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  • 特開-マスク 図1
  • 特開-マスク 図2
  • 特開-マスク 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095599
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
A41D13/11 M
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211582
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 梓
(72)【発明者】
【氏名】西原 萌笑
(72)【発明者】
【氏名】永松 彰
(72)【発明者】
【氏名】藤原 朋子
(57)【要約】
【課題】抗ウィルス性及び/又は抗菌性を有する薬剤を付着させたマスクであって、繰り返し使用でき、肌との間に隙間が生じにくく、ウィルス及び/又は細菌の通過を抑制できるマスクを提供する。
【解決手段】本開示のマスクは、ユーザの顔に少なくとも口を覆うように装着されるマスク本体2を備える。マスク本体2は、編布又は織布であり、抗ウィルス性及び/又は抗菌性を有する薬剤が付着した第一布4と、編布又は織布である第二布5と、第一布4と第二布5との間に配置される不織布層7とを備える。不織布層7には、保形性を有する第一不織布6Aと、ウィルス又は細菌の通過を抑制する第二不織布6Bとが含まれる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの顔に少なくとも口を覆うように装着されるマスク本体を備え、
前記マスク本体は、
編布又は織布であり、抗ウィルス性及び/又は抗菌性を有する薬剤が付着した第一布と、
編布又は織布である第二布と、
前記第一布と前記第二布との間に配置される不織布層とを備え、
前記不織布層には、保形性を有する第一不織布と、ウィルス又は細菌の通過を抑制する第二不織布とが含まれるマスク。
【請求項2】
前記マスク本体の外周縁に沿ってゴムが設けられている請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記薬剤は、式(I)で表される第4級アンモニウムオルガノシラン化合物である請求項1又は2に記載のマスク。
【化1】
式(I)において、
、R、及びRは、同一又は異なって、炭素数1~12のアルキル基であり、
、及びRは、同一又は異なって炭素数1~18のアルキル基、炭素数3~7のシクロアルキル基、フェニル基、或いは炭素数7~10のアラルキル基であり、
は、炭素数1~24のアルキル基であり、
nは、1以上6以下の整数である。
【請求項4】
前記第一布は、ポリエステルの繊維から形成された編布であり、
前記第一布には、R、R、R、R、及びRがメチル基であり、Rが炭素数18のアルキル基であり、nが3である前記第4級アンモニウムオルガノシラン化合物が付着している請求項3に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、抗ウィルス性及び/又は抗菌性を有する薬剤を付着させたマスクに関する。
【0002】
従来、ウィルスへの感染を防止する対策として、抗ウィルス剤を付着させたマスクが使用されている。例えば特許文献1には、不織布或いはガーゼ等の編織物からなるマスクにヒドロラジカルを発生する微粒子状の抗ウィルス剤を付着させることで、マスクに付着したインフルエンザウィルスを不活性させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-152327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1のマスクが不織布である場合には、洗濯を行うとマスクに毛羽立ちが生じる。このためマスクを繰り返し使用できない。また特許文献1のマスクがガーゼ等の編織物である場合には、不織布である場合と比較してウィルス及び/又は細菌のカット性能が劣る。そのうえ、マスクの保形性が乏しいことで、口元の空間が保たれず、息がしにくくなったり、マスクの外周縁と肌との間に隙間が生じて、当該隙間から侵入したウィルス或いは細菌にユーザが感染する虞がある。
【0005】
本開示は、上記課題に着目してなされたものであり、抗ウィルス性及び/又は抗菌性を有する薬剤を付着させたマスクであって、繰り返し使用でき、口元の空間が保たれて息がしやすく、またマスクの外周縁と肌との間に隙間が生じにくく、ウィルス及び/又は細菌の通過を抑制できるマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のマスクは、ユーザの顔に少なくとも口を覆うように装着されるマスク本体を備え、前記マスク本体は、編布又は織布であり、抗ウィルス性及び/又は抗菌性を有する薬剤が付着した第一布と、編布又は織布である第二布と、前記第一布と前記第二布との間に配置される不織布層とを備え、前記不織布層には、保形性を有する第一不織布と、ウィルス又は細菌の通過を抑制する第二不織布とが含まれることを特徴とする。
【0007】
本開示のマスクにおいて、好ましくは、前記マスク本体の外周縁に沿ってゴムが設けられている。
【0008】
また、本開示のマスクにおいて、好ましくは、前記薬剤は、式(I)で表される第4級アンモニウムオルガノシラン化合物である。
【化1】
式(I)において、
、R、及びRは、同一又は異なって、炭素数1~12のアルキル基であり、
、及びRは、同一又は異なって、炭素数1~18のアルキル基、炭素数3~7のシクロアルキル基、フェニル基、或いは炭素数7~10のアラルキル基であり、
は、炭素数1~24のアルキル基であり、
nは、1以上6以下の整数である。
【0009】
また、本開示のマスクにおいて、好ましくは、前記第一布は、ポリエステルの繊維から形成された編布であり、前記第一布には、R、R、R、R、及びRがメチル基であり、Rが炭素数18のアルキル基であり、nが3である前記第4級アンモニウムオルガノシラン化合物が付着している。
【発明の効果】
【0010】
本開示のマスクによれば、繰り返し使用でき、肌との間に隙間が生じにくく、ウィルス及び/又は細菌の通過を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態に係るマスクの外観を示す斜視図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】本開示の実施形態に係るマスクに付着させた薬剤の化学式を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
マスクの全体構成の説明
以下、本開示のマスクの一実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本開示の実施形態に係るマスク1の外観を示す斜視図である。図2は、図1のA-A線断面図である。本開示において、マスク1を装着したユーザの正面視を基準として「左」、「右」、「上」、「下」の用語を記す。
【0013】
本開示の実施形態に係るマスク1は、マスク本体2と、一対の耳掛け部3,3とを備える。一方の耳掛け部3はマスク本体2の左側の側縁から延びる。他方の耳掛け部3はマスク本体2の右側の側縁から延びる。マスク1は、一対の耳掛け部3,3をユーザの左右の耳に引っ掛けることで、マスク本体2をユーザの顔に保持できる。
【0014】
マスク本体の説明
マスク本体2は、ユーザの顔の口を少なくとも覆う大きさに形成されている。本実施形態では、マスク本体2は、顔の目の下の領域、特に鼻及び口を覆う大きさに形成されている。マスク本体2は、左右方向の中央に位置する幅中央線Hを軸として左右対称の形状を呈する。幅中央線Hは、幅中央線Hを折り目としてマスク本体2を二つ折りにしたときに、幅中央線Hに向けて凸状に湾曲する形状を呈する。これにより、二つ折りのマスク本体2を広げて顔に装着したときに、マスク本体2は立体的な形状を呈し、マスク本体2の左右方向の中央部分において口や鼻孔とマスク本体2との間に空間が形成される。
【0015】
マスク本体2は、編布又は織布である第一布4と、編布又は織布である第二布5と、複数の不織布6が重なった不織布層7とを備える。不織布層7は第一布4と第二布5との間に配置される。マスク1の使用時には、第二布5が顔に面し、第一布4が顔から最も離れるように、マスク本体2が顔に装着される。
【0016】
本実施形態では、マスク本体2を幅中央線Hで折りやすくするために、マスク本体2の幅中央線Hよりも左側の範囲2Aと、マスク本体2の幅中央線Hよりも右側の範囲2Bとが、それぞれ、第一布4、第二布5、及び不織布層7を含む積層体から構成される(以下、「左側の範囲2Aをなす積層体」を「積層体2A」と記し、「右側の範囲2Bをなす積層体」を「積層体2B」と記す)。幅中央線Hは、積層体2Aの右側縁と、積層体2Bの左側縁とを接合した線である。
【0017】
また本実施形態では、積層体2A,2Bの各々において、第一布4及び第二布5が、これらの間に配置される各不織布6よりも大きなサイズに形成されている(図2)。第一布4と、第二布5と、これらの間に配置される各不織布6とは、同一のサイズに形成されてもよい。
【0018】
第一布及び第二布の説明
第一布4及び第二布5を構成する繊維材料としては、特に限定されないが、パルプ、コットン等の天然繊維;レーヨン、アセテート等の半合成繊維;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート)、ナイロン等の合成繊維;これらの混合繊維等を例示することができる。本実施形態では、毛羽立ちを抑える観点から、第一布4及び第二布5は、ポリエステルの繊維から形成された編布であることが好ましい。
【0019】
第一布4には、抗ウィルス性及び/又は抗菌性を有する薬剤(以下、抗ウィルス・抗菌剤と略す)が付着される。本開示において、「抗ウィルス性」とは、ウィルスを不活性化させる性質を意味し、「抗菌性」とは、細菌の増殖を抑制する性質を意味する。
【0020】
第一布4に付着させる抗ウィルス・抗菌剤として、特に限定されないが、下記の式(I)で表される第4級アンモニウムオルガノシラン化合物を使用することが好ましい。
【0021】
【化2】
式(I)において、
、R、及びRは、同一又は異なって、炭素数1~12のアルキル基であり、好ましくは炭素数1~6のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
、及びRは、同一又は異なって、炭素数1~18のアルキル基、炭素数1~18のヒドロキシアルキル基、炭素数3~7のシクロアルキル基、フェニル基、或いは、炭素数7~10のアラルキル基であり、好ましくは炭素数1~18のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
は、炭素数1~24のアルキル基であり、より好ましくは炭素数8~18のアルキル基である。
nは、1以上6以下の整数、好ましくは1以上4以下の整数である。
【0022】
上記第4級アンモニウムオルガノシラン化合物は、4級アンモニウム塩による抗ウィルス性及び抗菌性を有しており、シランカップリング剤が第一布4上にあるOH基(図3)と結合することで第一布4の表面に付着する。また上記第4級アンモニウムオルガノシラン化合物が付着した第一布4が撥水性を有することで、呼気の水分がマスク1の外側に出ることを抑制できる。したがってユーザの口内を湿潤状態に保てるので、ウィルス又は細菌がユーザに感染しにくくなる。また、上記第4級アンモニウムオルガノシラン化合物が付着した第一布4が撥水性を有することで、洗濯時に水分をより早く乾燥させることができる。
【0023】
本実施形態では、第一布4の毛羽立ちを抑制する観点から、R、R、R、R、及びRがメチル基であり、Rが炭素数18のアルキル基であり、nが3である第4級アンモニウムオルガノシラン化合物(図3)が第一布4に付着される。
【0024】
上記の第4級アンモニウムオルガノシラン化合物を使用する場合には、当該第4級アンモニウムオルガノシラン化合物を第一布4に付着させるために、例えば、第4級アンモニウムオルガノシラン化合物の液中に第一布4を浸漬させることが行われる。或いは、第4級アンモニウムオルガノシラン化合物の液滴を第一布4に噴霧することが行われる。
【0025】
第一布4には、第4級アンモニウムオルガノシラン化合物を1種単独で使用してもよく、また2種以上組み合わせて使用してもよい。さらに、他の抗ウィルス・抗菌剤を組み合わせて付着させてもよい。当該他の抗ウィルス・抗菌剤として、特に限定されないが、天然系抗菌剤、有機合成系抗菌剤、金属系抗菌剤などを使用することができる。
【0026】
不織布層の説明
図2に示すように、不織布層7は、複数の不織布が積層されたものであり、少なくとも保形性を有する第一不織布6Aと、ウィルス又は細菌の通過を抑制する第二不織布6Bとが含まれる。本開示において、第一不織布6Aが保形性を有するとは、第一不織布6Aが少なくとも第一布4及び第二布5よりも硬直であること(柔軟ではないこと)を意味する。また、第二不織布6がウィルス又は細菌の通過を抑制するとは、例えば、N95マスク(米国労働安全衛生研究所(NIOSH)のN95規格を満たすマスク)で使用される不織布のように、第二不織布6が直径0.3μmの微粒子を95%以上捕集できることを意味する。
【0027】
本実施形態では、不織布層7は、一対の第一不織布6A,6Aの間に第二不織布6Bが配置された構造を有する。不織布層7を上記の構成とすることで、マスク本体2の内側(顔側)及び外側に第一不織布6Aが配置されているため、全体の保形性を向上することができる。また、第二不織布6Bを一対の第一不織布6A,6Aで挟み込むため、洗濯による第二不織布6Bの崩れを抑制することができる。不織布層7は、不織布層7を構成する不織布6同士を、接着、熱融着、超音波溶着、縫合等の公知の方法を用いて接合してもよいし、上記の接合を行わずに、単に不織布6同士を重ね合わせるだけでもよい。
【0028】
第一不織布6Aとして、例えば、スパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布等を使用できる。その中でも、保形性を良好に抑制する観点からスパンボンド不織布を用いることが好ましく、表面を滑らかにする観点からもスパンボンド不織布を用いることが好ましい。第一不織布6Aの繊維材料としては、パルプ、コットン等の天然繊維;レーヨン、アセテート等の半合成繊維;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート)、ナイロン等の合成繊維;これらの混合繊維等を例示することができる。
【0029】
第二不織布6Bとして、例えば、メルトブロー不織布、ナノファイバー不織布等を使用できる。その中でも、ウィルス又は細菌の通過を良好に抑制する観点からメルトブロー不織布を用いることが好ましい。第二不織布6Bの繊維材料としては、パルプ、コットン等の天然繊維;レーヨン、アセテート等の半合成繊維;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート)、ナイロン等の合成繊維;これらの混合繊維等を例示することができる。
【0030】
不織布層7に含ませる第一不織布6A及び第二不織布6Bの数は、特に限定されず、一又は任意の複数とされ得る。例えば両側の第一不織布6Aに挟まれる第二不織布6Bを複数にしてもよいし、第二不織布6Bを挟む両側の第一不織布6Aをそれぞれ複数にしてもよい。また不織布層7に含ませる第一不織布6A及び第二不織布6Bの配置も、特に限定されず、第一不織布6A及び第二不織布6Bが交互に積層されていてもよいし、複数の第一不織布6Aを一方側にまとめて重ね合わせ、複数の第二不織布6Aを他方側にまとめて重ね合わせてもよい。また第一不織布6Aを第一布4に面するように配置してもよいし、第二不織布6Bを第二布5に面するように配置してもよい。
【0031】
マスク本体の外周縁の説明
マスク本体2と顔との間に隙間が生じることを防止する観点から、マスク本体2の外周縁に沿ってゴムを設けることが好ましい。当該ゴムとして、例えば、ゴム繊維の織物である織ゴムを使用できる。本実施形態では図1に示すように、マスク本体2の左側縁に沿って第一の織ゴム10Aが設けられ、マスク本体2の右側縁に沿って第二の織ゴム10Bが設けられる。また輪状とされた第三の織ゴム10Cの一部が、マスク本体2の上縁及び下縁に沿って設けられており。第三の織ゴム10の一端部11及び他端部12は、マスク本体2の角部で接合される。上記のゴムは、縫合、熱融着、超音波溶着、接着等の公知の方法でマスク本体2の外周縁に接合される。
【0032】
耳掛け部の説明
耳掛け部3,3は、特に限定されないが、例えばゴム、ポリエステル等の伸縮性のある素材で形成されることが好ましい。
【0033】
本実施形態では、一対の耳掛け部3,3が、マスク本体2の外側に延び出た第三の織ゴム10の部分から構成される。
【0034】
マスクの製造方法の説明
マスク1を製造する際には、まず。積層体2A,2Bを準備する。積層体2A,2Bの各々は、第一布4と第二布5との間に不織布層7が配置されて、第一布4及び第二布5の外周縁が不織布層7の外側に延び出たものとされる。
【0035】
ついで、積層体2Aの右側縁と積層体2Bの左側縁とを接合することが行われる。これにより、幅中央線Hが接合線から構成されたマスク本体2が得られる。当該マスク本体2の外周縁(マスク本体2の左側縁・右側縁・上縁・下縁)は、不織布層7の外側に延び出た第一布4及び第二布5の外周縁によって構成される。
【0036】
ついで、マスク本体2の左側縁をなす第一布4及び第二布5の外周縁を、二つ折りにした第一織ゴム10Aの間に挟み込み、第一織ゴム10Aと、上記左側縁をなす第一布4及び第二布5の外周縁とを接合する。また、マスク本体2の右側縁をなす第一布4及び第二布5の外周縁を、二つ折りにした第二織ゴム10Bの間に挟み込み、第二織ゴム10Bと上記右側縁をなす第一布4及び第二布5の外周縁とを接合する。
【0037】
ついで、マスク本体2の上縁をなす第一布4及び第二布5の外周縁と、マスク本体2の下縁をなす第一布4及び第二布5の外周縁とを、二つ折りにした第三織ゴム10Cの間に挟み込み、第三織ゴム10Cと、上記上縁及び下縁をなす第一布4及び第二布5の外周縁とを接合する。
【0038】
ついで、第三の織ゴム10Cの一端部11と他端部12とをマスク本体2の角部で接合する。
【0039】
以上の作業によりマスク1が形成される。
【0040】
第一布4と、第二布5と、これらの間に配置される各不織布6とが、同一のサイズとされる場合には、マスク本体2の外周縁をなす第一布4・各不織布6・第二布5の外周縁を、織ゴム10A,10B,10Cの間に挟み込み、織ゴム10A,10B,10Cと、上記の第一布4・各不織布6・第二布5の外周縁とを接合することが行われる。
【0041】
上述した接合作業は、いずれも、縫合、熱融着、超音波溶着、接着等の公知の方法で実現され得る。
【0042】
マスクの作用・効果
本実施形態のマスク1によれば、第一布4と第二布5との間に不織布層7が配置されるため、不織布層7が第一布4及び第二布5によって保護される。これにより、洗濯によって、不織布層7に含まれる不織布6の繊維が毛羽立つことを抑制できる。したがって、マスク1は、繰り返し使用できる。
【0043】
さらに本実施形態のマスク1によれば、保形性を有する第一不織布6Aが不織布層7に含まれるため、マスク本体2の外周縁を肌に沿わせた状態から、マスク本体2の変形及びずれを抑制できる。したがって本実施形態のマスク1は、マスク本体2と肌との間に隙間が生じにくい。さらに不織布層7に含まれる第二不織布6Bが、第一布4では通過を阻止できなかったウィルス及び/又は細菌の通過を抑制する。以上の理由から、本実施形態のマスク1によれば、ユーザがウィルス又は細菌に感染することを効果的に予防できる。
【0044】
また本実施形態のマスク1によれば、マスク本体2の外周縁に沿ってゴム10が設けられる。このため、マスク本体2と肌との間に隙間が生じることを、より効果的に抑制できる。
【0045】
また本実施形態のマスク1によれば、第一布4が、ポリエステルの繊維から形成されていることで、第一布4の毛羽立ちを効果的に抑制できる。さらに、R、R、R、R、及びRがメチル基であり、Rが炭素数18のアルキル基であり、nが3である第4級アンモニウムオルガノシラン化合物が第一布4に付着していることで、第一布4の毛羽立ちをより効果的に抑制できる。
【0046】
また本実施形態のマスク1によれば、R、R、R、R、及びRがメチル基であり、RがC18のアルキル基であり、nが3である第4級アンモニウムオルガノシラン化合物が第一布4に付着していることで、洗濯を30回以上行っても抗菌性を維持することができる。さらに、上記第4級アンモニウムオルガノシラン化合物が付着した第一布4が撥水性を有するため、呼気の水分がマスク1の外側に出ることを抑制できる。したがってユーザの口内を湿潤状態に保てるので、ウィルス又は細菌がユーザに感染しにくくなる。また、上記第4級アンモニウムオルガノシラン化合物が付着した第一布4が撥水性を有することで、洗濯時に水分をより早く乾燥させることができる。
【0047】
変形例の説明
以上、本開示のマスクの実施形態について説明したが、本開示のマスクは上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。
【0048】
例えば、上記実施形態では、マスク本体2の左側及び右側の範囲を、別個の積層体2A,2Bから構成する例を示したが、マスク本体2の全体を、第一布4、第二布5、及び不織布層7を含む一つの積層体によって構成してもよい。この場合、例えば、第一布4及び第二布5は、これらの間に配置される各不織布6よりも大きなサイズに形成されて、不織布6の外側に延び出た第一布4及び第二布5の外周縁同士が接合される。或いは、第一布4と、第二布5と、これらの間に配置される各不織布6とが、同一のサイズに形成されて、上記の第一布4、第二布5、及び各不織布6の外周縁同士が接合される。
【0049】
また上記実施形態では、一対の耳掛け部3,3を一連の織ゴムから構成する例を示したが、一対の耳掛け部3,3は、別個の部材から構成されてもよい。この場合、例えば接着、熱融着、超音波溶着、縫合等の公知の方法を用いて、一対の耳掛け部3,3をマスク本体2の左右の端部に取り付けることが行われる。
【0050】
また上記実施形態では、マスク本体2の外周縁にゴムを設ける例を示したが、ゴム以外の伸縮性部材をマスク本体2の外周縁に沿って設けてもよい。
【0051】
またマスク本体2の外周縁に伸縮性部材を設けることは必須ではない。本開示のマスクは、保形性を有する第一不織布6Aを備えるため、上記伸縮性部材が設けられなくとも、マスク本体2と肌との間に隙間を生じにくくすることができる。
【0052】
その他、上記実施形態では、マスク本体2はユーザの顔への装着時に鼻孔及び口との間に大きな空間を形成する立体構造のものである。しかし、マスク本体2の構造は特に限定されず、例えば使用前には平坦状をなしており、使用時には1つ又は複数のプリーツ等を広げることによって上下方向に伸長させてユーザの顔に装着させる構造(立体構造よりも顔の表面により密着する構造)のものであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 マスク
2 マスク本体
4 第一布
5 第二布
6A 第一不織布
6B 第二不織布
7 不織布層
図1
図2
図3