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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096340
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】ポンプシステム及びメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
F17C13/00 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212014
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】笠谷 哲司
(72)【発明者】
【氏名】本田 修一郎
(72)【発明者】
【氏名】石見 光隆
(72)【発明者】
【氏名】渡次 圭
(72)【発明者】
【氏名】菊池 日向
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172AB11
3E172AB15
3E172AB20
3E172BA06
3E172BD05
3E172CA01
3E172DA41
3E172DA90
3E172KA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コンテナからのガスの漏洩を遮断する。
【解決手段】中空のコラムと、当該コラムの上部に設けられたコンテナと、当該コラム内に設けられた液化ガスポンプと、当該液化ガスポンプの上部に接続されたケーブルと、当該コンテナ内に設けられた複数のインフレータブルバッグと、を備え、当該複数のインフレータブルバッグの内部にガスが供給されることによって当該コンテナ内に設けられた当該ケーブルの水平方向の周囲を密閉するように、当該インフレータブルバッグが構成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空のコラムと、
当該コラムの上部に設けられたコンテナと、
前記コラム内に設けられた液化ガスポンプと、
前記液化ガスポンプの上部に接続されたケーブルと、
前記コンテナ内に設けられた複数のインフレータブルバッグと、
を備え、
前記複数のインフレータブルバッグの内部にガスが供給されることによって前記コンテナ内に設けられた前記ケーブルの水平方向の周囲を密閉するように、前記インフレータブルバッグが構成されている
ポンプシステム。
【請求項2】
前記複数のインフレータブルバッグは第1のバッグと第2のバッグを有し、
前記第1のバッグと前記第2のバッグは前記ケーブルを挟んで対向する位置に設けられており、
前記第1のバッグと前記第2のバッグに緊急時にガスが供給されることによって前記コンテナ内に設けられた前記ケーブルを前記第1のバッグと前記第2のバッグで挟み込むことによって前記ケーブルの水平方向の周囲を密閉するように、前記第1のバッグと前記第2のバッグが構成されている
請求項1に記載のポンプシステム。
【請求項3】
中空のコラムと、
当該コラムの上部に設けられたコンテナと、
前記コラム内に設けられた液化ガスポンプと、
前記液化ガスポンプの上部に接続されたケーブルと、
前記コンテナ内に設けられたチョーク弁と、
を備え、
前記チョーク弁のバルブを絞ることによって前記コンテナ内に設けられた前記ケーブルの水平方向の周囲を密閉するように、前記チョーク弁が構成されている
ポンプシステム。
【請求項4】
前記コンテナの側面の一部には貫通孔が設けられており、
当該貫通孔を前記コンテナの内部から覆うグローブであって前記コンテナの外部から人の手が挿入可能なグローブが設けられている
請求項3に記載のポンプシステム。
【請求項5】
中空のコラムと、
当該コラムの上部に設けられたコンテナと、
前記コラム内に設けられた液化ガスポンプと、
前記液化ガスポンプの上部に接続されたケーブルと、
前記コンテナ内に設けられたインフレータブルバッグと、
を備えるポンプシステムをメンテナンスするメンテナンス方法であって、
前記コンテナ内に設けられた前記ケーブルの水平方向の周囲を密閉するように、前記インフレータブルバッグの内部にガスを供給する手順
を有するメンテナンス方法。
【請求項6】
中空のコラムと、
当該コラムの上部に設けられたコンテナと、
前記コラム内に設けられた液化ガスポンプと、
前記液化ガスポンプの上部に接続されたケーブルと、
前記コンテナ内に設けられたチョーク弁と、
を備えるポンプシステムをメンテナンスするメンテナンス方法であって、
前記コンテナ内に設けられた前記ケーブルの水平方向の周囲を密閉するように、前記チョーク弁のバルブを絞る手順
を有するメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプシステム及びメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液化ガスポンプのうち、従来の液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)ポンプではコラムトップのフランジの上に仮板を置いてLNGが外部に漏れてくることに対応していた(例えば特許文献1参照)。LNGが低温領域で空気よりも重いため、大気に放出されることはなかった。一方、水素、アンモニアなどの極低温流体の場合はガス化した気体の比重が空気よりも軽いため、水素またはアンモニアが放出される危険性がある。
【0003】
液化水素のメンテナンスの場合、液化水素に対して空気(主に酸素や窒素)は-253℃領域で液化および凝固する。空気が液化すると液体酸素が生じて爆発の危険、凝固すると窒素、酸素ともにポンプにダメージが考えられる。またアンモニアのメンテナンスの場合、アンモニアが外部に漏れだすと毒性があるため、人への健康被害が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-80801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メンテナンス時、極低温のポンプを引き上げた際またはポンプを据付の際に、空気の侵入や本液の外部への放出を避けるためには、バリアゾーンを形成するバッファコンテナ及びパージコンテナが必要である。しかしバリアゾーンを大気側と仕切るため、またはタンク側と仕切るために扉が必要となるが、扉が曲がったり凍結でヒンジが効かなくなったりした際、またはバリア用のガスがなんらかの影響で供給できないまたは効果的に供給できなくなった際、緊急的に各コンテナ(例えば、バッファコンテナまたはパージコンテナ)からのガスの漏洩を遮断する必要がある。しかし、ポンプ引抜用のワイヤが中心を貫通しているため、ガスの漏洩を遮断することが困難である。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、コンテナからのガスの漏洩を遮断することを可能とするポンプシステム及びメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係るポンプシステムは、中空のコラムと、当該コラムの上部に設けられたコンテナと、前記コラム内に設けられた液化ガスポンプと、前記液化ガスポンプの上部に接続されたケーブルと、前記コンテナ内に設けられた複数のインフレータブルバッグと、を備え、前記複数のインフレータブルバッグの内部にガスが供給されることによって前記コンテナ内に設けられた前記ケーブルの水平方向の周囲を密閉するように、前記インフレータブルバッグが構成されている。
【0008】
本発明の第2の態様に係るポンプシステムは、第1の態様に係るポンプシステムであって、前記複数のインフレータブルバッグは第1のバッグと第2のバッグを有し、前記第1のバッグと前記第2のバッグは前記ケーブルを挟んで対向する位置に設けられており、前記第1のバッグと前記第2のバッグに緊急時にガスが供給されることによって前記コンテナ内に設けられた前記ケーブルを前記第1のバッグと前記第2のバッグで挟み込むことによって前記ケーブルの水平方向の周囲を密閉するように、前記第1のバッグと前記第2のバッグが構成されていてもよい。
【0009】
本発明の第3の態様に係るポンプシステムは、中空のコラムと、当該コラムの上部に設けられたコンテナと、前記コラム内に設けられた液化ガスポンプと、前記液化ガスポンプの上部に接続されたケーブルと、前記コンテナ内に設けられたチョーク弁と、を備え、前記チョーク弁のバルブを絞ることによって前記コンテナ内に設けられた前記ケーブルの水平方向の周囲を密閉するように、前記チョーク弁が構成されている。
【0010】
本発明の第4の態様に係るポンプシステムは、第3の態様に係るポンプシステムであって、前記コンテナの側面の一部には貫通孔が設けられており、当該貫通孔を前記コンテナの内部から覆うグローブであって前記コンテナの外部から人の手が挿入可能なグローブが設けられていてもよい。
【0011】
本発明の第5の態様に係るメンテナンス方法は、中空のコラムと、当該コラムの上部に設けられたコンテナと、前記コラム内に設けられた液化ガスポンプと、前記液化ガスポンプの上部に接続されたケーブルと、前記コンテナ内に設けられたインフレータブルバッグと、を備えるポンプシステムをメンテナンスするメンテナンス方法であって、前記コンテナ内に設けられた前記ケーブルの水平方向の周囲を密閉するように、前記インフレータブルバッグの内部にガスを供給する手順を有する。
【0012】
本発明の第6の態様に係るメンテナンス方法は、中空のコラムと、当該コラムの上部に設けられたコンテナと、前記コラム内に設けられた液化ガスポンプと、前記液化ガスポンプの上部に接続されたケーブルと、前記コンテナ内に設けられたチョーク弁と、を備えるポンプシステムをメンテナンスするメンテナンス方法であって、前記コンテナ内に設けられた前記ケーブルの水平方向の周囲を密閉するように、前記チョーク弁のバルブを絞る手順を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、インフレータブルバッグにガスを供給することによって、コンテナ内に設けられたケーブルの水平方向の周囲を密閉することができるので、コラム内のガスまたはコンテナ内のガスの漏洩を遮断することができる。
また本発明の別態様によれば、チョーク弁のバルブを絞ることによって、コンテナ内に設けられたケーブルの水平方向の周囲を密閉することができるので、コラム内のガスまたはコンテナ内のガスの漏洩を遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係るポンプシステムの一部斜視図である。
図2A】バッファコンテナ12とパージコンテナ13の概略縦断面図である。
図2B図2AのA-A断面図である。
図3A】インフレータブルバッグ21、22がしぼんだ状態における概略縦断面図とB-B断面図である。
図3B】インフレータブルバッグ21、22が膨らんだ状態における概略縦断面図とC-C断面図である。
図4】液化ガスポンプの引き抜き工程の一例の一部を示す模式図である。
図5A】第2の実施形態に係るバッファコンテナ12とパージコンテナ13の概略縦断面図である
図5B図5AのD-D断面の一部を示す図である。
図6A】チョーク弁が閉まっている場合における概略縦断面図と当該概略縦断面図のE-E断面を示す図である。
図6B】チョーク弁が開いている場合における概略縦断面図と当該概略縦断面図のF-F断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0016】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るポンプシステムの一部斜視図である。図1に示すように、更にポンプシステム1は、液化ガスポンプPの周囲に設けられた中空のコラム11と、コラム11の上部に設けられた中空のバッファコンテナ12と、コラム11の上方に設けられ且つバッファコンテナ12の上部に設けられた中空のパージコンテナ13とを備える。ここで、バッファコンテナ12とパージコンテナ13を総称してコンテナともいい、このコンテナは液化ガスポンプの周囲に設けられた中空のコラムの上方に設けられる中空のものである。
各実施形態では、ガスの漏洩を防止する対象のコンテナを一例としてバッファコンテナとして説明するが、パージコンテナなどの他のコンテナにも適用可能である。
【0017】
本実施形態に係るポンプシステム1は、コラム11内に設けられた液化ガスポンプP(図4参照)を備える。ここで一態様の液化ガスポンプPは極低温液化ガス用ポンプであり、例えば液体水素・アンモニアポンプなどである。
【0018】
図2Aは、バッファコンテナ12とパージコンテナ13の概略縦断面図である。図2Bは、図2AのA-A断面図である。図2A及び図2Bに示すように、バッファコンテナ12には、バッファゾーンを構成するバッファ管23が設けられ、バッファ管23の内側面に例えば接着材などでインフレータブルバッグ21、22が固定されている。図2においては、インフレータブルバッグ21、22が膨らんだ場合が示されている。緊急時にヘリウムもしくは窒素ガスによりインフレータブルバッグ21、22を膨らませることで、部屋を隔離することが可能である。またバッファコンテナ12の中心にケーブル14(図4参照)が貫通していても、インフレータブルバッグ21、22がケーブル14の形状にあわせてケーブルの周囲を密閉することによって、シールすることができる。
【0019】
図3Aは、インフレータブルバッグ21、22がしぼんだ状態における概略縦断面図とB-B断面図である。図3Bは、インフレータブルバッグ21、22が膨らんだ状態における概略縦断面図とC-C断面図である。図3Aに示すように、インフレータブルバッグ21に一端が連通する吐出管31、真空ポンプ30、及び吐出管31の他端に一端が連通し他端が真空ポンプ30に連通する配管33が設けられている。これにより、インフレータブルバッグ21内のガス(例えば、ヘリウムもしくは窒素ガス)が、吐出管31、配管33を介して真空ポンプ30に吸い取られる。
【0020】
同様に図3Aに示すように、インフレータブルバッグ22に一端が連通する吐出管32、及び吐出管32の他端に一端が連通し他端が真空ポンプ30に連通する配管34が設けられている。これにより、インフレータブルバッグ22内のガス(例えば、ヘリウムもしくは窒素ガス)が、吐出管32、配管34を介して真空ポンプ30に吸い取られる。
【0021】
図3Bに示すように、インフレータブルバッグ21に一端が連通する供給管41が設けられている。これにより、供給管41の他端からガス(例えば、ヘリウムもしくは窒素ガス)が供給されることで、インフレータブルバッグ21が膨らむ。
同様に図3Bに示すように、インフレータブルバッグ22に一端が連通する供給管42が設けられている。これにより、供給管42の他端からガス(例えば、ヘリウムもしくは窒素ガス)が供給されることで、インフレータブルバッグ22が膨らむ。
【0022】
続いて図4を用いて、インフレータブルバッグ21、22を膨らませてバッファコンテナ12内のガスが外部に漏れることを防止する緊急遮断プロセスの一例について説明する。図4は、液化ガスポンプの引き抜き工程の一例の一部を示す模式図である。液化ガスポンプの引き抜き工程のうち次の時刻T1~T2の期間、時刻T3~T4の期間において、インフレータブルバッグ21、22が膨らんだ状態にすることによって、バッファコンテナ12内のガスが外部に漏れることを防ぐことができる。
【0023】
ここで液化ガスポンプPの上部に接続されたケーブル14が設けられており、このケーブル14がトッププレート55に接続されている。図4の時刻T1において、インフレータブルバッグ21、22の内部にガスが供給されることによってバッファコンテナ12内に設けられたケーブル14の水平方向の周囲を密閉するように、インフレータブルバッグ21、22が構成されている。
【0024】
また図4に示すように、インフレータブルバッグ21(第1のバックともいう)とインフレータブルバッグ22(第2のバッグともいう)はケーブル14を挟んで対向する位置に設けられている。インフレータブルバッグ21(第1のバック)とインフレータブルバッグ22(第2のバッグ)に緊急時にガスが供給されることによってバッファコンテナ12内に設けられたケーブル14をインフレータブルバッグ21(第1のバック)とインフレータブルバッグ22(第2のバッグ)で挟み込むことによってケーブル14の水平方向の周囲を密閉するように、インフレータブルバッグ21(第1のバック)とインフレータブルバッグ22(第2のバッグ)が構成されている。
【0025】
図4の時刻T1において、トッププレート55に取り付けられたスリングワイヤ56にホイストワイヤ18を接続し、ホイストドラム19によってホイストワイヤ18を巻き取ることによって、矢印A4に示すようにトッププレート55を持ち上げる。トッププレート55がバッファーロアープレート21a、21bより上方に持ち上げられたら、バッファーロアープレート21a、21bを閉じ、トッププレート55がコンテナロアープレート22a、22bより上方に持ち上げられたらコンテナロアープレート22a、22bを閉じる。
【0026】
図4の時刻T2において、扉23a、23bを開放してトッププレート55を取り出す。その後、扉23a、23bを閉じる。
【0027】
その後、時刻T3において、バッファーロアープレート21a、21bを開き、コンテナロアープレート22a、22bを開き、液化ガスポンプPを持ち上げる。また矢印A5に示すようにコラム11に連通するガス供給管52を介してガス(例えば水素)を供給し、矢印A6に示すようにバッファコンテナ12に連通するガス供給管54を介してガス(例えばヘリウム)を供給してパージする。
【0028】
図4の時刻T4において、液化ガスポンプPがバッファーロアープレート21a、21bより上方に持ち上がったらバッファーロアープレート21a、21bを閉じ、液化ガスポンプPがコンテナロアープレート22a、22bより上方に持ち上がったらコンテナロアープレート22a、22bを閉じる。
【0029】
第1の実施形態に係るポンプシステム1は、中空のコラム11と、当該コラム11の上部に設けられたバッファコンテナ12と、コラム11内に設けられた液化ガスポンプPと、前記液化ガスポンプPの上部に接続されたケーブル14と、バッファコンテナ12内に設けられたインフレータブルバッグ21、22と、を備える。インフレータブルバッグ21、22の内部にガスが供給されることによってバッファコンテナ12内に設けられたケーブル14の水平方向の周囲を密閉するように、インフレータブルバッグ21、22が構成されている。
【0030】
また第1の実施形態に係るポンプシステム1をメンテナンスするメンテナンス方法であって、バッファコンテナ12内に設けられたケーブル14の水平方向の周囲を密閉するように、インフレータブルバッグ21、22の内部にガスを供給する手順を有する。
【0031】
これにより、インフレータブルバッグ21、22にガスを供給することによって、バッファコンテナ12内に設けられたケーブル14の水平方向の周囲を密閉することができるので、コラム11内のガスまたはバッファコンテナ12内のガスの漏洩を遮断することができる。
【0032】
<第2の実施形態>
続いて第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、バッファコンテナ12内にインフレータブルバッグ21、22が設けられており、インフレータブルバッグ21、22の内部にガスが供給されることによってバッファコンテナ12内に設けられたケーブル14の水平方向の周囲を密閉するように、インフレータブルバッグ21、22が構成されている。
【0033】
一方、第2の実施形態では、図5Aに示すように、インフレータブルバッグ21、22に替えて、チョーク弁60がバッファコンテナ12内に設けられている。図5Aは、第2の実施形態に係るバッファコンテナ12とパージコンテナ13の概略縦断面図である。図5Bは、図5AのD-D断面の一部を示す図である。図5Aに示すように、チョーク弁60には、当該チョーク弁60の開閉を操作するためのレバー61が設けられている。
【0034】
図5Aに示すように、バッファコンテナ12の側面の一部には貫通孔62が設けられており、この貫通孔62をバッファコンテナ12の内部から覆うグローブ71であってバッファコンテナ12の外部から人の手が挿入可能なグローブ71が設けられている。これにより、バッファコンテナ12は、外気と遮断された状況下で作業が可能となるように内部に手だけが入れられるよう設計された密閉容器(いわゆるグローブボックス)として機能する。このグローブは例えばゴム手袋である。これにより、外部から手をグローブにはめて、外気と遮断された状況下でレバー61を操作することができるので、レバー61操作時にバッファコンテナ12内のガスが外部に漏れることを防ぐことができる。またバッファコンテナ12の側板12aは、外部からレバー61を視認可能なように透明性を有することが好ましい。
【0035】
緊急時にチョーク弁60を絞ることで、バッファコンテナ12及びコラム11を外部から隔離することが可能である。またバッファコンテナ12の内部中央にケーブル14(図4参照)が、ケーブル14の形状にあわせてケーブル14の周囲を密閉することによって、シールすることができる。
【0036】
図6Aは、チョーク弁が閉まっている場合における概略縦断面図と当該概略縦断面図のE-E断面を示す図である。図6Aに示すように、一例としてレバー61が矢印A11のように操作されることによって、チョーク弁60が閉まる。図6Bは、チョーク弁が開いている場合における概略縦断面図と当該概略縦断面図のF-F断面を示す図である。図6Bに示すように、一例としてレバー61が矢印A12のように操作されることによって、チョーク弁60が開く。
【0037】
なお、本実施形態では、バッファコンテナ12をグローブボックスとしたが、これに限らず、レバー61の位置を移動させる駆動機械またはロボットハンドをバッファコンテナ12内に設けて、リモートコントローラを用いて外部から駆動機械またはロボットハンドを遠隔操作してレバー61の位置を移動させるようにしてもよい。
【0038】
以上、第2の実施形態に係るポンプシステムは、中空のコラム11と、当該コラム11の上部に設けられたバッファコンテナ12と、前記コラム11内に設けられた液化ガスポンプPと、前記液化ガスポンプPの上部に接続されたケーブル14と、前記バッファコンテナ12内に設けられたチョーク弁60と、を備える。チョーク弁60のバルブを絞ることによってバッファコンテナ12内に設けられたケーブル14の水平方向の周囲を密閉するように、チョーク弁60が構成されている。
【0039】
また第2の実施形態に係るポンプシステム1をメンテナンスするメンテナンス方法であって、バッファコンテナ12内に設けられたケーブル14の水平方向の周囲を密閉するように、前記チョーク弁のバルブを絞る手順を有する。
【0040】
これにより、チョーク弁60のバルブを絞ることによって、バッファコンテナ12内に設けられたケーブル14の水平方向の周囲を密閉することができるので、コラム11内のガスまたはバッファコンテナ12内のガスの漏洩を遮断することができる。
【0041】
以上、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
なお、実施例では、コラム11の上部に設けられた中空のバッファコンテナ12と、コラム11の上方に設けられ且つバッファコンテナ12の上部に設けられた中空のパージコンテナ13とを備え、バッファコンテナ12にインフレータブルバッグ21やチョーク弁60が備えられているが、これに限らず、コラム11の上部に設けられ、中空で上下方向に開口のある角柱管内の所定の位置に、インフレータブルバッグ21やチョーク弁60を備えさせ、インフレータブルバッグ21やチョーク弁60よりも下側の空間を、バッファコンテナ12と名付け、インフレータブルバッグ21やチョーク弁60よりも上側の空間をパージコンテナ13と名付けても良い。すなわちバッファコンテナ12とパージコンテナ13は中空で上下方向に開口のある角柱管として一体に構成されたものとしてとらえても良い。
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 ポンプシステム
11 コラム
12 バッファコンテナ
12a 側板
13 パージコンテナ
14 ケーブル
18 ホイストワイヤ
19 ホイストドラム
21 インフレータブルバッグ
21a、21b バッファーロアープレート
22 インフレータブルバッグ
22a、22b コンテナロアープレート
23 バッファ管
23a、23b 扉
30 真空ポンプ
31、32 吐出管
33、34 配管
41、42 供給管
52、54 ガス供給管
55 トッププレート
56 スリングワイヤ
60 チョーク弁
61 レバー
62 貫通孔
71 グローブ
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B