(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095548
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
H01L21/304 648L
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211504
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 周平
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157BB23
5F157CC11
5F157CF14
5F157CF16
5F157CF32
5F157CF42
5F157CF70
5F157CF74
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】基板の処理にあたりチャンバの内圧を適正な圧力に維持する。
【解決手段】基板処理装置は、基板を収容するチャンバと、チャンバ内へ気体を供給する給気部と、排気調節機構が設けられたチャンバ内を排気する排気部と、チャンバの内圧を測定する圧力測定部と、圧力測定部の測定結果に基づいて排気調節機構を制御する制御部と、を備え、給気部は、空気を取り入れる入口と、チャンバ内に開口する出口とを有する給気流路であって、チャンバの外部空間から入口を介して取り込んだ吸入空気を出口を介してチャンバ内に供給する給気流路と、給気流路に介設され、吸入空気がチャンバ内に供給される前に吸入空気からパーティクルを除去するフィルタと、給気流路に介設され、入口から出口に向かって流れる吸入空気の流れを形成する送風機と、送風機の上流側において、送風機に導入される吸入空気の流量を調節する吸気弁とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象となる基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内へ気体を供給する給気部と、
前記チャンバ内を排気する排気部であって、前記排気部による前記チャンバからの排気流量を調節する排気調節機構が設けられている、前記排気部と、
前記チャンバの内圧を測定する圧力測定部と、
前記圧力測定部の測定結果に基づいて前記チャンバの内圧を規定された範囲内に保つように少なくとも前記排気調節機構を制御する制御部と、
を備え、
前記給気部は、
空気を取り入れる入口と、前記チャンバ内に開口する出口とを有する給気流路であって、前記チャンバの外部の空間から前記入口を介して取り込んだ吸入空気を前記出口を介して前記チャンバ内に供給する前記給気流路と、
前記給気流路に介設され、前記吸入空気が前記チャンバ内に供給される前に前記吸入空気からパーティクルを除去するフィルタと、
前記給気流路に介設され、前記入口から前記出口に向かって流れる前記吸入空気の流れを形成する送風機と、
前記送風機の上流側において、前記送風機に導入される前記吸入空気の流量を調節する吸気弁と、
を有している、基板処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記送風機の回転速度を一定に維持しつつ、前記給気流路から前記チャンバに流入する前記吸入空気の流量を、前記吸気弁の開度を制御することにより、少なくとも、第1流量と、前記第1流量より小さい第2流量との間で切り替える、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記チャンバに収容された前記基板に、少なくとも第1処理液および第2処理液を選択的に供給する処理液供給部と、
前記基板に供給されて前記基板の処理に供された前記第1処理液を液廃棄部へと導く第1排液流路と、
前記基板に供給されて前記基板の処理に供された前記第2処理液を液回収部へと導く第2排液流路と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第1処理液が基板に供給されているときに前記給気流路から前記チャンバに流入する前記吸入空気の流量が前記第1流量となり、前記第2処理液が基板に供給されているときに前記給気流路から前記チャンバに流入する前記吸入空気の流量が前記第1流量となるように、前記送風機の回転速度を一定に維持しつつ前記吸気弁の開度を制御する、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記吸気弁は二位置制御弁であり、前記吸気弁の弁体が第1位置にあるときに前記第1流量が実現され、前記弁体が第2位置にあるときに前記第2流量が実現される、請求項2または3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記排気部は、
前記チャンバからの排気を工場用力としての排気ダクトに導く排気ラインと、
前記排気ラインに介設された開度可変の調節弁と、
前記調節弁よりも上流側の位置において前記排気ラインから分岐して前記チャンバの外部の空間に開放された外気導入ラインと、
前記外気導入ラインを開閉する開閉弁と、
を有し、
前記調節弁および前記外気導入ラインの前記開閉弁は前記排気調節機構をなし、
前記制御部は、前記外気導入ラインの前記開閉弁を、前記二位置制御弁の前記弁体が第1位置にあるときに閉じ、第2位置にあるときに開くように制御する、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記圧力測定部の測定結果に基づいて前記チャンバの内圧が規定された範囲内に保たれるように前記調節弁の開度をフィードバック制御しており、
前記制御部は、前記二位置制御弁の前記弁体が第1位置にあってかつ前記外気導入ラインの前記開閉弁が閉じている第1状態と、前記二位置制御弁の前記弁体が第2位置にあってかつ前記外気導入ラインの前記開閉弁が開いている第2状態との間で切り替えを行うときに、前記調節弁の開度のフィードバック制御を一時的に停止し、予め定められた期間だけ前記調節弁に固定開度指令信号を与える、
請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1状態と前記第2状態との間での切替が行われるときに、前記二位置制御弁の前記弁体を、前記外気導入ラインの前記開閉弁のよりも先に動かし始める、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記送風機よりも下流側であってかつ前記フィルタよりも上流側にある前記給気流路の第1位置に、前記吸入空気よりも湿度が低い乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給部と、
前記吸入空気および前記乾燥ガスのいずれかが択一的に前記チャンバに供給されるようにする供給流体切替機構と、
をさらに備えた請求項2から7のうちのいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記供給流体切替機構は、前記送風機よりも下流側であってかつ前記給気流路の前記第1位置よりも上流側にある前記給気流路の第2位置に介設され、前記給気流路の前記第2位置よりも上流側の空間と前記第2位置よりも下流側の空間とを遮断することができる遮断弁を備えている、請求項8記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記前記給気流路の前記第2位置よりも上流側において前記給気流路に設けられた排気口と、前記排気口を開閉する開閉弁をさらに備え、
前記制御部は、前記遮断弁が前記給気流路の前記第2位置よりも上流側の空間と前記第2位置よりも下流側の空間とを遮断し、かつ、前記乾燥ガス供給部から前記チャンバに前記乾燥ガスが供給されているときにも、前記送風機を前記一定の回転速度で回転させ、このとき、前記排気口の前記開閉弁が開かれ、かつ、前記吸気弁の開度を、前記吸入空気が前記チャンバに前記第1流量で供給されているときと同じ開度に制御する、
請求項9記載の基板処理装置。
【請求項11】
処理対象となる基板を収容するチャンバと、
前記チャンバ内へ気体を供給する給気部と、
前記チャンバ内を排気する排気部であって、前記排気部による前記チャンバからの排気流量を調節する排気調節機構が設けられている、前記排気部と、
前記チャンバの内圧を測定する圧力測定部と、
前記圧力測定部の測定結果に基づいて前記チャンバの内圧を規定された範囲内に保つように少なくとも前記排気調節機構を制御する制御部と、
を備え、
前記給気部は、
空気を取り入れる入口と、前記チャンバ内に開口する出口とを有する給気流路であって、前記チャンバの外部の空間から前記入口を介して取り込んだ吸入空気を前記出口を介して前記チャンバ内に供給する前記給気流路と、
前記給気流路に介設され、前記吸入空気が前記チャンバ内に供給される前に前記吸入空気からパーティクルを除去するフィルタと、
前記給気流路に介設され、前記入口から前記出口に向かって流れる前記吸入空気の流れを形成する送風機 と、
前記送風機の上流側において、前記送風機に導入される前記吸入空気の流量を調節する吸気弁と、
を有している、基板処理装置を用いた基板処理方法であって、
前記チャンバに収容された前記基板に処理流体を供給して前記基板に処理を施すことと、
前記基板に処理を施している間に、前記送風機の回転速度を変化させることなく、前記吸気弁の開度を変化させることにより前記給気流路から前記チャンバに流入する前記吸入空気の流量を少なくとも第1流量と第2流量との間で変化させることと
を備えた基板処理方法。
【請求項12】
前記基板の処理に供された後に廃棄すべき第1処理液が前記基板に供給されているときに、前記給気流路から前記チャンバに流入する前記吸入空気の流量が前記第1流量となり、 前記基板の処理に供された後に回収すべき第2処理液が前記基板に供給されているときに、前記給気流路から前記チャンバに流入する前記吸入空気の流量が前記第1流量よりも小さい前記第2流量となるように、前記送風機の回転速度を変化させることなく、前記吸気弁の開度を変化させることにより前記給気流路から前記チャンバに流入する前記吸入空気の流量を変化させることを含む、請求項11記載の基板処理方法。
【請求項13】
前記基板処理装置は、
前記送風機よりも下流側であってかつ前記フィルタよりも上流側にある前記給気流路の第1位置に、前記吸入空気よりも湿度が低い乾燥ガスを供給する乾燥ガス供給部と、
前記送風機よりも下流側であってかつ前記給気流路の前記第1位置よりも上流側にある前記給気流路の第2位置に介設され、前記給気流路の前記第2位置よりも上流側の空間と前記給気流路の前記第2位置よりも下流側の空間とを連通させるか連通を遮断することができる遮断弁と、
前記給気流路の前記第2位置よりも上流側において前記給気流路に設けられた排気口と、
前記排気口を開閉する開閉弁と、
をさらに備えており、
前記遮断弁が前記給気流路の前記第2位置よりも上流側の空間と前記給気流路の前記第2位置よりも下流側の空間とを遮断しているときにも、前記吸気弁の開度を前記吸入空気が前記チャンバに前記第1流量で供給されているときと同じ開度とし、前記排気口の前記開閉弁を開くことにより前記送風機から吐出される前記吸入空気を前記排気口から外部に逃がしながら前記送風機の回転速度を変化させずに前記送風機の運転を継続することを含む、請求項11記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、半導体ウエハやガラス基板などの基板に対し、DHF(希フッ酸)等の薬液を供給して基板の表面を処理する薬液処理工程や、DIW(純水)等のリンス液を供給して基板上の薬液を洗い流すリンス処理工程などの一連の工程が、予め定められたレシピに従って実行される。上記の一連の工程を実施するときに基板は処理チャンバ内に配置される。基板へのパーティクルの付着などを防止するため、処理チャンバ内には清浄なガス流(空気流)が形成される。また、チャンバの内圧はほぼ一定に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板の処理にあたりチャンバの内圧を適正な圧力に維持することができる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態によれば、処理対象となる基板を収容するチャンバと、前記チャンバ内へ気体を供給する給気部と、前記チャンバ内を排気する排気部であって、前記排気部による前記チャンバからの排気流量を調節する排気調節機構が設けられている、前記排気部と、前記チャンバの内圧を測定する圧力測定部と、前記圧力測定部の測定結果に基づいて前記チャンバの内圧を規定された範囲内に保つように少なくとも前記排気調節機構を制御する制御部と、を備え、前記給気部は、空気を取り入れる入口と、前記チャンバ内に開口する出口とを有する給気流路であって、前記チャンバの外部の空間から前記入口を介して取り込んだ吸入空気を前記出口を介して前記チャンバ内に供給する前記給気流路と、前記給気流路に介設され、前記吸入空気が前記チャンバ内に供給される前に前記吸入空気からパーティクルを除去するフィルタと、前記給気流路に介設され、前記入口から前記出口に向かって流れる前記吸入空気の流れを形成する送風機と、前記送風機の上流側において、前記送風機に導入される前記吸入空気の流量を調節する吸気弁と、を有している、基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示の上記実施形態によれば、基板の処理にあたりチャンバの内圧を適正に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】基板処理装置の一実施形態に係る基板処理システムの概略横断面図である。
【
図2】
図1に示した基板処理システムに含まれる処理ユニットの一構成例を示す概略縦断面図である。
【
図3A】処理ユニットの液処理カップに複数系統の流路を設ける手法について説明する概略断面図である。
【
図3B】処理ユニットの液処理カップに複数系統の流路を設ける手法について説明する概略断面図である。
【
図4A】
図2に示した処理ユニットで実施することができる基板処理方法の一例において、各工程におけるチャンバに対する給気および排気について説明する図である。
【
図4B】
図2に示した処理ユニットで実施することができる基板処理方法の一例において、各工程におけるチャンバに対する給気および排気について説明する図である。
【
図4C】
図2に示した処理ユニットで実施することができる基板処理方法の一例において、各工程におけるチャンバに対する給気および排気について説明する図である。
【
図4D】
図2に示した処理ユニットで実施することができる基板処理方法の一例において、各工程におけるチャンバに対する給気および排気について説明する図である。
【
図4E】
図2に示した処理ユニットで実施することができる基板処理方法の一例において、各工程におけるチャンバに対する給気および排気について説明する図である。
【
図4F】
図2に示した処理ユニットで実施することができる基板処理方法の一例において、各工程におけるチャンバに対する給気および排気について説明する図である。
【
図4G】
図2に示した処理ユニットで実施することができる基板処理方法の一例において、各工程におけるチャンバに対する給気および排気について説明する図である。
【
図5】チャンバ内の空気の流量を大流量から小流量に変化させるときの処理ユニットの各種デバイスの操作の一例を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
基板処理装置の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る基板処理システムの概略構成を示す図である。以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0010】
図1に示すように、基板処理システム1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
【0011】
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の基板、本実施形態では半導体ウエハ等の基板Wを水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
【0012】
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられ、内部に基板搬送装置13と、受渡部14とを備える。基板搬送装置13は、基板Wを保持する基板保持機構を備える。また、基板搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、基板保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間で基板Wの搬送を行う。
【0013】
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送部15と、複数の処理ユニット16とを備える。複数の処理ユニット16は、搬送部15の両側に並べて設けられる。
【0014】
搬送部15は、内部に基板搬送装置17を備える。基板搬送装置17は、基板Wを保持する基板保持機構を備える。また、基板搬送装置17は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、基板保持機構を用いて受渡部14と処理ユニット16との間で基板Wの搬送を行う。
【0015】
処理ユニット16は、基板搬送装置17によって搬送される基板Wに対して所定の基板処理を行う。
【0016】
また、基板処理システム1は、制御装置4を備える。制御装置4は、たとえばコンピュータであり、制御部18と記憶部19とを備える。記憶部19には、基板処理システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部18は、記憶部19に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理システム1の動作を制御する。
【0017】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置4の記憶部19にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0018】
上記のように構成された基板処理システム1では、まず、搬入出ステーション2の基板搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCから基板Wを取り出し、取り出した基板Wを受渡部14に載置する。受渡部14に載置された基板Wは、処理ステーション3の基板搬送装置17によって受渡部14から取り出されて、処理ユニット16へ搬入される。
【0019】
処理ユニット16へ搬入された基板Wは、処理ユニット16によって処理された後、基板搬送装置17によって処理ユニット16から搬出されて、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済の基板Wは、基板搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
【0020】
次に、処理ユニット16の構成について
図2を参照して説明する。
【0021】
処理ユニット16は、処理空間を画定するチャンバ20を有している。チャンバ20の天井部にはファンフィルタユニット(FFU)70が設けられている。FFU70は清浄ガスをチャンバ20内に下向きに吹き出す。
【0022】
処理ユニット16には、スピンチャック(基板保持回転機構)30が設けられている。スピンチャック30は、基板Wを水平姿勢で保持する基板保持部(チャック部)31と、基板保持部31およびこれに保持された基板Wを鉛直軸線周りに回転させる回転駆動部32とを有している。
【0023】
基板保持部31は、基板Wの周縁部を把持爪等の保持部材により機械的に保持するメカニカルチャックと呼ばれるタイプのものであってもよく、基板Wの裏面中央部を真空吸着するバキュームチャックと呼ばれるタイプのものであってもよい。回転駆動部32は、例えば電気モータにより構成することができる。
【0024】
処理ユニット16には、基板Wの処理に必要な様々な処理流体を基板Wに供給するための処理流体供給部40が設けられている。
【0025】
処理流体供給部40は、処理流体を基板Wに向けて吐出する複数のノズル41(
図2では2つだけが示されている)を有している。一実施形態において、処理ユニット16においてノズル41から基板Wに供給される処理流体には、処理液と処理ガスがある。処理液は、薬液、リンス液、乾燥用溶剤等に分類される。使用される薬液は、有機薬液、酸性薬液、アルカリ性薬液等に分類される。有機薬液としてはTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)が例示される。酸性薬液としてはSC2、HF(フッ酸)、SPM(硫酸過水)等が例示される。アルカリ性薬液としてはSC1が例示される。リンス液としては、DIW(純水)または機能水が例示される。機能水とは、DIWに微量の溶質(アンモニア、二酸化炭素ガス等が例示される)を溶け込ませ、DIWが有しない特別な機能(例えば導電性)を与えたものを意味する。乾燥用溶剤としてはIPA(イソプロピルアルコール)が例示される。処理ガスとしては、N2ガス(窒素ガス)が例示される。
【0026】
処理流体は上記のものに限定されるものではなく、半導体製造の技術分野においてウエットエッチング用の枚葉式基板処理ユニットで用いられている公知の様々な処理流体から必要に応じて任意のものを選択して用いることができる。
【0027】
一実施形態において、異なる処理流体は、それぞれ異なるノズル41から吐出される。この場合、各ノズル41に、処理流体供給源42から、
図2において白抜きボックスにより概略的に示された供給制御部44が介設された供給ライン43を介して所要の処理流体が供給される。処理流体供給源42は、例えば、処理流体を貯留するタンク、あるいは工場用力等からなる。供給制御部44は、開閉弁、流量計、流量制御弁等から構成される。他の実施形態において、1つのノズルから複数種類の処理流体(例えばDHFおよびDIW)が択一的に吐出されるようにしてもよい。複数のノズル41のうちの1つが二流体ノズル(二流体スプレーノズル)であってもよい。
【0028】
複数のノズル41は、1つまたは複数のノズルアーム45(
図2には1つだけが示されている)に担持されている。ノズルアーム45は、各ノズル41を、基板保持部31により保持された基板Wの中心部の上方の位置と、当該基板Wの周縁部の上方の位置との間の任意の位置(半径方向位置)に位置させることができるように構成されている。ノズルアームは、鉛直軸線回りに旋回可能なタイプであってもよく、あるいは、ガイドレールに沿って並進移動可能なタイプであってもよい。
【0029】
基板保持部の周囲には、回転する基板Wから飛散する処理液を捕集する液受けカップ50が設けられている。液受けカップ50により捕集された処理液は、液受けカップ50の底部に設けられた排液口51から処理ユニット16の外部に排出される(矢印DRを参照)。液受けカップ50の底部には排気口52も設けられており、排気口52を介して液受けカップ50の内部が吸引されている。この吸引により、基板Wの上方にあるガス(FFU70から吐出されたクリーンエア)が、基板Wの周縁と液受けカップ50の上部開口部の周縁との間から液受けカップ50内に引き込まれ、
図2に矢印F1で示すようなガス流が形成される。
【0030】
回転する基板Wから飛散した処理液は、ガス流F1に乗って流れる。言い換えると、処理液ミストを随伴(含有)するガスが矢印F1に沿って流れる。液受けカップ50は、ガス流F1が蛇行して流れるように形成されている。このため、ガス流F1に乗って流れる処理液のミストの多くは方向転換時にガス流から分離され、液受けカップ50の下部に集まり、排液口51から排出される(矢印DRを参照)。排液口51には、基板Wからミスト化されずに飛散して液受けカップ50内を流下した処理液も排出される。
【0031】
なお、固定カップ体と1つ以上の昇降可能な可動カップ体を備え、可動カップ体の高さ位置を変更することにより液受けカップ内で異なるN系統(Nは例えば2~4程度)の流路を形成できるように構成された液受けカップは当該技術分野において周知である。このような液受けカップでは、第1薬液および第1薬液ミスト含有ガス(ここではガスは空気である)、・・・、第N薬液および第N薬液ミスト含有ガスを、別の流路を介して、N個の異なる排液口(排液口51)に向けて流すことができる。なおこのタイプの液受けカップにおいて、ガスは、一緒に流れてきた薬液の種類に関わらず、最終的に同じ排気口(排気口52)を介して液受けカップから排出されか、あるいは別々の排気口から排出された後に同じ排気ラインを流れる。薬液の種類としては、有機薬液、酸性薬液およびアルカリ性薬液の3種類に大別され、各々に対して異なる流路および異なる排液口が割り当てられる。なお、例えば、使用する有機薬液に、再利用のための回収すべきものと、そのまま廃棄するものがある場合には、回収有機薬液および廃棄有機薬液の各々に対して異なる流路および異なる排液口を割り当ててもよい。なおこのタイプの液受けカップにおいて、ガスは、最終的に同じ排気口(排気口52)を介して液受けカップから排出されか、あるいは別々の排気口から排出された後に同じ排気ラインを流れる。液受けカップから排気ラインに至る排気ルートが変更されても、排気抵抗が変化しないか、変化が小さいようになっていることが好ましい。
【0032】
参考のため、
図3Aおよび
図3Bに、内部に2系統の流路を形成できるように構成された液受けカップの構成例を概略的に記載した。
図3Aおよび
図3Bのカップでは、液受けカップ50内に1つの昇降可能な可動カップ体55が設けられ、
図3Aに示すように可動カップ体55が下降位置にあるときには液は排液口51Aから排出され、
図3Bに示すように可動カップ体55が上昇位置にあるときには液は排液口51Bから排出される。可動カップ体55の位置に関わらず、ガスは共通の排気口52から排出される(但しガスの流れるルートは異なる)。
図3Aおよび
図3Bにおいて、ガス(空気)の流れがGで示され、液の流れがLで示されている。可動カップ体55の数を増やすことにより流路の系統数を増やすことができることも当該技術分野において周知である。
【0033】
図2では図面の簡略化のため記載はされていないが、本実施形態においても、使用済み処理液の分別排出/回収のため、複数系統の流路を備えた液受けカップ50を用いることができる。
【0034】
排気口52には、排気系(排気部)60が接続されている。排気系60は、排気口52に連結された主排気ライン(排気ライン)61を有する。主排気ライン61は、その下流端部において、有機排気ライン62と、酸排気ライン63と、アルカリ排気ライン64とに分岐し、これらのラインは、半導体装置製造工場の工場用力としての排気ダクト(有機排気用、酸排気用、アルカリ排気用のダクト)にそれぞれ接続されている。
【0035】
有機排気ライン62、酸排気ライン63およびアルカリ排気ライン64には、排気切替用の開閉弁62V、開閉弁63Vおよび開閉弁64Vがそれぞれ介設されている。これら開閉弁(62V,63V,64V)のうちのいずれかが、主排気ライン61を流下してくるガスの種類に応じて択一的に開かれる。
【0036】
上記の各排気ダクト内は負圧となっており、この負圧により、主排気ライン61および排気口52を介して液受けカップ50に吸引力が作用する。このため、液受けカップ50の上部開口部の上方にあるガス(空気)が液受けカップ50内に引き込まれ、液受けカップ50内に前述したガス流F1が形成される。
【0037】
主排気ライン61の途中に設定された接続ポイント61Pに、外気導入ライン65が接続されている。外気導入ライン65の末端は、クリーンルーム雰囲気の空間に開放されている。外気導入ライン65には外気導入用の開閉弁65Vが介設されている。また、接続ポイント61Pのやや下流側において、主排気ライン61には開度調整可能な調節弁61Vが介設されている。
【0038】
外気導入ライン65の開閉弁65Vを開くと、工場用力の排気ダクトからの吸引力がクリーンルーム内雰囲気を吸引するために消費され、従って、液受けカップ50に作用する吸引力が弱くなる。また、調節弁61Vの開度を小さくすることによっても液受けカップ50に作用する吸引力が弱くなる。つまり、調節弁61Vの開度調整および開閉弁65Vの開閉により、液受けカップ50に作用する吸引力を調整することができる。
【0039】
弁61V~65Vは、例えばバタフライ弁であるが、これに限定されるものではない。
【0040】
次に、FFU70すなわち給気部について説明する。
【0041】
FFU70は、クリーンルーム内の雰囲気を取り込む空気取入部71と、空気取入部71が取り込んだ空気を濾過してチャンバ20内に吹き出す空気吐出部72とを有している。一実施形態において、空気取入部71が複数のユニットを組み合わせることにより構成され、空気吐出部72が単一のユニットとして構成することができる。しかしながら、FFU70の構成はこれに限定されるものではなく、後述の機能が実現される限りにおいてFFU70の詳細構造は任意である。例えば、FFU70全体を単一のユニットとして構成してもよいし、空気取入部71の一部および空気吐出部72の一部が単一のユニットとして構成されていてもよい。
【0042】
空気取入部71は、ファン(送風機)73と、吸気ダンパ(吸気弁)75Vとを有している。
【0043】
本実施形態では、吸気ダンパ75Vは二位置制御ダンパ(二位置制御弁)として構成されている。つまり、吸気ダンパ75Vは、吸気ダンパ75Vの羽根(弁体)751が第1位置をとる第1状態、あるいは、吸気ダンパ75Vの羽根(弁体)751が第2位置(
図2に示した位置)をとなる第2状態のいずれかの状態をとることができるように構成されている。羽根(弁体)751の第1位置とは、
図2の位置から90度回転した位置である。
【0044】
ファン73を回転させると、吸気ダンパ75Vのケース752の入口開口部753を介してクリーンルーム内の空気が吸引され、吐出空間77内に吐出される。ファン73から吐出空間77内に吐出される空気の流量は、吸気ダンパ75Vの羽根751の角度位置に応じて変化する。ファン73の回転数を一定に維持したとしても、ファン73から吐出空間77内に吐出される空気の流量は、吸気ダンパ75Vの羽根751の位置に応じて変化させることができる。
【0045】
吸気ダンパ75Vの第1状態では、吸気ダンパ75Vを比較的大流量で空気が通過することができる。吸気ダンパ75Vの第2状態では、吸気ダンパ75Vを比較的小流量で空気が通過することができる(空気の通過が完全に遮断されるわけではない。)。この空気の通流を可能とするため、吸気ダンパ75Vのケース752に通気穴(この場合、この通気穴も入口開口部753の一部をなす)が形成されているか、あるいは、第2位置(
図2に示した位置)にある羽根751がケース752内の空気流路を完全に遮断しないように設けられている。このことにより、ファン73を常時回転させたとしても、吸気ダンバ75Vの羽根751への負荷およびファン73のモータへの負荷を低減することができるという副次的効果も得られる。
【0046】
吐出空間77の第1端77Aは空気吐出部72(詳細には後述の拡散空間82)に連通しており、吐出空間77の第2端77Bにはクリーンルーム内に開口する排気口78が設けられている。
【0047】
吐出空間77内の第1端77Aの付近には、遮断弁79V(空気供給用の遮断弁)が設けられている。遮断弁79Vの弁体791は、空気取入部71が取り込んだ空気を空気吐出部72に供給するために空気取入部71と空気吐出部72とを連通させる開位置(実線で示す)、あるいは、空気取入部71と空気吐出部72との連通を遮断する閉位置(破線で示す位置)をとることができる。
【0048】
排気口78には、圧力開放用の開閉弁80Vが設けられている。開閉弁80Vを開くと、排気口78を介して、クリーンルームから吸気ダンパ75Vおよびファン73を介して取り込まれた空気を、クリーンルーム内に排出する(戻す)ことができる。開閉弁80Vを開いておけば、遮断弁79Vが閉状態となっている状態でファン73を運転しても、吐出空間77の内圧が上昇することはない。このため、ファン73の負荷が増大することを防止することができる。
【0049】
開閉弁80Vは、遮断弁79Vが開位置となってクリーンルームから吸気ダンパ75Vおよびファン73を介して取り込まれた空気がチャンバ20内に吐出されているときには、閉じられる。
【0050】
FFU70の空気吐出部72は、例えば薄い(高さの低い)直方体の形状を有する拡散空間82を有している。拡散空間82は、チャンバ20の上方に位置する。拡散空間82の直方体の一側面に空気取入部71の吐出空間77の第1端77Aが接続されている。
【0051】
空気吐出部72は、拡散空間82の下方に、フィルタ83とパンチングプレート84とを有している。フィルタ83は例えばULPAフィルタであり、空気取入部71から送り込まれてきた空気中に含まれるパーティクルを除去する。パンチングプレート84は、空気吐出部72からチャンバ20内に吐出される空気の水平面内の分布を均一化するための整流板としての役割を果たす。パンチングプレート84に形成された多数の穴からチャンバ20内に清浄空気が吹き出される。
【0052】
ドライエア供給部90が、FFU70の拡散空間82内にドライエアを供給するために設けられている。ドライエアは、クリーンルーム内空気よりも湿度が低い空気であり、例えば、クリーンルーム内空気を除湿することにより生成される。ドライエア供給部90は、除湿装置、送風機等を備えたドライエア供給源91と、ドライエア供給源91と拡散空間82とを接続するドライエアライン92と、ドライエアライン92に介設された流量制御機器93(流量計、流量制御弁、開閉弁等が含まれる)とを備えている。ドライエア供給源91は、通常は、半導体装置製造工場の工場用力として提供される。
【0053】
上記の説明より、以下の構成が把握される。すなわち、FFU70すなわち給気部は、吸気ダンパ75Vのケース752の入口開口部753を入口として、空気吐出部72のパンチングプレート84に形成された多数の穴を出口とする給気流路を有している。流れ方向に関して前記給気流路の第1位置(拡散空間82内の位置)に、ドライエア供給部90からドライエアが供給される。また、送風機73よりも下流側であってかつ前記給気流路の前記第1位置よりも上流側にある給気流路の第2位置に遮断弁79Vが介設されている。この遮断弁79Vは、給気流路の内部空間のうちの遮断弁79Vの上流側の空間と遮断弁79Vの下流側の空間とを遮断可能である。
【0054】
変形実施形態(図示せず)として、吸気ダンパ75Vとファン73との間(例えば
図2において符号70Cで示した位置)からクリーンルーム内空気がファン73に流入することを可能とする構成を採用してもよい。具体的には(1)吸気ダンパ75Vおよびファン73を両者の間に小さな隙間を空けて配置した構成、あるいは(2)吸気ダンパ75Vとファン73のケース同士を空気取入口を備えた短いダクト(例えば少なくとも一部がパンチングプレートで形成されたダクト)により連結した構成が例示される。上記の隙間および空気取入口は給気流路の追加の入口となる。上記構成を採用した場合には、第2位置(
図2に示した位置)にある羽根751が吸気ダンパ75Vのケース752の入口開口部753からの空気の流入を完全に遮断するように構成してもよい。この変形実施形態に係る構成を採用しても、後述の各工程において同様の給気動作を行うことができる。
【0055】
チャンバ20の内部空間(例えば、液受けカップ50の外側)には、丸で囲まれた符号P1で概略的に示されるように、チャンバ20の内部空間内の圧力を検出するための圧力センサ95が設けられている。
【0056】
次に、
図2に示された処理ユニット16内における基板W(半導体ウエハ)の処理の一実施形態について、
図4A~
図4Fに示す作用図を参照しつつ説明する。
【0057】
以下においては、BEOLに含まれる洗浄プロセスとして、有機薬液処理工程、機能水リンス工程、酸性薬液処理工程、DIWリンス工程、IPA乾燥工程、スピン乾燥工程が順次実行させる液処理について説明する。なお、上記の各工程は、制御装置4の制御の下で、自動的に実行される。
【0058】
[基板搬入工程]
まず、基板Wを処理ユニット16内に搬入して、スピンチャック30により保持させる。
【0059】
基板搬入時には、チャンバ20への給気および液受けカップ50からの排気に関連するデバイス(1)~(6)の状態は以下のようになっている。「OPEN」は弁(ダンパを含む)が開状態にあることを意味し、「CLOSE」は弁、ダンパ等が閉状態にあることを意味する。吸気ダンパ75Vにおいて、「OPEN」は吸気ダンパ75Vの羽根が第1位置にある状態に対応し、「CLOSE」は吸気ダンパ75Vの羽根が第2位置にある状態(つまり完全閉止状態ではない)に対応している。ファン73は、全ての工程において常時一定の速度で回転させている。(7)において、「有機」、「アルカリ」、「酸」とあるのは、それぞれ、開閉弁62V,63V,64Vにより主排気ライン(排気ライン)61が工場用力としての有機排気用排気ダクト、アルカリ排気用排気ダクト、酸排気用排気ダクトに接続されるような状態になっていることを意味している。この基板搬入工程において、(7)の排気先選択は「有機」となっているが、本工程の前工程(前の基板処理の最終工程)および次工程での排気先が「有機」であるためそのようになっているのであり、「酸」でも「アルカリ」でも構わない。
【0060】
(1)吸気ダンパ75V:OPEN
(2)空気供給用遮断弁79V:OPEN
(3)圧力開放用開閉弁80V:CLOSE
(4)ドライエア供給部90:OFF
(5)外気導入用開閉弁65V:CLOSE
(6)チャンバ内圧制御用調節弁61V:AUTO
(7)排気先選択用開閉弁62V,63V,64V:有機
(
図4Aを参照)
【0061】
上記(6)における「AUTO」とは、圧力センサ95により検出されたチャンバ20内の圧力測定値が、チャンバ20内圧力の目標値となるように、コントローラ(制御部)により調節弁61Vの開度がフィードバック制御されることを意味している。コントローラは、基板処理装置の制御装置4の一部であってもよいし、制御装置4(
図1参照)の下位コントローラであってもよい。本実施形態において、液処理の一連の工程を実施している間におけるチャンバ20内圧力の目標値は、例えばゲージ圧で数十pa程度の微陽圧である。
【0062】
上記の「基板搬入」の状態のとき、空気取入部71がクリーンルーム内から取り入れた空気(吸入空気)が比較的大流量でチャンバ20に供給され、チャンバ20から液受けカップ50を介して排気ライン61に比較的大流量で空気が排出される。つまり、チャンバ20内を比較的大流量で空気が通過することになる。
【0063】
[有機薬液処理工程]
まず、最初の処理工程として、有機薬液処理工程を実施する。基板Wを例えば500~1000rpm程度の範囲内の適当な回転速度で回転させる。この状態で、有機薬液供給用のノズル(41)から有機薬液を基板Wの中心部に供給する。有機薬液は遠心力により基板Wの周縁に向けて広がりながら基板Wの表面を流れ、これにより基板Wの表面全域が有機薬液の液膜により覆われた状態となる。この状態を継続することにより、基板Wの表面が有機薬液により処理される。有機薬液は基板Wから飛散し、液受けカップ50により受け止められ、排液口51から排出される。本実施形態では、使用される有機薬液が高価であり再利用が望まれるものであるため、有機薬液は、この有機薬液の回収専用に設けられた排液口(51)から排出され、回収される。なお、有機薬液は、例えば半導体装置製造工程のBEOL工程で使用されるものである。
【0064】
有機薬液処理工程の実行中におけるチャンバ20への給気および液受けカップ50からの排気に関連するデバイスの状態は下記の通りである。括弧書きで示された状態は、直前の工程における状態を意味している(以下の説明において同じ。)。
【0065】
(1)吸気ダンパ75V:(OPEN)CLOSE
(2)空気供給用遮断弁79V:(OPEN)OPEN
(3)圧力開放用開閉弁80V:(CLOSE)CLOSE
(4)ドライエア供給部90:(OFF)OFF
(5)外気導入用開閉弁65V:(CLOSE)OPEN
(6)チャンバ内圧制御用調節弁61V:(AUTO)FIX→AUTO
(7)排気先選択用開閉弁62V,63V,64V:(有機)有機
(
図4Bを参照)
【0066】
上記(6)における「FIX」とは、圧力センサ95の検出値に関わりなく、調節弁61Vの開度が予め定められた開度(「固定開度」とも呼ぶ)に維持されるように、コントローラが予め定められた固定開度指令信号を調節弁61Vに与えていることを意味する。調節弁61Vの固定開度値は単一の値であってもよいし、時間経過とともに変化する複数の値であってもよい。後者の場合、例えば、0.5秒毎に固定開度指令値が異なる値に更新される。予め定められた時間だけ「FIX」の状態を続けたら、調節弁61Vの制御が「AUTO」(フィードバック制御)に戻される。
【0067】
外気導入用の開閉弁65Vを開くと、外気導入ライン65から排気ライン61に外気(クリーンルーム内空気)が流入する。言い換えると、液受けカップ50を介してチャンバ20に作用していた工場排気ダクトの負圧由来の吸引力の一部が、外気導入ライン65にも分配されるようになる。その結果として、チャンバ20内に作用する吸引力が弱くなる。一方で、吸気ダンパ75Vを閉状態としたことに伴い、FFU70の空気取入部71からチャンバ20内に送り込まれる空気の流量が減少する(前述したように、吸気ダンパ75Vが「CLOSE」になっていたとしても、比較的小流量で空気が吸気ダンパ75Vを通過することに留意されたい)。つまりチャンバ20に対する空気の収支(給気量-排気量)は切り替え前と実質的に同一とすることができる。このため、チャンバ20内の圧力は、調節弁61Vの開度を大きく変化させることなく切り替え前と同じ圧力に維持することができ、一方で、チャンバ20内を通過して流れる空気の流量を比較的低流量に減少させることができる。このため、回転する基板Wの表面を覆っている有機薬液の蒸発、およびミスト化された有機薬液の蒸発が抑制され、有機薬液の回収効率を高めることができる。
【0068】
なお、上記(6)において、調節弁61Vを固定開度(FIX)に一旦切り替える理由は以下の通りである。吸気ダンパ75VのOPEN(羽根751の第1位置)からCLOSE(羽根751の第2位置)への移行(閉操作)により生じるチャンバ20への給気量の減少と、開閉弁65VのCLOSEからOPENへの移行(開操作)により生じるチャンバ20からの排気量の減少が、全く同一のタイミングで生じるわけではない(これは、給気側および排気側の圧力伝播経路長の差異および吸気ダンパ75および開閉弁65Vの開閉レスポンスおよび開閉速度の相違があるためである。)。このため、吸気ダンパ75Vの閉操作および開閉弁65Vの開操作が行われるときに、チャンバ20内圧力の一時的な上昇または下降が不可避的に生じる。
【0069】
チャンバ20内圧力の一時的な上昇または下降が生じたときに、調節弁61V開度のフィードバック制御(AUTO)を継続していると、チャンバ20内圧力にハンチングが生じる。これを防止するために、本実施形態では、調節弁61Vを固定開度(FIX)に一旦切り替えている。このときの調節弁61Vの開度および固定開度に維持する時間は、実験により定めればよい(適切な数値は、装置の寸法諸元、吸排気能力等により異なるため)。調節弁61Vの固定開度の決定にあたっては例えば以下のようにすればよい。つまり、調節弁61Vの固定開度(FIX)への切り替えを行わずにフィードバック制御(AUTO)を継続すると、ハンチング発生後に調節弁61Vの開度が安定する。その安定した開度を上記の固定開度(FIX)とすればよい。あるいは、前述したように時間経過とともに変化する複数の固定開度指令値を設定する場合には、チャンバ20内圧力の変動がなるべく滑らかになるように設定すればよい(例えば
図5のグラフの最下段を参照)。
【0070】
なお、給気側および排気側の圧力伝播経路長の差異および吸気ダンパ75および開閉弁65Vの開閉レスポンスおよび開閉速度の相違により、開閉弁65Vを開いてからチャンバ20からの排気量の十分な減少が生じるまでの時間は、吸気ダンパ75Vを閉じてからチャンバ20への給気量の十分な減少が生じるまでの時間より短い。このため、吸気ダンパ75の閉操作を開閉弁65Vの開操作より先行して開始することが好ましい。そうすることにより、調節弁61Vを固定開度(FIX)に維持する時間を短くすることができ、チャンバ20内の圧力制御性が向上する。
【0071】
図5は、調節弁61Vを固定開度(FIX)としている期間およびその前後の期間におけるチャンバ20の給気および排気に関連する処理ユニット16のデバイスの状態変化の一例を示したタイミングチャートである。横軸は、時間経過を示している。
図5の上段の参照符号61Vが付けられている矢印群は、調節弁61Vの制御モードを示しており、時点t1でAUTOからFIXに切り替えられ、時点t3でAUTOからFIXに切り替えられている。参照符号65Vが付けられている矢印群は、外気導入用の開閉弁65Vの状態を示しており、時点t2で開動作を開始し、時点t3で開動作が終了している。参照符号75Vが付けられている矢印群は、吸気ダンパ75Vの状態を示しており、時点t1で閉動作を開始し、時点t3で閉動作が終了している。参照符号P
CHAが付けられた曲線は、チャンバ20内の実測圧力(ゲージ圧(Pa))を示しており、表示されている時間内における圧力変動が既定の範囲(P
R)内に収まっていることを示している。
【0072】
[機能水リンス工程]
次に、機能水リンス工程を実施する。基板Wを引き続き回転させながら、基板Wへの有機薬液の供給を停止するとともに、機能水供給用のノズル(41)から機能水を基板Wの中心部に供給する。ここで用いられる機能水は、DIW(純水)に微量のアンモニアを溶解させたものである。機能水は遠心力により基板Wの周縁に向けて広がりながら基板Wの表面を流れ、これにより基板Wの表面全域が機能水の液膜により覆われた状態となる。この状態を継続することにより、基板Wの表面に残留していた有機薬液が機能水により洗い流される。機能水は基板Wから飛散し、液受けカップ50により受け止められ、排液口51から排出される。機能水は、好ましくはアルカリ薬液排出用の排液口(51)を介して、液受けカップ50から排出される。アルカリ系機能水を用いてリンスを行うことにより、基板Wへのパーティクルの再付着を抑制することができる(ゼータ電位の影響による)。
【0073】
機能水リンス工程の実行中におけるチャンバ20への給気および液受けカップ50からの排気に関連するデバイスの状態は以下の通りである。
【0074】
(1)吸気ダンパ75V:(CLOSE)OPEN
(2)空気供給用遮断弁79V:(OPEN)OPEN
(3)圧力開放用開閉弁80V:(CLOSE)CLOSE
(4)ドライエア供給部90:(OFF)OFF
(5)外気導入用開閉弁65V:(OPEN)CLOSE
(6)チャンバ内圧制御用調節弁61V:(FIX→AUTO)FIX→AUTO
(7)排気先選択用開閉弁62V,63V,64V:アルカリ
(
図4Cを参照)
【0075】
外気導入用の開閉弁65Vを閉じると、外気導入ライン65からクリーンルーム内空気が吸引されなくなるため、工場排気ダクトの負圧由来の吸引力が液受けカップ50を介してチャンバ20のみに作用するようになる。一方で、吸気ダンパ75Vを「OPEN」としたことに伴い、ファン73によりチャンバ20内に送り込まれる空気の流量が増大する。つまりチャンバ20に対する空気の収支(給気量-排気量)は切り替え前と実質的に同一とすることができる。このため、チャンバ20内の圧力は、調節弁61Vの開度を大きく変化させることなく切り替え前と同じ圧力に維持することができ、一方で、チャンバ20内を通過して流れる空気の流量を比較的高流量に増大させることができる。これにより、基板Wの周囲を浮遊する処理液(機能水)のミスト(アルカリのミスト)の液受けカップ50内への吸引および液受けカップ50から排気ライン61への排出が促進される。このため、基板Wへの処理液(機能水)のミストの再付着が抑制されるとともに、チャンバ20内が清浄に維持される。
【0076】
なお、この機能水リンス工程においてチャンバ内圧制御用調節弁61Vの状態を「FIX→AUTO」としている理由は、有機薬液処理工程で説明した理由と同じである。また、この機能水リンス工程においても、有機薬液処理工程で説明したのと同様の理由により、吸気ダンパ75Vの開操作の開始を、外気導入用の開閉弁65Vの閉操作の開始よりも早くすることが好ましい。
【0077】
[酸性薬液処理工程]
次に、酸性薬液処理工程を実施する。基板Wを引き続き回転させながら、基板Wへの機能水の供給を停止するとともに、酸性薬液供給用のノズル(41)から酸性薬液を基板Wの中心部に供給する。酸性薬液は遠心力により基板Wの周縁に向けて広がりながら基板Wの表面を流れ、これにより基板Wの表面全域が酸性薬液の液膜により覆われた状態となる。この状態を継続することにより、基板Wの表面が酸性薬液により処理される。酸性薬液は基板Wから飛散し、液受けカップ50により受け止められ、排液口51から排出される。酸性薬液は、好ましくは酸性薬液排出用の排液口(51)を介して、液受けカップ50から排出される。
【0078】
酸性薬液処理工程の実行中におけるチャンバ20への給気および液受けカップ50からの排気に関連するデバイスの状態は以下の通りである。
【0079】
(1)吸気ダンパ75V:(OPEN)OPEN
(2)空気供給用遮断弁79V:(OPEN)OPEN
(3)圧力開放用開閉弁80V:(CLOSE)CLOSE
(4)ドライエア供給部90:(OFF)OFF
(5)外気導入用開閉弁65V:(CLOSE)CLOSE
(6)チャンバ内圧制御用調節弁61V:(FIX→AUTO)AUTO
(7)排気先選択用開閉弁62V,63V,64V:(アルカリ)酸
(
図4Dを参照)
【0080】
すなわち、上記(7)の排気先が酸用の工場排気ダクトに変更になるだけで、その他は全て同一である。この場合も、基板Wの周囲を浮遊する処理液(酸性薬液)のミストの液受けカップ50内への吸引および液受けカップ50から排気ライン61への排出が促進される。このため、基板Wへの処理液(酸性薬液)のミストの再付着が抑制されるとともに、チャンバ20内が清浄に維持される。
【0081】
[DIWリンス工程]
次に、DIWリンス工程を実施する。基板Wを引き続き回転させながら、基板Wへの機能水の供給を停止するとともに、DIW供給用のノズル(41)からリンス液としてのDIW(純水)を基板Wの中心部に供給する。DIWは遠心力により基板Wの周縁に向けて広がりながら基板Wの表面を流れ、これにより基板Wの表面全域がDIWの液膜により覆われた状態となる。この状態を継続することにより、基板Wの表面に残留していた酸性薬液がDIWにより洗い流される。DIWは基板Wから飛散し、液受けカップ50により受け止められ、排液口51から排出される。
【0082】
少なくともDIWリンス工程の前半期間では、基板から飛散するDIWには前工程で使用した酸性薬液が混ざっているため、DIWは、好ましくは、酸性薬液排出用の排液口を介して液受けカップ50から排出される。また、排気も酸用ダクトに排気される。
【0083】
DIWリンス工程の実行中におけるチャンバ20への給気および液受けカップ50からの排気に関連するデバイスの状態は以下の通りであり、酸性薬液処理工程の実行中と同じである。
【0084】
(1)吸気ダンパ75V:(OPEN)OPEN
(2)空気供給用遮断弁79V:(OPEN)OPEN
(3)圧力開放用開閉弁80V:(CLOSE)CLOSE
(4)ドライエア供給部90:(OFF)OFF
(5)外気導入用開閉弁65V:(CLOSE)CLOSE
(6)チャンバ内圧制御用調節弁61V:(AUTO)AUTO
(7)排気先選択用開閉弁62V,63V,64V:(酸)酸
(
図4Eを参照)
【0085】
なお、DIWリンス工程がある程度進行すると、排液に酸は殆ど含まれなくなるため、そうなったら、排液の行き先を次工程に合わせて有機液体排出用の排液口を介して液受けカップ50から排出してもよい。DIWはどの排液口に排出しても問題は無い。同様に、排気中にも酸性液体のミストは殆ど含まれなくなるため、排気先を次工程に合わせて有機排気用の排気ダクトに変更してもよい。
【0086】
[IPA置換・乾燥工程]
次に、IPA置換・乾燥工程を実施する。基板Wを引き続き回転させながら、基板Wへの機能水の供給を停止するとともに、IPA供給用のノズル(41)から乾燥用溶剤としてのIPA(イソプロピルアルコール)を基板Wの中心部に供給する。IPAは遠心力により基板Wの周縁に向けて広がりながら基板Wの表面を流れ、これにより基板Wの表面全域がIPAの液膜により覆われた状態となる。この状態を継続することにより、基板Wの表面に残留していたDIWがIPAにより置換される。勿論、IPAは、基板Wの表面に形成されたトレンチ、ホール等の凹所内を満たすうようになる。IPAは基板Wから飛散し、液受けカップ50により受け止められ、排液口51から排出される。IPAは、好ましくは、有機液体排出用の排液口を介して液受けカップ50から排出される。この置換の過程において、IPAの基板表面への着液点が基板Wの周縁部と中心部との間を往復移動するようにIPA供給用のノズル(41)を移動させるスキャン操作を行ってもよい。
【0087】
基板Wの表面のDIWがIPAに置換されたら、基板Wを引き続き回転させながら、IPAの基板表面への着液点を徐々に移動させることにより、基板Wの中心に形成された円形の乾燥コアを基板周縁部に向けて広げてゆくことにより、基板Wの表面にあるIPAを除去して基板Wを乾燥させることができる。このとき、円形の乾燥コアとその外側のリング状のIPAで濡れた領域との境界よりもやや半径方向内側の位置に、窒素ガス供給用のノズル(41)から窒素ガスを吹きつけてもよい。
【0088】
本実施形態では、有機薬液処理工程で用いた有機薬液およびIPA置換・乾燥工程で用いたIPAはいずれも有機液体であるが、有機薬液処理工程で用いた有機薬液は特に高価であり再利用が望まれるものである。このため、有機薬液処理工程で用いた有機薬液は、IPAとは別の経路で液受けカップ50から排出することが好ましい。
【0089】
IPA置換・乾燥工程の実行中におけるチャンバ20への給気および液受けカップ50からの排気に関連するデバイスの状態は以下の通りである。
【0090】
(1)吸気ダンパ75V:(OPEN)OPEN
(2)空気供給用遮断弁79V:(OPEN)CLOSE
(3)圧力開放用開閉弁80V:(CLOSE)OPEN
(4)ドライエア供給部90:(OFF)ON
(5)外気導入用開閉弁65V:(CLOSE)OPEN
(6)調節弁61V(チャンバ圧力制御):(AUTO)AUTO
(7)排気先選択用開閉弁62V,63V,64V:(酸)有機
(
図4Fを参照)
【0091】
IPAも比較的高価であり、かつ引火性も高いため、ガスとしてチャンバから排出されるIPAの量を抑制することが好ましい。この観点から、チャンバ20内を通過する空気の流量を低く抑制することが好ましい。また、IPA中に水分が溶け込むとIPAの表面張力が増加し、パターン倒れの原因となり得るので、チャンバ20内の湿度を低くしておくことが好ましい。また、乾燥効率向上の観点からもチャンバ20内の湿度を低くしておくことが好ましい。
【0092】
このため、本実施形態では、IPA置換・乾燥工程において、チャンバ20内に供給する空気の流量を低く抑え、かつチャンバ20内に供給する空気をクリーンルーム内空気ではなく低湿度ガスであるドライエアとし、外気導入用開閉弁65Vを開くことにより液受けカップ50から排出される空気流量も低く抑えている。ドライエアの供給流量を低く抑えることは、高価なドライエアの使用量を抑制してランニングコストを低減する観点からも好ましい。
【0093】
[スピン乾燥工程]
次に、IPA置換・乾燥工程においてほぼ乾燥した基板に対してスピン乾燥工程を実施する。このスピン乾燥工程では、基板Wに液を供給しないで、基板Wを引き続き回転させる(好ましくは回転速度を増す)。これにより基板はより完全に乾燥する。
【0094】
スピン乾燥工程の実行中におけるチャンバ20への給気および液受けカップ50からの排気に関連するデバイスの状態は以下の通りである。
【0095】
(1)吸気ダンパ75V:(OPEN)OPEN
(2)空気供給用遮断弁79V:(CLOSE)OPEN
(3)圧力開放用開閉弁80V:(OPEN)CLOSE
(4)ドライエア供給部90:(ON)OFF
(5)外気導入用開閉弁65V:(OPEN)CLOSE
(6)調節弁61V(チャンバ圧力制御):(AUTO)AUTO
(7)排気先選択用開閉弁62V,63V,64V:(有機)有機
(
図4Gを参照)
【0096】
IPA置換・乾燥工程の終了時点では、基板Wから飛散したIPAのミストがチャンバ20内(特に基板Wの周囲)を浮遊している。このIPAのミストが基板Wの表面に再付着するとパーティクルの原因となる。スピン乾燥工程においては、比較的高流量でチャンバ20内を空気が流れるため、チャンバ20内を浮遊するミストを速やかに排出することができるため、パーティクルの発生を防止することができる。
【0097】
以上により1枚の基板Wに対する一連の処理が終了する。
【0098】
[基板搬出工程]
基板Wをスピンチャック30から取り外し、処理ユニット16から搬出する。基板搬出工程におけるチャンバ20への給気および液受けカップ50からの排気に関連するデバイスの状態は、基板搬入工程と同じである。
【0099】
上記実施形態によれば、各工程におけるチャンバ20への給気および液受けカップ50からの排気に関連するデバイスの状態を適宜制御することにより、基板の処理中におけるチャンバの内圧を適正な圧力に維持することができる。
【0100】
また、上記実施形態によれば、ファン73を同じ速度で動作させ続けているため、ファン73の速度の面倒な制御を行う必要がなく、また、ファン73の速度を変化させることに伴い生じ得るチャンバ20内の圧力変動を防止することができる。
【0101】
なお、DIWリンス工程からIPA置換・乾燥工程への移行時には、チャンバ20内への給気流量が減らされるとともに液受けカップ50からの排気流量が減らされる。また、IPA置換・乾燥工程からスピン乾燥工程への移行時には、チャンバ20内への給気流量が増やされるとともに液受けカップ50からの排気流量が増やされる。この場合も、チャンバ内圧制御用調節弁61Vの状態を「FIX→AUTO」としてもよい。
【0102】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0103】
基板は半導体ウエハに限定されるものではなく、ガラス基板、セラミック基板等の半導体装置の製造において用いられる他の種類の基板であってもよい。
【符号の説明】
【0104】
W 基板
4 制御部(制御装置)
20 チャンバ
70 給気部(FFU)
73 送風機
75V 吸気弁
753 給気流路の入口
84 給気流路の出口
83 フィルタ
60 排気部
61V,65V 排気調節機構
95 圧力測定部