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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096607
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】粉体搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
G03G15/08 364
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212479
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】久保田 智広
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AA03
2H077AA12
2H077AA14
2H077AA34
2H077AB02
2H077AB13
2H077AB15
2H077AC02
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD18
2H077AE06
2H077BA08
2H077EA03
(57)【要約】
【課題】連結搬送路での粉体詰まりを抑制することができる粉体搬送装置を提供する。
【解決手段】第一搬送路などノズル搬送路61の粉体の搬送方向に直交する断面の断面積をD1、ノズル搬送スクリュ164などの第一搬送部材の粉体の搬送方向に直交する断面の断面積をd1、第二搬送路などの中継搬送路65の粉体の搬送方向に直交する断面の断面積をD2、第二搬送部材などの中継搬送スクリュ165などの粉体の搬送方向に直交する断面の断面積をd2としたとき、(D1-d1)<(D2-d2)の関係を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を取り込む取り込み口を有し、粉体を搬送する内部に第一搬送部材が配置された第一搬送路と、
粉体を排出する排出口を有し、粉体を搬送する内部に第二搬送部材が配置された第二搬送路と、
第一搬送路と第二搬送路とをつなぎ、第一搬送路の粉体を、第二搬送路へ搬送する連絡搬送路とを備えた粉体搬送装置において、
前記第一搬送路の前記粉体の搬送方向に直交する断面の断面積をD1、
前記第一搬送部材の前記粉体の搬送方向に直交する断面の断面積をd1、
前記第二搬送路の前記粉体の搬送方向に直交する断面の断面積をD2、
前記第二搬送部材の前記粉体の搬送方向に直交する断面の断面積をd2としたとき、
(D1-d1)<(D2-d2)の関係を有することを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉体搬送装置において、
前記第一搬送部材および前記第二搬送部材は、軸と、前記軸の外周面に螺旋状に設けられた羽根とを備えた搬送スクリュであり、
前記第二搬送部材の軸中心から羽根の頂部までの長さが、前記第二搬送路の内径に対して僅かに短いことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の粉体搬送装置において、
前記第一搬送部材の軸が、前記第二搬送部材の軸よりも太いことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の粉体搬送装置において、
前記第一搬送路の直径が、前記第二搬送路の直径よりも大きいことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の粉体搬送装置において、
前記第一搬送部材の羽根は、切り欠き部を有することを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項6】
粉体を取り込む取り込み口を有し、内部に粉体を搬送する第一搬送部材が配置された第一搬送路と、
前記粉体を排出する排出口を有し、内部に粉体を搬送する第二搬送部材が配置された第二搬送路と、
前記第一搬送路と前記第二搬送路とをつなぎ、前記第一搬送路の粉体を、前記第二搬送路へ搬送する連絡搬送路とを備えた粉体搬送装置において、
前記第一搬送部材および前記第二搬送部材は、軸と、前記軸の外周面に螺旋状に設けられた羽根とを備えた搬送スクリュであり、
前記第一搬送部材の羽根は、切り欠き部を有することを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の粉体搬送装置において、
前記第二搬送部材の羽根は、切り欠き部を有していないことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか一項に記載の粉体搬送装置において、
前記第一搬送路および前記第二搬送路は、前記粉体を水平方向に搬送することを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項9】
請求項8に記載の粉体搬送装置において、
前記第一搬送路は、前記第二搬送路よりも上方に配置されていることを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれか一項に記載の粉体搬送装置において、
前記第一搬送部材と前記第二搬送部材とは、同一の駆動源から駆動力が伝達されることを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれか一項に記載の粉体搬送装置において、
前記第一搬送部材および前記第二搬送部材は、軸と、前記軸の外周面に螺旋状に設けられた羽根とを備えた搬送スクリュであり、
前記第二搬送部材の回転速度が、第一搬送部材の回転速度よりも速いことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項12】
トナー像を作像する作像手段と、
トナーを搬送するトナー搬送装置とを備える画像形成装置において、
前記トナー搬送装置として、請求項1乃至11いずれか一項に記載の粉体搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体搬送装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体を取り込む取り込み口を有し、粉体を搬送する第一搬送部材が内部に配置された第一搬送路と、粉体を排出する排出口を有し、粉体を搬送する第二搬送部材が内部に配置された第二搬送路と、第一搬送路と第二搬送路とをつなぎ、第一搬送路の粉体を、第二搬送路へ搬送する連絡搬送路とを備えた粉体搬送装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記粉体搬送装置として、内部に第一搬送部材としての搬送スクリュが配置され、トナーボトルから粉体たるトナーを取り込んで水平方向に搬送する第一粉体搬送経路と、現像装置へトナーを排出する排出口を有し、内部に第二搬送部材としての搬送スクリュが配置され、排出口へ向けてトナーを水平方向に搬送する第二粉体搬送経路とを有するものが記載されている。第一粉体搬送経路は、第二粉体搬送経路の上方に配置され、第一搬送路と第二搬送路をつなぐ連結搬送路は、第一搬送路から搬送されたトナーを落下させて、第二搬送路へトナーを搬送している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、連結搬送路で粉体が詰まる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、粉体を取り込む取り込み口を有し、粉体を搬送する内部に第一搬送部材が配置された第一搬送路と、粉体を排出する排出口を有し、粉体を搬送する内部に第二搬送部材が配置された第二搬送路と、第一搬送路と第二搬送路とをつなぎ、第一搬送路の粉体を、第二搬送路へ搬送する連絡搬送路とを備えた粉体搬送装置において、
前記第一搬送路の前記粉体の搬送方向に直交する断面の断面積をD1、
前記第一搬送部材の前記粉体の搬送方向に直交する断面の断面積をd1、
前記第二搬送路の前記粉体の搬送方向に直交する断面の断面積をD2、
前記第二搬送部材の前記粉体の搬送方向に直交する断面の断面積をd2としたとき、
(D1-d1)<(D2-d2)の関係を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、連結搬送路での粉体詰まりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の複写機の概略構成図。
図2】イエローに対応した作像部の概略構成を示す模式図。
図3】(a)は、トナー補給装置にトナー容器が設置された状態を示す斜視図であり、(b)は、概略図である。
図4】駆動装置の一例を示す概略平面図。
図5】駆動装置の他の例を示す概略平面図。
図6】(a)は、ノズル搬送スクリュの斜視図であり、(b)は、中継搬送スクリュの斜視図。
図7】(a)は、搬送ノズルの概略断面図であり、(b)は、中継搬送路の概略断面図。
図8】ノズル搬送スクリュの変形例を示す要部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を画像形成装置としての複写機(以下、複写機500という)に適用した、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の複写機500の概略構成図である。複写機500は、複写機装置本体(以下、プリンタ部100という)、給紙テーブル(以下、給紙部200という)及びプリンタ部100上に取り付けるスキャナ(以下、スキャナ部400という)から構成される。
【0009】
プリンタ部100の上部に設けられたトナー容器収容部70には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した四つの現像剤収容容器であり、粉体容器であるトナー容器32(Y,M,C,K)が着脱自在(交換自在)に設置されている。トナー容器収容部70の下方には中間転写ユニット85が配設されている。
【0010】
中間転写ユニット85は、中間転写ベルト48、四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)、二次転写バックアップローラ82、複数のテンションローラ、及び、中間転写クリーニング装置等で構成される。中間転写ベルト48は、複数のローラ部材によって張架、支持されるとともに、この複数のローラ部材の1つである二次転写バックアップローラ82の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動する。
【0011】
プリンタ部100には、中間転写ベルト48に対向するように、各色に対応した四つの作像手段である作像部46(Y,M,C,K)が並設されている。また、四つのトナー容器32(Y,M,C,K)の下方には、それぞれに対応した四つのトナー補給装置60(Y,M,C,K)が配設されている。そして、トナー容器32(Y,M,C,K)に収容されたトナーは、それぞれに対応するトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって、各色に対応した作像部46(Y,M,C,K)の現像手段である現像装置(粉体物使用部)内に供給(補給)される。
【0012】
また、図1に示すように、プリンタ部100は四つの作像部46の下方に潜像形成手段である露光装置47を備える。露光装置47は、スキャナ部400で読み込んだ原稿画像の画像情報またはパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報に基づいて、後述する感光体41の表面に対して露光し、感光体41の表面に静電潜像を形成する。プリンタ部100が備える露光装置47は、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
【0013】
図2は、イエローに対応した作像部46Yの概略構成を示す模式図である。
作像部46Yは、像担持体であるドラム状の感光体41Yを備える。さらに、作像部46Yは、帯電手段である帯電ローラ44Y、現像手段である現像装置50Y、感光体クリーニング装置42Y、除電装置等を感光体41Yの周囲に配設した構成である。そして、感光体41Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われて、感光体41Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0014】
なお、他の三つの作像部46(M,C,K)も、使用されるトナーの色が異なる点以外は、イエローに対応した作像部46Yとほぼ同様の構成となっていて、各感光体41(M,C,K)上にそれぞれのトナーに対応した色の画像が形成される。以下、他の三つの作像部46(M,C,K)の説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部46Yのみの説明を行うことにする。
【0015】
感光体41Yは、駆動モータによって図2中の時計回り方向に回転駆動する。そして、帯電ローラ44Yと対向する位置で、感光体41Yの表面が一様に帯電される(帯電工程)。その後、感光体41Yの表面は、露光装置47から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程)。その後、感光体41Yの表面は、現像装置50Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程)。
【0016】
中間転写ユニット85の四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)は、それぞれ、中間転写ベルト48を感光体41(Y,M,C,K)との間に挟み込んで一次転写ニップを形成している。そして、一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)に、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
【0017】
現像工程でトナー像が形成された感光体41Yの表面は、中間転写ベルト48を挟んで一次転写バイアスローラ49Yと対向する一次転写ニップに達して、この一次転写ニップで感光体41Y上のトナー像が中間転写ベルト48上に転写される(一次転写工程)。このとき、感光体41Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。一次転写ニップでトナー像を中間転写ベルト48に転写した感光体41Yの表面は、感光体クリーニング装置42Yとの対向位置に達する。この対向位置で感光体41Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード42aによって機械的に回収される(クリーニング工程)。最後に、感光体41Yの表面は、除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体41Y上の残留電位が除去される。こうして、感光体41Y上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
【0018】
このような作像プロセスは、他の作像部46(M,C,K)でも、イエロー作像部46Yと同様に行われる。すなわち、作像部46(M,C,K)の下方に配設された露光装置47から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部46(M,C,K)の感光体41(M,C,K)上に向けて照射される。詳しくは、露光装置47は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して各感光体41(M,C,K)上に照射する。その後、現像工程を経て各感光体41(M,C,K)上に形成した各色のトナー像が、中間転写ベルト48上に転写される。
【0019】
このとき、中間転写ベルト48は、図1中の矢印方向に走行して、各一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)の一次転写ニップを順次通過する。これにより、各感光体41(Y,M,C,K)上の各色のトナー像が、中間転写ベルト48上に重ねて一次転写され、中間転写ベルト48上にカラートナー像が形成される。
【0020】
各色のトナー像が重ねて転写され、カラートナー像が形成された中間転写ベルト48は、二次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、二次転写バックアップローラ82が、二次転写ローラ89との間に中間転写ベルト48を挟み込んで二次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト48上に形成されたカラートナー像は、二次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト48には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。二次転写ニップを通過した中間転写ベルト48は、中間転写クリーニング装置の位置に達し、その表面上の未転写トナーが回収され、中間転写ベルト48上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
【0021】
次に、記録媒体Pの動きについて説明する。
上述した二次転写ニップに搬送される記録媒体Pは、プリンタ部100の下方に配設された給紙部200の給紙トレイ26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。詳しくは、給紙トレイ26には記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計回り方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28の二つのローラによって形成されるローラニップに向けて搬送される。
【0022】
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト48上のカラートナー像が二次転写ニップに到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、記録媒体Pが二次転写ニップに向けて搬送される。これにより、記録媒体P上に、所望のカラートナー像が転写される。
【0023】
二次転写ニップでカラートナー像が転写された記録媒体Pは、定着装置86の位置に搬送される。定着装置86では、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラートナー像が記録媒体P上に定着される。定着装置86を通過した記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。こうして、複写機500における一連の画像形成プロセスが完了する。
【0024】
次に、作像部46における現像装置50の構成及び動作について、さらに詳しく説明する。なお、ここではイエローに対応した作像部46Yを例に挙げて説明を行うが、他色の作像部46(M,C,K)においても同様である。
【0025】
現像装置50Yは、図2に示すように、現像ローラ51Y、ドクタブレード52Y、二つの現像剤搬送スクリュ55Y、及び、トナー濃度検知センサ56Y等で構成される。現像ローラ51Yは、感光体41Yに対向し、ドクタブレード52Yは、現像ローラ51Yに対向する。また、二つの現像剤搬送スクリュ55Yは、二つの現像剤収容部(53Y,54Y)内に配設されている。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットローラ、及び、マグネットローラの周囲を回転するスリーブ等で構成される。第一現像剤収容部53Y及び第二現像剤収容部54Y内には、キャリアとトナーとからなる二成分の現像剤Gが収容されている。第二現像剤収容部54Yは、その上方に形成された開口を介してトナー補給装置の排出口66(図3参照)に連通している。また、トナー濃度検知センサ56Yは、第二現像剤収容部54Y内の現像剤G中のトナー濃度を検知する。
【0026】
現像装置50内の現像剤Gは、二つの現像剤搬送スクリュ55Yによって、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。第一現像剤収容部53Y内の現像剤Gは、現像剤搬送スクリュ55Yの一方に搬送されながら現像ローラ51Y内のマグネットローラにより形成される磁界によって現像ローラ51Yのスリーブ表面上に供給され、担持される。現像ローラ51Yのスリーブは、図2の矢印で示すように反時計回り方向に回転駆動し、現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。このとき、現像剤G中のトナーは、現像剤G中のキャリアとの摩擦帯電によりキャリアとは逆極性の電位に帯電して静電的にキャリアに吸着し、現像ローラ51Y上に形成された磁界によって引き寄せられるキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0027】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクタブレード52Yと現像ローラ51Yとが対向するドクタ部に達する。現像ローラ51Y上の現像剤Gは、ドクタ部を通過する際にその量が適量化され、その後、感光体41Yとの対向位置である現像領域まで搬送される。現像領域では、現像ローラ51Yと感光体41Yとの間に形成された現像電界によって感光体41Y上に形成された潜像に現像剤G中のトナーが吸着される。現像領域を通過した現像ローラ51Yの表面上に残った現像剤Gはスリーブの回転に伴い第一現像剤収容部53Yの上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0028】
現像装置50Y内の現像剤Gは、トナー濃度が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置50Y内の現像剤Gに含まれるトナーの現像による消費量に応じて、トナー容器32Yに収容されているトナーが、後述するトナー補給装置60Yを介して第二現像剤収容部54Y内に補給される。
第二現像剤収容部54Y内に補給されたトナーは、二つの現像剤搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。
【0029】
プリンタ部100のトナー容器収容部70に設置された各トナー容器32(Y,M,C,K)内のトナーは、各色の現像装置50(Y,M,C,K)内のトナー消費に応じて、適宜に各現像装置50(Y,M,C,K)内に補給される。このとき、各トナー容器32(Y,M,C,K)内のトナーは、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって補給される。
【0030】
次に、トナー補給装置60(Y,M,C,K)について説明する。
図3(a)は、粉体搬送装置たるトナー補給装置60にトナー容器32が設置された状態を示す斜視図であり、図3(b)は、概略図である。なお、中継搬送路65のトナー搬送方向は、本来、図3(b)の紙面に直交する方向であるが、図3(b)では、構成がわかりやすいように、中継搬送路65のトナーの搬送方向を、搬送ノズル61と同一の方向としている。また、四つのトナー補給装置60(Y,M,C,K)やトナー容器32(Y,M,C,K)は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造である。このため、以下、色符号Y,M,C,Kについては、適宜省略して説明する。
【0031】
トナー補給装置60は、第一搬送路たる搬送ノズル61、連絡搬送路たる鉛直搬送路64、第二搬送路たる中継搬送路65を有している。粉体容器たるトナー容器32がプリンタ部100のトナー容器収容部70に装着されると、その装着動作に連動して、トナー容器32の容器先端側からトナー補給装置60の搬送ノズル61が挿入される。これにより、トナー容器32内と搬送ノズル61内とが連通する。
【0032】
トナー容器32は、略円筒状のトナーボトルである。そして、主として、トナー容器収容部70に非回転で保持される容器先端側カバー34と、容器ギヤ301が一体的に形成された容器本体33とから主に構成される。容器本体33は、容器先端側カバー34に対して相対的に回転可能に保持されている。
【0033】
容器本体33に具備された容器ギヤ301(図4参照)に駆動装置90(図4参照)から回転駆動が入力されることで、容器本体33が回転駆動する。容器本体33が回転することで、容器本体33の内周面に螺旋状に形成された螺旋状突起302によって、容器本体33の内部に収容されたトナーが容器本体の長手方向に沿って搬送ノズル61に向かって搬送される。
【0034】
容器本体33の容器先端側カバー側には、容器先端側カバー側に搬送されてきたトナーを、容器本体33の回転によって上方に汲み上げる汲み上げ部が設けられている。この汲み上げ部により、トナー容器に挿入された搬送ノズル61よりも上方にトナーが汲み上げられ、搬送ノズル61のトナー容器側端部に設けられた取り込み口としてのノズル開口62に落下することで、搬送ノズル61内にトナーが供給される。
【0035】
搬送ノズル61内には、第一搬送部材たるノズル搬送スクリュ164が配置されており、駆動装置90(図4参照)から回転駆動が入力されることで、ノズル搬送スクリュ164が回転し、搬送ノズル61内に供給されたトナーを水平方向に搬送する。搬送ノズル61の搬送方向下流端は、鉛直搬送路64に接続されており、ノズル搬送スクリュ164によって搬送されたトナーは、鉛直搬送路64を自重落下して中継搬送路65へ搬送される。
【0036】
中継搬送路65内には、第二搬送部材としての中継搬送スクリュ165が配置されており、駆動装置90(図4参照)から回転駆動が入力されることで、中継搬送スクリュ165が回転し、中継搬送路65内に供給されたトナーを水平方向に搬送する。中継搬送路65の搬送方向下流端には、排出口66が設けられており、中継搬送スクリュ165によって搬送されたトナーは、排出口66から自重落下して現像装置50内に補給される。
【0037】
中継搬送路65は、エラストマゴムなどの弾性体で構成され、中継搬送スクリュ165も材質はエラストマゴムなどの弾性体で構成されており、中継搬送路65は、弾性変形可能な構成となっている。
【0038】
中継搬送路65の直径は、搬送ノズル61の直径よりも短くなっている。また、ノズル搬送スクリュ164の回転数が189rpmであり、中継搬送スクリュ165の回転数が237rpmとなっており、中継搬送スクリュ165の回転数が、ノズル搬送スクリュ164の回転数よりも速くなっている。なお、各搬送スクリュの回転数は、一例であり、装置構成により適宜設定すればよい。
【0039】
図4は、駆動装置90の一例を示す概略平面図である。
本駆動装置90は、駆動源たる駆動モータ91により、トナー容器32と、ノズル搬送スクリュ164と、中継搬送スクリュ165とを駆動する。本実施形態では、駆動モータとしてステッピングモータが用いられている。
【0040】
駆動モータ91のモータギヤ91aには、分岐ギヤ92の中継ギヤ部92aが噛み合っている。この分岐ギヤ92の中継ギヤ部92aの上部に噛み合うボトル第一ギヤ93と、ボトル第一ギヤ93と同軸上に配置された第二ボトルギヤ94とを介して、駆動モータ91の駆動力が容器ギヤ301に伝達される。これにより、容器本体33が回転駆動する。
【0041】
中継ギヤ部92aからノズルアイドラギヤ97を介して、ノズル搬送スクリュ164の軸164aに固定されたノズルスクリュギヤ98に駆動モータ91の駆動力が伝達されることで、ノズル搬送スクリュ164が回転駆動する。
分岐ギヤ92のかさばギヤ92bから中継搬送スクリュ165の軸165aに固定された第二かさばギヤ96に駆動モータ91の駆動力が伝達されることで、中継搬送スクリュ165が回転駆動する。
【0042】
図5は、駆動装置190の他の例を示す概略平面図である。
図5に示す駆動装置190は、ノズル搬送スクリュ164の軸164aに分岐ギヤ193が固定されている。駆動モータ191の駆動力が、モータギヤ191aからアイドラギヤ192を介して、分岐ギヤ193の中継ギヤ部193aに伝達され、ノズル搬送スクリュ164が回転駆動する。
【0043】
また、中継ギヤ部193aからボトルアイドラギヤ194、ボトル第一ギヤ195へ駆動モータ191の駆動力が伝達される。そして、ボトル第一ギヤ195と同軸上に配置された第二ボトルギヤ196を介して、駆動モータの駆動力が容器ギヤ301に伝達され容器本体33が回転駆動する。
【0044】
また、中継ギヤ部193aに伝達された駆動モータ191の駆動力は、分岐ギヤ193の第一かさばギア193bを介して第二かさばギヤ197に伝達され、中継搬送スクリュ165が回転駆動する。
【0045】
図4図5に示すように、駆動装置は、ひとつの駆動モータにより、トナー容器、ノズル搬送スクリュ164および中継搬送スクリュ165を回転駆動させる。これにより、複数の駆動モータでこれらを回転駆動させる場合に比べて、駆動モータの個数を削減でき、装置の低コスト化を図ることができる。また、装置の小型化を図ることができる。また、発熱の大きな駆動モータを一つにすることで、トナー容器32やトナー補給装置の各搬送路61,64、65の温度上昇が抑制される。これにより、トナー容器32やトナー補給装置の各搬送路61,64、65内でのトナー凝集やトナー固着が発生するのを抑制することができる。
【0046】
図4に示す駆動装置90の方が、鉛直搬送路64でのトナー詰まりを抑制することができ、図5に示す駆動装置190よりも好ましい。
具体的に説明すると、図4に示す駆動装置90では、中継ギヤ部92aから中継搬送スクリュ165への駆動伝達におけるギヤ噛み合い箇所は、第一かさばギヤ92bと第二かさばギヤ96の1箇所である。一方、ノズル搬送スクリュ164への駆動伝達におけるギヤの噛み合い箇所は、中継ギヤ部92aとノズルアイドラギヤ97と、ノズルアイドラギヤ97とノズルスクリュギヤ98の2箇所である。
【0047】
このように、図4に示す駆動装置は、中継ギヤ部92aから中継搬送スクリュ165までの噛み合い箇所が、中継ギヤ部92aからノズル搬送スクリュまでの噛み合い箇所よりも少ない。よって、ギヤの遊びの関係で中継搬送スクリュ165がノズル搬送スクリュ164よりも先に回転駆動を開始する。このように、図4に示す駆動装置90では、中継搬送スクリュ165が先に回転駆動を開始するので、鉛直搬送路64でのトナーの滞留を抑制することができ、鉛直搬送路64でのトナー詰まりの発生を抑制することができ好ましい。
【0048】
装置のレイアウト等の関係で、中継搬送路65の直径が、搬送ノズル61の直径よりも短くなっている。従来、中継搬送スクリュとして、軸部の直径がノズル搬送スクリュの軸部の直径と同一とものを使用していた。そのため、中継搬送路内のトナー搬送領域が、搬送ノズル内のトナー搬送領域よりも狭くなっていた。そのため、従来では、中継搬送スクリュ165の回転数を、ノズル搬送スクリュ164の回転数よりも速くし、中継搬送路65のトナー搬送速度を、搬送ノズル61のトナー搬送速度よりも速くすることで、搬送ノズル61から鉛直搬送路64へ搬送されるトナー量よりも鉛直搬送路64から中継搬送路へ搬送可能なトナー量を多くしていた。しかし、搬送されるトナーの特性のばらつき、中継搬送スクリュ165の回転数とノズル搬送スクリュ164の回転数との比のばらつき等により、搬送ノズル61から鉛直搬送路へ搬送されるトナー量が、鉛直搬送路から中継搬送路へ搬送可能なトナー量よりも多くなることがあった。
【0049】
ノズル搬送スクリュの回転数、中継搬送スクリュの回転数およびトナー容器の回転数を、駆動装置のギヤ比によって設定している場合は、搬送ノズル61から鉛直搬送路64へ搬送されるトナー量が規定の量よりも多くなったときに、中継搬送スクリュの回転数のみを速めて、鉛直搬送路から中継搬送路へ搬送可能なトナー量を多くすることができない。その結果、鉛直搬送路64でトナーが滞留していき、最終的に鉛直搬送路64でトナー詰まりが発生するおそれがある。
【0050】
また、装置の開発段階で、トナーの種類が変更されたり、トナーの仕様が変更されたりすることで、それまでのノズル搬送スクリュ164と中継搬送スクリュ165の回転数比では、鉛直搬送路64でトナー詰まりが多発するようなケースがある。そこで、トナー詰まりが発生しないように、ノズル搬送スクリュ164と中継搬送スクリュ165の回転数比を変更することが考えられる。しかし、図4図5に示すように、一つの駆動モータによりノズル搬送スクリュ164と中継搬送スクリュ165を回転駆動させる駆動装置90、190の場合は、駆動装置90のレイアウト(ギヤの配置やギヤ比等)を変更する必要がある。よって、ノズル搬送スクリュ164と中継搬送スクリュ165の回転数比を容易に変更することができない。
【0051】
また、ノズル搬送スクリュ164のスクリュピッチを、中継搬送スクリュ165のスクリュピッチよりも狭くすることも考えられる。ノズル搬送スクリュ164のスクリュピッチを、中継搬送スクリュ165のスクリュピッチよりも狭くすることで、中継搬送路65のトナー搬送速度を搬送ノズルのトナー搬送速度よりも速くすることができる。これにより、開発段階でトナー詰まりが発生したときは、搬送ノズルをスクリュピッチの狭いものに変更することで、駆動装置90,190のレイアウトを変更することなく、鉛直搬送路64のトナー詰まりの発生を抑制することができる。しかし、ノズル搬送スクリュ164のスクリュピッチを狭めた場合、搬送方向にかかる圧力が高くなり、搬送ノズル内の圧が高まってしまう。その結果、何らかのアクシデントで万が一搬送ノズル内でつまりが発生した場合に駆動モータがロックする前に管の破損や間のつなぎ目(シール部)からのトナー飛散が生じやすくなるという不具合が発生するおそれがある。
【0052】
そこで、本実施形態では、ノズル搬送スクリュ164の軸径と、中継搬送スクリュ165の軸径によって、以下の関係式(式1)を満たすようにし、鉛直搬送路64でのトナー詰まりを抑制するにした。すなわち、搬送ノズル61のトナー搬送方向に直交する断面の断面積をD1、ノズル搬送スクリュ164のトナー搬送方向に直交する断面の断面積d1、中継搬送路65のトナー搬送方向に直交する断面の断面積をD2、中継搬送スクリュ165のトナー搬送方向に直交する断面の断面積をd2としたとき、
(D1-d1)<(D2-d2)・・・・(式1)
となるような関係である。
【0053】
図6(a)は、ノズル搬送スクリュ164の斜視図であり、図6(b)は、中継搬送スクリュ165の斜視図である。
図6に示すように、ノズル搬送スクリュ164および中継搬送スクリュ165は、軸164a,165aと、軸に螺旋状に巻きついた羽根164b,164bとを有している。ノズル搬送スクリュ164は、モリブデンからなる剛体であり、中継搬送スクリュ165は、エラストマゴムからなる弾性体である。そして、中継搬送スクリュ165の軸径が、ノズル搬送スクリュ164の軸径よりも小さい。
【0054】
図7(a)は、搬送ノズル61の概略断面図(図3(b)のA-A断面図)であり、図7(b)は、中継搬送路65の概略断面図(図3(b)のB-B断面図)である。
本実施形態では、ノズル搬送スクリュ164の軸中心から、羽根164bの頂部まで直径L1が、搬送ノズル61の内径とほぼ同一であり、搬送ノズル空隙X1全体が、ノズル搬送スクリュ164のトナーを搬送可能な領域(以下単に、トナー搬送領域と記載する)となっている。また、中継搬送スクリュ165の軸中心から、羽根165bの頂部まで直径L2が、中継搬送路65の内径とほぼ同一であり、中継搬送路65の空隙X2全体が、中継搬送スクリュ165のトナー搬送領域となっている。
【0055】
搬送ノズル61、中継搬送路65ともに、空隙全体がトナー搬送領域となっている場合、空隙が大きい方が、より多くのトナーを搬送することができる。そのため、中継搬送スクリュ165の軸165aを、ノズル搬送スクリュ164の軸164aよりも細くして、上述した(式1)の関係を満たした。これにより、図7から明らかなように、上述した(式1)の関係を満たすことで、中継搬送路65の空隙X2を、搬送ノズル61の空隙X1の断面積を広くできる。これらの空隙X1、X2は、搬送スクリュによるトナー搬送領域であるため、空隙が広い方がより多くのトナーを搬送することが可能である。よって、鉛直搬送路64から中継搬送路65へ搬送可能なトナー量を、中継搬送路65の空隙X2が、第一搬送路の空隙X1以下の場合に比べて、多くすることができる。
また、搬送ノズル61と中継搬送路65とでトナー搬送速度が同一の場合において、搬送ノズルの単位時間当たりのトナー最大搬送量(空隙X1がトナーで埋まっている状態でのトナー搬送量)よりも中継搬送路65の最大トナー搬送量の方を大きくできる。これにより、鉛直搬送路64でトナーの滞留が抑制され、鉛直搬送路64でのトナー詰まりの発生を抑制することができる。
【0056】
特に、本実施形態では、上記(式1)の関係を満たすとともに、中継搬送スクリュ165の回転数を、ノズル搬送スクリュ164の回転数よりも速くしているので、より鉛直搬送路64でのトナー詰まりを抑制することができる。また、上記(式1)の関係のみで鉛直搬送路64でのトナー詰まりの発生を抑制する場合に比べて、以下の利点を得ることができる。すなわち、ノズル搬送スクリュ164の軸を必要以上に太くしたり、中継搬送スクリュ165の軸を必要以上に細くしたりすることなく、鉛直搬送路64のトナー詰まりを抑制することができるという利点である。さらに、搬送ノズル61から鉛直搬送路64へ搬送されるトナー量に対する中継搬送路65の余裕度を高めることができる。これにより、トナーの特性のばらつきで、多少、搬送ノズル61から鉛直搬送路64へ搬送されるトナー量が規定よりも多くなっても、鉛直搬送路64でトナーが滞留することなく、中継搬送路65へ搬送することができる。
【0057】
また、ノズル搬送スクリュ164のスクリュピッチを、中継搬送スクリュ165のスクリュピッチよりも狭くして、鉛直搬送路64でのトナー詰まりの発生を抑制する場合に比べて、以下の利点を得ることができる。すなわち、搬送ノズル61内での圧の高まりを抑制でき、搬送ノズル内でつまりが発生した場合に管の破損や間のつなぎ目(シール部)からのトナー飛散が生じるのを抑制することができるという利点である。
【0058】
さらに、中継搬送スクリュ165の軸165aを、ノズル搬送スクリュ164の軸164aよりも細くすることで、中継搬送スクリュ165の剛性を下げることができ、中継搬送路65の弾性変形に追随して中継搬送スクリュ165を弾性変形させやすくなる。
【0059】
また、本実施形態では、装置の開発段階でトナーの種類等が変更され、鉛直搬送路64でトナー詰まりが多発するようになった場合は、次のようにしてトナー詰まりの発生を抑制することが可能となる。すなわち、ノズル搬送スクリュ164を、より軸径の太いものに変える、または、中継搬送スクリュ165をより軸径の細いものに変えるのである。これにより、ノズル搬送スクリュ164と中継搬送スクリュ165の回転数比を変更して、鉛直搬送路64でトナー詰まりを抑制する場合に比べて、簡易な変更で鉛直搬送路64でのトナー詰まりを抑制することができる。
【0060】
図8は、ノズル搬送スクリュ164の変形例を示す要部斜視図である。
図8に示す変形例のノズル搬送スクリュ164は、羽根164bに複数の切り欠き部164cを設けている。
かかる構成とすることで、羽根164bの切り欠き部164cでは、羽根によりトナーが搬送されない。これにより、搬送ノズル61の単位時間当たりのトナー搬送量を低下させることができる。
【0061】
よって、ノズル搬送スクリュ164は、図8に示す羽根に切り欠き部を有するものを用い、中継搬送スクリュ165は、図6(b)に示す羽根に切り欠き部を有していないものを用いることで、次の利点を得ることができる。すなわち、中継搬送路の単位時間当たりのトナー搬送量と、搬送ノズルの単位時間当たりのトナー搬送量との差を広げることが可能となる。その結果、鉛直搬送路64のトナー詰まりを抑制することができるという利点である。
【0062】
図8に示すノズル搬送スクリュ164を用いることで、上記(D1-d1)と(D2-d2)との差をあまり大きくせずに、搬送ノズル61から鉛直搬送路64へ搬送される単位時間当たりのトナー搬送量と、鉛直搬送路64から中継搬送路へ搬送される単位時間当たりのトナー搬送量との差を大きくできる。特に軸径を太くしすぎて羽根の高さが一定以上低くなったり、トナーの搬送量を減らすためにスクリュのピッチを一定以上に狭くしてしまうと、トナーの特性や使用環境によっては羽根と羽根の間が滞留トナーで埋まってしまい、スクリュの搬送機能が著しく低下する場合があり、このような現象を避けるために図8のスクリュを用いることが有効になる。これにより、鉛直搬送路64のトナー詰まりを抑制することができる。よって、ノズル搬送スクリュ164の軸を必要以上に太くしたり、中継搬送スクリュ165の軸を必要以上に細くしたりすることなく、鉛直搬送路64のトナー詰まりを抑制することができる。
【0063】
さらに、図8に示すノズル搬送スクリュ164を用いることで、上記(式1)の関係を満たさずとも、搬送ノズルの単位時間当たりのトナー搬送量を中継搬送路の単位時間当たりのトナー搬送量よりも減らせる。よって、上記(式1)の関係を満たしない場合でも、図8に示すノズル搬送スクリュ164を用いることで、鉛直搬送路64のトナー詰まりを抑制することができる。
【0064】
上述した実施形態では、トナー容器内のトナーを現像装置へ搬送するトナー補給装置に本発明を適用した例について説明したが、例えば、クリーニング装置で除去した廃トナーを廃トナータンクへ搬送する装置にも本発明を適用することができる。
【0065】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
トナーなどの粉体を取り込むノズル開口62などの取り込み口を有し、内部に粉体を搬送するノズル搬送スクリュ164などの第一搬送部材が配置された搬送ノズル61などの第一搬送路と、粉体を排出する排出口66を有し、内部に粉体を搬送する中継搬送スクリュ165などの第二搬送部材が配置された中継搬送路65などの第二搬送路と、第一搬送路と第二搬送路とをつなぎ、第一搬送路の粉体を、第二搬送路へ搬送する鉛直搬送路64などの連絡搬送路とを備えたトナー補給装置60などの粉体搬送装置において、
第一搬送路の前記粉体の搬送方向に直交する断面の断面積をD1、
第一搬送部材の前記粉体の搬送方向に直交する断面の断面積をd1、
第二搬送路の前記粉体の搬送方向に直交する断面の断面積をD2、
第二搬送部材の前記粉体の搬送方向に直交する断面の断面積をd2としたとき、
(D1-d1)<(D2-d2)の関係を有する。
上記(D1-d1)は、搬送方向と直交する方向の断面における第一搬送路と第一搬送部材との間にできる空隙の断面積を示し、上記(D2-d2)は、搬送方向と直交する方向の断面における第二搬送路と第二搬送部材との間にできる空隙の断面積を示している。よって、(D1-d1)<(D2-d2)の関係を満たすことで、搬送方向と直交する方向の断面において、第二搬送路の搬送経路と搬送部材との間にできる空隙を、第一搬送路よりも大きくできる。この空隙は粉体が入る空間であるため、第二搬送路の空隙が、第一搬送路の空隙と同一の場合に比べて、多くの粉体を第二搬送路に入れ込むことができる。よって、第二搬送路の搬送路内の空隙全体が第二搬送部材により粉体を搬送する粉体搬送領域である場合、第二搬送路の空隙が第一搬送路の空隙と同一の場合に比べて、多くの粉体を搬送することが可能である。これにより、第二搬送路の空隙が第一搬送路の空隙と同一の場合に比べて、連結搬送路で粉体が滞留するのを抑制することができ、連結搬送路でトナー詰まりが発生するのを抑制することができる。
【0066】
(態様2)
態様1において、ノズル搬送スクリュ164などの第一搬送部材および中継搬送スクリュ165などの第二搬送部材は、軸と、軸の外周面に螺旋状に設けられた羽根とを備えた搬送スクリュであり、第二搬送部材の軸中心から羽根の頂部までの長さL2が、第二搬送路の内径に対して僅かに短い。
これによれば、実施形態で説明したように、第二搬送路の搬送路内の空隙全体を、搬送部材により粉体が搬送される粉体搬送領域にすることができる。
【0067】
(態様3)
態様1において、第一搬送部材の軸が、第二搬送部材の軸よりも太い。
これによれば、上記(D1-d1)<(D2-d2)の関係を容易に実現することができる。
【0068】
(態様3)
態様2において、搬送ノズル61などの第一搬送路の直径が、中継搬送路65などの第二搬送路の直径よりも大きい。
これによれば、上記構成であっても、第一搬送部材の軸を、第二搬送部材の軸よりも太くすることで、上記(D1-d1)<(D2-d2)の関係を容易に実現することができる。
【0069】
(態様4)
態様2または3において、ノズル搬送スクリュ164などの第一搬送部材の羽根は、切り欠き部164cを有する。
これによれば、図8を用いて説明したように、搬送ノズル61などの第一搬送路の単位時間当たりの粉体搬送量をより低下させることができる。その結果、上記(D1-d1)と(D2-d2)との差をあまり大きくせずに、第一搬送路から鉛直搬送路64など連結搬送路へ搬送される単位時間当たりの粉体搬送量と、連結搬送路から中継搬送路65などの第二搬送路へ搬送される単位時間当たりの粉体搬送量との差を大きくできる。よって、ノズル搬送スクリュ164などの第一搬送部材の軸を必要以上に太くしたり、中継搬送スクリュ165などの第二搬送部材の軸を必要以上に細くしたりすることなく、連結搬送路の粉体詰まりを抑制することができる。
【0070】
(態様5)
トナーなどの粉体を取り込むノズル開口62などの取り込み口を有し、内部に粉体を搬送するノズル搬送スクリュ164などの第一搬送部材が配置された搬送ノズル61などの第一搬送路と、粉体を排出する排出口66を有し、内部に粉体を搬送する中継搬送スクリュ165などの第二搬送部材が配置された中継搬送路65などの第二搬送路と、第一搬送路と第二搬送路とをつなぎ、第一搬送路の粉体を、第二搬送路へ搬送する鉛直搬送路64などの連絡搬送路とを備えたトナー補給装置60などの粉体搬送装置において、前記第一搬送部材および前記第二搬送部材は、軸と、軸の外周面に螺旋状に設けられた羽根とを備えた搬送スクリュであり、第一搬送部材の羽根は、切り欠き部を有する。
これによれば、図8を用いて説明したように、搬送ノズル61などの第一搬送路の単位時間当たりの粉体量を低下させることができる。これにより、第一搬送路から鉛直搬送路64など連結搬送路へ搬送される単位時間当たりのトナー量を、連結搬送路から中継搬送路65などの第二搬送路へ搬送される単位時間当たりのトナー量よりも少なくでき、連結搬送路で粉体が滞留するのを抑制できる。その結果、連結搬送路での粉体詰まりの発生を抑制することができる。
【0071】
(態様6)
態様4または5において、中継搬送スクリュ165などの第二搬送部材の羽根は、切り欠き部を有していない。
これによれば、図8を用いて説明したように、第一搬送路から鉛直搬送路64など連結搬送路へ搬送される単位時間当たりのトナー量を、連結搬送路から中継搬送路65などの第二搬送路へ搬送される単位時間当たりのトナー量よりも少なくできる。
【0072】
(態様7)
態様1乃至6いずれかにおいて、搬送ノズル61などの第一搬送路および中継搬送路65などの第二搬送路は、トナーなどの粉体を水平方向に搬送する。
これによれば、態様1や態様4の構成を備えることで、連結搬送路での粉体詰まりの発生を抑制することができる。
【0073】
(態様8)
態様7において、搬送ノズル61などの第一搬送路は、中継搬送路65などの第二搬送路よりも上方に配置されている。
これによれば、鉛直搬送路64などの連結搬送路では、トナーなどの粉体が鉛直下方へ搬送する形となり、粉体は、連結搬送内を落下する形で搬送される。その結果、粉体が連結搬送路の第二搬送路との連結箇所で滞留しやすくなり、連結搬送路で粉体詰まりが発生しやすい。
しかし、上記態様1や態様4の構成を備えることで、連結搬送路で粉体詰まりを効果的に抑制できる。
【0074】
(態様9)
態様1乃至8いずれかにおいて、ノズル搬送スクリュ164などの第一搬送部材と中継搬送スクリュ165などの第二搬送部材とは、同一の駆動モータ91などの駆動源から駆動力が伝達される。
これによれば、実施形態で説明したように、複数の駆動モータなどの駆動源でこれらを回転駆動させる場合に比べて、駆動源の個数を削減でき、装置の低コスト化を図ることができる。また、装置の小型化を図ることができる。また、発熱の大きな駆動源を一つにすることで、各搬送路の温度上昇が抑制され、各搬送路内での粉体凝集等が発生するのを抑制することができる。
【0075】
(態様10)
態様1乃至9いずれかにおいて、ノズル搬送スクリュ164などの第一搬送部材および中継搬送スクリュ165などの第二搬送部材は、軸と、軸の外周面に螺旋状に設けられた羽根とを備えた搬送スクリュであり、第二搬送部材の回転速度が、第一搬送部材の回転速度よりも速い。
これによれば、実施形態で説明したように、搬送ノズル61などの第一搬送路の単位時間当たりの粉体搬送量をより低下させることができる。その結果、上記(D1-d1)と(D2-d2)との差をあまり大きくせずに、第一搬送路から鉛直搬送路64など連結搬送路へ搬送される単位時間当たりの粉体搬送量と、連結搬送路から中継搬送路65などの第二搬送路へ搬送される単位時間当たりの粉体搬送量との差を大きくできる。よって、ノズル搬送スクリュ164などの第一搬送部材の軸を必要以上に太くしたり、中継搬送スクリュ165などの第二搬送部材の軸を必要以上に細くしたりすることなく、連結搬送路の粉体詰まりを抑制することができる。
【0076】
(態様11)
トナー像を作像する作像部46などの作像手段と、トナーを搬送するトナー補給装置などのトナー搬送装置とを備える画像形成装置において、トナー搬送装置として、態様1乃至10いずれかの粉体搬送装置を用いた。
これによれば、トナー詰まりを抑制することができる。
【符号の説明】
【0077】
32 :トナー容器
33 :容器本体
34 :容器先端側カバー
46 :作像部
50 :現像装置
60 :トナー補給装置
61 :搬送ノズル
64 :鉛直搬送路
65 :中継搬送路
66 :排出口
70 :トナー容器収容部
90 :駆動装置
91 :駆動モータ
91a :モータギヤ
92 :分岐ギヤ
92a :中継ギヤ部
92b :第一かさばギヤ
93 :ボトル第一ギヤ
94 :第二ボトルギヤ
96 :第二かさばギヤ
97 :ノズルアイドラギヤ
98 :ノズルスクリュギヤ
164 :ノズル搬送スクリュ
164a :軸
164b :羽根
164c :切り欠き部
165 :中継搬送スクリュ
165a :軸
165b :羽根
190 :駆動装置
191 :駆動モータ
191a :モータギヤ
192 :アイドラギヤ
193 :分岐ギヤ
193a :中継ギヤ部
193b :第一かさばギア
194 :ボトルアイドラギヤ
195 :ボトル第一ギヤ
196 :第二ボトルギヤ
197 :第二かさばギヤ
301 :容器ギヤ
302 :螺旋状突起
X1 :搬送ノズルの空隙
X2 :中継搬送路の空隙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0078】
【特許文献1】特開2021-157142号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8