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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095374
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】画像投射装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20230629BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20230629BHJP
   G03B 21/16 20060101ALI20230629BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
G03B21/16
H04N5/74 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211215
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】平澤 友康
(72)【発明者】
【氏名】松山 敏伸
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
【Fターム(参考)】
2K203FA07
2K203FA45
2K203GA25
2K203GA34
2K203GA35
2K203HA14
2K203HA30
2K203HA82
2K203KA63
2K203KA73
2K203LA04
2K203LA13
2K203LA28
2K203LA36
2K203LA37
2K203MA12
2K203MA32
5C058BA35
5C058EA02
5C058EA52
(57)【要約】      (修正有)
【課題】2つの光源と2つの蛍光体を備え、当該2つの蛍光体から得られる蛍光を合成して出力する光源モジュールを小型化することができる画像投射装置を提供する。
【解決手段】光源と、2つの蛍光体ホイール102-1,102-2と、均一化素子103と、前記光源からの励起光を2つの前記蛍光体ホイールに導きかつ2つの前記蛍光体ホイールからの蛍光を合成した合成光を前記均一化素子まで導く光学系と、前記光学系を密閉する光学ケーシング110と、前記2つの蛍光体ホイールのうち一方を密閉しかつ気流の循環経路を有する第1冷却ケーシング109-1と、前記2つの蛍光体ホイールのうち他方を密閉しかつ気流の循環経路を有する第2冷却ケーシング109-2と、を有し、前記第1冷却ケーシングおよび前記第2冷却ケーシングのそれぞれの前記循環経路の軸が、前記合成光の光軸と垂直に交差するかまたは平行である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、2つの蛍光体ホイールと、均一化素子と、前記光源からの励起光を2つの前記蛍光体ホイールに導きかつ2つの前記蛍光体ホイールからの蛍光を合成した合成光を前記均一化素子まで導く光学系と、前記光学系を密閉する光学ケーシングと、前記2つの蛍光体ホイールのうち一方を密閉しかつ気流の循環経路を有する第1冷却ケーシングと、前記2つの蛍光体ホイールのうち他方を密閉しかつ気流の循環経路を有する第2冷却ケーシングと、を有する光源モジュールと、
前記均一化素子から出射される光を変調する光変調素子と、
前記光変調素子により変調された光を表示部の投射する投射光学系と、を備え、
前記第1冷却ケーシングおよび前記第2冷却ケーシングのそれぞれの前記循環経路の軸が、前記合成光の光軸と垂直に交差するかまたは平行である、画像投射装置。
【請求項2】
前記循環経路には、前記蛍光体ホイール、前記第1冷却ケーシングおよび前記第2冷却ケーシングの内外と熱的に繋がる吸熱部材が配置される、請求項1に記載の画像投射装置。
【請求項3】
前記循環経路には、前記蛍光体ホイールを回転させるモータが配置される、請求項2に記載の画像投射装置。
【請求項4】
前記吸熱部材は、熱伝導部材を有し、片面にフィンを有する2つの板部材を張りあわせたものである、請求項2または3に記載の画像投射装置。
【請求項5】
前記吸熱部材は、熱伝導部材を有し、両面にフィンを有する板部材である、請求項2または3に記載の画像投射装置。
【請求項6】
前記吸熱部材において、前記第1冷却ケーシングおよび前記第2冷却ケーシングの外側に配置されるフィンは、前記合成光の光軸と垂直に交差するかまたは平行である、請求項4または5に記載の画像投射装置。
【請求項7】
前記光源は、LDである、請求項1から6のいずれか一に記載の画像投射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LD(光源の一例)を使ったプロジェクタ等の画像投射装置では、光源モジュールは、1つのLDと、1つの蛍光体と、を備えた構成が一般的である。しかし、プロジェクタの光量を上げること等を目的として、2つのLDと、2つの蛍光体と、を備え、2つの蛍光体から得られる蛍光を合成して出力する技術が開発されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、光源モジュールにおいて励起光を蛍光に変換するが、蛍光体は温度が低いほど励起光から蛍光への変換効率が高い傾向にあるため、励起光から蛍光への変換効率を上げるために、蛍光体を冷却して蛍光体の温度を下げている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、2つの蛍光体を備えたプロジェクタにおいて、2つの蛍光体を冷却しようとすると、プロジェクタの構成が複雑化してしまい、プロジェクタ等の画像投射装置が大型化するという課題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、2つの光源と2つの蛍光体を備え、当該2つの蛍光体から得られる蛍光を合成して出力する光源モジュールを小型化することができる画像投射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、光源と、2つの蛍光体ホイールと、均一化素子と、前記光源からの励起光を2つの前記蛍光体ホイールに導きかつ2つの前記蛍光体ホイールからの蛍光を合成した合成光を前記均一化素子まで導く光学系と、前記光学系を密閉する光学ケーシングと、前記2つの蛍光体ホイールのうち一方を密閉しかつ気流の循環経路を有する第1冷却ケーシングと、前記2つの蛍光体ホイールのうち他方を密閉しかつ気流の循環経路を有する第2冷却ケーシングと、を有する光源モジュールと、前記均一化素子から出射される光を変調する光変調素子と、前記光変調素子により変調された光を表示部の投射する投射光学系と、を備え、前記第1冷却ケーシングおよび前記第2冷却ケーシングのそれぞれの前記循環経路の軸が、前記合成光の光軸と垂直に交差するかまたは平行である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、2つの光源と2つの蛍光体を備え、当該2つの蛍光体から得られる蛍光を合成して出力する光源モジュールを小型化することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施の形態にかかる画像投射装置を適用したプロジェクタの構成の一例を示す図である。
図2図2は、本実施の形態にかかる光源モジュールの概略の一例を示す図である。
図3図3は、本実施の形態にかかる光源モジュールの概略の他の例を示す図である。
図4図4は、本実施の形態にかかる光源モジュールが有する受熱手段および放熱手段の構成の一例を説明するための図である。
図5図5は、本実施の形態にかかる光源モジュールが有する受熱手段および放熱手段の構成の他の例を説明するための図である。
図6図6は、本実施の形態にかかる光源モジュールを合成光の出射方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、画像投射装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態にかかる画像投射装置を適用したプロジェクタの構成の一例を示す図である。本実施の形態にかかるプロジェクタは、図1に示すように、光源モジュール1と、光変調素子2と、投射光学系3と、を有する。
【0011】
光源モジュール1は、光源の一例であるLD(レーザダイオード光源)と、2つの蛍光体ホイールと、均一化素子と、当該LDからの励起光を2つの蛍光体ホイールに導きかつ当該2つの蛍光体ホイールからの蛍光を合成した合成光を均一化素子に導く光学系と、を有する。光変調素子2は、光源モジュール1の均一化素子から出射される光を変調する光変調素子の一例である。投射光学系3は、光変調素子2により変調された光をスクリーン等の表示部に投射する投射光学系の一例である。
【0012】
図2は、本実施の形態にかかる光源モジュールの概略の一例を示す図である。本実施の形態にかかる光源モジュール1は、図2に示すように、2つのLD101と、2つの蛍光体ホイール102-1,102-2と、均一化素子103と、ダイクロイックミラー104と、プリズム105と、モータ106と、受熱手段107と、放熱手段108と、第1冷却ケーシング109-1と、第2冷却ケーシング109-2と、光学ケーシング110と、を有する。以下の説明では、蛍光体ホイール102-1,102-2を区別しない場合には、蛍光体ホイール102と記載する。また、以下の説明では、第1,2冷却ケーシング109-1,109-2を区別しない場合には、冷却ケーシング109と記載する。
【0013】
LD101は、光を出射するLDの一例である。本実施の形態では、光源モジュール1は、2つのLD101を有する。ダイクロイックミラー104は、LD101から出射される光を反射して、蛍光体ホイール102上の蛍光体層に励起光として入射する。
【0014】
蛍光体ホイール102は、LD101から出射されダイクロイックミラー104で反射した光を波長変換した光(蛍光)を出射する蛍光体ホイールの一例である。プリズム105は、2つの蛍光体ホイール102-1,102-2により波長変換された蛍光を合成した合成光を均一化素子103に導く光学系の一例である。
【0015】
光学ケーシング110は、ダイクロイックミラー104、プリズム105等の光学系を密閉する光学ケーシングの一例である。第1冷却ケーシング109-1は、蛍光体ホイール102-1,102-2のうち一方(蛍光体ホイール102-1)を密閉し、その内部に気流の循環経路を有する第1冷却ケーシングの一例である。第2冷却ケーシング109-2は、蛍光体ホイール102-1,102-2のうち他方(蛍光体ホイール102-2)を密閉し、その内部に気流の循環経路を有する第2冷却ケーシングの一例である。すなわち、蛍光体ホイール102-1,102-2は、それぞれ、冷却ケーシング109によって、ダイクロイックミラー104、プリズム105等の光学系とは別に密閉されている。
【0016】
モータ106は、蛍光体ホイール102を回転させる。受熱手段107は、蛍光体ホイール102で発生した熱を受熱する。放熱手段108は、受熱手段107により蛍光体ホイール102から受熱した熱を、冷却ケーシング109の外部に放熱する。すなわち、本実施の形態では、受熱手段107および放熱手段108は、冷却ケーシング109の内外に熱的に繋がる吸熱部材の一例である。これにより、蛍光体ホイール102で発生した熱を効率良く受熱手段107に移送することができる。
【0017】
受熱手段107および蛍光体ホイール102は、冷却ケーシング109内に格納されている。そして、冷却ケーシング109内には、循環気流が起こされており、当該循環気流によって蛍光体ホイール102で発生した熱を、効率よく、受熱手段107に移送している。すなわち、冷却ケーシング109内の循環経路には、蛍光体ホイール102、および受熱手段107(吸熱部材)が配置されている。また、冷却ケーシング109内の循環経路には、モータ106が配置されていても良い。これにより、蛍光体ホイール102に加えて、モータ106も冷却することができる。
【0018】
ここで、冷却ケーシング109内の循環気流の軸は、モータ106の回転軸に対して垂直に交差する。また、プリズム105により合成された合成光の光軸と、循環気流の軸と、が垂直に交差する。これにより、光学ケーシング110と冷却ケーシング109の壁面同士が平行の関係になり、デッドスペースを作ることがないため、光源モジュール1を小さくすることができる。
【0019】
すなわち、合成光を基準として光源モジュール1を設計することで、光源モジュール1全体の設計が容易になるため、光学系を格納する光学ケーシング110の形状は合成光に対して平行または垂直な面を有する直方体とすると小型な設計が可能となる。また、循環気流を発生させる冷却ケーシング109は、均一な循環気流を確保するため、循環気流の軸に対して平行または垂直な面を有する直方体とすると小型な設計が可能となる。よって、光源モジュール1は、循環気流の循環経路の軸が、合成光の光軸と垂直に交差するか平行になっていることで、光学ケーシング110と冷却ケーシング109の壁面同士が平行の関係になり、デッドスペースを作ることがないため、光源モジュール1を小さくすることができる。
【0020】
本実施の形態では、循環気流の軸と、合成光の光軸と、が直交(垂直に交差)しているが、例えば、循環気流の軸をモータ106の回転方向に90℃倒した状態では、循環気流の軸と、合成光の光軸と、は、平行の関係になる。この場合でも、光学ケーシング110と冷却ケーシング109の壁面同士が平行の関係になり、デッドスペースを作ることがないため、光源モジュール1を小さくすることができる。
【0021】
図3は、本実施の形態にかかる光源モジュールの概略の他の例を示す図である。図2に示す光源モジュール1では、蛍光体ホイール102の2つの面のうち、励起光が入射される面側とは反対側にモータ106が取り付けられている。一方、図3に示す光源モジュール1では、蛍光体ホイール102の2つの面のうち、励起光が入射される面側にモータ106が取り付けられている。
【0022】
すなわち、図3に示す光源モジュール1は、図2に示す光源モジュール1とは、蛍光体ホイール102の基準として、モータ106が逆の向きに配置されている。これにより、冷却ケーシング109内の循環気流の作用によって、蛍光体ホイール102に加えて、モータ106も冷却することができる。
【0023】
図4は、本実施の形態にかかる光源モジュールが有する受熱手段および放熱手段の構成の一例を説明するための図である。本実施の形態では、受熱手段107および放熱手段108は、図4に示すように、アルミニウムのヒートシンク等であり、それぞれのベース部材が密着している。すなわち、受熱手段107および放熱手段108を含む吸熱部材は、熱伝導部材(良熱伝導部材)を有し、片面にフィンを有する2つの板部材(ベース部材)を張り合わせたものであっても良い。これにより、密閉された冷却ケーシング109内の熱を当該冷却ケーシング109外に低コストな構成で移送し放熱することが可能となる。
【0024】
本実施の形態では、受熱手段107および放熱手段108には、同じヒートシンクを用いているが、その限りではなく、ベース部材の大きさ、フィンの形状、枚数等は、適宜変更することができる。また、受熱手段107のベース部材と放熱手段108のベース部材との密着箇所に、熱伝導シート、熱伝導グリス等、熱伝導率が高い部材を配置することで、蛍光体ホイール102の放熱に効果的である。
【0025】
図5は、本実施の形態にかかる光源モジュールが有する受熱手段および放熱手段の構成の他の例を説明するための図である。本実施の形態では、受熱手段107および放熱手段108は、アルミニウムのベース部材の両側にフィンを立てた構成であっても良い。すなわち、受熱手段107および放熱手段108は、熱伝導部材(良熱伝導部材)を有し、両面にフィンを有する板部材(ベース部材)であっても良い。これにより、密閉された冷却ケーシング109内の熱を当該冷却ケーシング109外に高効率に移送し放熱することが可能となる。本実施の形態では、ベース部材の両側のフィンは、同じ形状かつ同じ枚数になっているが、その限りではなく、フィンの形状および枚数等は適宜変更することができる。
【0026】
図6は、本実施の形態にかかる光源モジュールを合成光の出射方向から見た図である。本実施の形態では、プリズム105により合成される合成光の出射方向に対して、冷却ケーシング109内の放熱手段108(受熱手段107)のフィンが平行になっている。これにより、放熱手段108のフィンが合成光に対して平行で揃っているので、放熱手段108のフィンに循環気流を作用させるためのダクトおよびファンを効率良く配置することができるので、光源モジュール1を搭載する各種機器を小型化することが可能である。本実施の形態では、放熱手段108のフィンが合成光に対して平行であるが、放熱手段108のフィンが合成光に対して垂直に交差するように揃っていても同様の効果が得られる。
【0027】
すなわち、受熱手段107および放熱手段108は、冷却ケーシング109の外側に配置されるフィンが、合成光の光軸と垂直に交差するかまたは平行である。これにより、冷却ケーシング109の外側に配置されるフィンに気流を作用させるためのダクトおよびファンを効率良く配置することができ、光源モジュール1を搭載するプロジェクタ等の各種機器の小型化が可能となる。
【0028】
本実施の形態では、循環気流の軸と合成光の光軸とが垂直に交差または平行になっているが、全ての循環気流の軸と合成光の光軸とが厳密に垂直に交差または平行になっていなくてもよく、合成光の光束の太さ、循環気流がケーシング形状の誤差があっても流量への影響を受けにくいことから、±20%の範囲になっていれば十分効果を得ることができる。
【0029】
このように、本実施の形態にかかるプロジェクタによれば、プリズム105により合成された合成光の光軸と、循環気流の軸と、が垂直に交差することにより、光学ケーシング110と冷却ケーシング109の壁面同士が平行の関係になり、デッドスペースを作ることがないため、光源モジュール1を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 光源モジュール
2 光変調素子
3 投射光学系
101 LD
102 蛍光体ホイール
103 均一化素子
104 ダイクロイックミラー
105 プリズム
106 モータ
107 受熱手段
108 放熱手段
109 冷却ケーシング
110 光学ケーシング
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特許第6236891号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6