(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096829
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】音響変換器、音響機器および超音波発振器
(51)【国際特許分類】
H04R 17/00 20060101AFI20230630BHJP
H04R 7/04 20060101ALI20230630BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
H04R17/00
H04R7/04
B81B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212841
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】横田 渉
【テーマコード(参考)】
3C081
5D004
5D016
【Fターム(参考)】
3C081AA13
3C081BA22
3C081BA29
3C081BA44
3C081BA45
3C081BA48
3C081BA55
3C081DA03
3C081DA10
3C081EA21
3C081EA22
5D004AA03
5D004CD02
5D004CD07
5D004CD08
5D004DD05
5D016AA03
5D016AA12
5D016FA01
(57)【要約】
【課題】駆動電圧あたりの音圧レベルを高め、かつ広い周波数帯域でフラットな音圧レベルで駆動する。
【解決手段】振動板と、当該振動板上に配置されて前記振動板を駆動する振動体と、を備える振動部と、前記振動部を囲繞するよう配置される枠部と、前記振動部と、前記枠部とを接続する接続部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動板と、当該振動板上に配置されて前記振動板を駆動する振動体と、を備える振動部と、
前記振動部を囲繞するよう配置される枠部と、
前記振動部と、前記枠部とを接続する接続部と、
を備えることを特徴とする音響変換器。
【請求項2】
前記接続部は、前記振動部と前記枠部とを弾性的に接続し、前記振動部の振動共振を共振および反共振へ分離させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の音響変換器。
【請求項3】
前記反共振は、その振動形状により音圧レベルピークを形成せず、共振は低周波数域での発生となるため音圧レベルのピークとならない、
ことを特徴とする請求項2に記載の音響変換器。
【請求項4】
前記接続部は、長方形形状の弾性部材である、
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の音響変換器。
【請求項5】
前記接続部は、ミアンダ構造の弾性部材である、
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の音響変換器。
【請求項6】
前記接続部は、正方形形状の前記振動部の4つの辺の端部に設けられている、
ことを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の音響変換器。
【請求項7】
前記接続部は、正方形形状の前記振動部の4つの辺の端部と、前記振動部の4つの辺の端部間と、に設けられている、
ことを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の音響変換器。
【請求項8】
前記接続部は、当該接続部と前記振動部との振動変位が揃っている共振モードと、当該接続部と前記振動部との振動変位が180度反転した反共振モードと、の二つのモードを実現する、
ことを特徴とする請求項1ないし7の何れか一項に記載の音響変換器。
【請求項9】
前記振動部の振動板は、当該振動板の中心部を除く領域に、複数の切欠を備える、
前記振動部の振動体は、前記複数の切欠のうちの2つの隣接する切欠の間に形成される、
ことを特徴とする請求項1ないし8の何れか一項に記載の音響変換器。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか一項に記載の音響変換器を備える、
ことを特徴とする音響機器。
【請求項11】
請求項1ないし9の何れか一項に記載の音響変換器を備える、
ことを特徴とする超音波発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響変換器、音響機器および超音波発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、音楽/動画視聴、テレビ会議などの用途として、イヤホンなどの音響機器の開発が行われている。音響機器は、音響発生手段であるスピーカドライバを、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術によって実現している。例えば、スピーカドライバとしては、小型化が容易なPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電膜の電圧印加による収縮を用いた圧電駆動MEMSが多く選択されている。このようなスピーカドライバは、1kHzで100dB以上の音圧レベルを低い電圧(<10V)で出力でき、かつ、広い周波数帯でフラットな音圧レベルであることを要求される。
【0003】
特許文献1には、シリコン層上にPZT膜が形成された正方形の圧電MEMSであって、正方形の2対の対角方向にスリットが形成されており、三角形の1辺のみが固定された片持ち梁構造が併設された圧電駆動MEMSスピーカドライバが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の圧電駆動MEMSを用いたスピーカドライバにおいては、電圧あたりの音圧レベルを向上させることを目的とし、MEMS部分のシリコン厚を薄くし、スピーカ表面の駆動しやすさを向上させ、体積速度(振幅変位量)を大きくすることが多く行われている。しかしながら、このような方法によれば、MEMS部分のシリコン厚によってスピーカ表面の共振が駆動周波数帯域に発生し、低電圧駆動と共に要求されているフラットな音圧レベルが実現できないという課題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、駆動電圧あたりの音圧レベルを高め、かつ広い周波数帯域でフラットな音圧レベルで駆動することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、振動板と、当該振動板上に配置されて前記振動板を駆動する振動体と、を備える振動部と、前記振動部を囲繞するよう配置される枠部と、前記振動部と、前記枠部とを接続する接続部と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、駆動電圧あたりの音圧レベルを高め、かつ広い周波数帯域でフラットな音圧レベルで駆動することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態にかかる音響変換器の構成を示す平面図である。
【
図4】
図4は、従来の音響変換器の構成を示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す従来の音響変換器の動作を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、
図4に示す従来の音響変換器の音圧レベルのピーク例を示す図である。
【
図7】
図7は、音響変換器の動作を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、音響変換器の音圧レベルのピーク例を示す図である。
【
図9】
図9は、第1の実施の形態の第1の変形例を説明する図である。
【
図10】
図10は、第1の実施の形態の第2の変形例を説明する図である。
【
図11】
図11は、第2の実施の形態に係る音響変換器の構成を示す平面図である。
【
図12】
図12は、第2の実施の形態の第1の変形例を説明する図である。
【
図13】
図13は、第3の実施の形態に係る音響変換器の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、音響変換器、音響機器および超音波発振器の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる音響変換器1の構成を示す平面図である。
図1に示すように、音響変換器1は、圧電駆動MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スピーカドライバである。音響変換器1は、振動部2と、振動部2を囲繞するように振動部2の外側に設けられた枠部である外側固定枠部3と、振動部2と外側固定枠部3とを弾性的に接続する接続部である弾性部材4と、を備える。
【0011】
弾性部材4は、例えば、弾性ばねである。弾性部材4は、正方形形状の振動部2の4つの辺の端部に設けられている。
【0012】
振動部2は、正方形形状の振動板6と、振動板6上に配置されて振動板6を駆動する圧電駆動部7と、を備える。圧電駆動部7は、圧電膜が形成された振動体の一例である。振動板6は、シリコンで形成される。圧電駆動部7は、振動板6のほぼ全域に渡って配置される。
【0013】
圧電駆動部7へXY平面である面方向に沿って電圧を印加すると、圧電駆動部7が備える圧電膜が面内方向で収縮し、振動板6とのユニモルフとして、圧電駆動部7は面方向へ変形する。圧電駆動部7への印加電圧を時間的に変化させた場合、振動板6の表面は振動して周辺空気に圧力波を発生させ、これが音として人間に感知される。
【0014】
入力する電圧波形は、再生したい音の波形を、電圧変換されたものであり、この電圧波形を圧電駆動部7へ入力することにより音が再生される。
【0015】
【0016】
圧電駆動部7は、圧電材9を上部電極8と下部電極10とで挟んだ構造である。振動板6は、支持層12に接合されて支持されている。
【0017】
音響変換器1は、外側固定枠部3より見た場合、外側固定枠部3と振動部2との間の弾性部材4と、振動部2と、を備える構造となっている。このため、面方向の共振モードは、振動部2と弾性部材4の振動変位が揃っているモードと、振動部2と弾性部材4の振動変位が180度反転した反共振モードとの二つのモードとなる。
【0018】
図3に示すように、弾性部材4は、シリコンである振動板6により形成されてもよい。この場合、シリコンである振動板6の厚さ、または、弾性部材4の寸法値を変更することにより、弾性部材4のばね定数を変更し、狙いの共振/反共振の設計を実施することができる。弾性部材の厚さとしては5~40μmの範囲にあることが音圧レベルを確保の点から好ましい。
【0019】
なお、
図3に示すように、弾性部材4はシリコンである振動板6で形成されているが、これに限定されものではなく、弾性部材4を振動板6とは別部材により形成することも可能である。
【0020】
このとき、弾性部材4を形成する材料としてはSi,SiC、エポキシ系材料といったMEMS装置に使用可能な材料やABS樹脂とPLA樹脂、ASA樹脂、PP樹脂、PC樹脂やナイロン樹脂、アクリル樹脂、PETG、熱可塑性ポリウレタンといった3Dプリンタに使用可能な材料が挙げられる。製造の簡便さの観点から、弾性部材4は振動板6と同材料から形成されていることが好ましい。
【0021】
ここで、音圧レベルのピークについて説明する。
【0022】
まず、従来の音響変換器における音圧レベルのピークについて説明する。ここで、
図4は従来の音響変換器の構成を示す平面図である。
【0023】
図4に示すように、従来の音響変換器は、シリコンである正方形形状の振動板26と、振動板26上に配置されて振動板26を駆動する圧電駆動部27と、を備える。従来の音響変換器は、圧電駆動部27のXY平面である面方向へ電圧を印加すると、圧電駆動部27の圧電膜が面内方向で収縮する。そして、振動板26とのユニモルフとして、圧電駆動部27は、面方向へ変形する。圧電駆動部27に対する印加電圧を時間に従って変化させた場合、振動板26は面方向に速度を持つようになり、周辺空気の圧力の波を発生させ、これが音として人間に感知される。
【0024】
図5は
図4に示す従来の音響変換器の動作を模式的に示す図であり、
図6は
図4に示す従来の音響変換器の音圧レベルのピーク例を示す図である。このとき、m1は、
図4のz軸(紙面手前から奥方向)における圧電駆動部27及び圧電駆動部27が設けられる領域の振動板26の合計質量に相当し、k1は
図4における圧電駆動部27のばね係数に相当する。すなわち、質量m1は、圧電駆動部27より外側の領域の振動板26は含まない内側の領域の質量である。この時の、1次共振の周波数ωは、下記式で表され、この周波数の時に振動板6の振幅量が最大となり、音圧レベルのピークが形成される。
【0025】
【0026】
したがって、
図5に示すように、従来の音響変換器が片持ち梁構造である場合において、圧電駆動部27の面方向へ振動する共振モードが使用周波数帯域(20~30kHzの帯域)に存在する場合がある。
図6に示すように、面方向へ振動する共振がある場合、その周波数において音響変換器の表面速度もピークとなり、音圧レベルの周波数応答でもピークを有することが分かっている。
【0027】
そのため、従来の音響変換器が片持ち梁構造である場合においては、音響変換器の使用周波数帯域において音圧レベルピークがある場合、共振周波数を回避した周波数帯域で駆動させるようにするか、もしくは、元の入力信号を変調させる必要があり、音響変換器が再生できる音の再現性が低下することが課題となっている。
【0028】
次に、本実施形態の音響変換器1における音圧レベルのピークについて説明する。ここで、
図7は音響変換器1の動作を模式的に示す図、
図8は音響変換器1の音圧レベルのピーク例を示す図である。
【0029】
このとき、m1は
図1における
図4のz軸(紙面手前から奥方向)における圧電駆動部7及び圧電駆動部7が設けられる領域の振動板6の合計質量に相当し、m2は
図2における支持層12と支持層12が設けられる領域の振動版6の合計質量に相当し、k1は
図1における振動板6のばね定数を表し、k2は
図1における4つの弾性ばね4の合成ばね定数を表す。すなわち、質量m1は、圧電駆動部7より外側の領域の振動板6は含まない内側の領域の質量である。また、質量m2は、振動体7より内側の領域の振動板6は含まない外側の領域の質量である。
【0030】
図7に示すように、左右方向をx軸とし、音響変換器1においては、質量m2の振動板6の右端位置をx2、振動板6の右端位置をx1と置いた場合、運動方程式は以下の式となる。
【0031】
【0032】
上述の連立方程式の固有値を解いた場合、以下のようになる。
【0033】
【0034】
ここで、固有値は解を2つ持つため、音響変換器1の構造では2つの共振点を持つことが分かる。また、この解において、大きい固有値と小さい固有値では、振動時の位相が異なり、小さい固有値では、質量m2と振動膜質量m1は同位相で振動し、一方大きい固有値では、それぞれの質量は180度ずれた位相で振動する。180度ずれた場合は、体積速度を低下させることができるため、音圧レベルのピークを抑制することができる。また、同位相の場合、駆動時の変位量ピークは大きくなる。
【0035】
一方、スピーカの振動周波数に対するパワースペクトルは、共振より小さい低音域では周波数の4乗に比例し、中音域では周波数に依存せず、共振周波数より十分高い高音域では周波数の2乗に反比例することが知られている。そのため、放射効率の下がる低音域に同位相となる固有値を上記式より設計し、180度ずれた位相の固有値は放射効率が下がる高音域とする設計にすることにより、音圧レベルピークの小さいフラット特性の構造となる。
【0036】
上述したように、振動部2の端部を固定して得られる共振モード周波数に対し、本実施形態の音響変換器1の共振モード振動数は低い周波数となり、反共振モードは高い周波数となる。音響変換器1の表面の振動が音圧レベルに変換される場合、周波数が高いほど変換効率が高い。そのため、共振モードを低周波数帯域に変更できることにより、音圧レベルピークを低減することができる。また、反共振モードにおいては、振動部2と弾性部材4の面方向速度が逆方向となるため、体積速度(振幅変位量)の増加が通常のピークに対して小さくなる。そのため、音圧レベルにおけるピークを低減することができる。
【0037】
図8の音響変換器1の音圧レベルのピーク例に示されるように、矢印P1が共振モードによる音圧レベルピークであり、矢印P2が反共振モードによりフラット特性となった部位である。
図8に示すように、音響変換器1は、音圧レベルピークが小さく、かつ、フラット特性となる。
【0038】
このように本実施形態によれば、音響変換器1は、圧電膜が形成された振動部2の外周部に弾性部材4を設け、弾性部材4を振動部2の外周部のさらに外側に設けられた外側固定枠部3へ接続した構造であるので、駆動電圧あたりの音圧レベルを高め、かつ広い周波数帯域でフラットな音圧レベルで駆動することができる。
【0039】
なお、振動部2の構成は、
図1に示す構成に限られるものではない。例えば、振動部2の駆動速度を上げるために、振動板6に空洞を設けるようにしてもよい。
【0040】
[第1の変形例]
図9は、第1の実施の形態の第1の変形例を説明する図である。
【0041】
図9に示す第1の変形例では、
図1に示した実施形態に対して、振動板6の四隅に圧電駆動部7が配置されていない点が異なる。これにより、振動板6の四隅に配置された圧電駆動部7の剛性に起因して、振動板6の曲げ弾性が向上して音圧レベルが低下することを低減できる。加えて、
図9に示す第1の変形例では、振動板6の四隅に切欠60が形成されている。
【0042】
振動板6の四隅に形成される切欠60は、
図9(a)に示すように圧電駆動部7に隣接する正方形形状の切欠60であってもよく、
図9(b)に示すように圧電駆動部7に隣接するL字形状の切欠60であってもよい。
【0043】
これにより、振動板6の四隅の剛性に起因して、振動板6の曲げ弾性が向上して音圧レベルが低下することを低減できる。
【0044】
[第2の変形例]
図10は、第1の実施の形態の第2の変形例を説明する図である。
【0045】
図10に示す第2の変形例では、
図1に示した実施形態に対して、それぞれの長手方向の向きが異なる複数の切欠60が設けられている。具体的には、
図10に示す変形例では、複数の切欠60のそれぞれの長手方向の向きと振動板6の辺のなす角度θは90度以外になっている。第2の変形例では、切欠60の長さを大きくしつつ、振動板6の中心部の面積を低下させないため、音圧レベルが下がらない。
【0046】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0047】
第2の実施の形態は、弾性部材4の構成が、第1の実施の形態と異なるものとなっている。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0048】
図11は第2の実施の形態に係る音響変換器1の構成を示す平面図である。第1の実施の形態に係る音響変換器1においては、弾性部材4は、正方形形状の振動部2の4つの辺の端部に設けられていたが、これに限るものではない。
図11に示すように、第2の実施の形態に係る音響変換器1においては、正方形形状の振動部2の4つの辺の端部に加えて、各辺中心付近にも、弾性部材4を設けている。
【0049】
このように同寸法の弾性部材4の個数を増やした場合、反共振モードの共振周波数を増加させることができ、設計自由度が増す、という効果がある。
【0050】
[第1の変形例]
図12は、第2の実施の形態の第1の変形例を説明する図である。
【0051】
図12に示す第1の変形例では、
図11に示した第2の実施の形態の正方形形状の振動部2の4つの辺に対し、さらに弾性部材4を2つずつ追加した構成となっている。
【0052】
圧電駆動MEMSスピーカドライバである音響変換器1を製造する場合、搬送性などを考慮すると、複数の弾性部材4の合わせたばね弾性係数が大きいほど、壊さずに製造することができる。ただし、複数の弾性部材4を合わせたばね弾性係数が大きくなると、共振モードの共振周波数が高周波数へシフトすることになる。
【0053】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0054】
第3の実施の形態は、弾性部材4の形状が、第1の実施の形態および第2の実施の形態と異なるものとなっている。以下、第3の実施の形態の説明では、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態および第2の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0055】
図13は第3の実施の形態に係る音響変換器の構成を示す平面図である。第1の実施の形態および第2の実施の形態の弾性部材4の形状は長方形形状となっているが、
図13に示すように、本実施形態の弾性部材4の形状は、ミアンダ形状となっている。
【0056】
このように弾性部材4の形状をミアンダ形状とすることにより、弾性ばねである弾性部材4のばね定数を低下させることができ、より低い周波数に反共振モードを移動させることができ、設計自由度が増す、という効果がある。
【0057】
なお、各実施形態に係る音響変換器1は、スピーカ、イヤホン、電子機器、携帯用電子機器などの各種の音響機器に適用可能である。さらに、各実施形態に係る音響変換器1は、音響変換器1の振動によって超音波を発生する超音波発振器などにも適用可能である。
【0058】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【符号の説明】
【0059】
1 音響変換器
2 振動部
3 枠部
4 接続部
6 振動板
7 振動体
60 切欠
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0178000号明細書