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▶ 日亜化学工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095130
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02253 20210101AFI20230629BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20230629BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230629BHJP
   F21S 41/16 20180101ALI20230629BHJP
   F21S 41/29 20180101ALI20230629BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20230629BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20230629BHJP
【FI】
H01S5/02253
G02B7/00 F
G02B7/00 J
F21S2/00 311
F21S41/16
F21S41/29
F21V17/00 200
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021210835
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】三浦 創一郎
【テーマコード(参考)】
2H043
3K011
5F173
【Fターム(参考)】
2H043AE02
2H043AE24
3K011AA03
3K011BA02
3K011BA07
3K011CA02
3K011CA10
5F173MA10
5F173MB03
5F173MC06
5F173MD14
5F173MD33
5F173MD35
5F173MD64
5F173MD83
5F173MD84
5F173ME33
5F173ME64
5F173ME85
5F173MF03
5F173MF28
5F173MF39
(57)【要約】
【課題】光源装置における半導体レーザ素子の駆動による熱に起因する光学部材に対する半導体レーザ素子の光軸のずれをより有効に防止することができる光源装置を提供することを目的とする。
【解決手段】基板と、前記基板上に配置された少なくとも1つの半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子の光出射側に配置された少なくとも1つのレンズと、を備え、前記基板は、前記半導体レーザ素子を載置するための平板部と、前記半導体レーザ素子の両側かつ光出射側に配置された少なくとも2つの突起部とを有し、前記レンズは、第1接合材によって前記突起部に少なくとも2か所で固定されている光源装置。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に配置された少なくとも1つの半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子の光出射側に配置された少なくとも1つのレンズと、を備え、
前記基板は、前記半導体レーザ素子を載置するための平板部と、前記半導体レーザ素子の両側かつ光出射側に配置された少なくとも2つの突起部とを有し、
前記レンズは、第1接合材によって前記2つの突起部に少なくとも2か所で固定されている光源装置。
【請求項2】
前記レンズは前記第1接合材を介し前記2つの突起部にのみ接触して固定されている請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記基板がセラミックによって形成されている請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記突起部は、前記平板部と一体的に形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記突起部の上面は、前記平板部の上面とつながっており、前記突起部の上面と前記平板部の上面の高さが略同一である請求項1から4のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記半導体レーザ素子は、サブマウントを介して前記平板部に配置されている請求項1から5のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記半導体レーザ素子又は前記サブマウントは、それぞれ前記第1接合材よりも線膨張係数の小さい第2接合材によって固定されている請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記第1接合材は、紫外線硬化型又は熱硬化型の接合材である請求項1から7のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記半導体レーザ素子は複数設けられており、
前記レンズは、前記複数の半導体レーザ素子と同数設けられ、対応する前記複数の半導体レーザ素子の光出射側にそれぞれ配置されており、
前記突起部は、前記複数のレンズそれぞれを挟む位置に複数設けられ、
前記複数の突起部のうち少なくとも1つは、前記レンズのうち2つが前記第1接合材を介し接触している請求項1から8のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記複数の半導体レーザ素子は3以上設けられており、
前記複数の半導体レーザ素子は、少なくとも1つが赤色の光を出射し、少なくとも1つが緑色の光を出射し、少なくとも1つが青色の光を出射する請求項9に記載の光源装置。
【請求項11】
前記複数の半導体レーザ素子は4以上設けられており、
前記複数の半導体レーザ素子は、少なくとも1つが赤色の光を出射し、少なくとも1つが緑色の光を出射し、少なくとも1つが青色の光を出射し、少なくとも1つが赤外光を出射する請求項10に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体レーザ素子をパッケージに収容し、半導体レーザ素子と、光学部材とを位置調整した上で、接着剤により固定した光源装置が提案されている(特許文献1等)。このような光源装置では、半導体レーザ素子の光軸の光学部材に対する位置ずれを防止するために、基板の材料又は形状等の選択、光学部材の固定方法等において種々の工夫を施すことにより対策を講じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-186234
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、光源装置における半導体レーザ素子の駆動による熱に起因する光学部材に対する半導体レーザ素子の光軸のずれを抑制することができる光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の光源装置は、基板と、
前記基板上に配置された少なくとも1つの半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子の光出射側に配置された少なくとも1つのレンズと、を備え、
前記基板は、前記半導体レーザ素子を載置するための平板部と、前記半導体レーザ素子の両側かつ光出射側に配置された少なくとも2つの突起部とを有し、
前記レンズは、第1接合材によって前記突起部に少なくとも2か所で固定されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光源装置における半導体レーザ素子の駆動による熱に起因する光学部材に対する半導体レーザ素子の光軸のずれを抑制することができる光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】実施形態1の光源装置の斜視図である。
図1B図1Aの光源装置の平面図である。
図1C図1Aの右側面図である。
図1D図1Aの正面図である。
図1E図1Aに示す光源装置における変形例の斜視図である。
図1F図1Bの一部の拡大図である。
図2A】実施形態2の光源装置の斜視図である。
図2B図2Aの光源装置の平面図である。
図2C図2Aの右側面図である。
図2D図2Aの正面図である。
図3A】実施形態3の光源装置の斜視図である。
図3B図3Aの光源装置の平面図である。
図3C図3Aの右側面図である。
図3D図3Aの正面図である。
図4A】実施形態4の光源装置の斜視図である。
図4B図4Aの光源装置の平面図である。
図4C図4Aの右側面図である。
図4D図4Aの正面図である。
図5A】実施形態5の光源装置の斜視図である。
図5B図5Aの光源装置の平面図である。
図5C図5Aの右側面図である。
図5D図5Aの正面図である。
図6A】実施形態6の光源装置の斜視図である。
図6B図6Aの光源装置の平面図である。
図6C図6Aの右側面図である。
図6D図6Aの正面図である。
図7A】実施形態7の光源装置の斜視図である。
図7B図7AのVIIB-VIIB線断面図である。
図7C図7Bに示す光源装置における変形例である。
図8A】本願の光源装置のレンズの斜視図である。
図8B図8Aに示すレンズにおける変形例を示す側面図である。
図8C図8Aに示すレンズにおける別の変形例を示す斜視図である。
図8D図8Aに示すレンズにおけるさらに別の変形例を示す斜視図である。
図8E図8Aに示すレンズにおけるさらに別の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書及び特許請求の範囲において、三角形、四角形などの多角形は、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含める。隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に、多角形と呼ぶ。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本明細書及び特許請求の範囲で記載される「多角形」の解釈に含まれる。台形、円形、凹凸など、特定の形状を表す用語、その形状を形成する各辺を表す表現も同様である。つまり、ある辺において、隅、中間部分に加工が施されていたとしても、「辺」の解釈には加工された部分も含まれる。部分的な加工のない「多角形」、「辺」を、加工された形状と区別する場合は「厳密な」を付して、例えば「厳密な四角形」などと記載することがある。
また、ある構成要素に関し、それに該当するものが複数あり、それぞれを区別して表現する場合に、その構成要素に「第1」、「第2」と付記して区別することがある。本明細書と特許請求の範囲とで区別する対象や観点が異なる場合、本明細書と特許請求の範囲との間で、同一の付記が、同一の対象を指さない場合がある。例えば、本明細書において「第1」、「第2」、「第3」と付記されて区別される対象があり、本明細書の「第1」及び「第3」のみを対象として特許請求の範囲を記載する場合に、特許請求の範囲において「第1」、「第2」と付記された対象が、本明細書において「第1」、「第3」と付記された対象を指すことがある。
さらに、本明細書では、光源装置において半導体レーザ素子の光が出射する側の面を正面と称する。
以下に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。ただし、示される形態は、本発明を限定するものではない。また、以下の説明において、同一の名称、符号については同一又は同質の部材を示しており、重複した説明は適宜省略することがある。各図面が示す部材の大きさ及び位置関係等は誇張していることがある。
図面には、参考のため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が示されている。使用時における光源装置の向きは任意であるが、以下においては、説明の便宜のために、基板の平板部の表面をX-Y平面とする。
【0009】
<実施形態1>
実施形態1の光源装置10は、例示的な一形態を説明するための図1A~1Dに示すように、基板11と、基板11上に配置された少なくとも1つの半導体レーザ素子12と、半導体レーザ素子12の光出射側に配置された少なくとも1つのレンズ13とを備える。基板11は、平板部11aと、少なくとも2つの突起部11bとを有する。レンズ13は、第1接合材14によって突起部11bに少なくとも2か所で固定されている。
このような構成を備えることにより、半導体レーザ素子12から出射される光の光軸に対して位置調整されて固定されたレンズ13は、第1接合材が半導体レーザ素子12の駆動に起因する熱によって膨張又は収縮しても、位置ずれを抑制して配置することが可能となる。
【0010】
(基板11)
基板11は、半導体レーザ素子12を配置するための平板部11aと、半導体レーザ素子12の両側かつ光出射側に配置された少なくとも2つの突起部11bとを有する。基板11は、平板部11aと2つの突起部11bを有する限り、平板部11aを囲う側壁、凹部等をさらに有していてもよい。これら平板部11a、突起部11b、側壁、凹部等が配置される側の面を基板11の第1主面とすることができる。基板11は、第1主面と反対側の第2主面を有し、第2主面は平坦であることが好ましい。
突起部11bは、図1Aに示すように、基板11の平板部11a、つまりX-Y平面から、Z軸方向に延長する凸部とすることができる。ただし、X-Y平面に垂直に延長するのみならず、傾斜して延長するものであってもよい。
また、平板部11aの表面と、2つの突起部11bの上面11bb(又はZ軸方向に最も高い部位)とは、いずれか一方が他方よりも高いような高低差を有するものに限らず、面一又は略面一であってもよい。
例えば、図3Aに示すように、平板部31aの表面が、2つの突起部31bの上面31bbと繋がっており、平板部31aの上面と突起部31bの上面31bbとの高さ(例えば、基板31の第2主面からの高さ)が同一又は略同一であってもよい。ここで、略面一及び略同一とは、高低差が基板の全厚みの±5%程度を許容することを意味する。言い換えると、突起部31bは、図3Aに示すように、凹部31dを構成するように壁部を有していてもよい。
また、図4Aに示すように、基板41は、凹部41dを構成する壁部による突起部41b1と、その上に配置された突起部41b2を有していてもよい。
複数の半導体レーザ素子12を配置する場合には、図5A及び6Aに示すように、基板51、61は、突起部51b、61bが複数の半導体レーザ素子12に対応して、複数配置されていてもよい。この場合、すべての半導体レーザ素子12に対して2つの突起部51b、61bを配置せずに、隣接する半導体レーザ素子12と突起部51b、61bを共有するようにしてもよい。
【0011】
平板部11aは、厳密に平坦である部位であってもよいが、半導体レーザ素子12を載置するために支障のない程度に、その表面に凹凸を有していてもよい。平板部11aは、凹凸の有無にかかわらず、平板部11aの反対側の面、つまり、基板11の第2主面に対して、傾斜していないことが好ましい。言い換えると、平板部11aは、第2主面と平行又は略平行であることが好ましい。ここでの略平行とは、±5°程度の傾斜は許容される。
平板部11aの大きさは特に限定されるものではなく、平面視における平板部11aの平面積が、半導体レーザ素子12の平面積よりも大きな面積を有していればよい。後述するように、半導体レーザ素子12が基板11上に複数配置される場合には、平板部11aは、複数の半導体レーザ素子12の平面積に加え、半導体レーザ素子12が互いに接触せず、半導体レーザ素子12に接続される各配線等が機能し得る程度に離れて配置できる面積を有することが好ましい。また、後述するように、半導体レーザ素子12が基板11上にサブマウント15を介して配置される場合には、平板部11aは、サブマウント15の平面積よりも大きい面積を有することが好ましい。
【0012】
2つの突起部11bは、レンズ13を保持するための部位であって、半導体レーザ素子12の両側かつ光出射側にそれぞれ配置されている。ここでの両側かつ光出射側とは、半導体レーザ素子12を平板部に配置した場合に、半導体レーザ素子12から出射された光の両側、言い換えると、光を間に挟む位置を意味する。
2つの突起部11bは、突起部11bが延びる方向(つまり、Z軸方向)から見た場合、それらを最短距離で結ぶ直線K(図1Dの矢印K)が、半導体レーザ素子12の光軸と直交するように配置することができる。2つの突起部11bは、直線Kが、半導体レーザ素子12から出射された光に直交するように配置されることが好ましい。このような2つの突起部11bの配置により、レンズ13を、半導体レーザ素子12の光軸に対して、適所に配置することが可能となる。ここでの最短距離として、例えば、0.2mm以上5.5mm以下が挙げられ、0.3mm以上1.5mm以下が好ましい。
突起部11bの形状は、円柱、直方体、立方体及び五角柱等の多角柱、ドーム状、円錐台及び多角錐台等の錐台、これらの一部を欠いた形状又はこれらを組み合わせた形状等のいずれでもよい。なかでも、突起部11bは、四角柱であることが好ましい。このような形状によって、安定的に適所にレンズ13を固定することができる。特に、2つの突起部11bは、半導体レーザ素子12から出射された光を挟んで、互いに平行な側面11eeを有する四角柱であることが好ましい。ただし、ここでの平行とは±5°の傾きは許容される。側面11eeは、例えば、平板部11aに対して垂直な平面であることが好ましい。この場合、突起部11bの側面11eeに隣接する2つの側面のうち、半導体レーザ素子12側の側面を側面11aa、半導体レーザ素子12と反対側の側面を側面11ccと称する。
【0013】
突起部11bの高さ(図1D中、H)は、固定するレンズ13の形状、大きさ等によって適宜調整することができる。例えば、突起部11bは、半導体レーザ素子12の光軸がレンズ13の光軸を通るように調整することができるように、固定するレンズ13の中心から外縁までの距離よりも大きな高さであることが好ましい。言い換えると、レンズ13を突起部11bに固定した場合に、レンズ13の最下端が、基板11に接触しないように固定し得る高さであることが好ましい。具体的には、平板部11a又は基板11の表面からの突起部11bの高さHが、0.5mm以上5.0mm以下が挙げられ、1.0mm以上3.0mm以下が好ましい。
突起部11bの平面視におけるX方向又はY方向の長さは、レンズ13を固定し得る第1接合材との接触面積が確保できる程度以上であればよい。具体的には、0.2mm以上3.0mm以下が挙げられ、0.5mm以上1.5mm以下が好ましい。
2つの突起部11bは、異なる形状及び大きさであってもよいが、同じ形状及び同じ大きさであることが好ましい。
【0014】
基板11は、セラミックを主材料として又はセラミックによって形成することができる。セラミックとしては、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素等が挙げられる。セラミックは線膨張係数が小さいため、基板11がセラミックで形成されていることにより、熱による膨張及び/又は収縮の影響を低減させることができる。その結果、後述するように固定したレンズ13のずれを抑制することができる。基板11は、その一部に金属、無機物又はそれらの複合物を有していてもよい。金属、無機物又はそれらの複合物としては、金、銀、タングステン、ニッケル、銅、アルミニウム、鉄、ダイヤモンド、銅モリブデン、銅-ダイヤモンド複合材料、銅タングステン等が挙げられる。突起部11bは、基板11の平板部11aと同じ材料によって形成されていてもよいし、異なる材料によって形成されていてもよい。突起部11bは、基板11の平板部11aと一体的に形成されていてもよいし、別個に形成したものを接合してもよい。
基板11は、電気的に接続する配線等として、その表面又は内部に、金属部11g、11h等が設けられていてもよい。金属部の材料としては、例えば、金、アルミニウム、銀、銅、タングステン、チタン、プラチナ、ニッケル、鉄、錫等又はそれらの合金等を用いることができる。Z軸方向から見た金属部11hと突起部11bとの最短距離は、0.1mm以上5.0mm以下が挙げられ、0.3mm以上3.0mm以下が好ましい。
基板11は、その外形が、平面視で、三角形、四角形等の多角形、円形、楕円形等のいずれであってもよく、矩形であることが好ましい。基板11の平面視におけるX方向又はY方向の長さは、例えば、1.0mm以上10.0mm以下が挙げられ、2.0mm以上6.0mm以下が好ましい。基板11の厚みは、その上に配置する半導体レーザ素子12及びレンズ13等を支持し得る強度を確保できるように適宜設定することができる。
基板11は、凹部内に半導体レーザ素子12を収容する筐体状のパッケージの一部としてもよい。
【0015】
(半導体レーザ素子12)
半導体レーザ素子12は、端面発光型又は面発光型半導体レーザ素子のいずれでもよい。なかでも、端面発光型を用いることが好ましい。端面発光型の半導体レーザ素子は、光の出射端面と平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」ということがある)を形成するが、FFPの楕円形状の中心を通る光、つまりFFPの光強度分布においてピーク強度の光を、半導体レーザ素子の光軸と称する。また、面発光型の半導体レーザ素子は、光出射面から出射される光の光強度分布におけるピーク強度の光を、半導体レーザ素子の光軸と称する。
半導体レーザ素子12は、青色の光を出射する半導体レーザ素子、緑色の光を出射する半導体レーザ素子、赤色の光を出射する半導体レーザ素子、赤外の光を出射する半導体レーザ素子等のいずれであってもよいし、これら以外の光を出射する半導体レーザ素子であってもよい。青色の光は、その発光ピーク波長が420nm~494nm、緑色の光は、その発光ピーク波長が495nm~570nm、赤色の光は、その発光ピーク波長が605nm~750nm、赤外の光は、その発光ピーク波長が780nm~2500nmでの範囲内にある光を指す。
青色又は緑色の光を発する半導体レーザ素子は、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、GaN、InGaN及びAlGaN等が挙げられる。赤色の光を発する半導体レーザ素子としては、InAlGaP系、GaInP系、GaAs系、AlGaAs系等の半導体を含むものが挙げられる。赤外の光を発する半導体レーザ素子は、GaInAsP、AlGaInAs、InGaAs等のGaAs系又はInP系、InAlGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)で表される窒化ガリウム系等の半導体が挙げられる。半導体レーザ素子12は、シングルエミッター及びマルチエミッターのいずれであってもよい。
【0016】
半導体レーザ素子12は、基板11の平板部11aに配置されている。半導体レーザ素子12は、サブマウント15を介して基板11の平板部11aに配置されていることが好ましい。半導体レーザ素子12は、基板11及び/又はサブマウント15上に、第2接合材を介して固定されていることが好ましい。
サブマウント15は、2つの接合面を有し、一方の接合面の反対側に他方の接合面が設けられている。サブマウント15は、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素等のセラミック、金、銀、銅、タングステン、ニッケル等の金属、ダイヤモンド等を用いて形成することができる。半導体レーザ素子12は、サブマウント15の一方の接合面に固定されていることが好ましい。
第2接合材は、後述する第1接合材よりも線膨張係数の小さいものが好ましく、具体的には室温における線膨張係数が3~30ppm/℃であることが好ましい。線膨張係数が小さい第2接合材を使うことで、温度の変化に伴う、後述のレンズ13に対する半導体レーザ素子12の位置ずれを抑制することができる。第2接合材としては、例えば、錫-ビスマス系、錫-銅系、錫-銀系、金-錫系等の半田、AuとSnとを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金等の共晶合金、銀、金、パラジウムなどの導電性ペースト、バンプ、ACP、ACF等の異方性導電材、低融点金属のろう材、これらを組み合わせた導電性接着剤、導電性複合接着剤等が挙げられる。
【0017】
(レンズ13)
レンズ13は、第1接合材14によって2つの突起部11bに、少なくとも2か所で固定される。なかでも、レンズ13は、第1接合材14を介して、2つの突起部11bにのみ接触して固定されていることが好ましい。
レンズ13は、半導体レーザ素子12から出射される光を発散、収束、又はコリメートさせるために用いられる。
レンズ13は、凹面、凸面、凹凸面、非球面等のいずれのレンズ面13aを有するものであってもよい。レンズ13は、互いに対向する面にそれぞれレンズ面13aを有するものであってもよいし、図8B~8Eに示すように、部分的にレンズ機能を果たさない非レンズ面を有していてもよい。レンズ13は、1つのレンズ面13aを備えるものであってもよいし、光源装置10に搭載される半導体レーザ素子12の数によって、複数のレンズ面13aを備えるものであってもよい。複数のレンズ面13aを備える場合、レンズ13は、図8Dに示すように、複数のレンズ面13aが連なったレンズ13が配置されてもよいし、図8Eに示すように、複数のレンズ面13aがそれぞれ独立したレンズ13が配置されてもよい。
レンズ13は、図8Aから8Eに示すように、レンズ面13a、レンズ面13aと反対側の面13c、レンズ面13a及び/又は反対側の面13cに接する側面13d、任意に、レンズ面13a及び側面13dにのみ接する面13b等を有するものが挙げられる。側面13dは、例えば、光が通過する方向に平行又は略平行な面であることが好ましい。ここでの略平行とは、±5°が許容される。なかでも、レンズ13は、レンズ面13aに加えて、光が通過する方向に平行又は略平行な側面13dを有するものが好ましい。側面13dを平行とすることで、レンズ13を固定するために必要な、後述する第1接合材14の量を減らすことができ、第1接合材14の温度による体積変化に起因するレンズ13のずれを抑制することができる。レンズ面13a及び側面13dにのみ接する面13b、反対側の面13c、及び側面13dは、曲面であってもよいが、平面を含むことが好ましく、平面であることがより好ましい。
レンズ13の外形は、レンズ面13a側から見た場合、円形、四角形、五角形等の多角形、これらの一部を欠いた又はこれらの一部が組み合わせられた形状のいずれであってもよい。なかでも、レンズ13は、外形が四角形であることが好ましい。
レンズ13の大きさ、厚み等は、得ようとする光源装置の特性に応じて適宜設定することができる。例えば、レンズ13の直径又は一辺の長さは、0.1mm以上5.0mm以下が挙げられ、0.5mm以上1.5mm以下が好ましい。
レンズ13は、平面視においてレンズ13が半導体レーザ素子12と重ならない位置に配置されている場合、半導体レーザ素子12の発光端面との距離(図1C中、Ly)が、0.05mm以上5.0mm以下となる位置に配置することができ、0.5mm以上3.0mm以下となる位置に配置することが好ましい。また、レンズ13は、突起部11bの側面11eeとの距離が0.05mm以上1.0mm以下となる位置に配置することができ、0.1mm以上0.4mm以下の位置に配置することが好ましい。レンズ13は、平面視においてレンズ13が半導体レーザ素子12と重ならない位置に配置されている場合、基板11との距離(図1D中、Lz)が、0.05mm以上2.0mm以下となる位置に配置することができ、0.1mm以上0.5mm以下の位置に配置することが好ましい。
レンズ13は、基板11、突起部11bの側面11ee、半導体レーザ素子12との位置関係をこのように設定することにより、光源装置として、小型化を図ることができる。その結果、部材公差が小さくなり、レンズ13の側面13d及び突起部11bの側面11eeが厳密な平面に近づくため、後述する接合材の量を低減することができ、熱による接合材の膨張又は収縮の影響をさらに抑えることができ、レンズ13の位置ずれを抑制することができる。また、レンズ13と発光端面との距離が小さくなると、半導体レーザ素子12から出射された光のビームを細くすることができるため、対応するレンズ13の一辺を小さくすることができ、さらに後段の光学系を小さくでき、光源装置としてより小型化を実現することが可能となる。
レンズ13は、透光性であり、レンズ面13aのみならず、非レンズ面も透光性を有することが好ましい。レンズ13は、例えば、BK7等のガラス、プラスチック(ポリカーボネート、アクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー等)、ガラス・プラスチックの混合物又は結合物等を用いて形成することができる。
なお、レンズ13のレンズ面13aが正面側に配置されるように突起部11bによって固定される場合、レンズ13の側面13dのうち、突起部11bの側面11eeに平行な側面13dを側面13ff、基板11に対向する側面13dを側面13ddと称する。
【0018】
(第1接合材14)
第1接合材14は、レンズ13を固定するために用いる。第1接合材14としては、接着剤として一般的に用いられているもののいずれを用いてもよい。なかでも、透光性の材料によって形成されているものが好ましい。また、第1接合材14は、線膨張係数が比較的小さいものが好ましく、具体的には室温における線膨張係数が30~200ppm/℃であることが好ましい。第1接合材14は、例えば、有機材料を用いたものが挙げられ、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を含むものが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、酢酸ビニル系、ポリビニルアセタール系、酢酸ビニル共重合体系、エチレン酢酸ビニル系、塩化ビニル系、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、セルロース系、オレフィン系、スチレン系等、熱硬化性樹脂としては、ユリア系、メラニン系、フェノール系、レゾルシノール系、エポキシ系、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、シリコーン系、ポリアミド系、ポリベンズイミダゾール系、ポリイミド系、イソシアネート系等、種々のものが挙げられる。また、紫外線硬化型、可視光硬化型、電子線硬化型の樹脂を用いてもよい。特に、紫外線硬化型の接合材を用いた場合は、半導体レーザ素子12の光軸とレンズ13の光軸とが一致する位置を探しながら、任意の位置でレンズ13を固定するアクティブアライメントが容易となるため、より好ましい。紫外線硬化型の接合材としては、アクリル系、エポキシ系の接合材が好ましい。
また、熱硬化型の接合材、具体的には、エポキシ系の接合材が好ましい。このような接合材を用いることにより、半導体レーザ素子12の駆動に起因する熱によって膨張又は収縮することを抑制して、半導体レーザ素子12の光軸に対して位置調整したレンズ13の位置ずれの発生を抑制することができる。
【0019】
第1接合材14は、レンズ13の形状にかかわらず、レンズ側面13ffと、レンズ13の光軸(図1D、1F中、A)を挟み、前記レンズ側面13ffと最も離れた位置にある他のレンズ側面13ffと、の2か所と、2つの突起部とをそれぞれ固定することが好ましい。つまり、図1Dに示すように、レンズ13を2つの突起部11bに固定する場合、レンズ13は、レンズ13の光軸Aを通り、基板11の平板部11aの第1主面に垂直な線(例えば、線J)を挟む位置に存在している2つのレンズ側面13ffを第1接合材14によって、それぞれ固定することが好ましい。レンズ13は、線Jに対して線対称な2つの領域を、第1接合材14で、2つの突起部11bにそれぞれ固定することがより好ましい。
図1Dでは、レンズ13は、レンズ13の光軸Aを通り、基板11の平板部11aの第1主面に平行で、半導体レーザ素子12の光軸に垂直な線JJと、レンズ13の外周との2つの交点Mのうち一方を含む領域R、及び他方を含むもう一方の領域R、の2か所を、第1接合材14で、2つの突起部11bにそれぞれ固定している。このような第1接合材14での固定により、熱による第1接合材14の膨張又は収縮による力を、水平方向、つまり左右で効率的に相殺させることができ、レンズ13に対するレーザ光の光軸のずれをより有効に抑制することができる。
領域Rは、交点Mを含むように、任意の大きさ及び形状の領域に設定することができる。例えば、突起部11bの高さ方向における領域Rの長さは、レンズ13の1辺の長さの20%~100%の長さが挙げられ、40%~90%の長さが好ましい。また、半導体レーザ素子12の光軸方向における領域Rの長さは、レンズ13の厚み方向の長さに等しい長さ又はそれより短い長さとすることができる(例えば、図1F参照)。2つの領域Rは、それぞれ、同じ大きさであることが好ましい。
【0020】
別の観点から、レンズ13を2つの突起部11bに固定する場合、レンズ13が、レンズ面13a以外の面として、側面13dであってかつ基板11の平板部11aに対向する側面13ddを有する場合、第1接合材14は、側面13dd以外の面に配置することが好ましい。
例えば、側面13dであってかつ突起部11bの側面11eeに平行な側面13ffを有する場合、第1接合材14は、側面13ffに配置することが好ましい。ただし、この場合、第1接合材14の一部は、側面13dd等に配置されていてもよいが、第1接合材14は、突起部11b及びレンズ13以外の部材には接触しないことが好ましい。
【0021】
第1接合材14は、その一部が、突起部11bの上面11bb、半導体レーザ素子12側の側面11aa及び/又は半導体レーザ素子12側の側面11aaと反対側の側面11ccに配置されてもよい。なかでも、第1接合材14は、図1Dに示すように、側面11eeにのみ配置されることがより好ましい。
【0022】
また、図1Dに示すように、第1接合材14は、突起部11bの側面11eeと、レンズ13の側面13ffとを接合することが好ましい。
このような2つの突起部11bへの第1接合材14でのレンズ13の接合により、接合材が熱膨張又は収縮しても、2つの突起部11bとレンズ13とが接合された2か所において、互いに相殺する力が働き、レンズ13に対する半導体レーザ素子12の光軸のずれを抑制することができる。なお、第1接合材14として、紫外線硬化型の接合材を用いる場合において、レンズ13の下方ではなく、側方に接合材が配置される場合、第1接合材14を硬化するために照射される紫外線がレンズ13に遮られることを抑制でき、また、レンズ13の上方から紫外線を照射しやすくなり、アクティブアライメントを容易に行うことができる。さらに、FFPの広がりが小さいX方向、つまり側方に接合材を配置することにより、接合材の量が多い場合に、接合材が光路上に広がることを抑制することができる。
【0023】
図1A~1Dに示す光源装置10は、図1Eに示すように、さらに、半導体レーザ素子12を気密封止するための蓋体16を有していてもよい。蓋体16は、半導体レーザ素子12を気密封止できる限り、サブマウント15、金属部11g、11h等をともに封止してもよいし、さらにレンズ13、突起部11b等をともに封止してもよい。このような気密封止によって、大気又は接合剤からの集塵を抑制することができる。
蓋体16は、基板11と同じ材料から形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。また、その全部が同じ材料で形成されていてもよいし、一部が石英ガラス、サファイア等の透光性の材料で形成されていてもよいし、接合材又は配線層を構成し得る金属部等を内外に有していてもよい。ここで、透光性とは、半導体レーザ素子12から出射された光に対する透過率が60%以上であるものが挙げられ、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であるものが挙げられる。
蓋体16の形状は、平面視、円形、楕円形、四角形又は五角形等の多角形、これらを組み合わせた形状のいずれでもよいが、四角形であることが好ましい。蓋体16は、凹部を有する形状であってもよいし、平板状であってもよい。
蓋体16は、第2接合材と同様の材料を使用して基板11に接合することが好ましい。
【0024】
<実施形態2>
実施形態2の光源装置20は、例示的な一形態を説明するための図2A~2Dに示すように、基板11と、基板11上に配置された少なくとも1つの半導体レーザ素子12と、半導体レーザ素子12の光出射側に配置された少なくとも1つのレンズ13とを備える。基板11は、平板部11aと、少なくとも2つの突起部11bとを有する。レンズ13は、第1接合材14によって2つの突起部11bに少なくとも2か所で固定されている。
光源装置20と光源装置10との違いは、第1接合材14が配置されている位置及び突起部11bに対するレンズ13の位置であり、これ以外は、実質的に光源装置10と同様の構成を有する。
【0025】
第1接合材14は、図2Bに示すように、レンズ面13aと反対側の面13cのうち、レンズ13の側面13ffの近傍部分と、レンズ13の光軸を挟み、前記レンズ13の側面13ffと最も離れた位置にある他のレンズ13の側面13ffの近傍部分の2か所と、2つの突起部11bとをそれぞれ固定する。
つまり、突起部11bが柱状の形状を有する場合、第1接合材14は、半導体レーザ素子12から出射された光を挟んで、互いに平行な側面11eeに隣接し、半導体レーザ素子12と反対側の側面11ccに配置されている。言い換えると、レンズ13のX方向の幅が、突起部11b間の幅Kよりも小さい。
また、第1接合材14は、レンズ面13aと反対側の面13cに配置されている。つまり、第1接合材14が、正面視において、レンズ13と突起部11bとが重なる領域に配置されている。この場合、第1接合材14は、その一部が、レンズ13において、突起部11bの側面11eeに平行な側面13ff(つまり、基板11の平板部11aに直交する面)にも配置されていてもよい。
第1接合材14は、レンズ13の面のうち、レンズ面13aと反対側の面13c及び側面13ffのみに配置されていることが好ましい。第1接合材14は、2つの突起部11bにおいて、それぞれ同量で配置されることが好ましい。
このような構成を備えることにより、光源装置10と同様に、半導体レーザ素子12から出射される光の光軸に対して位置調整されて固定されたレンズ13は、第1接合材が半導体レーザ素子12の駆動に起因する熱によって膨張又は収縮しても、位置ずれを抑制することが可能となる。また、実施形態1と比較して、レンズ13と突起部11bとを、X方向に小さくすることができる。
【0026】
<実施形態3>
実施形態3の光源装置30は、例示的な一形態を説明するための図3A~3Dに示すように、基板31と、基板31上に配置された少なくとも1つの半導体レーザ素子12と、半導体レーザ素子12の光出射側に配置された少なくとも1つのレンズ33とを備える。基板31は、平板部31aと、少なくとも2つの突起部31bとを有する。レンズ33は、第1接合材14によって突起部31bに少なくとも2か所で固定されている。
光源装置30と光源装置10との違いは、基板31の形状と、第1接合材14のレンズ33における位置であり、これ以外は、実質的に光源装置10と同様の構成を有する。
【0027】
基板31は、半導体レーザ素子12を載置するための平板部31aと、2つの突起部31bとを有している。平板部31aの上面と突起部31bの上面31bbとが繋がっており、平板部31aの上面と突起部31bの上面31bbとの高さが同一又は略同一である。ここでの上面とは、平板部31aの表面をX-Y平面とした場合のZ軸と交差する面であり、直交する面であることが好ましい。高さが同一とは、基板31の第2主面を構成するX-Y平面からのZ軸方向の距離を意味し、略同一とは、高さの±10%の高低差が許容されることを意味する。ただし、少なくとも2か所で突起部31bにレンズ33を固定できる限り、平板部31aの上面と突起部31bの上面とが高低差を有していてもよく、一方の上面が他方の上面よりも高くてもよい。
基板31は、突起部31bの間に凹部31dを有する。従って、凹部31dの深さが、突起部31bの高さH3に相当する。凹部31d内にレンズ33の一部が配置されることにより、レンズ33を、第1接合材14によって2つの突起部31bの少なくとも2か所に固定することができる。
凹部31dの大きさ及び深さは、レンズ33の一部又は全部を配置できる大きさ及び深さに設定することができ、用いるレンズ33の大きさ、意図する光源装置の大きさ等によって適宜設定することができる。例えば、凹部31dの大きさは、平面視において、レンズ33よりも大きくすることができる。また、凹部31dは、レンズ33のレンズ面33aの反対側の面33cよりも半導体レーザ素子12に近い位置から、レンズ33のレンズ面33aよりも半導体レーザ素子12に遠い位置まで設けてもよい。具体的には、凹部31dの深さ、つまり突起部31bの高さH3は、0.2mm以上2.0mm以下が挙げられる。この場合、レンズ33の一部は、凹部31d(つまり、突起部31bの上面31bb)から突き出た状態で配置されていてもよい。
【0028】
第1接合材14は、図3Dに示すように、レンズ33の光軸Aの両側をそれぞれ固定している。言い換えると、平面視、レンズ33は、レンズ33内においてレンズ33の光軸Aを通り、基板31の平板部31aの表面に垂直な線の両側で、第1接合材14によってそれぞれ固定されている。
特に、第1接合材14は、2つの突起部31bが対向する側面31eeと、レンズ33の側面33dであって、突起部31bの側面31eeに平行な側面33ffとを固定している。第1接合材14は、突起部31bの側面31ee及びレンズ33にのみ配置されることがより好ましい。
また、第1接合材14は、半導体レーザ素子12の光軸よりも低い位置で突起部31bの側面31eeおよびレンズ33を固定している。
このような構成を備えることにより、光源装置10と同様に、半導体レーザ素子12から出射される光の光軸に対して位置調整されて固定されたレンズ33は、第1接合材が半導体レーザ素子12の駆動に起因する熱によって膨張又は収縮しても、位置ずれを抑制することが可能となる。また、凹部がレンズ33を包む形状となっていることにより、レンズ33を保護しやすくなる。
【0029】
<実施形態4>
実施形態4の光源装置40は、例示的な一形態を説明するための図4A~4Dに示すように、基板41と、基板41上に配置された少なくとも1つの半導体レーザ素子12と、半導体レーザ素子12の光出射側に配置された少なくとも1つのレンズ33とを備える。基板41は、平板部41aと、少なくとも2つの突起部41b1、突起部41b1上に配置された少なくとも2つの突起部41b2とを有する。レンズ33は、第1接合材14によって突起部41b1、41b2に少なくとも2か所で固定されている。
光源装置40と光源装置30との違いは、基板41の形状と、第1接合材14のレンズ33における位置であり、これ以外は、実質的に光源装置30と同様の構成を有する。
基板41は、上述した基板31と同様に、平板部41aに隣接する領域に凹部41dを有しているが、凹部41dの両側において、突起部41b1に加えて、突起部41b2をさらに備える。凹部41dの大きさ及び深さ、突起部41b1、41b2の高さは、レンズ33の一部又は全部を配置できる大きさ、深さ及び高さに設定することができ、用いるレンズ33の大きさ、意図する光源装置の大きさ等によって適宜設定することができる。例えば、突起部41b1、41b2の合計高さH4は、0.5mm以上5.0mm以下が挙げられる。
突起部41b1、41b2の互いに対向する側面41ee1、41ee2は、同一平面を構成するように配置されていなくてもよいが、同一平面を構成することが好ましい。突起部41b2のY方向の幅は、例えば、レンズ33のY方向の幅の80%~120%とすることができ、100%以下であることが好ましい。
従って、対向する2つの突起部41b1及び/又は、対向する2つの突起部41b2間にレンズ33の一部が配置されることにより、レンズ33が、第1接合材14によって突起部41b1、41b2に少なくとも2か所で固定することができる。この場合、第1接合材14は、突起部41b1の互いに対向する側面41ee1にのみ配置されていてもよいし、突起部41b2の互いに対向する側面41ee2にのみ配置されていてもよいし、突起部41b1、41b2の互いに対向する側面41ee1、41ee2に繋がって配置されていてもよい。
このような構成を備えることにより、光源装置30と同様に、半導体レーザ素子12から出射される光の光軸に対して位置調整されて固定されたレンズ33は、第1接合材が半導体レーザ素子12の駆動に起因する熱によって膨張又は収縮しても、位置ずれを抑制することが可能となる。また、突起部41b2のY方向の幅がレンズ33のY方向の幅よりも小さい場合には、レンズ面33aに第1接合材の付着を防止することができる。さらに、突起部41b1と突起部41b2とを備えることで、よりレンズ33を強固に保持することができる。
【0030】
<実施形態5>
実施形態5の光源装置50は、例示的な一形態を説明するための図5A~5Dに示すように、基板51と、基板51上に配置された複数、例えば、3つの半導体レーザ素子12と、半導体レーザ素子12の光出射側に配置された複数、例えば、3つのレンズ13とを備える。隣り合う半導体レーザ素子12の間隔は、0.2mm~5.0mmが挙げられる。基板51は、平板部51aと、複数、例えば、4つの突起部51bとを有する。レンズ13は、第1接合材14によって隣接する2つの突起部51bに、少なくとも2か所で固定されている。隣接するレンズ13は、それらの間に配置された突起部51bを共有して固定されている。
上述した構成以外は、実質的に光源装置10と同様の構成を有する。
このような構成を備えることにより、光源装置10と同様に、半導体レーザ素子12から出射される光の光軸に対して位置調整されて固定されたレンズ13は、第1接合材が半導体レーザ素子12の駆動に起因する熱によって膨張又は収縮しても、位置ずれを抑制することが可能となる。また、隣接するレンズ13を、それらの間に配置された突起部51bを共有して固定することにより、光源装置内での省スペース化を図ることができ、光学装置の小型化を実現することができる。
【0031】
<実施形態6>
実施形態6の光源装置は、例示的な一形態を説明するための図6A~6Dに示すように、基板61と、基板61上に配置された複数、例えば、4つの半導体レーザ素子12と、半導体レーザ素子12の光出射側に配置された複数、例えば、4つのレンズ13とを備える。半導体レーザ素子12は、赤色の光を出射する半導体レーザ素子12a、緑色の光を出射する半導体レーザ素子12b、青色の光を出射する半導体レーザ素子12c及び赤外光を出射する半導体レーザ素子12dを含む。これらの並列の順序は任意に設定することができる。
上述した構成以外は、実質的に光源装置50と同様の構成を有する。
このような構成を備えることにより、光源装置10及び50と同様に、半導体レーザ素子12から出射される光の光軸に対して位置調整されて固定されたレンズ13は、第1接合材が半導体レーザ素子12の駆動に起因する熱によって膨張又は収縮しても、位置ずれを抑制することが可能となる。また、隣接するレンズ13を、それらの間に配置された突起部51bを共有して固定することにより、光源装置内での省スぺース化を図ることができ、装置全体の小型化を実現することができる。
【0032】
<実施形態7>
実施形態7の光源装置70は、例示的な一形態を説明するための図7A及び7Bに示すように、基板71と、基板71上に配置された少なくとも1つの半導体レーザ素子12と、半導体レーザ素子12から出射された光を反射する反射部材77と、反射部材77によって反射された光の進行方向に配置された少なくとも1つのレンズ73とを備える。基板71は、平板部71aと、突起部71bとを有する。レンズ73は、第1接合材14によって突起部71bに固定されている。
光源装置70と光源装置10との違いは、基板71の形状、レンズ73の形状、さらに反射部材77を有し、半導体レーザ素子12の光の進行方向が異なることである。
基板71は、半導体レーザ素子12を配置する平板部71aと、平板部71aを囲う側壁71kとを有する。つまり、基板71は、平板部71aと側壁71kとによって構成される凹部71Lを有し、側壁71kの上方を突起部71bとする。突起部71bは、半導体レーザ素子12から出射される光の進行方向(Y方向)に交差する側面を有する突起部71bxと、半導体レーザ素子12から出射される光の進行方向と略平行となる側面を有する突起部71byとを有する。また、側壁71kの内側には段差71kaが配置されている。
レンズ73は、反射部材77で反射したレーザ光がレンズ73の光軸を通るように調整されており、レンズ面73a、レンズ面73aと反対側の面73c、レンズ面73aと反対側の面73cに接触する側面73d、レンズ面73a及び側面73dにのみに接触する面73bを有する。
レンズ73は、第1接合材14x、14yによって2つの突起部71bx及び2つの突起部71byのそれぞれ4か所、合計8か所で固定されていてもよく、第1接合材14xのみによって2つの突起部71bxに4か所で固定されていてもよく、第1接合材14yのみによって2つの突起部71byに4か所で固定されていてもよい。
基板71の平板部71aには、半導体レーザ素子12の光出射側において、反射部材77が配置されている。反射部材77は、光を反射する光反射面77aを有する。つまり、半導体レーザ素子12から出射され、反射部材77に入射した光を上方向、つまりZ軸方向に反射する光反射面77aを有する。光反射面77aは、平板部71aに対して傾斜している。例えば、光反射面77aは、平板部71aに対して略45度の傾斜角を有する傾斜面として設けることができる。
反射部材77は、主材料として、石英又はBK7(硼珪酸ガラス)等のガラス、アルミニウム等の金属、Si等を用いて形成することができる。光反射面77aには、例えば、Ag、Al等の金属、Ta/SiO、TiO/SiO、Nb/SiO等の誘電体多層膜を形成することができる。
光反射面において、反射させる光のピーク波長に対する光反射率は90%以上であるものが挙げられ、95%以上が好ましく、99%以上がより好ましい。
基板71は、半導体レーザ素子12等を気密封止するための蓋体76を、半導体レーザ素子12と反射部材77との上方に配置している。蓋体76は、段差71kaを利用して固定することができる。
このような構成を備えることにより、光源装置10と同様に、半導体レーザ素子12から出射される光の光軸に対して位置調整されて固定されたレンズ73は、第1接合材が半導体レーザ素子12の駆動に起因する熱によって膨張又は収縮しても、位置ずれを抑制することが可能となる。
【0033】
(変形例)
実施形態7の光源装置70の変形例として、例示的な一形態を説明するための図7Cに示すように、光源装置70Aは、側壁71kの内側の段差71kaの上に、さらに段差71kbが配置されている。レンズ73は、段差71kbの上部に固定されている。
これ以外は、実質的に光源装置70と同様の構成を有し、同様の効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0034】
各実施形態に記載の発光装置は、プロジェクタ、車載ヘッドライト、ヘッドマウントディスプレイ、照明、ディスプレイ等に使用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10、20、30、40、50、60、70、70A 光源装置
11、31、41、51、61、71 基板
11a、31a、41a、51a、61a、71a 平板部
11b、31b、41b、41b1、41b2、51b、61b、71b、71bx、71by 突起部
11aa、11cc、11ee、31ee、41ee1、41ee2 側面
11bb、31bb、41bb 上面
11g、11h 金属部
31d、41d、71L 凹部
71k 側壁
71ka、71kb 段差
12 半導体レーザ素子
12a 赤色の光を出射する半導体レーザ素子
12b 緑色の光を出射する半導体レーザ素子
12c 青色の光を出射する半導体レーザ素子
12d 赤外光を出射する半導体レーザ素子
13、33、73 レンズ
13a、33a、73a レンズ面
13b、73b レンズ面にのみ接する面
13c、33c、73c レンズ面と反対側の面
13d、13dd、13ff、33d、33ff、73d 側面
14、14x、14y 第1接合材
15 サブマウント
16、76 蓋体
77 反射部材
77a 光反射面
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E