(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023095769
(43)【公開日】2023-07-06
(54)【発明の名称】デルタシグマ変調器
(51)【国際特許分類】
H03M 3/02 20060101AFI20230629BHJP
【FI】
H03M3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172922
(22)【出願日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】P 2021211074
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 一馬
【テーマコード(参考)】
5J064
【Fターム(参考)】
5J064AA01
5J064BA03
5J064BC06
5J064BC07
5J064BC10
5J064BC13
5J064BC16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高分解能のデルタシグマ変調器を提供する。
【解決手段】デルタシグマ変調器10は、入力されるアナログ信号を積分する第1の積分部と、第1の積分部が出力した信号を積分する第2の積分部と、第2の積分部が出力した信号を量子化する量子化器と、量子化器の出力をDA変換して第1の積分部にフィードバックするフィードバック信号を出力するDA変換器と、第1の積分部及び第2の積分部を、第1の期間と第2の期間で異なる積分動作を行うように制御する、制御回路180及びリセット回路190を有する制御部とを備える。第2の積分部は、第1の期間及び第2の期間において、DA変換器が出力したフィードバック信号を第1の積分部を介して受信して、積分する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されるアナログ信号を積分する第1の積分部と、
前記第1の積分部が出力した信号を積分する第2の積分部と、
前記第2の積分部が出力した信号を量子化する量子化器と、
前記量子化器の出力をDA変換して前記第1の積分部にフィードバックするフィードバック信号を出力するDA変換器と、
前記第1の積分部及び前記第2の積分部を、第1の期間と第2の期間で異なる積分動作を行うように制御する制御部とを備え、
前記第2の積分部は、前記第1の期間及び前記第2の期間において、前記DA変換器が出力した前記フィードバック信号を前記第1の積分部を介して受信して、積分し、
前記制御部は、前記第2の積分部を、前記第1の期間よりも前記第2の期間の方が、フィードバック係数が大きい積分器として動作するように制御する、
デルタシグマ変調器。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の積分部を、前記第1の期間よりも前記第2の期間の方が、フィードバック係数が小さい積分器として動作するように制御する
請求項1に記載のデルタシグマ変調器。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の積分部を、前記第1の期間では、フィードバック係数が1の積分器として動作し、前記第2の期間では、フィードバック係数が0の積分器として動作するように制御し、前記第2の積分部を、前記第1の期間では、フィードバック係数が1の積分器として動作し、前記第2の期間では、フィードバック係数が1より大きい積分器として動作するように制御する
請求項1に記載のデルタシグマ変調器。
【請求項4】
前記第1の積分部は、前記第2の期間に、前記DA変換器が出力した前記フィードバック信号を、前記第1の積分部に入力されるときと同じゲインで、前記第2の積分部に出力する
請求項1に記載のデルタシグマ変調器。
【請求項5】
前記第1の積分部は、
前記フィードバック信号が入力される加算部と、
前記加算部が出力する信号を、前記第1の期間では1のゲインで出力し、前記第2の期間では1と0のゲインで交互に出力する第1の切替部と、
前記第1の切替部の出力を前記加算部の入力に戻すフィードバック経路とを有し、
前記第1の積分部は、前記第1の期間及び前記第2の期間の両方で前記フィードバック経路を介して信号を出力する
請求項1に記載のデルタシグマ変調器。
【請求項6】
前記第1の切替部は、前記加算部が出力する信号を遅延させる第1の遅延素子と、前記加算部が出力する信号を0のゲインで出力する増幅器と、前記第1の遅延素子の出力と前記増幅器の出力とが入力するマルチプレクサとを有する
請求項5に記載のデルタシグマ変調器。
【請求項7】
前記デルタシグマ変調器は、入力される前記アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換の各周期後にリセットするインクリメンタル型のAD変換器であり、
前記マルチプレクサは、前記リセットする期間では前記増幅器が0のゲインで出力する信号を出力する
請求項6に記載のデルタシグマ変調器。
【請求項8】
前記第2の積分部は、前記第1の期間では前記第1の積分部からの信号を遅延させて出力し、前記第2の期間では前記第1の積分部からの信号を遅延させないで出力する第2の切替部を有する
請求項1に記載のデルタシグマ変調器。
【請求項9】
前記第2の切替部は、
前記第1の積分部の出力と接続された第1のスイッチトキャパシタ回路と、
前記第1のスイッチトキャパシタ回路に接続された第1の切替スイッチと、
前記第1のスイッチトキャパシタ回路と並列に接続された第2のスイッチトキャパシタ回路と、
前記第2のスイッチトキャパシタ回路に接続された第2の切替スイッチとを有し、
前記制御部は、前記第1の期間では前記第1の切替スイッチをオンして前記第1のスイッチトキャパシタ回路から放電することで、前記第1の積分部からの信号を遅延させて出力し、前記第2の期間では前記第2の切替スイッチをオンして前記第2のスイッチトキャパシタ回路から放電することで、前記第2の期間では前記第1の積分部からの信号を遅延させないで出力するように制御する
請求項8に記載のデルタシグマ変調器。
【請求項10】
入力されるアナログ信号を積分する第1の積分部と、
前記第1の積分部が出力した信号を積分する第2の積分部と、
前記第2の積分部が出力した信号を量子化する量子化器と、
前記量子化器の出力をDA変換して前記第1の積分部にフィードバックするフィードバック信号を出力するDA変換器と、
前記第1の積分部及び前記第2の積分部を、第1の期間と第2の期間で異なる積分動作を行うように制御する制御部とを備え、
前記第2の積分部は、前記第1の期間及び前記第2の期間において、前記DA変換器が出力した前記フィードバック信号を前記第1の積分部を介して受信して、積分し、
前記制御部は、前記第1の積分部を、前記第1の期間よりも前記第2の期間の方が、フィードバック係数が小さい積分器として動作するように制御する、
デルタシグマ変調器。
【請求項11】
入力されるアナログ信号を積分する第1の積分部と、
前記第1の積分部が出力した信号と前記入力されるアナログ信号を選択して出力するマルチプレクサと、
前記マルチプレクサが出力した信号を積分する第2の積分部と、
前記第2の積分部が出力した信号を量子化する量子化器と、
前記量子化器の出力をDA変換して前記第1の積分部にフィードバックするフィードバック信号を出力するDA変換器と、
前記第1の積分部及び前記第2の積分部を、第1の期間と第2の期間で異なる積分動作を行うように制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第2の積分部を、前記第1の期間よりも前記第2の期間の方が、フィードバック係数が大きい積分器として動作するように制御し、
前記制御部は、前記第1の期間では前記第1の積分部が出力した信号を前記第2の積分部へ出力するように前記マルチプレクサを制御し、前記第2の期間において前記第1の積分部に入力される前記アナログ信号を前記第2の積分部に出力するように前記マルチプレクサを制御する、
デルタシグマ変調器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デルタシグマ変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低消費電力で高分解能化を実現するための手法として、予め定められた期間が経過するまで、1次のフィードバック係数が1の積分器として動作し、予め定められた期間が経過した後に、1次のフィードバック係数が1よりも大きい増幅器として動作するインクリメンタル型デルタシグマ変調器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
特許文献1 特開2019-118100号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、デルタシグマ変調器を提供する。デルタシグマ変調器は、入力されるアナログ信号を積分する第1の積分部を備えてよい。デルタシグマ変調器は、第1の積分部が出力した信号を積分する第2の積分部を備えてよい。デルタシグマ変調器は、第2の積分部が出力した信号を量子化する量子化器を備えてよい。デルタシグマ変調器は、量子化器の出力をDA変換して第1の積分部にフィードバックするフィードバック信号を出力するDA変換器を備えてよい。デルタシグマ変調器は、第1の積分部及び第2の積分部を、第1の期間と第2の期間で異なる積分動作を行うように制御する制御部を備えてよい。第2の積分部は、第1の期間及び第2の期間において、DA変換器が出力したフィードバック信号を第1の積分部を介して受信して、積分してよい。
【0004】
制御部は、第1の積分部を、第1の期間よりも第2の期間の方が、フィードバック係数が小さい積分器として動作するように制御してよい。制御部は、第2の積分部を、第1の期間よりも第2の期間の方がフィードバック係数が大きい積分器として動作するように制御してよい。
【0005】
制御部は、第1の積分部を、第1の期間では、フィードバック係数が1の積分器として動作し、第2の期間では、フィードバック係数が0の積分器として動作するように制御してよい。制御部は、第2の積分部を、第1の期間では、フィードバック係数が1の積分器として動作し、第2の期間では、フィードバック係数が1より大きい積分器として動作するように制御してよい。
【0006】
第1の積分部は、第2の期間に、DA変換器が出力したフィードバック信号を、第1の積分部に入力されるときと同じゲインで、第2の積分部に出力してよい。
【0007】
第1の積分部は、フィードバック信号が入力される加算部を有してよい。第1の積分部は、加算部が出力する信号を、第1の期間では1のゲインで出力し、第2の期間では1と0のゲインで交互に出力する第1の切替部を有してよい。第1の積分部は、第1の切替部の出力を加算部の入力に戻すフィードバック経路を有してよい。第1の積分部は、第1の期間及び第2の期間の両方でフィードバック経路を介して信号を出力してよい。
【0008】
第1の切替部は、加算部が出力する信号を遅延させる第1の遅延素子と、加算部が出力する信号を0のゲインで出力する増幅器を有してよい。第1の切替部は、第1の遅延素子の出力と増幅器の出力とが入力するマルチプレクサを有してよい。
【0009】
デルタシグマ変調器は、入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換の各周期後にリセットするインクリメンタル型のAD変換器であってよい。マルチプレクサは、リセットする期間では増幅器が0のゲインで出力する信号を出力してよい。
【0010】
第2の積分部は、第1の期間では第1の積分部からの信号を遅延させて出力し、第2の期間では第1の積分部からの信号を遅延させないで出力する第2の切替部を有してよい。
【0011】
第2の切替部は、第1の積分部の出力と接続された第1のスイッチトキャパシタ回路を有してよい。第2の切替部は、第1のスイッチトキャパシタ回路に接続された第1の切替スイッチを有してよい。第2の切替部は、第1のスイッチトキャパシタ回路と並列に接続された第2のスイッチトキャパシタ回路を有してよい。第2の切替部は、第2のスイッチトキャパシタ回路に接続された第2の切替スイッチを有してよい。制御部は、第1の期間では第1の切替スイッチをオンして第1のスイッチトキャパシタ回路から放電することで、第1の積分部からの信号を遅延させて出力し、第2の期間では第2の切替スイッチをオンして第2のスイッチトキャパシタ回路から放電することで、第2の期間では第1の積分部からの信号を遅延させないで出力するように制御してよい。
【0012】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係るデルタシグマ変調器の構成例を示す。
【
図2】本実施形態に係るデルタシグマ変調器のより詳細な構成例を示す。
【
図3】本実施形態に係るデルタシグマ変調器の第1の積分部の実回路の一例を示す。
【
図5】本実施形態に係るデルタシグマ変調器の第2の積分部の実回路の一例を示す。
【
図6】本実施形態に係るデルタシグマ変調器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
図1は、本実施形態に係るデルタシグマ変調器10の構成例を示す。デルタシグマ変調器10は、一例として、入力されるアナログ信号A
sigをデジタル信号D
outに変換するAD変換の各周期後にリセットするインクリメンタル型のAD変換器である。デルタシグマ変調器10は、第1の期間と第2の期間からなる1周期のAD変換とAD変換後のリセット期間とを繰り返すことにより、高分解能化を実現し得る。デルタシグマ変調器10は、加減算部110と、第1の積分部120と、第2の積分部130と、選択部140と、量子化器150と、DA変換器170と、制御回路180と、リセット回路190とを備える。なお、本願の制御部は、本実施形態の制御回路180とリセット回路190を有するものであってよい。
【0016】
加減算部110は、入力端子100と、第1の積分部120と、DA変換器170とに接続される。加減算部110は、入力端子100に入力されるアナログ信号AsigからDA変換器170が出力するフィードバック信号AFBを減算したアナログ信号AIN1を第1の積分部120に出力する。
【0017】
第1の積分部120は、第2の積分部130と選択部140とに接続され、入力端子100に入力されるアナログ信号Asigを積分する。第1の積分部120は、アナログ積分器であってよい。第1の積分部120は、アナログ信号Asigとフィードバック信号AFBとの差分であるアナログ信号AIN1を積分し、アナログ信号AOUT1を第2の積分部130と選択部140とに出力する。
【0018】
第2の積分部130は、選択部140に接続され、第1の積分部120が出力したアナログ信号AOUT1を積分する。第2の積分部130は、アナログ積分器であってよい。第2の積分部130は、第1の期間及び第2の期間において、DA変換器170が出力したフィードバック信号AFBを第1の積分部120を介して受信して、積分し、積分結果であるアナログ信号AOUT2を選択部140に出力する。
【0019】
選択部140は、入力端子100と量子化器150とに接続され、入力端子100に入力されるアナログ信号Asig、第1の積分部120が出力するアナログ信号AOUT1、及び第2の積分部130が出力するアナログ信号AOUT2のうちの少なくとも1つを選択して、選択した信号に応じたアナログ信号ASUM2を出力する。選択部140は、デルタシグマ変調器10のフィードフォワード制御を実行するための構成であってよい。
【0020】
量子化器150は、出力端子160とDA変換器170とに接続され、第2の積分部130が出力した信号を量子化する。量子化器150は、選択部140が出力したアナログ信号ASUM2を量子化したデジタル信号Doutを出力する。量子化器150は、外部から供給されるクロック信号に応じて、アナログ信号ASUM2を量子化してよい。量子化器150は、1ビット量子化器として機能して、2値のデジタル信号Doutに量子化してよい。これに代えて、量子化器150は、マルチビット量子化器として機能し、多値のデジタル信号Doutに量子化してもよい。
【0021】
DA変換器170は、量子化器150の出力DOUTをDA変換(デジタルアナログ変換)して第1の積分部120にフィードバックするフィードバック信号AFBを出力する。DA変換器170は、クロック信号等と同期して、デジタル信号DOUTを、アナログ信号であるフィードバック信号AFBに変換してよい。
【0022】
制御回路180は、第2の積分部130と選択部140とに接続され、第2の積分部130及び選択部140の動作を切り換える制御信号を出力する。制御回路180は、予め定められたタイミングで、第2の積分部130及び選択部140の動作を切り換えてよい。制御回路180は、第2の積分部130と選択部140とに異なる制御信号を出力してよい。また、制御回路180は、リセット回路190にリセット信号を供給すべきタイミングを通知してもよい。
【0023】
リセット回路190は、第1の積分部120と第2の積分部130とに接続され、予め定められた周期毎に、第1の積分部120及び第2の積分部130の出力AOUTをリセットするリセット信号を出力する。第1の積分部120と第2の積分部130は、制御回路180からの制御信号とリセット回路190からのリセット信号とにより、第1の期間と第2の期間で異なる積分動作を行うように制御される。
【0024】
図2は、本実施形態に係るデルタシグマ変調器10のより詳細な構成例を示す。
図2は、
図1のデルタシグマ変調器10における第1の積分部120と第2の積分部130と選択部140とをより詳細に示す。以下、これらについてより詳細に述べる。
【0025】
第1の積分部120は、第1の加算部200と、第1の切替部201とを有し、第1の切替部201の出力を第1の加算部200の入力に戻すフィードバック経路を有する。第1の加算部200は、加減算部110とフィードバック経路と第1の切替部201の入力とに接続され、加減算部110を介してフィードバック信号AFBに応じた信号が入力される。第1の加算部200は、加減算部110からのアナログ信号AIN1と、第1の切替部201からのアナログ信号AOUT1とを加算して、第1の切替部201にアナログ信号ASUM1を出力する。
【0026】
第1の切替部201は、第1の加算部200が出力するアナログ信号ASUM1を、第1の期間では1のゲインで出力し、第2の期間では1と0のゲインで交互に出力する。第1の切替部201は、第1の遅延素子205と、第1の増幅器210と、第1のマルチプレクサ215と、第2の遅延素子220と、第2のマルチプレクサ225とを有する。
【0027】
第1の遅延素子205は、第1の加算部200と第1のマルチプレクサ215の一方の入力との間に接続され、第1の加算部200からの信号ASUM1を遅延させて出力する。第1の増幅器210は、第1の加算部200と第1のマルチプレクサ215の他方の入力との間に接続され、第1の加算部200が出力する信号ASUM1を0のゲイン(すなわち、0V)で出力する。第1のマルチプレクサ215は、出力が第2の遅延素子220と第2のマルチプレクサ225の一方の入力とに接続され、第1の遅延素子205の出力と第1の増幅器210の出力とが入力され、リセット信号に応じて第1の遅延素子205の出力と第1の増幅器210の出力との一方を出力する。第1のマルチプレクサ215は、リセット期間では第1の増幅器210が0のゲインで出力する信号をリセット信号に応じて出力してよい。
【0028】
第2の遅延素子220は、第1のマルチプレクサ215の出力と第2のマルチプレクサ225の他方の入力との間に接続され、第1のマルチプレクサ215からの信号を遅延させて出力する。第2のマルチプレクサ225は、出力が第2の積分部130と第1の加算部200の入力とに接続される。第2のマルチプレクサ225は、第2の遅延素子220の出力と第1のマルチプレクサ215の出力とが入力され、リセット信号に応じて第2の遅延素子220の出力と第1のマルチプレクサ215の出力との一方を出力する。
【0029】
このような構造により、第1の積分部120は、第1の期間及び第2の期間の両方で同じフィードバック経路を介して信号AOUT1を出力する。従って、第1の積分部120から出力されるフィードバック信号に応じた信号AOUT1は、第1の期間と第2の期間で同じ条件(ノイズ、位相等)で第2の積分部130に入力される。これにより、第1の積分部120と第2の積分部130は、1つのみのDA変換器170からのフィードバック信号AFBを、条件の調整等を追加で行うことなく、第1の期間と第2の期間で用いることができる。
【0030】
第2の積分部130は、第2の切替部203と、第2の加算部240と、第2の増幅器245と、第4のマルチプレクサ250と、第4の遅延素子255とを有する。第2の積分部130は、第2の加算部240の出力を、第2の増幅器245と、第4のマルチプレクサ250と、第4の遅延素子255とを介して第2の加算部240の入力に戻すフィードバック経路を有する。
【0031】
第2の切替部203は、第1の期間では第1の積分部120からの信号AOUT1を遅延させて出力し、第2の期間では第1の積分部120からの信号AOUT1を遅延させないで出力する。第2の切替部203は、第3の遅延素子230と、第3のマルチプレクサ235とを有する。第3の遅延素子230は、第1の積分部120と第3のマルチプレクサ235の一方の入力との間に接続され、第1の積分部120が出力する信号AOUT1を遅延させて出力する。第3のマルチプレクサ235は、他方の入力が第1の積分部120に接続され、出力が第2の加算部240の入力に接続される。第3のマルチプレクサ235は、制御信号に応じて第3の遅延素子230の出力と第1の積分部120の出力との一方を出力する。第3のマルチプレクサ235は、第1の期間では第3の遅延素子230からの信号を出力し、第2の期間では第1の積分部120からの信号AOUT1を出力してよい。
【0032】
第2の加算部240は、第3のマルチプレクサ235からのアナログ信号AIN2とフィードバック経路からのアナログ信号を加算して、加算結果であるアナログ信号AOUT2を出力する。第2の増幅器245は、第2の加算部240の出力と第4のマルチプレクサ250の一方の入力との間に接続され、倍率x(x>1)で第2の加算部240からのアナログ信号AOUT2を増幅して、出力する。第4のマルチプレクサ250は、他方の入力が第2の加算部240の出力に接続され、出力が第4の遅延素子255に接続される。第4のマルチプレクサ250は、制御信号に応じて第2の加算部240の出力と第2の増幅器245の出力との一方を出力する。第4の遅延素子255は、第2の加算部240に接続され、第4のマルチプレクサ250からの信号を遅延させて第2の加算部240に出力する。
【0033】
第4のマルチプレクサ250は、第1の期間では第2の加算部240からの信号AOUT2を出力し、第2の期間では第2の増幅器245からの信号を出力してよい。
【0034】
選択部140は、第3の増幅器260と、第1のスイッチ265と、第3の加算部270とを有する。第3の増幅器260は、第1の積分部120の出力と第1のスイッチ265との間に接続され、第1の積分部120からのアナログ信号AOUT1を1より大きい倍率(例えば本実施形態では倍率2)で増幅して出力する。第1のスイッチ265は、一端が第3の加算部270に接続され、制御信号に応じてオン/オフされて、第3の増幅器260と第3の加算部270との間を接続/切断する。第3の加算部270は、量子化器150に接続され、入力端子100からのアナログ信号Asig、第1の積分部120からのアナログ信号AOUT1、第2の積分部130からのアナログ信号AOUT2が入力され、加算してアナログ信号ASUM2を出力する。選択部140は、第1の期間ではアナログ信号Asig、2AOUT1、及びAOUT2を加算して出力し、第2の期間ではアナログ信号Asig及びAOUT2を加算して出力してよい。
【0035】
次に、本実施形態に係るデルタシグマ変調器10の動作について述べる。制御回路180及びリセット回路190は、第1の積分部120を、第1の期間よりも第2の期間の方が、フィードバック係数が小さい積分器として動作するように制御し、第2の積分部130を、第1の期間よりも第2の期間の方がフィードバック係数が大きい積分器として動作するように制御してよい。例えば、制御回路180及びリセット回路190は、第1の積分部120を、第1の期間では、フィードバック係数が1の積分器として動作し、第2の期間では、フィードバック係数が0の積分器として動作するように制御し、第2の積分部130を、第1の期間では、フィードバック係数が1の積分器として動作し、第2の期間では、フィードバック係数が1より大きい積分器として動作するように制御してよい。
【0036】
ここで、フィードバック係数は、第1の積分部120及び第2の積分部130のそれぞれが有するフィードバック経路に配置された増幅器の倍率を示す。例えば、第1の積分部120及び第2の積分部130の加算部の出力から入力までの経路において、当該経路に入力された信号を増幅器を介さずに通す場合に、フィードバック係数は1であり、当該経路に入力された信号を倍率xの増幅器を介して通す場合に、フィードバック係数はxである。
【0037】
第1の期間では、第1の積分部120において、第1のマルチプレクサ215は、リセット信号に応じて、第1の遅延素子205からの信号を出力し、第2のマルチプレクサ225は、リセット信号に応じて、第2の遅延素子220からの信号を出力してよい。第2の期間では、第1の積分部120において、第1のマルチプレクサ215は、リセット信号に応じて、倍率0の第1の増幅器210からの信号を出力し、第2のマルチプレクサ225は、リセット信号に応じて、第2の遅延素子220を介さずに入力された信号を出力してよい。これにより、第1の期間では、第1の積分部120の出力するアナログ信号AOUT1は、次式のように示される。
【0038】
【0039】
また、第2の期間では、第1の積分部120の出力するアナログ信号AOUT1は、次式のように示される。第2の期間では、第1の積分部120はフィードバック係数を持たない遅延素子として動作してゲインが1であるため、第1の積分部120は、第2の期間に、DA変換器170が出力したフィードバック信号AFBを、第1の積分部120に入力されるときと同じゲインで、第2の積分部130に出力する。
【0040】
【0041】
第1の期間では、第2の積分部130において、第3のマルチプレクサ235は、制御信号に応じて、第3の遅延素子230からの遅延された信号を出力し、第2の期間では、第3のマルチプレクサ235は、制御信号に応じて、第3の遅延素子230を介さずに入力された信号AOUT1を出力してよい。また、第1の期間では、第2の積分部130において、第4のマルチプレクサ250は、制御信号に応じて、第2の増幅器245を介さずに入力された信号を出力し、第2の期間では、第4のマルチプレクサ250は、制御信号に応じて、第2の増幅器245からのx倍に増幅された信号を出力してよい。第1の期間及び第2の期間において、第4の遅延素子255は、第4のマルチプレクサ250からの信号を遅延させて出力する。
【0042】
第2の加算部240は、入力される信号を加算した結果であるアナログ信号AOUT2を出力する。これにより、第1の期間では、第2の積分部130の出力するアナログ信号AOUT2は、次式のように示される。
【0043】
【0044】
また、第2の期間では、第2の積分部130の出力するアナログ信号AOUT2は、次式のように示される。次式のように、第2の期間においてはAIN2の係数の分子が1であることにより、第2の積分部130は、第1の積分部120と同じ条件のDA変換器170からのフィードバック信号AFBに応じた信号を用いることができる。
【0045】
【0046】
選択部140において、第1のスイッチ265は、第1の期間では制御信号によりオンにされ、第2の期間では制御信号によりオフにされる。従って、選択部140は、第1の期間では次式のアナログ信号ASUM2を出力する。
【0047】
【0048】
また、選択部140は、第2の期間では次式のアナログ信号ASUM2を出力する。
【0049】
【0050】
本実施形態に係るデルタシグマ変調器10は、制御回路180とリセット回路190によって、第1の期間と第2の期間とで回路動作を切り替えることにより2通りの出力を得られる。量子化器150で発生する量子化雑音をE1とした場合、デルタシグマ変調器10の出力DOUTは第1の期間では次式のように示される。
【0051】
【0052】
ここで、第1の積分部120及び第2の積分部130の出力信号AOUTの初期値が0、デルタシグマ変調器10に入力するアナログ信号Asigが略一定の値である場合、i回目(i>1)の量子化器150の出力をDOUT(i)とすると、アナログ信号Asigは次式のように示される。
【0053】
【0054】
デルタシグマ変調器10に入力するアナログ信号Asigは、量子化器150の出力DOUTを用いて表わされ、アナログ信号Asigをデジタル変換したデジタル信号DSIGを算出することができる。また、このとき量子化器150の量子化雑音E1は、次式で示される。
【0055】
【0056】
また、第2の積分部130の出力AOUT2は、第2の期間では次式のように示される。
【0057】
【0058】
ここで、入力するクロック数をmとし、フィードバック係数が1より大きい積分器は、次式で示される。
【0059】
【0060】
また、第2の積分部130の初期値はAOUT2(n)であることから、ASIGは次式で示される。
【0061】
【0062】
従って、デルタシグマ変調器10に入力するアナログ信号ASIGを、量子化器150の出力DOUTを用いて表現でき、アナログ信号ASIGをデジタル変換したデジタル信号DSIGを算出することができる。
【0063】
図3は、本実施形態に係るデルタシグマ変調器10の第1の積分部120の実回路の一例を示す。第1の積分部120は、第2のスイッチ300と、第3のスイッチ310と、第1のキャパシタ305と、第4のスイッチ320と、第5のスイッチ315と、第4の増幅器325と、第1の帰還キャパシタ330と、第1のリセットスイッチ335とを有する。
【0064】
第2のスイッチ300は、第1の積分部120の入力と第1のキャパシタ305との間に接続される。第3のスイッチ310は、第2のスイッチ300と第1のキャパシタ305の間のノードと基準電位との間に接続される。第1のキャパシタ305は、第2のスイッチ300と第4のスイッチ320との間に接続される。第4のスイッチ320は、第4の増幅器325の一方の端子に接続される。第5のスイッチ315は、第4のスイッチ320と第1のキャパシタ305の間のノードと基準電位との間に接続される。第2のスイッチ300と、第3のスイッチ310と、第1のキャパシタ305と、第4のスイッチ320と、第5のスイッチ315とは、スイッチトキャパシタ回路を構成する。第2のスイッチ300と第5のスイッチ315は、第1のタイミング信号がハイのときにオンにされ、ローのときにオフにされてよい。第3のスイッチ310と第4のスイッチ320は、第2のタイミング信号がハイのときにオンにされ、ローのときにオフにされてよい。
【0065】
なお、第1のタイミング信号と第2のタイミング信号は、交互にハイになってよく、略一定のクロック周期に同期した信号であり、以下同様である。また、基準電位は、予め定められた電位でよく、一例として0V(接地電位)であり、以下同様である。
【0066】
例えば、第1のタイミング信号がハイの期間φ1において、第1のキャパシタ305の一方を第1の積分部120の入力端子に接続し、他方を基準電位に接続して、入力端子からのアナログ信号AIN1を充電する。この場合、第2のタイミング信号がハイの期間φ2において、第1のキャパシタ305の一方を基準電位に接続し、他方を第4の増幅器325の一方の入力端子に接続して、充電した電荷を放電する。第1のキャパシタ305は、期間φ1及び期間φ2を繰り返して、充放電を繰り返す。
【0067】
第4の増幅器325は、一方の入力端子(マイナス端子)に第4のスイッチ320の一端が接続され、他方の入力端子(プラス端子)に基準電位が接続され、出力端子に第1の積分部120の出力端子が接続される。第1の帰還キャパシタ330は、第4の増幅器325の一方の入力端子(マイナス端子)と出力端子の間に接続される。第1の帰還キャパシタ330は、第4の増幅器325の一方の入力端子に入力する信号を蓄積する。第1のリセットスイッチ335は、第4の増幅器325の一方の入力端子(マイナス端子)と出力端子の間に接続され、第1の帰還キャパシタ330と並列に接続される。第1のリセットスイッチ335は、リセット信号に応じてオン、オフされ、オンされることにより、第1の帰還キャパシタ330に充電した電荷を放電し、第1の積分部120(第4の増幅器325)の出力を0Vにすることができる。
【0068】
図4は、第1の積分部120の動作特性の一例を示す。
図4において、incrementalの期間は第1の期間を示し、exponentialの期間は第2の期間を示し、rstの期間はリセット期間を示す。
図4の横軸は時間、縦軸は電圧を示す。
図4は、期間φ1の第1のタイミング信号及び期間φ2の第2のタイミング信号の例と、リセット信号(RST)の例と、第1の積分部120の出力端子からの出力信号A
OUT1とを示す。即ち、期間φ1及び期間φ2は、予め定められた周期でオン及びオフが切り換わり、リセット期間においてリセット信号はハイになる。また、
図4は、第1の積分部120に入力するアナログ信号A
IN1が、時刻0までは0V、時刻0からは略一定の電位である例を示す。
【0069】
このような第1の積分部120の出力信号AOUT1は、第1の期間において、n周期のタイミング信号(即ち、n回の充放電)に応じて変化する。即ち、第1の積分部120は、入力するアナログ信号AINをn倍に増幅するように動作する(AOUT1=nAIN1)。ここで、nは入力するクロックの数に相当する。
【0070】
第2の期間では、第1のタイミング信号に同期してリセット信号RSTが立ち上がり、立ち下がる。これにより、第2の期間における第1の積分部120の出力信号AOUT1は、第1のタイミング信号がハイの期間φ1では0Vとなる。また、第1の積分部120の出力信号AOUT1は、第2のタイミング信号がハイの期間φ2では、第1の積分部120が入力されたアナログ信号Asigを再度増幅するため、AOUT1=AIN1となる。このように、第2の期間では、第1の積分部120は、DA変換器170が出力したフィードバック信号を、第1の積分部120に入力されるときと同じゲインで、第2の積分部130に出力する。
【0071】
リセット信号がハイを維持するリセット期間では、第1の積分部120の出力信号AOUT1は、期間φ1及び期間φ2によらずAOUT1=0Vとなる。
【0072】
図5は、本実施形態に係るデルタシグマ変調器10の第2の積分部130の実回路の一例を示す。第2の積分部130は、第1のスイッチトキャパシタ回路510と、第2のスイッチトキャパシタ回路520と、第1の切替スイッチ531と、第2の切替スイッチ532と、第5の増幅器540と、第2の帰還キャパシタ550と、第2のリセットスイッチ560と、第3の切替スイッチ571と、第4の切替スイッチ572と、第3のスイッチトキャパシタ回路580とを有する。第1のスイッチトキャパシタ回路510と、第2のスイッチトキャパシタ回路520と、第1の切替スイッチ531と、第2の切替スイッチ532とは、
図2の第2の切替部203を構成する。
【0073】
第1のスイッチトキャパシタ回路510は、第1の積分部120の出力と第1の切替スイッチ531との間に接続される。第1のスイッチトキャパシタ回路510は、第6のスイッチ511と、第7のスイッチ513と、第3のキャパシタ512と、第8のスイッチ514と、第9のスイッチ515とを有する。第6のスイッチ511は、第2の積分部130の入力端子と第3のキャパシタ512との間に接続される。第7のスイッチ513は、第6のスイッチ511と第3のキャパシタ512の間のノードと基準電位との間に接続される。第3のキャパシタ512は、第6のスイッチ511と第8のスイッチ514の間に接続される。第8のスイッチ514は、第1の切替スイッチ531と第3のキャパシタ512の間に接続される。第9のスイッチ515は、第8のスイッチ514と第3のキャパシタ512の間のノードと基準電位との間に接続される。
【0074】
第6のスイッチ511と第9のスイッチ515は、第1のタイミング信号がハイのときにオンにされ、ローのときにオフにされてよい。第7のスイッチ513と第8のスイッチ514は、第2のタイミング信号がハイのときにオンにされ、ローのときにオフにされてよい。
【0075】
例えば、第1のタイミング信号がハイの期間φ1において、第3のキャパシタ512の一方を第2の積分部130の入力端子に接続し、他方を基準電位に接続して、入力端子からのアナログ信号AIN2を充電する。また、第2のタイミング信号がハイの期間φ2において、第3のキャパシタ512の一方を基準電位に接続し、他方を第1の切替スイッチ531に接続して、第1の切替スイッチ531がオンの場合には充電した電荷を第5の増幅器540に放電する。第3のキャパシタ512は、期間φ1及び期間φ2を繰り返して、充放電を繰り返す。
【0076】
第2のスイッチトキャパシタ回路520は、第1の積分部120の出力と第2の切替スイッチ532との間に接続され、第1のスイッチトキャパシタ回路510と並列に接続される。第2のスイッチトキャパシタ回路520は、第10のスイッチ521と、第11のスイッチ523と、第4のキャパシタ522と、第12のスイッチ524と、第13のスイッチ525とを有する。第10のスイッチ521は、第2の積分部130の入力端子と第4のキャパシタ522との間に接続される。第11のスイッチ523は、第10のスイッチ521と第4のキャパシタ522の間のノードと基準電位との間に接続される。第4のキャパシタ522は、第10のスイッチ521と第12のスイッチ524の間に接続される。第12のスイッチ524は、第2の切替スイッチ532と第4のキャパシタ522の間に接続される。第13のスイッチ525は、第12のスイッチ524と第4のキャパシタ522の間のノードと基準電位との間に接続される。
【0077】
第11のスイッチ523と第13のスイッチ525は、第1のタイミング信号がハイのときにオンにされ、ローのときにオフにされてよい。第10のスイッチ521と第12のスイッチ524は、第2のタイミング信号がハイのときにオンにされ、ローのときにオフにされてよい。
【0078】
例えば、第2のタイミング信号がハイの期間φ2において、第4のキャパシタ522の一方を第2の積分部130の入力端子に接続し、他方を第2の切替スイッチ532に接続して、第2の切替スイッチ532がオンである場合には、入力端子からのアナログ信号AIN2を遅延無しで第5の増幅器540に出力する。また、第1のタイミング信号がハイの期間φ1において、第4のキャパシタ522の両側を基準電位に接続して基準電位に電荷を放電する。第4のキャパシタ522は、期間φ1及び期間φ2を繰り返して、充放電を繰り返す。
【0079】
第1の切替スイッチ531は、第1のスイッチトキャパシタ回路510と第5の増幅器540の間に接続される。第1の切替スイッチ531は、制御回路180からの制御信号に応じてオン/オフされる。第1の切替スイッチ531は、第1の期間ではオンされ第2の期間ではオフされてよい。第2の切替スイッチ532は、第2のスイッチトキャパシタ回路520と第5の増幅器540の間に接続される。第2の切替スイッチ532は、制御回路180からの制御信号に応じてオン/オフされる。第2の切替スイッチ532は、第2の期間ではオンされ第1の期間ではオフされてよい。
【0080】
このように、制御回路180は、第1の期間では第1の切替スイッチ531をオンして第2の切替スイッチ532をオフして、第1のスイッチトキャパシタ回路510から放電することで、第1の積分部120からの信号AIN2を遅延させて出力してよい。制御回路180は、第2の期間では第2の切替スイッチ532をオンして第1の切替スイッチ531をオフして、第2のスイッチトキャパシタ回路520から放電することで、第2の期間では第1の積分部120からの信号AIN2を遅延させないで出力するように制御してよい。
【0081】
第5の増幅器540は、一方の入力端子(マイナス端子)に第1の切替スイッチ531及び第2の切替スイッチ532の一端が接続され、他方の入力端子(プラス端子)に基準電位が接続され、出力端子に第2の積分部130の出力端子が接続される。第2の帰還キャパシタ550は、第5の増幅器540の一方の入力端子(マイナス端子)と出力端子の間に接続される。第2の帰還キャパシタ550は、第5の増幅器540の一方の入力端子に入力する信号を蓄積する。第2のリセットスイッチ560は、第5の増幅器540の一方の入力端子(マイナス端子)と出力端子の間に接続され、第2の帰還キャパシタ550と並列に接続される。第2のリセットスイッチ560は、リセット信号に応じてオンされることにより、第2の帰還キャパシタ550に充電した電荷を放電し、第2の積分部130(第5の増幅器540)の出力を0Vにすることができる。
【0082】
第3の切替スイッチ571は、第5の増幅器540の一方の入力端子(マイナス端子)と第3のスイッチトキャパシタ回路580の間に接続される。第3の切替スイッチ571は、制御回路180からの制御信号に応じてオン/オフされる。第4の切替スイッチ572は、第5の増幅器540の出力端子と第3のスイッチトキャパシタ回路580の間に接続される。第4の切替スイッチ572は、制御回路180からの制御信号に応じてオン/オフされる。
【0083】
第3のスイッチトキャパシタ回路580は、第3の切替スイッチ571と第4の切替スイッチ572の間に接続され、第3の切替スイッチ571と第4の切替スイッチ572がオンされると、第2の帰還キャパシタ550と並列に接続される。第3のスイッチトキャパシタ回路580は、第14のスイッチ581と、第15のスイッチ583と、第5のキャパシタ582と、第16のスイッチ584と、第17のスイッチ585とを有する。
【0084】
第14のスイッチ581は、第5の増幅器540の一方の入力端子と第5のキャパシタ582との間に接続される。第15のスイッチ583は、第14のスイッチ581と第5のキャパシタ582の間のノードと基準電位との間に接続される。第5のキャパシタ582は、第14のスイッチ581と第16のスイッチ584の間に接続される。第16のスイッチ584は、第4の切替スイッチ572と第5のキャパシタ582の間に接続される。第17のスイッチ585は、第16のスイッチ584と第5のキャパシタ582の間のノードと基準電位との間に接続される。
【0085】
第15のスイッチ583と第16のスイッチ584は、第1のタイミング信号がハイのときにオンにされ、ローのときにオフにされてよい。第14のスイッチ581と第17のスイッチ585は、第2のタイミング信号がハイのときにオンにされ、ローのときにオフにされてよい。
【0086】
例えば、第3の切替スイッチ571及び第4の切替スイッチ572がオンである場合、第2のタイミング信号がハイの期間φ2において、第5のキャパシタ582の一方を第5の増幅器540の入力端子に接続し、他方を基準電位に接続し、第5の増幅器540に入力される信号を充電する。また、第1のタイミング信号がハイの期間φ1において、第5のキャパシタ582の一方を基準電位に接続して他方を第5の増幅器540の出力に接続して電荷を放電する。第5のキャパシタ582は、期間φ1及び期間φ2を繰り返して、充放電を繰り返す。
【0087】
例えば、第3の切替スイッチ571及び第4の切替スイッチ572は、制御信号により、第1の期間はオフされ、第2の期間はオンされる。第3の切替スイッチ571及び第4の切替スイッチ572がオフされて、第3のスイッチトキャパシタ回路580を第2の積分部130の帰還回路から切断すると、第2の積分部130は、積分動作(フィードバック係数1)を行い、第3の切替スイッチ571及び第4の切替スイッチ572がオンされて第3のスイッチトキャパシタ回路580を帰還回路に接続すると、第2の積分部130は、増幅動作(フィードバック係数>1)を行う。
【0088】
本実施形態のデルタシグマ変調器10は、第2の積分部130において、DA変換器170からのフィードバック信号AFBに応じた信号AIN2を、第1の積分部120を介して受信して積分動作を行うことができる。この際、第1の積分部120に入力されるときと実質的に同じゲインや誤差で第2の積分部130にフィードバック信号AFBに応じた信号AIN2を入力できるため、フィードバック信号AFBに対する追加の調整は不要である。また、本実施形態のデルタシグマ変調器10は、通常用いられるリセット回路190を用いて第2の積分部130における動作のための切り替えを行うことができるため、効率的である。従って、デルタシグマ変調器10は、複数の積分器に対して1つのみのDA変換器170を用いてフィードバックを行い、回路面積を小さくでき、信号の誤差等を低減できる。
【0089】
図6は、本実施形態に係るデルタシグマ変調器10の実回路の一例を示す。デルタシグマ変調器10は、
図1に示す加減算部110と、第1の積分部120と、第2の積分部130と、選択部140と、量子化器150と、DA変換器170と、制御回路180と、リセット回路190とを用いる。即ち、
図6に示すデルタシグマ変調器10は、加減算部110と、第1の積分部120と、第2の積分部130と、選択部140と、量子化器150と、DA変換器170と、制御回路180と、リセット回路190と、マルチプレクサ160とを備える。
図6に示すデルタシグマ変調器10において、
図1のデルタシグマ変調器10の構成と同様の構成は、
図1のデルタシグマ変調器10と同様の動作を行ってよく、以下、
図1のデルタシグマ変調器10と異なる点について主に述べる。
【0090】
加減算部110は、入力端子100と、第1の積分部120と、DA変換器170とに接続される。加減算部110は、入力端子100に入力されるアナログ信号AsigからDA変換器170が出力するフィードバック信号AFBを減算したアナログ信号AIN1を、第1の積分部120とマルチプレクサ600に出力する。
【0091】
第1の積分部120は、マルチプレクサ600に接続され、入力端子100に入力されるアナログ信号Asigを積分する。第1の積分部120は、アナログ信号Asigとフィードバンク信号AFBとの差分であるアナログ信号AIN1を積分し、アナログ信号Aout1をマルチプレクサ600に出力する。
【0092】
マルチプレクサ600は、第2の積分部130と選択部140とに接続され、加減算部110の出力したアナログ信号AIN1と第1の積分部120の出力したアナログ信号Aout1のどちらか1つを選択して、選択した信号AIN2を第2の積分部130と選択部140へ出力する。マルチプレクサ600は、制御回路180からの制御信号に応じて選択を切り替える。
【0093】
第2の積分部130は、選択部140に接続され、マルチプレクサ600が出力した信号AIN2を積分して、選択部140にアナログ信号Aout2を出力する。第2の積分部130は、アナログ積分器であってよい。
【0094】
選択部140は、入力端子100と量子化器150とに接続され、入力端子100に入力されるアナログ信号Asig,マルチプレクサ600が出力するアナログ信号AIN2,及び第2の積分部130が出力するアナログ信号Aout2の内少なくとも1つを選択して、選択した信号に応じたアナログ信号Asum2を出力する。
【0095】
制御回路180は、マルチプレクサ600と第2の積分部130と選択部140とに接続され、マルチプレクサ600及び第2の積分部130及び選択部140の動作を切り替える制御信号を出力する。制御回路180は、予め定められたタイミングで、マルチプレクサ600及び第2の積分部130及び選択部140の動作を切り替えて良い。制御回路180は、マルチプレクサ600と第2の積分部130と選択部140とに異なる制御信号を出力してよい。制御回路180は、マルチプレクサ600が、第1の期間では第1の積分器120が出力した信号を第2積分部130及び選択部140へ出力し、第2の期間では第1の積分部に入力されるアナログ信号(すなわち、加減算部110が出力した信号AIN1)を第2の積分部130及び選択部140へ出力するように、制御信号により制御する。これにより、制御回路180は、第1の期間ではDA変換器170が出力したフィードバック信号AFBを第1の積分部120を介して第2の積分部130へ出力するようにマルチプレクサ600を制御し、第2の期間においてDA変換器が出力したフィードバック信号AFBを第1の積分部120を介さずに第2の積分部130に出力するようにマルチプレクサ600を制御することができる。
【0096】
本実施形態のデルタシグマ変調器10は、第2の積分部130において、DA変換器170からのフィードバック信号AFBに応じた信号AIN2を、そのまま受信して積分動作を行う。また、得られる出力結果AOUT2も数12で示すような値が得られる。本実施形態は、DA変換器170からのフィードバック信号AFBに応じた信号AIN1が第1の積分部120に入力されるときと、信号AIN2が第2の積分部130に入力されるときとでゲイン調整が不要であるときに有効である。また、本実施形態のデルタシグマ変調器10は、リセット回路190に制御信号からの制御信号を必要とせず、論理が簡易的である。従って、本実施形態のデルタシグマ変調器10は、複数の積分器に対して1つのみのDA変換器170を用いてフィードバックを行い、回路面積を小さくでき、信号の誤差等を低減できる。
【0097】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0098】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0099】
10 デルタシグマ変調器
100 入力端子
110 加減算部
120 第1の積分部
130 第2の積分部
140 選択部
150 量子化器
170 DA変換器
180 制御回路
190リセット回路
200 第1の加算部
201 第1の切替部
205 第1の遅延素子
210 第1の増幅器
215 第1のマルチプレクサ
220 第2の遅延素子
225 第2のマルチプレクサ
203 第2の切替部
240 第2の加算部
245 第2の増幅器
250 第4のマルチプレクサ
255 第4の遅延素子
300 第2のスイッチ
310 第3のスイッチ
305 第1のキャパシタ
320 第4のスイッチ
315 第5のスイッチ
325 第4の増幅器
330 第1の帰還キャパシタ
335 第1のリセットスイッチ
510 第1のスイッチトキャパシタ回路
511 第6のスイッチ
513 第7のスイッチ
512 第3のキャパシタ
514 第8のスイッチ
515 第9のスイッチ
520 第2のスイッチトキャパシタ回路
521 第10のスイッチ
523 第11のスイッチ
522 第4のキャパシタ
524 第12のスイッチ
525 第13のスイッチ
531 第1の切替スイッチ
532 第2の切替スイッチ
540 第5の増幅器
550 第2の帰還キャパシタ
560 第2のリセットスイッチ
571 第3の切替スイッチ
572 第4の切替スイッチ
580 第3のスイッチトキャパシタ回路
581 第14のスイッチ
583 第15のスイッチ
582 第5のキャパシタ
584 第16のスイッチ
585 第17のスイッチ
600 マルチプレクサ