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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095345
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 41/06 20120101AFI20230629BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20230629BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20230629BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
B24B41/06 L
B24B7/04 Z
B24B49/10
H01L21/304 622R
H01L21/304 648A
H01L21/304 648G
H01L21/304 644A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211169
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】柏木 誠
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
5F057
5F157
【Fターム(参考)】
3C034AA20
3C034BB79
3C034BB92
3C034CA15
3C034CA24
3C034CB13
3C034DD18
3C043BA03
3C043BA16
3C043DD04
3C043DD05
3C043DD06
5F057AA21
5F057AA53
5F057BA11
5F057CA13
5F057DA02
5F057DA06
5F057DA39
5F057EB04
5F057GA03
5F057GA11
5F057GA16
5F057GB02
5F057GB03
5F057GB21
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157AB96
5F157AC01
5F157AC13
5F157BA08
5F157CD25
5F157CD27
5F157CD29
5F157CE03
5F157CE83
5F157CF40
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF50
5F157DA31
5F157DB02
5F157DB37
(57)【要約】
【課題】基板がローラに適切に保持されているか否かを監視可能な基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理方法では、基準軸13aと、可動軸13bとを含む3つ以上の偏心軸13a,13bに固定された3つ以上のローラ11a,11bを、ノッチNwを有する基板Wの周縁部に接触させ、3つ以上のローラ11a,11bを円運動させることで、基板Wをその軸心を中心に回転させ、かつ基板Wを円運動させ、処理具201を、回転および円運動する基板Wに接触させて該基板Wを処理する。さらに、基板Wの処理中に、ノッチNwが可動軸13bを通過したことを検知するノッチ検出センサ77の測定値に基づいて、基板Wの回転速度を算出し、算出された基板Wの回転速度が基板Wの理論上の回転速度に対して設定された許容範囲から逸脱した場合は、警報を発する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの基準軸と、前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に変位可能な少なくとも1つの可動軸とを含む3つ以上の偏心軸に固定された3つ以上のローラを、ノッチを有する基板の周縁部に接触させ、前記偏心軸のそれぞれは、電動機に連結される第1軸部と、第1軸部から偏心し、前記ローラが固定された第2軸部と、を有しており、
前記3つ以上の偏心軸の第1軸部をそれぞれの軸心を中心に回転させて、前記3つ以上のローラを円運動させることにより、前記基板をその軸心を中心に回転させ、かつ前記基板を円運動させ、
処理具を、前記回転および円運動する基板に接触させて該基板を処理し、
前記基板の処理中に、前記ノッチが前記可動軸を通過したことを検知するノッチ検出センサの測定値に基づいて、前記基板の回転速度を算出し、
前記算出された基板の回転速度が前記基板の理論上の回転速度に対して設定された許容範囲から逸脱した場合は、警報を発する、基板処理方法。
【請求項2】
前記算出された基板の回転速度が前記許容範囲の下限を下回った場合に、前記基板の回転速度と前記理論上の回転速度の差または比に基づいて前記基板に追加処理を行う工程を、さらに備える、請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記ノッチ検出センサは、前記可動軸が前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に移動する際に発生する加速度を測定する加速度センサである、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記ノッチ検出センサは、前記可動軸が前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に移動する際の前記可動軸の移動距離を測定する距離センサである、請求項1または2に記載の基板処理方法。
【請求項5】
少なくとも1つの基準軸と、前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に変位可能な少なくとも1つの可動軸とを含む3つ以上の偏心軸に固定された3つ以上のローラを、ノッチを有する基板の周縁部に接触させ、前記偏心軸のそれぞれは、電動機に連結される第1軸部と、第1軸部から偏心し、前記ローラが固定された第2軸部と、を有しており、
前記3つ以上の偏心軸の第1軸部をそれぞれの軸心を中心に回転させて、前記3つ以上のローラを円運動させることにより、前記基板をその軸心を中心に回転させ、かつ前記基板を円運動させ、
処理具を、前記回転および円運動する基板に接触させて該基板を処理し、
前記基板の処理中に、前記可動軸の移動距離を距離センサで測定するとともに、前記ノッチが前記可動軸を通過したことをノッチ検出センサで検知し、
前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱し、かつ前記ノッチ検出センサが前記ノッチを検出していない場合に、警報を発し、
前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱し、かつ前記ノッチ検出センサが前記ノッチを検出している場合には、警報を発しない、基板処理方法。
【請求項6】
前記ノッチ検出センサの前記ノッチの検出時点前後の、前記ローラの所定の回転角度の間は、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱しても、警報をキャンセルする、請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項7】
少なくとも1つの基準軸と、前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に変位可能な少なくとも1つの可動軸とを含む3つ以上の偏心軸に固定された3つ以上のローラを、ノッチを有する基板の周縁部に接触させ、前記偏心軸のそれぞれは、電動機に連結される第1軸部と、第1軸部から偏心し、前記ローラが固定された第2軸部と、を有しており、
前記3つ以上の偏心軸の第1軸部をそれぞれの軸心を中心に回転させて、前記3つ以上のローラを円運動させることにより、前記基板をその軸心を中心に回転させ、かつ前記基板を円運動させ、
処理具を、前記回転および円運動する基板に接触させて該基板を処理し、
前記基板の処理中に、前記可動軸の移動距離を距離センサで測定するとともに、前記ノッチが前記可動軸を通過したことを前記距離センサで検知し、
前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱し、かつ前記距離センサが前記ノッチを検出していない場合に、警報を発し、
前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱し、かつ前記距離センサが前記ノッチを検出している場合には、警報を発しない、基板処理方法。
【請求項8】
前記距離センサの前記ノッチの検出時点前後の、前記ローラの所定の回転角度の間は、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱しても、警報をキャンセルする、請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
少なくとも1つの基準軸と、少なくとも1つの可動軸とを含み、第1軸部と、第1軸部から偏心する第2軸部と、をそれぞれ有する3つ以上の偏心軸と、
前記3つ以上の偏心軸の第2軸部にそれぞれ固定され、ノッチを有する基板の周縁部に接触可能な3つ以上のローラと、
前記3つ以上の偏心軸の第1軸部をそれぞれの軸心を中心に回転させて、前記3つ以上のローラを円運動させることにより、前記基板をその軸心を中心に回転させ、かつ前記基板を円運動させる3つ以上の電動機と、
前記少なくとも1つの可動軸を前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に変位させるアクチュエータと、
前記回転および円運動する基板の表面に接触して、該基板の表面を処理する処理具と、
前記ノッチが前記可動軸を通過したことを検知するノッチ検出センサと、
前記ノッチ検出センサが接続される制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記基板の処理中に、前記ノッチ検出センサの測定値に基づいて、前記基板の回転速度を算出し、
前記算出された基板の回転速度が前記基板の理論上の回転速度に対して設定された許容範囲から逸脱した場合は、警報を発する、基板処理装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記算出された基板の回転速度が前記許容範囲の下限を下回った場合に、前記基板の回転速度と前記理論上の回転速度の差または比に基づいて前記基板に追加処理を行う、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記ノッチ検出センサは、前記可動軸が前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に移動する際に発生する加速度を測定する加速度センサである、請求項9または10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記ノッチ検出センサは、前記可動軸が前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に移動する際の前記可動軸の移動距離を測定する距離センサである、請求項9または10に記載の基板処理装置。
【請求項13】
少なくとも1つの基準軸と、少なくとも1つの可動軸とを含み、第1軸部と、第1軸部から偏心する第2軸部と、をそれぞれ有する3つ以上の偏心軸と、
前記3つ以上の偏心軸の第2軸部にそれぞれ固定され、ノッチを有する基板の周縁部に接触可能な3つ以上のローラと、
前記3つ以上の偏心軸の第1軸部をそれぞれの軸心を中心に回転させて、前記3つ以上のローラを円運動させることにより、前記基板をその軸心を中心に回転させ、かつ前記基板を円運動させる3つ以上の電動機と、
前記少なくとも1つの可動軸を前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に変位させるアクチュエータと、
前記回転および円運動する基板の表面に接触して、該基板の表面を処理する処理具と、
前記ノッチが前記可動軸を通過したことを検知するノッチ検出センサと、
前記可動軸が前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に移動する際の前記可動軸の移動距離を測定する距離センサと、
前記ノッチ検出センサおよび前記距離センサが接続される制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記基板の処理中に、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱し、かつ前記ノッチ検出センサが前記ノッチを検出していない場合に、警報を発し、
前記基板の処理中に、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱し、かつ前記ノッチ検出センサが前記ノッチを検出している場合には、警報を発しない、基板処理装置。
【請求項14】
前記制御装置は、前記ノッチ検出センサの前記ノッチの検出時点前後の、前記ローラの所定の回転角度の間は、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱しても、警報をキャンセルする、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
少なくとも1つの基準軸と、少なくとも1つの可動軸とを含み、第1軸部と、第1軸部から偏心する第2軸部と、をそれぞれ有する3つ以上の偏心軸と、
前記3つ以上の偏心軸の第2軸部にそれぞれ固定され、ノッチを有する基板の周縁部に接触可能な3つ以上のローラと、
前記3つ以上の偏心軸の第1軸部をそれぞれの軸心を中心に回転させて、前記3つ以上のローラを円運動させることにより、前記基板をその軸心を中心に回転させ、かつ前記基板を円運動させる3つ以上の電動機と、
前記少なくとも1つの可動軸を前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に変位させるアクチュエータと、
前記回転および円運動する基板の表面に接触して、該基板の表面を処理する処理具と、
前記可動軸が前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に移動する際の前記可動軸の移動距離を測定するとともに、前記ノッチが前記可動軸を通過したことを検知する距離センサと、
前記距離センサが接続される制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記基板の処理中に、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱し、かつ前記距離センサが前記ノッチを検出していない場合に、警報を発し、
前記基板の処理中に、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱し、かつ前記距離センサが前記ノッチを検出している場合には、警報を発しない、基板処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記距離センサの前記ノッチの検出時点前後の、前記ローラの所定の回転角度の間は、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱しても、警報をキャンセルする、請求項15に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハなどの基板を処理する基板処理方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリー回路、ロジック回路、イメージセンサ(例えばCMOSセンサー)などのデバイスは、より高集積化されつつある。これらのデバイスを形成する工程においては、微粒子や塵埃などの異物がデバイスに付着することがある。デバイスに付着した異物は、配線間の短絡や回路の不具合を引き起こしてしまう。したがって、デバイスの信頼性を向上させるために、デバイスが形成された基板(例えば、ウエハ)に処理具(例えば、洗浄具)を接触させることで洗浄して、基板上の異物を除去することが必要とされる。
【0003】
基板の裏面(例えば、ベアシリコン面)にも、上述したような微粒子や粉塵などの異物が付着することがある。このような異物が基板の裏面に付着すると、基板が露光装置のステージ基準面から離間したり、基板の表面がステージ基準面に対して傾いたりして、パターニングのずれや焦点距離のずれが生じることとなる。このような問題を防止するために、基板の裏面に処理具(例えば、研磨具)を接触させて、付着した異物を除去することが必要とされる。
【0004】
最近では、基板の表面の全体をより効率的に処理することができる装置への要請が高まっている。そこで、複数の偏心軸に連結された複数のローラによって基板の周縁部を把持し、偏心軸自体の位置は静止したままで各偏心軸をその軸心を中心に回転させることで基板を円運動させながら、基板をその軸心を中心に回転させる基板保持装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような基板保持装置を使用した基板処理装置では、ローラが処理具に接触することなく、処理具は、基板の表面の最外部を含む表面全体を処理することができる。また、このような円運動と基板の軸心を中心とした回転との組み合わせは、基板の表面上の各点での速度を上げることができ、結果として、基板の処理の効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-2639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数の偏心軸に連結された複数のローラによって基板を円運動させながら、基板をその軸心を中心に回転させる場合、基板の直径とローラの直径との比、およびローラの回転速度に基づいて、基板の回転速度を間接的に求めることは可能である。一方で、基板の回転速度を直接的に測定することは困難である。そのため、従来の基板処理装置では、ローラの回転速度を制御することで、基板の理論上の回転速度を設定回転速度に一致させている。
【0007】
しかしながら、基板の実際の回転速度が理論上の回転速度から乖離することがある。実際の回転速度が理論上の回転速度から乖離する原因の例としては、(1)各ローラ間の製造および/または加工上の誤差(例えば、各ローラ間の基板接触面の直径の誤差)、(2)各基板間の直径(または、各基板間の周長)の誤差、(3)ローラの基板把持力低下に伴って発生するローラの基板接触面上での基板のスリップ、(4)処理具と基板の表面との間の摩擦力の大きさに起因するローラの基板接触面上での基板のスリップ、および(5)ローラの基板接触面の摩耗(ローラの直径変化)などが挙げられる。
【0008】
基板の実際の回転速度が理論上の回転速度から乖離すると、基板の処理性能(例えば、洗浄性能、または研磨性能)に悪影響が生じる可能性がある。例えば、基板の裏面に研磨具を接触させて、基板の裏面を異物とともに若干研磨する基板処理装置では、基板の円運動の回転速度に対する基板の回転速度が低下すると、基板の研磨レートが低下すると予想される。
【0009】
そこで、本発明は、基板がローラに適切に保持されているか否かを監視可能な基板処理方法および基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、少なくとも1つの基準軸と、前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に変位可能な少なくとも1つの可動軸とを含む3つ以上の偏心軸に固定された3つ以上のローラを、ノッチを有する基板の周縁部に接触させ、前記偏心軸のそれぞれは、電動機に連結される第1軸部と、第1軸部から偏心し、前記ローラが固定された第2軸部と、を有しており、前記3つ以上の偏心軸の第1軸部をそれぞれの軸心を中心に回転させて、前記3つ以上のローラを円運動させることにより、前記基板をその軸心を中心に回転させ、かつ前記基板を円運動させ、処理具を、前記回転および円運動する基板に接触させて該基板を処理し、前記基板の処理中に、前記ノッチが前記可動軸を通過したことを検知するノッチ検出センサの測定値に基づいて、前記基板の回転速度を算出し、前記算出された基板の回転速度が前記基板の理論上の回転速度に対して設定された許容範囲から逸脱した場合は、警報を発する、基板処理方法が提供される。
【0011】
一態様では、前記基板処理方法は、前記算出された基板の回転速度が前記許容範囲の下限を下回った場合に、前記基板の回転速度と前記理論上の回転速度の差または比に基づいて前記基板に追加処理を行う工程を、さらに備える。
一態様では、前記ノッチ検出センサは、前記可動軸が前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に移動する際に発生する加速度を測定する加速度センサである。
一態様では、前記ノッチ検出センサは、前記可動軸が前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に移動する際の前記可動軸の移動距離を測定する距離センサである。
【0012】
一態様では、少なくとも1つの基準軸と、前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に変位可能な少なくとも1つの可動軸とを含む3つ以上の偏心軸に固定された3つ以上のローラを、ノッチを有する基板の周縁部に接触させ、前記偏心軸のそれぞれは、電動機に連結される第1軸部と、第1軸部から偏心し、前記ローラが固定された第2軸部と、を有しており、前記3つ以上の偏心軸の第1軸部をそれぞれの軸心を中心に回転させて、前記3つ以上のローラを円運動させることにより、前記基板をその軸心を中心に回転させ、かつ前記基板を円運動させ、処理具を、前記回転および円運動する基板に接触させて該基板を処理し、前記基板の処理中に、前記可動軸の移動距離を距離センサで測定するとともに、前記ノッチが前記可動軸を通過したことをノッチ検出センサで検知し、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱し、かつ前記ノッチ検出センサが前記ノッチを検出していない場合に、警報を発し、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱し、かつ前記ノッチ検出センサが前記ノッチを検出している場合には、警報を発しない、基板処理方法が提供される。
一態様では、前記ノッチ検出センサの前記ノッチの検出時点前後の、前記ローラの所定の回転角度の間は、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱しても、警報をキャンセルする。
【0013】
一態様では、少なくとも1つの基準軸と、前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に変位可能な少なくとも1つの可動軸とを含む3つ以上の偏心軸に固定された3つ以上のローラを、ノッチを有する基板の周縁部に接触させ、前記偏心軸のそれぞれは、電動機に連結される第1軸部と、第1軸部から偏心し、前記ローラが固定された第2軸部と、を有しており、前記3つ以上の偏心軸の第1軸部をそれぞれの軸心を中心に回転させて、前記3つ以上のローラを円運動させることにより、前記基板をその軸心を中心に回転させ、かつ前記基板を円運動させ、処理具を、前記回転および円運動する基板に接触させて該基板を処理し、前記基板の処理中に、前記可動軸の移動距離を距離センサで測定するとともに、前記ノッチが前記可動軸を通過したことを前記距離センサで検知し、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱し、かつ前記距離センサが前記ノッチを検出していない場合に、警報を発し、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱し、かつ前記距離センサが前記ノッチを検出している場合には、警報を発しない、基板処理方法が提供される。
一態様では、前記距離センサの前記ノッチの検出時点前後の、前記ローラの所定の回転角度の間は、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱しても、警報をキャンセルする。
【0014】
一態様では、少なくとも1つの基準軸と、少なくとも1つの可動軸とを含み、第1軸部と、第1軸部から偏心する第2軸部と、をそれぞれ有する3つ以上の偏心軸と、前記3つ以上の偏心軸の第2軸部にそれぞれ固定され、ノッチを有する基板の周縁部に接触可能な3つ以上のローラと、前記3つ以上の偏心軸の第1軸部をそれぞれの軸心を中心に回転させて、前記3つ以上のローラを円運動させることにより、前記基板をその軸心を中心に回転させ、かつ前記基板を円運動させる3つ以上の電動機と、前記少なくとも1つの可動軸を前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に変位させるアクチュエータと、前記回転および円運動する基板の表面に接触して、該基板の表面を処理する処理具と、前記ノッチが前記可動軸を通過したことを検知するノッチ検出センサと、前記ノッチ検出センサが接続される制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記基板の処理中に、前記ノッチ検出センサの測定値に基づいて、前記基板の回転速度を算出し、前記算出された基板の回転速度が前記基板の理論上の回転速度に対して設定された許容範囲から逸脱した場合は、警報を発する、基板処理装置が提供される。
【0015】
一態様では、前記制御装置は、前記算出された基板の回転速度が前記許容範囲の下限を下回った場合に、前記基板の回転速度と前記理論上の回転速度の差または比に基づいて前記基板に追加処理を行う。
一態様では、前記ノッチ検出センサは、前記可動軸が前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に移動する際に発生する加速度を測定する加速度センサである。
一態様では、前記ノッチ検出センサは、前記可動軸が前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に移動する際の前記可動軸の移動距離を測定する距離センサである。
【0016】
一態様では、少なくとも1つの基準軸と、少なくとも1つの可動軸とを含み、第1軸部と、第1軸部から偏心する第2軸部と、をそれぞれ有する3つ以上の偏心軸と、前記3つ以上の偏心軸の第2軸部にそれぞれ固定され、ノッチを有する基板の周縁部に接触可能な3つ以上のローラと、前記3つ以上の偏心軸の第1軸部をそれぞれの軸心を中心に回転させて、前記3つ以上のローラを円運動させることにより、前記基板をその軸心を中心に回転させ、かつ前記基板を円運動させる3つ以上の電動機と、前記少なくとも1つの可動軸を前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に変位させるアクチュエータと、前記回転および円運動する基板の表面に接触して、該基板の表面を処理する処理具と、前記ノッチが前記可動軸を通過したことを検知するノッチ検出センサと、前記可動軸が前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に移動する際の前記可動軸の移動距離を測定する距離センサと、前記ノッチ検出センサおよび前記距離センサが接続される制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記基板の処理中に、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱し、かつ前記ノッチ検出センサが前記ノッチを検出していない場合に、警報を発し、前記基板の処理中に、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱し、かつ前記ノッチ検出センサが前記ノッチを検出している場合には、警報を発しない、基板処理装置が提供される。
一態様では、前記制御装置は、前記ノッチ検出センサの前記ノッチの検出時点前後の、前記ローラの所定の回転角度の間は、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱しても、警報をキャンセルする。
【0017】
一態様では、少なくとも1つの基準軸と、少なくとも1つの可動軸とを含み、第1軸部と、第1軸部から偏心する第2軸部と、をそれぞれ有する3つ以上の偏心軸と、前記3つ以上の偏心軸の第2軸部にそれぞれ固定され、ノッチを有する基板の周縁部に接触可能な3つ以上のローラと、前記3つ以上の偏心軸の第1軸部をそれぞれの軸心を中心に回転させて、前記3つ以上のローラを円運動させることにより、前記基板をその軸心を中心に回転させ、かつ前記基板を円運動させる3つ以上の電動機と、前記少なくとも1つの可動軸を前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に変位させるアクチュエータと、前記回転および円運動する基板の表面に接触して、該基板の表面を処理する処理具と、前記可動軸が前記基準軸に近づく方向および遠ざかる方向に移動する際の前記可動軸の移動距離を測定するとともに、前記ノッチが前記可動軸を通過したことを検知する距離センサと、前記距離センサが接続される制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記基板の処理中に、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱し、かつ前記距離センサが前記ノッチを検出していない場合に、警報を発し、前記基板の処理中に、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱し、かつ前記距離センサが前記ノッチを検出している場合には、警報を発しない、基板処理装置が提供される。
一態様では、前記制御部は、前記距離センサの前記ノッチの検出時点前後の、前記ローラの所定の回転角度の間は、前記距離センサの測定値が所定の許容範囲を逸脱しても、警報をキャンセルする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ノッチ検出センサまたは距離センサが基板が正常に回転しているか否かを監視し、ウエハWの回転に異常が発生した場合に、警報を発する。その結果、基板がローラに適切に保持されているか否かを監視しながら基板の処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、一実施形態に係る基板処理装置を模式的に示す平面図である。
図2図2は、図1に示す基板処理装置の側面図である。
図3図3は、図1に示す基板処理装置の底面図である。
図4図4(a)乃至図4(d)は、基板保持装置がウエハを受け取る動作を説明する模式図である。
図5図5は、一実施形態に係るアクチュエータ18を示す模式図である。
図6図6は、一実施形態に係る隔壁膜を模式的に示す断面図である。
図7図7(a)は、第1圧力室内の圧力が第2圧力室内の圧力よりも高いときのアクチュエータの状態を示す図であり、図7(b)は、第2圧力室内の圧力が第1圧力室内の圧力よりも高いときのアクチュエータの状態を示す図である。
図8図8は、ノッチ検出センサの測定値の一例を示すグラフである。
図9図9は、距離センサの測定値の一例を示すグラフである。
図10図10は、距離センサの他の例を示す模式図である。
図11図11(a)は、距離センサの測定値の一例を示す図であり、図11(b)は、ノッチ検出センサの測定値の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る基板処理装置を模式的に示す平面図であり、図2は、図1に示す基板処理装置の側面図であり、図3は、図1に示す基板処理装置の底面図である。図3では、図1に示す処理具の図示を省略している。図1乃至3に示す基板処理装置100は、基板の一例であるウエハWを保持しながら、該ウエハWを円運動させ、かつウエハWをその軸心を中心に回転させるように構成された基板保持装置10を備えている。
【0021】
基板保持装置10は、ウエハWの周縁部に接触可能な複数のローラ11a,11bと、これら複数のローラ11a,11bを回転させる複数の電動機29a,29bと、複数のローラ11a,11bと複数の電動機29a,29bを連結する複数の偏心軸13a,13bと、複数の電動機29a,29bを同じ速度かつ同じ位相で回転させる制御装置40を備えている。
【0022】
制御装置40は、少なくとも1台のコンピュータから構成される。制御装置40は、記憶装置40aと、演算装置40bを備えている。演算装置40bは、記憶装置40aに格納されているプログラムに含まれている命令に従って演算を行うCPU(中央処理装置)またはGPU(グラフィックプロセッシングユニット)などを含む。記憶装置40aは、演算装置40bがアクセス可能な主記憶装置(例えばランダムアクセスメモリ)と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブ)を備えている。
【0023】
ローラ11aは、ウエハWの周縁部を保持するウエハ保持面(基板保持面)31aを有しており、ローラ11bは、ウエハWの周縁部を保持するウエハ保持面(基板保持面)31bを有している。ローラ11aとローラ11bは同じ構成および同じ大きさを有している。複数の偏心軸13a,13bは、予め定められた基板保持装置10の中心軸線CPの周りに配列されている。
【0024】
本実施形態の基板保持装置10は、2つのローラ11a、2つのローラ11b、2つの偏心軸13a、2つの偏心軸13b、2つの電動機29a、および2つの電動機29bを備えているが、これら構成要素の数は本実施形態に限定されない。
【0025】
複数の偏心軸13aのそれぞれは、第1軸部14aと、第1軸部14aから偏心した第2軸部15aと、第1軸部14aと第2軸部15aとを接続する中間軸部16aを有している。第1軸部14a、第2軸部15a、および中間軸部16aのうちの少なくとも2つは、一体構造物であってもよい。例えば、第1軸部14aと中間軸部16aは一体構造物であってもよい。他の例では、第1軸部14a、第2軸部15a、および中間軸部16aの全体が一体構造物であってもよい。図2に示す各偏心軸13aはクランク軸の形状を有しているが、各偏心軸13aの形状は、第2軸部15aが第1軸部14aから所定の距離だけ偏心している限りにおいて本実施形態に限定されない。
【0026】
複数のローラ11aは複数の第2軸部15aの一端にそれぞれ固定され、複数の第2軸部15aの他端は複数の中間軸部16aにそれぞれ固定されている。複数の第1軸部14aの一端は、複数のカップリング28aを介して複数の電動機29aにそれぞれ連結され、複数の第1軸部14aの他端は複数の中間軸部16aにそれぞれ固定されている。
【0027】
複数の偏心軸13bのそれぞれは、第1軸部14bと、第1軸部14bから偏心した第2軸部15bと、第1軸部14bと第2軸部15bとを接続する中間軸部16bを有している。第1軸部14b、第2軸部15b、および中間軸部16bのうちの少なくとも2つは、一体構造物であってもよい。例えば、第1軸部14bと中間軸部16bは一体構造物であってもよい。他の例では、第1軸部14b、第2軸部15b、および中間軸部16bの全体が一体構造物であってもよい。図2に示す各偏心軸13bはクランク軸の形状を有しているが、各偏心軸13bの形状は、第2軸部15bが第1軸部14bから所定の距離だけ偏心している限りにおいて本実施形態に限定されない。
【0028】
複数のローラ11bは複数の第2軸部15bの一端にそれぞれ固定され、複数の第2軸部15bの他端は複数の中間軸部16bにそれぞれ固定されている。複数の第1軸部14bの一端は、複数のカップリング28bを介して複数の電動機29bにそれぞれ連結され、複数の第1軸部14bの他端は複数の中間軸部16bにそれぞれ固定されている。
【0029】
電動機29aは、偏心軸13aをその第1軸部14aを中心に回転させ、電動機29bは、偏心軸13bをその第1軸部14bを中心に回転させるように構成されている。電動機29a,29bは、制御装置40に接続されている。
【0030】
偏心軸13aの第2軸部15aは、第1軸部14aから距離eだけ偏心している。したがって、電動機29aが作動すると、ローラ11aは、第2軸部15aを中心に回転しながら半径eの円運動を行う。ローラ11aの軸心は、第2軸部15aの軸心と一致している。すなわち、ローラ11aは、その軸心を中心に回転しながら、第1軸部14aの軸心の周りで半径eの円運動を行う。
【0031】
同様に、偏心軸13bの第2軸部15bは、第1軸部14bから距離eだけ偏心している。したがって、電動機29bが作動すると、ローラ11bは、第2軸部15bを中心に回転しながら半径eの円運動を行う。ローラ11bの軸心は、第2軸部15bの軸心と一致している。すなわち、ローラ11bは、その軸心を中心に回転しながら、第1軸部14bの軸心の周りで半径eの円運動を行う。本明細書において、円運動は、対象物が円軌道上を移動する運動と定義される。
【0032】
電動機29a,29bの動作は制御装置40によって制御される。上述のように、制御装置40は全ての電動機29a,29bを同じ速度かつ同じ位相で回転させる。より具体的には、制御装置40は、電動機29a,29bに指令を出して、全ての電動機29a,29bを同じタイミングで始動させ、かつ全ての電動機29a,29bを同じ方向に回転させる。さらに制御装置40は、電動機29a,29bの動作中、それぞれの回転速度および位相を同期させる。
【0033】
結果として、全ての偏心軸13a,13bが、第1軸部14a,14bの軸心を中心に、同じ方向に同じ回転速度および同じ位相で回転する。全てのローラ11a,11bは、その軸心を中心に同じ方向に同じ回転速度および同じ位相で回転しながら、第1軸部14a,14bの軸心を中心に円運動する。したがって、ウエハWがローラ11a,11bによって保持されているとき、制御装置40が電動機29a,29bを作動させることにより、ウエハWは、その軸心を中心に回転しながら、半径eの円運動を行う。
【0034】
このように、基板保持装置10は、簡単な構造でウエハWを円運動させながら、ウエハWをその軸心を中心に回転させることができる。このような円運動とウエハWの軸心を中心とした回転との組み合わせは、ウエハWの表面上の各点での速度を上げることができる。したがって、後述する処理ヘッド200をウエハWの表面に押し付けたときの、処理ヘッド200とウエハWの表面との相対速度が増し、ウエハWの処理レートを向上させることができる。
【0035】
複数の偏心軸13a,13bにはそれぞれカウンターウェイト17a,17bが固定されている。より具体的には、カウンターウェイト17a,17bは、中間軸部16a,16bにそれぞれ固定されている。カウンターウェイト17aとローラ11aは、第1軸部14aに関して対称に配置されている。カウンターウェイト17aの重さは、偏心軸13aが第1軸部14aを中心に回転しているときに、第1軸部14aからローラ11aに向かって半径方向に発生する遠心力が、カウンターウェイト17aに作用する遠心力によってキャンセルされる重さである。
【0036】
同様に、カウンターウェイト17bとローラ11bは、第1軸部14bに関して対称に配置されている。カウンターウェイト17bの重さは、偏心軸13bが第1軸部14bを中心に回転しているときに、第1軸部14bからローラ11bに向かって半径方向に発生する遠心力が、カウンターウェイト17bに作用する遠心力よってキャンセルされる重さである。このようなカウンターウェイト17a,17bは、偏心軸13a,13bが回転しているときに、重量のアンバランスに起因する偏心軸13a,13bの振動を防止することができる。
【0037】
基板保持装置10は、ベースプレート20と、ベースプレート20の下面に固定された複数の直動ガイド26と、複数の直動ガイド26に支持された複数の可動台21と、複数の可動台21に接続された複数のアクチュエータ18とをさらに備えている。直動ガイド26は、可動台21の動きをベースプレート20の下面に平行な方向への直線運動に制限する。
【0038】
各可動台21は、偏心軸13bを回転可能に支持する軸受24と、アクチュエータ18に連結された連結部材23を有している。複数のアクチュエータ18は、複数の可動台21を介して複数の偏心軸13bにそれぞれ連結されている。複数の軸受24をそれぞれ含む複数の可動台21は、複数の偏心軸13bと一体に、複数のアクチュエータ18によってそれぞれ独立に移動される。
【0039】
アクチュエータ18は、ベースプレート20の下面に固定されている。アクチュエータ18の動作は制御装置40によって制御される。制御装置40は、アクチュエータ18をそれぞれ独立して動作させることができる。アクチュエータ18は、可動台21をベースプレート20と平行に移動させるように構成されている。
【0040】
偏心軸13aは、ベースプレート20を貫通して延びている。ローラ11aはベースプレート20の上方に配置され、電動機29aはベースプレート20の下方に配置されている。偏心軸13aは、ベースプレート20に保持された軸受19によって回転可能に支持されている。これら偏心軸13aの位置は固定されている。電動機29aは、電動機支持体27aを介してベースプレート20に固定されている。より具体的には、電動機支持体27aはベースプレート20の下面に固定され、電動機29aは電動機支持体27aに固定されている。
【0041】
偏心軸13bは、可動台21およびベースプレート20を貫通して延びている。ローラ11bはベースプレート20の上方に配置され、電動機29bはベースプレート20の下方に配置されている。偏心軸13bは可動台21の軸受24によって回転可能に支持されている。電動機29bは、電動機支持体27bを介して可動台21に固定されている。より具体的には、電動機支持体27bは可動台21の下面に固定され、電動機29bは電動機支持体27bに固定されている。
【0042】
上述の構成によれば、偏心軸13aは、ベースプレート20に対して移動不可な基準軸であり、偏心軸13bは、ベースプレート20に対して移動可能な可動軸である。以下の説明では、偏心軸13aを基準軸13aと呼び、偏心軸13bを可動軸13bと呼ぶことがある。アクチュエータ18は、可動台21を介して、可動軸13bに連結されている。可動台21は、可動軸13bを回転可能に支持する軸受24と、アクチュエータ18に連結された連結部材23を有する。したがって、可動台21は、アクチュエータ18と可動軸13bとを連結する。
【0043】
アクチュエータ18は、可動軸13bを、可動台21を介して、ベースプレート20と平行に移動させることができる。具体的には、複数のアクチュエータ18は、複数の可動軸13bを、複数の基準軸13aに近づく方向および複数の基準軸13aから遠ざかる方向に移動させるように構成されている。2つの可動軸13bが、2つの基準軸13aに近づく方向に移動すると、ウエハWは2つのローラ11aおよび2つのローラ11bによって保持される。2つの可動軸13bが、2つの基準軸13aから遠ざかる方向に移動すると、ウエハWは2つのローラ11aおよび2つのローラ11bから解放される。
【0044】
図3に示すように、本実施形態では、アクチュエータ18および直動ガイド26は、基板保持装置10の中心軸線CPを向いて配置されている。アクチュエータ18は、可動軸13bを図3の矢印の方向に移動させる。本実施形態では複数の基準軸13aに近づく方向および複数の基準軸13aから遠ざかる方向は、中心軸線CPに向かう方向および中心軸線CPから遠ざかる方向である。可動軸13bを中心軸線CPに向かう方向に移動させると、ローラ11bはウエハWの中心に向かう把持力でウエハWを保持することができる。本実施形態の構成によれば、基板保持装置10は、ウエハWを最小限の力で効率的に保持することができる。一実施形態では、複数のアクチュエータ18および複数の直動ガイド26のそれぞれは、複数の基準軸13aのそれぞれを向いて配置されていてもよい。
【0045】
図4(a)乃至図4(d)は、基板保持装置10がウエハWを受け取る動作を説明する模式図である。図4(a)に示すように、ウエハWを受け取る前に、各アクチュエータ18(図2および図3参照)を作動させ、各ローラ11bを中心軸線CPから離れる方向に移動させる。このときローラ11aおよびローラ11bは、外側に偏心している。
【0046】
次に、図4(b)に示すように、ウエハWは、図示しない搬送装置により基板保持装置10に搬送される。さらに、図4(c)に示すように、ウエハWがローラ11aとローラ11bとの間に位置した状態で、基準軸13aを180度回転させて、各ローラ11aを内側に偏心させる。そして、図4(d)に示すように、各アクチュエータ18を作動させ、各ローラ11bがウエハWに接触するまで各ローラ11bおよび各可動軸13bを各基準軸13aに近づく方向に移動させる。
【0047】
このようにして、ウエハWの周縁部は、ローラ11aのウエハ保持面31aとローラ11bのウエハ保持面31bによって保持される。ウエハWを基板保持装置10から取り出すときは、図4(a)乃至図4(d)に示す工程が逆の順序で行われる。
【0048】
上述した実施形態では、2つの可動軸13bは、2つの可動台21にそれぞれ支持されており、さらに2つのアクチュエータ18にそれぞれ連結されている。このような構成によれば、ウエハWの回転中に、1つの可動軸13bに振動が発生した場合でも、振動が他の可動軸13bに伝搬することを防ぐことができる。結果として、基板保持装置10は、ウエハWを安定して保持することができる。
【0049】
図5は、一実施形態に係るアクチュエータ18を示す模式図である。各アクチュエータ18は、アクチュエータ18の長手方向に配置されたピストン51と、ピストン51の外側に配置されたハウジング52a,52bと、ピストン51とハウジング52a,52bとの間に圧力室57a,57bを形成する隔壁膜(ダイヤフラム)55a,55bとを備えている。ピストン51は、図5の矢印で示す方向(アクチュエータ18の長手方向)に移動可能となっている。ハウジング52a,52bは、ピストン51から離れて配置されている。ハウジング52aは、ピストン51の一端を囲むように配置されており、ハウジング52bは、ピストン51の他端を囲むように配置されている。
【0050】
ピストン51には、可動台21の連結部材23が接続されており、ピストン51は、連結部材23によって支持されている。連結部材23を含む可動台21は、ピストン51と一体に、図5の矢印で示す方向に移動可能となっている。より具体的には、可動台21は、ピストン51と一体に、基準軸13aに近づく方向および基準軸13aから遠ざかる方向に移動可能に構成されている。本実施形態では、アクチュエータ18は、基板保持装置10の中心軸線CPを向いて配置されているため(図3参照)、ピストン51および可動台21の移動方向は、中心軸線CPに向かう方向および中心軸線CPから遠ざかる方向である。
【0051】
ハウジング52a,52bは、ピストン51の側面を囲むように配置されたハウジング本体53a,53bと、ハウジング本体53a,53bに固定された蓋54a,54bと、を備えている。隔壁膜55aの縁は、ハウジング本体53aと蓋54aとの間に挟まれている。同様に、隔壁膜55bの縁は、ハウジング本体53bと蓋54bとの間に挟まれている。
【0052】
圧力室57aは、隔壁膜55aとハウジング52aの内面とによって形成されている。同様に、圧力室57bは、隔壁膜55bとハウジング52bの内面とによって形成されている。より具体的には、圧力室57aは、隔壁膜55aと蓋54aの内面とによって形成されており、圧力室57bは、隔壁膜55bと蓋54bの内面とによって形成されている。隔壁膜55a,55bは同一の構成を有している。本実施形態では、ハウジング52a,52bは同一の構成を有しているが、異なる構成を有してもよい。
【0053】
ハウジング52a,52bの蓋54a,54bには、圧縮気体流路59a,59bが形成されている。圧縮気体流路59a,59bは、圧力レギュレータ62a,62bおよび切り替え弁63a,63bを経由して圧縮気体供給源64に接続されている。圧力室57a,57bは、圧縮気体流路59a,59bを通じて圧力レギュレータ62a,62bに連通している。
【0054】
ピストン51を移動させるときは、切り替え弁63a,63bを操作して圧力室57a,57bを圧縮気体供給源64に連通させる。本実施形態では、切り替え弁63a,63bは、制御装置40に接続されている。切り替え弁63a,63bは、圧力室57a,57bを圧縮気体供給源64または大気に選択的に連通させる弁である。切り替え弁63a,63bとしては三方弁を用いることができる。
【0055】
圧縮空気などの圧縮気体は、圧縮気体供給源64から圧縮気体流路59a,59bを通って圧力室57a,57bに供給される。圧縮気体供給源64の例として、ポンプ、または工場に予め設置されているユーティリティとしての圧縮気体供給ラインが挙げられる。圧力室57a,57b内の圧縮気体の圧力は、圧力レギュレータ62a,62bによって制御される。本実施形態では、圧力レギュレータ62a,62bは、電空レギュレータである。本実施形態の圧力レギュレータ62a,62bは、制御装置40に接続されている。一実施形態では、圧力レギュレータ62a,62bは、手動で操作する圧力レギュレータであってもよい。この場合、圧力レギュレータ62a,62bは、制御装置40に接続されない。
【0056】
制御装置40は、所定の設定圧力値を圧力レギュレータ62a,62bに送信し、圧力レギュレータ62a,62bは、上記設定圧力値に従って、圧力室57a,57b内の圧縮気体の圧力を制御するように構成されている。このような圧力レギュレータ62a,62bの例として、電空レギュレータ、または機械式レギュレータが挙げられる。一実施形態では、圧力レギュレータ62bを電空レギュレータとし、圧力レギュレータ62aを機械式レギュレータとしてもよい。圧力レギュレータ62aを機械式レギュレータとする場合、圧力レギュレータ62aは、制御装置40に接続されない。
【0057】
ピストン51は、圧力室57a内の圧力と圧力室57b内の圧力との差に応じて移動する。圧力室57a内の圧力を、圧力室57b内の圧力よりも高くすると、ピストン51は基準軸13aから遠ざかる方向(図3参照)に移動される。圧力室57b内の圧力を、圧力室57a内の圧力よりも高くすると、ピストン51は基準軸13aに近づく方向(図3参照)に移動される。
【0058】
本実施形態では、ピストン51を移動させるときは、圧力室57a,57bの両方に圧縮気体を導入し、圧力室57aおよび圧力室57bのうちのいずれか一方の内部の圧縮気体の圧力を、他方の内部の圧縮気体の圧力よりも高くする。一実施形態では、ピストン51を移動させるときは、圧力室57aおよび圧力室57bのうちのいずれか一方のみに圧縮気体を導入し、かつ他方を大気に連通させてもよい。
【0059】
図6は、一実施形態に係る隔壁膜55a,55bを模式的に示す断面図である。隔壁膜55aは、ピストン51の一方の端部に接触する中央部71aと、中央部71aに接続され、かつピストン51の側面に沿って延びる内壁部72aと、内壁部72aに接続され、かつ湾曲した断面を有する折り返し部73aと、折り返し部73aに接続され、かつ内壁部72aの外側に位置する外壁部74aとを有している。隔壁膜55aはピストン51の一端に接触している。圧力室57aに圧縮気体が導入されているとき、外壁部74aは、ハウジング本体53aの内面に接触する。
【0060】
本実施形態では、中央部71aは円形である。内壁部72aおよび外壁部74aは円筒形状を有し、内壁部72aはピストン51の側面に接触している。外壁部74aは内壁部72aを囲むように配置されている。
【0061】
同様に、隔壁膜55bは、ピストン51の他方の端部に接触する中央部71bと、中央部71bに接続され、かつピストン51の側面に沿って延びる内壁部72bと、内壁部72bに接続され、かつ湾曲した断面を有する折り返し部73bと、折り返し部73bに接続され、かつ内壁部72bの外側に位置する外壁部74bとを有している。隔壁膜55bはピストン51の他端に接触している。圧力室57bに圧縮気体が導入されているとき、外壁部74bは、ハウジング本体53bの内面に接触する。
【0062】
本実施形態では、中央部71bは円形である。内壁部72bおよび外壁部74bは円筒形状を有し、内壁部72bはピストン51の側面に接触している。外壁部74bは内壁部72bを囲むように配置されている。
【0063】
隔壁膜55a,55bはピストン51に接触しているが、ピストン51に固定されていない。隔壁膜55aの縁を構成する肉厚部75aは、ハウジング本体53aと蓋54aとの間に挟まれている。同様に、隔壁膜55bの縁を構成する肉厚部75bは、ハウジング本体53bと蓋54bとの間に挟まれている。隔壁膜55a,55bは、柔軟な材料から形成されている。隔壁膜55a,55bを構成する材料の例としては、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムが挙げられる。耐屈曲疲労性の高いクロロプレンゴムが好ましく用いられる。
【0064】
図7(a)は、圧力室57a(第1圧力室57a)内の圧力が圧力室57b(第2圧力室57b)内の圧力よりも高いときのアクチュエータ18の状態を示す図であり、図7(b)は、圧力室57b内の圧力が圧力室57a内の圧力よりも高いときのアクチュエータ18の状態を示す図である。
【0065】
図7(a)に示すように、圧力室57a内の圧力が、圧力室57b内の圧力よりも高くなると、圧力室57bに向かう方向の力がピストン51に加わる。結果として、隔壁膜55a,55bが変形しながら、ピストン51、可動台21、および可動軸13bが一体に基準軸13aから遠ざかる方向(図3参照)に移動する。このとき、折り返し部73aはその形状を保ちながら、内壁部72aの一部は折り返し部73aの一部となり、かつ折り返し部73aの一部は外壁部74aの一部となる。これと共に、折り返し部73bはその形状を保ちながら、外壁部74bの一部は折り返し部73bの一部となり、かつ折り返し部73bの一部は内壁部72bの一部となる。
【0066】
図7(b)に示すように、圧力室57b内の圧力が、圧力室57a内の圧力よりも高くなると、圧力室57aに向かう方向の力がピストン51に加わる。結果として、隔壁膜55bが変形しながら、ピストン51、可動台21、および可動軸13bが一体に基準軸13aに近づく方向(図3参照)に移動する。このとき、折り返し部73bはその形状を保ちながら、内壁部72bの一部は折り返し部73bの一部となり、かつ折り返し部73bの一部は外壁部74bの一部となる。これと共に、折り返し部73aはその形状を保ちながら、外壁部74aの一部は折り返し部73aの一部となり、かつ折り返し部73aの一部は内壁部72aの一部となる。
【0067】
このような隔壁膜55a,55bの動きにより、ピストン51は隔壁膜55a,55bからの反力をほとんど受けることなく、スムーズに移動することができる。通常のエアシリンダのように、ピストンとハウジングが接触していると、ウエハの回転中に振動が発生した場合、ピストンとハウジングの間に摺動抵抗が発生する。このような摺動抵抗は、回転中のウエハに過剰な負荷を与え、ウエハの保持が不安定となる要因となる。本実施形態では、ハウジング52a,52bは、ピストン51から離れて配置されているため、ピストン51とハウジング52a,52bとの間に摺動抵抗は発生しない。結果として、基板保持装置10は、ウエハWに過剰な負荷を与えることなく、安定してウエハWを保持することができる。
【0068】
図1乃至図3に示す実施形態では、基板保持装置10は、中心軸線CPの周りに配列された2つの基準軸13a、2つの可動軸13b、2つのアクチュエータ18、2つの可動台21、および2つの直動ガイド26を備えているが、これら構成要素の数と配置の間隔は本実施形態に限定されない。一実施形態では、基板保持装置10は、適当な間隔で中心軸線CPの周りに配列された1つの可動軸13bおよび2つ以上の基準軸13aを備えていてもよい。この場合、基板保持装置10は、1つのアクチュエータ18、1つの可動台21、および1つの直動ガイド26を備える。
【0069】
さらに一実施形態では、基板保持装置10は、適当な間隔で中心軸線CPの周りに配列された3つ以上の可動軸13bと、3つ以上の基準軸13aを備えていてもよい。この場合、基板保持装置10は、3つ以上のアクチュエータ18、3つ以上の可動台21、および3つ以上の直動ガイド26を備える。
【0070】
本実施形態では、基板処理装置100は、処理具201を基板保持装置10に保持されたウエハWの第1の面1に接触させてウエハWの第1の面1を処理する処理ヘッド200をさらに備えている。処理ヘッド200は、基板保持装置10に保持されているウエハWの下側に配置されており、処理ヘッド200の位置は固定されている。
【0071】
ウエハWの第1の面1は、デバイスが形成されていない、またはデバイスが形成される予定がないウエハWの裏面、すなわち非デバイス面である。第1の面1とは反対側のウエハWの第2の面2は、デバイスが形成されている、またはデバイスが形成される予定である面、すなわちデバイス面である。ウエハWは、その第1の面1が下向きの状態で、基板保持装置10に水平に保持される。
【0072】
本実施形態に係る基板処理装置100の具体的な動作は次の通りである。基板保持装置10は、複数のローラ11a,11bをウエハWの周縁部に接触させ、複数の偏心軸13a,13bの第1軸部14a,14bをそれぞれの軸心を中心に回転させることで、複数のローラ11a,11bを円運動させるとともに、複数のローラ11a,11bによって把持されたウエハWをその軸心を中心に回転させる。この状態で、処理ヘッド200によって処理具201を回転および円運動するウエハWの第1の面1に接触させてウエハWの第1の面1を処理する。
【0073】
本実施形態では、処理具201はウエハWの半径よりも長く、処理具201の一端はウエハWの周縁部から外側にはみ出ており、他端は、基板保持装置10の中心軸線CPを越えて延びている。したがって、処理ヘッド200は、処理具201を回転するウエハWの第1の面1の全体に接触させることができる。結果として、処理具201は、最外部を含むウエハWの第1の面1の全体を処理することが可能となる。処理ヘッド200は、ウエハWが円運動しているときに、ローラ11a,11b、および偏心軸13a,13bに接触しない位置に配置されている。
【0074】
上述したように、基板保持装置10は、簡単な構造でウエハWを円運動させながら、ウエハWをその軸心を中心に回転させることができる。このような円運動とウエハWの軸心を中心とした回転との組み合わせは、ウエハWの表面上の各点での速度を上げることができる。したがって、処理具201とウエハWの表面との相対速度が増し、ウエハWの処理レートを向上させることができる。
【0075】
一実施形態では、処理具201は、ウエハWの第1の面1を研磨するための研磨具であってもよい。研磨具の一例として、研磨テープや砥石が挙げられる。さらに、一実施形態では、処理具201は、ウエハWの第1の面1をクリーニングするためのクリーニング具であってもよい。クリーニング具の一例として、クリーニングテープが挙げられる。クリーニングテープの一例として、不織布からなるテープが挙げられる。
【0076】
図示はしないが、基板処理装置100は、処理具201を基板保持装置10に保持されたウエハWの第2の面2に接触させてウエハWの第2の面2を処理する処理ヘッド200を備えていてもよい。例えば、処理具201は、ウエハWの第2の面2をクリーニングするクリーニング具であってもよい。この場合、処理ヘッド200は、基板保持装置10に保持されているウエハWの上側に配置される。
【0077】
図2に示すように、基板処理装置100の基板保持装置10は、ノッチ検出センサ77を有する。図2に示す例では、ノッチ検出センサ77は、可動軸13bのうちの1つに取り付けられている。一実施形態では、ノッチ検出センサ77は、可動台21、電動機支持体27b、カップリング28b、および電動機29bのいずれかに取り付けられていてもよい。
【0078】
ノッチ検出センサ77は、該ノッチ検出センサ77が取り付けられた可動軸13bをウエハWのノッチNw(図1参照)が通過したことを検出可能なセンサである。ノッチ検出センサ77は、制御装置40に接続され、その測定値を制御装置40に送信する。図2に示す例では、ノッチ検出センサ77は加速度センサである。一実施形態では、ノッチ検出センサ77は振動センサであってもよい。
【0079】
ノッチ検出センサ77が取り付けられた可動軸13bをウエハWのノッチNwが通過すると、可動軸13bは、ノッチNwの形状(図1に示す例では円弧形状)に応じて基準軸13aに近づく方向および遠ざかる方向に移動する。その結果、可動軸13bには、比較的大きな加速度または振動が発生する。
【0080】
図8は、ノッチ検出センサの測定値の一例を示すグラフである。図8において、縦軸はノッチ検出センサ77が取り付けられた可動軸13bの水平方向の加速度を表し、横軸はノッチ検出センサ77が取り付けられた可動軸13bの第1軸部14bの回転角度を表す。
【0081】
図8に示すグラフにおいて、大きなピークを有する特徴的な複数の波形Pk1は可動軸13bをウエハWのノッチNwが通過したことを表す波形である。以下では、波形Pk1を「通過波形Pk1」と称することがある。隣接する通過波形Pk1の間に、複数のローラ11a,11bに保持されたウエハWは一回転している。通常、ローラ11bは、隣接する通過波形Pk1の間に複数回回転している。制御装置40は、ノッチ検出センサ77の測定値から図8に示すようなグラフを作成可能である。
【0082】
制御装置40は、ノッチ検出センサ77から受信した測定値に基づいてウエハWが所望の回転速度(または、設定回転速度)で回転しているか否かを監視する。例えば、制御装置40は、ノッチ検出センサ77から受信した測定値に基づいてウエハWの回転速度を算出し、算出されたウエハWの回転速度をウエハWの理論上の回転速度に対して決定された許容範囲と比較して、ウエハWが所望の回転速度で回転しているか否かを決定する。ウエハWの理論上の回転速度は、ウエハWの直径、ローラ11a,11bの直径、および電動機29a,29bの回転速度から算出可能である。ウエハWの理論上の回転速度を、ウエハWの直径とローラ11a,11bの直径の比、および電動機29a,29bの回転速度から算出してもよい。制御装置40は、この理論上の回転速度と、理論上の回転速度に対して決定された許容範囲を予め記憶している。
【0083】
例えば、制御装置40は、所定の時間間隔(例えば、10秒)の間にカウントされた通過波形Pk1の数からウエハWの回転速度を算出することができる。一実施形態では、隣接する通過波形Pk1間の時間(すなわち、ウエハWが一回転する間の時間)をカウントし、このカウントされた時間に基づいてウエハWの回転速度を算出してもよい。
【0084】
制御装置40は、ノッチ検出センサ77の測定値に基づいて算出されたウエハWの回転速度を許容範囲と比較し、ウエハWの回転速度が許容範囲から逸脱していれば、警報を発するように構成されている。警報によって、基板処理装置の作業者はウエハWの回転異常が発生したことを認識することができ、その結果、ウエハWに処理異常が発生しているか否かを確認することができる。一実施形態では、制御装置40は、警報を発するとともにウエハWの処理動作を停止してもよい。あるいは、制御装置40は、警報が発せられたときに処理されていたウエハWを特定するための信号を、該ウエハWに関連付けて記憶し、ウエハWの処理動作を継続してもよい。
【0085】
ノッチ検出センサ77の測定値に基づいて算出されたウエハWの回転速度が許容範囲の上限を上回る原因の例としては、ウエハWの欠損、ローラ11a,11bの欠損、および電動機29a,29bの回転異常が挙げられる。作業者は、警報によっていち早くウエハW、ローラ11a,11b、および電動機29a,29bの状態を確認し、必要に応じて、ローラ11a,11bおよび電動機29a,29bのメンテナンスおよび/または交換を行うことができる。
【0086】
ノッチ検出センサ77の測定値に基づいて算出されたウエハWの回転速度が許容範囲の下限を下回る原因の例としては、ローラ11a,11bの摩耗、およびローラ11a,11bとウエハWとの間のスリップの発生が考えられる。この場合、基板処理装置における処理性能の低下(例えば、研磨性能の低下、または洗浄性能の低下)が懸念される。作業者は、警報によってウエハWの回転異常が発生したウエハWを特定し、該ウエハWに処理異常が発生していないか確認することができる。
【0087】
一実施形態では、ノッチ検出センサ77の測定値に基づいて算出されたウエハWの回転速度が許容範囲の下限を下回った場合に、制御装置40は、ノッチ検出センサ77の測定値に基づいて算出されたウエハWの回転速度と理論上の回転速度の差または比に基づいてウエハWに追加処理を行ってもよい。例えば、ノッチ検出センサ77の測定値に基づいて算出されたウエハWの回転速度が理論上の回転速度に対して10%低下していたときに、処理時間を10%増加させてもよい。あるいは、予め行われた実験によって、理論上の回転速度に対する実際の回転速度の比と、処理時間の増加量との間の関係式またはデータテーブルを求めておき、この関係式またはデータテーブルを制御装置40に予め記憶させておいてもよい。この場合、制御装置40は、理論上の回転速度に対する、ノッチ検出センサ77の測定値に基づいて算出されたウエハWの回転速度の比を算出し、この比と関係式またはデータテーブルとから処理時間の増加量を算出する。
【0088】
上述した実施形態では、制御装置40は、ノッチ検出センサ77から受信した測定値に基づいてウエハWの回転速度を算出しているが、本明細書では、制御装置40が監視するウエハWの回転速度は、ノッチ検出センサ77の測定値に基づいて算出されたウエハWの回転速度に相当する値も含む。例えば、制御装置40は、所定の時間間隔(例えば、10秒)の間にカウントされた通過波形Pk1の数を監視してもよい。この場合、制御装置40は、ウエハWの理論上の回転速度から算出された理論上の通過波形Pk1の数と、理論上の通過波形Pk1の数に対して決定された許容範囲を予め記憶している。制御装置40は、カウントされた通過波形Pk1の数と、許容範囲とを比較して、カウントされた通過波形Pk1の数が許容範囲を逸脱している場合に警報を発する。上述したように、制御装置40は、警報を発するとともに基板処理装置におけるウエハWの処理動作を停止してもよいし、警報が発せられたときに処理されていたウエハWを特定するための信号を、該ウエハWに関連付けて記憶し、基板処理装置におけるウエハWの処理動作を継続してもよい。
【0089】
次に、他の実施形態に係る基板処理装置100について説明する。図5に示すように、基板保持装置10は、図2に示すノッチ検出センサ77の代わりに、可動軸13bの移動距離を測定する非接触式の距離センサ80を備えていてもよい。この場合、距離センサ80は、基準軸13aに対する可動軸13aの位置を検出可能なセンサとして機能し、さらに、ウエハWのノッチNw(図1参照)が通過したことを検出可能なノッチ検出センサとして用いられる。特に説明しない本実施形態の構成は、図2に示すノッチ検出センサ77を有する基板処理装置100の構成と同様であるため、その重複する説明を省略する。
【0090】
距離センサ80はアクチュエータ18の外側に配置されており、アクチュエータ18および可動台21の近傍に配置されている。可動台21の連結部材23には磁石81が固定されており、距離センサ80は、磁石81に対面している。本実施形態では、距離センサ80は、磁気センサであり、磁石81の距離センサ80に対する相対的な移動距離を測定することができる。
【0091】
距離センサ80の位置は固定されている。一方、可動台21、ピストン51、および可動軸13bは一体に移動可能である。したがって、可動軸13bが基準軸13aに近づく方向および基準軸13aから遠ざかる方向に移動すると、可動台21に固定された磁石81の距離センサ80に対する相対位置が変化する。磁石81の移動距離は、可動軸13bの移動距離に相当する。したがって、距離センサ80は、可動軸13bの移動距離を測定することができる。可動軸13bの移動距離は、予め定められた基準位置に対する可動軸13bの相対的な位置のことである。以下、予め定められた基準位置に対する可動軸13bの相対的な位置を単に可動軸13bの位置と呼ぶことがある。距離センサ80は、制御装置40に接続されており、距離センサ80は、可動軸13bの移動距離の測定値を制御装置40に送信する。
【0092】
磁石81が取り付けられた可動台21に連結される可動軸13bをウエハWのノッチNwが通過すると、可動軸13bは、ノッチNwの形状(図1に示す例では円弧形状)に応じて基準軸13aに近づく方向および遠ざかる方向に移動する。その結果、距離センサ80は、ノッチNwが可動軸13bを通過したことを検出できる。
【0093】
図9は、図5に示す距離センサの測定値の一例を示すグラフである。図9において、縦軸はノッチ検出センサ77が取り付けられた可動軸13bの移動距離を表し、横軸は可動軸13bの第1軸部14bの回転角度を表す。
【0094】
図9に示すように、大きなピークを有する特徴的な複数の波形Pk2は可動軸13bをウエハWのノッチNwが通過したことを表す波形である。以下では、波形Pk2を「通過波形Pk2」と称することがある。隣接する通過波形Pk2の間に、複数のローラ11a,11bに保持されたウエハWは一回転している。通常、ローラ11bは、隣接する通過波形Pk2の間に複数回回転しており、距離センサ80の測定値は、ローラ11bの一回転の間に略正弦波を描く。制御装置40は、距離センサ80の測定値から図9に示すようなグラフを作成可能である。
【0095】
上述した実施形態と同様に、制御装置40は、例えば、所定の時間間隔(例えば、10秒)の間にカウントされた通過波形Pk2の数に基づいて、または隣接する通過波形Pk2間の時間(すなわち、ウエハWが一回転する間の時間)に基づいてウエハWの回転速度を算出し、ウエハWが所望の回転速度(または、設定回転速度)で回転しているか否かを監視する。さらに、制御装置40は、距離センサ80の測定値に基づいて算出されたウエハWの回転速度をウエハWの理論上の回転速度に対して決定された許容範囲と比較して、ウエハWが所望の回転速度で回転しているか否かを決定する。
【0096】
次いで、制御装置40は、距離センサ80の測定値に基づいて算出されたウエハWの回転速度が許容範囲から逸脱していれば、警報を発するように構成されている。一実施形態では、制御装置40は、警報を発するとともにウエハWの処理動作を停止してもよいし、警報が発せられたときに処理されていたウエハWを特定するための信号を該ウエハWに関連付けて記憶して、ウエハWの処理動作を継続してもよい。さらに、上述した実施形態と同様に、距離センサ80の測定値に基づいて算出されたウエハWの回転速度が許容範囲の下限を下回った場合に、制御装置40は、距離センサ80の測定値に基づいて算出されたウエハWの回転速度と理論上の回転速度の差または比に基づいてウエハWに追加処理を行ってもよい。さらに、制御装置40は、所定の時間間隔(例えば、10秒)の間にカウントされた通過波形Pk2の数を監視対象としてもよい。
【0097】
一実施形態では、図10に示すように、距離センサ80は、非接触式の光学式センサであってもよい。図10に示す距離センサ80は、投光部および受光部(図示せず)を先端に有するセンサヘッド84と、センサヘッド84から発せられる光を集束させる集束レンズ85と、センサヘッド84に投光光ファイバーケーブル92Aおよび受光光ファイバーケーブル92Bにより連結されたアンプ93と、アンプ93に電気的に接続された距離算出器94とを備えている。集束レンズ85は、センサヘッド84の先端に取り付けられている。
【0098】
センサヘッド84は、アクチュエータ18の外側に固定されており、センサヘッド84の先端は可動台21を向いて配置されている。より具体的には、本実施形態では、可動台21にはセンサターゲット88が取り付けられており、センサヘッド84の先端はセンサターゲット88を向いて配置されている。センサターゲット88は、光を反射させる性質を有している。センサターゲット88の一例として、セラミックまたは金属から構成された部材が挙げられる。アンプ93および距離算出器94はアクチュエータ18から離れた位置にある。
【0099】
アンプ93は、光を発する光源93aと、反射光の強度を測定する光強度測定器93bを有している。アンプ93の光源93aから発せられた光は、投光光ファイバーケーブル92Aを通じてセンサヘッド84に伝達される。センサヘッド84は、集束レンズ85を通してセンサターゲット88に光を導き、センサターゲット88からの反射光を受ける。反射光は、受光光ファイバーケーブル92Bを通じてアンプ93に伝達される。
【0100】
アンプ93の光強度測定器93bは、反射光の強度を測定する。アンプ93は、反射光の強度の測定値を距離算出器94に送り、距離算出器94は、反射光の強度の測定値を距離に変換する。距離算出器94によって得られる距離は、可動軸13bの移動距離である。一実施形態では、距離算出器94を制御装置40に内蔵してもよい。あるいは、制御装置40が距離算出器94の機能を有していてもよい。言い換えれば、制御装置40が距離算出器を兼ねてもよい。これらの場合、アンプ93は、反射光の強度の測定値を直接制御装置40に送信し、距離は制御装置40内で算出される。
【0101】
このような構成により、本実施形態の距離センサ80は、基準軸13aに対する可動軸13bの移動距離を測定することができる。距離算出器94は、制御装置40に接続されており、距離算出器94は、可動軸13bの移動距離の測定値を制御装置40に送信する。一実施形態では、距離センサ80は、集束レンズ85を備えていなくてもよい。センサヘッド84は、集束レンズ85を通さずにセンサターゲット88に光を導き、かつ集束レンズ85を通さずにセンサターゲット88からの反射光を受けてもよい。
【0102】
上述のように、距離センサ80を構成する要素のうち、センサヘッド84のみがアクチュエータ18に取り付けられている。センサヘッド84は、光を照射し、かつ反射光を受ける機能のみを有するので、センサヘッド84自体は非常にコンパクトである。
【0103】
次に、さらに他の実施形態に係る基板処理装置について説明する。特に説明しない本実施形態の構成は、図2に示すノッチ検出センサ77を有する基板処理装置100の構成と同様であるため、その重複する説明を省略する。
【0104】
本実施形態では、基板処理装置100の基板保持装置10は、図2に示すノッチ検出センサ77と、図5または図10に示す距離センサ80と、を備える。距離センサ80は、基板保持装置10のローラ11a,11bがウエハWを正しく保持しているか否かを決定するためのセンサとして機能する。
【0105】
上述したように、距離センサ80は、制御装置40に接続されており、距離センサ80は、可動軸13bの移動距離の測定値(可動軸13bの位置の測定値)を制御装置40に送信する。制御装置40は、可動軸13bの移動距離の測定値(すなわち、可動軸13bの位置)と、予め設定された許容範囲とを比較することによって、基板保持装置10がウエハWを適切に保持しているか否か(例えば、基板保持装置10に異常が生じているか否か)を判断することができる。さらに、制御装置40は、上記移動距離の測定値が許容範囲を逸脱したときに警報信号を発するように構成される。
【0106】
ウエハWの回転中に可動軸13bに振動が発生した場合、可動軸13bの位置(可動軸13bの移動距離の測定値)は振動に従って変化する。したがって、制御装置40は、ウエハWの回転中の可動軸13bの位置の変動(可動軸13bの移動距離の測定値の変動)に基づいて可動軸13bの振動を検出することができる。制御装置40は、可動軸13bの振動に基づいて、基板保持装置10がウエハWを保持して回転させているときのウエハWの回転異常を検出することができる。ウエハWの回転異常が発生する原因としては、ローラ11a,11bのウエハ保持面31a,31bの摩耗、変形、破損、寸法不良、または複数のローラ11a,11bの回転位相ずれ等が考えられる。
【0107】
図11(a)は、距離センサの測定値の一例を示す図であり、図11(b)は、ノッチ検出センサ77の測定値の一例を示す図である。図11(a)において、縦軸はノッチ検出センサ77が取り付けられた可動軸13bの位置を表し、横軸は可動軸13bの一端に固定されたローラ11bの回転角度を表す。図11(b)において、縦軸はノッチ検出センサ77が取り付けられた可動軸13bの水平方向の加速度を示し、横軸は可動軸13bの一端に固定されたローラ11bの回転角度を表す。
【0108】
図11(a)では、可動軸13bの位置を示す値は、可動軸13bが基準軸13aに近づくほど小さくなり、可動軸13bが基準軸13aから遠ざかるほど大きくなる。可動軸13bの位置が0とは、アクチュエータ18の可動範囲内において、可動軸13bが基準軸13aに最も近づく位置のことである。ローラ11bの回転角度が0°とは、ローラ11bの予め定められた基準角度のことである。図11(a)において、点線で示す曲線は、ウエハWの回転異常が発生しているときの距離センサ80の測定値を表す。図11(a)に示すように、ウエハWの回転異常が発生しているとき、可動軸13bは大きく振動し、可動軸13bの位置は大きく変動する。このとき、可動軸13bの位置の振幅は、予め定められた許容範囲を逸脱する。一方で、ウエハWの回転異常が発生していないときは、図11(a)に実線で示すように、可動軸13bの位置の振幅は、予め定められた許容範囲内に収まる。
【0109】
制御装置40は、可動軸13bの位置(可動軸13bの移動距離の測定値)の振幅と、予め定められた許容範囲とを比較し、可動軸13bの位置の振幅が許容範囲を逸脱したときは、ウエハWの回転異常が発生したと判断する。本明細書では、可動軸13bの位置の振幅を、可動軸13bの振動の幅と定義する。図11(a)に示す例では、可動軸13bの振幅は、ローラ11bが一回転以上回転している間の可動軸13bの位置の最大値と、可動軸13bの位置の最小値との差である。
【0110】
上述したように、可動軸13bをウエハWのノッチNwが通過すると、大きなピークを有する通過波形Pk2が測定される。この通過波形Pk2は、許容範囲を逸脱することがある。通過波形Pk2は、ウエハWの回転異常を示す波形とは異なるため、制御装置40は、距離センサ80の測定値が所定の許容範囲を逸脱し、かつ距離センサ80がノッチNwを検出している場合には、警報を発しないように構成される。
【0111】
本実施形態では、制御装置40は、ノッチ検出センサ77の測定値における通過波形Pk1を利用する。具体的には、制御装置40は、ノッチ検出センサ77のノッチNwの検出時点前後の(通過波形Pk1の前後における)、ローラ11bの所定の回転角度(RA)の間は、距離センサ80の測定値が所定の許容範囲を逸脱しても、警報をキャンセルするように構成される。所定の回転角度(RA)は任意に設定できる。このような構成により、ノッチが可動軸13bを通過した際に測定される通過波形Pk2がウエハWの回転異常と判断されることが防止される。
【0112】
一実施形態では、ノッチ検出センサ77を省略してもよい。この場合、距離センサ80は、可動軸13bをウエハWのノッチNwが通過したことを検出可能なセンサと、基板保持装置10のローラ11a,11bがウエハWを正しく保持しているか否かを決定するためのセンサを兼ねる。
【0113】
制御装置40は、距離センサ80のノッチNwの検出時点前後の(通過波形Pk2の前後における)、ローラ11bの所定の回転角度(RB)の間は、距離センサ80の測定値が所定の許容範囲を逸脱しても、警報をキャンセルするように構成される。より具体的には、許容範囲を逸脱するピーク(以下、逸脱ピークと称する)が検出された場合に、制御装置40は、逸脱ピークの前後の所定の回転角度(RB)の範囲において許容範囲を逸脱する他のピークが検出されるか否かを判断する。許容範囲を逸脱する他のピークが所定の回転角度(RB)の範囲で検出されなかった場合、制御装置40は、逸脱ピークが通過波形Pk2であると決定し、警報を発しない(キャンセルする)。許容範囲を逸脱する他のピークが所定の回転角度(RB)の範囲で検出された場合、制御装置40は、ウエハWの回転異常が発生していると決定し、警報を発する。所定の回転角度(RB)は任意に設定可能である。例えば、所定の回転角度(RB)は、通過波形Pk2が生じたローラ1回転R1の前後の1回転R2,R3の間に設定することができる。このような構成により、ノッチが可動軸13bを通過した際に測定される通過波形Pk2がウエハWの回転異常と判断されることが防止される。
【0114】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0115】
1 第1の面
2 第2の面
10 基板保持装置
11a,11b ローラ
13a,13b 偏心軸
14a,14b 第1軸部
15a,15b 第2軸部
16a,16b 中間軸部
17a,17b カウンターウェイト
18 アクチュエータ
19 軸受
20 ベースプレート
21 可動台
23 連結部材
24 軸受
26 直動ガイド
27a,27b 電動機支持体
28a,28b カップリング
29a,29b 電動機
31a,31b ウエハ保持面(基板保持面)
40 制御装置
51 ピストン
52a,52b ハウジング
53a,53b ハウジング本体
54a,54b 蓋
55a,55b 隔壁膜
57a,57b 圧力室
59a,59b 圧縮気体流路
62a,62b 圧力レギュレータ
63a,63b 切り替え弁
64 圧縮気体供給源
71a,71b 中央部
72a,72b 内壁部
73a,73b 折り返し部
74a,74b 外壁部
75a,75b 肉厚部
77 ノッチ検出センサ
80 距離センサ
81 磁石
84 センサヘッド
85 集束レンズ
88 センサターゲット
92A 投光光ファイバーケーブル
92B 受光光ファイバーケーブル
93 アンプ
93a 光源
93b 光強度測定器
94 距離算出器
100 基板処理装置
200 処理ヘッド
201 処理具

図1
図2
図3
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図5
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図10
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