々において、前記一つの送信器の前記送信アンテナと前記対応の第1の受信器の前記受信アンテナが配置されている第1の領域と前記対応の第2の受信器の前記受信アンテナが配置されている第2の領域とは、前記中心軸線に対して軸対称であり、
前記演算部は、前記複数のグループの各々について、前記一つの送信器によって送信されて前記対応の第1の受信器によって受信される前記マイクロ波の第1の信号強度と、前記一つの送信器によって送信されて前記対応の第2の受信器によって受信される前記マイクロ波の第2の信号強度と、を取得し、前記第1の信号強度の前記第2の信号強度に対する比の値から前記シースの厚さを求めることにより、シースの複数の厚さを求めるように構成されており、
前記一つ以上の別の送信器として複数の別の送信器を備え、
前記二つ以上の別の受信器として複数の別の受信器を備え、
前記複数の別の送信器の送信アンテナ及び前記複数の別の受信器の受信アンテナは、前記第2の誘電体部材の下方で前記中心軸線を中心に周方向に沿って配列されており、
前記複数の別の送信器及び前記複数の別の受信器は、前記複数の別の送信器のうち一つの送信器と前記複数の別の受信器のうち対応の第3の受信器及び対応の第4の受信器を各々が含む複数の別のグループを構成し、
前記複数の別のグループの各々において、前記一つの送信器の前記送信アンテナと前記対応の第3の受信器の前記受信アンテナが配置されている第3の領域と前記対応の第4の受信器の前記受信アンテナが配置されている第4の領域とは、前記中心軸線に対して軸対称であり、
前記複数の別のグループの各々の前記一つの送信器の前記送信アンテナと前記対応の第3の受信器の前記受信アンテナが配置されている前記第3の領域は、前記複数のグループのうち対応のグループの前記一つの送信器の前記送信アンテナと前記対応の第1の受信器の前記受信アンテナが配置されている前記第1の領域と前記径方向に沿って整列されており、
前記演算部は、前記複数の別のグループの各々について、前記一つの送信器によって送信されて前記対応の第3の受信器によって受信される前記マイクロ波の第3の信号強度と、前記一つの送信器によって送信されて前記対応の第4の受信器によって受信される前記マイクロ波の第4の信号強度と、を取得し、前記第3の信号強度の前記第4の信号強度に対する比の値から前記シースの厚さを求めることにより、シースの複数の厚さを求めるように構成されている、
請求項11~13の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
前記複数の別のグループの各々において、前記対応の第3の受信器の前記受信アンテナは、前記一つの送信器の前記送信アンテナの近傍に配置されている、請求項14に記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
前記電気バイアスエネルギーは、バイアス周波数を有し、
前記複数の送信器は、前記電気バイアスエネルギーが前記電極に供給されているときに、前記バイアス周波数の逆数の時間長を有する周期内で前記マイクロ波を順に送信するように構成されており、
前記複数の別の送信器は、前記周期内で前記マイクロ波を順に送信するように構成されており、
請求項14又は15に記載のプラズマ処理装置。
【請求項17】
前記電気バイアスエネルギーは、前記バイアス周波数を有する高周波バイアス電力であるか、前記バイアス周波数の逆数の時間間隔で発生される電圧のパルスである、請求項16に記載のプラズマ処理装置。
【請求項18】
前記第1の誘電体部材及び前記第2の誘電体部材は、石英又はセラミックから形成されている、請求項11~17の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項19】
前記演算部は、前記比の値と前記シースの厚さの予め定められた関係に基づき、前記シースの厚さを求めるように構成されている、請求項11~18の何れか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項20】
シースの厚さを求める方法であって、
プラズマ処理装置のチャンバ内でプラズマを生成する工程であり、該プラズマ処理装置は該チャンバ内に設けられた基板支持部及び該基板支持部を囲むように前記基板支持部の外周に沿って配置された誘電体部材を含む、該工程と、
前記基板支持部の電極に電気バイアスエネルギーを供給する工程と、
送信器を用いて、前記誘電体部材を介して上方にマイクロ波を送信する工程であり、該送信器は、前記誘電体部材の下方に配置された送信アンテナを有する、該工程と、
第1の受信器及び第2の受信器を用いて、前記基板支持部上のシースとプラズマとの界面で反射された前記マイクロ波を、前記誘電体部材を介して受信する工程であり、該第1の受信器の受信アンテナ及び該第2の受信器の受信アンテナは、前記誘電体部材の下方に配置されており、該第1の受信器の該受信アンテナと前記送信アンテナが配置されている第1の領域と該第2の受信器の該受信アンテナが配置されている第2の領域とは、前記基板支持部の中心軸線に対して軸対称である、該工程と、
前記第1の受信器によって受信される前記マイクロ波の第1の信号強度の前記第2の受信器によって受信される前記マイクロ波の第2の信号強度に対する比の値から前記シースの厚さを求める工程と、
を含む、シースの厚さを求める方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理装置及びシースの厚さを求める方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置が基板に対する処理において用いられている。プラズマ処理装置は、チャンバ及び基板支持部を備える。基板支持部は、チャンバ内に設けられている。基板支持部は、その上に載置される基板を支持する。基板支持部は、電極を有する。基板支持部の電極には、プラズマから基板に供給されるイオンのエネルギーを調整するために電気バイアスエネルギーが供給される。下記の特許文献1は、基板に供給されるイオンのエネルギーを推定するために、電気バイアスエネルギーの伝送線路における電圧を測定する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0116080号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板上のシースの厚さを求める技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持部、プラズマ生成部、バイアス電源、誘電体部材、一つ以上の送信器、二つ以上の受信器、及び演算部を備える。基板支持部は、電極を含み、チャンバ内に設けられている。プラズマ生成部は、チャンバ内でプラズマを生成するように構成されている。バイアス電源は、基板支持部の電極に電気バイアスエネルギーを供給するように構成されている。誘電体部材は、基板支持部を囲むように基板支持部の外周に沿って配置されている。一つ以上の送信器の各々は、誘電体部材の下方に配置された送信アンテナを含む。一つ以上の送信器は、誘電体部材を介して上方にマイクロ波を送信するように構成されている。二つ以上の受信器の各々は、誘電体部材の下方に配置された受信アンテナを含む。二つ以上の受信器は、基板支持部上のシースとプラズマとの界面で反射されたマイクロ波を、誘電体部材を介して受信するように構成されている。二つ以上の受信器は第1の受信器及び第2の受信器を含む。第1の受信器の受信アンテナと一つの送信器の送信アンテナが配置されている第1の領域と第2の受信器の受信アンテナが配置されている第2の領域とは、基板支持部の中心軸線に対して軸対称である。演算部は、一つの送信器によって送信されて第1の受信器によって受信されるマイクロ波の第1の信号強度と、一つの送信器によって送信されて第2の受信器によって受信されるマイクロ波の第2の信号強度と、を取得する。演算部は、第1の信号強度の第2の信号強度に対する比の値からシースの厚さを求めるように構成されている。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、基板上のシースの厚さを求めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。
図2】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置における複数の送信器の送信アンテナと複数の受信器の受信アンテナの配置を示す図である。
図3】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置における送信器を示す断面図である。
図4】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置における受信器を示す断面図である。
図5】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置におけるマイクロ波の送信及び受信の一例のタイミングチャートである。
図6】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置における受信信号強度の決定方法を説明する図である。
図7】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置における電気バイアスエネルギー、基板の電位、及び受信器の受信信号強度の一例のタイミングチャートである。
図8】別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。
図9】別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置における複数の送信器と複数の受信器の配置を示す図である。
図10図10の(a)及び図10の(b)は、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置におけるシースの厚さと幾つかの受信器の受信信号強度との関係を示す図である。
図11図11の(a)は別の例示的実施形態に係る送信器のアンテナを示す図であり、図11の(b)は別の例示的実施形態に係る送信器の構成を示す図である。
図12】一つの例示的実施形態に係るシースの厚さを求める方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、チャンバ、基板支持部、プラズマ生成部、バイアス電源、誘電体部材、一つ以上の送信器、二つ以上の受信器、及び演算部を備える。基板支持部は、電極を含み、チャンバ内に設けられている。プラズマ生成部は、チャンバ内でプラズマを生成するように構成されている。バイアス電源は、基板支持部の電極に電気バイアスエネルギーを供給するように構成されている。誘電体部材は、基板支持部を囲むように基板支持部の外周に沿って配置されている。一つ以上の送信器の各々は、誘電体部材の下方に配置された送信アンテナを含む。一つ以上の送信器は、誘電体部材を介して上方にマイクロ波を送信するように構成されている。二つ以上の受信器の各々は、誘電体部材の下方に配置された受信アンテナを含む。二つ以上の受信器は、基板支持部上のシースとプラズマとの界面で反射されたマイクロ波を、誘電体部材を介して受信するように構成されている。二つ以上の受信器は第1の受信器及び第2の受信器を含む。第1の受信器の受信アンテナと一つの送信器の送信アンテナが配置されている第1の領域と第2の受信器の受信アンテナが配置されている第2の領域とは、基板支持部の中心軸線に対して軸対称である。演算部は、一つの送信器によって送信されて第1の受信器によって受信されるマイクロ波の第1の信号強度と、一つの送信器によって送信されて第2の受信器によって受信されるマイクロ波の第2の信号強度と、を取得する。演算部は、第1の信号強度の第2の信号強度に対する比の値からシースの厚さを求めるように構成されている。
【0010】
上記実施形態のプラズマ処理装置では、基板上のシースの厚さが薄いほど、第1の受信器によって受信されるマイクロ波の信号強度が、第2の受信器によって受信されるマイクロ波の信号強度に対して相対的に大きくなる。したがって、この実施形態によれば、第1の信号強度の第2の信号強度に対する比の値からシースの厚さを求めることが可能となる。
【0011】
一つの例示的実施形態において、演算部は、基板支持部上に載置された基板の電位をシースの厚さから求めるように構成されていてもよい。
【0012】
一つの例示的実施形態において、演算部は、第1の受信器によって受信されるマイクロ波の信号強度が周期的且つ最も急激に増加するタイミングを検出することにより電気バイアスエネルギーの周期の位相を検出するように、構成されていてもよい。
【0013】
一つの例示的実施形態において、第1の受信器の受信アンテナは、一つの送信器の送信アンテナの近傍に配置されていてもよい。
【0014】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、一つ以上の送信器として複数の送信器を備えていてもよく、二つ以上の受信器として複数の受信器を備えていてもよい。複数の送信器及び複数の受信器は、基板支持部の中心軸線の周りで周方向に沿って配列されている。複数の送信器の送信アンテナ及び複数の受信器の受信アンテナは、誘電体部材の下方で中心軸線を中心に周方向に沿って配列されている。複数の送信器及び複数の受信器は、複数のグループを構成する。複数のグループの各々は、複数の送信器のうち一つの送信器と複数の受信器のうち対応の第1の受信器及び対応の第2の受信器を含む。複数のグループの各々において、一つの送信器の送信アンテナと対応の第1の受信器の受信アンテナが配置されている第1の領域と対応の第2の受信器の受信アンテナが配置されている第2の領域とは、基板支持部の中心軸線に対して軸対称である。演算部は、複数のグループの各々について、第1の信号強度及び第2の信号強度を取得する。第1の信号強度は、一つの送信器によって送信されて対応の第1の受信器によって受信されるマイクロ波の強度である。第2の信号強度は、一つの送信器によって送信されて対応の第2の受信器によって受信されるマイクロ波の強度である。演算部は、第1の信号強度の第2の信号強度に対する比の値からシースの厚さを求める。これにより、演算部は、シースの複数の厚さを求める。
【0015】
一つの例示的実施形態では、複数のグループの各々において、対応の第1の受信器の受信アンテナは、一つの送信器の送信アンテナの近傍に配置されていてもよい。
【0016】
一つの例示的実施形態において、電気バイアスエネルギーは、バイアス周波数を有する。複数の送信器は、電気バイアスエネルギーが基板支持部の電極に供給されているときに、バイアス周波数の逆数の時間長を有する周期内でマイクロ波を順に送信するように構成されていてもよい。
【0017】
一つの例示的実施形態において、電気バイアスエネルギーは、バイアス周波数を有する高周波バイアス電力であってもよい。或いは、電気バイアスエネルギーは、バイアス周波数の逆数の時間間隔で発生される電圧のパルスであってもよい。
【0018】
一つの例示的実施形態において、誘電体部材は、石英又はセラミックから形成されていてもよい。
【0019】
一つの例示的実施形態において、演算部は、比の値とシースの厚さの予め定められた関係に基づき、シースの厚さを求めるように構成されていてもよい。
【0020】
一つの例示的実施形態において、上記誘電体部材は第1の誘電体部材である。プラズマ処理装置は、第2の誘電体部材、一つ以上の別の送信器、及び二つ以上の別の受信器を更に備えていてもよい。第2の誘電体部材は、第1の誘電体部材を囲むように第1の誘電体部材の外周に沿って配置されている。一つ以上の別の送信器は、第2の誘電体部材の下方に配置された送信アンテナを含む。一つ以上の別の送信器の各々は、第2の誘電体部材を介して上方にマイクロ波を送信するように構成されている。二つ以上の別の受信器の各々は、第2の誘電体部材の下方に配置された受信アンテナを含む。二つ以上の別の受信器は、上記界面で反射されたマイクロ波を、第2の誘電体部材を介して受信するように構成されている。二つ以上の別の受信器は、第3の受信器及び第4の受信器を含む。第3の受信器の受信アンテナと一つ以上の別の送信器のうち一つの送信器の送信アンテナが配置されている第3の領域と第4の受信器の受信アンテナが配置されている第4の領域とは、基板支持部の中心軸線に対して軸対称である。第3の領域は、中心軸線に直交する径方向に沿って第1の領域と整列されている。演算部は、第3の信号強度及び第4の信号強度を取得する。第3の信号強度は、一つ以上の別の送信器のうち一つの送信器によって送信されて第3の受信器によって受信されるマイクロ波の強度である。第4の信号強度は、一つ以上の別の送信器のうち該一つの送信器によって送信されて第4の受信器によって受信されるマイクロ波強度である。演算部は、第3の信号強度の第4の信号強度に対する比の値からシースの厚さを求めるように構成されている。
【0021】
一つの例示的実施形態において、第3の受信器の受信アンテナは、一つ以上の別の送信器のうち一つの送信器の送信アンテナの近傍に配置されていてもよい。
【0022】
一つの例示的実施形態において、演算部は、第1の受信器でマイクロ波が受信されている場合に、第1の信号強度の第2の信号強度に対する比の値から求められるシースの厚さを採用してもよい。演算部は、第1の受信器でマイクロ波が受信されていない場合に、第3の信号強度の第4の信号強度に対する比の値から求められるシースの厚さを採用してもよい。
【0023】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、一つ以上の送信器として複数の送信器を備えていてもよく。二つ以上の受信器として複数の受信器を備えていてもよい。複数の送信器の送信アンテナ及び複数の受信器の受信アンテナは、第1の誘電体部材の下方で中心軸線を中心に周方向に沿って配列されている。複数の送信器及び複数の受信器は、複数のグループを構成する。複数のグループの各々は、複数の送信器のうち一つの送信器と複数の受信器のうち対応の第1の受信器及び対応の第2の受信器を含む。複数のグループの各々において、一つの送信器の送信アンテナと対応の第1の受信器の受信アンテナが配置されている第1の領域と対応の第2の受信器の受信アンテナが配置されている第2の領域とは、基板支持部の中心軸線に対して軸対称である。演算部は、複数のグループの各々について、第1の信号強度と及びの第2の信号強度を取得する。第1の信号強度は、各グループにおいて、一つの送信器によって送信されて対応の第1の受信器によって受信されるマイクロ波の強度である。第2の信号強度は、各グループにおいて、一つの送信器によって送信されて対応の第2の受信器によって受信されるマイクロ波の強度である。演算部は、第1の信号強度の第2の信号強度に対する比の値からシースの厚さを求める。これにより、演算部は、シースの複数の厚さを求める。プラズマ処理装置は、一つ以上の別の送信器として複数の別の送信器を備えていてもよく、二つ以上の別の受信器として複数の別の受信器を備えていてもよい。複数の別の送信器の送信アンテナ及び複数の別の受信器の受信アンテナは、第2の誘電体部材の下方で中心軸線を中心に周方向に沿って配列されている。複数の別の送信器及び複数の別の受信器は、複数の別のグループを構成する。複数の別のグループの各々は、複数の別の送信器のうち一つの送信器と複数の別の受信器のうち対応の第3の受信器及び対応の第4の受信器を含む。複数の別のグループの各々において、一つの送信器の送信アンテナと対応の第3の受信器の受信アンテナが配置されている第3の領域と対応の第4の受信器の受信アンテナが配置されている第4の領域とは、基板支持部の中心軸線に対して軸対称である。複数の別のグループの各々の送信アンテナと第3の受信器の受信アンテナが配置されている第3の領域は、複数のグループのうち対応のグループの送信アンテナと第1の受信器の受信アンテナが配置されている第1の領域と径方向に沿って整列されている。演算部は、複数の別のグループの各々について、第3の信号強度と及びの第4の信号強度を取得する。第3の信号強度は、各グループにおいて、一つの送信器によって送信されて対応の第3の受信器によって受信されるマイクロ波の強度である。第4の信号強度は、各グループにおいて、一つの送信器によって送信されて対応の第4の受信器によって受信されるマイクロ波の強度である。演算部は、第3の信号強度の第4の信号強度に対する比の値からシースの厚さを求める。これにより、演算部は、シースの複数の厚さを求める。
【0024】
一つの例示的実施形態では、複数の別のグループの各々において、対応の第3の受信器の受信アンテナは、一つの送信器の送信アンテナの近傍に配置されていてもよい。
【0025】
一つの例示的実施形態において、電気バイアスエネルギーは、バイアス周波数を有する。複数の送信器は、電気バイアスエネルギーが基板支持部の電極に供給されているときに、バイアス周波数の逆数の時間長を有する周期内でマイクロ波を順に送信するように構成されていてもよい。複数の別の送信器は、当該周期内でマイクロ波を順に送信するように構成されていてもよい。
【0026】
一つの例示的実施形態において、電気バイアスエネルギーは、バイアス周波数を有する高周波バイアス電力であるか、バイアス周波数の逆数の時間間隔で発生される電圧のパルスであってもよい。
【0027】
一つの例示的実施形態において、第1の誘電体部材及び第2の誘電体部材は、石英又はセラミックから形成されていてもよい。
【0028】
一つの例示的実施形態において、演算部は、比の値とシースの厚さの予め定められた関係に基づき、シースの厚さを求めるように構成されていてもよい。
【0029】
別の例示的実施形態において、シースの厚さを求める方法が提供される。この方法は、プラズマ処理装置のチャンバ内でプラズマを生成する工程を含む。プラズマ処理装置は、チャンバ内に設けられた基板支持部及び該基板支持部を囲むように基板支持部の外周に沿って配置された誘電体部材を含む。方法は、基板支持部の電極に電気バイアスエネルギーを供給する工程を更に含む。方法は、送信器を用いて、誘電体部材を介して上方にマイクロ波を送信する工程を更に含む。送信器は、誘電体部材の下方に配置された送信アンテナを有する。方法は、第1の受信器及び第2の受信器を用いて、基板支持部上のシースとプラズマとの界面で反射されたマイクロ波を誘電体部材を介して受信する工程を更に含む。第1の受信器の受信アンテナ及び第2の受信器の受信アンテナは、誘電体部材の下方に配置されている。第1の受信器の受信アンテナと送信アンテナが配置されている第1の領域と第2の受信器の受信アンテナが配置されている第2の領域とは、基板支持部の中心軸線に対して軸対称である。方法は、第1の受信器によって受信されるマイクロ波の信号強度の第2の受信器によって受信されるマイクロ波の信号強度に対する比の値からシースの厚さを求める工程を更に含む。
【0030】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0031】
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。図1に示すプラズマ処理装置1は、チャンバ10を含んでいる。チャンバ10は、その中に内部空間を提供している。チャンバ10の中心軸線は、鉛直方向に延びる軸線AXである。チャンバ10は、チャンバ本体12及び天井部14を含んでいてもよい。
【0032】
チャンバ本体12は、略円筒形状を有する。チャンバ10の内部空間は、チャンバ本体12の内側に提供されている。チャンバ本体12は、例えばアルミニウムのような金属から形成されており、接地されている。チャンバ本体12の内壁面は、耐腐食性の膜で覆われていてもよい。
【0033】
天井部14は、チャンバ本体12の上部開口を閉じるように設けられている。天井部14は、後述する基板支持部16の上方に設けられている。天井部14は、上部電極を構成していてもよく、接地されていてもよい。天井部14は、シャワーヘッドを提供していてもよい。具体的に、天井部14は、その中にガス拡散室14dを提供していてもよく、複数のガス孔14hを提供していてもよい。複数のガス孔14hは、ガス拡散室14dから下方に延びて、チャンバ10の内部空間に向けて開口している。ガス拡散室14dには、ガス供給部18が接続されている。ガス供給部18からのガスは、ガス拡散室14d及び複数のガス孔14hを介して、チャンバ10の内部空間に導入される。なお、ガス供給部18からのガスは、天井部14とは別の部分からチャンバ10内に導入されてもよい。
【0034】
プラズマ処理装置1は、排気装置20を更に含んでいてもよい。排気装置20は、自動圧力制御弁のような圧力制御器及びターボ分子ポンプ、ドライポンプのような減圧ポンプを含んでいる。排気装置20は、チャンバ10内のガスの圧力を指定された圧力に調整するように構成されている。
【0035】
プラズマ処理装置1は、基板支持部16を更に含んでいる。基板支持部16は、チャンバ10の中に設けられている。基板支持部16は、その上に載置される基板Wを支持するように構成されている。基板Wは、その中心が軸線AX上に位置するように基板支持部16上に載置される。
【0036】
基板支持部16は、基台22及び静電チャック24を含んでいてもよい。基台22は、アルミニウムのような導体から形成されており、略円盤形状を有する。静電チャック24は、基台22上に設けられている。静電チャック24は、その上に載置される基板Wを、静電引力により保持するように構成されている。
【0037】
基板支持部16は、その上に搭載されるエッジリングERを支持していてもよい。エッジリングERは、環形状を有する。エッジリングERは、その中心軸線が軸線AX上に位置するように、基板支持部16上に搭載される。エッジリングERは、例えばシリコン含有材料から形成される。基板Wは、エッジリングERによって囲まれた領域内且つ静電チャック24上に載置される。
【0038】
プラズマ処理装置1は、高周波電源26を更に含んでいる。高周波電源26は、一実施形態のプラズマ生成部である。高周波電源26は、整合器26mを介して基台22に電気的に接続されている。高周波電源26は、チャンバ10内でガスからプラズマを生成するために基台22に高周波電力を供給する。高周波電力の周波数は、例えば、13.56MHz以上、150MHz以下である。整合器26mは、高周波電源26の負荷のインピーダンスを高周波電源26の出力インピーダンスに整合させるための整合回路を含んでいる。なお、高周波電源26は、基台22ではなく、基板支持部16の中の別の電極又は上部電極に電気的に接続されていてもよい。
【0039】
プラズマ処理装置1は、バイアス電源28を更に含んでいる。バイアス電源は、基板支持部16の電極に電気的に接続されており、当該電極に電気バイアスエネルギーを供給するように構成されている。プラズマ処理装置1では、基台22が、基板支持部16の電極として採用されている。なお、バイアス電源28は、基台22とは別の基板支持部16の電極に電気的に接続されていてもよい。バイアス電源28が発生する電気バイアスエネルギーは、バイアス周波数を有する。バイアス周波数は、高周波電源26が発生する高周波電力の周波数よりも低く、例えば100kHz以上、13.56MHz以下である。
【0040】
バイアス電源28が発生する電気バイアスエネルギーは、高周波バイアス電力であってもよい。この場合には、バイアス電源28は、整合器28mを介して基板支持部16の電極に電気的に接続される。整合器28mは、バイアス電源28の負荷のインピーダンスをバイアス電源28の出力インピーダンスに整合させるための整合回路を含む。バイアス電源28が発生する電気バイアスエネルギーは、バイアス周波数の逆数の時間長を有する時間間隔(即ち、バイアス周期)で周期的に発生される電圧のパルスであってもよい。電圧のパルスは、負の電圧のパルスであってもよく、負の直流電圧のパルスであってもよい。
【0041】
プラズマ処理装置1におけるプラズマの生成時には、ガスがガス供給部18からチャンバ10内に供給される。また、チャンバ10内のガスの圧力が、排気装置20によって調整される。また、高周波電力が、高周波電源26から供給される。また、電気バイアスエネルギーが、バイアス電源28から基板支持部16の電極に供給される。その結果、プラズマPLがチャンバ10内で生成され、シースSGがプラズマPLと基板支持部16との間に形成される。
【0042】
プラズマ処理装置1は、シースSHの厚さを求めるための構成として、誘電体部材30、一つ以上の送信器Tx1、二つ以上の受信器Rx1、及び制御部34を含んでいる。以下、図1と共に図2を参照する。図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置における複数の送信器の送信アンテナと複数の受信器の受信アンテナの配置を示す図である。図2に示すように、一実施形態において、プラズマ処理装置1は、複数の送信器Tx1として送信器Tx11~Tx18を含んでいてもよく、複数の受信器Rx1として受信器Rx11~Rx18を含んでいてもよい。
【0043】
誘電体部材30は、基板支持部16を囲むように基板支持部16の外周に沿って配置されている。誘電体部材30は、石英又は酸化アルミニウム、窒化アルミニウムのようなセラミックから形成されている。誘電体部材30は、円筒形状を有していてもよく、その中心軸線が軸線AX上に位置するように配置されていてもよい。
【0044】
図3は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置における送信器を示す断面図である。図3に示すように、複数の送信器Tx1の各々は、マイクロ波発振器102及び送信アンテナ104を含んでいる。送信アンテナ104は、例えばホーンアンテナである。送信アンテナ104は、誘電体部材30の下方に設けられている。送信アンテナ104は、誘電体窓10wの下方又は直下に設けられている。誘電体窓10wは、誘電体部材30の下方且つチャンバ10の底部に設けられた開口の中に設けられている。誘電体窓10wとチャンバ10の底部との間には、Oリングのような弾性を有する封止部材が介在していてもよい。図2に示すように、複数の送信器Tx1の送信アンテナ104は、軸線AXの周りで周方向に沿って等間隔に配置されていてもよい。マイクロ波発振器102によって発生されたマイクロ波は、送信アンテナ104、及び誘電体窓10w、誘電体部材30を介して、上方且つチャンバ10内に送信される。
【0045】
図4は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置における受信器を示す断面図である。図4に示すように、複数の受信器Rx1の各々は、受信回路112及び受信アンテナ114を含んでいる。受信アンテナ114は、例えばホーンアンテナである。受信アンテナ114は、誘電体部材30の下方に設けられている。受信アンテナ114は、誘電体窓10wの下方又は直下に設けられている。複数の受信器Rx1の受信アンテナ114は、軸線AXの周りで周方向に沿って等間隔に配置されていてもよい。複数の受信器Rx1の各々は、基板支持部16上のシースSHとプラズマPLとの界面で反射されたマイクロ波を誘電体部材30を介して受信するように構成されている。シースSHとプラズマPLとの界面で反射されたマイクロ波は、誘電体部材30、誘電体窓10w、及び受信アンテナ114を介して受信回路112に入力される。受信回路112は、受信したマイクロ波の信号強度を制御部34に出力するように構成されている。
【0046】
複数の送信器Tx1及び複数の受信器Rx1は、複数のグループを構成している。各グループは、一つの送信器と二つの受信器、即ち第1の受信器と第2の受信器を含む。各グループの一つの送信器の送信アンテナ104と第1の受信器の受信アンテナ114は、第1の領域に配置されている。第2の受信器の受信アンテナ114は、第2の領域に配置されている。第1の領域と第2の領域は、軸線AXに対して軸対称である。第2の領域における第2の受信器の受信アンテナ114の中心は、第1の領域に配置された送信アンテナ104の中心と軸線AXに対して軸対称な位置から周方向において±15°以内の範囲に配置され得る。また、第1の領域内で、第1の受信器の受信アンテナ114は、送信アンテナ104の近傍に配置されている。第1の領域における送信アンテナ104の中心と第1の受信器の受信アンテナ114の中心は、周方向において±30°以内の範囲に配置され得る。
【0047】
一例において、プラズマ処理装置1は、第1~第8のグループを含んでいる。第1のグループは、送信器Tx11、受信器Rx11(第1の受信器)、及び受信器Rx15(第2の受信器)を含んでいる。送信器Tx11の送信アンテナ104と受信器Rx11の受信アンテナ114は、領域R11(第1の領域)に配置されている。受信器Rx15の受信アンテナ114は、領域R15(第2の領域)に配置されている。
【0048】
第2のグループは、送信器Tx12、受信器Rx12(第1の受信器)、及び受信器Rx16(第2の受信器)を含んでいる。送信器Tx12の送信アンテナ104と受信器Rx12の受信アンテナ114は、領域R12(第1の領域)に配置されている。受信器Rx16の受信アンテナ114は、領域R16(第2の領域)に配置されている。
【0049】
第3のグループは、送信器Tx13、受信器Rx13(第1の受信器)、及び受信器Rx17(第2の受信器)を含んでいる。送信器Tx13の送信アンテナ104と受信器Rx13の受信アンテナ114は、領域R13(第1の領域)に配置されている。受信器Rx17の受信アンテナ114は、領域R17(第2の領域)に配置されている。
【0050】
第4のグループは、送信器Tx14、受信器Rx14(第1の受信器)、及び受信器Rx18(第2の受信器)を含んでいる。送信器Tx14の送信アンテナ104と受信器Rx14の受信アンテナ114は、領域R14(第1の領域)に配置されている。受信器Rx18の受信アンテナ114は、領域R18(第2の領域)に配置されている。
【0051】
第5のグループは、送信器Tx15、受信器Rx15(第1の受信器)、及び受信器Rx11(第2の受信器)を含んでいる。送信器Tx15の送信アンテナ104と受信器Rx15の受信アンテナ114は、領域R15(第1の領域)に配置されている。受信器Rx11の受信アンテナ114は、領域R11(第2の領域)に配置されている。
【0052】
第6のグループは、送信器Tx16、受信器Rx16(第1の受信器)、及び受信器Rx12(第2の受信器)を含んでいる。送信器Tx16の送信アンテナ104と受信器Rx16の受信アンテナ114は、領域R16(第1の領域)に配置されている。受信器Rx12の受信アンテナ114は、領域R12(第2の領域)に配置されている。
【0053】
第7のグループは、送信器Tx17、受信器Rx17(第1の受信器)、及び受信器Rx13(第2の受信器)を含んでいる。送信器Tx17の送信アンテナ104と受信器Rx17の受信アンテナ114は、領域R17(第1の領域)に配置されている。受信器Rx13の受信アンテナ114は、領域R13(第2の領域)に配置されている。
【0054】
第8のグループは、送信器Tx18、受信器Rx18(第1の受信器)、及び受信器Rx14(第2の受信器)を含んでいる。送信器Tx18の送信アンテナ104と受信器Rx18の受信アンテナ114は、領域R18(第1の領域)に配置されている。受信器Rx14の受信アンテナ114は、領域R14(第2の領域)に配置されている。
【0055】
制御部34は、制プロセッサ、記憶装置、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータであり、プラズマ処理装置1の各部を制御する。具体的に、制御部MCは、記憶装置に記憶されている制御プログラムを実行し、当該記憶装置に記憶されているレシピデータに基づいてプラズマ処理装置1の各部を制御する。制御部MCによる制御により、レシピデータによって指定されたプロセスがプラズマ処理装置1において実行される。
【0056】
複数の送信器Tx1のマイクロ波の送信タイミングは、制御部34によって制御される。図5は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置におけるマイクロ波の送信及び受信の一例のタイミングチャートである。図5には、複数の送信器Tx1(複数の送信器Tx11~Tx18)それぞれから送信されるマイクロ波の強度、受信器Rx11によって受信されるマイクロ波の信号強度、及び受信器Rx12によって受信されるマイクロ波の信号強度が示されている。
【0057】
図5に示すように、複数の送信器Tx1(複数の送信器Tx11~Tx18)は、順にマイクロ波を送信する。複数の送信器Tx1は、バイアス周波数の逆数の時間長を有する電気バイアスエネルギーのバイアス周期CY内で、順に且つ繰り返して、マイクロ波を送信するように構成されていてもよい。複数の送信器Tx1の各々がマイクロ波を送信する期間PTの長さは、例えば100ナノ秒である。
【0058】
制御部34は、一実施形態の演算部である。制御部34は、複数のグループの各々について、送信器によって送信されて第1の受信器によって受信されるマイクロ波の第1の信号強度と、当該送信器によって送信されて第2の受信器によって受信されるマイクロ波の第2の信号強度とを取得する。例えば、第1のグループについては、制御部34は、送信器Tx11によって送信されて受信器Rx11によって受信されるマイクロ波の信号強度を第1の信号強度として取得する。また、制御部34は、第1のグループについては、送信器Tx11によって送信されて受信器Rx15によって受信されるマイクロ波の信号強度を第2の信号強度として取得する。制御部34は、複数のグループの各々について、第1の信号強度の第2の信号強度に対する比の値を求める。制御部34は、複数のグループの各々について、求めた比の値からシースSHの厚さを求めるように構成されている。制御部34は、比の値とシースの厚さの予め定められた関係を関数又はテーブル形式で保有していてもよい。制御部34は、この関係を利用して、求めた比の値からシースSHの厚さを求めてもよい。
【0059】
一実施形態においては、複数の送信器Tx1の各々によって送信されるマイクロ波は、帯域幅を有していてもよい。図6は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置における受信信号強度の決定方法を説明する図である。複数の送信器Tx1の各々によって送信されるマイクロ波が、帯域幅を有する場合には、図6において破線で示すように、対応の受信器Rx1において受信されるマイクロ波の信号強度は、帯域幅を有する。この場合には、制御部34は、マイクロ波の帯域内で複数のピークを特定し、当該帯域の両端の信号強度及び複数のピークを結ぶ折れ線(図6では実線)を特定する。制御部34は、当該折れ線によって特定されるマイクロ波の信号強度の積分値(図6においてハッチングされた領域の面積)を、受信されたマイクロ波の信号強度として決定する。
【0060】
一実施形態において、制御部34は、基板Wの電位をシースSHの厚さから求めるように構成されていてもよい。シースSHの厚さdは、式(1)を満たす。式(1)において、λはデバイ長、eは電気素量、(V+V)は、基板Wの電位、kはボルツマン係数、Tは電子温度である。式(1)から式(2)が導かれる。式(2)におけるλは、式(3)を満たす。式(3)において、nは電子密度でり、mは電子の質量である。制御部34は、求めたシースSHの厚さdから式(2)の演算により、基板Wの電位を求めることができる。なお、T、即ち電子温度は、ラングミュアプローブ法で測定され得る。電子温度は、容量結合型のプラズマ処理装置の場合には、3eVであってもよい。また、n、即ち電子密度は、ラングミュアプローブ法又はプラズマ吸収プローブ法により測定され得る。
【数1】

【数2】

【数3】
【0061】
一実施形態において制御部34は、電気バイアスエネルギーのバイアス周期CYの位相を検出するように構成されていてもよい。図7は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置における電気バイアスエネルギー、基板の電位、及び受信器の受信信号強度の一例のタイミングチャートである。図7に示すように、基板Wの電位は、電気バイアスエネルギーBEに同期して変動する。基板Wの電位が負の電位から正の電位に変化するときには、プラズマからの電子が急激に基板Wに引き込まれてシースSHが急激に薄くなる。このとき、第1の受信器によって受信されるマイクロ波の信号強度は、急激に増加する。制御部34は、第1の受信器によって受信されるマイクロ波の信号強度が周期的且つ最も急激に増加するタイミングを検出することにより、電気バイアスエネルギーBEのバイアス周期CYの位相を検出し得る。なお、第1の受信器としては、何れのグループの第1の受信器が用いられてもよい。また、電気バイアスエネルギーBEのバイアス周期CYの位相は、シースSHの厚さを求める期間とは別の期間において、求められてもよい。即ち、電気バイアスエネルギーBEのバイアス周期CYの位相は、そのような期間において、一つの送信器から連続的にマイクロ波を送信させて、この送信器と同一のグループに属する第1の受信器によってマイクロ波を受信することにより、決定されてもよい。
【0062】
以上説明したプラズマ処理装置1では、基板W上のシースの厚さが薄いほど、第1の受信器によって受信されるマイクロ波の強度(第1の信号強度)は、第2の受信器によって受信されるマイクロ波の強度(第2の信号強度)に対して相対的に大きくなる。したがって、プラズマ処理装置1によれば、第1の信号強度の第2の信号強度に対する比の値からシースの厚さを求めることが可能となる。また、プラズマ処理装置1が複数の送信器Tx1及び複数の受信器Rx1を含む場合には、シースSHの複数の厚さが求められる。シースSHの複数の厚さは、周方向に沿った複数の位置それぞれにおけるシースSHの厚さである。
【0063】
以下、図8及び図9を参照する。図8は、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を示す図である。図9は、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置における複数の送信器と複数の受信器の配置を示す図である。以下、図8に示すプラズマ処理装置1Bのプラズマ処理装置1に対する相違点について説明する。
【0064】
プラズマ処理装置1Bは、シースSHの厚さを求めるための構成として、誘電体部材32、一つ以上の送信器Tx2、及び二つ以上の受信器Rx2を更に含んでいる。図9に示すように、一実施形態において、プラズマ処理装置1Bは、複数の送信器Tx2として送信器Tx21~Tx28を含んでいてもよく、複数の受信器Rx2として受信器Rx21~Rx28を含んでいてもよい。
【0065】
誘電体部材30及び誘電体部材32は、一実施形態の第1の誘電体部材及び第2の誘電体部材である。誘電体部材32は、誘電体部材30を囲むように誘電体部材30の外周に沿って配置されている。誘電体部材32は、石英又は酸化アルミニウム、窒化アルミニウムのようなセラミックから形成されている。誘電体部材32は、円筒形状を有していてもよく、その中心軸線が軸線AX上に位置するように配置されていてもよい。
【0066】
複数の送信器Tx2の各々は、複数の送信器Tx1と同様に、マイクロ波発振器102及び送信アンテナ104を含んでいる。複数の送信器Tx2の送信アンテナ104は、誘電体部材32の下方に設けられている。複数の送信器Tx2の送信アンテナ104は、誘電体窓の下方又は直下に設けられている。誘電体窓は、誘電体部材32の下方においてチャンバ10の底部に設けられている。誘電体窓とチャンバ10の底部との間には、Oリングのような弾性を有する封止部材が介在していてもよい。図9に示すように、複数の送信器Tx2の送信アンテナ104は、軸線AXの周りで周方向に沿って等間隔に配置されていてもよい。複数の送信器Tx2の各々のマイクロ波発振器102によって発生されたマイクロ波は、送信アンテナ104、及び誘電体窓、誘電体部材32を介して、上方且つチャンバ10内に送信される。
【0067】
複数の受信器Rx2の各々は、複数の受信器Rx1と同様に、受信回路112及び受信アンテナ114を含んでいる。複数の受信器Rx2の各々の受信アンテナ114は、誘電体部材32の下方に設けられている。複数の受信器Rx2の各々の受信アンテナ114は、複数の送信器Tx2と共に、誘電体窓の下方又は直下に設けられている。複数の受信器Rx2の受信アンテナ114は、軸線AXの周りで周方向に沿って等間隔に配置されていてもよい。複数の受信器Rx2の各々は、基板支持部16上のシースSHとプラズマPLとの界面で反射されたマイクロ波を誘電体部材32を介して受信するように構成されている。シースSHとプラズマPLとの界面で反射されたマイクロ波は、誘電体部材32、誘電体窓、及び受信アンテナ114を介して受信回路112に入力される。複数の受信器Rx2の各々の受信回路112は、受信したマイクロ波の信号強度を制御部34に出力するように構成されている。
【0068】
複数の送信器Tx2及び複数の受信器Rx2は、複数の別のグループを構成している。複数の別のグループの各々は、複数の送信器Tx2のうち一つの送信器と複数の受信器Rx2のうち二つの受信器、即ち第3の受信器と第4の受信器を含む。各グループの一つの送信器の送信アンテナ104と第3の受信器の受信アンテナ114は、第3の領域に配置されている。第4の受信器の受信アンテナ114は、第4の領域に配置されている。第3の領域と第4の領域は、軸線AXに対して軸対称である。第4の領域における第4の受信器の受信アンテナ114の中心は、第3の領域に配置された送信アンテナ104の中心と軸線AXに対して軸対称な位置から周方向において±15°以内の範囲に配置され得る。また、第3の領域内で、第3の受信器の受信アンテナ114は、送信アンテナ104の近傍に配置されている。第3の領域における送信アンテナ104の中心と第3の受信器の受信アンテナ114の中心は、周方向において±30°以内の範囲に配置され得る。第3の領域における送信アンテナ104の中心と第3の受信器の受信アンテナ114の中心との間の距離は、対応の第1の領域における送信アンテナ104の中心と第1の受信器の受信アンテナ114の中心との間の距離と略同一であってもよい。また、第3の領域は、軸線AXに直交する径方向に沿って対応の第1の領域と整列されている。第3の領域における送信アンテナ104の中心と対応の第1の領域における送信アンテナ104の中心は、径方向と平行な方向に沿って整列されていてもよい。第3の領域における第3の受信器の受信アンテナ114の中心と対応の第1の領域における第1の受信器の受信アンテナ114の中心は、径方向と平行な方向に沿って整列されていてもよい。
【0069】
一例において、プラズマ処理装置1Bは、第9~第16のグループを含んでいる。第9のグループは、第9のグループは、第1のグループに対応するグループであり、送信器Tx21、受信器Rx21(第3の受信器)、及び受信器Rx25(第4の受信器)を含んでいる。送信器Tx21の送信アンテナ104と受信器Rx21の受信アンテナ114は、領域R21(第3の領域)に配置されている。受信器Rx25の受信アンテナ114は、領域R25(第4の領域)に配置されている。領域R21は、領域R11と径方向に沿って整列されている。
【0070】
第10のグループは、第2のグループに対応するグループであり、送信器Tx22、受信器Rx22(第3の受信器)、及び受信器Rx26(第4の受信器)を含んでいる。送信器Tx22の送信アンテナ104と受信器Rx22の受信アンテナ114は、領域R22(第3の領域)に配置されている。受信器Rx26の受信アンテナ114は、領域R26(第4の領域)に配置されている。領域R22は、領域R12と径方向に沿って整列されている。
【0071】
第11のグループは、第3のグループに対応するグループであり、送信器Tx23、受信器Rx23(第3の受信器)、及び受信器Rx27(第4の受信器)を含んでいる。送信器Tx23の送信アンテナ104と受信器Rx23の受信アンテナ114は、領域R23(第3の領域)に配置されている。受信器Rx27の受信アンテナ114は、領域R27(第4の領域)に配置されている。領域R23は、領域R13と径方向に沿って整列されている。
【0072】
第12のグループは、第4のグループに対応するグループであり、送信器Tx24、受信器Rx24(第3の受信器)、及び受信器Rx28(第4の受信器)を含んでいる。送信器Tx24の送信アンテナ104と受信器Rx24の受信アンテナ114は、領域R24(第3の領域)に配置されている。受信器Rx28の受信アンテナ114は、領域R28(第4の領域)に配置されている。領域R24は、領域R14と径方向に沿って整列されている。
【0073】
第13のグループは、第5のグループに対応するグループであり、送信器Tx25、受信器Rx25(第3の受信器)、及び受信器Rx21(第4の受信器)を含んでいる。送信器Tx25の送信アンテナ104と受信器Rx25の受信アンテナ114は、領域R25(第3の領域)に配置されている。受信器Rx21の受信アンテナ114は、領域R21(第4の領域)に配置されている。領域R25は、領域R15と径方向に沿って整列されている。
【0074】
第14のグループは、第6のグループに対応するグループであり、送信器Tx26、受信器Rx26(第3の受信器)、及び受信器Rx22(第4の受信器)を含んでいる。送信器Tx26の送信アンテナ104と受信器Rx26の受信アンテナ114は、領域R26(第3の領域)に配置されている。受信器Rx22の受信アンテナ114は、領域R22(第4の領域)に配置されている。領域R26は、領域R16と径方向に沿って整列されている。
【0075】
第15のグループは、第7のグループに対応するグループであり、送信器Tx27、受信器Rx27(第3の受信器)、及び受信器Rx23(第4の受信器)を含んでいる。送信器Tx27の送信アンテナ104と受信器Rx27の受信アンテナ114は、領域R27(第3の領域)に配置されている。受信器Rx23の受信アンテナ114は、領域R23(第4の領域)に配置されている。領域R27は、領域R17と径方向に沿って整列されている。
【0076】
第16のグループは、第8のグループに対応するグループであり、送信器Tx28、受信器Rx28(第3の受信器)、及び受信器Rx24(第4の受信器)を含んでいる。送信器Tx28の送信アンテナ104と受信器Rx28の受信アンテナ114は、領域R28(第3の領域)に配置されている。受信器Rx24の受信アンテナ114は、領域R24(第4の領域)に配置されている。領域R28は、領域R18と径方向に沿って整列されている。
【0077】
複数の送信器Tx2のマイクロ波の送信タイミングは、制御部34によって制御される。複数の送信器Tx2(複数の送信器Tx21~Tx28)は、複数の送信器Tx1と同様に、順にマイクロ波を送信する。複数の送信器Tx2は、複数の送信器Tx1と同様に、バイアス周波数の逆数の時間長を有する電気バイアスエネルギーのバイアス周期内で、順に且つ繰り返して、マイクロ波を送信するように構成されていてもよい。複数の送信器Tx2の各々がマイクロ波を送信する期間PTの長さは、例えば100ナノ秒である。なお、複数の送信器Tx2は、第1の受信器によってマイクロ波が受信できない場合に利用され得る。
【0078】
制御部34は、複数の別のグループ(第9~第16のグループ)の各々について、送信器によって送信されて第3の受信器によって受信されるマイクロ波の第3の信号強度を受信する。また、制御部34は、複数の別のグループ(第9~第16のグループ)の各々について、当該送信器によって送信されて第4の受信器によって受信されるマイクロ波の第4の信号強度を取得する。例えば、第9のグループについては、制御部34は、送信器Tx21によって送信され受信器Rx21によって受信されるマイクロ波の信号強度を第3の信号強度として取得する。また、制御部34は、第9のグループについては、送信器Tx21によって送信され受信器Rx25によって受信されるマイクロ波の信号強度を第4の信号強度として取得する。制御部34は、複数の別のグループの各々について、第3の信号強度の第4の信号強度に対する比の値を求める。制御部34は、複数の別のグループの各々について、求めた比の値からシースSHの厚さを求めるように構成されている。制御部34は、比の値とシースの厚さの予め定められた関係を関数又はテーブル形式で保有していてもよい。制御部34は、この関係を利用して、求めた比の値からシースSHの厚さを求めてもよい。
【0079】
一実施形態において、制御部34は、第1の状態又は第2の状態を検出してもよい。第1の状態は、複数のグループ(第1~第8のグループ)の各々の送信器Tx1からマイクロ波が送信されており、第1の受信器でマイクロ波が受信されている状態である。第2の状態は、複数のグループ(第1~第8のグループ)の各々の送信器Tx1からマイクロ波が送信されており、第1の受信器でマイクロ波が受信されていない状態である。
【0080】
制御部34は、複数のグループ(第1~第8のグループ)の各々について、第1の状態を検出している場合に、第1の信号強度の第2の信号強度に対する比の値から求められるシースSHの厚さを採用してもよい。一方、制御部34は、第2の状態を検出している場合に、対応のグループの第3の受信器における第3の信号強度及び第4の受信器における第4の信号強度を利用する。即ち、制御部34は、第3の信号強度の第4の信号強度に対する比の値から求められるシースSHの厚さを採用してもよい。
【0081】
図10は、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置におけるシースの厚さと幾つかの受信器の受信信号強度との関係を示す図である。図10の(a)及び図10の(b)は、別の例示的実施形態に係るプラズマ処理装置におけるシースの厚さと幾つかの受信器の受信信号強度との関係を示す図である。図10の(a)は、送信器Tx11によってマイクロ波が送信されている場合に受信器Rx11、Rx15、Rx21、Rx25のそれぞれによって受信されるマイクロ波の信号強度とシースの厚さの関係を示している。図10の(b)は、送信器Tx21によってマイクロ波が送信されている場合に受信器Rx11、Rx15、Rx21、Rx25のそれぞれによって受信されるマイクロ波の信号強度とシースの厚さの関係を示している。
【0082】
例えば、制御部34は、第1のグループについて、第1の状態が検出されている場合には、受信器Rx11における第1の信号強度の受信器Rx15における第2の信号強度の比の値から求められるシースSHの厚さを採用する。第1の状態は、シースSHの厚さがd1よりも小さく、送信器Tx11から送信されたマイクロ波が受信器Rx11において受信されている場合に検出される。一方、第2の状態は、シースSHの厚さがd1以上であり、送信器Tx11から送信されたマイクロ波が受信器Rx11において受信されない場合に検出される。制御部34は、第1のグループについて、第2の状態が検出されている場合には、対応する第9のグループの送信器Tx21、受信器Rx21、及び受信器Rx25を利用する。具体的には、制御部34は、第1のグループについて、第2の状態が検出されている場合には、送信器Tx21によって送信されて受信器Rx21によって受信されたマイクロ波の第3の信号強度を取得する。また、制御部34は、第1のグループについて、第2の状態が検出されている場合には、送信器Tx21によって送信されて受信器Rx25によって受信されたマイクロ波の第4の信号強度を取得する。そして、制御部34は、第3の信号強度の第4の信号強度に対する比の値から求められるシースSHの厚さを採用する。
【0083】
なお、制御部34は、複数の送信器Tx2の各々によって送信されるマイクロ波が帯域幅を有する場合には、図6を参照して説明した決定方法に従い、複数の受信器Rx2におけるマイクロ波の信号強度を決定してもよい。また、制御部34は、第3の信号強度及び第4の信号強度から求めたシースSHの厚さを式(2)に用いて、基板Wの電位を求めてもよい。
【0084】
以下、図11を参照する。図11の(a)は別の例示的実施形態に係る送信器のアンテナを示す図であり、図11の(b)は別の例示的実施形態に係る送信器の構成を示す図である。これらの図に示すように、プラズマ処理装置1又は1Bの複数の送信器Tx1の送信アンテナは、複数の平面アンテナ素子124のアレイであってもよい。複数の平面アンテナ素子124は、誘電体部材30の下方、例えば誘電体窓10wの下方又は直下に配置されている。複数の平面アンテナ素子124は、複数の行及び複数の列を構成するように二次元的に配列されている。マイクロ波発振器102からのマイクロ波は、複数の平面アンテナ素子124に略同一の位相で与えられる。なお、プラズマ処理装置1又は1Bの複数の受信器Rx1も、受信アンテナとして、複数の平面アンテナ素子124のアレイを有していてもよい。また、プラズマ処理装置1Bの複数の送信器Tx2の各々も、送信アンテナとして複数の平面アンテナ素子124のアレイを有していてもよく、複数の受信器Rx2の各々も、受信アンテナとして複数の平面アンテナ素子124のアレイを有していてもよい。
【0085】
以下、図12を参照する。図12は、一つの例示的実施形態に係るシースの厚さを求める方法の流れ図である。図12に示す方法MTは、シースSHの厚さを求めるために行われる。方法MTは、基板Wが基板支持部16上に載置されている状態で行われる。方法MTは、工程STa~工程STeを含む。方法MTは、工程STf及びSTgを更に含んでいてもよい。
【0086】
工程STaでは、チャンバ10内でプラズマが生成される。工程STaでは、ガス供給部18からチャンバ10内にガスが供給される。また、チャンバ10内の圧力が排気装置20によって減圧される。そして、高周波電力が高周波電源26から供給される。これにより、チャンバ10内でプラズマが生成される。
【0087】
工程STbは、工程STaが行われているときに、行われる。工程STbでは、基板支持部16の電極(例えば基台22)に電気バイアスエネルギーが供給される。
【0088】
工程STc及び工程STdは、工程STa及び工程STbが行われているときに、行われる。工程STcでは、マイクロ波が、一つ以上の送信器Tx1の各々から誘電体部材30を介して上方に送信される。工程STdでは、二つ以上の受信器Rx1を用いて、マイクロ波が受信される。なお、上述したように、複数の送信器Tx1及び複数の受信器Rx1が用いられてもよい。また、プラズマ処理装置1Bが用いられる場合には、一つ以上の送信器Tx2及び二つ以上の受信器Rx2が更に用いられてもよい。また、プラズマ処理装置1Bが用いられる場合には、複数の送信器Tx2及び複数の受信器Rx2が更に用いられてもよい。
【0089】
工程STeでは、シースSHの厚さが、上述したように、第1の信号強度の第2の信号強度に対する比の値から求められる。なお、プラズマ処理装置1Bが用いられる場合には、シースSHの厚さは、上述したように、第3の信号強度の第4の信号強度に対する比の値から求められてもよい。また、シースSHの厚さとして、上述したように複数の厚さが求められてもよい。
【0090】
工程STfでは、求めたシースSHの厚さから、上述したように、基板Wの電位が求められてもよい。また、工程STgでは、上述したように、第1の受信器におけるマイクロ波の信号強度から電気バイアスエネルギーBEのバイアス周期CYの位相が特定されてもよい。
【0091】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0092】
例えば、プラズマ処理装置1における送信器Tx1の個数は一つであってもよく、受信器Rx1の個数は、二つであってもよい。また、プラズマ処理装置1Bにおける送信器Tx1の個数は一つであってもよく、受信器Rx1の個数は、二つであってもよい。さらに、プラズマ処理装置1Bにおける送信器Tx2の個数は一つであってもよく、受信器Rx2の個数は、二つであってもよい。
【0093】
また、別の演算部が、制御部34の代わりに、シースSHの厚さ、基板Wの電位、及び電気バイアスエネルギーのバイアス周期CYの位相を求めてもよい。
【0094】
また、別の実施形態において、プラズマ処理装置は、容量結合型以外のプラズマ処理装置であってもよい。そのようなプラズマ処理装置としては、誘導結合型のプラズマ処理装置、マイクロ波といった表面波を利用するプラズマ処理装置等が例示される。
【0095】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0096】
1…プラズマ処理装置、10…チャンバ、16…基板支持部、26…高周波電源、28…バイアス電源、30…誘電体部材、Tx1…送信器、Rx1…受信器、34…制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12