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特開2023-95307情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095307
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230629BHJP
   G06F 16/9035 20190101ALI20230629BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06F16/9035
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211117
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】下本 亮
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
【Fターム(参考)】
5B175BA02
5L049CC17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】所属テナントが異なるユーザがテナント管理者に対して利用申請をした場合に、テナント管理者の手間を最小限にしつつ別テナントの機器が利用可能となる情報処理システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】ワークフローサービスは、サービス提供範囲を区切るためのテナントを定義したテナント情報に紐付けて、テナントに所属するユーザの識別に利用するユーザ情報と、テナントに所属する機器の識別に利用する機器情報と、を記憶する記憶部と、利用申請が行われた利用申請機器の機器情報と紐付けられたテナント情報以外のテナント情報と紐付けられるユーザ情報が示すユーザが、利用申請機器へのログイン操作をした場合、利用申請機器を利用できないことを利用申請機器に表示し、利用申請機器の機器情報と紐付けられたテナント情報が示すテナントのテナント管理者の端末装置に対して、ログイン操作したユーザの招待を促す制御部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービス提供範囲を区切るためのテナントを定義したテナント情報に紐付けて、当該テナント情報が示す前記テナントに所属するユーザの識別に利用するユーザ情報と、当該テナント情報が示す前記テナントに所属する機器の識別に利用する機器情報と、を記憶する記憶部と、
利用申請が行われた前記機器である利用申請機器の前記機器情報と紐付けられた前記テナント情報以外の前記テナント情報と紐付けられる前記ユーザ情報が示すユーザが、前記利用申請機器へのログイン操作をした場合、前記利用申請機器を利用できないことを当該利用申請機器に表示し、かつ前記利用申請機器の前記機器情報と紐付けられた前記テナント情報が示す前記テナントのテナント管理者の端末装置に対して、ログイン操作したユーザの招待を促す制御部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、さらに、前記テナント管理者が前記端末装置において、前記利用申請機器に対してログイン操作したユーザを招待する操作を行った場合、招待されたユーザによる前記利用申請機器の利用を承認する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記利用申請機器の前記機器情報と紐付けられた前記テナント情報が示す前記テナントの全てのテナント管理者を特定し、当該特定した全てのテナント管理者の前記端末装置に対して、前記利用申請機器に対してログイン操作したユーザの招待を促す、請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記利用申請機器の前記機器情報と紐付けられた前記テナント情報が示す前記テナントのテナント管理者の前記端末装置に対して、ログイン操作したユーザの招待を促すメールを送信する、請求項1から3のいずれか一に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記制御部は、テナント管理者の前記端末装置におけるユーザの招待の許可または拒否に応じた、招待されたユーザによる前記利用申請機器の利用の承認結果を示すメールを前記利用申請機器に送信する、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
サービス提供範囲を区切るためのテナントを定義したテナント情報に紐付けて、当該テナント情報が示す前記テナントに所属するユーザの識別に利用するユーザ情報と、当該テナント情報が示す前記テナントに所属する機器の識別に利用する機器情報と、を記憶する記憶部を有する情報処理システムで実行される情報処理方法であって、
利用申請が行われた前記機器である利用申請機器の前記機器情報と紐付けられた前記テナント情報以外の前記テナント情報と紐付けられる前記ユーザ情報が示すユーザが、前記利用申請機器へのログイン操作をした場合、前記利用申請機器を利用できないことを当該利用申請機器に表示する工程と、
前記利用申請機器の前記機器情報と紐付けられた前記テナント情報が示す前記テナントのテナント管理者の端末装置に対して、ログイン操作したユーザの招待を促す工程と、
を含む情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータを、
サービス提供範囲を区切るためのテナントを定義したテナント情報に紐付けて、当該テナント情報が示す前記テナントに所属するユーザの識別に利用するユーザ情報と、当該テナント情報が示す前記テナントに所属する機器の識別に利用する機器情報と、を記憶する記憶部において、利用申請が行われた前記機器である利用申請機器の前記機器情報と紐付けられた前記テナント情報以外の前記テナント情報と紐付けられる前記ユーザ情報が示すユーザが、前記利用申請機器へのログイン操作をした場合、前記利用申請機器を利用できないことを当該利用申請機器に表示し、かつ前記利用申請機器の前記機器情報と紐付けられた前記テナント情報が示す前記テナントのテナント管理者の端末装置に対して、ログイン操作したユーザの招待を促す制御部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
各組織をテナントという単位に切り分け、テナント単位で契約して業務等のためのアプリケーションを購入することで、組織毎の予算および状況に合わせてアプリケーションをカスタマイズすることができる。また、ある機器でアプリケーションを使う際にはこのテナントに結び付けて使うという方法が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ある機器が既にある部署のテナントに紐づいて使われているときに、同じ階の別部署も使いたいといった場合に2つのテナントを切り替えて使うのは効率が悪いので、既に紐づけられているテナントに追加でユーザの招待を行いたいというケースが存在する。また、テナントは、サービスを提供する際、企業または組織の単位で異なる契約、設定、運用をするため等に、ユーザをまとめた概念として作られる。そのため、特定のテナントに所属するユーザが、他のテナントから招待を受ける場合は、招待をするテナント側から招待を受けるユーザに対して招待する必要があるため、管理者に対してテナント招待を別途依頼する必要がある。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、所属テナントが異なるユーザがテナント管理者に対して利用申請をした場合に、テナント管理者の手間を最小限にしつつ別テナントの機器が利用可能となる情報処理システム、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、サービス提供範囲を区切るためのテナントを定義したテナント情報に紐付けて、当該テナント情報が示す前記テナントに所属するユーザの識別に利用するユーザ情報と、当該テナント情報が示す前記テナントに所属する機器の識別に利用する機器情報と、を記憶する記憶部と、利用申請が行われた前記機器である利用申請機器の前記機器情報と紐付けられた前記テナント情報以外の前記テナント情報と紐付けられる前記ユーザ情報が示すユーザが、前記利用申請機器へのログイン操作をした場合、前記利用申請機器を利用できないことを当該利用申請機器に表示し、かつ前記利用申請機器の前記機器情報と紐付けられた前記テナント情報が示す前記テナントのテナント管理者の端末装置に対して、ログイン操作したユーザの招待を促す制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、所属テナントが異なるユーザがテナント管理者に対して利用申請をした場合に、テナント管理者の手間を最小限にしつつ別テナントの機器が利用可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施の形態にかかる情報処理システムにおいてユーザを新しいテナントに招待する処理の一例を説明するための図である。
図2図2は、本実施の形態にかかる情報処理システムのネットワーク配置の一例を示す図である。
図3図3は、本実施の形態にかかる情報処理システムが有するワークフローサービス(サーバ)およびPCのハードウェア構成図である。
図4図4は、本実施の形態にかかるMFPのハードウェア構成図である。
図5図5は、本実施の形態にかかる情報処理システムのワークフローサービスの機能構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、本実施の形態にかかる情報処理システムにおいてMFPに対するログイン操作時に実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7図7は、本実施の形態にかかる情報処理システムにおいてMFPに表示するアプリ利用画面の一例を示す図である。
図8図8は、本実施の形態にかかる情報処理システムにおいてテナント管理者が利用申請管理画面を操作した際に実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9図9は、本実施の形態にかかる情報処理システムにおいてテナント管理者のPCに表示される招待承認画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
図1は、本実施の形態にかかる情報処理システムにおいてユーザを新しいテナントに招待する処理の一例を説明するための図である。具体的には、図1は、テナントAのユーザがテナントBに所属しているMFP(Multi-Function Peripheral)9上で操作をしたい場合に、テナントBの管理者(テナント管理者)に対して、当該MFP9を通して申請を行い、テナントAのユーザが当該MFP9を操作するまでの流れを概念で表した図である。ここで、テナントA,Bは、サービスの提供範囲(以下、サービス提供範囲という)の区切りを表す。
【0010】
まず、テナントAのユーザが、テナントBに所属するMFP9が有する画面で招待申請の操作を実施すると(ステップS1)、当該MFP9は、テナントBのテナント管理者を特定し、特定したテナント管理者Mに対して、承認依頼メールを送信する(ステップS2)。
【0011】
次に、テナントBのテナント管理者は、承認依頼メールを受信すると、テナントAのユーザによるテナントBのMFP9の操作の承認を実施し、テナントAのユーザに対して承認した旨を伝える(ステップS3)。その後、テナントAのユーザは、テナントBに招待され(ステップS4)、テナントBに所属のMFP9を利用可能になる(ステップS5)。
【0012】
図2は、本実施の形態にかかる情報処理システムのネットワーク配置の一例を示す図である。本実施の形態にかかる情報処理システムは、図2に示すように、テナント管理者の端末装置の一例であるPC(Personal Computer)5、ワークフローサービス300、および、機器の一例であるMFP9を有する。本実施の形態では、ワークフローサービス300は、クラウド上に配置される。また、テナント管理者のPC5およびMFP9は、ユーザが直接操作を実施する。
【0013】
図3は、本実施の形態にかかる情報処理システムが有するワークフローサービス(サーバ)およびPCのハードウェア構成図である。ここでは、PC5のハードウェア構成について説明するが、ワークフローサービス300も同様のハードウェア構成を有する。
【0014】
図3に示されているように、PC5は、コンピュータによって構築されており、図3に示されているように、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、HD(Hard Disk)504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、データバス510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0015】
これらのうち、CPU501は、PC5全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、または画像等の各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。データバス510は、図5に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0016】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動等を行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0017】
図4は、本実施の形態にかかるMFPのハードウェア構成図である。図4に示されているように、MFP(Multi-function Peripheral/Product/Printer)9は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0018】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、および、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0019】
これらのうち、CPU901は、MFP9の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、およびAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書き等を制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0020】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムおよびデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムやデータの展開、およびメモリ印刷時の描画用メモリ等として用いるRAM902bを有する。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0021】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDD908およびMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジック等により画像データの回転等を行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931およびプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットとを有する。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0022】
MEM-C907は、コピー用画像バッファおよび符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出または書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0023】
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0024】
更に、エンジン制御部930は、スキャナ部931およびプリンタ部932によって構成されている。また、操作パネル940は、現在の設定値および選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件等の画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキーおよびコピー開始指示を受け付けるスタートキー等を有する操作パネル940bを備えている。コントローラ910は、MFP9全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931またはプリンタ部932には、誤差拡散およびガンマ変換等の画像処理部分が含まれている。
【0025】
なお、MFP9は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0026】
また、ネットワークI/F950は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路920およびネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0027】
図5は、本実施の形態にかかる情報処理システムのワークフローサービスの機能構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態では、制御部525、および記憶部526を有する。
【0028】
記憶部526は、サービス提供範囲を区切るためのテナントを定義したテナント情報に紐付けて、当該テナント情報が示すテナントに所属するユーザの識別に利用するユーザ情報と、当該テナント情報が示すテナントに所属するMFP9(機器の一例)の識別に利用する機器情報と、を記憶する記憶部の一例である。
【0029】
本実施の形態では、記憶部526は、テナントテーブル521、ユーザテーブル522、MFPテーブル523、および利用申請テーブル524を記憶する。
【0030】
テナントテーブル521は、下記表1に示すように、テナントIDと、テナント名と、を対応付ける。ここで、テナントIDは、テナントの識別情報である。テナント名は、テナントの名称である。テナントIDおよびテナント名は、テナント情報の一例である。
【表1】
【0031】
ユーザテーブル522は、下記表2に示すように、ユーザIDと、テナントIDと、ユーザ名と、メールアドレスと、パスワードと、ロールと、を対応付ける。ここで、ユーザIDは、ユーザの識別情報である。テナントIDは、ユーザが所属するテナントのテナントIDである。ユーザ名は、ユーザの名称である。メールアドレスは、ユーザのメールアドレスである。パスワードは、ユーザがMFP9を利用する際のログインに利用するパスワードである。ロールは、ユーザの役職(例えば、テナント管理者)を表す。ユーザが所属するテナントは、テナントIDで判断する。テナントIDは、テナントテーブル521のテナントID列に紐づく。ユーザID、ユーザ名、メールアドレス、ロール等は、ユーザ情報の一例である。
【表2】
【0032】
MFPテーブル523は、下記表3に示すように、MFP IDと、テナントIDと、機番と、名前と、を対応付ける。ここで、MFP IDは、MFP9の識別情報である。テナントIDは、MFP9が属するテナントのテナントIDである。機番は、MFP9の機種の番号である。名前は、MFP9の名前である。MFP9が所属するテナントは、テナントIDで判断する。そして、テナントIDは、テナントテーブル521のテナントIDの列に紐づく。MFP ID、機番、名前等は、機器情報の一例である。
【表3】
【0033】
利用申請テーブル524は、ユーザによるMFP9に対する利用申請の状態(以下、利用申請状態という)を表すデータテーブルの一例である。本実施の形態では、利用申請テーブル524は、下記表4に示すように、利用申請IDと、利用元ユーザIDと、利用先テナントIDと、利用先ゲストユーザIDと、利用申請状態と、を対応付ける。ここで、利用申請IDは、ユーザからのMFP9に対する利用申請の識別情報である。利用元ユーザIDは、MFP9に対する利用申請を行ったユーザのユーザIDである。MFP9の利用申請を実施したユーザは、MFP9からログインを実行している前提であるため、ログイン時のユーザID(利用元ユーザID)によって判別する。
【0034】
利用先テナントIDは、利用申請されたMFP9が所属するテナントのテナントIDである。具体的には、利用先テナントIDは、MFP9の利用申請を実施したユーザが操作をしたMFP9が所属するテナントのテナントIDである。利用先ゲストユーザIDは、利用申請したユーザに付与されるユーザの識別情報である。利用申請状態は、MFP9に対する利用申請の状態(例えば、申請中、許可、拒否)である。利用申請状態は、初期状態では申請中になり、テナント管理者の操作によってその状態が許可または拒否のいずれかに変更される。利用先ゲストユーザについては後述する。
【表4】
【0035】
例えば、テナント管理者が、ユーザによるMFP9の利用申請を許可した場合、ワークフローサービス300は、下記表5に示すように、利用申請が許可されたユーザのユーザID(利用元ユーザID:3)をユーザテーブル522に保存する。その際、ワークフローサービス300は、下記表5に示すように、利用申請テーブル524において、ユーザテーブル522に追加した利用元ユーザIDと対応付けられる利用申請状態を、申請中から許可に変更する。
【表5】
【0036】
また、例えば、テナント管理者が、ユーザによるMFP9の利用申請を許可した場合、ワークフローサービス300は、下記表6に示すように、ユーザテーブル522において、利用申請が許可されたユーザのユーザID(例えば、テナントに追加されたユーザA-2のユーザID)と対応付けるロールに、ゲストとしてユーザA-2を追加する。さらに、ワークフローサービス300は、下記表6に示すように、ユーザA-2のユーザ名、メールアドレス、パスワードを、利用申請の利用元ユーザIDに基づいて、ユーザテーブル522から取得して、ユーザID:7と対応付けて保存する。
【表6】
【0037】
また、例えば、テナント管理者Mが、ユーザによるMFP9の利用申請を拒否した場合、ワークフローサービス300は、下記表7に示すように、利用申請テーブル524において、利用元ユーザIDと対応付けられる利用申請状態を、申請中から拒否に変更する。
【表7】
【0038】
制御部525は、利用申請が行われたMFP9である利用申請機器の機器情報と紐付けられたテナント情報以外のテナント情報と紐付けられるユーザ情報が示すユーザが、利用申請機器へのログイン操作をした場合、利用申請機器を利用できないことを当該利用申請機器(例えば、利用申請機器の操作パネル940)に表示する。さらに、制御部525は、利用申請機器の機器情報と紐付けられたテナント情報が示すテナントのテナント管理者のPC5に対して、ログイン操作したユーザの招待を促す。
【0039】
これにより、MFP9とログインユーザが所属しているテナントが異なる場合に、MFP9上に利用申請が可能な画面を表示し、MFP9が所属するテナントのテナント管理者に対して利用申請を通知し、他のテナントのユーザにMFP9の利用許可を与えるので、ユーザ、テナント管理者は簡単な操作で他のテナントのMFP9の利用を許可または拒否することができる。その結果、所属テナントが異なるユーザがテナント管理者に対して利用申請をした場合に、テナント管理者の手間を最小限にしつつ別テナントの機器が利用可能となる。
【0040】
本実施の形態では、制御部525は、利用申請機器の機器情報と紐付けられたテナント情報が示すテナントの全てのテナント管理者を特定し、当該特定した全てのテナント管理者のPC5に対して、ログイン操作したユーザの招待を促す。例えば、制御部525は、利用申請機器の機器情報と紐付けられたテナント情報が示すテナントのテナント管理者のPC5に対して、ログイン操作したユーザの招待を促すメールを送信しても良い。
【0041】
そして、制御部525は、テナント管理者がPC5において、MFP9に対してログイン操作したユーザを招待する操作を行った場合、招待されたユーザによる利用申請機器の利用を承認する。また、制御部525は、テナント管理者のPC5におけるユーザの招待の許可または拒否に応じた、招待されたユーザによる利用申請機器の利用の承認結果を示すメールを利用申請機器に送信する。
【0042】
図6は、本実施の形態にかかる情報処理システムにおいてMFPに対するログイン操作時に実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。ユーザがMFP9を操作してワークフローサービス300へのアクセスを要求すると、ワークフローサービス300の制御部525は、MFP9の操作パネル940に対してログイン画面を表示する(ステップS601)。ここで、ログイン画面は、ログイン操作を行うユーザのユーザID、メールアドレス、パスワード、MFP9の機番等が入力可能な画面である。
【0043】
次に、MFP9の操作パネル940に表示されたログイン画面においてユーザがログイン操作を実行すると(ステップS602)、MFP9は、当該MFP9の機番、ログイン操作を行ったユーザのユーザID、メールアドレス、およびパスワード等をワークフローサービス300に送信する。本実施の形態では、MFP9は、ログイン画面において入力される機番を、ワークフローサービス300に送信しているが、当該MFP9自身の機番を自動的にワークフローサービスに送信しても良い。
【0044】
ワークフローサービス300の制御部525は、MFP9から、当該MFP9の機番、ログイン操作を行ったユーザのメールアドレス、パスワード等を受信する(ステップS603)。そして、制御部525は、ログイン操作を行ったユーザIDおよび受信したパスワード等を用いて、ログイン操作を行ったユーザの認証処理を実行する(ステップS604)。
【0045】
ユーザの認証に失敗した場合(ステップS604:No)、制御部525は、MFP9の操作パネル940に対して、ユーザの認証に失敗したメッセージを含むログイン画面を表示する(ステップS605)。一方、ユーザの認証に成功した場合(ステップS604:Yes)、制御部525は、MFP9の所属テナントとログインユーザの所属テナントとが異なるか、またはログインユーザにMFP9の利用許可がないか否かを判断する(ステップS606)。
【0046】
MFP9の所属テナントとログインユーザの所属テナントとが同じである場合、またはログインユーザにMFP9の利用許可がある場合(ステップS606:No)、制御部525は、MFP9の操作パネル940に対して、MFP9を利用可能とするアプリ利用画面を表示する(ステップS607)。
【0047】
一方、MFP9の所属テナントとログインユーザの所属テナントとが異なる場合、またはログインユーザにMFP9の利用許可がない場合(ステップS606:Yes)、制御部525は、MFP9の操作パネル940に対して、MFP9の利用申請が可能な利用申請画面を表示する(ステップS608)。これにより、制御部525は、利用申請機器を利用できないことをMFP9に表示する。
【0048】
図7は、本実施の形態にかかる情報処理システムにおいてMFPに表示するアプリ利用画面の一例を示す図である。本実施の形態では、制御部525は、図7に示すように、MFP9の利用申請を行うことを指示するボタンB1、およびMFP9の利用申請を行わないことを指示するボタンB2を含む利用申請画面を、MFP9の操作パネル940に表示する。
【0049】
図6に戻り、その後、MFP9の操作パネル940に表示される利用申請画面においてユーザがMFP9の利用申請を行うと(ステップS609)、制御部525は、利用申請データを作成する(ステップS610)。次いで、制御部525は、作成した利用申請データを、MFP9の所属テナントのテナント管理者のPC5に送信する(ステップS611)。
【0050】
図8は、本実施の形態にかかる情報処理システムにおいてテナント管理者が利用申請管理画面を操作した際に実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。テナント管理者のPC5は、ワークフローサービス300から利用申請データを受信すると、ログインユーザによる利用申請を許可するか否かを入力可能な招待承認画面をディスプレイ506に表示する(ステップS801)。
【0051】
図9は、本実施の形態にかかる情報処理システムにおいてテナント管理者のPCに表示される招待承認画面の一例を示す図である。本実施の形態では、テナント管理者のPC200は、図9に示すように、ログインユーザによる利用申請を許可することを指示するボタンB3、およびログインユーザによる利用申請を拒否することを指示するボタンB4を含む招待承認画面をディスプレイ506に表示する。
【0052】
図8に戻り、次いで、テナント管理者は、利用申請画面において、ログインユーザによる利用申請を許可するか否かを入力する。利用申請画面においてログインユーザによる利用申請を許可することが入力された場合(ステップS802:Yes)、テナント管理者のPC5は、ゲストユーザIDを作成して、当該作成したゲストユーザIDをワークフローサービス300に送信する(ステップS803)。
【0053】
次に、ワークフローサービス300の制御部525は、利用申請テーブル524において、利用元ユーザID(ログインユーザのユーザID)と対応付けられる利用申請状態を許可に変更する(ステップS804)。すなわち、制御部525は、テナント管理者がPC5において、利用申請機器に対してログイン操作したユーザを招待する操作を行った場合、招待されたユーザによる利用申請機器の利用を承認する。さらに、制御部525は、ゲストユーザ(ログインユーザ)がログイン操作したMFP9に対して、当該MFP9の利用が許可されたことを示すメールを送信する(ステップS805)。すなわち、制御部525は、テナント管理者のPC5におけるユーザの招待が許可されたことを示すメールを利用申請機器に送信する。
【0054】
一方、利用申請画面においてログインユーザによる利用申請を拒否することが入力された場合(ステップS802:No)、テナント管理者のPC5は、MFP9の利用申請が拒否されたことをワークフローサービス300に通知する。MFP9の利用申請が拒否されたことが通知されると、ワークフローサービス300の制御部525は、利用申請テーブル524において、利用元ユーザIDと対応付けられる利用申請状態を拒否に変更する(ステップS806)。さらに、制御部525は、ログインユーザ(申請元ユーザ)がログイン操作したMFP9に対して、当該MFP9の利用が拒否されたことを示すメールを送信する(ステップS807)。すなわち、制御部525は、テナント管理者のPC5におけるユーザの招待が拒否されたことを示すメールを利用申請機器に送信する。
【0055】
このように、本実施の形態にかかる情報処理システムによれば、MFP9とログインユーザが所属しているテナントが異なる場合に、MFP9上に利用申請が可能な画面を表示し、MFP9が所属するテナントのテナント管理者に対して利用申請を通知し、他のテナントのユーザにMFP9の利用許可を与えるので、ユーザ、テナント管理者は簡単な操作で他のテナントのMFP9の利用を許可または拒否することができる。その結果、所属テナントが異なるユーザがテナント管理者に対して利用申請をした場合に、テナント管理者の手間を最小限にしつつ別テナントの機器が利用可能となる。
【0056】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0057】
実施例に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。ある実施形態では、ワークフローサービス300は、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。同様に、PC5は、互いに通信するように構成された複数のコンピューティングデバイスを含むことができる。
【0058】
さらに、ワークフローサービス300およびPC5は、開示された処理ステップ、例えば、図5を様々な組み合わせで共有するように構成できる。例えば、ワークフローサービス300によって実行されるプロセスは、PC5によって実行され得る。同様に、PC5の機能は、ワークフローサービス300によって実行することができる。また、ワークフローサービス300とPC5の各要素は、1つのサーバ装置にまとめられていても良いし、複数の装置に分けられていても良い。
【0059】
なお、MFP9等の機器は、通信機能を備えた装置であれば、画像形成装置に限られない。機器は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、自動車(Connected Car)、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等であってもよい。
【0060】
なお、本実施の形態のワークフローサービス300で実行されるプログラムは、ROM502等に予め組み込まれて提供される。本実施の形態のワークフローサービス300で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0061】
さらに、本実施の形態のワークフローサービス300で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態のワークフローサービス300で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0062】
本実施の形態のワークフローサービス300で実行されるプログラムは、上述した各部(制御部525)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU501(プロセッサの一例)が上記ROM502からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、制御部525が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0063】
5 PC
9 MFP
300 ワークフローサービス
501 CPU
502 ROM
503 RAM
940 操作パネル
521 テナントテーブル
522 ユーザテーブル
523 MFPテーブル
524 利用申請テーブル
525 制御部
526 記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】特開2019-036141号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9