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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096379
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/52 20060101AFI20230630BHJP
   B65D 75/36 20060101ALI20230630BHJP
   B65D 5/43 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
B65D5/52 H
B65D75/36
B65D5/43
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212091
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中馬 章孝
(72)【発明者】
【氏名】中野 稔之
【テーマコード(参考)】
3E060
3E067
【Fターム(参考)】
3E060AA13
3E060BA04
3E060CA02
3E060CB06
3E060CB16
3E060CC02
3E060CC18
3E060CC43
3E060CC44
3E060CE14
3E060DA14
3E060DA15
3E060EA06
3E060EA14
3E067AA16
3E067AB81
3E067AB83
3E067AC01
3E067BA25A
3E067BB01A
3E067EA04
3E067EB02
3E067FA01
3E067FC04
(57)【要約】
【課題】包装箱が落下などした際に物品に作用する衝撃を和らげることができる包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1は、一枚の紙製シートにより形成されており、包装箱1は、物品100を収容可能な筒状の箱本体2であって、該箱本体2の下端縁よりも上方でありかつ周方向の一部分に物品100の一部分を露出可能な窓孔22が形成された箱本体2と、物品100が窓孔22の下端縁よりも上方に位置するように物品100を下方から支持する支持手段5と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を包装するための包装箱であって、
該包装箱は、一枚の紙製シートにより形成されており、
該包装箱は、
物品を収容可能な筒状の箱本体であって、該箱本体の下端縁よりも上方でありかつ周方向の一部分に前記物品の一部分を露出可能な窓孔が形成された箱本体と、
前記物品が前記窓孔の下端縁よりも上方に位置するように前記物品を下方から支持する支持手段と、
を備える、包装箱。
【請求項2】
前記支持手段は、前記箱本体の下端縁に連接された主支持板であって、前記箱本体の内側に折り返されて先端縁が前記窓孔の下端縁よりも上方に位置する主支持板を少なくとも一つ含む、請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記主支持板は、前記窓孔の下方において前記箱本体の下端縁に連接され、
前記支持手段は、前記窓孔の下端縁から上方に突き出るように前記箱本体に連接された補強板であって、前記主支持板の外側に配置される補強板をさらに含む、請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記補強板の上端縁は前記主支持板の先端縁と同じ高さに位置する、請求項3に記載の包装箱。
【請求項5】
前記主支持板及び前記補強板は、横幅方向の中央部が前記箱本体に連接されており、
前記主支持板及び前記補強板の前記中央部を間に挟む左右の側部は、前記中央部に対して内側に折り曲げ可能である、請求項3又は4に記載の包装箱。
【請求項6】
前記支持手段は、前記箱本体の前記主支持板と対向する位置に内側に変位可能に連接された副支持板であって、上端縁が前記窓孔の下端縁よりも上方に位置する副支持板をさらに含む、請求項3から5のいずれか一項に記載の包装箱。
【請求項7】
前記副支持板の上端縁は前記主支持板の先端縁よりも下方に位置する、請求項6に記載の包装箱。
【請求項8】
前記副支持板は、左右に分割された一対の支持片からなり、それぞれの前記支持片が前記箱本体に内側に変位可能に連接されている、請求項6又は7に記載の包装箱。
【請求項9】
前記補強板の左右の側縁は、下端縁との境界に前記補強板の横幅方向外側に突き出る湾曲部を含む請求項3から8のいずれか一項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、物品を包装するための包装箱に関し、特に物品を外部から視認可能な態様で包装するための包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
物品の包装方法としてブリスター包装及びシュリンク包装などが従来から知られている。ブリスター包装は、物品を合成樹脂製の透明なブリスター容器に収容し、ブリスター容器の物品を収容した空間を台紙で閉じることで、物品を包装する方法である(例えば特許文献1を参照)。シュリンク包装は、合成樹脂製の透明なシュリンクフィルムが筒状とされた状態で台紙に接着剤により取り付けられており、筒状のシュリンクフィルムに物品を挿入して熱を加えることで、熱収縮したシュリンクフィルムで物品を包装する方法である(例えば特許文献2を参照)。ブリスター包装及びシュリンク包装は、包装した物品を外部から視認することができるため、消費者の購買意欲を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-6440号公報
【特許文献2】登録実用新案第3059378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、エコロジーの観点から環境に配慮して、合成樹脂製のブリスター容器やシュリンクフィルムを用いずに紙だけで物品を包装する取り組みが行われている。しかし、紙製の包装箱内に物品を収容しただけの包装方法では、中身の物品を外部から視認することができない。また、包装箱に窓孔などを形成することで中身の物品を視認可能にはできるが、包装箱の底に単に物品が載置されているだけであると、包装箱を落とした際に落下衝撃が物品に直接作用して物品が損傷する危険性が高い。物品に作用する落下衝撃を和らげるために、包装箱の底の上に緩衝材を設けたり、包装箱の底と物品の間に空間を形成するための部材を設けたりすると、包装箱の製造に手間がかかるうえ、製造コストがアップする。
【0005】
本開示は、上記課題に着目し、一枚の紙製シートで形成することが可能でありかつ包装した物品を外部から視認することができる包装箱であって、包装箱が落下などした際に物品に作用する衝撃を和らげることができる包装箱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、物品を包装するための包装箱に関する。本開示の包装箱は、一枚の紙製シートにより形成されており、該包装箱は、物品を収容可能な筒状の箱本体であって、該箱本体の下端縁よりも上方でありかつ周方向の一部分に前記物品の一部分を露出可能な窓孔が形成された箱本体と、前記箱本体に連接された支持手段であって、前記物品が前記窓孔の下端縁よりも上方に位置するように前記物品を下方から支持する支持手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0007】
本開示の包装箱において好ましくは、前記支持手段は、前記箱本体の下端縁に連接された主支持板であって、前記箱本体の内側に折り返されて先端縁が前記窓孔の下端縁よりも上方に位置する主支持板を少なくとも一つ含む、ことを特徴とするように構成することができる。
【0008】
また本開示の包装箱において好ましくは、前記主支持板は、前記窓孔の下方において前記箱本体の下端縁に連接され、前記支持手段は、前記窓孔の下端縁から上方に突き出るように前記箱本体に連接された補強板であって、前記主支持板の外側に配置される補強板をさらに含む、ことを特徴とするように構成することができる。
【0009】
また本開示の包装箱において好ましくは、前記補強板の上端縁は前記主支持板の先端縁と同じ高さに位置する、ことを特徴とするように構成することができる。
【0010】
また本開示の包装箱において好ましくは、前記主支持板及び前記補強板は、横幅方向の中央部が前記箱本体に連接されており、前記主支持板及び前記補強板の前記中央部を間に挟む左右の側部は、前記中央部に対して内側に折り曲げ可能である、ことを特徴とするように構成することができる。
【0011】
また本開示の包装箱において好ましくは、前記支持手段は、前記箱本体の前記主支持板と対向する位置に内側に変位可能に連接された副支持板であって、上端縁が前記窓孔の下端縁よりも上方に突き出る副支持板をさらに含む、ことを特徴とするように構成することができる。
【0012】
また本開示の包装箱において好ましくは、前記副支持板の上端縁は前記主支持板の先端縁よりも下方に位置する、ことを特徴とするように構成することができる。
【0013】
また本開示の包装箱において好ましくは、前記副支持板は、左右に分割された一対の支持片からなり、それぞれの前記支持片が前記箱本体に内側に変位可能に連接されている、ことを特徴とするように構成することができる。
【0014】
また本開示の包装箱において好ましくは、前記補強板の左右の側縁は下端縁との境界に前記補強板の横幅方向外側に突き出る湾曲部を含む、ことを特徴とするように構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示の包装箱によれば、包装箱が落下などした際に物品に作用する衝撃を和らげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の実施形態の包装箱において、物品を包装した状態の正面図である。
図2】本開示の実施形態の包装箱において、物品を包装した状態の背面図である。
図3】本開示の実施形態の包装箱において、物品を包装した状態の底面図である。
図4図1のA-A断面図である。
図5】本開示の実施形態の包装箱において、物品を包装しかつカバーを閉じる前の状態の背面図である。
図6図5のB-B断面図である。
図7】本開示の実施形態の包装箱において、カバーを閉じる前かつ主支持板を折り曲げる前の状態の正面図である。
図8】本開示の実施形態の包装箱において、カバーを閉じる前かつ主支持板を折り曲げる前の状態の背面図である。
図9図7のC-C断面図である。
図10】本開示の実施形態の包装箱において、物品を包装しかつカバーを閉じる状態の背面図である。
図11】本開示の実施形態の包装箱において、支持手段が物品からの衝撃を受けた状態の正面図である。
図12】本開示の実施形態の包装箱において、支持手段が物品からの衝撃を受けた状態の底面図である。
図13図11のD-D断面図である。
図14】本開示の実施形態の包装箱を形成するための紙製シートの平面図である。
図15】本開示の変形例の包装箱の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の包装箱は、物品を外部から視認可能な態様で包装するための箱であり、1枚の紙製シートで形成することが可能である。本開示の包装箱は、陳列棚、ショーケースなどに載置して物品を展示したり、壁、吊り下げラック、吊り下げ棚などに吊り下げて物品を展示することを目的に使用される。本開示の包装箱により包装される物品の種別や形状は特に限定されず、以下に示す実施形態では、物品は、例えば医薬品、医薬部外品、化粧品を収容した略円柱型の容器である。
【0018】
以下、本開示の包装箱の実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、本開示では、包装箱の使用時における物品の展示側を正面側(前側)、その反対側を背面側(後ろ側)とし、上下方向を縦幅(高さ)方向とし、左右方向を横幅方向とする。また、包装箱の周囲の方向を周方向とする。
【0019】
包装箱の全体構成
図1から図4は、本開示の一実施形態に係る包装箱1で物品100を包装した状態を示す。図5及び図6は、包装箱1のカバー3を閉じる前の状態を示す。図7から図9は、包装箱1の単独の状態を示す。
【0020】
包装箱1は、図1から図9に示すように、物品100を収容可能な筒状の箱本体2を備える。箱本体2は、上端及び下端に開口を有しており、上側の開口(以下、「上部開口20」という。)を通して箱本体2内に物品100を出し入れすることができる。箱本体2の下端縁よりも上方でありかつ周方向の一部分には、物品100の一部分を露出可能な窓孔22が形成されている。包装箱1に包装された物品100は、窓孔22を通して外部から視認することができる。箱本体2の上端縁よりも下方でありかつ周方向の一部分には、周方向に延びる封緘用の切込み23が形成されている。
【0021】
包装箱1は、図2、及び図4から図9に示すように、箱本体2の上部開口20を覆うカバー3を備える。カバー3は、箱本体2の上端縁に折り曲げ可能に連接されている。カバー3の少なくとも一部分によって箱本体2の上部開口20が覆われることで、箱本体2の上部開口20が閉鎖され、物品100の出し入れを規制することができる。
【0022】
なお、本開示において「折り曲げ可能に連接されている」とは、罫線(折り目)により容易に折り曲げが可能とされた状態で連接されていることを意味し、罫線としては種々の公知の折り曲げを容易にする線(切罫(ハーフカット線)、折罫、ミシン罫(ミシン目)、リード罫など)を用いることができる。
【0023】
包装箱1は、図2、及び図4から図9に示すように、カバー3の先端縁に折り曲げ可能に連接された差込片4を備える。差込片4は、箱本体2に形成された封緘用の切込み23に上方から差し込まれる。切込み23及び差込片4は、差込片4が切込み23から抜け出ることが抑制されるように形成されている。具体的には、差込片4が切込み23の左右の両端部又は左右いずれかの一端部において箱本体2と係合して切込み23から抜け出るのが抑制されるため、差込片4を切込み23から無理に抜き出すと、差込片4及び/又は箱本体2の切込み23の近傍部分が破損してその痕跡が残るように形成されている。包装箱1が展示されて、多数の消費者が包装箱1に接触する機会のある場合には、正規の開封手段によらずに包装箱1が不正に開封される可能性がある。そのため、差込片4によって包装箱1が不正に開封されることを防止できるとともに、包装箱1が不正に開封された際に不正開封を容易に確認することができる。
【0024】
包装箱1は、図1から図9に示すように、箱本体2内の物品100を下方から支持する支持手段5を備える。支持手段5は、箱本体2の適当な位置(詳細は後述する)において箱本体2に連接されている。支持手段5によって物品100が箱本体2の下端縁から浮いた位置で支えられていることで、物品100が箱本体2の下側の開口(以下、「下部開口21」という。)から抜け落ちることを防止できるとともに、包装箱1を強く置いたり落としたりした際の衝撃が物品100に直接作用することが防止されるため、物品100が損傷する危険性を低減することができる。
【0025】
包装箱1は、本実施形態では、図14に示す一枚の紙製シート12で形成される。紙製シート12は、例えば可撓性を有する厚紙など、各種公知の紙製シートを用いることができる。紙製シート12を用いて包装箱1を組み立てる手順については後述する。
【0026】
以下、包装箱1の各構成部材の形状などについて詳細に説明する。
【0027】
箱本体
図1から図9に示すように、箱本体2は、特に限定されないが、本実施形態では、外形が略矩形状、例えば縦長の略長方形状の互いに対向する正面板6及び背面板7が、両側が鋭角の略楕円筒状に連なることで形作られている。正面板6の左右の側縁62,63の一方の側縁(図1及び図3で右側の側縁)63に背面板7が連接されている。正面板6の左右の側縁62,63の他方の側縁(図1及び図3で左側の側縁)62には連結板8が連接されている。連結板8が背面板7の内面に接着剤や両面テープなどによって固着されることで、正面板6及び背面板7が略楕円筒状に連なる。
【0028】
正面板6の上端縁60及び下端縁61は、横幅方向に直線状に延びている。正面板6の下端縁61の近傍には、上述した窓孔22が形成されている。正面板6の上端縁60の近傍には、円形状の貫通孔24が形成されている。窓孔22及び貫通孔24は、正面板6の横幅方向の中央に位置している。窓孔22は、包装箱1に包装された物品100を外部から視認可能とするものである。貫通孔24は、壁、吊り下げラック、吊り下げ棚などに設置されたフックが挿し通されることで、包装箱1を吊り下げて展示するためのものである。
【0029】
窓孔22の外形は、概ね物品100の外形に近い形状であり、本実施形態では、縦長の略長方形状であって、窓孔22の上部が上方に向かって凸をなして湾曲している。窓孔22の大きさは、物品100の正面視における大きさよりも一回り小さい。これにより、包装箱1に包装された物品100は、正面板6の窓孔22の周囲の部分によって前方から支持され、物品100が窓孔22から前方に落下することを防止することができる。
【0030】
なお、正面板6には、窓孔22を覆うように無色透明又は有色透明の可撓性のプラスチックフィルム(図示せず)が貼り付けられていてもよい。このプラスチックフィルムは、包装箱1を形成するのに必要な構成部材ではなく、包装箱1にプラスチックフィルムが外的に付加されているからといって、包装箱1が一枚の紙製シートにより形成されていないというわけではない。
【0031】
正面板6の上端縁60にはカバー3が折り曲げ可能に連接されている。カバー3は背面板7の外面に被さるように折り曲げ可能である。カバー3の詳細については後述する。また正面板6の下端縁61には窓孔22の下方位置に支持手段5を構成する主支持板50が折り曲げ可能に連接されている。主支持板50は、箱本体2の内側に折り曲げ可能である。また正面板6において、窓孔22を形作る開口縁の下端縁64には支持手段5を構成する補強板51が折り曲げ可能に連接されている。主支持板50及び補強板51の詳細については後述する。また正面板6において、窓孔22を形作る開口縁の左右の側縁の一方(図7では右側)の側縁65には当接フラップ9が折り曲げ可能に連接されている。当接フラップ9は、箱本体2の内側に折り曲げ可能であり、包装箱1に包装された物品100の側面に当たって接触している。なお、当接フラップ9は、必ずしも箱本体2に連接されている必要はない。
【0032】
背面板7は、正面板6と横幅及び縦幅が同じである。背面板7の上端縁70は、略V字状を呈しており、中央が左右の両端よりも下方に位置している。また、背面板7の上端縁70が正面板6の貫通孔24と重ならずにこれを避けるように、上端縁70の中央部が下方に向かって凸に湾曲している。これにより、正面板6の貫通孔24は、背面板7の上端縁70の中央部の上方に位置している。
【0033】
背面板7の上端縁70の近傍には、上述した封緘用の切込み23が形成されている。切込み23は、背面板7の横幅方向の中央に位置するとともに、カバー3を閉じて箱本体2の上部開口20を塞いだ際に、カバー3の先端縁に連接された差込片4を差し込み可能な位置に形成されている。切込み23は、背面板7の横幅方向に沿って延びている。切込み23は、特に限定されないが、本実施形態では、左右対称であり、中央部は上方に向かって凸をなして湾曲しており、左右の両端側は段差230ができるように屈曲している。
【0034】
背面板7には、切込み23の左右の段差230付近を始点として互いに平行に縦幅方向に延びる一対のミシン罫(ミシン目)25が形成されている。背面板7の一対のミシン目25の終端の間には折り目26が形成されている。背面板7は、切込み23、一対のミシン目25及び折り目26で囲まれた部分が正規の開封手段としての開封片10を構成している。開封片10を一対のミシン目25に沿って背面板7から切り離すことによって、切込み23に差し込まれている差込片4を切込み23で拘束されない状態とすることができ、これによりカバー3を開いて包装箱1を開封することができる。開封片10には、横幅方向に直線状に延びる折り目27が形成されており、折り目27よりも上方のつまみ11を持つことで、容易に開封片10を背面板7から切り離すことができる。
【0035】
なお、切込み23の形状は、切込み23に差し込まれた差込片4が切込み23から容易に抜け出ることができなければ、種々の形状とすることができ、差込片4の形状に合わせて所望の形状とすることができる。
【0036】
背面板7の下端縁71の近傍には、Ω字状を呈する切込み28が形成されている。切込み28は、背面板7の横幅方向の中央に位置している。切込み28は、背面板7の横幅方向に直線状に延びる中央部と、中央部の左右の両端から下方に延びる一対の鉛直部と、一対の鉛直部の下端から左右反対方向に延びる一対の側部とで構成されている。背面板7には、切込み28の一対の側部の終端を始点として互いに平行に縦幅方向に背面板7の下端縁71まで延びる一対の折り目29が形成されている。背面板7には、この切込み28により、支持手段5を構成する副支持板52が、背面板7の一対の折り目29の位置において、背面板7の内側に変位可能に連接されている。副支持板52の詳細については後述する。
【0037】
カバー
図2図4から図9に示すように、カバー3は、箱本体2の上端縁、本実施形態では正面板6の上端縁60に折り曲げ可能に連接されており、背面板7の外面に折り重なることで、箱本体2の上部開口20を塞ぐ。カバー3には、横幅方向の中央位置であって正面板6の貫通孔24と重複する位置に、円形状の貫通孔30が形成されている。貫通孔30は、貫通孔24と同様、壁、吊り下げラック、吊り下げ棚などに設置されたフックを挿し通すためのものである。
【0038】
カバー3の先端縁31は、中央部と、中央部を間に挟む左右の側部とで構成されている。カバー3の先端縁31の左右の側部は、カバー3の左右の側縁32,33から箱本体2の正面板6の上端縁60と反対側(図2では下側)に向かって傾斜している。またカバー3の先端縁31の中央部は箱本体2の正面板6の上端縁60と反対側(図2では下側)に凸をなして突き出ており、先端縁31の中央部に折り目34を介して差込片4が折り曲げ可能に連接されている。
【0039】
カバー3には、横幅方向に沿ってカバー3を横断するように延びる折り目35が形成されている。カバー3は折り目35を境界にして下部37を上部36に対して箱本体2の背面板7側に折り曲げ可能である。折り目35は、特に限定されないが、本実施形態では、カバー3の左右の側縁32,33と先端縁31との境界を両端として、正面板6の上端縁60の方向(図2では上方)に向かって凸をなして湾曲している。
【0040】
カバー3に連接された差込片4を箱本体2の背面板7に形成された切込み23に差し込む際、図10に示すように、カバー3の下部37を上部36に対して折り曲げることで、切込み23の上方で差込片4の向きを鉛直下向きにすることができる。これにより、カバー3に連接された差込片4を箱本体2の背面板7に沿わせながらカバー3を押し下げることで、差込片4を箱本体2の背面板7に形成された切込み23に対して容易に上方から差し込むことができる。
【0041】
なお、折り目35の形状は、カバー3に連接された差込片4を箱本体2の背面板7に形成された切込み23に対して容易に上方から差し込むことができれば、種々の形状とすることができる。また、折り目35は必ずしもカバー3に形成されている必要はない。
【0042】
差込片
図2、及び図4から図9に示すように、差込片4は、箱本体2(正面板6及び背面板7)の横幅よりも小さい横幅に形成されている。差込片4は、山形状を呈しており、横幅方向の大きさが先端に向かうに連れて小さくなるように先細っている。差込片4は、本実施形態では、先端に向かって緩やかに先細る略弓形状を呈している。差込片4の中央部40がカバー3の先端縁31の中央部に折り曲げ可能に連接されており、差込片4の左右の側部41,42はカバー3の先端縁31との間に隙間が存在している。差込片4は、特に限定されないが、本実施形態では左右対称に形成されている。差込片4を箱本体2の背面板7に形成された切込み23に差し込んだ際に、差込片4の中央部40が切込み23の左右両端側の段差230の間に配置され、差込片4の左右の側部41,42が切込み23のそれぞれの段差230の下方に配置されるように、差込片4の大きさが設定されている。これにより、差込片4の左右の側部41,42が切込み23の両段差230の位置において箱本体2の背面板7と係合するため、差込片4を切込み23から抜け出し難くすることができる。
【0043】
なお、差込片4の形状及び大きさは、特に限定されず、差込片4が切込み23から簡単に抜け出なることがないように、切込み23の形状及び長さ(横幅方向の大きさ)とともに適宜設計変更すればよい。
【0044】
支持手段
図1から図9に示すように、支持手段5は、箱本体2内の物品100を下方から支持して、物品100が箱本体2の下部開口21から抜け出ることを防止する。また支持手段5は、箱本体2内の物品100の底101が箱本体2の下端縁(正面板6の下端縁61及び背面板7の下端縁71)よりも上方に位置するように物品100を下方から支持する。これにより、包装箱1を強く置いたり落としたりした際の衝撃が物品100に直接作用することを防止できるため、物品100の破損を抑制できる。また支持手段5は、箱本体2内の物品100の底101が窓孔22の下端縁よりも上方に位置するように物品100を下方から支持する。これにより、物品100の底101が箱本体2の窓孔22を形作る開口縁の下端縁64と接触することを抑制する。物品100の底101が箱本体2の前記開口縁の下端縁64と接触していると、包装箱1を強く置いたり落としたりした際に、箱本体2は物品100からの衝撃により前記開口縁の下端縁64に下向きの応力が作用し、当該開口縁の下端縁64において破れやすい。支持手段5により、物品100の底101が箱本体2の前記開口縁の下端縁64と接触することなく物品100を下方から支持することで、包装箱1を強く置いたり落としたりした際に、箱本体2を前記開口縁の下端縁64において破れ難くすることができる。
【0045】
主支持板
支持手段5は、箱本体2の下端縁、本実施形態では正面板6の下端縁61に折り曲げ可能に連接された主支持板50を含む。主支持板50は、箱本体2の正面板6の内側に折り返されており、主支持板50の先端縁53が上向きとなるように正面板6の内面側に配置されている。主支持板50は、特に限定されないが、本実施形態では、窓孔22の下方において箱本体2の正面板6の下端縁61に折り曲げ可能に連接されている。
【0046】
主支持板50の先端縁53は、横幅方向に直線状に延びており、箱本体2の窓孔22の下端縁よりも上方に位置している。つまり、箱本体2の正面板6の下端縁61から主支持板50の先端縁53までの距離(図7に示す距離L2)が、箱本体2の正面板6の下端縁61から窓孔22の下端縁(窓孔22を形作る開口縁の下端縁64)までの距離(図7に示す距離L1)よりも大きい。これにより、箱本体2内の物品100を主支持板50により下方から支持した際に、物品100の底101が箱本体2の窓孔22を形作る開口縁の下端縁64に接触しないようにすることができる。なお、本実施形態では、物品100の底面は凹状にへこむことで中央部が底上げされており、物品100は、最も下に位置する環状の底101の内側に凹部102が設けられている。物品100は、この凹部102の天面に主支持板50の先端縁53が下から突き当たることで、主支持板50に下方から支持される。そのため、主支持板50は、先端縁53が凹部102の天面に突き当たったときに物品100の底101が箱本体2の窓孔22を形作る開口縁の下端縁64よりも上方に位置するように、前記距離L2が設定されている。
【0047】
主支持板50は、特に限定されないが、本実施形態では、箱本体2の正面板6の下端縁61に折り曲げ可能に連接される連結部54と、連結部54に一体形成される本体部55とを含む。連結部54は、高さの小さい横長の長方形状を呈し、本体部55は、連結部54よりも横幅及び高さが大きく、箱本体2の正面板6よりも横幅が小さく形成されている。本体部55は、中央部55Aが連結部54を介して箱本体2の正面板6の下端縁61に連接され、中央部55Aを間に挟む左右の側部55B,55Cは箱本体2の正面板6の下端縁61との間に隙間が存在している。これにより、本体部55の左右の側部55B,55Cは中央部55Aに対して内側に折り曲げ可能である。主支持板50は、本体部55の左右の側部55B,55Cが中央部55Aに対して内側に折り曲がることにより、本体部55が物品100の底101の内側にある凹部102の周方向に沿いながら広範囲で物品100を下方から支持することができる。よって、主支持板50により物品100をしっかりと支持することができる。
【0048】
補強板
支持手段5は、箱本体2の窓孔22の下端縁から上方に突き出るように箱本体2に連接された補強板51を含む。具体的に、補強板51は、箱本体2の窓孔22を形作る開口縁の下端縁64に連接されている。補強板51は、上端縁56が上向きとなるように箱本体2の窓孔22内に配置されており、主支持板50の外側に配置されている。補強板51の上端縁56は、横幅方向に直線状に延びており、箱本体2の窓孔22の下端縁よりも上方に位置する。これにより、箱本体2内の物品100を補強板51により下方から支持した際に、物品100の底101が箱本体2の窓孔22を形作る開口縁の下端縁64に接触しないようにすることができる。なお、本実施形態では、物品100の底面は凹状にへこむことで中央部が底上げされており、物品100は、最も下に位置する環状の底101の内側に凹部102が設けられている。物品100は、この凹部102の天面に補強板51の上端縁56が下から突き当たることで、補強板51に下方から支持される。そのため、補強板51は、上端縁56が凹部102の天面に突き当たったときに物品100の底101が箱本体2の窓孔22を形作る開口縁の下端縁64よりも上方に位置するように、箱本体2の正面板6の下端縁61から補強板51の上端縁56までの距離(図7に示す距離L3)が設定されている。
【0049】
補強板51の上端縁56は、特に限定されないが、本実施形態では主支持板50の先端縁53と同じ高さに位置する。つまり、図7に示す距離L3が図7に示す距離L2と同じ長さである。そのため、図4に示すように、支持手段5により箱本体2内の物品100を下方から支持する際には、通常は、主支持板50の先端縁53及び補強板51の上端縁56がともに物品100の凹部102の天面に突き当たり、主支持板50及び補強板51が物品100を下方から支持する。包装箱1を強く置いたり落としたりした際には、箱本体2内の物品100を支持する主支持板50に上方の物品100からの衝撃が加わるが、このときに補強板51が主支持板50を補強して物品100を主支持板50とともに支持する。これにより、包装箱1を強く置いたり落としたりして主支持板50及び補強板51が箱本体2内の物品100からの衝撃を受けても、主支持板50及び補強板51は物品100に押しつぶされずに物品100をしっかりと支持することができるため、物品100の底101が箱本体2の窓孔22を形作る開口縁の下端縁64と接触することを効果的に抑制できる。よって、包装箱1を強く置いたり落としたりした際に、箱本体2が前記開口縁の下端縁64において破れることを効果的に抑制できる。
【0050】
補強板51は、特に限定されないが、本実施形態では、補強板51の下端縁57の中央部51Aが箱本体2の正面板6に連接され、中央部51Aを間に挟む左右の側部51B,51Cは正面板6に連接されていない。そのため、補強板51の左右の側部51B,51Cは、中央部51Aに対して内側に折り曲げ可能である。補強板51は、左右の側部51B,51Cが中央部51Aに対して内側に折り曲がることにより、補強板51が物品100の底101の内側にある凹部102の周方向に沿いながら広範囲で物品100を下方から支持することができる。よって、補強板51により物品100をしっかりと支持することができる。
【0051】
補強板51の左右の側縁は、特に限定されないが、本実施形態では、補強板51の下端縁57との境界に、例えば円弧状をなして補強板51の横幅方向外側に突き出る湾曲部58を含んでいる。湾曲部58は、本実施形態のように凸状をなして湾曲していてもよいし、凹状に湾曲していてもよい。上述したように、包装箱1を強く置いたり落としたりした際には、物品100からの衝撃が主支持板50に作用し、補強板51が主支持板50とともに物品100を支持する。補強板51が物品100を支持する際に、図11に示すように、補強板51は左右の湾曲部58が物品100の底101を受け止めるとともに、物品100からの衝撃を分散させる。これにより、包装箱1を強く置いたり落としたりして主支持板50が衝撃を受けても、箱本体2内の物品100を主支持板50とともに補強板51によりしっかりと支持することができるため、物品100の底101が箱本体2の窓孔22を形作る開口縁の下端縁64と接触することを効果的に抑制できる。よって、包装箱1を強く置いたり落としたりした際に、箱本体2が前記開口縁の下端縁64において破れることを効果的に抑制できる。
【0052】
副支持板
支持手段5は、箱本体2の主支持板50と対向する位置に折り曲げ可能に連接された副支持板52を含む。副支持板52は、特に限定されないが、本実施形態では箱本体2の背面板7の横幅方向の中央に位置する。副支持板52は、背面板7に形成された切込み28及び一対の折り目29により背面板7の下部に形作られており、副支持板52の下端縁は背面板7の下端縁71と直線状をなしている。副支持板52は、背面板7の一対の折り目29で背面板7に連接されており、一対の折り目29で折り曲げることで背面板7の内側に変位可能である。
【0053】
副支持板52の上端縁59は、横幅方向に直線状に延びており、箱本体2の窓孔22の下端縁よりも上方に位置している。つまり、箱本体2の背面板7の下端縁71から副支持板52の上端縁59までの距離(図8に示す距離L4)が、図7に示す距離L1よりも大きい。これにより、箱本体2内の物品100を副支持板52により下方から支持した際に、物品100の底101が箱本体2の窓孔22を形作る開口縁の下端縁64に接触しないようにすることができる。なお、本実施形態では、物品100の底面は凹状にへこむことで中央部が底上げされており、物品100は、最も下に位置する環状の底101の内側に凹部102が設けられている。物品100は、この凹部102の天面に副支持板52の上端縁59が下から突き当たることで、副支持板52に下方から支持される。そのため、副支持板52は、上端縁59が凹部102の天面に突き当たったときに物品100の底101が箱本体2の窓孔22を形作る開口縁の下端縁64よりも上方に位置するように、前記距離L4が設定されている。
【0054】
副支持板52の上端縁59は、特に限定されないが、本実施形態では主支持板50の先端縁53よりも下方に位置する。つまり、図8に示す距離L4が図7に示す距離L2よりも小さい。そのため、図4に示すように、支持手段5により箱本体2内の物品100を下方から支持する際には、通常は、主支持板50の先端縁53及び補強板51の上端縁56が副支持板52の上端縁59よりも上方に位置し、主支持板50及び補強板51が物品100を下方から支持する。一方で、包装箱1を強く置いたり落としたりした際には、まず主支持板50及び補強板51に上方の物品100からの衝撃が加わり、図13に示すように主支持板50及び補強板51が倒れるように変形するが、図14に示すように、このときに副支持板52が主支持板50及び補強板51をサポートして物品100を主支持板50及び補強板51とともに支持する。これにより、包装箱1を強く置いたり落としたりして主支持板50及び補強板51が衝撃を受けても、箱本体2内の物品100を主支持板50、補強板51及び副支持板52によりしっかりと支持することができるため、物品100の底101が箱本体2の窓孔22を形作る開口縁の下端縁64と接触することを効果的に抑制できる。よって、包装箱1を強く置いたり落としたりした際に、箱本体2が前記開口縁の下端縁64において破れることを効果的に抑制できる。
【0055】
副支持板52は、特に限定されないが、本実施形態では、副支持板52の横幅方向の中央に縦幅方向に延びる切れ目が形成されることにより、左右一対の支持片52A,52Bに分割されている。左右一対の支持片52A,52Bはそれぞれが折り目29を介して箱本体2の背面板7に連接されている。副支持板52が左右一対の支持片52A,52Bに分割されていない場合において、包装箱1を強く置いたり落としたりした際に物品100からの衝撃が副支持板52に作用すると、衝撃の大きさによっては衝撃を副支持板52が受け止めることができず、箱本体2が副支持板52の連接位置である背面板7の一対の折り目29において破れるおそれがある。これに対して、副支持板52が左右一対の支持片52A,52Bに分割されていると、図12に示すように、左右一対の支持片52A,52Bは互いを拘束していないため、衝撃を受けた際にそれぞれが別々に内側に倒れるなどして変形し、衝撃を逃がすことができる。これにより、包装箱1を強く置いたり落としたりした際に、副支持板52が破損することを抑制でき、箱本体2内の物品100を主支持板50とともに副支持板52によりしっかりと支持することができる。よって、包装箱1を強く置いたり落としたりした際に、物品100の底101が箱本体2の窓孔22を形作る開口縁の下端縁64と接触することを効果的に抑制できるため、箱本体2が前記開口縁の下端縁64において破れることを効果的に抑制できる。
【0056】
包装箱の組み立て方法
上述した包装箱1は、図14に示す一枚の紙製シート12により組み立てることができる。なお、紙製シート12の形状は、図14に示す形状に限定されない。紙製シート12は、横方向に、右側から左側へ、背面板7、正面板6及び連結板8が折り曲げ可能に連接されている。また紙製シート12は、縦方向に、上側から下側へ、カバー3、正面板6及び主支持板50が折り曲げ可能に連接されている。正面板6には窓孔22が形成されるとともに、窓孔22に突き出るように、補強板51及び当接フラップ9が連接されている。背面板7には、封緘用の切込み23が形成されるとともに、副支持板52が折り曲げ可能に連接されている。
【0057】
次に、図14に示す紙製シート12を用いて包装箱1を組み立てる手順について説明する。まず、主支持板50を正面板6との境目で折り曲げて正面板6の内面に重ねる。次に、連結板8を正面板6との境目で折り曲げて正面板6の内面に重ねた後に、背面板7を正面板6との境目で折り曲げて正面板6に対向させる。そして、連結板8を背面板7の内面に接着剤や両面テープなどを用いて貼り付ける。これにより、正面板6及び背面板7を筒状に連結する。次に、正面板6及び背面板7の間を拡げて正面板6及び背面板7の間に物品100を挿入する。このとき、当接フラップ9を正面板6との境目で内側に折り曲げて物品100の側面に当接させるとともに、主支持板50、補強板51及び副支持板52により物品100を下方から支持させる。そして、カバー3を正面板6との境目で折り曲げて、カバー3の先端縁31に連接された差込片4を背面板7に形成された切込み23に差し込む。このとき、図10に示すように、カバー3の下部37を折り目35において上部36に対して折り曲げることで、切込み23の上方で差込片4の向きを鉛直下向きにしながら、差込片4を箱本体2の背面板7に形成された切込み23に上方から差し込む。これにより、図1から図4に示す包装箱1が組み立てられる。
【0058】
包装箱の作用・効果
本実施形態の包装箱1は、合成樹脂製のブリスター容器やシュリンクフィルムを用いずに一枚の紙製シート12により形成されることを特徴とする。これにより、エコロジーの観点から環境に配慮した包装箱1を提供することができる。
【0059】
加えて本実施形態の包装箱1は、物品100を収容可能な箱本体2に物品100の一部分を露出可能な窓孔22が形成されることを特徴とする。これにより、包装箱1に包装された物品100を外部から視認することができるため、消費者の購買意欲を高めることができる。
【0060】
加えて本実施形態の包装箱1は、箱本体2に連接された支持手段5が、箱本体2内の物品100を窓孔22の下端縁よりも上方に位置するように物品100を下方から支持することを特徴とする。これにより、箱本体2内の物品100の底101が箱本体2の下端縁(正面板6の下端縁61及び背面板7の下端縁71)よりも上方に位置するため、包装箱1を強く置いたり落としたりした際の衝撃が物品100に直接作用することを防止できる。よって、物品100に作用する衝撃を和らげるための部材(緩衝材など)を包装箱1内に設けなくても物品100の破損を抑制することができ、包装箱1を容易に製造できるうえ、製造コストを抑制することができる。さらに、箱本体2内の物品100の底101が窓孔22の下端縁よりも上方に位置するため、物品100の底101が箱本体2の窓孔22を形作る開口縁の下端縁64と接触することを抑制できる。よって、包装箱1を強く置いたり落としたりした際に、箱本体2は前記開口縁の下端縁64に物品100からの衝撃に伴う下向きの応力が作用せず、当該開口縁の下端縁64において箱本体2が破れることを抑制できる。
【0061】
また本実施形態の包装箱1は、物品100を下方から支持する支持手段5が、箱本体2にそれぞれ別個独立して連接された主支持板50、補強板51、副支持板52により構成されることを特徴とする。このように支持手段5が複数の部材を接着剤、両面テープ、係合などの種々の組み合わせ手段で互いに絡み合わせたものでないため、包装箱1を容易に製造できるうえ、製造コストを抑制することができる。
【0062】
また本実施形態の包装箱1は、補強板51の上端縁56が主支持板50の先端縁53と同じ高さに位置することを特徴とする。これにより、支持手段5により箱本体2内の物品100を下方から支持する際に、通常は、主支持板50及び補強板51が物品100を下方から支持する。これにより、箱本体2内の物品100を主支持板50及び補強板51によりしっかりと支持することができるため、物品100の底101が箱本体2の窓孔22を形作る開口縁の下端縁64と接触することを効果的に抑制できる。
【0063】
また本実施形態の包装箱1は、副支持板52の上端縁59が主支持板50の先端縁53及び補強板51の上端縁56よりも下方に位置することを特徴とする。箱本体2において副支持板52が連接される位置は、副支持板52が物品100を支持することで物品100の荷重を受け続けた場合に、主支持板50及び補強板51が連接される位置に比べると箱本体2が比較的破損しやすい位置である。そのため、通常時は、主支持板50及び補強板51が主に物品100を支持し、包装箱1を強く置いたり落としたりした際に主支持板50及び補強板51とともに副支持板52が物品100を支持することにより、包装箱1の破損を抑制したうえで、物品100をしっかりと支持することができる。
【0064】
また本実施形態の包装箱1は、主支持板50及び補強板51は、横幅方向の中央部55A,51Aが箱本体2に連接されており、左右の側部55B,55C,51B,51Cは中央部55A,51Aに対して内側に折り曲げ可能であることを特徴とする。これにより、物品100の形状に合わせて左右の側部55B,55C,51B,51Cを折り曲げることで、主支持板50及び補強板51により物品100の底を広範囲で支持することができ、物品100をしっかりと支持することができる。
【0065】
また本実施形態の包装箱1は、副支持板52は、左右に分割された一対の支持片52A,52Bからなり、それぞれの支持片52A,52Bが箱本体2に内側に変位可能に連接されることを特徴とする。これにより、包装箱1を強く置いたり落としたりして副支持板52が物品100を支持する際に、副支持板52が物品100からの衝撃を受けても、それぞれの支持片52A,52Bは互いを拘束することなく自由に変形して衝撃を逃がすことが可能である。よって、包装箱1を強く置いたり落としたりした際に、副支持板52が破損することを抑制でき、物品100を副支持板52でしっかりと下方から支持することができる。
【0066】
また本実施形態の包装箱1は、補強板51の左右の側縁は下端縁57との境界に補強板51の横幅方向外側に突き出る湾曲部58を含むことを特徴とする。これにより、包装箱1を強く置いたり落としたりして補強板51が物品100を支持する際に、補強板51は左右の湾曲部58において物品100の底101を受け止めるとともに、物品100からの衝撃を湾曲部58で分散させることができる。よって、包装箱1を強く置いたり落としたりした際に、補強板51で物品100からの衝撃を緩和することができるため、物品100の底101が箱本体2の窓孔22を形作る開口縁の下端縁64と接触して、箱本体2が前記開口縁の下端縁64において破れることを効果的に抑制できる。
【0067】
包装箱の変形例
以上、本開示の包装箱の一実施形態について説明したが、本開示の包装箱は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。つまり、以下に例示する変形例の包装箱は、上記実施形態の包装箱1と同様に、本開示の上述した課題を解決することができる。
【0068】
上記実施形態の包装箱1は、主支持板50は、窓孔22の下方において箱本体2の正面板6の下端縁61に連接されている。一変形例の包装箱として、図示は省略するが、主支持板50は、箱本体2の下端縁のいずれの位置に連接されていてもよい。
【0069】
また上記実施形態の包装箱1は、支持手段5は主支持板50を一つだけ含んでいる。一変形例の包装箱として、図示は省略するが、支持手段5は二つ以上の主支持板50を含んでいてもよい。
【0070】
また上記実施形態の包装箱1は、補強板51において、左右の側縁の下端縁57との境界に湾曲部58が設けられている。一変形例の包装箱として、図示は省略するが、補強板51は、左右の側縁の下端縁57との境界に湾曲部58が設けられていなくてもよい。
【0071】
また上記実施形態の包装箱1は、補強板51の上端縁56が主支持板50の先端縁53と同じ高さに位置している。一変形例の包装箱として、図示は省略するが、補強板51の上端縁56は、主支持板50の先端縁53よりも下方に位置していてもよい。
【0072】
また上記実施形態の包装箱1は、副支持板52の上端縁59が主支持板50の先端縁53よりも下方に位置している。一変形例の包装箱として、図示は省略するが、副支持板52の上端縁59は、主支持板50の先端縁53と同じ高さに位置していてもよい。
【0073】
また上記実施形態の包装箱1は、副支持板52が左右一対の支持片52A,52Bに分割されている。一変形例の包装箱として、図15に示すように、副支持板52は左右一対の支持片52A,52Bに分割されておらず、一枚の板で構成されていてもよい。この変形例では、副支持片52には、左右一対の折り目29の間に、左右一対の折り目520が形成されている。左右一対の折り目520は縦幅方向に延びており、副支持片52を左右一対の折り目29で折り曲げて内側に変位させた際に、副支持片52の横幅方向の中央部を両側の側部に対して左右一対の折り目520で折り曲げることで、副支持片52の前記中央部を箱本体2の内側に良好に維持させることができる。
【0074】
またこの変形例では、支持手段5は、二つの主支持板50を含んでいる。一つの主支持板50は上記実施形態と同様に、図示は省略するが、窓孔22の下方において箱本体2の正面板6の下端縁61に連接することができ、残りの一つの主支持板50は副支持板52の下方において箱本体2の背面板7の下端縁71に連接して、箱本体2の背面板7の内側に折り返すことにより、該主支持板50の先端縁53が上向きとなるように背面板7の内面側に配置してもよい。
【0075】
また上記実施形態の包装箱1は、支持手段5は副支持板52を含んでいる。一変形例の包装箱として、図示は省略するが、支持手段5は少なくとも一つの主支持板50及び少なくとも一つの補強板51により構成されていてもよい。
【0076】
また上記実施形態の包装箱1は、支持手段5は補強板51を含んでいる。一変形例の包装箱として、図示は省略するが、支持手段5は少なくとも一つの主支持板50及び少なくとも一つの副支持板52により構成されていてもよい。
【0077】
また上記実施形態の包装箱1は、支持手段5は補強板51及び副支持板52を含んでいる。一変形例の包装箱として、図示は省略するが、支持手段5は少なくとも一つの主支持板50により構成されていてもよい。
【0078】
また上記実施形態の包装箱1は、主支持板50及び補強板51は、横幅方向の中央部55A,51Aが箱本体2に連接されており、左右の側部55B,55C,51B,51Cは中央部55A,51Aに対して内側に折り曲げ可能である。一変形例の包装箱として、図示は省略するが、主支持板50及び補強板51は、左右の側部55B,55C,51B,51Cが中央部55A,51Aに対して内側に折り曲げ可能でなくてもよい。
【0079】
また上記実施形態の包装箱1は、箱本体2が正面板6及び背面板7により筒状に形成されている。一変形例の包装箱として、図示は省略するが、箱本体2は、例えば正面板6及び背面板7に加えて左右の側面板を備えていて、正面板6、背面板7及び左右の側面板が矩形に連なる角張った筒状に形成されていてもよい。
【0080】
また上記実施形態の包装箱1は、不正開封防止のために、切込み23及び差込片4は、差込片4が切込み23から抜け出ることが抑制されるように形成されている。一変形例の包装箱として、図示は省略するが、不正開封防止の手段を備えていなくてもよい。
【0081】
また上記実施形態の包装箱1は、底面が凹状にへこむことで中央部が底上げされた物品100を包装しているが、底面が平坦な物品100についても包装することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 包装箱
2 箱本体
5 支持手段
12 紙製シート
22 窓孔
37 カバーに形成された折り目
50 主支持板
51 補強板
52 副支持板
52A,52B 副支持板を構成する一対の支持片
59 補強板の湾曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15