(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094939
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】ハーネス規制体及び規制体付きワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20230629BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20230629BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20230629BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20230629BHJP
F16L 3/23 20060101ALI20230629BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20230629BHJP
【FI】
H02G3/04 081
H02G3/30
H01B7/00 301
F16L57/00 A
F16L3/23
B60R16/02 623
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210559
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】上野 清一郎
【テーマコード(参考)】
3H023
3H024
5G309
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AB01
3H023AC31
3H023AC71
3H023AD02
3H023AE08
3H024AA04
3H024AB03
3H024AC03
5G309AA10
5G357DA06
5G357DA10
5G357DB03
5G357DB10
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD05
5G357DD12
5G357DD20
5G357DE08
5G357DE10
5G357DG05
5G363AA04
5G363AA16
5G363BA02
5G363BA10
5G363DA13
5G363DA15
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】ワイヤーハーネスの撓みを規制しつつ、ワイヤーハーネスに取り付ける取付作業の効率を向上させることを目的とする。
【解決手段】規制体10は、複数のメイン電線111及びサブ電線121を束ねたメインハーネス110及びサブハーネス120に沿う長尺状の柱状体11が備えられ、柱状体11に、長手方向Xに貫通し、メイン電線111及びサブ電線121を挿通する複数の挿通孔12と、挿通孔12と柱状体11の外部とを連通し、外部から挿通孔12にメイン電線111及びサブ電線121を挿入するスリット部13とが設けられ、スリット部13が、長手方向Xに亘って形成されている
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線を束ねたワイヤーハーネスに沿う長尺状の柱状体が備えられ、
前記柱状体に、
長手方向に貫通し、前記電線を挿通する複数の挿通孔と、
前記挿通孔と前記柱状体の外部とを連通し、外部から前記挿通孔に前記電線を挿入するスリット部とが設けられ、
前記スリット部が、前記長手方向に亘って形成された
ハーネス規制体。
【請求項2】
前記柱状体は、前記長手方向に延びる軸部と、
前記軸部から放射状に配置され、前記挿通孔同士を隔てる複数の仕切部とが備えられ、
前記仕切部は、前記軸部から放射状に延びる複数の仕切部本体と、
前記仕切部本体の先端から周方向に延びるスリット形成部とが設けられ、
隣り合う前記スリット形成部同士によって、前記スリット部が形成された
請求項1に記載のハーネス規制体。
【請求項3】
前記軸部が、前記柱状体の中心軸に沿って備えられ、
放射状に延びる複数の前記仕切部本体が、前記軸部を中心として周方向に不均等に配置された
請求項2に記載のハーネス規制体。
【請求項4】
前記軸部が、前記柱状体の中心軸に沿って備えられ、
放射状に延びる複数の前記仕切部本体が、前記軸部を中心として周方向に等間隔で配置された
請求項2に記載のハーネス規制体。
【請求項5】
前記仕切部本体が、径方向外側に向かうに伴って肉厚となるように形成された
請求項2乃至請求項4のうちのいずれかに記載のハーネス規制体。
【請求項6】
前記スリット形成部における周方向の先端に、周方向の先端に向かうに伴い径方向内側に延出する延出部が設けられた
請求項2乃至請求項5のうちいずれか一項に記載のハーネス規制体。
【請求項7】
前記スリット部の前記長手方向の端部のうち少なくとも一方に、
前記長手方向の外側に向かうに伴って幅広に切り欠かれた切欠部が設けられた
請求項2乃至請求項6のうちいずれか一項に記載のハーネス規制体。
【請求項8】
前記スリット形成部が、径方向内側に撓むように形成された
請求項2乃至請求項7のうちいずれか一項に記載のハーネス規制体。
【請求項9】
前記柱状体が略円柱状に形成された
請求項1乃至請求項8のうちいずれか一項に記載のハーネス規制体。
【請求項10】
前記柱状体の前記長手方向に亘って設けられた前記スリット部が、
周方向に複数回曲げ返され、波形状に形成された
請求項1乃至請求項9のうちいずれか一項に記載のハーネス規制体。
【請求項11】
前記ワイヤーハーネスに対する前記柱状体の前記長手方向への移動を規制する規制手段を備えた
請求項1乃至請求項10のうちいずれか一項に記載のハーネス規制体。
【請求項12】
前記柱状体の前記長手方向における一端に連結部を備えるとともに、他端に前記連結部と連結可能に構成された被連結部を備えた
請求項1乃至請求項11のうちいずれか一項に記載のハーネス規制体。
【請求項13】
車体パネルにおける固定箇所に固定する固定部が設けられた
請求項1乃至請求項12のうちいずれか一項に記載のハーネス規制体。
【請求項14】
複数の電線を束ねたワイヤーハーネスと、
請求項1乃至請求項13のうちいずれか一項に記載のハーネス規制体とが備えられ、
前記ワイヤーハーネスの少なくとも一部が、前記ハーネス規制体における前記挿通孔に挿通された
規制体付きワイヤーハーネス。
【請求項15】
前記ハーネス規制体における、前記長手方向の先端側及び後端側の少なくとも一方に、前記挿通孔に挿通された前記ワイヤーハーネスの外周を固定テープで巻き回した
請求項14に記載の規制体付きワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイヤーハーネスに沿って配置されるハーネス規制体、及び規制体付きワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両に搭載されている電気機器同士を電気的に接続している長尺状のワイヤーハーネスは、車両の凹凸形状に合わせて直線部分と湾曲部分とを組み合わせた二次元的、又は、三次元的に複雑な配索経路で配索されている。このようなワイヤーハーネスの配索経路における直線部分では、例えば、特許文献1に開示されているようなハーネス規制体を用いて、ワイヤーハーネスを直線状に規制することがある。
【0003】
詳述すると、この特許文献1に開示されているハーネス規制体は樹脂製の棒状体であり、ワイヤーハーネスの外周に沿わせるとともに、ワイヤーハーネスとともにテープ巻きすることで、ワイヤーハーネスを直線状に規制できるとされている。
【0004】
このハーネス規制体では、例えば先端と基端などのように部分的にテープ巻きした場合、テープ巻きした箇所の間においてワイヤーハーネスが自重で撓むおそれがあることから、ハーネス規制体の先端から基端までをテープ巻きする必要がある。しかしながら、このようなテープ巻きではハーネス規制体をワイヤーハーネスに取り付ける取付作業に手間を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、ワイヤーハーネスの撓みを規制しつつ、ワイヤーハーネスに取り付ける取付作業の効率を向上させることができるハーネス規制体及び規制体付きワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、複数の電線を束ねたワイヤーハーネスに沿う長尺状の柱状体が備えられ、前記柱状体に、長手方向に貫通し、前記電線を挿通する複数の挿通孔と、前記挿通孔と前記柱状体の外部とを連通し、外部から前記挿通孔に前記電線を挿入するスリット部とが設けられ、前記スリット部が、前記長手方向に亘って形成されたハーネス規制体であることを特徴とする。
【0008】
またこの発明は、複数の電線を束ねたワイヤーハーネスと、上述のハーネス規制体とが備えられ、前記ワイヤーハーネスの少なくとも一部が、前記ハーネス規制体における前記挿通孔に挿通された規制体付きワイヤーハーネスであることを特徴とする。
【0009】
前記電線は、電気機器同士に電力や電気信号を伝達可能な導電線のみならず、電気機器同士の信号の送受信を行う光ファイバーなどの通信線も含む。
前記柱状体は、所定箇所に設置した際に、自重及びワイヤーハーネスの重量で撓まない剛性を有すればよい。なお、前記柱状体は、長手方向から視た外形が、真円や楕円などの円形状の他、タマゴ型やトラック形状のようなオーバル形状や多角形状などで形成されていてもよい。
【0010】
前記挿通孔は、前記ワイヤーハーネスを構成する前記電線を挿通可能に構成されていればその形状は問わない。また、複数の設けられた前記挿通孔は、全部又は一部が同一形状であってもよい。
前記スリット部は、前記長手方向から視て、前記挿通孔における幅よりも間隔が短く構成されている。より具体的には、少なくとも前記挿通孔を形成する壁面同士の間隔のうち、間隔が最も広い箇所よりも前記スリット部の間隔が短く構成されている。
【0011】
また、前記スリット部は、前記長手方向に沿って直線状に設けられている場合、前記長手方向に対して傾斜する直線状に設けられている場合、前記柱状体の周方向に一回、又は複数回曲げ返されて波形状やジグザグ形状に形成されている場合を含む。
【0012】
この発明により、取り付けられたワイヤーハーネスの撓みを規制できるとともに、ワイヤーハーネスに取り付ける取付作業の作業効率を向上できる。
詳述すると、スリット部を介して電線を挿通孔に挿入するだけで、複数の電線を束ねたワイヤーハーネスを柱状体に沿わせつつ、ワイヤーハーネスが挿通孔よりも幅の狭いスリット部を介して外部に抜け出ることを防止できる。これにより、ワイヤーハーネスの撓みを規制でき、ワイヤーハーネスを柱状体に沿わせることができる。
【0013】
また、ワイヤーハーネスが挿通された状態でハーネス規制体をテープ巻きする場合であっても、例えば、先端側と基端側などのように、長手方向に沿ったスリット部の一部分のみをテープ巻きすることで、ワイヤーハーネスが柱状体から抜け出ることをより確実に防止できる。すなわち、ワイヤーハーネスをハーネス規制体に取り付けるための作業効率を向上させることができる。
【0014】
さらにまた、複数の挿通孔を設けることで、複数の挿通孔の全体積と同じ体積となる一つの大きな挿通孔を設けた場合と比べ、ワイヤーハーネスを挿入した状態における挿通孔の内部空間における余剰空間を小さくすることができる。これにより、ワイヤーハーネスが挿通孔の内部において撓むことを規制でき、配索経路に沿ってワイヤーハーネスを直線状に規制することができる。
【0015】
また、挿通孔を複数設けることにより、ワイヤーハーネスを構成する電線を適した挿通孔に分配して挿通できる。例えば、柱状体から導出されたワイヤーハーネスが分岐する場合に、ワイヤーハーネスの分岐方向に合わせた挿通孔に所定の電線を配置することができ、ワイヤーハーネスを構成する電線が捩じれたり、絡まったりすることなく、容易に所望の方向にワイヤーハーネスを分岐させることができる。したがって、ワイヤーハーネスに係る負担を軽減することができ、ワイヤーハーネスの損傷を防止でき、かつ、ワイヤーハーネスの配索作業の作業性を向上させることができる。
【0016】
さらにまた、車両のグレードや車種などにより、電線の本数が少ない場合には、複数ある挿通孔の一部のみに電線を集めた状態で挿通させることができ、電線の本数が多い場合には、複数の挿通孔に分配して電線を挿通させることができる。これにより、電線の撓みを防止しつつ、様々な車両に用いることができる。
【0017】
この発明の態様として、前記柱状体は、前記長手方向に延びる軸部と、前記軸部から放射状に配置され、前記挿通孔同士を隔てる複数の仕切部とが備えられ、前記仕切部は、前記軸部から放射状に延びる複数の仕切部本体と、前記仕切部本体の先端から周方向に延びるスリット形成部とが設けられ、隣り合う前記スリット形成部同士によって、前記スリット部が形成されてもよい。
【0018】
前記軸部は、長手方向から視て前記柱状体の中心軸上に設けられた場合、中心軸上以外に設けられた場合を含む。
前記スリット形成部は、前記仕切部本体の先端から周方向の一方側又は両側に向けて伸びている場合を含む。なお、前記スリット形成部は、長手方向から視て、他の前記仕切部本体の先端から延びる他のスリット形成部と、周方向に沿った長さや形状が同じ又は異なっていてもよい。
【0019】
この発明により、簡易な構造で、軸部の周方向に複数の挿通孔を設けることができる。また、スリット形成部が仕切部本体から周方向に沿って延びているため、挿入孔に挿入されたワイヤーハーネスが意図せずにスリット部から外部に抜け出ることを確実に防止できる。さらにまた、周方向に複数の挿通孔が設けられているため、ワイヤーハーネスを挿通孔に挿通させる作業性を向上できる。
【0020】
したがって、ワイヤーハーネスの撓みを規制しつつ、ワイヤーハーネスに取り付ける取付作業の効率を向上させることができる。なお、ワイヤーハーネスを挿入した状態でのテープ巻き作業を行う場合においても、より効率よくテープ巻きの作業を行うことができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記軸部が、前記柱状体の中心軸に沿って備えられ、放射状に延びる複数の前記仕切部本体が、前記軸部を中心として周方向に不均等に配置されてもよい。
この発明により、簡易な構造で大きさの異なる挿通孔を容易に形成できる。これにより、例えば、グレードに関わらず配索される、一般的に外径の太いメインハーネスを大きな挿通孔に挿入するとともに、オプションやグレードによって取り付けられるオプション機器と接続される、一般的に外径の細いサブハーネスを小さな挿通孔に挿通させるなど、ワイヤーハーネスの配索経路や種類に応じてワイヤーハーネスを仕分けることができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記軸部が、前記柱状体の中心軸に沿って備えられ、放射状に延びる複数の前記仕切部本体が、前記軸部を中心として周方向に等間隔で配置されてもよい。
この発明により、長手方向に沿って視た断面形状が、前記中心軸を回転軸とした回転対称形状に形成される。すなわち、スリット部が周方向に均等に配置されるため、周方向の向きを問わず柱状体を配置させることができ、ワイヤーハーネスに取り付ける取付作業の作業効率を向上させることができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記仕切部本体が、径方向外側に向かうに伴って肉厚となるように形成されてもよい。
この発明によると、長手方向から視て、仕切部本体の径方向外側の断面積を径方向内側の断面積と比べて大きくすることができる。これにより、全体の剛性を向上させつつ、軽量化を図ることができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記スリット形成部における周方向の先端に、周方向の先端に向かうに伴い径方向内側に延出する延出部が設けられてもよい。
この発明により、スリット部の幅を狭くしたまま、延出部を径方向内側に湾曲させることができ、前記挿通孔に挿通した電線やワイヤーハーネスが意図せずにスリット部を介して挿通孔から抜け出ることをより確実に防止できる。また、延出部が周方向の先端に向かうに伴い径方向内側に延出するため、挿通孔に電線を挿入する場合に、延出部が電線を挿通孔へ案内することができ、より容易に電線を挿通孔に挿入できる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記スリット部の前記長手方向の端部のうち少なくとも一方に、前記長手方向の外側に向かうに伴って幅広に切り欠かれた切欠部が設けられてもよい。
この発明によると、電線を挿通孔に挿入する又は引き出す場合に、切欠部を基点として電線を挿通孔又は外部へと案内することができるため、挿通孔に対して電線を容易に出し入れできる。なお、前記切欠部は、前記仕切部本体の先端から周方向の両側に向けてスリット形成部が伸びている場合に、スリット形成部の周方向の一方側又は双方側に設けられている場合を含む。
【0026】
またこの発明の態様として、前記スリット形成部が、径方向内側に撓むように形成されてもよい。
この発明により、電線を挿通孔に挿入させる際に、電線を挿通孔に向けて押し込むことで、スリット形成部が径方向内側に撓み、スリット幅が拡がる。したがって、容易に電線を挿入できる。また、電線の挿入後に、復元力によりスリット形成部が元の位置に戻るため、スリット幅を元通りに狭くすることができる。これにより、挿通孔から電線やワイヤーハーネスが意図せずに抜け落ちることを防止できる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記柱状体が略円柱状に形成されてもよい。
この発明により、ワイヤーハーネスの配索経路の周辺にある他部材との角当たりを防止し、他部材が損傷することを防止できる。また、柱状体の外周をテープ巻きする場合には、テープが柱状体と角当たりして切断されることを防止できる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記柱状体の前記長手方向に亘って設けられた前記スリット部が、周方向に複数回曲げ返され、波形状に形成されてもよい。
前記波形状には、曲線状に曲げ返されているものや、直線状に折り返されているものを含む。なお、繰り返される前記波形状は、連続又は不連続の波形状を含み、また、同一位相である必要もなく、また振幅も一定である必要はない。
【0029】
この発明によると、スリット部が周方向に複数回曲げ返されている、すなわち、スリット部が湾曲又は折り曲げを繰り返した形状となる。このため、挿通孔の内部に直線状に配索される電線が、意図せずに柱状体から抜け出ることを確実に防止できる。これにより、柱状体の外周をテープ巻きする必要がなく、ワイヤーハーネスにハーネス規制体を取り付ける取付作業の効率化を図ることができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記ワイヤーハーネスに対する前記柱状体の前記長手方向への移動を規制する規制手段を備えてもよい。
またこの発明の態様として、前記ハーネス規制体における、前記長手方向の先端側及び後端側の少なくとも一方に、前記挿通孔に挿通された前記ワイヤーハーネスの外周を固定テープで巻き回してもよい。
【0031】
前記規制手段は、例えば、前記軸部における先端側及び後端側の少なくとも一方側において、挿通孔に挿通されているワイヤーハーネスとともにテープ巻きする固定テープなどを巻き回す構成や、前記挿通孔を形成する壁面、例えば、前記仕切部本体や前記スリット形成部の内面の摩擦力を向上させる構成などを含む。
【0032】
この発明により、ワイヤーハーネスに対する柱状体の相対移動を規制できるため、ワイヤーハーネスにおける所望の位置に柱状体を確実に沿わせることができる。したがって、配索経路における所望の位置においてワイヤーハーネスを直線状に規制できる。
【0033】
またこの発明の態様として、前記柱状体の前記長手方向における一端に連結部を備えるとともに、他端に前記連結部と連結可能に構成された被連結部を備えてもよい。
前記連結部と前記被連結部とは、前記柱状体を前記長手方向に連結可能に構成されていればよく、前記柱状体同士が密着するように連結されていてもよいし、前記柱状体同士が所定の間隔を隔てて連結されていてもよい。
【0034】
また前記連結部と前記被連結部は、例えば前記軸部や仕切部の先端及び後端に、嵌合や係止、螺合可能なネジ構造などにより互いに連結可能に構成された凹部及び凸部が設けられている場合や、スリット形成部における板厚を、他のハーネス規制体におけるスリット形成部と嵌合できるように板厚を変更している場合などを含む。
【0035】
この発明により、柱状体を長手方向に沿って連結させることができ、仮に、ワイヤーハーネスにおいて、直線状に配索される範囲が柱状体の長手方向の長さよりも長かったとしても、柱状体同士が連結して全長を長くし、ワイヤーハーネスに柱状体を沿わせることができる。
【0036】
またこの発明の態様として、車体パネルにおける固定箇所に固定する固定部が設けられてもよい。
前記固定部は、例えば車体パネルに設けた貫通孔に挿通させて固定するアンカーや、車体パネルに固定されたボルトを挿通させて固定するスタッドボルトなどを含む。
【0037】
この発明により、挿通孔に挿通させたワイヤーハーネスを直線状に規制した様態で、車体パネルに固定できる。また、仕切部材が等間隔で設けられている、あるいは、仕切部材の反対側にスリット部が設けられている、かつ、仕切部材の延出方向と同じ方向に延出している場合には、車体パネルに固定した状態で、ワイヤーハーネスを挿通孔に挿入することができる。このため、オプション機器などを後付けする場合に、追加されるワイヤーハーネスをより容易に直線状に規制できる。
【発明の効果】
【0038】
この発明により、ワイヤーハーネスの撓みを規制しつつ、ワイヤーハーネスに取り付ける取付作業の効率を向上させることができるハーネス規制体及び規制体付きワイヤーハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図5】複数の挿通孔に電線を挿入する挿入方法の説明図。
【
図7】他の実施形態におけるハーネス規制体の説明図。
【
図8】他の実施形態におけるハーネス規制体の説明図。
【
図9】他の実施形態におけるハーネス規制体の説明図。
【
図10】他の実施形態におけるハーネス規制体の連結構造の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は規制体付きワイヤーハーネス1の概略斜視図を示し、
図2は規制体10の概略斜視図を示し、
図3は規制体10の説明図を示す。
詳述すると、
図2(a)は前方上方から視た規制体10の概略斜視図を示し、
図2(b)は後方下方から視た規制体10概略斜視図を示す。
図3(a)は規制体10の概略正面図を示し、
図3(b)は規制体10の概略平面図を示し、
図3(c)は
図3(b)におけるA-A矢視断面図を示している。
【0041】
図4は規制体10にメイン電線111を挿入する方法を説明するための概略正面図を示す。詳しくは、
図4(a)はメイン電線111を挿通孔12に挿入する前の概略正面図を示し、
図4(b)はメイン電線111を挿通孔12に挿入する途中の概略正面図を示し、
図4(c)はメイン電線111を挿通孔12に挿入した後の概略正面図を示す。
【0042】
図5はメイン電線111が挿入された挿通孔12以外の挿通孔12にメイン電線111やサブ電線121を挿入する場合の説明図を示す。詳しくは、
図5(a)は既にメイン電線111が挿入された挿通孔12以外の挿通孔12にメイン電線111を挿入する場合の概略正面図を示し、
図5(b)は空いている挿通孔12にサブ電線121を挿入する場合の概略正面図を示し、
図5(c)は規制体10にメインハーネス110及びサブハーネス120が挿通された状態において、メインハーネス110及びサブハーネス120をテープ固定した場合の側面図を示す。
【0043】
図6は長手方向Xに沿って連結された複数の規制体10の連結構造を説明する説明図を示す。詳しくは、
図6(a)は連結された複数の規制体10の概略斜視図を示し、
図6(b)は連結された複数の規制体10の連結部分を拡大した概略拡大断面図を示す。なお、
図6(b)は
図3(c)に対応する断面図を示す。
【0044】
ここで、
図1中における規制体10の長手方向を長手方向Xとし、長手方向Xに沿って左側を前方Xf、長手方向Xに沿って右側を後方Xbとする。また、前方Xfから長手方向Xに沿って視た図を正面図とし、
図1中の上方から視た図を平面図とする。
【0045】
なお、正面視において、中心軸部20を中心として、外側に放射状に広がる方向を径方向外側とし、外部から中心軸部20の中心へ向かう方向を径方向内側とする。
【0046】
【0047】
規制体付きワイヤーハーネス1は、
図1に示すように、車両に直線部分と湾曲部分とを組み合わせて配索されるワイヤーハーネス100と、ワイヤーハーネス100の直線部分を内部に挿通させた複数の規制体10とで構成されている。なお、
図1において、車両における前方Xfに配置された二つの規制体10と、後方Xbに配置された一つの規制体10を図示しているが、車両に配索されたワイヤーハーネス100に合わせて規制体10の数は適宜変更される。
【0048】
ワイヤーハーネス100は、車両に搭載される電気機器類同士を電気的に接続する複数のメイン電線111を束ねたメインハーネス110と、オプション機器として車両に配索された電気機器類同士を電気的に接続するサブ電線121を束ねたサブハーネス120とを備えている。なお、サブハーネス120は、
図1に示すように、前方Xfにおいて、メインハーネス110と並列に配索されているとともに、後方Xbにおいては、ワイヤーハーネス100の配索方向とは異なる方向に湾曲している。
【0049】
ここで、メイン電線111及びサブ電線121は、車両に搭載される電気機器同士に電力や電気信号を伝達可能な導電線としているが、電気機器同士の信号の送受信を行う光ファイバーなどの通信線としてもよい。また、メインハーネス110及びサブハーネス120は、導電線及び通信線の少なくとも一方を束ねて構成されていてもよい。
【0050】
前方Xfに配置された二つの規制体10は、互いに連結されているとともに、連結された規制体10の内部をメインハーネス110及びサブハーネス120が挿通している。そして、規制体10を挿通するメインハーネス110とサブハーネス120とが、径方向内側で束ねられるとともに、規制体10の長手方向Xの両外側において固定テープTで巻き回されている。これにより、前方Xfにおいて、ワイヤーハーネス100に対して規制体10が長手方向Xに相対移動することを防止できる。
【0051】
一方で、後方Xbに配置された規制体10は、メインハーネス110が内部に挿通されているとともに、規制体10の長手方向Xの前方Xfにおいてメインハーネス110と規制体10とが、より詳しくは後述する凸部21とメインハーネス110とが固定テープTで固定されている。
【0052】
規制体10は、内部に挿通されたワイヤーハーネス100を直線状に規制するための規制体であり、樹脂製の柱状体11を備えている。
柱状体11は、所定箇所に設置した際に自重及びワイヤーハーネス100の重量で撓まない剛性を有しており、
図2及び
図3に示すように、長手方向Xに沿った方向から視て、略真円形状をした円柱体で形成されており、内部には長手方向Xに沿って貫通する複数の挿通孔12と、長手方向Xに亘って挿通孔12と規制体10の外部とを連通するスリット部13とが設けられている。このように構成された規制体10は、スリット部13を介して、メイン電線111やサブ電線121を挿通孔12に挿入することができる。
【0053】
以下、
図2及び
図3に基づいて、規制体10について詳述する。
規制体10は、
図2及び
図3に示すように、正面視において、柱状体11における中心に配置される略円柱状の中心軸部20と、中心軸部20から径方向外側に向けて放射状に延出する三つの仕切部30とで構成されている。
【0054】
中心軸部20は、
図2及び
図3に示すように、長手方向Xに沿った中実状の円柱体であり、柱状体11の中心軸上を長手方向Xに沿って延出している。また、中心軸部20の前方Xfの端部には、長手方向Xに沿って延出する円柱状の凸部21が設けられ、後方Xbの端部には、長手方向Xに沿って窪ませた凹部22が設けられている(
図3(c)参照)。
【0055】
凸部21は、中心軸部20の中心部分から前方Xfに向けて延出する、円柱状の突出片であり、外力が作用したとしても、容易に湾曲や損傷しない程度の剛性を有する。
凹部22は、凸部21と略同じ外形で構成された円柱状の窪みである。このように構成された凹部22は、他の規制体10の前方Xfから突出する凸部21を嵌合可能に構成されており、複数の規制体10を長手方向Xに沿って連結することができる。
【0056】
仕切部30は、
図3(a)に示すように、正面視において中心軸部20の外周面から径方向外側に向かうに伴い周方向に拡がる錨形状に形成されている。
詳述すると、仕切部30は、中心軸部20の外周面から径方向外側に向けて延出する仕切部本体31と、仕切部本体31の径方向外側から周方向両側に沿って円弧状に延出するスリット形成部32とが設けられている。
【0057】
仕切部本体31は、正面視において、中心軸部20を中心として径方向外側に向かうに伴い肉厚となる扇形形状をしており、この扇形形状を底面として長手方向Xに沿って延出している。換言すると、仕切部本体31は、中心軸部20を中心として径方向外側に向かうに伴い周方向に沿って拡がる略扇形形状を底面とした柱状で構成されている。
【0058】
スリット形成部32は、正面視において、仕切部本体31の径方向外側を基点として中心軸部20の周方向に沿って先端側に向かうに伴い肉厚が薄くなるような円弧形状で形成されている。スリット形成部32の先端部分は、中心軸部20の中心軸を中心としておよそ60度の位置となるように構成されている。
【0059】
また、スリット形成部32の先端部分には、周方向の先端に向かうに伴い径方向内側に向けて延出する延出部33が備えられている。換言すると、延出部33は、正面視において中心軸部20の中心軸を中心として仕切部本体31の径方向外端を半径とした仮想円Rと比べ、径方向内側に窪むように構成されているとともに、仕切部本体31に向けてわずかに折り返されている(
図3(a)参照)。
なお、延出部33は、肉厚を薄くすることで、径方向に対して弾性変形可能に構成されている。
【0060】
また、
図3(b)に示すように、長手方向Xに沿って延出するスリット形成部32の前方Xf及び後方Xbの端部には、長手方向Xの外側に向かうに伴い仕切部本体31に向けて拡がるように、周方向の先端部分を切り欠かれた切欠部34が設けられている。
【0061】
このように構成された中心軸部20と仕切部30とは、中心軸部20を中心として、仕切部本体31同士が120度ずつ隔てて放射状に延びて配置されている。すなわち、仕切部30は、周方向に三つ、等間隔で設けられている。そして、互いに隣接する仕切部本体31,31との間に、長手方向Xに沿った挿通孔12が形成されている。より具体的には、長手方向Xに沿った挿通孔12は、隣接する仕切部本体31,31と、隣接する仕切部本体31,31から周方向に向けて近接するように延出するスリット形成部32,32と、中心軸部20の外周面とで囲まれた空間である。
【0062】
また、隣接する仕切部本体31から周方向に向けて近接するように延出するスリット形成部32は、仕切部本体31を基準として先端がおよそ60度の位置となるように構成されている。このため、隣接する仕切部本体31,31から周方向に向けて近接するように延出するスリット形成部32,32の間に、規制体10の外部と挿通孔12とを連通するスリット部13が長手方向Xに沿って直線状に形成されている。
【0063】
このように、スリット形成部32,32とで構成されたスリット部13は、正面視において、挿通孔12における幅よりも間隔が短く構成されている。より具体的には、挿通孔12を形成する壁面を構成する仕切部本体31,31の間隔のうち、間隔が最も広い箇所よりも延出部33,33の間隔が短くなるように構成されている。すなわち、スリット形成部32,32は、挿通孔12の一部を覆うように構成されている。
【0064】
なお、延出部33は、周方向の先端に向かうに伴い径方向内側に向けて延出していることから、延出部33,33が対向して構成されるスリット部13は、挿通孔12の径方向内側に向けて窪んでいるとともに、延出部33,33の内面が仕切部本体31,31を向くようにわずかに折り返されている。
【0065】
また、規制体10における前方Xf及び後方Xbの端部において切欠部34,34が互いに対向していることから、スリット部13の前方Xf及び後方Xbの端部は、前方Xf及び後方Xbに向かうに伴い、周方向に沿って拡がっている。
【0066】
次に、このように構成された規制体10にワイヤーハーネス100を挿通する方法について、
図4及び
図5に基づき簡単に説明する。なお、ここでは一つの規制体10に対してメインハーネス110及びサブハーネス120を挿入する場合について説明する。
【0067】
先ず、メインハーネス110のうち直線状に規制したい箇所において、メインハーネス110を構成するメイン電線111にスリット部13が沿うように規制体10を配置する(
図4(a)参照)。
ここで、スリット部13を形成するスリット形成部32,32が、より詳しくは延出部33,33が規制体10における径方向内側に向けて窪んでいるため、スリット部13にメイン電線111を案内することができる(
図4(a)参照)。したがって、容易にメイン電線111をスリット部13に沿わせることができる。
【0068】
次に、規制体10の前方Xf又は後方Xbにおいて、スリット部13に沿ったメイン電線111を径方向内側に向けて引っ張ることで、メイン電線111を切欠部34,34に引っかけつつ、メイン電線111に対して径方向内側に向けて作用させた外力を延出部33,33に伝達することができる(
図4(b)参照)。これにより、規制体10の先端側又は後端側から延出部33,33を径方向内側に向けて徐々に撓ますことができ、容易にメイン電線111を挿通孔12に挿入させることができる(
図4(c)参照)。
【0069】
このようにして、メインハーネス110を構成するメイン電線111を所定の本数だけ挿通孔12に挿入する。また、メイン電線111の本数が多い場合や、異なる配索経路から挿通孔12に挿入されるメイン電線111がある場合などには、上述の工程において、メイン電線111を挿入した挿通孔12とは異なる挿通孔12にメイン電線111を挿入することができる(
図5(a)参照)。
【0070】
なお、規制体10に挿通させたメインハーネス110は、凸部21とともに固定テープTを巻き回すことで(
図1、
図5(c)、
図6(a)参照)、規制体10がメインハーネス110に対して相対移動することを防止できる。
【0071】
さらにまた、規制体10には長手方向Xに沿って複数の挿通孔12が設けてられているため、オプションとして搭載される電気機器類と接続されたサブハーネス120を構成するサブ電線121をメインハーネス110に沿って直線状に規制する場合には、メイン電線111が挿入された挿通孔12と異なる挿通孔12に挿入することができる(
図5(b)参照)。
【0072】
また、複数の挿通孔12に対してメインハーネス110やサブハーネス120を挿通させている場合には、規制体10の前方Xf又は後方Xbにおいて、複数のメインハーネス110を径方向内側で束ねるとともに、固定テープTを巻き回して固定することで、規制体10がメインハーネス110やサブハーネス120に対して相対移動することを防止できる(
図1及び
図5(c)参照)。
【0073】
このように規制体10は、複数のメイン電線111及びサブ電線121を束ねたメインハーネス110及びサブハーネス120に沿う長尺状の柱状体11が備えられ、柱状体11に、長手方向Xに貫通し、メイン電線111及びサブ電線121を挿通する複数の挿通孔12と、挿通孔12と柱状体11の外部とを連通し、外部から挿通孔12にメイン電線111及びサブ電線121を挿入するスリット部13とが設けられ、スリット部13が、長手方向Xに亘って形成されている。
【0074】
また複数のメイン電線111及びサブ電線121を束ねたメインハーネス110及びサブハーネス120と、規制体10とが備えられた規制体付きワイヤーハーネス1において、メインハーネス110及びサブハーネス120の少なくとも一部が、規制体10における挿通孔12に挿通されている。
【0075】
このように構成された規制体10は、スリット部13を介してメイン電線111及びサブ電線121を挿通孔12に挿入するだけで、メインハーネス110及びサブハーネス120を柱状体11に沿わせつつ、メインハーネス110及びサブハーネス120が挿通孔12よりも幅の狭いスリット部13を介して外部に抜け出ることを防止できる。したがって、規制体10に取り付けられたメインハーネス110やサブハーネス120の撓みを規制し、容易にメインハーネス110及びサブハーネス120を柱状体11に沿わせつつ、メインハーネス110やサブハーネス120に取り付ける取付作業の作業効率を向上できる。
【0076】
また、メインハーネス110及びサブハーネス120が挿通された状態で規制体10をテープ巻きする場合であっても、例えば、先端側と基端側などのように、長手方向Xに沿ったスリット部13の一部分のみを固定テープTでテープ巻きすることで、メインハーネス110及びサブハーネス120が柱状体11から抜け出ることをより確実に防止できる。すなわち、メインハーネス110及びサブハーネス120を規制体10に取り付けるための作業効率をより向上させることができる。
【0077】
さらにまた、複数の挿通孔12を設けることで、複数の挿通孔12の全体積と同じ体積となる一つの大きな挿通孔12を設けた場合と比べ、メインハーネス110やサブハーネス120を挿入した状態における挿通孔12の内部空間における余剰空間を小さくすることができる。これにより、メインハーネス110やサブハーネス120が挿通孔12の内部において撓むことを規制でき、配索経路に沿ってメインハーネス110やサブハーネス120を直線状に規制することができる。
【0078】
また、挿通孔12を複数設けることにより、メインハーネス110及びサブハーネス120を構成するメイン電線111及びサブ電線121を適した挿通孔12に分配して挿通できる。具体的には、柱状体11から導出されたメインハーネス110とサブハーネス120が分岐する場合に、メインハーネス110及びサブハーネス120の分岐方向に合わせた挿通孔12に所定のメイン電線111及びサブ電線121を配置することができる(
図5(b)参照)。
【0079】
これにより、メイン電線111及びサブ電線121が捩じれたり、絡まったりすることなく、容易に所望の方向にメインハーネス110やサブハーネス120を分岐させることができる。したがって、メインハーネス110及びサブハーネス120に係る負担を軽減することができ、メインハーネス110及びサブハーネス120の損傷を防止でき、かつ、メインハーネス110及びサブハーネス120の配索作業の作業性を向上させることができる。
【0080】
さらにまた、車両のグレードや車種などにより、メイン電線111の本数が少ない場合には、複数ある挿通孔12の一部のみにメイン電線111を集めた状態で挿通させることができ、メイン電線111の本数が多い場合には、
図5(a)に示すように、複数ある挿通孔12に分配してメイン電線111及びサブ電線121を挿通させることができる。これにより、メイン電線111及びサブ電線121の撓みを防止しつつ、様々な車両に用いることができる。
【0081】
また、柱状体11は、長手方向Xに延びる中心軸部20と、中心軸部20から放射状に配置され、挿通孔12同士を隔てる複数の仕切部30とが備えられ、仕切部30は、中心軸部20から放射状に延びる複数の仕切部本体31と、仕切部本体31の先端から周方向に延びるスリット形成部32とが設けられ、隣り合うスリット形成部32同士によって、スリット部13が形成されている。
【0082】
これにより、簡易な構造で、中心軸部20の周方向に複数の挿通孔12を設けることができる。また、スリット形成部32が挿通孔12を形成する仕切部本体31から周方向に沿って延びているため、挿入孔に挿入されたメインハーネス110及びサブハーネス120が意図せずにスリット部13から外部に抜け出ることを確実に防止できる。さらにまた、周方向に複数の挿通孔12が設けられているため、メインハーネス110及びサブハーネス120を挿通孔12に挿通させる作業性を向上できる。
【0083】
したがって、メインハーネス110及びサブハーネス120の撓みを規制しつつ、メインハーネス110及びサブハーネス120に取り付ける取付作業の効率を向上させることができる。なお、メインハーネス110及びサブハーネス120を挿入した状態でのテープ巻き作業を行う場合においても、より効率よくテープ巻きの作業を行うことができる。
【0084】
また、中心軸部20が、柱状体11の中心軸に沿って備えられ、放射状に延びる複数の仕切部本体31が、中心軸部20を中心として周方向に等間隔で配置されている。このため、長手方向Xに沿って視た断面形状が、中心軸を回転軸とした回転対称形状に形成される。すなわち、スリット部13が周方向に均等に配置され、周方向の向きを問わず柱状体11を車両に配索できる。したがって、規制体10にワイヤーハーネス100を取り付ける取付作業の作業効率を向上させることができる。
【0085】
さらにまた、仕切部本体31が、径方向外側に向かうに伴って肉厚となるように形成されていることにより、長手方向Xから視た正面視において、仕切部本体31の径方向外側の断面積を仕切部本体31は径方向内側の断面積と比べて大きくすることができ、全体の剛性を向上させつつ、軽量化を図ることができる。
【0086】
また、スリット形成部32における周方向の先端に、周方向の先端に向かうに伴い径方向内側に延出する延出部33が設けられていることにより、スリット部13の幅を狭くしたまま、延出部33を径方向内側に湾曲させることができる。このため、挿通孔12に挿通したワイヤーハーネス100(メインハーネス110及びサブハーネス120)が、意図せずにスリット部13を介して挿通孔12から抜け出ることをより確実に防止できる。
【0087】
また、延出部33が周方向の先端に向かうに伴い径方向内側に延出するため、挿通孔12にメイン電線111及びサブ電線121を挿入する場合に、延出部33がメイン電線111及びサブ電線121を挿通孔12へ案内することができ、より容易にメイン電線111及びサブ電線121を挿通孔12に挿入できる。
【0088】
さらにまた、スリット部13の長手方向Xの両端部に、より具体的にはスリット形成部32における長手方向Xの両端部に、長手方向Xの外側に向かうに伴って幅広に切り欠かれた切欠部34が設けられている。これにより、メイン電線111及びサブ電線121を挿通孔12に挿入する又は引き出す場合に、切欠部34を基点とすることができる(
図4(a)参照)。すなわち、切欠部34を介してメイン電線111及びサブ電線121を挿通孔12又は外部へと案内することができるため、挿通孔12に対してメイン電線111及びサブ電線121を容易に出し入れできる。
【0089】
また、スリット形成部32が、径方向内側に撓むように形成されている。これにより、メイン電線111及びサブ電線121を挿通孔12に挿入させる際に、メイン電線111及びサブ電線121を挿通孔12に向けて押し込むことで、スリット形成部32が径方向内側に撓み、スリット幅が拡がる。したがって、挿通孔12にメイン電線111及びサブ電線121を容易に挿入できる。
【0090】
また、メイン電線111及びサブ電線121の挿入後に、復元力によりスリット形成部32が元の位置に戻るため、スリット幅を元通りに狭くすることができる。これにより、挿通孔12からメイン電線111及びサブ電線121が意図せずに抜け落ちることを防止できる。
【0091】
さらにまた、柱状体11が略円柱状に形成されていることにより、ワイヤーハーネス100(メインハーネス110及びサブハーネス120)の配索経路の周辺にある他部材との角当たりを防止し、他部材が損傷することを防止できる。また、柱状体11の外周をテープ巻きする場合には、テープが柱状体11と角当たりして切断されることを防止できる。
【0092】
また、ワイヤーハーネス100(メインハーネス110及びサブハーネス120)に対する柱状体11の長手方向Xへの移動を規制する凸部21を備えている。これにより、メインハーネス110及びサブハーネス120に対する柱状体11の相対移動を規制できるため、メインハーネス110及びサブハーネス120における所望の位置に柱状体11を確実に沿わせることができる。したがって、配索経路における所望の位置においてメインハーネス110及びサブハーネス120を直線状に規制できる。
【0093】
また、柱状体11の長手方向Xにおける一端に凸部21を備えるとともに、他端に凸部21と連結可能に構成された凹部22を備えているため、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、柱状体11を長手方向Xに沿って連結させることができる。したがって、メインハーネス110及びサブハーネス120において、直線状に配索される範囲が柱状体11の長手方向Xの長さよりも長かったとしても、柱状体11同士を連結して全長を長くし、メインハーネス110及びサブハーネス120に柱状体11を沿わせることができる。
【0094】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の電線は、実施形態におけるメイン電線111及びサブ電線121に対応し、
以下同様に、
ワイヤーハーネスは、メインハーネス110及びサブハーネス120に対応し、
柱状体は、柱状体11に対応し、
長手方向は、長手方向Xに対応し、
挿通孔は、挿通孔12に対応し、
スリット部は、スリット部13に対応し、
ハーネス規制体は、規制体10に対応し、
軸部は、中心軸部20に対応し、
仕切部は、仕切部30に対応し、
仕切部本体は、仕切部本体31に対応し、
スリット形成部は、スリット形成部32に対応し、
延出部は、延出部33に対応し、
切欠部は、切欠部34に対応し、
規制手段及び連結部は、凸部21に対応し、
被連結部は、凹部22に対応し、
規制体付きワイヤーハーネスは、規制体付きワイヤーハーネス1に対応し、
固定テープは、固定テープTに対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0095】
例えば、本実施形態において、柱状体11は、長手方向Xから視た正面視の外形が、略真円状に形成されているが、この形状に限定されず、例えば、楕円などの他の円形状や、タマゴ型やトラック形状のようなオーバル形状、また、外周に角を有する多角形状などで形成されていてもよい。なお、多角形状で形成されている場合には、角部分に丸みを設けていてもよい。
【0096】
また、本実施形態において、中心軸部20は、長手方向Xから視て柱状体11の中心軸上に設けられているが、必ずしも柱状体11の中心軸上に設ける必要はない。なお、正面視において、柱状体11の中心軸上以外の箇所に中心軸部20を設けた場合、柱状体11の外径が略真円状となるように、スリット形成部32の形状を調整してもよい。
さらにまた、本実施形態において、周方向に配置された挿通孔12は、正面視において同じ形状であるが、必ずしも同じ形状である必要はなく、全部又は一部が異なる形状であってもよい。
【0097】
また、凸部21は、例えば、中心軸部20における先端側及び後端側の少なくとも一方側において、挿通孔12に挿通されているメインハーネス110やサブハーネス120とテープ巻き可能にすることにより、メインハーネス110などの長手方向Xへの移動を規制できるが、例えば凸部21をテープ巻き可能な構成とする代わりに、挿通孔12を形成する壁面、例えば、仕切部本体31やスリット形成部32の内面の摩擦力を向上させる構成などとしてもよい。
【0098】
また、本実施形態では、仕切部本体31は、中心軸部20の外周面から径方向外側に向けて等間隔で三方向に延出しているが、三方向に限定されず、例えば、
図7(a)に示すように、四方向など複数方向に延出していてもよい。
【0099】
四方向に向けて仕切部本体31が中心軸部20から延出している規制体10vについて、規制体10vの正面図を示す
図7(a)に基づき簡単に説明する。なお、
図7において、上述の構成と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0100】
規制体10vは、規制体10と同様に、正面視において、略真円状に形成された柱状体11を備えている。この柱状体11は、長手方向Xに沿って貫通する挿通孔12が四つ設けられるとともに、挿通孔12と外部とを連通するスリット部13が長手方向Xに沿って直線状に設けられている。
【0101】
このように構成された規制体10vは、
図7(a)に示すように、柱状体11の中心軸上を長手方向Xに沿って延びる中心軸部20と、中心軸部20から径方向外側に向けて放射状に延出する四つの仕切部30とで構成されている。
【0102】
仕切部30は、中心軸部20を中心として、仕切部本体31同士が90度ずつ隔てて放射状に延びて配置されている。すなわち、仕切部30は、周方向に四つ、等間隔で設けられている。
【0103】
また、スリット形成部32は、仕切部本体31の径方向外側の端部から周方向の双方向に向けて延出している。なお、スリット形成部32の先端は、仕切部本体31を基準として、およそ45度の位置となるように構成されており、隣接する仕切部本体31,31から周方向に向けて近接するように延出するスリット形成部32,32の間に、規制体10の外部と挿通孔12とを連通するスリット部13が長手方向Xに沿って形成されている。
【0104】
このように構成された規制体10vは、上述のように、同形状で形成された挿通孔12が長手方向Xに沿って四つ設けられるとともに、挿通孔12における周方向の中央部分、より具体的には、隣接する仕切部本体31,31の中央部分に、外部と連通するスリット部13が設けられ、規制体10と同様の効果を有する。
【0105】
また、規制体10,10vでは、仕切部本体31の先端からスリット形成部32が、仕切部本体31を基準として周方向の両側に同じ形状で延出しているが、必ずしも同じ形状である必要はなく、例えば
図7(b)に示す規制体10wのように、隣接する仕切部本体31から延出するスリット形成部32の形状が異なっていてもよい。なお、
図7(b)は規制体10wの正面図を示している。
【0106】
具体的には、規制体10wは、
図7(b)中における上方と下方に延出する仕切部本体31の先端から周方向両側に延出するスリット形成部32の周方向に沿った長さが、
図7(b)中における右方と左方に延出する仕切部本体31の先端から周方向両側に延出するスリット形成部32の長さよりも長い。これにより、スリット部13を
図7(b)中の左右方向に設けることできるため、メイン電線111やサブ電線121の挿入作業がやりやすく、かつ、メイン電線111やサブ電線121の抜け出しをより確実に防止できる。
【0107】
なお、仕切部本体31の先端から周方向の一方側に延出するスリット形成部32の長さや形状は、周方向の他方側に延出するスリット形成部32と異なっていてもよい。また、スリット形成部32が、仕切部本体31の先端から周方向の一方側にのみ延出していてもよい。
【0108】
さらにまた、
図8(a)に示す規制体10xように、柱状体11の中心軸状に配置された中心軸部20から、放射状に延びる複数の仕切部本体31が、中心軸部20を中心として周方向に不均等に配置されてもよい。なお、
図8(a)は規制体10xの正面図を示している。
【0109】
詳述すると、規制体10xは、仕切部本体31が中心軸部20から
図8(a)中における下方と右方と左方に延出している。換言すると、中心軸部20を中心として、右方と左方の延出部33を径方向内側に湾曲させに延出する仕切部本体31,31に対して90度の間隔を隔てて、下方に延出する仕切部本体31が設けられている。
【0110】
この
図8(a)中における右方と左方に設けられた仕切部本体31の先端から周方向の上方側に向けて延出するスリット形成部32は、仕切部本体31を中心として先端がおよそ90度の位置となるように構成されている。すなわち、
図8(a)中における下方に設けられた仕切部本体31と対向する位置に、隣接するスリット形成部32,32とでスリット部13が形成されている。
【0111】
一方で、
図8(a)中における右方と左方に設けられた仕切部本体31の先端から周方向の下方側に向けて延出するスリット形成部32は、それぞれ仕切部本体31を中心として先端がおよそ45度の位置となるように構成されている。
【0112】
同様に、
図8(a)中における下方に設けられた仕切部本体31の先端から周方向の両側に向けて延出するスリット形成部32は、仕切部本体31を中心として先端がおよそ45度の位置となるように構成されている。すなわち、
図8(a)中における下方に設けられた仕切部本体31を中心として45度の位置に、隣接するスリット形成部32,32とでスリット部13が形成されている。
【0113】
このように構成された規制体10xは、簡易な構造で、異なる大きさの挿通孔12を形成することができる。具体的には、上方に形成された挿通孔12を下方に形成された挿通孔12に比べて大きくすることができる。これにより、例えば、グレードに関わらず配索される、一般的に外径の太いメインハーネス110を大きな挿通孔12に挿入するとともに、オプションやグレードによって取り付けられるオプション機器と接続される、一般的に外径の細いサブハーネス120を小さな挿通孔12に挿通させるなど、メインハーネス110及びサブハーネス120の配索経路や種類に応じてメインハーネス110やサブハーネス120を仕分けることができる。
【0114】
さらにまた、本実施形態における規制体10では、スリット部13の長手方向Xの両端部に、より具体的にはスリット形成部32における長手方向Xの両端部に切欠部34が設けられているが、例えば前方Xf又は後方Xbのみに切欠部34を設けてもよい。
【0115】
また、本実施形態において、スリット部13は、長手方向Xに沿う直線状に設けられているが、例えば、長手方向Xに対して傾斜する直線状に設けられていてもよいし、柱状体11の周方向に一回、又は複数回曲げ返してもよい。
【0116】
例えば、
図8(b)に示す規制体10yのようにスリット部13を波形状としてもよい。なお、
図8(b)は規制体10yの平面図を示す。また、
図8(b)において、規制体10と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0117】
規制体10yは、規制体10と同様に、正面視において、略真円状に形成された柱状体11を備えている。この柱状体11は、長手方向Xに沿って貫通する挿通孔12が四つ設けられるとともに、挿通孔12と外部とを連通するスリット部13が長手方向Xに沿って設けられている。
【0118】
このように構成された規制体10yは、規制体10と同様に、柱状体11の中心軸上を長手方向Xに沿って延びる中心軸部20と、中心軸部20から径方向外側に向けて放射状に延出する三つの仕切部30yとで構成されている。
【0119】
仕切部30yは、中心軸部20の外周面から径方向外側に向けて延出する仕切部本体31と、仕切部本体31の径方向外側から周方向両側に沿って円弧状に延出するスリット形成部32yとが設けられている。なお、仕切部本体31は周方向に沿って三つ、等間隔で配置されている。
【0120】
スリット形成部32yは、正面視において、仕切部本体31の径方向外側を基点として周方向に沿って先端側に向かうに伴い肉厚が薄くなるような円弧形状で形成されている。
このスリット形成部32yの先端部分に設けられている延出部33yは、周方向の先端に向かうに伴い径方向内側に向けて延出している。また、延出部33yは、
図8(b)に示すように、長手方向Xに沿って、周方向に複数回曲げ返された波形状に形成されている。
【0121】
換言すると、延出部33yにおける周方向の端部は、周方向に対して所定の振幅を有する正弦波で形成されている。
なお、延出部33yの振幅は、挿通孔12に挿入されるメイン電線111のうち、最も太径のメイン電線111の半径よりもわずかに長くなるように構成されている。
【0122】
このように構成された規制体10yでは、スリット部13が周方向に複数回曲げ返されている、すなわち、スリット部13が湾曲を繰り返した形状となるため、挿通孔12の内部に略直線状に配索されるメイン電線111及びサブ電線121が、意図せずに柱状体11から抜け出ることを確実に防止できる。これにより、柱状体11の外周をテープ巻きする必要がなく、ワイヤーハーネス100(メインハーネス110及びサブハーネス120)に規制体10を取り付ける取付作業の効率化を図ることができる。
【0123】
なお、規制体10yにおいて、スリット部13は曲線状に曲げ返された正弦波状に形成されているが、例えば、直線状に折り返された、略三角形状を繰り返したジグザグ形状としてもよい。また、繰り返される波形状は、同一位相である必要もなく、また振幅も一定である必要はない。さらにまた、延出部33yには、長手方向Xに沿って連続する正弦波が設けられているが、例えば連続している必要はなく、不連続に波形状が並列配置されていてもよい。
【0124】
また、本実施形態では、規制体付きワイヤーハーネス1は車両に配索されるメインハーネス110及びサブハーネス120に規制体10を取り付けているが、規制体10の代わりに、固定部50を有する規制体10zをワイヤーハーネス100に取り付けてもよい。
【0125】
このような規制体10zについて、
図9に基づき簡単に説明する。
ここで、
図9(a)は規制体10zの側面図を示し、
図9(b)は
図9(a)におけるB-B矢視断面図を示す。なお、
図9において、規制体10と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0126】
規制体10zは、
図9(a)に示すように、規制体10と同様に、正面視において、略真円状に形成された柱状体11を備えている。この柱状体11は、長手方向Xに沿って貫通する挿通孔12が三つ設けられるとともに、挿通孔12と外部とを連通するスリット部13が長手方向Xに沿って直線状に設けられている。
【0127】
この規制体10zは、柱状体11の中心軸上を長手方向Xに沿って延びる中心軸部20と、中心軸部20から径方向外側に向けて放射状に延出する三つの仕切部30と、固定部50とで構成されている。
この三つの仕切部30のうち、
図9中の下方に仕切部本体31が延出するにおける仕切部30は、規制体10における長手方向Xの中央を中心として、前方Xfと後方Xbとで2部品に分かれている。なお、前方Xfを仕切部30fと、後方Xbを仕切部30bとする。
【0128】
換言すると、仕切部30fと仕切部30bとは、長手方向Xに沿って所定の間隔を隔てて設けられている。このように所定の間隔を隔てた仕切部30fと仕切部30bとの間に固定部50が設けられている。
【0129】
固定部50は、いわゆるアンカーであって、
図9(b)に示すように、中心軸部20から中の下方に延出する固定軸部51と、固定軸部51の先端から長手方向Xに沿って延出する係止アーム52、52とで構成されている。
【0130】
係止アーム52,52は、
図9(b)に示すように、先端が固定軸部51の先端と連結されているとともに、長手方向Xに向けて延出している。この係止アーム52,52は、固定軸部51の先端側から基端側に向かって固定軸部51から徐々に離間している。
【0131】
このように構成された固定部50は、車体パネルにおける固定箇所である貫通孔に挿通させることで、係止アーム52,52を車体パネルの縁に係止できるため、規制体10を車体パネルに固定できる。したがって、挿通孔12にメインハーネス110及びサブハーネス120を挿通させた状態で、規制体10zを車体パネルに固定できる。
【0132】
また、固定部50の反対側にスリット部13が設けられているため、車体パネルに固定した状態で、サブハーネス120を固定部50の反対側に設けられた規制体付きワイヤーハーネス1に挿入することができる。このため、オプション機器などを後付けする場合に、追加されるサブハーネス120をより容易に直線状に規制できる。
なお、規制体10zにおいて固定部50は、車体パネルに設けた貫通孔に挿通させて固定するいわゆるアンカーであるが、車体パネルに固定されたボルトを挿通させて固定するスタッドボルトなどとしてもよい。
【0133】
さらにまた、本実施形態において、後方Xbに配置した規制体10における凸部21を、前方Xfに配置した規制体10における凹部22に嵌合することで、複数の規制体10を連結しているが、複数の規制体10を連結する構成はこれに限らず、例えば、凸部21及び凹部22を、係止可能な構成や、螺合可能なネジ構造などとしてもよい。
【0134】
また、
図10に示すように、前方Xfに配置された規制体10におけるスリット形成部32(スリット形成部32fとする。)と、後方Xbに配置された規制体10におけるスリット形成部32(スリット形成部32bとする。)を外嵌させる構造としてもよい。
ここて、
図10(a)及び
図10(b)は、
図6(b)に対応する概略拡大断面図を示す。
【0135】
具体的には、
図10(a)に示すように、スリット形成部32における前方Xfの外周面から、前方Xfに向けて突出する嵌合外周壁321を設け、前方Xfに配置された規制体10におけるスリット形成部32の外周面に嵌合外周壁321を嵌合させてもよい。
【0136】
また、
図10(b)に示すように、スリット形成部32の後方Xbに、後方Xbに向けて突出するとともに、板厚が後方Xbに向かうに伴い径方向内側に向けて薄くなる内側嵌合部322を設け、スリット形成部32の前方Xfに、前方Xfに向けて突出するとともに、板厚が前方Xfに向かうに伴い径方向外側に向けて薄くなる外側嵌合部323を設ける。
【0137】
このようにスリット形成部32に内側嵌合部322及び外側嵌合部323を設けることにより、
図10(b)に示すように、スリット形成部32fにおける内側嵌合部322と、スリット形成部32bにおける外側嵌合部323とを嵌合させることができ、複数の規制体10を連結することができる。
【0138】
なお、
図10に示す例では、スリット形成部32に嵌合構造を設けたが、係止構造を設けてもよい。また、中心軸部20やスリット形成部32に嵌合構造や係止構造などを設ける場合の他、仕切部本体31に互いに係止可能な係止構造を設けてもよい。
【符号の説明】
【0139】
1 規制体付きワイヤーハーネス
10 規制体
11 柱状体
12 挿通孔
13 スリット部
20 中心軸部
21 凸部
22 凹部
30 仕切部
31 仕切部本体
32 スリット形成部
33 延出部
34 切欠部
50 固定部
110 メインハーネス
111 メイン電線
120 サブハーネス
121 サブ電線
X 長手方向
T 固定テープ