IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ DIC株式会社の特許一覧

特開2023-94431食品包装用袋、食品包装用袋の製造方法及び食品包装用袋の補強方法
<>
  • 特開-食品包装用袋、食品包装用袋の製造方法及び食品包装用袋の補強方法 図1
  • 特開-食品包装用袋、食品包装用袋の製造方法及び食品包装用袋の補強方法 図2
  • 特開-食品包装用袋、食品包装用袋の製造方法及び食品包装用袋の補強方法 図3
  • 特開-食品包装用袋、食品包装用袋の製造方法及び食品包装用袋の補強方法 図4
  • 特開-食品包装用袋、食品包装用袋の製造方法及び食品包装用袋の補強方法 図5
  • 特開-食品包装用袋、食品包装用袋の製造方法及び食品包装用袋の補強方法 図6
  • 特開-食品包装用袋、食品包装用袋の製造方法及び食品包装用袋の補強方法 図7
  • 特開-食品包装用袋、食品包装用袋の製造方法及び食品包装用袋の補強方法 図8
  • 特開-食品包装用袋、食品包装用袋の製造方法及び食品包装用袋の補強方法 図9
  • 特開-食品包装用袋、食品包装用袋の製造方法及び食品包装用袋の補強方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094431
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】食品包装用袋、食品包装用袋の製造方法及び食品包装用袋の補強方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20230628BHJP
   B65D 30/14 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B65D30/14 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209905
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100215935
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 茂輝
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(72)【発明者】
【氏名】藤田 磯士
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 康史
【テーマコード(参考)】
3E064
3E086
【Fターム(参考)】
3E064AB23
3E064BA30
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA30
3E064FA01
3E064GA04
3E086AC07
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA15
3E086BA29
3E086BB51
3E086BB62
3E086BB85
3E086CA01
3E086DA08
(57)【要約】
【課題】破れ難くリユース性の高い食品包装用袋を提供する。
【解決手段】食品包装用袋1Aは、フィルムで成形された食品包装用袋であって、平袋状態において対向配置された一対の主面部11,12と、前記一対の主面部11,12の幅方向両端部に形成された一対の溶断シール部13,14と、一対の主面部11,12の幅方向に関して一対の溶断シール部13,14の内側に形成され、一対の溶断シール部13,14を補強する一対の補強シール部15A,16Aと、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムで成形された食品包装用袋であって、
平袋状態において対向配置された一対の主面部と、
前記一対の主面部の幅方向両端部に形成された一対の溶断シール部と、
前記一対の主面部の幅方向に関して前記一対の溶断シール部の内側に形成され、前記一対の溶断シール部の少なくとも一部を補強する一対の補強シール部と、
を有する、食品包装用袋。
【請求項2】
前記一対の主面部の開口部とは反対側に配置され、前記一対の主面部の幅方向全体に亘って設けられた底部ガゼットを更に有し、
前記一対の溶断シール部が、前記開口部から前記底部ガゼットまで延在し、
前記一対の補強シール部が、前記一対の溶断シール部に隣接して形成されている、請求項1に記載の食品包装用袋。
【請求項3】
前記食品包装用袋を開口した状態において、前記底部ガゼットの2つの幅方向折り込み端部と前記溶断シール部との交点である三角頂点部が、前記補強シール部で補強されている、請求項2に記載の食品包装用袋。
【請求項4】
前記補強シール部が、前記溶断シール部の延在方向に沿って、前記溶断シール部の全体に亘って延在している、請求項1に記載の食品包装用袋。
【請求項5】
前記補強シール部が、一対の主面部が互いに熱溶着された熱溶着部である、請求項1~4のいずれか一項に記載の食品包装用袋。
【請求項6】
前記フィルムが、オレフィン系樹脂、バイオマス系樹脂及び生分解性樹脂から選択される材料の一種又は複数種からなるフィルムの複数を積層してなる積層フィルムである、請求項1~5のいずれか一項に記載の食品包装用袋。
【請求項7】
前記フィルムが、無延伸のオレフィン系樹脂及び生分解性樹脂のうちの一種又は二種からなるフィルムの複数を積層してなる積層フィルムである、請求項6に記載の食品包装用袋。
【請求項8】
前記積層フィルムが、
プロピレン系樹脂を含有してなる表面層(A)と、
プロピレン系樹脂を含有してなる中間層(C)と、
1-ブテンとプロピレンとを必須成分としてなる1-ブテン系共重合体(b1)およびプロピレンとエチレンとを必須成分としてなる共重合体(b2)を含有してなる、厚さが1μm以上8μm以下であるヒートシール層(B)と、
を有する、請求項6又は7に記載の食品包装用袋。
【請求項9】
フィルムで成形された食品包装用袋の製造方法であって、
対向配置された一対の主面部の幅方向両側であって、一対の溶断シール部が形成される部分の少なくとも一部に、一対の補強シール部を形成する工程と、
前記一対の主面部の幅方向両端部に、一対の溶断シール部を形成する工程と、
を有する、食品包装用袋の製造方法。
【請求項10】
平袋状態において対向配置された一対の主面部の幅方向両側に一対の溶断シール部を有する、フィルムで成形された食品包装用袋の補強方法であって、前記溶断シール部の少なくとも一部を補強シールで補強する、食品包装用袋の補強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品包装用袋、食品包装用袋の製造方法及び食品包装用袋の補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の食パン包装、菓子パン包装等の食品包装袋は、開口部をひねって固定する結束具、即ちスリットを有する約2cm四方のプラスチック板、テープ、ひも等により結束した状態で販売されている。内容物が複数個であったり、単数個であっても大きなものは、再封が可能な結束具により何度も開閉できるため利便性が高く、多く使用されている。
【0003】
しかしながら、このような結束具による包装は簡易であるため、包装袋の結束部に隙間があり、異物の侵入を防止できないという欠点があった。そこで、本出願人らは、プロピレン系樹脂を含有してなる表面層(A)と、プロピレン系樹脂を含有してなる中間層(C)と、1-ブテンとプロピレンとを必須成分としてなる1-ブテン系共重合体(b1)およびプロピレンとエチレンとを必須成分としてなる共重合体(b2)を含有してなるヒートシール層(B)とを有する易開封食品包装袋用積層フィルムを提案している(特許文献1)。上記の易開封食品包装袋用積層フィルムを用いて食パン袋等を作製する場合、通常、上記3層のうちのヒートシール層が袋の内側になるようにして製袋機により底部ガゼット袋に加工するが、この際、底部ガゼット袋のサイド部と底部ガゼット部(底部の折り込み部)の溶断シール強度が所定範囲になるよう溶断シール温度や製袋速度を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-213065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、リサイクルの促進やごみ袋の有料化等に伴い、家庭などでごみ袋の代替品のニーズが高まっている。家庭で使用される袋のうち、例えば食パン袋は、ユーザーがレジ袋(ポリ袋)の次に入手し易く、また、底部のガゼットによって自立する底部ガゼット袋であるので、利便性が高い。しかし、パン袋内に収容されるごみなどの重量に因っては、底部ガゼット袋の側面に設けられた溶断シール部に負荷が掛かり、パン袋が破れてしまう場合がある。また、生ごみなどの水分含有物を収容するべく、ユーザーが底部ガゼット或いはその近傍に幾つかの排水用孔を設ける場合があるが、この際にも上記溶断シール部に負荷が掛かって意図せずにパン袋が破れるといった不具合が生じる。
【0006】
本発明は、破れ難くリユース性の高い食品包装用袋、食品包装用袋の製造方法及び食品包装用袋の補強方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]フィルムで成形された食品包装用袋であって、
平袋状態において対向配置された一対の主面部と、
前記一対の主面部の幅方向両端部に形成された一対の溶断シール部と、
前記一対の主面部の幅方向に関して前記一対の溶断シール部の内側に形成され、前記一対の溶断シール部の少なくとも一部を補強する一対の補強シール部と、
を有する、食品包装用袋。
【0008】
[2]前記一対の主面部の開口部とは反対側に配置され、前記一対の主面部の幅方向全体に亘って設けられた底部ガゼットを更に有し、
前記一対の溶断シール部が、前記開口部から前記底部ガゼットまで延在し、
前記一対の補強シール部が、前記一対の溶断シール部に隣接して形成されている、上記[1]に記載の食品包装用袋。
【0009】
[3]前記食品包装用袋を開口した状態において、前記底部ガゼットの2つの幅方向折り込み端部と前記溶断シール部との交点である三角頂点部が、前記補強シール部で補強されている、上記[2]に記載の食品包装用袋。
【0010】
[4]前記補強シール部が、前記溶断シール部の延在方向に沿って、前記溶断シール部の全体に亘って延在している、上記[1]に記載の食品包装用袋。
【0011】
[5]前記補強シール部が、一対の主面部が互いに熱溶着された熱溶着部である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の食品包装用袋。
【0012】
[6]前記フィルムが、オレフィン系樹脂、バイオマス系樹脂及び生分解性樹脂から選択される材料の一種又は複数種からなるフィルムの複数を積層してなる積層フィルムである、上記[1]~[5]のいずれかに記載の食品包装用袋。
【0013】
[7]前記フィルムが、無延伸のオレフィン系樹脂及び生分解性樹脂のうちの一種又は二種からなるフィルムの複数を積層してなる積層フィルムである、上記[6]に記載の食品包装用袋。
【0014】
[8]前記積層フィルムが、
プロピレン系樹脂を含有してなる表面層(A)と、
プロピレン系樹脂を含有してなる中間層(C)と、
1-ブテンとプロピレンとを必須成分としてなる1-ブテン系共重合体(b1)およびプロピレンとエチレンとを必須成分としてなる共重合体(b2)を含有してなる、厚さが1~8μmであるヒートシール層(B)と、
を有する、上記[6]又は[7]に記載の食品包装用袋。
【0015】
[9]フィルムで成形された食品包装用袋の製造方法であって、
対向配置された一対の主面部の幅方向両側であって、一対の溶断シール部が形成される部分の少なくとも一部に、一対の補強シール部を形成する工程と、
前記一対の主面部の幅方向両端部に、一対の溶断シール部を形成する工程と、
を有する、食品包装用袋の製造方法。
【0016】
[10]平袋状態において対向配置された一対の主面部の幅方向両側に一対の溶断シール部を有する、フィルムで成形された食品包装用袋の補強方法であって、前記溶断シール部の少なくとも一部を補強シールで補強する、食品包装用袋の補強方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、破れ難くリユース性の高い食品包装用袋、該食品包装用袋の製造方法、及び食品包装用袋の補強方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施形態に係る食品包装用袋の一例の平袋状態を模式的に示す斜視図である。
図2図2(A)は、図1の食品包装用袋の平面図であり、図2(B)は、線分A-Aに沿う断面図である。
図3図3は、図1の食品包装用袋を開口した状態を示す斜視図である。
図4図4(A)は、図3の食品包装用袋の側面視において、溶断シール部が形成されている範囲を模式的に示す図であり、図4(B)は、補強シール部が形成されている範囲を模式的に示す図である。
図5図5は、図1の食品包装用袋を構成する積層フィルムの積層構造の一例を示す断面図である。
図6図6(A)~図6(C)は、本実施形態に係る食品包装用袋の製造方法の一例を示す模式図である。
図7図7(A)及び図7(B)は、図4(A)の溶断シール部及び図4(B)の補強シール部が形成されている範囲の変形例を示す模式図である。
図8図8(A)及び図8(B)は、図4(A)の溶断シール部及び図4(B)の補強シール部が形成されている範囲の他の変形例を示す模式図である。
図9図9(A)及び図9(B)は、図4(A)の溶断シール部及び図4(B)の補強シール部が形成されている範囲の他の変形例を示す模式図である。
図10図10は、図2(A)の食品包装用袋の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らないものとする。また、以下の説明において例示される構造、材料等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0020】
<食品包装用袋の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る食品包装用袋の一例の平袋状態を模式的に示す斜視図であり、図2(A)は、図1の食品包装用袋の平面図であり、図2(B)は、線分A-Aに沿う断面図である。図1及び図2では、食品包装用袋として、底部ガゼット袋を例に挙げて説明する。
図1に示すように、食品包装用袋1Aは、フィルムで成形された食品包装用袋であって、平袋状態において対向配置された一対の主面部11,12と、前記一対の主面部11,12の幅方向両端部に形成された一対の溶断シール部13,14と、一対の主面部11,12の幅方向に関して一対の溶断シール部13,14の内側に形成され、一対の溶断シール部13,14を補強する一対の補強シール部15A,16Aと、を有する。
【0021】
食品包装用袋1Aは、一対の主面部11,12の開口部17とは反対側に配置され、一対の主面部11,12の幅方向全体に亘って設けられた底部ガゼット18を更に有している。本実施形態では、一対の溶断シール部13,13が、開口部17から底部ガゼット18まで延在している。また、一対の補強シール部15A,16Aが、一対の溶断シール部13,14に隣接して形成されている。
【0022】
主面部11は、本実施形態では3枚のフィルムが積層されてなる積層フィルムで構成されている。主面部12も同様、主面部11,12は、3枚のフィルムに限らず、複数枚のフィルムが積層されてなる積層フィルムで構成されてもよく、或いは単層のフィルムであってもよい。主面部11,12は、例えば平袋状態の平面視において矩形形状を有している。積層フィルムの具体構成については、後述する。
【0023】
一対の溶断シール部13,14は、一対の主面部11,12を構成する2つの積層フィルムを対向配置した状態で、一対の主面部11,12の幅方向両端部を溶断することにより形成された部位である(図2(B))。溶断シール部13は、一対の主面部11,12の幅方向一端部に形成されており、溶断シール部14は、一対の主面部11,12の幅方向他端部に形成されている。一対の溶断シール部13,14は、例えば一対の主面部11,12の幅方向両端部の外郭において線状に形成されている。本実施形態では、一対の溶断シール部13,14は、一対の主面部11,12の幅方向と直交する方向(開口部17から底部ガゼット18に向かう方向)に関して、一対の主面部11,12の全体に亘って形成されている。
【0024】
一対の補強シール部15A,16Aは、例えば一対の主面部11,12を構成する2つの積層フィルムを対向配置した状態で、一対の主面部11,12の幅方向に関して一対の溶断シール部13,14の内側で、上記2つの積層フィルムを熱溶着することにより形成された部位である(図2(B)。すなわち一対の補強シール部15A,16Aは、それぞれ一対の主面部11,12が互いに熱溶着された熱溶着部とすることができる。一対の補強シール部15A,16Aは、例えば一対の溶断シール部13,14の形状に沿って線状或いは帯状に形成されている。
【0025】
本実施形態では、補強シール部15Aが、溶断シール部13の延在方向に沿って、溶断シール部13の全体に亘って延在している。また、補強シール部16Aも同様、溶断シール部14の延在方向に沿って、溶断シール部14の全体に亘って延在している。
【0026】
底部ガゼット18は、食品包装用袋1Aの底部に設けられて、平袋状態において袋の内方側に折り込まれている。底部ガゼット18は、通常一回折りであり、食品包装用袋1Aの外側(底面側)から見たときに谷折りとなっている。
【0027】
食品包装用袋1Aは、開口部17の近傍に、一対の主面部11,12の幅方向に沿って印刷された印刷部19を有していてもよい。印刷部19の形状は、特に制限されないが、例えば帯状である。また印刷部19の数は、複数であってもよいし、1つであってもよい。
【0028】
また、食品包装用袋1Aは、例えば印刷部19の開口部17とは反対側に、一対の主面部11,12の幅方向に沿って形成される不図示の熱溶着部を有していもよい。熱溶着部の形状は、特に制限されないが、例えば帯状である。熱溶着部の数は、複数であってもよいし、1つであってもよい。
【0029】
図3は、図1の食品包装用袋1Aを開口した状態を示す斜視図である。また、図4(A)は、図3の食品包装用袋1Aの側面視において、溶断シール部13が形成されている範囲を模式的に示す図であり、図4(B)は、補強シール部15Aが形成されている範囲を模式的に示す図である。
図3に示すように、食品包装用袋1Aの開口部17を開口させてその内部に空気等を送り込むと、底部ガゼット18が開いて底面が四角形となる角底が形成され、これにより食品包装用袋1Aが自立可能となっている。食品包装用袋1Aの中には、例えば食パンなどの食品を充填することができる。
【0030】
食品包装用袋1Aを開口した状態において、食品包装用袋1Aは、底面21と、底面21の対向する2辺から開口部17に向かって延在する第1側面22及び第2側面23と、対向する残りの2辺から開口部17に向かって延在する第3側面24及び第4側面25とを有する。第1側面22及び第2側面23は、主面部11の一部と、主面部12の一部と、底部ガゼット18の一部とで形成されている。第1側面22には、また、溶断シール部13と補強シール部15Aが形成されており、第2側面23には、溶断シール部14と補強シール部16Aが形成されている。第3側面24は主面部11の一部で形成され、第4側面25は主面部12の一部で形成されている。
【0031】
第1側面22において、底部ガゼット18の2つの幅方向折り込み端部18a,18bと溶断シール部13との交点である三角頂点部26は、溶断シール部13によって溶断されており、更に補強シール部15Aによって補強されている。三角頂点部26は、食品包装用袋1Aの中に物が充填されたときに充填物の重量等に因って負荷が掛かり易い部分であり、この三角頂点部26を補強シール部15Aで補強することより、食品包装用袋1Aの強度がより向上する。
【0032】
本実施形態では、補強シール部15Aが、溶断シール部13の延在方向に沿って、溶断シール部13の全体に亘って延在している。本実施形態のように補強シール部15Aが溶断シール部13の延在方向に沿って溶断シール部13の全体に亘って延在していることにより、三角頂点部26を補強しつつ、他の溶断シール部も補強することで、食品包装用袋1Aの強度を更に向上することができる。
【0033】
[フィルムの構成]
食品包装用袋1Aを構成するフィルムは、オレフィン系樹脂、バイオマス系樹脂及び生分解性樹脂から選択される材料の一種又は複数種からなるフィルムの複数を積層してなる積層フィルムであるのが好ましい。上記積層フィルムを構成する複数のフィルムは、異種の材料であってもよいし、同種の材料であってもよい。
【0034】
積層フィルムがオレフィン系樹脂からなる場合、再シートヒールが可能となり、例えば袋内にごみ等を入れた後に熱溶着などで開口部を封止することができるので、密閉袋としてリユースすることが可能となる。
積層フィルムがバイオマス系樹脂からなる場合、袋を処分する際のCO削減に寄与することができる。
積層フィルムが生分解性系樹脂からなる場合、例えば袋内にごみ等を入れた後、必要に応じて開口部を封止し、そのまま肥料化することができる。
【0035】
また、積層フィルムは、無延伸のオレフィン系樹脂及び生分解性樹脂のうちの一種又は二種らなるフィルムの複数を積層してなるのがより好ましい。積層フィルムを構成するフィルムが無延伸のオレフィン系樹脂及び生分解性樹脂のうちの一種又は二種からなる場合、積層フィルムが裂けにくく、箸などで積層フィルムを刺して孔をあけたときに孔が広がらず、また、その後に外力が加えられたときも孔が広がりにくい。よって生ごみなどの水分含有物を袋内に入れ、袋ごと絞って水分を除去することができる。
【0036】
無延伸のオレフィン系樹脂としては、例えばプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体、プロピレン-α-オレフィンブロック共重合体等を使用できる。一方、ポリエチレン系樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状中密度ポリエチレン(LMDPE)、直鎖状高密度ポリエチレン(LHDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン樹脂や、エチレン-ブテン-ゴム共重合体(EBR)、エチレン-プロピレン-ゴム共重合体(EPR)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-メチルアクリレート(EMA)共重合体、エチレン-エチルアクリレート-無水マレイン酸共重合体(E-EA-MAH)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、等のエチレン系共重合体;更にはエチレン-アクリル酸共重合体のアイオノマー、エチレン-メタクリル酸共重合体のアイオノマー等が挙げられ、単独でも、2種類以上を混合して使用して良い。
【0037】
バイオマス系樹脂としては、植物由来のバイオマスポリエチレンが挙げられる。当該樹脂は、サトウキビ、トウモロコシ、ビート等を出発原料とする植物由来のエチレンから生成されるポリエチレン系樹脂である。当該バイオマスポリエチレンとしては、例えば、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状中密度ポリエチレン(LMDPE)、線状高密度ポリエチレン(LHDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられ、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもよい。また、トール油(パルプ生産時の副産物)、廃食油(再利用)を原料としたバイオマスポリプロピレンやバイオマスポリエチレンなども挙げられる。
【0038】
生分解性樹脂としては、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリカプロラクトンとポリブチレンサクシネートとの混合物若しくは共重合物(PCL/PBS)、ポリヒドロキシブチレートとポリヒドロキシバリレートとの共重合物(PHB/PHV)、ポリブチレンサクシネートとポリブチレンアジペートとの混合物若しくは共重合物(PBS/PBA)、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンサクシネートとの共重合物(PET/PES)、ポリブチレンテレフタレートとポリブチレンアジペートとの共重合物(PBT/PBA)等の樹脂が挙げられる。前記各樹脂は、単独で又は二種以上を混合して使用してもよい。
【0039】
食品包装用袋1Aを構成するフィルムは、単層であってもよい。食品包装用袋1Aを構成するフィルムが単層である場合、上記と同様、フィルムは、オレフィン系樹脂、バイオマス系樹脂及び生分解性樹脂から選択される材料からなるのが好ましく、無延伸のオレフィン系樹脂及び生分解性樹脂のうちのいずれからなるのがより好ましい。
【0040】
図5は、図1の食品包装用袋1Aを構成する積層フィルムの積層構造の一例を示す断面図である。図5に示すように、積層フィルム(I)は、プロピレン系樹脂を含有してなる表面層(A)と、プロピレン系樹脂を含有してなる中間層(C)と、1-ブテンとプロピレンとを必須成分としてなる1-ブテン系共重合体(b1)およびプロピレンとエチレンとを必須成分としてなる共重合体(b2)を含有してなる、厚さが1μm以上8μm以下であるヒートシール層(B)とを有している。上述のように、積層フィルム(I)は、一対の主面部11,12を構成している(図2(B)参照)。
一対の主面部11,12を積層フィルム(I)で構成することにより、ヒートシール性が高く、一対の補強シール部15A,16Aの強度が向上し、溶断シール部13,14をより強固に補強することができる。
【0041】
表面層(A)としては、例えば、プロピレンの単独重合体;プロピレンとエチレンとからなるランダム共重合体、プロピレンとエチレンとからなるブロック共重合体、プロピレンとエチレン以外のα-オレフィンとの共重合体等のプロピレン系共重合体;などのようなプロピレン系樹脂の1種以上を主成分として、好ましくは75重量%以上含有してなり、必要に応じて、エチレン-1-ブテン共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン等のような他の熱可塑性樹脂や各種の添加剤を混合してなる樹脂層が挙げられる。
【0042】
中間層(C)としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレンとからなるランダム共重合体、プロピレンとエチレンとからなるブロック共重合体、プロピレンとエチレン以外のα-オレフィンとの共重合体等のようなプロピレン系樹脂の1種以上を主成分として、好ましくは70重量%以上含有してなり、必要に応じて、エチレン-1-ブテン共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン等のような他の熱可塑性樹脂や本積層フィルム製造に際して発生した回収物等を混合してなる樹脂層が挙げられる。また、中間層(C)は、上記表面層(A)と同様の組成からなる樹脂層であっても良い。
【0043】
更に、上記中間層(C)は2層以上に分割することも可能で、全体の層構成が3層以上となってもよい。
【0044】
ヒートシール層(B)としては、1-ブテンとその他のα-オレフィンとからなる1-ブテン系共重合体を含有してなる樹脂層であれば良いが、1-ブテン系共重合体として1-ブテンとプロピレンとを必須成分としてなる1-ブテン系共重合体(b1)を用いることが好ましく、なかでも、低温での易開封シール時のヒートシール温度や強度の調整が容易で、ヒートシール温度幅が広く、易開封シールとして適度なヒートシール強度が容易に得られることから、該1-ブテン共重合体(b1)とプロピレンとエチレンとを必須成分としてなるなる共重合体(b2)とを、その重量比(b1)/(b2)が25/75~75/25となる割合で併用してなる樹脂層であることが好ましく、しかも、ここで用いる1-ブテン系共重合体(b1)としては、1-ブテン由来成分の含有率が50~99モル%であるものが特に好ましい。
【0045】
また、上記ヒートシール層(B)は、JIS K-1713に定めるヒートシール開始温度試験に準拠して測定したヒートシール開始温度が、表面層(A)のヒートシール開始温度よりも低いことが、食品包装袋の作成と易開封性シールが容易なことから好ましい。このため、本発明に係る積層フィルム(I)としては、表面層(A)とヒートシール層(B)の間のヒートシール開始温度差を30℃以上とすることが好ましく、なかでも35~90℃とすることが特に好ましい。
【0046】
積層フィルム(I)の厚みは、通常20~50μmであるが、25~40μmであるのが好ましい。
【0047】
積層フィルム(I)が(A)/(C)/(B)の順に積層してなる3層フィルムである場合、表面層(A)と中間層(C)の全厚に対する厚み比率は、各層の樹脂組成により異なり特に限定されないが、表面層(A)が通常10~50%、好ましくは15~45%であり、中間層(C)が通常30~80%、好ましくは40~70%である。
【0048】
ヒートシール層(B)の厚みは、積層フィルム(I)の厚みにもよるが、1um以上8μm以下であるのが好ましく、2μm以上7μm以下であるのがより好ましい。
【0049】
積層フィルム(I)の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(i)プロピレンとエチレンを必須成分としてなるプロピレン系共重合体を75重量%以上含有してなる表面層(A1)と、プロピレン単独重合体を70重量%以上含有してなる中間層(C1)と、1-ブテンとプロピレンとを必須成分としてなる1ブテン系共重合体を25~75重量%含有してなるヒートシール層(B1)とを、(A1)/(C1)/(B1)の順に、その平均厚さの比が3:6:1となるように積層してなる、厚さが25μmもしくは30μmで、底部にガゼットが入った袋(以下、底部ガゼット袋という。)用として好適な3層フィルム(I-1);
(ii)プロピレン単独重合体を90重量%以上含有してなる表面層(A2)と、プロピレン単独重合体および/またはプロピレンとエチレンを必須成分としてなるプロピレ
ン系共重合体を90重量%以上含有してなる中間層(C2)と、該ヒートシール層(B1)とを、(A2)/(C2)/(B1)の順に、その平均厚さの比が2:7:1となるように積層してなる、厚さが25μmもしくは30μmで、ピロー包装袋用として好適な3層フィルム(I-2);又は
(iii)プロピレン単独重合体および/またはプロピレンとエチレンを必須成分としてなるプロピレン系共重合体を80重量%以上含有してなる表面層(A3)と、直鎖状低密度ポリエチレンとプロピレンとエチレンを必須成分としてなるプロピレン系共重合体を合計で70重量%以上含有してなる中間層(C3)と、該ヒートシール層(B1)とを、(A3)/(C3)/(B1)の順に、その平均厚さの比が3:6:1となるように積層してなる、厚さが25μmもしくは30μmで、底部ガゼット袋用として好適な3層フィルム(I-3)。
【0050】
積層フィルム(I)は、そのまま用いてもよいが、印刷による商品訴求力向上のために表面層(A)にコロナ放電処理をしてもよい。また、積層フィルム(I)の各層の中には、必要に応じて酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、着色剤、シリカなどの添加剤等を、本発明の範囲内で適宜添加しうる。
【0051】
積層フィルム(I)の製造方法は、特に限定されないが、なかでも共押出成形法や押出ラミネート法が好ましく、特に共押出成形法が好ましい。
【0052】
<食品包装用袋の製造方法及び補強方法>
本実施形態に係る食品包装用袋の製造方法は、フィルムで成形された食品包装用袋の製造方法であって、対向配置された一対の主面部の幅方向両側であって、一対の溶断シール部が形成される部分の少なくとも一部に、一対の補強シール部を形成する工程と、前記一対の主面部の幅方向両端部に、一対の溶断シール部を形成する工程と、を有する。
【0053】
図6(A)~図6(C)は、本実施形態に係る食品包装用袋の製造方法の一例を示す模式図である。図6(A)~(C)では、食品包装用袋として、底部ガゼット袋を例に挙げて説明する。
先ず、例えば3層の積層フィルムで構成される主面部11及び/又は主面部12に、必要に応じて模様や文字などを印刷して印刷部(不図示)を形成した後、ヒートシール層が袋の内側になるように主面部11及び主面部12を対向配置し、更に、底部ガゼットが袋の内方側に折り込まれるように当該底部ガゼットを一対の主面部11,12の間に挟み込む(図6(A))。
【0054】
次に、対向配置された一対の主面部11,12の幅方向両側であって、一対の溶断シール部が形成される部分に、一対の補強シール部15A,16Aを形成する(図6(B))。本実施形態では、後の工程において、一対の溶断シール部13,14を、一対の主面部11,12の幅方向と直交する方向(開口部17から底部ガゼット18に向かう方向)に関して、一対の主面部11,12の全体に亘って形成する。よって本工程では、一対の補強シール部15A,16Aを、一対の主面部11,12の幅方向と直交する方向に関して、一対の主面部11,12の全体に亘って形成する。
【0055】
このとき、一対の主面部11,12を熱溶着させて、一対の補強シール部15A,16Aを一対の熱溶着部として形成するのが好ましい。また、ヒートシール強度が10~20N/15mm、好ましくは12~18N/15mmとなる条件でヒートシールすることができる。一対の補強シール部15A,16Aの形成は、例えば製袋機に公知の熱溶着ユニットを設置することにより形成することができる。
【0056】
本工程において、底部ガゼット18の2つの幅方向折り込み端部18a,18bと後の工程において形成される溶断シール部13との交点である三角頂点部26に対応する部分26’に、補強シール部15Aを形成するのが好ましい。また同様にして、溶断シール部14側の三角頂点部27に対応する部分27’に、補強シール部16Aを形成するのが好ましい。
【0057】
その後、一対の主面部11,12の幅方向両端部に、一対の溶断シール部13,14を形成する(図6(C))。本実施形態では、上述のように、一対の溶断シール部13,14を、一対の主面部11,12の幅方向と直交する方向に関して、一対の主面部11,12の全体に亘って形成する。このとき、一対の主面部11,12の幅方向端部と底部ガゼット18の幅方向端部の溶断シール強度が7.5~30N/15mm、好ましくは12~30N/15mmになるよう、溶断シール温度や製袋速度を調整することができる。一対の溶断シール部13,14の形成は、例えば製袋機により形成することができる。
上記工程を経ることにより、食品包装用袋1Aとしての底部ガゼット袋が成形される。
【0058】
底部ガゼット袋の成形後の工程として、底部ガゼット袋を、内部に充填する充填物に応じた充填機に供給することができる。例えば、底部ガゼット袋に食パンを充填する場合、底部ガゼット袋は、食パン自動充填機に供給され、底部ガゼット袋に食パンが充填された後、ヒートシールして、食パン包装袋とする。このとき、易開封性でかつヒートシール強度が0.1~5N/15mm、好ましくは0.2~3.5N/15mmとなる条件でヒートシールすることができる。その後、必要に応じて、袋の上部、好ましくは食パンの上部で易開封性シール部分(熱溶着部)またはその上もしくは下付近を、プラスチック板、テープ、ひも等の結束具を用い結束する。
【0059】
尚、本実施形態では、一対の補強シール部を形成する工程の後に、一対の溶断シール部を形成する工程を行っているが、これに限らず、一対の補強シール部を形成する工程と、一対の溶断シール部を形成する工程とを一緒に行ってもよい。
【0060】
上述した様に、本実施形態によれば、食品包装用袋1Aが、一対の主面部11,12の幅方向に関して一対の溶断シール部13,14の内側に形成され、一対の溶断シール部13,14を補強する一対の補強シール部15A,16Aを有するので、一対の補強シール部15A,16Aによって一対の溶断シール部13,14に掛かる負荷が低減され、食品包装用袋1Aが破れ難く、高いリユース性を実現することができる。
【0061】
また、食品包装用袋1Aが、底部ガゼット18を有する底部ガゼット袋である場合、開口部17が大きいため、ごみ袋などの用途で再使用する際にごみが捨て易い。また、食品包装用袋1Aがパン袋である場合、防臭、防湿効果が高く、ごみなどを入れた場合に臭いが出難い。更に、家庭用のヒートシーラーなどで熱融着部を形成して開口部17を閉塞することにより、防臭効果を更に高めることができる。よってごみ袋などの代替品として有用であり、その結果リユースの促進を図ることが可能となる。
【0062】
更に、食品包装用袋1Aは従来の食品包装用袋よりも高い強度を有するため、食品包装用袋1Aに洗浄などの処理を施しても破れ難い。よって、使用済みの食品包装用袋1Aを回収し、十分な洗浄処理、殺菌処理などを施した後、食品包装用袋として再使用することが可能となる。
【0063】
また、食品包装用袋1Aを開口した状態において、底部ガゼット18の2つの幅方向折り込み端部と溶断シール部13,14との交点である三角頂点部26,27が、補強シール部15A,16Aで補強されているので、底部ガゼット袋内に物を入れたときに最も負荷の掛かる三角頂点部26,27が補強されることにより、食品包装用袋1Aの強度をより向上することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、対向配置された一対の主面部11,12の幅方向両側であって、一対の溶断シール部13,14が形成される部分の少なくとも一部に、一対の補強シール部15A,16Aを形成し、次いで一対の主面部11,12の幅方向両端部に、一対の溶断シール部13,14を形成するので、従来の食品包装用袋の製造方法を大幅に変更すること無く、破れ難くい食品包装用袋1Aを容易に製造することができる。
【0065】
図7(A)及び図7(B)は、図4(A)の溶断シール部13及び図4(B)の補強シール部15Aが形成されている範囲の変形例を示す模式図である。
図7(A)及び図7(B)に示すように、溶断シール部13を上記実施形態と同じとし、補強シール部15Bが、三角頂点部26を含む底部ガゼット18に形成されてもよい。底部ガゼット袋内に物を入れたときに負荷の掛かり易い底部ガゼット18が補強されることにより、補強部分を少なくして工程の簡略化、簡素化を実現しつつ、食品包装用袋1Aの強度を向上することができる。
【0066】
また、他の変形例として、図8(A)及び図8(B)に示すように、溶断シール部13を上記実施形態と同じとし、補強シール部15Cが、三角頂点部26のみに形成されてもよい。底部ガゼット袋内に物を入れたときに最も負荷の掛かり易い三角頂点部26のみが補強されることにより、補強部分を極力少なくして工程の更なる簡略化、簡素化を実現しつつ、食品包装用袋1Aの強度を向上することができる。
【0067】
また、上記実施形態では、補強シール部15Aが、溶断シール部14の延在方向に沿って、溶断シール部14の全体に亘って延在しているが、これに限られない。図9(A)及び図9(B)に示すように、補強シール部15D,16Dが、溶断シール部13の延在方向に沿って、不連続に形成されていてもよい。すなわち、複数の補強シール部15d,15d,…が、溶断シール部13の延在方向に沿って併設されていてもよく、複数の補強シール部16d,16d,…が、溶断シール部14の延在方向に沿って併設されていてもよい。本変形例においても、補強部分を少なくして工程の簡略化、簡素化を実現しつつ、食品包装用袋1Aの強度を向上することができる。
【0068】
図10は、図2(A)の食品包装用袋1Aの変形例を示す平面図である。図2(A)では、食品包装用袋1Aが底部ガゼット袋であるが、これに限らず、食品包装用袋1Bが船底袋であってもよい。この場合にも、図10に示すように、食品包装用袋1Bが、一対の主面部11,12の幅方向に関して一対の溶断シール部13,14の内側に形成され、一対の溶断シール部13,14の少なくとも一部を補強する一対の補強シール部15E,16Eを有することができる。これにより、食品包装用袋1Bとしての船底袋が破れ難く、高いリユース性を実現することができる。
【0069】
以上、本実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【実施例0070】
以下、本発明の実施例を説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0071】
[実施例1]
表面層、中間層及びヒートシール層の各層を形成する樹脂成分として、各々下記の樹脂を使用して、各層を形成する樹脂混合物を調整した。これら混合物を3台の押出機にそれぞれ供給し、表面層/中間層/ヒートシール層にて形成される積層フィルムの各層の平均厚さが7μm/18μm/5μmとなるように共押出して、厚さ30μmの積層フィルムを成形した。次いで、得られた積層フィルムの印刷層に、表面エネルギーが35mN/mになるようにコロナ放電処理を施して、積層フィルムを得た。
表面層:プロピレン-エチレン共重合体(エチレン由来成分含量:5.0質量%、密度:0.90g/cm、MFR(測定温度230℃):7g/10分間)(以下、COPP(1)と称する)90質量%、エチレン-ブテン-ゴム共重合体(密度:0.890g/cm、融点66℃、MFR(測定温度:190℃):3g/10分間)(以下、EBR(1)と称する)10質量%
中間層:COPP(1)15質量%、プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm、MFR(測定温度:230℃):8g/10分)(以下、HOPP(1)と称する)75質量%、直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.905g/cm、MFR(測定温度190℃):4g/10分)(以下、LLDPE(1)と称する)10質量%
ヒートシール層:COPP(1)70質量%、1-ブテン-プロピレン共重合体(密度:0.90g/cm、MFR(測定温度230℃):4g/10分間)(以下、1-ブテン系共重合体(1)と称する)30質量%
【0072】
[実施例2]
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記としたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:HOPP(1)65質量部、COPP(2)10質量部、LLDPE(1)10質量部、サトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(密度:0.916g/cm3、MFR=2.3g/10分)(以下、バイオPE(1)と称する)15質量部
【0073】
次に、高速サイドウェルド自動製袋機(トタニ技研工業社製、装置名「HK-40V」)を用い、製袋速度140袋/分、補強シール温度160℃、溶断シール温度300℃の条件で、得られた積層フィルムから食パン用底部ガゼット袋を製袋した。このとき、底部ガゼットが設けられるように積層フィルムを所定形状に折り曲げ、その後、折り曲げ構造体の両側に、一対の補強シール部及び一対の溶断シール部をそれぞれ形成した。
【0074】
[比較例1]
折り曲げ構造体の両側に、一対の補強シール部を形成せず、一対の溶断シール部のみを形成したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムから底部ガゼット袋を製袋した。
【0075】
[評価方法]
(袋開口による溶断シール部での耐破袋性)
実施例1、実施例2及び比較例1で得られた底部ガゼット袋の開口部を両手で強く広げる動作を50回繰り返し、その間に溶断シール部の一方又は双方に破れが生じるか否かをテストした。テスト回数は10回とした(N=10)。結果を表1に示す。
【0076】
(三角頂点部での耐破袋性)
実施例1、実施例2及び比較例1で得られた底部ガゼット袋の開口から腕を入れ、袋内側から底面に拳を強く押し当てる動作を50回繰り返し、その間に三角頂点部の一方又は双方に破れが生じるか否かをテストした。テスト回数は10回とした(N=10)。結果を表2に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
表1に示すように、実施例1では溶断シール部に破れは見られず、溶断シール部での耐破袋性が良好であった。また、10回のテストのうちの4回で三角頂点部に破れが生じ、三角頂点部に破れが生じた動作回数の平均は44回となり、三角頂点部での耐破袋性が良好であった。
【0080】
また、実施例2でも溶断シール部に破れは見られず、溶断シール部での耐破袋性が良好であった。また、10回のテストのうちの5回で三角頂点部に破れが生じ、三角頂点部に破れが生じた動作回数の平均は43回となり、三角頂点部での耐破袋性が良好であった。
【0081】
一方、比較例1では、溶断シール部には破れは見られなかったものの、10回のテストのうちの7回で三角頂点部に破れが生じ、三角頂点部に破れが生じた動作回数の平均は18回となり、三角頂点部での耐破袋性が劣った。
【符号の説明】
【0082】
1A 食品包装用袋
1B 食品包装用袋
11 主面部
12 主面部
13 溶断シール部
14 溶断シール部
15A 補強シール部
15B 補強シール部
15C 補強シール部
15d 補強シール部
15D 補強シール部
15E 補強シール部
16A 補強シール部
16d 補強シール部
16D 補強シール部
16E 補強シール部
17 開口部
18 底部ガゼット
18a 幅方向折り込み端部
18b 幅方向折り込み端部
19 印刷部
21 底面
22 第1側面
23 第2側面
24 第3側面
25 第4側面
26 三角頂点部
27 三角頂点部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10