(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095044
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】めっき装置のスループットを制限する要素を識別するための方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210697
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】岩本 大樹
(57)【要約】
【課題】めっき装置のスループットを制限する要素を識別する。
【解決手段】めっき装置のスループットを制限する要素を識別する方法が提供される。方法は、前記複数の処理ユニットおよび前記1または複数の搬送装置の処理スケジュールを表すタイムチャートを作成するステップと、前記タイムチャートに基づいて、前記複数の処理ユニットおよび前記1または複数の搬送装置の各要素について、稼働率と取り出し自由度の少なくとも一方を算出するステップであって、前記取り出し自由度は、前記処理ユニットの1つから処理済みの前記基板を取り出すことが可能なタイミングの自由度を表す、ステップと、前記算出された稼働率と取り出し自由度の少なくとも一方を、前記複数の処理ユニットおよび前記1または複数の搬送装置の要素ごとに表示するステップと、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する複数の処理ユニットと前記基板を搬送する1または複数の搬送装置を備えるめっき装置において、前記処理ユニットと前記搬送装置のうち前記めっき装置全体のスループットを制限する要素を識別する方法であって、
一組のめっき処理条件を入力するステップと、
前記一組のめっき処理条件に基づいて、前記複数の処理ユニットおよび前記1または複数の搬送装置の処理スケジュールを表すタイムチャートを作成するステップと、
前記タイムチャートに基づいて、前記複数の処理ユニットおよび前記1または複数の搬送装置の各要素について、稼働率と取り出し自由度の少なくとも一方を算出するステップであって、前記取り出し自由度は、前記処理ユニットの1つから処理済みの前記基板を取り出すことが可能なタイミングの自由度を表す、ステップと、
前記算出された稼働率と取り出し自由度の少なくとも一方を、前記複数の処理ユニットおよび前記1または複数の搬送装置の要素ごとに表示するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記処理ユニットの前記稼働率は、当該処理ユニットにおいて前記基板を処理するのに要する基板処理時間と、当該処理ユニットと他の処理ユニットとの間で前記1または複数の搬送装置が前記基板を搬送するのに要する基板搬送時間との和に基づいて算出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板搬送時間は、当該処理ユニットから基板の取り出しを開始してから当該処理ユニットの後段の処理ユニットへ前記基板の収納を完了するまでの時間と、当該処理ユニットの前段の処理ユニットから次の基板の取り出しを開始してから当該処理ユニットへ前記次の基板の収納を完了するまでの時間とを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基板搬送時間は、さらに、前記1または複数の搬送装置が前記後段の処理ユニットから前記前段の処理ユニットへ移動する時間を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記搬送装置の前記稼働率は、当該搬送装置が前記基板を搬送している時間の和に基づいて算出される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記処理ユニットの前記取り出し自由度は、当該処理ユニットにおいて前記基板の処理が終了してから、前記基板を当該処理ユニットから取り出し可能となるまでの基板待機時間に基づいて算出される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記処理ユニットの前記取り出し自由度は、前記タイムチャートにおける、当該処理ユニットの前記基板待機時間の最大値と最小値の差に基づいて算出される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記タイムチャートは、前記複数の処理ユニットの各々が前記基板の処理を開始するタイミングと終了するタイミングに関する情報を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記タイムチャートは、前記1または複数の搬送装置が1つの処理ユニットから他の処理ユニットへ移動する各移動の開始タイミングと終了タイミングに関する情報を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記タイムチャートは、前記1または複数の搬送装置が前記1つの処理ユニットから前記基板を取り出す動作を開始するタイミングと終了するタイミングに関する情報、および
前記1または複数の搬送装置が前記基板を前記他の処理ユニットへ収納する動作を開始するタイミングと終了するタイミングに関する情報を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記稼働率および取り出し自由度は、ヒートマップまたは明度マップを用いて前記めっき装置の要素ごとに表示される、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
基板を処理する複数の処理ユニットと前記基板を搬送する1または複数の搬送装置を備えるめっき装置において、前記処理ユニットと前記搬送装置のうち前記めっき装置全体のスループットを制限する要素を識別するためのコンピュータプログラムであって、
一組のめっき処理条件の入力を受け取るステップと、
前記一組のめっき処理条件に基づいて、前記複数の処理ユニットおよび前記1または複数の搬送装置の処理スケジュールを表すタイムチャートを作成するステップと、
前記タイムチャートに基づいて、前記複数の処理ユニットおよび前記1または複数の搬送装置の各要素について、稼働率と取り出し自由度の少なくとも一方を算出するステップであって、前記取り出し自由度は、前記処理ユニットの1つから処理済みの前記基板を取り出すことが可能なタイミングの自由度を表す、ステップと、
前記算出された稼働率と取り出し自由度の少なくとも一方を、前記複数の処理ユニットおよび前記1または複数の搬送装置の要素ごとに表示部に表示させるステップと、
をコンピュータのプロセッサに実行させるように構成される、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき装置のスループットを制限する要素を識別するための方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
めっき装置は、基板を処理する様々な処理ユニットと、基板を搬送する1または複数の搬送装置を備えている。めっき装置を設計する段階および運用する段階のいずれにおいても、めっき装置が単位時間に処理できる基板の数、すなわちスループットを向上させることは重要な課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、基板処理装置の稼働率を算出することが開示されている。しかし、基板処理装置が備える各要素の稼働率を算出することについては触れられていない。
【0005】
また例えば、専門知識のあるエンジニアが、めっき装置における一連の動作のシミュレーションを実行し、そのシミュレーション結果を元に、各要素の稼働状況を確認することが行われている。しかしながら、このような方法では、スループットに影響する箇所の特定に時間がかかり、またその分析を行える者も限られていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[形態1]形態1によれば、基板を処理する複数の処理ユニットと前記基板を搬送する1または複数の搬送装置を備えるめっき装置において、前記処理ユニットと前記搬送装置のうち前記めっき装置全体のスループットを制限する要素を識別する方法であって、一組のめっき処理条件を入力するステップと、前記一組のめっき処理条件に基づいて、前記複数の処理ユニットおよび前記1または複数の搬送装置の処理スケジュールを表すタイムチャートを作成するステップと、前記タイムチャートに基づいて、前記複数の処理ユニットおよび前記1または複数の搬送装置の各要素について、稼働率と取り出し自由度の少なくとも一方を算出するステップであって、前記取り出し自由度は、前記処理ユニットの1つから処理済みの前記基板を取り出すことが可能なタイミングの自由度を表す、ステップと、前記算出された稼働率と取り出し自由度の少なくとも一方を、前記複数の処理ユニットおよび前記1または複数の搬送装置の要素ごとに表示するステップと、を含む方法が提供される。
【0007】
[形態2]形態2によれば、形態1の方法において、前記処理ユニットの前記稼働率は、当該処理ユニットにおいて前記基板を処理するのに要する基板処理時間と、当該処理ユニットと他の処理ユニットとの間で前記1または複数の搬送装置が前記基板を搬送するのに要する基板搬送時間との和に基づいて算出される。
【0008】
[形態3]形態3によれば、形態2の方法において、前記基板搬送時間は、当該処理ユニットから基板の取り出しを開始してから当該処理ユニットの後段の処理ユニットへ前記基板の収納を完了するまでの時間と、当該処理ユニットの前段の処理ユニットから次の基
板の取り出しを開始してから当該処理ユニットへ前記次の基板の収納を完了するまでの時間とを含む。
【0009】
[形態4]形態4によれば、形態3の方法において、前記基板搬送時間は、さらに、前記1または複数の搬送装置が前記後段の処理ユニットから前記前段の処理ユニットへ移動する時間を含む。
【0010】
[形態5]形態5によれば、形態1から4のいずれか1つの方法において、前記搬送装置の前記稼働率は、当該搬送装置が前記基板を搬送している時間の和に基づいて算出される。
【0011】
[形態6]形態6によれば、形態1から5のいずれか1つの方法において、前記処理ユニットの前記取り出し自由度は、当該処理ユニットにおいて前記基板の処理が終了してから、前記基板を当該処理ユニットから取り出し可能となるまでの基板待機時間に基づいて算出される。
【0012】
[形態7]形態7によれば、形態6の方法において、前記処理ユニットの前記取り出し自由度は、前記タイムチャートにおける、当該処理ユニットの前記基板待機時間の最大値と最小値の差に基づいて算出される。
【0013】
[形態8]形態8によれば、形態1から7のいずれか1つの方法において、前記タイムチャートは、前記複数の処理ユニットの各々が前記基板の処理を開始するタイミングと終了するタイミングに関する情報を含む。
【0014】
[形態9]形態9によれば、形態1から8のいずれか1つの方法において、前記タイムチャートは、前記1または複数の搬送装置が1つの処理ユニットから他の処理ユニットへ移動する各移動の開始タイミングと終了タイミングに関する情報を含む。
【0015】
[形態10]形態10によれば、形態9の方法において、前記タイムチャートは、前記1または複数の搬送装置が前記1つの処理ユニットから前記基板を取り出す動作を開始するタイミングと終了するタイミングに関する情報、および前記1または複数の搬送装置が前記基板を前記他の処理ユニットへ収納する動作を開始するタイミングと終了するタイミングに関する情報を含む。
【0016】
[形態11]形態11によれば、形態1から10のいずれか1つの方法において、前記稼働率および取り出し自由度は、ヒートマップまたは明度マップを用いて前記めっき装置の要素ごとに表示される。
【0017】
[形態12]形態12によれば、基板を処理する複数の処理ユニットと前記基板を搬送する1または複数の搬送装置を備えるめっき装置において、前記処理ユニットと前記搬送装置のうち前記めっき装置全体のスループットを制限する要素を識別するためのコンピュータプログラムであって、一組のめっき処理条件の入力を受け取るステップと、前記一組のめっき処理条件に基づいて、前記複数の処理ユニットおよび前記1または複数の搬送装置の処理スケジュールを表すタイムチャートを作成するステップと、前記タイムチャートに基づいて、前記複数の処理ユニットおよび前記1または複数の搬送装置の各要素について、稼働率と取り出し自由度の少なくとも一方を算出するステップであって、前記取り出し自由度は、前記処理ユニットの1つから処理済みの前記基板を取り出すことが可能なタイミングの自由度を表す、ステップと、前記算出された稼働率と取り出し自由度の少なくとも一方を、前記複数の処理ユニットおよび前記1または複数の搬送装置の要素ごとに表示部に表示させるステップと、をコンピュータのプロセッサに実行させるように構成され
る、コンピュータプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るめっき装置の全体配置図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る方法を実施するための例示的なデータ処理装置の構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るデータ処理装置におけるデータ処理の概要を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るタイムチャートの一例を示す。
【
図5】
図4のタイムチャートの例における、めっき装置の各処理ユニットと各搬送装置の相互関係を示す模式図である。
【
図6】
図4のタイムチャートに搬送装置の動きを矢印で書き入れた図である。
【
図7】稼働率の計算に用いられる各時間を
図4のタイムチャートにおいて例示した図である。
【
図8】取り出し自由度を説明するための、別のタイムチャートの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るめっき装置100の全体配置図である。めっき装置100は、基板ホルダ(不図示)に基板をロードし、又は基板ホルダから基板をアンロードするロード/アンロードモジュール110と、基板を処理する処理モジュール120と、洗浄モジュール50aとに大きく分けられる。処理モジュール120は、さらに、基板の前処理及び後処理を行う前処理・後処理モジュール120Aと、基板にめっき処理を行うめっき処理モジュール120Bとを含む。
【0021】
ロード/アンロードモジュール110は、ハンドリングステージ26と、基板搬送装置27と、フィキシングステーション29とを有する。一例として、本実施形態では、ロード/アンロードモジュール110は、処理前の基板を取り扱うロード用のハンドリングステージ26Aと、処理後の基板を取り扱うアンロード用のハンドリングステージ26Bとの、2つのハンドリングステージ26を有している。本実施形態では、ロード用のハンドリングステージ26Aと、アンロード用のハンドリングステージ26Bとは、構成は同一であり、互いに180°向きが異なって配置されている。なお、ハンドリングステージ26は、ロード用、アンロード用のハンドリングステージ26A,26Bが設けられるものに限定されず、それぞれロード用、アンロード用と区別されずに使用されてもよい。また、本実施形態では、ロード/アンロードモジュール110は、2つのフィキシングステーション29を有している。2つのフィキシングステーション29は、同一の機構であり、空いている方(基板を取り扱っていない方)が使用される。なお、ハンドリングステージ26とフィキシングステーション29とのそれぞれは、めっき装置100におけるスペースに応じて、1つ、又は3つ以上が設けられてもよい。
【0022】
ハンドリングステージ26(ロード用のハンドリングステージ26A)には、ロボット24を通じて複数(一例として
図1では3つ)のカセットテーブル25から基板が搬送される。カセットテーブル25は、基板が収容されるカセット25aを備える。カセットは例えばフープである。ハンドリングステージ26は、載置された基板の位置および向きを調整(アライメント)するように構成される。ハンドリングステージ26とフィキシングステーション29との間には、これらの間で基板を搬送する基板搬送装置27が配置されている。基板搬送装置27は、ハンドリングステージ26、フィキシングステーション2
9、および洗浄モジュール50aの間で、基板を搬送するように構成されている。また、フィキシングステーション29の近傍には基板ホルダを収容するためのストッカ30が設けられる。
【0023】
洗浄モジュール50aは、めっき処理後の基板を洗浄して乾燥させる洗浄装置50を有する。基板搬送装置27は、めっき処理後の基板を洗浄装置50に搬送し、洗浄された基板を洗浄装置50から取り出すように構成される。そして、洗浄後の基板は、基板搬送装置27によってハンドリングステージ26(アンロード用のハンドリングステージ26B)に渡され、ロボット24を通じてカセット25aへ戻される。
【0024】
前処理・後処理モジュール120Aは、プリウェット槽32と、プリソーク槽33と、プリリンス槽34と、ブロー槽35と、リンス槽36と、を有する。プリウェット槽32では、基板が純水に浸漬される。プリソーク槽33では、基板の表面に形成したシード層等の導電層の表面の酸化膜がエッチング除去される。プリリンス槽34では、プリソーク後の基板が基板ホルダと共に洗浄液(純水等)で洗浄される。ブロー槽35では、洗浄後の基板の液切りが行われる。リンス槽36では、めっき後の基板が基板ホルダと共に洗浄液で洗浄される。なお、このめっき装置100の前処理・後処理モジュール120Aの構成は一例であり、めっき装置100の前処理・後処理モジュール120Aの構成は限定されず、他の構成を採用することが可能である。
【0025】
めっき処理モジュール120Bは、例えば、オーバーフロー槽38の内部に複数のめっき槽39を収納して構成されている。各めっき槽39は、内部に1つの基板を収納し、内部に保持しためっき液中に基板を浸漬させて基板表面に銅めっき等のめっきを施すように構成される。
【0026】
めっき装置100は、前処理・後処理モジュール120Aとめっき処理モジュール120Bとの側方に位置して基板ホルダを基板とともに搬送する、例えばリニアモータ方式を採用したトランスポータ37を有する。このトランスポータ37は、フィキシングステーション29、ストッカ30、プリウェット槽32、プリソーク槽33、プリリンス槽34、ブロー槽35、リンス槽36、及びめっき槽39の間で基板ホルダを搬送するように構成される。
【0027】
このめっき装置100による一連のめっき処理の一例を説明する。まず、カセットテーブル25に搭載したカセット25aから、ロボット24で基板を1つ取出し、ハンドリングステージ26(ロード用のハンドリングステージ26A)に基板を搬送する。ハンドリングステージ26は、搬送された基板の位置および向きを所定の位置および向きに合わせる。このハンドリングステージ26で位置および向きを合わせた基板を基板搬送装置27でフィキシングステーション29まで搬送する。
【0028】
一方、ストッカ30内に収容されていた基板ホルダが、トランスポータ37によってフィキシングステーション29まで搬送され、フィキシングステーション29の上に水平に載置される。そして、この状態の基板ホルダの上に、基板搬送装置27によって搬送されてきた基板が載置され、基板と基板ホルダが接続される。
【0029】
次に、基板を保持した基板ホルダをトランスポータ37で把持し、プリウェット槽32に収納する。次に、プリウェット槽32で処理された基板を保持した基板ホルダを、トランスポータ37でプリソーク槽33に搬送し、プリソーク槽33で基板上の酸化膜をエッチングする。続いて、この基板を保持した基板ホルダを、プリリンス槽34に搬送し、このプリリンス槽34に収納された純水で基板の表面を水洗する。
【0030】
水洗が終了した基板を保持した基板ホルダは、トランスポータ37により、プリリンス槽34からめっき処理モジュール120Bに搬送され、めっき液を満たしためっき槽39に収納される。トランスポータ37は、上記の手順を順次繰り返し行って、基板を保持した基板ホルダを順次めっき処理モジュール120Bの各々のめっき槽39に収納する。
【0031】
各々のめっき槽39では、めっき槽39内のアノード(図示せず)と基板との間にめっき電圧を印加することで、基板の表面にめっきを行う。
【0032】
めっきが終了した後、めっき後の基板を保持した基板ホルダをトランスポータ37で把持し、リンス槽36まで搬送し、リンス槽36に収容された純水に浸漬させて基板の表面を純水洗浄する。次に、基板ホルダを、トランスポータ37によってブロー槽35に搬送し、エアーの吹き付け等によって基板ホルダに付着した水滴を除去する。その後、基板ホルダを、トランスポータ37によってフィキシングステーション29に搬送する。
【0033】
フィキシングステーション29では、基板搬送装置27によって基板ホルダから処理後の基板が取り出され、洗浄モジュール50aの洗浄装置50に搬送される。洗浄装置50は、めっき処理後の基板を洗浄して乾燥させる。乾燥した基板は、基板搬送装置27によってハンドリングステージ26(アンロード用のハンドリングステージ26B)に渡され、ロボット24を通じてカセット25aに戻される。
【0034】
図2は、本発明の一実施形態に係る方法を実施するための例示的なデータ処理装置200の構成図である。
図3は、
図2の例示的なデータ処理装置200におけるデータ処理の概要を示す図である。データ処理装置200は、デスクトップ型コンピュータ、ノートブック型コンピュータ、あるいはネットワーク上のサーバなどの、様々な形態のコンピュータであってよい。図示されるように、データ処理装置200は、プロセッサ202、メモリ204、データベース206、入力インターフェイス208、ディスプレイ210を備える。データベース206およびディスプレイ210は、ネットワークや通信ケーブルを介してデータ処理装置200に接続された外部のデバイスであってもよい。メモリ204には、本発明の一実施形態に係る方法を実現可能に構成されたコンピュータプログラム205が格納される。プロセッサ202はメモリ204からコンピュータプログラム205を読み出して実行する。これにより、データ処理装置200において本発明の一実施形態に係る方法が実施される。
【0035】
データ処理装置200はまた、タイムテーブル生成部212、タイムチャート生成部214、稼働率算出部216、取り出し自由度算出部218、および画面出力部220を備える。これらの各部は、プロセッサ202がコンピュータプログラム205を実行することによって具現化された機能ブロックであってよい。タイムテーブル生成部212、タイムチャート生成部214、稼働率算出部216、取り出し自由度算出部218、および画面出力部220は、互いに連携して動作することで本発明の一実施形態に係る方法を実施することができるように構成される。
【0036】
タイムテーブル生成部212は、めっき処理パラメータに基づいて、めっき装置100が備える搬送装置(例えば、
図1に示されたロボット24、基板搬送装置27、およびトランスポータ37)の処理スケジュールを表すタイムテーブルを作成するように構成される。タイムテーブルの作成に用いられるめっき処理パラメータは、めっき装置100の構成に関する情報とプロセス条件に関する情報とを含む。これらの情報は、例えば、データベース206にあらかじめ格納されて、データベース206からタイムテーブル生成部212へ入力されてよい。あるいは、これらの情報の一部は、めっき装置100のユーザによって入力インターフェイス208を介して入力されてもよい。めっき装置100の構成に関する情報は、例えば、めっき装置100が備える処理ユニット(例えば、
図1に示さ
れたプリウェット槽32、プリソーク槽33、プリリンス槽34、ブロー槽35、リンス槽36、および複数のめっき槽39)と搬送装置の配置情報、搬送装置が各処理ユニットに/から処理対象の基板を収納する/取り出すのに要する動作時間、搬送装置が各処理ユニット間を移動するのにかかる移動時間、各搬送装置の移動範囲、基板が複数の処理ユニットで処理される順番、処理ユニットで処理された基板がその処理ユニット内に待機可能な制限時間、等の情報を含む。めっき装置100のプロセス条件に関する情報は、各処理ユニットで基板を処理する時間として設定された処理時間を含む。タイムテーブル生成部212は、これらの様々なめっき処理パラメータを用いてめっき装置100の動作のシミュレーションを実行することによって、各搬送装置が基板をどの処理ユニットからどの処理ユニットへどのようなタイミングで搬送するかを示すタイムテーブルを作成することができる。
【0037】
タイムチャート生成部214は、タイムテーブル生成部212において作成されたタイムテーブルに基づいて、めっき装置100のタイムチャートを作成するように構成される。めっき装置100のタイムチャートは、搬送装置の処理スケジュールに加えて各処理ユニットの処理スケジュールを含む。
図2および3では、タイムテーブル生成部212とタイムチャート生成部214は別個の要素として示されているが、めっき処理パラメータから直接的にタイムチャートを作成するように、タイムテーブル生成部212とタイムチャート生成部214は1つの融合した要素として構成されてもよい。
【0038】
図4は、作成されたタイムチャートの一例を示す。この例では、めっき装置100がユニットU1、ユニットU2、ユニットU3、ユニットU4の4つの処理ユニットと、搬送装置T1、搬送装置T2、搬送装置T3の3つの搬送装置とを備えるものとする。ユニットU1、ユニットU2、ユニットU3、ユニットU4は、例えば、
図1におけるプリウェット槽32、プリソーク槽33、プリリンス槽34、ブロー槽35、リンス槽36、およびめっき槽39のいずれかに対応するのであってよい。また例えば、搬送装置T1、搬送装置T2、搬送装置T3は、
図1におけるロボット24、基板搬送装置27、およびトランスポータ37のいずれかであってよい。
【0039】
図5は、
図4のタイムチャートの例における、めっき装置100の各処理ユニットと各搬送装置の相互関係を示す模式図である。搬送装置T1は、基板Wを(例えば
図5に示されていない他の処理ユニットから)ユニットU1へ搬送し、ユニットU1に収納する。基板WはユニットU1で処理される。ユニットU1での処理が終わると、搬送装置T2が、基板WをユニットU1から取り出してユニットU2へ搬送し、ユニットU2に収納する。基板WはユニットU2で処理される。以下同様に、基板Wは搬送装置T2によって順次ユニットU3、ユニットU4へ搬送され、ユニットU3、ユニットU4において処理される。ユニットU4での処理が終わると、搬送装置T3が、基板WをユニットU4から取り出してさらに後段の不図示の処理ユニットへ搬送する。
【0040】
図6は、
図4のタイムチャートに搬送装置2の動き(移動経路)を矢印で書き入れた図である。なお、
図4~
図6は、説明の便宜および理解の容易さのために、めっき装置100の実際の構成を簡略化した形で示したものであることに留意されたい。これらの図における各処理ユニットと搬送装置の数や配置は、めっき装置100の実際の構成に合うように適宜修正することができるのはもちろんである。
【0041】
図4~
図6を同時に参照して、この例示的なタイムチャートに記述されているめっき装置100の各処理ユニットと各搬送装置の処理スケジュールを詳しく説明する。このタイムチャートには、連続して順次投入される5つの基板W0’、W0、W1、W2、W3に対して各処理ユニットが処理を行っていく様子が示されており、これら5つの基板より時間的に前および後の基板については図示を省略している。
【0042】
搬送装置T1は基板W1を(不図示のユニットから)ユニットU1へ搬送し、ユニットU1に収納する(
図6の符号S1)。ユニットU1は基板W1を処理する(符号S2)。ユニットU1で基板W1の処理が終了すると、搬送装置T2は基板W1をユニットU1から取り出してユニットU2へ搬送し、ユニットU2に収納する(符号S3)。ユニットU2は基板W1を処理する(符号S4)。また、搬送装置T2がユニットU1からユニットU2へ移動したタイミングで、搬送装置T1は次の基板W2をユニットU1へ搬送し、ユニットU1に収納する(符号S5)。ユニットU1は、同様に基板W2を処理する(符号S6)。
【0043】
一方、基板W1をユニットU2へ搬送した搬送装置T2は、その後、ユニットU3で処理がすでに終了している1つ前の基板W0を受け取るために、ユニットU3へ移動する(符号S7)。このとき、ユニットU3で基板W0の処理が終了してから搬送装置T2がユニットU3に到着するまでの間、処理済みの基板W0はユニットU3内に待機される。これはタイムチャートに空白部分として示されている。搬送装置T2は、ユニットU3に到着すると、ユニットU3から基板W0を取り出してユニットU4へ搬送し、ユニットU4に収納する(符号S8)。ユニットU4は基板W0を処理する(符号S9)。
【0044】
基板W0をユニットU4へ搬送した搬送装置T2は、次にユニットU2へ移動する(符号S10)。すでに符号S4で示したように、ユニットU2は基板W1を処理している。ユニットU2で基板W1の処理が終了すると、搬送装置T2は基板W1をユニットU2から取り出してユニットU3へ搬送し、ユニットU3に収納する(符号S11)。ユニットU3は基板W1を処理する(符号S12)。
【0045】
基板W1をユニットU3へ搬送した搬送装置T2は、次にユニットU1へ移動する(符号S13)。ユニットU1は2つめの基板W2を処理しており(前出の符号S6)、ユニットU1で基板W2の処理が終了すると、搬送装置T2は基板W2をユニットU1から取り出してユニットU2へ搬送する(符号S14)。以降、基板W2に対して各ユニットにおいて同様の処理が繰り返される。
【0046】
ユニットU4では、1つ前の基板W0の処理が行われており(前出の符号S9)、搬送装置T3は、ユニットU4での基板W0の処理の終了に合わせて、あらかじめユニットU4へ移動する(符号S15)。ユニットU4で基板W0の処理が終了すると、搬送装置T3は基板W0をユニットU4から取り出して、不図示の後段のユニットへ搬送する(符号S16)。この後、ユニットU4は、搬送装置T2が次の基板(基板W1)のユニットU3からユニットU4への搬送動作を始めるまで、待機状態となる(タイムチャートの空白部分)。
【0047】
図2、3に戻り、稼働率算出部216は、タイムチャート生成部214において作成されたタイムチャートに基づいて、めっき装置100の各処理ユニットと各搬送装置の稼働率を算出するように構成される。各処理ユニットまたは搬送装置の稼働率は、めっき装置100の全稼働時間に対する、当該処理ユニットまたは搬送装置の稼働に関与する時間の割合として定義することができる。「めっき装置100の全稼働時間」は、例えば、めっき装置100の処理対象である複数の基板のうち最初の基板の処理を開始してから最後の基板の処理が終了するまでに要する全時間であってよい。あるいは、
図4のタイムチャートの例のように、ある連続する一群の基板の処理スケジュールが周期的に繰り返される場合(すなわち、ある連続するN個の基板について見た各処理ユニットおよび搬送装置の処理スケジュールと、それに続くN個の基板について見た各処理ユニットおよび搬送装置の処理スケジュールが同じパターンを有する場合)には、「めっき装置100の全稼働時間」は、そのような一周期の時間と定義してもよい。
【0048】
「処理ユニットの稼働に関与する時間」は、例えば、i)その処理ユニットにおいて基板Wを処理するのに要する基板処理時間ΔTA、ii)その処理ユニットと他の処理ユニットとの間で搬送装置が基板Wを搬送するのに要する基板搬送時間ΔTB、の和として定義される。基板搬送時間ΔTBは、ii-1)その処理ユニットから処理済みの基板Wの取り出しを開始してからその処理ユニットの後段の処理ユニットへ当該基板Wの収納を完了するまでの時間ΔTB1、ii-2)搬送装置が(いずれかの処理ユニットから)その処理ユニットの前段の処理ユニットへ移動する時間ΔTB2、ii-3)その処理ユニットの前段の処理ユニットから次の基板Wの取り出しを開始してからその処理ユニットへ当該次の基板Wの収納を完了するまでの時間ΔTB3、のうちの少なくとも1つを含むのであってよい。時間ΔTB1およびΔTB3はそれぞれ、搬送装置が処理ユニットから基板Wを取り出すのにかかる時間、取り出した基板Wを次の処理ユニットへ搬送する時間、および搬送された基板Wを処理ユニットに収納するのにかかる時間、の合計値であってよい。なお、時間ΔTB2では搬送装置は基板を把持することなく処理ユニット間を移動するが、この移動は計算対象の処理ユニットに次の基板を供給するための準備としての移動であるので、この時間ΔTB2は、基板搬送時間ΔTBに含めるのが合理的である。
【0049】
「搬送装置の稼働に関与する時間」は、例えば、iii)その搬送装置が基板Wを搬送している時間ΔTC、iv)搬送装置が基板Wを把持することなく処理ユニット間を移動する時間ΔTD、の和として定義することができる。時間ΔTCは、搬送装置が処理ユニットから基板Wを取り出すのにかかる時間、取り出した基板Wを次の処理ユニットへ搬送する時間、および搬送された基板Wを処理ユニットに収納するのにかかる時間、の合計値であってよい。なお、iv)の時間ΔTDは、前述のii-2)の時間ΔTB2と同じものである。前述したように、搬送装置が基板Wを把持していなくても、この移動は基板を搬送する次の動作の準備のためのものであるので、「稼働に関与する時間」に算入するのが相当である。
【0050】
図7は、稼働率の計算に用いられる上記の各時間ΔTA、ΔTB1、ΔTB2、ΔTB3、ΔTC、およびΔTDを、
図4のタイムチャートにおいて例示した図である。連続する一群の基板の処理スケジュールが周期的に繰り返される
図4のタイムチャートの例においては、繰り返しの一周期について、各時間ΔTA、ΔTB1、ΔTB2、ΔTB3、ΔTC、およびΔTDを算定するのであってもよい。
【0051】
上記の稼働率の定義および
図7から理解されるように、このタイムチャートの例では、ユニットU1およびU2の稼働率は100%と算出される。またユニットU3およびU4については、時間ΔTA、ΔTB1、ΔTB2、ΔTB3の和が一周期の時間ΔTよりも短いので、稼働率は100%よりも小さくなる(例えば60~90%)。また、搬送装置T2の稼働率は100%と算出される一方、搬送装置T1およびT3については、100%に満たない稼働率(例えば20~40%)となる。
【0052】
このようにして、稼働率算出部216において、めっき装置100の各処理ユニットおよび搬送装置の稼働率が算出される。これらの稼働率の値を見ることで、めっき装置100の様々な要素(処理ユニットおよび搬送装置)のうち、どの要素がめっき装置100のスループットに影響を与えているかを識別することができる。
【0053】
再び
図2、3に戻り、取り出し自由度算出部218は、タイムチャート生成部214において作成されたタイムチャートに基づいて、めっき装置100の各処理ユニットの取り出し自由度を算出するように構成される。めっき装置100全体のスループットを最大化するには、めっき装置100の複数の処理ユニットのうちスループットが最も低い処理ユニットの稼働率をできるだけ高めることが重要である。そのためには、そのような最小の
スループットを有する処理ユニット(例えばユニットU4)において基板の処理が終了するタイミングで、その処理ユニットから処理済みの基板が取り出され、それに続いて前段の処理ユニット(例えばユニットU3)から次の基板が搬送され当該処理ユニット(ユニットU4)に収納されるように、めっき装置100の各要素の処理スケジュールを調整する必要がある。このとき、この前段の処理ユニット(ユニットU3)では、処理済みの基板は処理が終わっても直ぐには取り出されず、上記のタイミングまでしばらく当該処理ユニット内に待機されることとなる。このように、各処理ユニットにおいて処理済み基板を取り出すタイミングを調整できる度合いを、取り出し自由度と定義する。
【0054】
図8は、取り出し自由度をより具体的に説明するための、別のタイムチャートの例を示す図である。この例では、めっき装置100がユニットU1A、ユニットU1B、ユニットU2A、ユニットU2B、ユニットU3、ユニットU4の6つの処理ユニットを備えるものとしている。なお
図8において搬送装置は省略されている。ユニットU1AとユニットU1Bは、同一の処理(例えばプリソーク処理)を行う処理ユニットであり、第1ユニット群を構成している。ユニットU2AとユニットU2Bは、同一の処理(例えばめっき処理)を行う処理ユニットであり、第2ユニット群を構成している。第3ユニット群と第4ユニット群は、それぞれ1つの処理ユニット(ユニットU3、ユニットU4)だけからなる。基板は、第1ユニット群、第2ユニット群、第3ユニット群、第4ユニット群の順に搬送されて処理される。第1ユニット群と第2ユニット群では、それぞれに含まれる2つのユニットのうちのいずれか一方(例えば空いている方のユニット)を使用して基板の処理が行われる。
【0055】
図8において、ユニットU3に着目して取り出し自由度の具体例を説明する。ユニットU2AからユニットU3へ、基板W1が搬送され、ユニットU3に収納される(符号S21)。基板W1はユニットU3で処理される(符号S22)。ユニットU3で基板W1の処理が終了した時点では、後段のユニットU4から1つ前の基板W0の取り出し(符号S23)が完了していないため、基板W1はユニットU3内に待機される(空白部分)。この待機時間、すなわち空白部分の時間的長さをΔT
W1とする。後段のユニットU4から基板W0の取り出しが完了すると、ユニットU3からの基板W1の取り出しが可能となり、基板W1はユニットU3から取り出されてユニットU4へ搬送され、ユニットU4に収納される(符号S24)。基板W1はユニットU4において処理され(符号S25)、その後ユニットU4から取り出される(符号S26)。
【0056】
一方、ユニットU2Bでは、2枚目の基板W2の処理が終わっているが、この基板W2は、ユニットU3から基板W1の取り出し(前出の符号S24)が完了するまで、ユニットU2B内に待機される(空白部分)。ユニットU3から基板W1の取り出しが完了すると、基板W2はユニットU2Bから取り出されてユニットU3へ搬送され、ユニットU3に収納される(符号S27)。基板W2はユニットU3で処理される(符号S28)。
【0057】
前述の基板W1のときと同様に、ユニットU3で基板W2の処理が終了した時点では、後段のユニットU4で1つ前の基板W1が処理中(符号S25)でありその取り出しが完了していないため、基板W2は、ユニットU3内に待機される(空白部分)。この待機時間は、基板W1の場合の待機時間ΔTW1とは異なる時間的長さΔTW2を有し得る。後段のユニットU4から基板W1の取り出しが完了すると、基板W2はユニットU3から取り出されてユニットU4へ搬送され、ユニットU4に収納される(符号S29)。基板W2はユニットU4において処理される(符号S30)。
【0058】
以降、同様にして、基板W3、W4、W5、…が順次処理されていく。各基板がユニットU3内に待機される時間ΔTWi(i=1、2、3、…)は、ユニットU3における基板処理とユニットU4における基板処理の時間的な相対関係に応じて、基板ごとに異なり
得る。この、基板ごとの待機時間ΔTWiの変動幅は、処理ユニット(ここではユニットU3)から基板を取り出すタイミングの調整幅、すなわち「取り出し自由度」を表す。したがって、ある処理ユニット(例えばユニットU3)の取り出し自由度は、その処理ユニットにおける待機時間ΔTWiの最大値と最小値の差に基づく値として定義することができる。例えば、取り出し自由度は、各処理ユニットに対して、次式
取り出し自由度=(待機時間ΔTWiの最大値-待機時間ΔTWiの最小値)/(最大待機時間)
のように定義されてよい。ここで、「最大待機時間」は、例えば、全処理ユニット中の待機時間ΔTWiの最大値であってよい。
【0059】
このようにして、取り出し自由度算出部218において、めっき装置100の各処理ユニットの取り出し自由度が算出される。取り出し自由度は、その値が小さいほど当該処理ユニット(例えばユニットU3)から基板を取り出すタイミングの調整度合いが低いことを表し、そのような場合には、後段の処理ユニット(例えばユニットU4)において高い稼働率を実現することが困難となる。したがって、各処理ユニットの取り出し自由度の値を見ることで、どの処理ユニットがめっき装置100のスループット向上の妨げとなっているかを識別することができる。
【0060】
図2、3において、画面出力部220は、以上のように算出された各処理ユニットおよび搬送装置の稼働率と各処理ユニットの取り出し自由度に基づいて、GUI(グラフィカルユーザインターフェイス)画面を生成し、ディスプレイ210に出力する。例えば、GUI画面は、めっき装置100の模式的な(例えば
図1のような)画像上に、めっき装置100の各要素の算出された稼働率または取り出し自由度を視覚的に表す画像(例えばヒートマップや明度マップ等)を重ね合わせることによって作成することができる。めっき装置100のユーザは、ディスプレイ210に表示されたGUI画面を通じて、各要素について稼働率または取り出し自由度の高低を確認することができ、必要に応じて、めっき処理のレシピやプロセス条件を見直すなどの対応をとることができる。
【0061】
以上、いくつかの例に基づいて本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明には、その均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0062】
24 ロボット
25 カセットテーブル
25a カセット
26 ハンドリングステージ
27 基板搬送装置
29 フィキシングステーション
30 ストッカ
32 プリウェット槽
33 プリソーク槽
34 プリリンス槽
35 ブロー槽
36 リンス槽
37 トランスポータ
38 オーバーフロー槽
39 めっき槽
50 洗浄装置
50a 洗浄モジュール
100 めっき装置
110 ロード/アンロードモジュール
120 処理モジュール
120A 前処理・後処理モジュール
120B めっき処理モジュール
200 データ処理装置
202 プロセッサ
204 メモリ
205 コンピュータプログラム
206 データベース
208 入力インターフェイス
210 ディスプレイ
212 タイムテーブル生成部
214 タイムチャート生成部
216 稼働率算出部
218 取り出し自由度算出部
220 画面出力部