(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095256
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】金属酸化物粒子、積層体、太陽電池、感光体、金属酸化物粒子の製造方法、及び積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01G 3/00 20060101AFI20230629BHJP
G03G 5/147 20060101ALI20230629BHJP
C01B 13/14 20060101ALI20230629BHJP
C01B 13/18 20060101ALI20230629BHJP
H10K 30/50 20230101ALI20230629BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20230629BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
C01G3/00
G03G5/147 501
C01B13/14 Z
C01B13/18
H01L31/04 112C
H01L31/04 166
H01L31/04 168
H01L31/04 184
B32B27/18 Z
B32B27/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211039
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(72)【発明者】
【氏名】紙 英利
【テーマコード(参考)】
2H068
4F100
4G042
5F151
【Fターム(参考)】
2H068AA02
2H068AA10
2H068CA33
2H068CA48
2H068FA08
4F100AA17
4F100AA17B
4F100AA17C
4F100AA19
4F100AD00E
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK21
4F100AK45
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4F100AR00E
4F100AT00D
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4F100CA13A
4F100CA13E
4F100CA21
4F100CA21A
4F100CA21E
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4F100DE01B
4F100DE01C
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4F100JN17E
4F100YY00B
4G042DA02
4G042DB07
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4G042DC03
4G042DD01
4G042DD08
4G042DD10
4G042DE03
4G042DE12
5F151AA10
5F151AA11
(57)【要約】
【課題】有機材料を含む基材表面に金属酸化物をコーティングして金属酸化物層を形成する際に、容易に強靱な金属酸化物層を形成することができる金属酸化物粒子の提供。
【解決手段】金属酸化物粒子であって、下記(1)乃至(4)の要件を満たす金属酸化物粒子。(1)0.7μm Bandの体積比率(a)が5体積%以上40体積%以下、(2)13μm Bandの体積比率(b)が20体積%以上45体積%以下、(3)1.3μm Bandの体積比率(c)が20体積%以上50体積%以下、(4)体積比率(a)、体積比率(b)、体積比率(c)の合計が60体積%以上100体積%以下(但し、0.7μm Bandは0.3μm以上1.2μm未満にピークをもつ粒度分布であり、13μm Bandは0.3μm以上20μm未満にピークをもつ粒度分布であり、1.3μm Bandは0.7μm以上3μm未満にピークをもつ粒度分布である。)
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物粒子であって、下記(1)乃至(4)の要件を満たす金属酸化物粒子。
(1)0.7μm Bandの体積比率(a)が5体積%以上40体積%以下
(2)13μm Bandの体積比率(b)が20体積%以上45体積%以下
(3)1.3μm Bandの体積比率(c)が20体積%以上50体積%以下
(4)体積比率(a)、体積比率(b)、体積比率(c)の合計が60体積%以上100体積%以下
ここで、上記「0.7μm Band」、「13μm Band」、及び「1.3μm Band」は以下のように定義される。
0.7μm Band:0.3μm以上1.2μm未満にピークをもつ粒度分布
13μm Band:0.3μm以上20μm未満にピークをもつ粒度分布
1.3μm Band0.7μm以上3μm未満にピークをもつ粒度分布
また、各bandの体積比率(a)、体積比率(b)、体積比率(c)は、粒度分布曲線における0.7μm、1.3μm、および13μm近傍にピークをもち、更にこれを3つのバンドに分画した分布曲線の数値積分から各バンドの占める粒子の存在比率を算定することによって得る。
【請求項2】
前記体積比率(a)と前記体積比率(c)とが次の関係式(1)を満足する、請求項1に記載の金属酸化物粒子。
体積比率(a) ≦ 体積比率(c) (1)
【請求項3】
前記金属酸化物粒子がデラフォサイト及び/又はペロブスカイトを含む、請求項1又は2の金属酸化物粒子。
【請求項4】
有機材料を含む基材層と前記有機材料を含む基材層の上に形成された金属酸化物層とを含む積層体であって、前記金属酸化物層が請求項1乃至3のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子からなることを特徴とする積層体。
【請求項5】
前記有機材料を含む基材層と前記金属酸化物層との間に、前記有機材料を含む基材層に前記金属酸化物粒子が混合されてなる金属酸化物混合層を有する、請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
前記有機材料を含む基材層が、電荷輸送物質を含む電荷輸送層又は増感色素を含む色素電極層である請求項4又は5に記載の積層体。
【請求項7】
支持体、第一の電極層、ホールブロッキング層、増感色素を含む色素電極層、セラミック半導体層、第二の電極層をこの順に含み、前記色素電極層が前記基材層であり、前記セラミック半導体層が前記金属酸化物膜層であり、前記増感色素含む色素電極層と前記セラミック半導体層との境界層が前記金属酸化物混合層である、請求項6に記載の積層体からなる太陽電池。
【請求項8】
支持体、中間層、電荷発生層、電荷輸送層、セラミック層をこの順に含み、前記電荷輸送層が前記基材層であり、前記セラミック層が前記金属酸化物層であり、前記電荷輸送層と前記セラミック層との境界層が前記金属酸化物混合層である請求項6に記載の積層体からなる感光体。
【請求項9】
金属酸化物原料粉を、分散機としてプロペラを有する乾式分散機を用いて、前記乾式分散機への前記金属酸化物原料粉のフィード量及び前記乾式分散機の前記プロペラの回転速度、メディア径、メディア充填量を調整して粉砕することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
【請求項10】
有機材料を含む基材層と、金属酸化物粒子が混合されてなる金属酸化物混合層と、前記金属酸化物粒子からなる金属酸化物層と、をこの順に有する積層体の製造方法であって、エアロゾルデポジション法により、前記基材層に請求項1乃至3のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子を噴射することにより、前記基材層上に金属酸化物混合層及び金属酸化物層を形成することを特徴とする積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属酸化物粒子、積層体、太陽電池、感光体、金属酸化物粒子の製造方法、及び積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
常温で基材表面にセラミックコーティング膜(セラミック層)を形成する方法としてエアロゾルデポジション法(AD法)が知られている。AD法はセラミックコーティングを施す基材としてステンレス鋼や鉄などの金属材料やガラスを用いるのが一般的であるが、近年、基材として樹脂材料を用い、この樹脂材料にセラミックコーティング膜を形成する技術が開発されている。
【0003】
樹脂材料へのセラミックコーティングでは基材に対するセラミック材料の接着性が十分であることが必要とされる。また、セラミックコーティング膜にはバルクセラミックの性能に見合う強靱性が求められる。こうした樹脂材料へのセラミックコーティング技術を工業製品へ適用するとき、セラミックコーティング膜の接着性と強靱性とを高める課題が残されていた。
【0004】
特許文献1には、1次無機粒子と有機ポリマーとが共有結合する有機無機ハイブリッド部材を有機材料の基材の表面に中間層として設け、この中間層の上に無機材料からなる2次粒子の集合体層を形成することが提案されている。
【0005】
特許文献2には、上記の基材と中間層との間に更にプライマーとも言える応力緩和層を形成することが提案されている。
【0006】
特許文献3には、硬度の異なるセラミック材料を混合使用することでセラミック層の成膜で生じる残留圧縮応力を抑制したり、変形しやすい粒子が硬い粒子の隙間を埋めて、粒子/粒子間がより強固に密着した緻密なセラミックス膜を形成したりすることにより、剥離しにくいセラミック積層体が得られることが記載されている。
【0007】
特許文献4には、ジルコニア粉末を粉砕して生じる微粉と削られた粉体とからなる粉末の粒度分布が、第1のピーク及び第2のピークを有し、第1のピーク及び第2のピークの高さの比が特定の値となるように粒度分布を調整し、この粉末をエアロゾル化して、AD法により基材上に数十μm以上の膜厚で白色のジルコニア膜を成膜することが記載されている。
【0008】
特許文献5には、セラミック粉体に熱衝撃を加えることでセラミック粉体の粒子表面および内部にクラックや応力歪を付与できることが提案されている。
【0009】
特許文献6には、成膜用微粉と分散用粗粉とからなるセラミックス粉体に振動を与える手段と、前記セラミックス粉体に搬送ガスを混合してエアロゾルを形成した後、該エアロゾル中の前記分散用粗粉を除去する手段と、該分散用粗粉を除去されたエアロゾルを前記エアロゾル噴射ノズルに供給する手段とを有し、0.05~2μmの平均粒子径を有する成膜用微粉と、3~100μmの平均粒子径を有する前記分散用粗粉とを用いることを特徴とする被膜形成装置が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、有機材料を含む基材表面に金属酸化物粒子をコーティングして金属酸化物層を形成する際に、容易に強靱な金属酸化物層を形成することができる金属酸化物粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、本発明の下記の構成により解決される。
金属酸化物粒子であって、下記(1)乃至(4)の要件を満たす金属酸化物粒子。
(1)0.7μm Bandの体積比率(a)が5体積%以上40体積%以下
(2)13μm Bandの体積比率(b)が20体積%以上45体積%以下
(3)1.3μm Bandの体積比率(c)が20体積%以上50体積%以下
(4)体積比率(a)、体積比率(b)、体積比率(c)の合計が60体積%以上100体積%以下
ここで、上記「0.7μm Band」、「13μm Band」、及び「1.3μm Band」は以下のように定義される。
0.7μm Band:0.3μm以上1.2μm未満にピークをもつ粒度分布
13μm Band:0.3μm以上20μm未満にピークをもつ粒度分布
1.3μm Band0.7μm以上3μm未満にピークをもつ粒度分布
また、各bandの体積比率(a)、体積比率(b)、体積比率(c)は、粒度分布曲線における0.7μm、1.3μm、および13μm近傍にピークをもち、更にこれを3つのバンドに分画した分布曲線の数値積分から各バンドの占める粒子の存在比率を算定することによって得る。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、有機材料を含む基材層に容易に強靱な金属酸化物層を形成することができる金属酸化物粒子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、金属酸化物粒子の粒度分布と粒度の特定バンドを表す一例である。
【
図2】
図2は、AD法におけるセラミックコーティングの機構を説明するための模式図である。
【
図3】
図3は、金属酸化物粒子の別の粒度分布の一例である。
【
図4】
図4は、金属酸化物粒子の更に別の粒度分布の一例である。
【
図5】
図5は、金属酸化物粒子の更に別の粒度分布の一例である。
【
図6】
図6は、金属酸化物粒子の更に別の粒度分布の一例である。
【
図7】
図7は、金属酸化物粒子の更に別の粒度分布の一例である。
【
図14】
図14は、本発明の積層体の一例であるペロブスカイト型太陽電池を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
AD法によって生成される金属酸化物層の強靱化は、成膜に供する粉体材料、基材、成膜条件によって変化するために条件を一義的に決定できない。強靱性を得るための成膜条件は個々の材料に応じた最適な条件を見いだす必要がある。基材に有機材料を選ぶ場合はこうした条件が更に狭くなり、最適な条件を見出すことがより困難になる。このため、粉体材料、基材、成膜条件についてAD法の利用を可能にする最適な条件の余裕度を拡げる技術開発が求められていた。
本発明は上記の課題を解決するものである。
【0015】
以下、本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。
(金属酸化物粒子)
本発明の金属酸化物粒子は、下記(1)乃至(4)の要件を満たす必要がある。
(1)0.7μm Bandの体積比率(a)が5体積%以上40体積%以下
(2)13μm Bandの体積比率(b)が20体積%以上45体積%以下
(3)1.3μm Bandの体積比率(c)が20体積%以上50体積%以下
(4)体積比率(a)、体積比率(b)、体積比率(c)の合計が60体積%以上100体積%以下
ここで、上記「0.7μm Band」、「13μm Band」、及び「1.3μm Band」は以下のように定義される。
0.7μm Band:0.3μm以上1.2μm未満にピークをもつ粒度分布
13μm Band:0.3μm以上20μm未満にピークをもつ粒度分布
1.3μm Band0.7μm以上3μm未満にピークをもつ粒度分布
また、各bandの体積比率(a)、体積比率(b)、体積比率(c)は、粒度分布曲線における0.7μm、1.3μm、および13μm近傍にピークをもち、更にこれを3つのバンドに分画した分布曲線の数値積分から各バンドの占める粒子の存在比率を算定することによって得る。
【0016】
この関係を
図1に表す。
図1に示すグラフは次のようにして得た。
金属酸化物粒子を粒度分布測定器にかけて、粒度分布測定器から出力される粒度分布曲線を対象に数値解析ソフトウエアでピーク分割した。数値解析ソフトウエアはライトストーン社ORIGINPRO、ヒューリンクス社PeakFIT、Fitykを用いることができる。ピーク分割した分布曲線の数値積分から各バンドに占める粒子の存在比率を算定した。ピーク分割された各カーブの裾は重なるケースが一般である。本発明では各帯域にピークをもつ分布をそのまま数値積分して比率を算定した。
【0017】
前記体積比率(a)と前記体積比率(c)とは次の関係式(1)を満足することが好ましい。 体積比率(a) ≦ 体積比率(c) (1)
体積比率(a)の0.7μm Bandの粒子はセラミック膜の厚膜化に作用し、体積比率(c)の1.3μm Bandの粒子はセラミック膜の接着性に作用する。体積比率(c)の1.3μm Bandの粒子を加えることで、基材にセラミック粒子が食い込み易くなる。こうして、表面に生成されるセラミック膜と基材との間にセラミックのくさびが形成される結果、セラミック層の剥離を防ぐことができる。実験から体積比率(c)の値を体積比率(a)の値以上とすることで十分な接着性が得られることが分かった。
【0018】
本発明の金属酸化物粒子によれば、ガラス、金属、セラミックのような無機材料と一線を画す柔らかく脆弱な有機材料を含む基材に対して、容易に強靱な金属酸化物層を形成することができる。
本発明の金属酸化物粒子は、AD法によるセラミックコーティングに適用できる。特にAD法において、有機材料の基材に対して強靭な金属酸化物層をコーティングできる材料として有利に用いられる。
【0019】
図2は、AD法によりセラミック粒子11が成膜に至る現象を単純化した概念図である。AD法によるセラミックコーティングの機構は
図2を用いて以下のように説明することができる。すなわち、AD法で基材(Substrate)に噴射(Spraying)されたセラミック粒子11は、衝突および衝撃(Impact)によりクラック12が生じる(
図2のa、b参照)。次いで、粒子は微細に破砕され(Crushing)、破砕された粒子の破断面に活性な新生面13が生成される(
図2のc参照)。このような新生面13を有する微細な結晶破片は慣性モーメントと衝突圧力によって基板上で移動したり、回転したりすることで緻密化(Densification)が進み(
図2のd参照)、新生面13同士が再結合し、固化(Consolidataion)する(
図2のe参照)。
【0020】
セラミック膜は
図2のa~eの順にシーケンシャルな状態変化によって形成されると理解できる。しかし、実際は
図2のa~eの状態が混在していると考えられる。セラミックコーティングはこれらの状態の確率に応じて多様な様相を呈すると推定される。
図2のaの噴射(Spraying)のフェーズにおいて、基材表面のエロージョン(浸食)について着目する。セラミック粒子11が基材に衝突する状態がサンドブラストと大差が無いとき、基材表面はエロージョンが進行する。サンドブラストはメディアサイズに応じてインパクトが異なるように、原料粉に供するセラミック粒子11の粒径がエロージョンの進行度合いを決定すると考えられる。
【0021】
セラミックコーティングを施す基材がガラスや金属と異なる脆弱な有機材料を対象にする場合にはとりわけこうしたエロージョンの対策は重要である。一方、セラミックコーティングが基材表面の強靱化を目的とする場合、基材表面に原料粉が付着するだけの状態では施工の意味をなさないことになる。よってAD法によるセラミックコーティングにおける基材のエロージョンと強靱な金属酸化物表面の生成を同時に成立する対策が必要となる。
【0022】
本発明の金属酸化物粒子はこの対策に対する実験を重ねて得られたものである。上記(1)乃至(4)の要件を満たすことにより、基材表面に圧粉体が付着した層とは異なる表面層を形成するだけでなく、セラミックコーティングの成膜効率に優れる効果が得られる。
【0023】
本発明において、上記条件(1)乃至(4)に示される粒度分布は、以下の条件により測定される。
レーザ回折・散乱方式の粒子径分布測定装置:MT3300EX II、マイクロトラック・ベル社製
測定方式:乾式
測定時における試料の分散に用いる圧力空気:0.15MPa
測定時における温湿度環境:23±1℃、50±3%RH
【0024】
本発明の金属酸化物粒子に含まれる金属酸化物としては、とくに制限されないが、例えば、CoO、NiO、FeO、Bi2O3、MoO2、Cr2O3、SrCu2O2、CaO-Al2O3、Cu2O、CuAlO、CuAlO2、CuGaO2、などが挙げられる。これらの中でも金属酸化物がアルミニウム元素および/または銅元素を含む形態が好ましい。
【0025】
本発明の金属酸化物粒子は、前記金属酸化物を主成分とするものであるが、必要に応じて例えば流動化や固結防止性を改善するための公知の添加剤を適宜含むこともできる。
【0026】
(積層体)
本発明の積層体は、本発明の金属酸化物粒子からなる金属酸化物層を有するものであり、有機材料を含む基材層と、金属酸化物粒子が混合されてなる金属酸化物混合層と、金属酸化物粒子からなる金属酸化物層と、をこの順に有する積層体である。
【0027】
<基材層>
基材層は有機材料を含む層である。
この基材層の有機材料に金属酸化物粒子が衝突することにより基材層の表面部分に金属酸化物が打ち込まれて、基材層の表面部分が、金属酸化物と有機材料とが混合した金属酸化物混合層を形成する。
【0028】
<金属酸化物混合層>
金属酸化物混合層は内部に金属酸化物粒子が混合された層である。例えば、AD法によるコーティングによって吹き付けられた金属酸化物粒子が基材表面に打ち込まれた基材の表面部分がこの金属酸化物混合層に該当する。金属酸化物粒子のくさびが形成されてこの部位の上部に形成される金属酸化物層の剥離を防止する。
【0029】
<金属酸化物層>
金属酸化物層は金属酸化物粒子によって形成される層である。金属酸化物粒子同士が結合して層が形成されるため、必ずしも粒が集合しているように観察される必要はない。
【0030】
デバイスの実用化に際して金属酸化物層の接着性は重要である。この課題に対し、アンカリングと称する僅かな凹凸形成を被膜する基材表面全体に亘らせることが有効である。
図15は本発明の積層体の実施形態を示す図であり、積層体における金属酸化物混合層の一例を表す電子顕微鏡による断面写真である。
上から金属酸化物層21、金属酸化物混合層22、有機材料を含む基材層23が示されている。金属酸化物混合層は有機材料を含む基材層との界面まで金属酸化物が含まれる様相が観察される。
この金属酸化物層21および金属酸化物混合層22は、本発明の実施例に例示されている。すなわち下塗り層として用いる材料を成膜したのち、AD法によって下塗り層表面に本発明の金属酸化物粒子を吹き付けることで
図15に示す積層体を製造することができる。
基材層23と金属酸化物層21との境界において基材層23の表面に金属酸化物粒子11が打ち込まれて金属酸化物混合層22が形成されている。この金属酸化物混合層22における金属酸化物粒子11がくさびとして作用し、金属酸化物の剥離を防止する。
【0031】
本発明の積層体は、例えば電子写真用の感光体、太陽電池に適用することができる。
以下では、電子写真用の感光体及び太陽電池について説明する。
【0032】
(感光体)
図8は、本発明の積層体の一実施形態である感光体を説明するための模式断面図である。
図8において、感光体20は、導電性の支持体201上に感光層202を設け、さらにその上に金属酸化物混合層208および金属酸化物層209を順次設けてなる。上述のように、感光体20は、金属酸化物層209がセラミックス膜であり、かつ金属酸化物混合層208がシロキサン化合物を含む。
【0033】
図9は、本発明の感光体の別の実施形態を説明するための模式断面図である。
図9の感光体20は、感光層202が電荷発生層(CGL)203と、電荷輸送層(CTL)204とから構成される機能分離型タイプのものである。
【0034】
図10は、本発明の感光体の別の実施形態を説明するための模式断面図である。
図10の感光体20は、
図9に示す機能分離型タイプの感光体において、支持体201と電荷発生層(CGL)203との間に、下引き層205を設けたものである。
【0035】
図11は、本発明の感光体の別の実施形態を説明するための模式断面図である。
図11の感光体20は、
図10に示す機能分離型タイプの感光体において、電荷輸送層(CTL)204上に保護層206を設けたものである。
【0036】
図12は、本発明の感光体の別の実施形態を説明するための模式断面図である。
図12の感光体20は、
図11に示す機能分離型タイプの感光体において、支持体201と下引き層205との間に、中間層207を設けたものである。
【0037】
なお本発明の感光体は、上記各実施形態に制限されず、例えば、
図13に示すように、導電性の支持体201上に、中間層207、電荷発生層203、電荷輸送層204、金属酸化物混合層208及び金属酸化物層209をこの順に設け、感光体20としてもよい。
【0038】
本発明の感光体は、有機感光体の有する優れた帯電性を有し、金属酸化物層がセラミックス膜であることから、無機感光体に匹敵する優れた耐摩耗性を有し、さらに金属酸化物混合層がシロキサン化合物を含むことから優れたガスバリア性を有し、このことから耐久性に優れるとともに、画像品質にも優れる。
特に、感光体がシロキサン化合物を含む金属酸化物混合層を有することにより、ガス透過性が大きく強度の弱い感光層を緻密な無機膜で覆うことができ、ガスバリア性が高められる。更に、本発明における金属酸化物混合層は、有機材料と比べて力学的強度が非常に高く、感光体の耐摩耗性を格段に高めることができる。
【0039】
<感光層>
前記感光層としては、複層型感光層であってもよく、単層型感光層であってもよい。
【0040】
<<複層型感光層>>
前記複層型感光層は、上述したように、電荷発生層、及び電荷輸送層を少なくともこの順に有し、更に必要に応じて、その他の層を有してなる。
【0041】
-電荷発生層-
前記電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質を含んでなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記電荷発生物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、無機系材料と有機系材料とのいずれかを用いることができる。例えば、結晶セレン、アモルファス-セレン、セレン-テルル、セレン-テルル-ハロゲン、セレン-ヒ素化合物、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、カルバゾール骨格、トリフェニルアミン骨格、ジフェニルアミン骨格、フルオレノン骨格のいずれかを有するアゾ顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記電荷発生層を形成する方法としては、真空薄膜作製法、溶液分散系からのキャスティング法等が挙げられる。
前記電荷発生層塗工液に用いられる有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記電荷発生層の厚みは、通常、0.01μm以上5μm以下が好ましく、0.05μm以上2μm以下がより好ましい。
【0043】
-電荷輸送層-
前記電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ、電荷移動性がよいことが要求される。
前記電荷輸送層は、少なくとも電荷輸送物質または増感色素を含んでなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記電荷輸送物質としては、正孔輸送物質、電子輸送物質、高分子電荷輸送物質、などが挙げられる。
前記電子輸送物質(電子受容性物質)としては、例えば、2,4,7-トリニトロ-9-フルオレノン、1,3,7-トリニトロジベンゾチオフェン-5,5-ジオキサイド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送物質(電子供与性物質)としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体、α-フェニルスチルベン誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記高分子電荷輸送物質としては、以下のような構造を有するものが挙げられる。例えば、ポリシリレン重合体、トリアリールアミン構造を有する重合体などが例示される。
【0044】
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂などが用いられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記電荷輸送層は、架橋性のバインダー樹脂と架橋性の電荷輸送物質との共重合体を含むこともできる。
増感色素としては、公知の金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物等が挙げられる。
【0045】
前記電荷輸送層は、これらの電荷輸送物質または増感色素及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。前記電荷輸送層には、更に必要に応じて、前記電荷輸送物質または増感色素及びバインダー樹脂以外に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等などの添加剤を適量添加することもできる。
前記電荷輸送層の厚みは、5μm以上100μm以下が好ましく、近年の高画質化の要求から、電荷輸送層を薄膜化することが図られており、1200dpi以上の高画質化を達成するためには、5μm以上30μm以下がより好ましい。
【0046】
<<単層型感光層>>
前記単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、及びバインダー樹脂を含み、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記電荷発生物質、電荷輸送物質、及びバインダー樹脂としては、前記積層型感光層と同様な材料を用いることができる。
キャスティング法により単層型感光層を設ける場合、多くの場合、かかる単層型感光層は、電荷発生物質と低分子並びに高分子電荷輸送物質を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。また、前記単層型感光層には、更に必要により、可塑剤、バインダー樹脂を含有することができる。前記バインダー樹脂としては、前記電荷輸送層と同様のバインダー樹脂を用いることができ、その他として、前記電荷発生層と同様のバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
前記単層型感光層の厚みは、5μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましい。前記厚みが5μm未満であると帯電性が低下することがあり、100μmを超えると感度の低下をもたらすことがある。
【0047】
<支持体>
前記支持体としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性を有するものを用いることができる。支持体としては、例えば、導電体又は導電処理をした絶縁体が好適であり、例えば、Al、Ni等の金属、又はそれらの合金;ポリエステル、ポリカーボネート等の絶縁性基体上にAl等の金属、あるいはIn2O3、SnO2等の導電材料の薄膜を形成したもの;樹脂中にカーボンブラック、グラファイト、Al、Cu、Ni等の金属粉、導電性ガラス粉などを均一に分散させ、樹脂に導電性を付与した樹脂基体、導電処理をした紙、などが挙げられる。
前記支持体の形状、大きさとしては、特に制約はなく、板状、ドラム状あるいはベルト状のいずれのものも使用できる。
【0048】
前記支持体と前記感光層との間には、必要に応じて、下引き層を設けてもよい。前記下引き層は、接着性を向上する、モアレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。
前記下引き層は、一般に樹脂を主成分とする。これらの樹脂は例えば、ポリビニルアルコール、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド-メラミン樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。
また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの下引き層は、適当な溶媒を用いて、慣用される塗工法によって形成することができる。
前記下引き層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましい。
【0049】
感光体においては、感光層保護の目的で、保護層が感光層の上に設けられることがある。保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン-ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリアリレート、AS樹脂、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
保護層の形成法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の従来方法を用いることができる。
【0050】
感光体においては、必要に応じて前記支持体上に、接着性、電荷ブロッキング性を向上させるために中間層を設けてもよい。該中間層は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。
前記樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド-メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
【0051】
<金属酸化物混合層>
前記金属酸化物混合層は、シロキサン化合物を含むものであり、シロキサン化合物は、水酸基及び加水分解性基のいずれかを有する有機ケイ素化合物を架橋させてなるものである。
シロキサン化合物は金属酸化物層を感光体表面に定着させることができるとともにガスバリア性を高め、更に耐摩耗性を格段に高めることができる。
【0052】
-シロキサン化合物-
前記シロキサン化合物は、水酸基及び加水分解性基のいずれかを有する有機ケイ素化合物を架橋させてなり、更に必要に応じて触媒、架橋剤、オルガノシリカゾル、シランカップリング剤、アクリルポリマー等の重合体などを含むことができる。
前記架橋の方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、加熱架橋が好ましい。
【0053】
前記水酸基及び加水分解性基のいずれかを有する有機ケイ素化合物としては、例えば、アルコキシシリル基を有する化合物、アルコキシシリル基を有する化合物の部分加水分解縮合物、又はこれらの混合物などが挙げられる。
前記アルコキシシリル基を有する化合物としては、例えば、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;メチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;フェニルトリエトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン、などが挙げられる。なお、これらの化合物に、エポキシ基、メタクリロイル基、又はビニル基を導入したものも使用可能である。
前記アルコキシシリル基を有する化合物の部分加水分解縮合物は、前記アルコキシシリル基を有する化合物に所定量の水、触媒等を添加して反応させる公知の方法により製造可能である。
【0054】
前記シロキサン化合物の原料としては、市販品を用いることができ、具体的には、GR-COAT(ダイセル化学工業社製)、Glass Resin(オーエンスコーニング社製)、ヒートレスグラス(大橋化学工業社製)、NSC(日本精化社製)、ガラス原液GO150SX、GO200CL(ファイングラステクノロジー社製)、アルコキシシリル化合物にアクリル樹脂やポリエステル樹脂を共重合したものとして、MKCシリケート(三菱化学社製)、シリケート/アクリルワニスXP-1030-1(大日本色材工業社製)、などが挙げられる。なお、シロキサン化合物の原料を硬化性シロキサン樹脂と称することがある。
【0055】
金属酸化物混合層の厚さは、0.01μm以上4.0μm以下であることが好ましく、0.03μm以上4.0μm以下であることがより好ましく、0.05μm以上2.5μm以下であることがさらに好ましい。また、0.1μm以上2.5μm以下であることが好ましい。これらの中でも、0.01μm以上2.5μm以下であることが特に好ましい。
なお、金属酸化物混合層に含まれる金属酸化物は、AD法におけるエアロゾル粉体に由来するものである。
【0056】
<金属酸化物層>
感光体における金属酸化物層は、セラミックス膜からなる。
前記セラミックス膜を構成するセラミックスは、一般に、金属を焼成して得られる金属酸化物である。前記セラミックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物などが挙げられる。前記セラミックスは、透明導電性酸化物を含むことが好ましく、透明導電性酸化物としては、セラミックス半導体であることが好ましい。また、透明導電性酸化物はデラフォサイトやペロブスカイトを含むことが好ましく、デラフォサイトは銅アルミニウム酸化物、銅クロム酸化物、銅ガリウム酸化物を含むことが好ましい。ペロブスカイトは、有機化合物と無機化合物の複合物質であり、以下の一般式(1)で表わすことができる。
XαYβMγ ・・・一般式(1)
上記の一般式(1)において、α:β:γの比率は3:1:1であり、β及びγは1より大きい整数を表す。また、例えば、Xはハロゲンイオン、Yはアルキルアミン化合物イオン、Mは金属イオンなどとすることができる。
【0057】
<セラミックス半導体>
前記セラミックス半導体とは、セラミックスの中でも酸素欠損等で通常の電子配置に一部欠陥を有するものを指し、前記電子配置の欠陥によって特定条件下で導電性が発現する化合物の総称である。本発明における金属酸化物層は、金属酸化物含有層であることが好ましく、前記金属酸化物含有層とは、前記電子配置の欠陥によって特定条件下で導電性が発現する特徴を有し、且つセラミックス半導体成分が間隔を置かずに緻密に配置された層であり、有機化合物を含まない層と定義する。前記金属酸化物含有層は、デラフォサイトを含むことが好ましい。さらに、本発明においては、正孔又は電子のいずれかの電荷の移動性を有することが好ましい。前記金属酸化物含有層の電界強度2×10-4V/cmにおける電荷移動度としては、1×10-6cm2/Vsec以上が好ましい。本発明においては電荷移動度が高いほど好ましい。ここで、前記電荷移動度の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて一般的な測定方法を適宜選択することができ、例えば、特開2010-183072号公報に記載されている手順でサンプル作製と測定を行う方法が挙げられる。また、前記金属酸化物含有層の厚みを含めたバルク抵抗としては、1×1013Ω未満が好ましい。
【0058】
-デラフォサイト-
前記デラフォサイト(以下、「p型半導体」、「p型金属化合物半導体」と称することがある)としては、p型半導体としての機能があれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、p型金属酸化物半導体、一価の銅を含むp型化合物半導体、その他のp型金属化合物半導体などが挙げられる。前記p型金属酸化物半導体としては、例えば、CoO,NiO,FeO,Bi2O3,MoO2,MoS2,Cr2O3、SrCu2O2,CaO-Al2O3などが挙げられる。前記一価の銅を含むp型化合物半導体としては、例えば、CuI,CuInSe2,Cu2O,CuSCN,CuS,CuInS2,CuAlO,CuAlO2,CuAlSe2,CuGaO2,CuGaS2,CuGaSe2などが挙げられる。前記その他のp型金属化合物半導体としては、例えば、GaP,GaAs,Si,Ge,SiCなどが挙げられる。
なお本発明の効果向上の観点から、デラフォサイトは銅アルミニウム酸化物であることが好ましく、該銅アルミニウム酸化物はCuAlO2であることがさらに好ましい。
【0059】
(太陽電池)
図14は、本発明の積層体の一例であるペロブスカイト型太陽電池を示す説明図である。
図14に示すように、ペロブスカイト型太陽電池モジュール100は、第1の電極2a,2bと、緻密な電子輸送層(緻密層)3と、多孔質な電子輸送層(多孔質層)4と、ペロブスカイト層5と、ホール輸送層6と、第2の電極7a,7bとを有する光電変換素子a、bを、第1の基板1上に有する。
なお、第1の電極2a,2bのいずれか、及び第2の電極7a,7bのいずれかは、電極取出し端子まで導通する貫通部8をそれぞれ有している。
更に、ペロブスカイト型太陽電池モジュール100には、第2の基板10が上記の光電変換素子を挟むように第1の基板1と対向して配置され、封止部材9が第1の基板1と第2の基板10の間に配置される。
ペロブスカイト型太陽電池モジュール100においては、延設された連続層であるホール輸送層6で、第1の電極2aと第1の電極2bとが隔てられている。
電子輸送層、ペロブスカイト層、ホール輸送層のいずれかを本発明の金属酸化物粒子を用いて形成することができる。
【0060】
本発明の積層体は、有機材料を含む基材層の上に、本発明の金属酸化物粒子からなる金属酸化物層設けたものである。この金属酸化物層は、公知のエアロゾルデポジション法(AD法)により設けることができる。
【0061】
有機材料を含む層としては、例えばプラスチック基材が挙げられる。
【0062】
金属酸化物層の厚みは、例えば0.05μm以上10μm以下、好ましくは0.1μm以上5μm未満である。
【0063】
また本発明の積層体の好適な形態では、積層体は、有機材料を含む層と、前記有機材料を含む層に接するシリコーン化合物を含む層と、前記シリコーン化合物を含む層に接する金属酸化物層と、を有する。
【0064】
シリコーン化合物を含む層としては、ポリシロキサン構造を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ポリシロキサン構造を有する前記シリコーン化合物を含む層を有することで、金属酸化物層の剥離を防ぐ効果がある。
【0065】
前記シリコーン化合物を含む層は、例えば、水酸基及び加水分解性基のいずれかを有する有機ケイ素化合物を架橋させてなり、更に必要に応じて触媒、架橋剤、オルガノシリカゾル、シランカップリング剤、アクリルポリマー等の重合体などを含むことができる。
前記架橋の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、加熱架橋が好ましい。
【0066】
前記水酸基及び加水分解性基のいずれかを有する有機ケイ素化合物としては、例えば、アルコキシシリル基を有する化合物、アルコキシシリル基を有する化合物の部分加水分解縮合物、又はこれらの混合物などが挙げられる。
【0067】
前記アルコキシシリル基を有する化合物としては、例えば、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン、などが挙げられる。なお、これらの化合物に、エポキシ基、メタクリロイル基、又はビニル基を導入したものも使用可能である。
前記アルコキシシリル基を有する化合物の部分加水分解縮合物は、前記アルコキシシリル基を有する化合物に所定量の水、触媒等を添加して反応させる等の公知の方法により製造可能である。
【0068】
前記シリコーン化合物を含む層の原料としては、市販品を用いることができ、具体的には、GR-COAT(ダイセル化学工業社製)、Glass Resin(オーエンスコーニング社製)、ヒートレスグラス(大橋化学工業株式会社製)、NSC(日本精化株式会社製)、ガラス原液GO150SX、GO200CL(ファインガラステクノロジーズ株式会社製)、アルコキシシリル化合物にアクリル樹脂やポリエステル樹脂を共重合したものとして、MKCシリケート(三菱ケミカル株式会社製)、シリケート/アクリルワニスXP-1030-1(大日本色材工業株式会社製)、NSC-5506(日本精化株式会社製)などが挙げられる。
前記シリコーン化合物を含む層は、クラック防止を目的として、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリヘキシルエトキシシラン等のモノアルコシキシシランを構成成分として含むことができる。
【実施例0069】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。なお、以下の記載においては特に明記しない限り、「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示す。
【0070】
(金属酸化物粒子の製造)
酸化銅(I)(NC-803、日本化学工業株式会社製)2kgとアルミナ(AA-03、住友化学株式会社製)1.43kgを混合し、1,100℃で40時間加熱し、銅アルミニウム酸化物を得た。これを乾式分散機(ドライスターSDA1、アシザワ・ファインテック株式会社製)により粉砕を行った。乾式分散機の原料粉のフィード量とプロペラの回転速度を変えることで、次の粒度分布を呈する銅アルミニウム酸化物の[金属酸化物粒子1]~[金属酸化物粒子5]を得た。
[金属酸化物粒子1]~[金属酸化物粒子5]は表1に記載した製造条件で製造した。
また、[金属酸化物粒子1]~[金属酸化物粒子5]の粒度分布を表2に示した。
[金属酸化物粒子1]~[金属酸化物粒子5]の粒度はレーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置(MT-3300EX、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて、圧力0.2MPaの条件下の乾式モードで測定した。
【0071】
【0072】
【0073】
[金属酸化物粒子1]~[金属酸化物粒子5]の粒度分布を
図3~7に示す。
【0074】
(実施例1)
アルミニウム製の導電性支持体(外径100mm)に、下記の中間層用塗工液を、浸漬法により塗工し、中間層を形成した。165℃で30分間乾燥した後の中間層の平均厚みは3μmであった。
【0075】
(中間層用塗工液)
・酸化亜鉛粒子(MZ-300、テイカ株式会社製): 340部
・3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸: 1.5部
(TCI-D1947、東京化成工業株式会社製)
・ブロック化イソシアネート: 60部
(スミジュール(登録商標)3175、固形分濃度75%、住化バイエルウレタン株式会社製)
・ブチラール樹脂20%を2-ブタノンで溶解させた溶解液: 230部
(BM-1、積水化学工業株式会社製)
・2-ブタノン: 365部
【0076】
-電荷発生層の形成-
得られた中間層上に下記の電荷発生層塗工液を浸漬塗工し、電荷発生層を形成した。
電荷発生層の平均厚みは0.3μmであった。
【0077】
(電荷発生層用塗工液)
・Y型チタニルフタロシアニン: 6部
・ブチラール樹脂(エスレックBX-1、積水化学工業社製): 4部
・2-ブタノン(関東化学株式会社製): 200部
【0078】
-電荷輸送層の形成-
得られた電荷発生層上に下記の電荷輸送層用塗工液1を浸積塗工し、電荷輸送層を形成した。
135℃で20分間乾燥した後の電荷輸送層の平均厚みは23μmであった。
【0079】
(電荷輸送層用塗工液1)
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート: 10部
(パンライトTS-2050、帝人株式会社製)
・下記構造式の低分子電荷輸送物質: 10部
【化1】
・テトラヒドロフラン: 78部
【0080】
-下塗り層の形成-
得られた電荷輸送層上に、下記の下塗り層用塗工液をリングコート塗工法で下塗り層を形成した。120℃で20分間乾燥した後の下塗り層の平均厚みは0.5μmであった。
【0081】
(下塗り層用塗工液)
・シロキサン化合物含有塗料: 180部
(NSC-5506、日本精化株式会社製)
・トリメチルエトキシシラン(東京化成株式会社製):6部
・ポリシラン: 8部
(OGSOL SI-10-40、大阪ガスケミカル株式会社製)
・下記構造の電荷輸送物質(株式会社リコー製): 7部
【化2】
・エチレングリコールジメチルエーテル: 90部
(富士フイルム和光純薬株式会社製)
・テトラヒドロキシフラン(三菱ケミカル株式会社製): 90部
【0082】
―金属酸化物層の形成―
得られた下塗り層上に、[金属酸化物粒子1]を用いてAD法で金属酸化物層を形成した。
金属酸化物層の平均厚みは0.6μmであった。
AD法による金属酸化物層の成膜は次の条件で行った。
【0083】
(成膜条件)
・原料:[金属酸化物粒子1]
・銅アルミニウム酸化物粒子の水分量:0.2%以下
(カールフィッシャー水分量計による測定値)
・金属酸化物粒子を容器へ仕込むときの露点温度:-53℃
・エアロゾル化ガス種:窒素ガス
・エアロゾル化ガス流量:5L/min(総量)
・成膜チャンバー内真空度:55Pa
・ノズルと感光体ドラムの角度:80度
・ノズルと感光体ドラムの距離:30mm
・塗工速度:20mm/min
・ドラム回転速度:20rpm
・塗工回数:6回(3往復)
以上から金属酸化物有機物ハイブリッドデバイスを得た。
【0084】
(実施例2)
実施例1で用いたAD法に供する[金属酸化物粒子1]を[金属酸化物粒子2]に変えた以外は実施例1と同様にして金属酸化物有機物ハイブリッドデバイスを得た。金属酸化物層の平均厚みは0.3μmであった。
【0085】
(比較例1)
実施例1で用いたAD法に供する[金属酸化物粒子1]を[金属酸化物粒子3]に変えた以外は実施例1と同様にして金属酸化物有機物ハイブリッドデバイスを得た。金属酸化物層の平均厚みは0.01μm未満であった。
【0086】
(比較例2)
実施例1で用いたAD法に供する[金属酸化物粒子1]を[金属酸化物粒子4]に変えた以外は実施例1と同様にして金属酸化物有機物ハイブリッドデバイスを得た。金属酸化物層の平均厚みは5μmであった。
【0087】
(比較例3)
実施例1で用いたAD法に供する[金属酸化物粒子1]を[金属酸化物粒子5]に変えた以外は実施例1と同様にして金属酸化物有機物ハイブリッドデバイスを得た。金属酸化物層の平均厚みは8μmであった。
【0088】
上記で得た実施例1、実施例2、比較例1~3の金属酸化物有機物ハイブリッドデバイスをスクラッチ試験に供した。スクラッチ試験後、共焦点顕微鏡でスクラッチ部位を観測し、試験で生じる溝の深さを評価した。
溝の深さはスクラッチ試験のスタイラスの設定荷重に応じて変化する。この荷重に対する溝深さの変化率を以下の近似直線から得られる係数αを評価指標とした。
溝の深さ[μm] = α[μm/mN]×荷重[mN]+切片 (式1)
【0089】
(スクラッチ試験)
・試験器:超薄膜スクラッチ試験機CSR-2000(レスカ)
・スクラッチ速度:10μm/s
・バネ定数:100g/mm
・スタイラス径:5μmR
・励振レベル:100μm
・励振周波数:45Hz
・設定荷重:5、7、9、11、13、15(mN)
【0090】
(溝深さの観測)
・試験器:共焦点顕微鏡OPTELICS H-1200(レーザーテック)
・レンズ倍率:50倍
・光源:白色
【0091】
【0092】
実施例1、実施例2の金属酸化物有機物ハイブリッドデバイスは比較例1よりも強靱である。比較例2と比較例3の金属酸化物有機物ハイブリッドデバイスは金属酸化物層の成膜効率が高い利点は得られたものの試験開始間もなく金属酸化物層の剥離が生じたため強靱とは言えない。
【0093】
既に述べたように、
図2のa(噴射:Spraying)のフェーズにおいて、基材表面のエロージョン(浸食)について着目する。金属酸化物粒子が基材に衝突する状態がサンドブラストと大差が無いとき、基材表面ではエロージョンが進行する。サンドブラストではメデイアサイズに応じてインパクトが異なるように、原料粉に供する金属酸化物粒子の粒径がエロージョンの進行度合いを決定すると考えられる。
【0094】
セラミック粉体材料の造粒品である[金属酸化物粒子3]のセラミックコーティングが不良であったのはエロージョン速度の大きい粒度分布であったことが原因であると考えられる。この[金属酸化物粒子3]は粒径2μm前後の粒子の割合が大きい。粒径2μm前後の銅アルミニウム酸化物はデポジションレートよりもエロージョンレートの大きい金属酸化物層の成膜には不利な粒度分布といえる。
【0095】
一方、[金属酸化物粒子4]と[金属酸化物粒子5]は他のグレードよりも厚い金属酸化物層が生成されている。これらの金属酸化物粒子は粒径0.7μm前後の割合が大きい。[金属酸化物粒子3]と反対にエロージョンレートよりもデポジションレートの大きな粒度分布であるといえる。
【0096】
図2のb(衝突:Impact)及び
図2のc(破砕:Crushing)のフェーズにおいて、セラミック粉体材料の造粒品である[金属酸化物粒子4]の粒度分布は[金属酸化物粒子5]よりも平均粒径が小さく、0.7μm前後の粒度の割合が大きい関係に着目する。金属酸化物層のデポジションレートがこれらの粒子の割合だけで決定しているのであれば、[金属酸化物粒子4]による金属酸化物層の方が[金属酸化物粒子5]よりも厚くなる。しかし、これらの序列は逆転しているため、デポジションレートに影響する要因を別に求める必要がある。
【0097】
セラミック粉体材料の造粒品の[金属酸化物粒子4]と[金属酸化物粒子5]は造粒に用いた乾式分散機のベッセル内部のプロペラの回転速度だけが異なる。これにより[金属酸化物粒子4]と[金属酸化物粒子5]の造粒に要した電力量はそれぞれ0.34kWh(金属酸化物粒子4)と0.82kWh(金属酸化物粒子5)であった。[金属酸化物粒子5]は分散処理直後の金属酸化物粒子回収時にヒューム状の粒子が多かったことや、金属酸化物粒子の感触に脆さが感じられたことから[金属酸化物粒子5]の粒子は割れやすいと考えられる。例えば、粒子に刻まれる潜在的な傷が[金属酸化物粒子4]より[金属酸化物粒子5]が多いと考えられる。
【0098】
図2のd(緻密化:Densification)と
図2のe(固化:Consolidation)のフェーズは、金属酸化物層が生成されるフェーズであると同時に金属酸化物層と基材層との接着性を決めるフェーズと考えられる。
[金属酸化物粒子4]と[金属酸化物粒子5]を用いた場合には金属酸化物層が剥離しやすい。一方、[金属酸化物粒子1]と[金属酸化物粒子2]は金属酸化物層が剥離しにくい。特に[金属酸化物粒子2]は金属酸化物層が基材にくいこむ様なアンカリングが進んでいる様相が観察された。これらの違いは原料粉の粒度分布特性上、粒径が13μm前後の割合の違いとして区別できる。この粒径は金属酸化物層の断面SEM写真から観察される粒状サイズ(φ150nm)の100倍近い大きさである。
基材に付着した小さな金属酸化物粒子が大きな粒子に打たれることで小さな粒子のアンカリング、緻密化、固化が進行すると考えられる。金属酸化物原料粉に大きな粒子を混合することで金属酸化物層に貯えられる内部応力が緩和される効果も考えられる。
【0099】
本発明は下記の(1)の金属酸化物粒子に係るものであるが、次の(2)~(10)を実施の形態として含む。
(1)金属酸化物粒子であって、下記(1)乃至(4)の要件を満たす金属酸化物粒子。
(1)0.7μm Bandの体積比率(a)が5体積%以上40体積%以下
(2)13μm Bandの体積比率(b)が20体積%以上45体積%以下
(3)1.3μm Bandの体積比率(c)が20体積%以上50体積%以下
(4)体積比率(a)、体積比率(b)、体積比率(c)の合計が60体積%以上100体積%以下
ここで、上記「0.7μm Band」、「13μm Band」、及び「1.3μm Band」は以下のように定義される。
0.7μm Band:0.3μm以上1.2μm未満にピークをもつ粒度分布
13μm Band:0.3μm以上20μm未満にピークをもつ粒度分布
1.3μm Band0.7μm以上3μm未満にピークをもつ粒度分布
また、各bandの体積比率(a)、体積比率(b)、体積比率(c)は、粒度分布曲線における0.7μm、1.3μm、および13μm近傍にピークをもち、更にこれを3つのバンドに分画した分布曲線の数値積分から各バンドの占める粒子の存在比率を算定することによって得る。
(2)前記体積比率(a)と前記体積比率(c)とが次の関係式(1)を満足する、上記(1)に記載の金属酸化物粒子。
体積比率(a) ≦ 体積比率(c) (1)
(3)前記金属酸化物粒子がデラフォサイト及び/又はペロブスカイトを含む、上記(1)又は(2)の金属酸化物粒子。
(4)有機材料を含む基材層と前記有機材料を含む基材層の上に形成された金属酸化物層とを含む積層体であって、前記金属酸化物層が上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子からなることを特徴とする積層体。
(5)前記有機材料を含む基材層と前記金属酸化物層との間に、前記有機材料を含む基材層に前記金属酸化物粒子が混合されてなる金属酸化物混合層を有する、上記(4)に記載の積層体。
(6)前記有機材料を含む基材層が、電荷輸送物質を含む電荷輸送層又は増感色素を含む色素電極層である上記(4)又は(5)に記載の積層体。
(7)支持体、第一の電極層、ホールブロッキング層、増感色素を含む色素電極層、セラミック半導体層、第二の電極層をこの順に含み、前記色素電極層が前記基材層であり、前記セラミック半導体層が前記金属酸化物膜層であり、前記増感色素含む色素電極層と前記セラミック半導体層との境界層が前記金属酸化物混合層である、上記(6)に記載の積層体からなる太陽電池。
(8)支持体、中間層、電荷発生層、電荷輸送層、セラミック層をこの順に含み、前記電荷輸送層が前記基材層であり、前記セラミック層が前記金属酸化物層であり、前記電荷輸送層と前記セラミック層との境界層が前記金属酸化物混合層である上記(6)に記載の積層体からなる感光体。
(9)金属酸化物原料粉を、分散機としてプロペラを有する乾式分散機を用いて、前記乾式分散機への前記金属酸化物原料粉のフィード量及び前記乾式分散機の前記プロペラの回転速度、メディア径、メディア充填量を調整して粉砕することを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子の製造方法。
(10)有機材料を含む基材層と、金属酸化物粒子が混合されてなる金属酸化物混合層と、前記金属酸化物粒子からなる金属酸化物層と、をこの順に有する積層体の製造方法であって、エアロゾルデポジション法により、前記基材層に上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の金属酸化物粒子を噴射することにより、前記基材層上に金属酸化物混合層及び金属酸化物層を形成することを特徴とする積層体の製造方法。