(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095627
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/525 20060101AFI20230629BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20230629BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20230629BHJP
G01J 3/46 20060101ALI20230629BHJP
G01J 3/52 20060101ALI20230629BHJP
H04N 1/54 20060101ALI20230629BHJP
【FI】
B41J2/525
G03G15/01 115
B41J29/393 101
G01J3/46 Z
G01J3/52
H04N1/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211635
(22)【出願日】2021-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】森脇 淳史
(72)【発明者】
【氏名】前尾 友紀子
【テーマコード(参考)】
2C061
2C262
2G020
2H300
5C079
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061KK18
2C262AA04
2C262AB11
2C262BA13
2C262BA16
2C262BA19
2C262FA13
2C262GA02
2G020AA08
2G020DA06
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2G020DA43
2H300EB04
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2H300GG12
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2H300GG35
2H300RR37
2H300SS13
2H300TT02
2H300TT03
2H300TT04
5C079HB03
5C079HB08
5C079HB11
5C079HB12
5C079KA17
5C079LA21
5C079LA31
5C079LB01
5C079MA10
5C079MA13
5C079NA02
5C079PA03
(57)【要約】
【課題】再現色の光輝感が目標色よりも低い場合でも、光輝性色材を1種類のみを用いるものとしたまま、色再現性を保ちつつ光輝感を向上させることができる情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】画像形成装置による画像形成で用いるプロセスカラー色材および光輝性色材の色材量を求める情報処理装置であって、光輝感を有する目標色と、目標色を再現するためのプロセスカラー色材および光輝性色材の色材量とを関連付けた辞書を用いて目標色を再現するために、プロセスカラー色材のうち少なくともいずれか一部の色材の一部の色材量を、他の色材の色材量で置き換えるように、プロセスカラー色材および他の色材の色材量を導出する導出部と、導出部により導出された色材量で、辞書における目標色の色材量を更新する更新部と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置による画像形成で用いるプロセスカラー色材および光輝性色材の色材量を求める情報処理装置であって、
光輝感を有する目標色と、該目標色を再現するための前記プロセスカラー色材および前記光輝性色材の色材量とを関連付けた辞書を用いて該目標色を再現するために、前記プロセスカラー色材のうち少なくともいずれか一部の色材の一部の色材量を、他の色材の色材量で置き換えるように、前記プロセスカラー色材および前記他の色材の色材量を導出する導出部と、
前記導出部により導出された色材量で、前記辞書における前記目標色の色材量を更新する更新部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記画像形成装置により前記辞書を用いて印刷出力された、前記目標色を再現する再現色のパッチに対して、測色器により測色された測色値を取得する第1取得部と、
前記第1取得部により取得された前記測色値から、光輝感の度合いを示す第1特性値、および色味の度合いを示す第2特性値を算出する算出部と、
をさらに備え、
前記辞書は、前記目標色と、該目標色を再現するための前記プロセスカラー色材および前記光輝性色材の色材量と、該目標色の第1特性値と、該目標色の第2特性値と、を関連付けており、
前記導出部は、前記算出部により算出された前記再現色の第1特性値が、前記辞書で特定される前記目標色の第1特性値よりも所定値以上低い場合、前記辞書の前記目標色に対応する前記他の色材の色材量を高く設定し、第2特性値が許容範囲内となるように前記一部の色材の色材量を導出する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記画像形成装置により前記辞書を用いて印刷出力された、前記目標色を再現する再現色のパッチに対して、測色器により測色された測色値を取得する第1取得部と、
前記第1取得部により取得された前記測色値から、光輝感の度合いを示す第1特性値、および色味の度合いを示す第2特性値を算出する算出部と、
をさらに備え、
前記辞書は、前記目標色と、該目標色を再現するための前記プロセスカラー色材および前記光輝性色材の色材量と、該目標色の第1特性値と、該目標色の第2特性値と、を関連付けており、
前記導出部は、前記算出部により算出された前記再現色の第1特性値が、前記辞書で特定される前記目標色の第1特性値よりも所定値以上低い場合、前記辞書の前記目標色に対応する前記一部の色材の色材量を低く設定し、第2特性値が許容範囲内となるように前記他の色材の色材量を導出する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記導出部は、前記一部の色材の各色材量を、前記辞書の前記目標色に対応する前記一部の色材の各色材量の構成比率を維持したまま、前記プロセスカラー色材および前記他の色材の色材量を導出する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記導出部は、前記辞書の前記目標色に対応する前記一部の色材の色材量のうち最少色材量と同一量の該一部の色材の色材量を、該同一量の前記他の色材の色材量で置き換えることにより、前記プロセスカラー色材および前記他の色材の色材量を導出する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記導出部は、前記辞書の前記目標色に対応する前記プロセスカラー色材の色材量に対してUCR(Under Color Removal)処理を行うことにより、前記プロセスカラー色材および前記他の色材の色材量を導出する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記画像形成装置により前記辞書を用いて印刷出力された、前記目標色を再現する再現色のパッチの光輝感が、前記目標色のパッチの光輝感よりも低いか否かの判断結果を取得する第2取得部を、さらに備え、
前記導出部は、前記第2取得部により取得された前記判断結果に基づいて、前記辞書の前記目標色に対応する前記プロセスカラー色材の色材量に対してUCR処理を行うことにより、前記プロセスカラー色材および前記他の色材の色材量を導出する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記一部の色材は、シアン、マゼンタおよびイエローの色材であり、
前記他の色材は、黒の色材である請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記一部の色材は、シアン、マゼンタおよびイエローの色材のうちいずれか2色の色材であり、
前記他の色材は、前記2色の色材の中間の色相を有する色材である請求項1~7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
前記画像形成装置と、
を含む情報処理システム。
【請求項11】
画像形成装置による画像形成で用いるプロセスカラー色材および光輝性色材の色材量を求める情報処理装置の情報処理方法であって、
光輝感を有する目標色と、該目標色を再現するための前記プロセスカラー色材および前記光輝性色材の色材量とを関連付けた辞書を用いて該目標色を再現するために、前記プロセスカラー色材のうち少なくともいずれか一部の色材の一部の色材量を、他の色材の色材量で置き換えるように、前記プロセスカラー色材および前記他の色材の色材量を導出する導出ステップと、
導出した色材量で、前記辞書における前記目標色の色材量を更新する更新ステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項12】
画像形成装置による画像形成で用いるプロセスカラー色材および光輝性色材の色材量を求めるコンピュータに
光輝感を有する目標色と、該目標色を再現するための前記プロセスカラー色材および前記光輝性色材の色材量とを関連付けた辞書を用いて該目標色を再現するために、前記プロセスカラー色材のうち少なくともいずれか一部の色材の一部の色材量を、他の色材の色材量で置き換えるように、前記プロセスカラー色材および前記他の色材の色材量を導出する導出ステップと、
導出した色材量で、前記辞書における前記目標色の色材量を更新する更新ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子写真印刷では、従来から使用されるC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色材に加えて、特殊色の色材を用いて色表現を拡張する場合がある。例えば、ゴールドトナー、シルバートナーのような金属光沢を有するメタリック色の色材、パール色材、およびマイカ色材等のような光輝性色材を用いることにより、光沢感のあるカラー画像を形成するようなことが可能となっている。以下、光輝性色材による色を、便宜的にメタリック色と称して説明する。従来、メタリック色の印刷には、光輝性色材の使用によるオフセット印刷が主流であった。
【0003】
オフセット印刷では、理想的なメタリック色を印刷する目的で色見本パッチが市販されており、ユーザは色見本パッチで色を指定する。
図15に示すように、色見本パッチの再現のために色材を調合して作成し、印刷会社では、そのような調合された色材を使って印刷を行う。ここで、色見本帳に登録されている色をスポットカラー(特色)という。
【0004】
一方、電子写真印刷では、
図16に示すように、各色のトナー層の重ねで画像が形成される。オフセット印刷のように、色材の調合がなく、オンデマンドによる印刷が可能なのが利点だが、トナーの重ね順によっては、下層のトナー色が上層のトナー色に覆われ、遮蔽されるのが欠点である。また、一般的に、金属を使用しているメタリックトナーは、顔料を使用しているプロセスカラートナーよりも遮蔽性が高い。したがって、メタリックトナーは用紙に最も近い最下層に配置(下刷り)されることが多い。
【0005】
このような、メタリックトナーを用いたオフセット印刷を行う技術として、メタリック色材を下刷りとして、CMYK色材を重ね合わせてメタリック色を再現する場合に、プロセスカラー色材量が多い場合の光輝感の低減を抑制する目的で、2種類のメタリック色材を下刷りと上刷りに用いて、プロセスカラー色材量を変えずに、メタリック色材量を変化させることにより色再現性をある程度保ったまま光輝感を調整する構成が開示されている(例えば特許文献1)。
【0006】
また、メタリック色を再現する場合に、プロセスカラー色材量が多いことによるメタリック色材の配向性の低下に基づく光輝感の低減を抑制する目的で、UCR(Under Color Removal)処理によりプロセスカラー色材量を調整することにより色再現性をある程度保ったまま光輝感を調整する構成が開示されている(例えば特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、光輝感を調整するために、6つの感光体ドラムを含むユニットが必要なうえ、メタリック色材を2種類用意する必要があり、コストが大きくなるという問題がある。また、特許文献2に記載された技術では、目標メタリック色を再現したメタリック色(再現メタリック色)について、光輝感が十分に目標メタリック色と同等の光輝感となっているか否か不明であるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、再現色の光輝感が目標色よりも低い場合でも、光輝性色材を1種類のみを用いるものとしたまま、色再現性を保ちつつ光輝感を向上させることができる情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像形成装置による画像形成で用いるプロセスカラー色材および光輝性色材の色材量を求める情報処理装置であって、光輝感を有する目標色と、該目標色を再現するための前記プロセスカラー色材および前記光輝性色材の色材量とを関連付けた辞書を用いて該目標色を再現するために、前記プロセスカラー色材のうち少なくともいずれか一部の色材の一部の色材量を、他の色材の色材量で置き換えるように、前記プロセスカラー色材および前記他の色材の色材量を導出する導出部と、前記導出部により導出された色材量で、前記辞書における前記目標色の色材量を更新する更新部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、再現色の光輝感が目標色よりも低い場合でも、光輝性色材を1種類のみを用いるものとしたまま、色再現性を保ちつつ光輝感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る情報処理システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る情報処理システムの全体動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、CMY色材をK色材に置き換えて光輝感を上げる動作を説明する図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る情報処理装置の機能ブロックの構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る測色器における測色動作を説明する図である。
【
図9】
図9は、スポットカラー辞書の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る情報処理装置の目標メタリック色の登録処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係る情報処理装置のメタリック色のデバイス値の再設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、メタリック色のデバイス値の再設定の動作を説明する図である。
【
図13】
図13は、第2の実施形態に係る情報処理装置の機能ブロックの構成の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、第2の実施形態に係る情報処理装置のメタリック色のデバイス値の再設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0013】
[第1の実施形態]
(情報処理システムの全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る情報処理システムの全体構成の一例を示す図である。
図1を参照しながら、本実施形態に係る情報処理システム1の全体構成について説明する。
【0014】
図1に示すように、情報処理システム1は、情報処理装置10と、ユーザPC(Personal Computer)20と、画像形成装置30と、測色器40と、を含む。情報処理装置10、ユーザPC20、画像形成装置30および測色器40は、LAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して、互いにデータ通信が可能となっている。
【0015】
情報処理装置10は、測色器40により測色された目標メタリック色(目標色)の測色値を受信し、当該測色値からメタリック値および色値を算出し、Si(メタリックシルバー)を含むデバイス値(色材量)を導出し、導出したデバイス値と目標メタリック色とを関連付けたスポットカラー辞書(辞書)を作成するPC(Personal Computer)またはワークステーション等で構成されたDFE(Digital Front End)等の情報処理装置である。ここで、目標メタリック色とは、例えば、DICカラーガイドの色番号599~621、またはPANTONE Metallic Coated Guide等のオフセット印刷により形成された色見本帳のメタリックパッチの色であるものとする。また、デバイス値とは、プロセスカラーであるC、M、Y、Kに、メタリックシルバーであるSiを加えた5色のデバイス値を示すものとする。また、「メタリック値が高い」とは、「光輝感が高い」と同意であり、「色味が強い(高い)」および「色値が高い」とは、「彩度が高い」または「濃い」と同意である。また、情報処理装置10は、ユーザPC20から印刷ジョブを受信し、スポットカラー辞書を用いて、当該印刷ジョブで指定されたスポットカラーを5色デバイス値に変換する色変換処理を行う。
【0016】
ユーザPC20は、情報処理装置10に印刷ジョブを送信したり、処理結果等の状態を表示したりする情報処理装置である。
【0017】
画像形成装置30は、情報処理装置10による制御に従って、画像データの印刷出力を行う印刷装置である。本実施形態では、画像形成装置30は、電子写真印刷により印刷動作を行う装置であるものとして説明する。
【0018】
測色器40は、目標メタリック色のメタリックパッチに対して複数の方向から測色し、得られた測色値を情報処理装置10へ送信する多角度分光測色機等の機器である。
【0019】
(情報処理装置のハードウェア構成)
図2は、第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成について説明する。
【0020】
図2に示すように、情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)601と、ROM(Read Only Memory)602と、RAM(Random Access Memory)603と、補助記憶装置605と、メディアドライブ607と、ディスプレイ608と、ネットワークI/F609と、キーボード611と、マウス612と、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ614と、を備えている。
【0021】
CPU601は、情報処理装置10全体の動作を制御する演算装置である。ROM602は、情報処理装置10用のプログラムを記憶している不揮発性記憶装置である。RAM603は、CPU601のワークエリアとして使用される揮発性記憶装置である。
【0022】
補助記憶装置605は、後述する色予測モデルおよびスポットカラー辞書、ならびに各種データおよびプログラム等を記憶するHDDまたはSSD等の記憶装置である。メディアドライブ607は、CPU601の制御に従って、フラッシュメモリ等の記録メディア606に対するデータの読み出しおよび書き込みを制御する装置である。
【0023】
ディスプレイ608は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字または画像等の各種情報を表示する液晶または有機EL(Electro Luminescence)等によって構成された表示装置である。
【0024】
ネットワークI/F609は、ネットワークNを利用してユーザPC20および測色器40等の外部装置とデータを通信するためのインターフェースである。ネットワークI/F609は、例えば、イーサネット(登録商標)に対応し、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)等に準拠した通信が可能なNIC(Network Interface Card)等である。
【0025】
キーボード611は、文字、数字、各種指示の選択、およびカーソルの移動等を行う入力装置である。マウス612は、各種指示の選択および実行、処理対象の選択、ならびにカーソルの移動等を行うための入力装置である。
【0026】
DVDドライブ614は、着脱自在な記憶媒体の一例としてのDVD-ROMまたはDVD-R(Digital Versatile Disk Recordable)等のDVD613に対するデータの読み出しおよび書き込みを制御する装置である。
【0027】
上述のCPU601、ROM602、RAM603、補助記憶装置605、メディアドライブ607、ディスプレイ608、ネットワークI/F609、キーボード611、マウス612およびDVDドライブ614は、アドレスバスおよびデータバス等のバス610によって互いに通信可能に接続されている。
【0028】
なお、
図2に示した情報処理装置10のハードウェア構成は一例を示すものであり、
図2に示した構成要素を全て含む必要はなく、または、その他の構成要素を含むものとしてもよい。また、ユーザPC20のハードウェア構成も、
図2に示したハードウェア構成に準ずるものとする。
【0029】
(画像形成装置のハードウェア構成)
図3は、第1の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置30のハードウェア構成について説明する。
【0030】
図3に示すように、画像形成装置30は、例えばタンデムタイプの印刷装置であり、給紙トレイ700と、搬送ローラ701と、中間転写ベルト702と、感光体ドラム703C、703M、703Y、703K、703Sと、転写ローラ704と、定着ローラ705と、を備えている。
【0031】
給紙トレイ700は、給紙するための用紙等の記録媒体が収納されたトレイである。搬送ローラ701は、給紙トレイ700から給紙された記録媒体を、搬送経路に沿って転写ローラ704まで搬送させる一対のローラである。
【0032】
中間転写ベルト702は、感光体ドラム703C、703M、703Y、703K、703Sにより中間転写画像が形成される無端状のベルトである。中間転写ベルト702は、
図3の紙面視において右回りに回転し、感光体ドラム703K、703C、703M、703Y、703Sの順に各色のトナー像が形成される。
【0033】
感光体ドラム703Cは、シアン色版のトナー画像を中間転写ベルト702に形成する感光体ドラムである。感光体ドラム703Mは、マゼンタ色版のトナー画像を中間転写ベルト702に形成する感光体ドラムである。感光体ドラム703Yは、イエロー色版のトナー画像を中間転写ベルト702に形成する感光体ドラムである。感光体ドラム703Kは、黒色版のトナー画像を中間転写ベルト702に形成する感光体ドラムである。感光体ドラム703Sは、特殊色版のトナー画像を中間転写ベルト702に形成する感光体ドラムである。ここで、特殊色とは、例えば、ゴールドトナー、シルバートナーのような金属光沢を有するメタリック色の色材、パール色材、およびマイカ色材等のような光輝性色材の色を示すものとする。なお、本実施形態では、特殊色の色材は、メタリック色の色材としてのシルバートナーであるものとして説明するが、上記のようなその他の光輝性色材を用いるものとしてもよい。また、中間転写ベルト702への中間転写画像の形成のため、中間転写ベルト702の回転方向の上流から、感光体ドラム703S、703Y、703M、703C、703Kの順に配置されている。これによって、中間転写ベルト702の表面には、各色のトナー画像が形成される結果、フルカラー画像が中間転写画像として形成される。なお、感光体ドラム703C、703M、703Y、703K、703Sについて、任意の感光体ドラムを示す場合、または総称する場合、単に「感光体ドラム703」と称するものとする。また、感光体ドラム703は、CMYK色をプロセスカラーとして構成されているが、CMY色をプロセスカラーとしてもよく、またはCMY色の代わりにR(赤)、B(青)、G(緑)をプロセスカラーとしてもよい。
【0034】
転写ローラ704は、中間転写ベルト702に形成されたフルカラー画像(中間転写画像)を、搬送ローラ701により搬送された記録媒体上に転写するローラである。この転写ローラ704の機能によって、記録媒体にはフルカラーに画像が形成(印刷)される。この場合、上述の中間転写ベルト702上での中間転写画像の各色の形成順序により、記録媒体に形成されるフルカラーの画像のうち、メタリック色の層が最下層となり、メタリック色の色材による「下刷り」となっている。
【0035】
定着ローラ705は、フルカラーの画像が形成された記録媒体に対して、画像を定着させるためのローラである。
【0036】
(情報処理システムの全体動作の流れ)
図4は、第1の実施形態に係る情報処理システムの全体動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図5は、CMY色材をK色材に置き換えて光輝感を上げる動作を説明する図である。
図4および
図5を参照しながら、本実施形態係る情報処理システム1の全体動作の流れについて説明する。
【0037】
<ステップS11>
まず、情報処理装置10は、目標メタリック色のパッチに対して測色器40により測色された測色値からメタリック値および色値を算出し、当該メタリック値および色値と、画像形成装置30における5色デバイス値とを関連付けて、スポットカラー辞書に登録する。なお、この情報処理装置10による目標メタリック色の登録処理の詳細については、
図10で後述する。そして、ステップS12へ移行する。
【0038】
<ステップS12>
次に、情報処理装置10は、スポットカラー辞書に登録済みのメタリック色を選択する。そして、ステップS13へ移行する。
【0039】
<ステップS13>
そして、情報処理装置10は、スポットカラー辞書において、選択したメタリック色に対応する5色デバイス値を用いて、目標メタリック色を再現するため色(以下、再現メタリック色と称する場合がある)(再現色)の画像データ(メタリックパッチのデータ等)を画像形成装置30に送信して印刷出力させる。そして、ステップS14へ移行する。
【0040】
<ステップS14>
測色器40は、画像形成装置30により印刷出力された再現メタリック色のパッチに対して測色を行い、測色値を情報処理装置10へ送信する。そして、ステップS15へ移行する。
【0041】
<ステップS15>
情報処理装置10は、測色器40から受信した再現メタリック色の測色値に基づいて、ステップS12で選択したメタリック色の5色デバイス値の再設定を行い、スポットカラー辞書を更新する。具体的には、情報処理装置10は、再現メタリック色のメタリック値が目標メタリック色のメタリック値よりも所定値以上低い場合、色値を変化させることなく、メタリック値を高めるように、5色デバイス値を再設定する。例えば、
図5に示すように、情報処理装置10は、再現メタリック色を構成するC、M、Yのデバイス値の構成比率を維持したまま、C、M、Y(一部の色材の一例)のデバイス値の一部をK(他の色材の一例)のデバイス値に置き換える。なお、C、M、Yのデバイス値の構成比率を維持するとは、厳密に構成比率が同一であることのみならず、同一とみなせる程度に構成比率が維持されていることを含むものとする。
図5のうち、
図5(a)は、ステップS13で、作成されたスポットカラー辞書により目標メタリック色を再現するように印刷出力された場合の、色材の層構成を示す。具体的には、印刷用紙P上に、下刷りとしてのシルバートナー層SLが形成され、その上に、シアントナー層CL1、マゼンタトナー層ML1、イエロートナー層YL1の順に形成されている。また、
図5(b)は、ステップS15で再現メタリック色を構成するC、M、Yのデバイス値の構成比率を維持したまま、C、M、Yのデバイス値の一部をKのデバイス値に置き換えて、印刷出力した場合の色材の層構成を示す。このとき、Kのデバイス値に置き換えられるC、M、Yのデバイス値の一部に対応する色材量は、置き換えられたKのデバイス値に対応する色材量よりも多いため、プロセスカラー色材量の総量は少なくなる。すなわち、
図5(a)の再現メタリック色を構成するシアントナー層CL1、マゼンタトナー層ML1およびイエロートナー層YL1の基となるデバイス値の構成比率を維持して、シアントナー層CL2、マゼンタトナー層ML2およびイエロートナー層YL2を形成するためのデバイス値とし、シアントナー層CL1、マゼンタトナー層ML1およびイエロートナー層YL1の基となるデバイス値の一部を、ブラックトナー層KLを形成するためのデバイス値に置き換えるものとしている。これによって、色値を変化させずに、メタリック色材であるシルバートナーを隠蔽するプロセスカラーの色材量が少なくなるので、メタリック値がより目標に近づくことになり、その結果、色再現性を保ちつつ光輝感を向上させることができる。なお、この情報処理装置10によるメタリック色のデバイス値の再設定処理の詳細については、
図11で後述する。
【0042】
以上のステップS11~S15の流れにより、情報処理システム1の全体動作が行われる。
【0043】
(情報処理装置の機能ブロックの構成および動作)
図6は、第1の実施形態に係る情報処理装置の機能ブロックの構成の一例を示す図である。
図7は、第1の実施形態に係る測色器における測色動作を説明する図である。
図8は、色予測モデルを説明する図である。
図9は、スポットカラー辞書の一例を示す図である。
図6~
図9を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10の機能ブロックの構成および動作について説明する。
【0044】
図6に示すように、情報処理装置10は、測色値取得部101(第1取得部)と、再現特性取得部102(算出部)と、色材量導出部103(導出部)と、辞書作成部104(更新部の一例)と、記憶部105と、操作部106と、印刷ジョブ取得部111と、色変換部112と、を有する。
【0045】
測色値取得部101は、測色器40により目標メタリック色および再現メタリック色のパッチについて複数の方向から測色して得られた複数の測色値を、ネットワークI/F609を介して取得し、再現特性取得部102へ送る機能部である。ここで、
図7を参照しながら、測色器40による測色動作の詳細について説明する。測色器40は、多角度分光測色機であり、測色処理により、光源LSから斜め方向(法線に対して45度の方向)に照射した光が印刷用紙P(記録媒体の一例)に形成された色材層CMLで反射した場合の正反射光の方向を0度とした場合に、15度の方向の測色値、拡散反射光となる45度の方向の測色値、および同じく拡散反射光となる110度の方向の測色値を得る。これらの測色値は、具体的には各方向の分光反射率に基づく値である。
【0046】
測色値取得部101は、具体的には、上述のように目標メタリック色および再現メタリック色のパッチに対して測色器40により測色された15度、45度および110度の各方向の測色値を取得する。
【0047】
再現特性取得部102は、測色値取得部101から受け取った複数の測色値から、2つの物理量(評価値)となるメタリック値および色値を算出し、色材量導出部103へ送る機能部である。メタリック値(第1特性値)とは、測色器40により測色された測定対象物の光輝感の度合いを数値化した物理量であり、一般的には複数方向で測色された測色値を用いて算出される値である。色値(第2特性値)とは、測色器40により測色された測定対象物の色味の度合い(色度)を数値化した物理量である。本実施形態では、例えば、メタリック値は、光学異方性を伴う色の計測方法として一般的に使用されているフロップ指標(Flop Index:フロップインデックス)であるものとして説明する。メタリック値および色値は、目標メタリック色の再現特性を示す値として利用される。
【0048】
フロップ指標は、
図7に示した通り、法線に対して45度の方向から光源LSにより照射した光の正反射光の方向を0度とした場合の15度、45度および110度の方向で測色した場合のLab値うちのL値を用い、基本的には15度のL値と110度のL値との差異を45度のL値で正規化した以下の式(1)によって算出される。
【0049】
【0050】
上記の式(1)において、F.Iはフロップ指標、L*
15は15度方向のL値、L*
45は45度方向のL値、L*
110は110度方向のL値を示す。このフロップ指標F.Iは、値が高いほど光輝感が高い物理量である。一方、色値については、従来からの指標である45度方向の彩度および濃さを表現するLab値であるものとする。なお、メタリック値は、フロップ指数に限定されるものではなく、他の指標値または評価値で代替されるものとしてもよい。
【0051】
色材量導出部103は、再現特性取得部102により算出されたメタリック値および色値から、記憶部105に記憶された色予測モデルを用いて、再現印刷機である画像形成装置30に応じた5色デバイス値(CMYKSi値)を導出し、メタリック値および色値と併せて、辞書作成部104へ送る機能部である。
【0052】
ここで、
図8を参照しながら、色予測モデルの処理の内容について説明する。色予測モデルとは、5色デバイス値(C、M、Y、K、Si)を入力として、画像形成装置30で再現が予測されるメタリック色のメタリック値および色値を出力するモデルである。また、色予測モデルのうち、5色デバイス値から再現が予測されるメタリック色のメタリック値を出力するモデルをメタリック値予測モデルとし、5色デバイス値から再現が予測されるメタリック色の色値を出力するモデルを色値予測モデルとする。本実施形態の場合、メタリック値予測モデルは、メタリック値として上述の式(1)で示されるフロップ指標を出力し、色値予測モデルは、色値として45度方向の彩度および濃さを表現するLab値を出力する。
【0053】
次に、色予測モデルの作成方法について説明する。まず、様々な組み合わせの5色デバイス値のカラーパッチを、画像形成装置30で印刷出力する。そして、それぞれのカラーパッチに対して、
図7で示したように、測色器40により複数方向で測色された測色値を取得する。その結果、それぞれのカラーパッチについて、メタリック値および色値が得られることになる。そして、これらの値に基づいて、5色デバイス値を入力することによりメタリック値が得られるようなメタリック値予測モデル、および色値が得られるような色値予測モデルを作成する。なお、これらの色予測モデルに用いる関数としては、重回帰式、ニューラルネットワーク、ダイレクトルックアップテーブルを用いた補間等、色予測モデルとして一般的な関数を用いることができる。このようにして、作成された色予測モデルは記憶部105に記憶される。なお、色予測モデルは画像形成装置30で使用される用紙ごとに対応したモデルであってもよい。
【0054】
辞書作成部104は、記憶部105から目標メタリック色(スポットカラー)の情報を読み出し、当該目標メタリック色の情報(例えば目標メタリック色のカラー名称)と、色材量導出部103から受け取ったメタリック値、色値および5色デバイス値とを関連付けたスポットカラー辞書を作成して、記憶部105に記憶させる機能部である。この場合、記憶部105に既に目標メタリック色のスポットカラー辞書が作成されている場合、辞書作成部104は、当該スポットカラー辞書のうち5色デバイス値のみを更新するものとすればよい。例えば、
図9に示すように、辞書作成部104は、目標メタリック色の情報(Color Name)と、色値(L*,a*,b*)と、メタリック値(F.I)と、5色デバイス値(C、M、Y、K、Si)と、を関連付けてスポットカラー辞書を作成する。
【0055】
記憶部105は、辞書作成部104により作成されたスポットカラー辞書、目標メタリック色の情報(例えばカラー名称等)、および色予測モデル等を記憶する機能部である。記憶部105は、
図2に示した補助記憶装置605によって実現される。
【0056】
操作部106は、操作入力を受け付ける機能部である。なお、操作部106は、情報処理装置10に対する操作のみならず、測色器40に対する操作を受け付けるものとしてもよい。操作部106は、
図2に示したキーボード611およびマウス612によって実現される。
【0057】
印刷ジョブ取得部111は、ユーザPC20等から印刷ジョブを取得し、色変換部112へ送る機能部である。
【0058】
色変換部112は、記憶部105に記憶されたスポットカラー辞書を用いて、印刷ジョブ取得部111から受け取った印刷ジョブで指定されたスポットカラーを5色デバイス値に変換する色変換処理を行う機能部である。色変換部112は、色変換処理により得られた画像データを、ネットワークI/F609を介して画像形成装置30へ送信する。
【0059】
上述の測色値取得部101、再現特性取得部102、色材量導出部103、辞書作成部104、印刷ジョブ取得部111および色変換部112は、
図2に示したCPU601によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、
図6に示す情報処理装置10の各機能部のうちソフトウェア(プログラム)で実現される機能部は、少なくともその一部が、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0060】
また、
図6に示す情報処理装置10の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図6に示す情報処理装置10で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図6に示す情報処理装置10で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0061】
(目標メタリック色の登録処理の流れ)
図10は、第1の実施形態に係る情報処理装置の目標メタリック色の登録処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10の目標メタリック色の登録処理の流れについて説明する。なお、この目標メタリック色の登録処理は、
図4に示したステップS11の処理に対応する。
【0062】
<ステップS111>
ユーザは、色見本帳から目標メタリック色となる複数のパッチを選択し、測色器40に測色をさせる。そして、情報処理装置10の測色値取得部101は、測色器40により目標メタリック色のパッチについて複数の方向から測色して得られた複数の測色値を、ネットワークI/F609を介して取得し、再現特性取得部102へ送る。そして、ステップS112へ移行する。
【0063】
<ステップS112>
情報処理装置10の再現特性取得部102は、測色値取得部101から受け取った複数の測色値から、2つの物理量(評価値)となるメタリック値および色値を算出し、色材量導出部103へ送る。そして、ステップS113へ移行する。
【0064】
<ステップS113>
情報処理装置10の色材量導出部103は、目標メタリック色のKデバイス値として、任意の値を設定する。そして、ステップS114へ移行する。
【0065】
<ステップS114>
そして、色材量導出部103は、記憶部105に記憶された色予測モデルを用いて、設定したKデバイス値を変更せずに、メタリック値および色値がそれぞれ許容範囲内になるように、C、M、Y、Siデバイス値を導出する。例えば、色材量導出部103は、取得したメタリック値および色値それぞれの±所定値以内を各許容範囲として、仮に導出した5色デバイス値(Kデバイス値はそのまま)から、色予測モデルにより求めたメタリック値および色値がそれぞれの許容範囲内となる場合に、当該5色デバイス値を正式に導出したものとする。そして、色材量導出部103は、導出した5色デバイス値(設定したKデバイス値を含む)、および再現特性取得部102から受け取ったメタリック値および色値を、辞書作成部104へ送る。そして、ステップS115へ移行する。
【0066】
<ステップS115>
情報処理装置10の辞書作成部104は、記憶部105から、ステップS111で選択された目標メタリック色(スポットカラー)の情報を読み出し、当該目標メタリック色の情報(例えば目標メタリック色のカラー名称)と、色材量導出部103から受け取ったメタリック値、色値および5色デバイス値とを関連付けてスポットカラー辞書へ登録する。そして、ステップS116へ移行する。
【0067】
<ステップS116>
すべての目標メタリック色についてステップS111~S115の処理が終了した場合(ステップS116:Yes)、ステップS117へ移行し、終了していない場合(ステップS116:No)、ステップS111へ戻る。
【0068】
<ステップS117>
辞書作成部104は、ステップS111~S115の処理によってすべての目標メタリック色についてスポットカラー辞書への登録を行うことによって、当該スポットカラー辞書を作成し、記憶部105へ記憶させる。
【0069】
以上のステップS111~S117の流れで、目標メタリック色の登録処理が実行される。
【0070】
(メタリック色のデバイス値の再設定処理の流れ)
図11は、第1の実施形態に係る情報処理装置のメタリック色のデバイス値の再設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10のメタリック色のデバイス値の再設定処理の流れについて説明する。なお、このメタリック色のデバイス値の再設定処理は、
図4に示したステップS15の処理に対応する。
【0071】
<ステップS151>
再現特性取得部102は、測色器40から受信した再現メタリック色の測色値から、メタリック値を算出し、色材量導出部103へ送る。そして、ステップS152へ移行する。
【0072】
<ステップS152>
色材量導出部103は、記憶部105に記憶されているスポットカラー辞書から、再現メタリック色に対応する目標メタリック色のメタリック値を取得する。そして、ステップS153へ移行する。
【0073】
<ステップS153>
色材量導出部103は、再現特性取得部102から受け取った再現メタリック色のメタリック値が、取得した目標メタリック色のメタリック値よりも所定値以上低いか否かを判定する。再現メタリック色のメタリック値が、目標メタリック色のメタリック値よりも所定値以上低い場合(ステップS153:Yes)、ステップS154へ移行し、所定値以上低くない場合(ステップS153:No)、スポットカラー辞書のデバイス値をそのままとして終了する。
【0074】
<ステップS154>
色材量導出部103は、記憶部105に記憶されているスポットカラー辞書から、目標メタリック色に対応するKデバイス値および色値を取得する。そして、ステップS155へ移行する。
【0075】
<ステップS155>
そして、色材量導出部103は、目標メタリック色に対応するKデバイス値として、取得したKデバイス値よりも高く再設定する。そして、ステップS156へ移行する。
【0076】
<ステップS156>
色材量導出部103は、記憶部105に記憶された色予測モデルを用いて、再設定したKデバイス値を変更せずに、色値が許容範囲内になるように、C、M、Yデバイス値を導出する。例えば、色材量導出部103は、取得した色値の±所定値以内を許容範囲として、仮に導出した5色デバイス値(K、Siデバイス値はそのまま)から、色予測モデルにより求めた色値が当該許容範囲内となる場合に、当該5色デバイス値を正式に導出したものとする。
【0077】
なお、色材量導出部103は、スポットカラー辞書から、目標メタリック色に対応するC、M、Yデバイス値を取得し、当該C、M、Yデバイス値を低く再設定し、再設定したC、M、Yデバイス値を変更せずに、色値が許容範囲内になるように、Kデバイス値を導出するものとしてもよい。
【0078】
なお、色材量導出部103は、スポットカラー辞書の目標メタリック色に対応するC、M、Yのデバイス値の構成比率を維持したまま、C、M、Yのデバイス値の一部を、再設定により増加したKのデバイス値の増加量に置き換えることによって、C、M、Yデバイス値を導出するものとしてもよい。また、色材量導出部103は、スポットカラー辞書からさらに目標メタリック色に対応するC、M、Yデバイス値を取得し、当該各3色のデバイス値から、当該3色のデバイス値のうち最少デバイス値と同一のデバイス値を、当該最少デバイス値と同一のKのデバイス値で置き換えることによって、Kデバイス値を増加させ、C、M、Yデバイス値を減少させるものとしてもよい。
【0079】
そして、色材量導出部103は、導出した5色デバイス値(再設定したKデバイス値を含む)、および再現特性取得部102から受け取った色値を、辞書作成部104へ送る。
【0080】
ここで、
図12に、ステップS155およびS156で再設定(再導出)した5色デバイス値の構成の一例を示す。
図12(a)は、再設定する前の5色デバイス値の一例を示し、
図12(b)は、再設定後の5色デバイス値の一例を示す。
図12に示すように、Kデバイス値を高く再設定することにより、色値が許容範囲内になるためには、C、M、Yデバイス値をそれぞれ下げる必要がある。これによって、C、M、Yの色材の総量が減ることになるため、Siの色材の隠蔽率が下がり、その結果、色値を維持したまま、メタリック値を向上(光輝感を向上)させることができる。なお、ここでは、再設定したKデバイス値に対し、色予測モデルを用いて色値が許容範囲内になるようにC、M、Yデバイス値を導出したが、単純なUCR(Under Color Removal:下色除去)処理によって、C、M、Yデバイス値を導出してもよい。
【0081】
そして、ステップS157へ移行する。
【0082】
<ステップS157>
辞書作成部104は、色材量導出部103により再設定(再導出)された5色デバイス値により、スポットカラー辞書における、再現メタリック色に対応する目標メタリック色の5色デバイス値として更新する。
【0083】
以上のステップS151~S157の流れで、メタリック色のデバイス値の再設定処理が実行される。
【0084】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置10は、画像形成装置30による画像形成(印刷)で用いるプロセスカラー色材およびメタリック値色材のデバイス値を求めるものであり、色材量導出部103は、光輝感を有する目標メタリック色と、目標メタリック色を再現するためのプロセスカラー色材およびメタリック色材のデバイス量とを関連付けたスポットカラー辞書を用いて目標メタリック色を再現するために、プロセスカラー色材のうち少なくともいずれか一部の色材(例えばC、M、Yの色材)の一部のデバイス値を、他の色材(例えばKの色材)のデバイス値で置き換えるように、プロセスカラー色材および他の色材のデバイス値を導出し、辞書作成部104は、色材量導出部103により導出されたデバイス値で、スポットカラー辞書における目標メタリック色のデバイス値を更新するものとしている。これによって、再現色の光輝感が目標メタリック色よりも低い場合でも、メタリック色材を1種類のみを用いるものとしたまま、色再現性を保ちつつ光輝感を向上させることができる。
【0085】
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る情報処理システム1について、第1の実施形態に係る情報処理システム1と相違する点を中心に説明する。第1の実施形態では、再現メタリック値のメタリック値が、目標メタリック色のメタリック値よりも所定値以上低いか否かを自動で判定する動作を説明した。本実施形態では、目標メタリック色の光輝感と、再現メタリック色の光輝感とを目視で比較し、その比較による判断結果に基づいて、C、M、Yデバイス値をKデバイス値に置き換える動作について説明する。なお、本実施形態に係る情報処理システム1の全体構成、および情報処理装置10a、ユーザPC20および画像形成装置30のハードウェア構成は、第1の実施形態で説明した構成と同様である。また、本実施形態に係る情報処理システム1の全体動作、および情報処理装置10aの目標メタリック色の登録処理は、第1の実施形態で説明した動作と同様である。
【0086】
(情報処理装置の機能ブロックの構成および動作)
図13は、第2の実施形態に係る情報処理装置の機能ブロックの構成の一例を示す図である。
図13を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10aの機能ブロックの構成および動作について説明する。
【0087】
図13に示すように、情報処理装置10aは、測色値取得部101(第1取得部)と、再現特性取得部102(算出部)と、色材量導出部103(導出部)と、辞書作成部104(更新部の一例)と、記憶部105と、操作部106と、光輝感判断結果取得部107(第2取得部)と、印刷ジョブ取得部111と、色変換部112と、を有する。ユーザは、色見本帳の目標メタリック色のパッチと、作成されたスポットカラー辞書を用いて印刷出力された再現メタリック色のパッチ(
図4に示すステップS13)とを比較し、再現メタリック色の光輝感が目標メタリック色の光輝感よりも低いか否かの判断結果(以下、光輝感判断結果と称する場合がある)をユーザPC20へ入力する。
【0088】
光輝感判断結果取得部107は、ユーザPC20から、ネットワークI/F609を介して、光輝感判断結果を取得して、当該光輝感判断結果を色材量導出部103へ送る機能部である。
【0089】
なお、情報処理装置10aにおける光輝感判断結果取得部107以外の機能部の動作は、第1の実施形態で説明した動作と同様である。
【0090】
(メタリック色のデバイス値の再設定処理の流れ)
図14は、第2の実施形態に係る情報処理装置のメタリック色のデバイス値の再設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14を参照しながら、本実施形態に係る情報処理装置10aのメタリック色のデバイス値の再設定処理の流れについて説明する。なお、このメタリック色のデバイス値の再設定処理は、
図4に示したステップS15の処理に対応する。
【0091】
<ステップS151a>
ユーザは、色見本帳の目標メタリック色のパッチと、作成されたスポットカラー辞書を用いて印刷出力された再現メタリック色のパッチ(
図4に示すステップS13)とを目視で比較し、再現メタリック色の光輝感が目標メタリック色の光輝感よりも低いか否かの光輝感判断結果をユーザPC20へ入力する。情報処理装置10aの光輝感判断結果取得部107は、ユーザPC20から、ネットワークI/F609を介して、光輝感判断結果を取得し、当該光輝感判断結果を色材量導出部103へ送る。そして、ステップS152aへ移行する。
【0092】
<ステップS152a>
情報処理装置10aの色材量導出部103は、光輝感判断結果取得部107から取得した光輝感判断結果により、デバイス値の再設定が必要か否かを判定する。デバイス値の再設定が必要である場合(ステップS152a:Yes)、ステップS153aへ移行し、必要でない場合(ステップS152a:No)、処理を終了する。
【0093】
<ステップS153a>
色材量導出部103は、記憶部105に記憶されているスポットカラー辞書から、再現メタリック色に対応する目標メタリック色のC、M、Y、Kのデバイス値を取得する。そして、ステップS154aへ移行する。
【0094】
<ステップS154a>
色材量導出部103は、取得したC、M、Y、Kのデバイス値に対し、例えばUCR処理を行うことにより、C、M、Yのデバイス値の一部を、Kデバイス値に置き換えることによって、C、M、Y、Kのデバイス値を再設定(再導出)する。そして、色材量導出部103は、再設定したC、M、Y、Kのデバイス値を、辞書作成部104へ送る。そして、ステップS155aへ移行する。
【0095】
<ステップS155a>
辞書作成部104は、色材量導出部103により再設定(再導出)されたC、M、Y、Kのデバイス値により、スポットカラー辞書における、再現メタリック色に対応する目標メタリック色のC、M、Y、Kのデバイス値として更新する。
【0096】
以上のステップS151a~S155aの流れで、メタリック色のデバイス値の再設定処理が実行される。
【0097】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置10aでは、光輝感判断結果取得部107は、画像形成装置30によりスポットカラー辞書を用いて印刷出力された、目標メタリック色を再現する再現メタリック色のパッチの光輝感が、目標メタリック色のパッチの光輝感よりも低いか否かの判断結果を、ユーザPC20から取得し、色材量導出部103は、光輝感判断結果取得部107により取得された光輝感判断結果に基づいて、スポットカラー辞書の目標メタリック色に対応するプロセスカラー色材のデバイス値に対して、例えばUCR処理を行うことにより、C、M、Y、Kの色材量を導出するものとしている。これによって、第1の実施形態と同様の効果を奏しつつ、ユーザの目視による光輝感の判断結果を用いるので、よりユーザが所望する光輝感を的確に再現することができる。
【0098】
なお、本変形例では、情報処理装置10aは、再現メタリック色の測色値を使用しておらず、測色値に基づいたデバイス値の算出も行っていないため、外部で作成した画像形成装置30のスポットカラー辞書を取得するスポットカラー辞書取得部を持つものとしてもよい。
【0099】
また、上述の第1の実施形態および第2の実施形態では、Kの色材量を増やすことにより、C、M、Yの色材の総量を減らしてメタリック色材を隠蔽する色材の量を減らすことにより、光輝感を向上させていたが、これに限定されるものではない。例えば、Kの色材の代わりに、Or(オレンジ)の色材、Gr(グリーン)の色材のような、C、M、Yのうち2色(一部の色材の一例)の中間の色相を有する色材を用いて、当該2色の色材の一部の色材量を当該中間の色相を有する色材(他の色材の一例)の色材量に置き換えることによっても、C、M、Yの色材の総量を減らすことが可能である。
【0100】
また、上述の各実施形態において、情報処理装置10、10aの各機能部の少なくともいずれかがプログラムの実行によって実現される場合、そのプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、上述の各実施形態において、情報処理装置10、10aで実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk-Recordable)、またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上述の各実施形態において、情報処理装置10、10aで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の各実施形態において、情報処理装置10、10aで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、上述の各実施形態において、情報処理装置10、10aで実行されるプログラムは、上述した各機能部のうち少なくともいずれかを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU601が上述の記憶装置(例えば、ROM602、補助記憶装置605等)からプログラムを読み出して実行することにより、上述の各機能部が主記憶装置(RAM603)上にロードされて生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0101】
1 情報処理システム
10、10a 情報処理装置
20 ユーザPC
30 画像形成装置
40 測色器
101 測色値取得部
102 再現特性取得部
103 色材量導出部
104 辞書作成部
105 記憶部
106 操作部
107 光輝感判断結果取得部
111 印刷ジョブ取得部
112 色変換部
601 CPU
602 ROM
603 RAM
605 補助記憶装置
606 記録メディア
607 メディアドライブ
608 ディスプレイ
609 ネットワークI/F
610 バス
611 キーボード
612 マウス
613 DVD
614 DVDドライブ
700 給紙トレイ
701 搬送ローラ
702 中間転写ベルト
703、703C、703K、703M、703S、703Y 感光体ドラム
704 転写ローラ
705 定着ローラ
CL1、CL2 シアントナー層
CML 色材層
KL ブラックトナー層
LS 光源
ML1、ML2 マゼンタトナー層
N ネットワーク
P 用紙
SL シルバートナー層
YL1、YL2 イエロートナー層
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【特許文献1】特許第5915444号公報
【特許文献2】特開2016-061947号公報