IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

<>
  • 特開-液体吐出装置及び液体吐出方法 図1
  • 特開-液体吐出装置及び液体吐出方法 図2
  • 特開-液体吐出装置及び液体吐出方法 図3
  • 特開-液体吐出装置及び液体吐出方法 図4
  • 特開-液体吐出装置及び液体吐出方法 図5
  • 特開-液体吐出装置及び液体吐出方法 図6
  • 特開-液体吐出装置及び液体吐出方法 図7
  • 特開-液体吐出装置及び液体吐出方法 図8
  • 特開-液体吐出装置及び液体吐出方法 図9
  • 特開-液体吐出装置及び液体吐出方法 図10
  • 特開-液体吐出装置及び液体吐出方法 図11
  • 特開-液体吐出装置及び液体吐出方法 図12
  • 特開-液体吐出装置及び液体吐出方法 図13
  • 特開-液体吐出装置及び液体吐出方法 図14
  • 特開-液体吐出装置及び液体吐出方法 図15
  • 特開-液体吐出装置及び液体吐出方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097014
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】液体吐出装置及び液体吐出方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230630BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20230630BHJP
   B41J 11/42 20060101ALI20230630BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 103
B41J2/01 401
B41J21/00 Z
B41J11/42
B65H7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213129
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達也
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
2C187
3F048
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB13
2C056EB30
2C056EB31
2C056EB45
2C056EB46
2C056EB49
2C056EB59
2C056EC07
2C056EC37
2C056FA04
2C056HA01
2C056HA58
2C058AB15
2C058AB17
2C058AC07
2C058AC12
2C058AC17
2C058AD01
2C058AE04
2C058AE09
2C058AF06
2C058AF15
2C058GA02
2C058GA09
2C058GB04
2C058GB14
2C058GB19
2C058GB20
2C058GB36
2C058GB48
2C187AC08
2C187AE07
2C187AF03
2C187AG05
2C187BF09
2C187BH17
2C187HA24
3F048AA05
3F048AB01
3F048AC04
3F048BB02
3F048BB08
3F048CA06
3F048CC12
3F048DA08
3F048DB04
3F048DB07
3F048DB09
3F048DB13
3F048DB16
3F048DC14
3F048DC15
3F048EB39
(57)【要約】
【課題】液体の吐出精度に優れた液体吐出装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る液体吐出装置は、搬送される長尺の記録媒体に液体を吐出する液体吐出装置であって、搬送される前記記録媒体に液体を吐出する複数の液体吐出手段と、前記液体吐出手段の位置に対応して設けられ、搬送される前記記録媒体を撮像した撮像画像を出力する複数の撮像手段と、前記複数の撮像手段から出力された複数の前記撮像画像それぞれにおける有効画像領域に基づき、前記複数の液体吐出部による液体吐出タイミングを制御する制御手段と、前記記録媒体の伸縮状態に基づき、前記有効画像領域の位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更する変更手段と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される長尺の記録媒体に液体を吐出する液体吐出装置であって、
搬送される前記記録媒体に液体を吐出する複数の液体吐出手段と、
前記液体吐出手段の位置に対応して設けられ、搬送される前記記録媒体を撮像した撮像画像を出力する複数の撮像手段と、
前記複数の撮像手段から出力された複数の前記撮像画像それぞれにおける有効画像領域に基づき、前記複数の液体吐出部による液体吐出タイミングを制御する制御手段と、
前記記録媒体の伸縮状態に基づき、前記有効画像領域の位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更する変更手段と、を有する、液体吐出装置。
【請求項2】
前記複数の撮像手段の数は、前記複数の液体吐出手段の数よりも少なく、
前記複数の撮像手段のうち、1つの前記撮像手段は、前記複数の液体吐出手段のうち、搬送方向における最も上流側に配置された前記液体吐出手段の位置に対応した位置に配置される、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記変更手段は、前記記録媒体の伸縮量が所定の伸縮閾値以上の場合に、前記有効画像領域の位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更する、請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記記録媒体の伸縮状態は、前記記録媒体に吐出される前記液体の量、前記記録媒体の周囲の湿度、前記記録媒体の種類、前記液体の種類、前記記録媒体に吐出された前記液体の乾燥状態、および前記記録媒体に加えられる張力、の少なくとも1つに応じた伸縮状態を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記変更手段は、前記記録媒体の伸縮状態と、前記有効画像領域の位置、形状および大きさの少なくとも1つと、の対応関係を示す予め定められた対応情報に基づいて、前記有効画像領域の位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記複数の液体吐出手段は、前記記録媒体の第1面に前記液体を吐出した後に、前記記録媒体における第1面とは反対側の面である第2面に前記液体を吐出し、
前記変更手段は、前記複数の液体吐出手段が前記第2面に前記液体を吐出する前に、前記第1面に前記液体が吐出された前記記録媒体の乾燥状態に応じた前記対応情報に基づいて、前記有効画像領域の位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更する、請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記変更手段は、前記記録媒体の搬送方向、および前記搬送方向に交差する前記記録媒体の幅方向、の少なくとも一方における前記複数の撮像手段それぞれの位置を変更することにより、前記有効画像領域の位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記複数の液体吐出手段は、前記記録媒体の伸縮状態に応じて補正後の画像データに基づいて、前記記録媒体に前記液体を吐出する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
搬送される長尺の記録媒体に液体を吐出する液体吐出装置による液体吐出方法であって、前記液体吐出装置が、
複数の液体吐出手段により、搬送される前記記録媒体に液体を吐出し、
前記液体吐出手段の位置に対応して設けられた複数の撮像手段により、搬送される前記記録媒体を撮像した撮像画像を出力し、
制御手段により、前記複数の撮像手段から出力された複数の前記撮像画像それぞれにおける有効画像領域に基づき、前記複数の液体吐出部による液体吐出タイミングを制御し、
変更手段により、前記記録媒体の伸縮状態に基づき、前記有効画像領域の位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更する、液体吐出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置及び液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送される長尺の記録媒体に液体を吐出する液体吐出装置が知られている。このような液体吐出装置は、吐出した液体により、連帳紙等の長尺の記録媒体に画像を形成する画像形成装置等の用途に使用される。
【0003】
液体吐出装置では、複数の液体吐出部それぞれの位置に対応して設けられた複数の検出部により検出される、長尺の記録媒体の搬送方向における搬送量誤差に基づき、複数の液体吐出部による液体吐出タイミングを制御する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体吐出装置では、搬送される記録媒体が伸縮することにより、液体の吐出精度が低下する場合がある。
【0005】
本発明は、液体の吐出精度に優れた液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る液体吐出装置は、搬送される長尺の記録媒体に液体を吐出する液体吐出装置であって、搬送される前記記録媒体に液体を吐出する複数の液体吐出手段と、前記液体吐出手段の位置に対応して設けられ、搬送される前記記録媒体を撮像した撮像画像を出力する複数の撮像手段と、前記複数の撮像手段から出力された複数の前記撮像画像それぞれにおける有効画像領域に基づき、前記複数の液体吐出部による液体吐出タイミングを制御する制御手段と、前記記録媒体の伸縮状態に基づき、前記有効画像領域の位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更する変更手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液体の吐出精度に優れた液体吐出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る液体吐出装置の構成を例示する図である。
図2】実施形態に係る液体吐出手段周辺の構成を例示するブロック図である。
図3】実施形態に係る制御ICの機能構成例のブロック図である。
図4】実施形態に係る制御ICによる処理例のフローチャートである。
図5】撮像画像と有効画像領域との関係を例示する図である。
図6】位置変更前の有効撮像領域を例示する図である。
図7】位置変更後の有効撮像領域を例示する図である。
図8】インク付与領域に応じた連帳紙の伸縮例を示す第1図である。
図9】インク付与領域に応じた連帳紙の伸縮例を示す第2図である。
図10】連帳紙の伸縮状態に応じた有効撮像領域の形状変更例の図である。
図11】連帳紙の伸縮状態に応じた画像データの補正例を示す図である。
図12】第1変形例に係る液体吐出装置の構成を例示する図である。
図13】第2変形例に係る液体吐出装置の構成を例示する図である。
図14】第3変形例に係る液体吐出装置の構成を例示する図である。
図15】第4変形例に係る液体吐出装置の構成を例示する図である。
図16】第5変形例に係る液体吐出装置の構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0010】
また以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための液体吐出装置を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の形状、その相対的配置、パラメータの値等は特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0011】
実施形態に係る液体吐出装置は、搬送される長尺の記録媒体に液体を吐出するものである。実施形態では、長尺の用紙である連帳紙にインクを吐出して画像を形成するインクジェット方式の液体吐出装置を一例として説明する。ここで、連帳紙は長尺の記録媒体の一例であり、インクは液体の一例である。なお、実施形態の用語における画像形成、印刷、印字および記録はいずれも同義であるとする。
【0012】
<液体吐出装置1の構成例>
図1は、実施形態に係る液体吐出装置1の構成を例示する図である。
【0013】
本実施形態では、液体吐出手段210K、210Y、210M及び210Cがそれぞれインクを吐出し、連帳紙120にインクを付与して画像を形成する。なお、液体吐出手段210K、210Y、210M及び210Cを特に区別しない場合には、液体吐出手段210と称する。
【0014】
液体吐出手段210Kはブラック色のインクを吐出し、液体吐出手段210Yはイエロー色のインクを吐出し、液体吐出手段210Mはマゼンタ色のインクを吐出し、液体吐出手段210Cはシアン色のインクを吐出する。各色のインクにより、連帳紙120にはカラーの画像が形成される。なお、以下では、説明を簡単にするため、ブラックをK、イエローをY、マゼンタをM、シアンをCと称する場合がある。
【0015】
図1に示すように、連帳紙120の周りには、液体吐出手段210K、210Y、210M及び210Cが設けられている。液体吐出手段210K、210Y、210M及び210Cは、搬送される連帳紙120にインクを吐出する。
【0016】
連帳紙120は、駆動ローラ230と、8つの支持ローラ220と、に架け渡されている。連帳紙120は、駆動ローラ230に従動して、搬送方向2に沿って移動する。搬送方向2は、駆動ローラ230の回転によって連帳紙120が移動する方向である。
【0017】
液体吐出手段210に対向して設けられる8つの支持ローラ220は、液体吐出手段210からインクが吐出される際の連帳紙120の引張状態を維持する。
【0018】
撮像手段52Aおよび52Cは、液体吐出手段210Kおよび210Mの位置に対応して設けられ、搬送される連帳紙120を撮像した撮像画像を出力する。
【0019】
本実施形態では、撮像手段52Aは、液体吐出手段210Kからインクを吐出する吐出位置よりも連帳紙120の搬送方向上流側に配置されている。また、撮像手段52Cは、液体吐出手段210Mの位置に対応した位置に配置されている。液体吐出手段210Mの位置に対応した位置は、例えば液体吐出手段210Mが連帳紙120にインクを吐出する位置の直下近傍である。
【0020】
液体吐出手段210は4つであり、撮像手段52Aおよび52Bは2つであるため、撮像手段52Aおよび52Bの数は、液体吐出手段210の数よりも少ない。また、撮像手段52Aおよび52Bのうち、撮像手段52Aは、4つの液体吐出手段210のうち、搬送方向2における最も上流側に配置された液体吐出手段210Kの位置に対応した位置に配置されている。液体吐出手段210Kの位置に対応した位置は、例えば液体吐出手段210Kが連帳紙120にインクを吐出する位置の直下近傍である。
【0021】
撮像手段52Aおよび52Cは、それぞれLED(Light Emitting Diode)と、撮像素子と、を有する。撮像素子は、複数の画素を含むCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等である。
【0022】
撮像手段52Aおよび52Cは、LEDから連帳紙120に光を照射し、撮像素子によって連帳紙120の所定の被撮像領域を撮像し、撮像画像SaおよびScを制御手段520に出力する。所定の被撮像領域は、撮像手段52Aおよび52Cのそれぞれが撮像可能な連帳紙120上の領域に対応する。
【0023】
連帳紙120の表面には、紙の繊維等による地模様が含まれ、連帳紙120の位置によって地模様のパターンが異なる。撮像手段52Aおよび52Cは、例えば連帳紙120におけるこの地模様を撮像する。但し、撮像手段52Aおよび52Cが撮像対象は、地模様に限定されず、連帳紙120に予め設けられたマークを撮像対象としてもよいし、連帳紙120にレーザ光を照射した際に発生するスペックルパターンを撮像対象としてもよい。
【0024】
制御手段520は、撮像画像SaおよびScそれぞれに含まれる有効画像領域に基づき、液体吐出手段210K、210Y、210M及び210Cによるインク吐出タイミングを制御する。
【0025】
具体的には、制御手段520は、撮像画像SaおよびScそれぞれにおける有効画像領域に基づき、搬送方向2における連帳紙120の搬送量誤差を検出し、この搬送量誤差に応じて、液体吐出手段210K、210Y、210M及び210Cによるインク吐出タイミングを制御する。ここで、有効画像領域とは、撮像画像SaおよびScそれぞれにおける一部の画像領域であって、搬送量誤差を検出するために使用される画像領域をいう。
【0026】
なお、制御手段520は、液体吐出手段210Y、210M及び210Cによるインク吐出タイミング制御の他、連帳紙120の搬送制御等を行うこともできる。
【0027】
<液体吐出手段210周辺の構成例>
図2は、液体吐出手段210周辺の構成を例示するブロック図である。なお、液体吐出手段210K、210C、210Mおよび210Yは、いずれも同じ構成を有するため、図2では、1つの液体吐出手段210を一例として説明する。
【0028】
図2に示すように、液体吐出手段210は、ヘッド基板201と、圧電素子支持基板202と、圧電素子駆動IC(Integrated Circuit)203と、複数の圧電素子204と、を有する。また、圧電素子駆動IC203は、複数の圧電素子204と対をなす複数の切替回路205を有する。
【0029】
液体吐出手段210は、液体吐出手段210を駆動させるヘッド駆動基板100と通信可能に接続している。ヘッド駆動基板100は、外部PC(Personal Computer)300と通信可能に接続している。本実施形態では、ヘッド駆動基板100は、制御手段520に含まれるが、制御手段520とは別に設けられてもよい。
【0030】
液体吐出手段210には、インクを収容する複数の液室が設けられており、複数の液室には、それぞれインクを吐出するノズルが設けられている。複数の圧電素子204は、複数の液室に対をなして設けられている。
【0031】
複数の圧電素子204は、それぞれ駆動波形信号に応じて伸縮することによって発生した圧力を液室内のインクに加え、ノズルからインクを吐出させる。複数の切替回路205それぞれは、複数の圧電素子204によるインクの吐出状態と、非吐出状態と、を切り替える電気回路である。
【0032】
ヘッド駆動基板100は、制御IC101と、駆動波形生成手段102Aおよび102Bと、メモリ103と、を有する。制御IC101は、液体吐出装置1による画像形成の元となる画像データImを外部PC300から受信し、この画像データImと、吐出タイミング信号ttと、を液体吐出手段210に送信する。吐出タイミング信号ttは、液体吐出手段210によるインク吐出タイミングに応じた信号である。
【0033】
制御IC101は、撮像手段52Aおよび52Cにより撮像した撮像画像SaおよびScに基づき、インク吐出タイミングを決定する。制御IC101は、決定したインク吐出タイミングに応じた吐出タイミング信号ttを、液体吐出手段210に出力する。
【0034】
駆動波形生成手段102Aは、制御IC101を介して受信した画像データImに応じて生成した駆動波形信号VcomAを液体吐出手段210に出力する。駆動波形生成手段102Bは、制御IC101を介して受信した画像データImに応じて生成した駆動波形信号VcomBを液体吐出手段210に出力する。
【0035】
メモリ103は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。
【0036】
複数の切替回路205は、画像データImと、吐出タイミング信号ttと、に応じて、複数の圧電素子204のうちの吐出状態にする圧電素子204に駆動波形信号VcomAおよびVcomBを出力する。吐出状態になる圧電素子204は、入力した駆動波形信号VcomAおよびVcomBに応じて液室内のインクに圧力を加え、吐出タイミング信号ttに応じたインク吐出タイミングに、ノズルからインクを吐出させる。
【0037】
<制御IC101の機能構成例>
図3は、制御IC101の機能構成を例示するブロック図である。図3に示すように、制御IC101は、検出部111と、決定部112と、通信部113と、取得部114と、変更部115と、補正部116と、吐出制御部117と、を有する。なお、図3では制御IC101の備える主な構成を示すが、制御IC101は、図3に示した構成以外の構成を備えてもよい。
【0038】
制御IC101は、検出部111により、搬送方向2における連帳紙120の搬送量誤差を検出し、決定部112により、検出された搬送量誤差に基づき、液体吐出手段210C、210Mおよび210Yのそれぞれのインク吐出タイミングを決定する。制御IC101は、吐出制御部117によって、決定されたインク吐出タイミングに、液体吐出手段210K、210C、210Mおよび210Yにそれぞれインクを吐出させる。
【0039】
また、制御IC101は、通信部113により外部PC300から画像データImを含む印刷ジョブを受信し、取得部114により、装置内温度の定数T1、乾燥工程温度の定数T2、湿度の定数H1、連帳紙種類の定数P1、インク種類の定数In1、連帳紙120の表面(第1面)へのインク吐出量の定数In2および張力の定数Teそれぞれの情報を取得する。制御IC101は、取得部114により取得された各情報に基づいて、変更部115により移動機構53Aおよび53Cそれぞれの駆動を制御し、移動機構53Aに搭載された撮像手段52A、および移動機構53Cに搭載された撮像手段52Cそれぞれの位置を制御する。
【0040】
さらに、制御IC101は、取得部114により取得された各情報に基づいて、補正部116により画像データImを補正し、補正後の画像データIm'に基づいて、吐出制御部117により液体吐出手段210からインクを吐出させる。
【0041】
より詳細に説明する。搬送方向2における撮像手段52Aと撮像手段52Cとの距離をD[m]とし、連帳紙120の搬送速度をV[m/s]とすると、連帳紙120の所定の被撮像領域は、撮像手段52Aが配置された位置を通過後、時間T(=D/V[s])を経過した後に、撮像手段52Cが配置された位置を通過する。
【0042】
しかしながら、液体吐出装置1による連帳紙120の搬送量誤差があると、この時間Tがずれる。制御IC101は、撮像手段52Aにより連帳紙120の被撮像領域を撮像して撮像画像Saを出力し、その後、時間Tの経過後に、撮像手段52Cにより連帳紙120の被撮像領域を撮像して撮像画像Scを出力する。
【0043】
連帳紙120の搬送量誤差があると、搬送量誤差に応じて撮像画像Scにおける連帳紙120の被撮像領域の画像は、撮像画像Saにおける連帳紙120の被撮像領域の画像に対して搬送方向2に沿ってずれた画像になる。
【0044】
検出部111は、撮像画像Saと撮像画像Scの相互相関演算を行い、撮像画像Saに対する撮像画像Scの搬送方向2におけるずれ量Δを算出する。検出部111は、算出したずれ量Δから、液体吐出手段210Mの位置における連帳紙120の搬送量誤差ΔDmを検出する。
【0045】
ここで、基準とする液体吐出手段210Kに対し、液体吐出手段210C、210Mおよび210Yのそれぞれは、搬送方向2に沿って距離yだけ離れた位置に配置される。この距離yは、以下の(1)式で表すことができる。
y=a×x+b+T1+T2+H1+P1+I1+I2+Te ・・・(1)
【0046】
距離xは、予め定められた液体吐出手段210Kからの距離を表す。複数の液体吐出手段210は、等しい間隔dを空けて配置される。このため、理想的には、液体吐出手段210Cの位置での距離xcは間隔dに等しく、液体吐出手段210Mの位置での距離xmは間隔dの2倍に等しく、液体吐出手段210Yの位置での距離xyは間隔dの3倍に等しい。
【0047】
しかしながら、液体吐出装置1の製造誤差により、液体吐出手段210C、210Mおよび210Kの実際の位置が理想的な位置からずれる場合がある。本実施形態では、所定の定数a、b、T1、T2、H1、P1、I1、I2およびTeを用いて、上記の(1)式により、液体吐出手段210C、210Mおよび210Kの実際の位置を表すことができる。
【0048】
定数aは、複数の液体吐出手段210における距離の比率誤差である。定数bは、複数の液体吐出手段210ごとでのばらつき誤差である。比率誤差およびばらつき誤差は、液体吐出装置1の製造工程において生じるため、製造工程において測定され、メモリ103に格納される。検出部111は、メモリ103に格納された比率誤差およびばらつき誤差を用いて搬送量誤差を検出する。
【0049】
定数T1、T2、H1、P1、I1、I2およびTeは、連帳紙120の伸縮状態に応じた伸縮量を表すものであり、後述する取得部114により取得され、取得部114から検出部111に提供される。
【0050】
検出部111は、液体吐出手段210Mの位置における搬送量誤差ΔDm以外の液体吐出手段210Cの位置における搬送量誤差ΔDcを以下の(2)式により、液体吐出手段210Yの位置における搬送量誤差ΔDyを以下の(3)式により算出する。検出部111は、算出した搬送量誤差ΔDc、ΔDmおよびΔDyを決定部112に出力する。
ΔDc=a×(ΔDm/2)+b+T1+T2+H1+P1+I1+I2+Te ・・・(2)
ΔDy=a×(3×ΔDm/2)+b+T1+T2+H1+P1+I1+I2+Te ・・・(3)
【0051】
決定部112は、検出部111から入力した搬送量誤差ΔDc、ΔDmおよびΔDyに基づき、液体吐出手段210Kの吐出に対する液体吐出手段210C、210Mおよび210Yそれぞれのインク吐出タイミングを決定する。
【0052】
例えば、決定部112は、液体吐出手段210Kがインクを吐出したタイミングをトリガーとして、駆動ローラ230に設けられたロータリーエンコーダが出力する固定クロック信号のクロックパルス数をカウントする。決定部112は、クロックパルス数が、搬送量誤差ΔDc、ΔDmおよびΔDyを補正した、液体吐出手段210C、210Mおよび210Yのそれぞれに対応する目標パルス数になったタイミングをインク吐出タイミングとして決定する。決定部112は、決定したインク吐出タイミングに応じた吐出タイミング信号ttを吐出制御部117に出力する。
【0053】
通信部113は、外部PC300と制御IC101との間での通信を制御する。本実施形態では、制御IC101は、連帳紙120に形成する画像の元となる画像データImを、外部PC300から通信部113を介して受信する。
【0054】
取得部114は、液体吐出装置1内に配置された装置温度センサ54から装置内温度情報t1を入力し、液体吐出装置1の後工程に設けられた乾燥装置に配置された乾燥工程温度センサ55から乾燥工程温度情報t2を入力し、液体吐出装置1内に配置された湿度センサ56から湿度情報h1を入力する。また取得部114は、液体吐出装置1内に設けられ、連帳紙120にかかる張力を検出する張力センサ57から張力情報teを入力し、印刷ジョブから連帳紙種類情報p1、インク種類情報in1および連帳紙120の第2面へのインク吐出量情報in2をそれぞれ入力する。これらの情報を伸縮状態情報Uと総称する。取得部114は、入力した伸縮状態情報Uに基づき、対応情報130が格納されたメモリ103を参照して、定数情報Vを取得する。
【0055】
定数情報Vは、連帳紙120の伸縮状態に応じた複数の定数を表す情報である。定数情報Vは、定数T1、定数T2、定数H1、定数Te、定数P1、定数In1、および定数In2を含んでいる。
【0056】
対応情報130は、装置内温度情報t1と定数T1との対応関係、乾燥工程温度情報t2と定数T2との対応関係、湿度情報h1と定数H1との対応関係、および張力情報teと定数Teとの対応関係を、それぞれ示す情報を含む。また対応情報130は、連帳紙種類情報p1と定数P1との対応関係、インク種類情報in1と定数In1との対応関係、および連帳紙120の第2面へのインク吐出量情報in2と定数In2との対応関係を、それぞれ示す情報を含む。各対応関係は、予め実験またはシミュレーション等により定められる。
【0057】
以下の表1に定数情報Vに含まれる各定数の意味を示す。
【表1】
【0058】
取得部114は、取得した定数情報Vを、検出部111、変更部115および補正部116のそれぞれに出力する。
【0059】
変更部115は、連帳紙120の伸縮状態に基づき、連帳紙120における有効画像領域の位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更する変更手段の一例である。本実施形態では、変更部115は、連帳紙120の伸縮量が所定の伸縮閾値以上の場合に、有効画像領域の位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更する。
【0060】
本実施形態では、変更部115は、連帳紙120の伸縮状態情報Uに基づく定数情報Vに応じて、撮像手段52Aを移動可能に搭載する移動機構53Aを駆動させ、撮像手段52Aの位置を変更することにより、撮像画像Saにおける有効画像領域の位置を変更する。また、変更部115は、連帳紙120の伸縮状態情報Uに基づく定数情報Vに応じて、撮像手段52Cを移動可能に搭載する移動機構53Cを駆動させ、撮像手段52Cの位置を変更することにより、撮像画像Scにおける有効画像領域の位置を変更する。
【0061】
変更部115は、搬送方向2、および搬送方向2に交差する連帳紙120の幅方向、の少なくとも一方における撮像手段52Aおよび52Cそれぞれの位置を変更できる。
【0062】
液体吐出手段210K、210C、210Mおよび210Yが、連帳紙120の表面(第1面)にインクを吐出した後に、連帳紙120における表面とは反対側の面である裏面(第2面)にインクを吐出する場合、すなわち両面印刷する場合には、変更部115は、液体吐出手段210K、210C、210Mおよび210Yが連帳紙120の裏面にインクを吐出する前に、連帳紙120の表面にインクが吐出された連帳紙120の乾燥状態に応じた対応情報130に基づいて、有効画像領域の位置を変更することができる。
【0063】
なお、変更部115による有効画像領域の変更は、撮像手段52Aおよび52Cの位置変更に限定されず、有効画像領域の位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更してもよい。
【0064】
補正部116は、連帳紙120の伸縮状態情報Uに基づく定数情報Vに応じて、画像データImを補正し、補正後の画像データIm'を吐出制御部117に出力する。例えば補正部116は、連帳紙120が縮小した場合には縮小状態に応じて縮小する画像処理を、連帳紙120が伸長した場合には伸長状態に応じて伸長する画像処理を、連帳紙120が伸縮状態に応じて位置ずれした場合には位置ずれに応じてシフトさせる画像処理を、それぞれ画像データImに施すことにより画像データImを補正できる。
【0065】
吐出制御部117は、補正後の画像データIm'と、吐出タイミング信号ttと、に基づき、複数の液体吐出手段210のそれぞれからインクを吐出させる。液体吐出装置1は、複数の液体吐出手段210から吐出されたインクを連帳紙120に付与することにより、連帳紙120上に画像を形成することができる。
【0066】
<制御IC101による処理例>
図4は、制御IC101による処理の一例を示すフローチャートである。制御IC101は、外部PC300から印刷ジョブを受信したタイミング、または液体吐出装置1が有する操作部を用いて、ユーザが画像形成開始の操作入力を行ったタイミング等において図4の処理を開始する。
【0067】
まず、ステップS41において、制御IC101は、取得部114により、装置温度センサ54、乾燥工程温度センサ55、湿度センサ56、張力センサ57および印刷ジョブから伸縮状態情報Uを入力する。
【0068】
続いて、ステップS42において、制御IC101は、取得部114により、伸縮状態情報Uに基づき、メモリ103に格納された対応情報130を参照して、定数情報Vを取得する。取得部114は、変更部115、補正部116および検出部111に定数情報Vを出力する。
【0069】
続いて、ステップS43において、制御IC101は、変更部115により、連帳紙120の伸縮量が所定の伸縮閾値以上であるか否かを判定する。
【0070】
ステップS43において、伸縮閾値以上ではないと判定された場合には(ステップS43、No)、制御IC101は、ステップS45に処理を移行する。
【0071】
一方、ステップS43において、伸縮閾値以上であると判定された場合には(ステップS43、Yes)、ステップS44において、制御IC101は、変更部115により、定数情報Vに応じて、撮像手段52Aを移動可能に搭載する移動機構53Aを駆動させ、撮像手段52Aの位置を変更する。また、制御IC101は、変更部115により、定数情報Vに応じて、撮像手段52Cを移動可能に搭載する移動機構53Cを駆動させ、撮像手段52Cの位置を変更する。
【0072】
続いて、ステップS45において、制御IC101は、定数情報Vに応じて画像データImを補正し、補正後の画像データIm'を吐出制御部117に出力する。
【0073】
なお、ステップS44とステップS45は、適宜順番を入れ替えてもよいし、両ステップが並行に行われてもよい。
【0074】
続いて、ステップS46において、制御IC101は、変更された位置において撮像手段52Aおよび52Cにより撮像された撮像画像SaおよびScを、検出部111により入力する。
【0075】
続いて、ステップS47において、制御IC101は、検出部111により、撮像画像SaおよびScに基づき、搬送量誤差ΔDc、ΔDmおよびΔDyを検出する。検出部111は、検出した搬送量誤差ΔDc、ΔDmおよびΔDyを決定部112に出力する。
【0076】
続いて、ステップS48において、制御IC101は、決定部112により、検出部111から入力した搬送量誤差ΔDc、ΔDmおよびΔDyに基づき、液体吐出手段210Kの吐出に対する液体吐出手段210C、210Mおよび210Yそれぞれのインク吐出タイミングを決定する。決定部112は、決定したインク吐出タイミングに応じた吐出タイミング信号ttを吐出制御部117に出力する。
【0077】
続いて、ステップS49において、制御IC101は、吐出制御部117により、補正後の画像データIm'と、吐出タイミング信号ttと、に基づき、複数の液体吐出手段210のそれぞれからインクを吐出させる。
【0078】
続いて、ステップS50において、制御IC101は、処理を終了するか否かを判定する。この判定は、補正後の画像データIm'に基づく吐出を全て完了したか否か、またはユーザが操作部を用いて画像形成終了の操作入力を行ったか否か等に応じて判定できる。
【0079】
ステップS50において、終了すると判定された場合には(ステップS50、Yes)、制御IC101は、処理を終了する。一方、終了しないと判定されて場合には(ステップS50、No)、制御IC101は、ステップS41以降の処理を再度行う。
【0080】
以上のようにして、制御IC101は、連帳紙120にインクを吐出して画像を形成することができる。
【0081】
<連帳紙120の伸縮状態に応じた有効画像領域Vcの位置変更例>
図5から図7を参照して、連帳紙120の伸縮状態に応じた被撮像領域71の位置変更の一例について説明する。
【0082】
図5は、撮像画像Scと有効画像領域Vcとの関係を例示する図である。なお、図5では撮像画像Scおよび有効画像領域Vcを一例として説明するが、撮像画像Saおよび有効画像領域Vaにおいても同様であるため、撮像画像Saおよび有効画像領域Vaの符号を括弧書きで表記している。
【0083】
図5に示すように、有効画像領域Vcは、撮像画像Scに含まれる一部の領域である。検出部111により相互相関演算が行われる際には、撮像画像Sc全体は使用されず、この有効画像領域Vcのみが使用される。
【0084】
有効画像領域Vcが大きいほど、相互相関演算による搬送量誤差Dcの検出範囲が広くなるが、搬送量誤差Dcの検出精度は低くなる。従って、要求される搬送量誤差Dcの検出精度および検出範囲に応じて、有効画像領域Vcの大きさが適宜、予め定められる。
【0085】
また、相互相関演算では、主に撮像画像Saの特徴的な画像領域に対する撮像画像Scの該特徴的な画像領域のずれ量が、ずれ量Δとして検出される。換言すると、特徴的な画像領域が相互相関演算による搬送量誤差の検出精度に影響する。しかしながら、連帳紙120の伸縮により、撮像画像SaおよびScそれぞれの画像領域内に特徴的な画像領域が含まれなくなると、ずれ量Δを検出できず、搬送量誤差Dを検出できなくなる場合がある。
【0086】
図6および図7は、連帳紙120の伸縮状態に応じた有効撮像領域72の位置変更の一例を説明する図である。図6および図7は、その法線方向から平面視した連帳紙120を表している。図6は、位置変更前の有効撮像領域72を例示する図であり、図7は、位置変更後の有効撮像領域72を例示する図である。
【0087】
図6および図7に示すように、連帳紙120上において、有効撮像領域72は、被撮像領域71に含まれている。被撮像領域71が撮像された画像は、撮像画像Scに対応し、有効撮像領域72が撮像された画像は、有効画像領域Vcに対応する。特徴領域73は、被撮像領域71における特徴的な領域であり、相互相関演算による搬送量誤差の検出精度に影響する特徴的な画像領域に対応する。なお、図6および図7では、特徴領域73を簡易的に表示している。
【0088】
図6に示すように、変更前の状態において、特徴領域73が被撮像領域71内における有効撮像領域72の端部に位置すると、撮像画像SaまたはScのいずれかの画像領域から特徴的な画像領域が外れる場合がある。この場合には、検出部111は、画像領域のずれ量Δを検出できず、搬送量誤差Dを検出できない。
【0089】
本実施形態では、変更部115により、連帳紙120の伸縮状態に応じて、撮像手段52Aおよび52Cを移動方向63に沿って移動させ、撮像手段52Aおよび52Cそれぞれの位置を変更する。この位置変更によって、図7に示すように、有効撮像領域72の端部以外の領域である、例えば有効撮像領域72の中央領域に、特徴領域73を位置させることができる。有効撮像領域72の中央領域に特徴領域73を位置させることにより、撮像画像SaおよびScそれぞれの有効画像領域VaおよびVcの画像領域内に特徴的な画像領域が含まれる状態になり、搬送量誤差Dが検出可能になる。
【0090】
<インク付与領域に応じた連帳紙120の伸縮例>
図8および図9は、インク付与領域に応じた連帳紙120の伸縮の一例を示す図であり、図8は第1図、図6は第2図である。図8および図9は、その法線方向から平面視した連帳紙120を表している。
【0091】
図8および図9において、ドットハッチングで示したインク付与領域61は、液体吐出手段210からインクが吐出され、連帳紙120に付与された領域を表している。また矢印により示した伸縮方向62は、インクが付与されることにより連帳紙120が伸長する方向を表している。
【0092】
図8に示すように、連帳紙120の中央領域にインクが付与された場合には、連帳紙120は、インクが付与された中央領域から周囲に向かって略均等な方向に伸長する。一方、図9に示すように、搬送方向2に交差する連帳紙120の幅方向における端部領域にインクが付与された場合には、連帳紙120は、インクが付与された端部領域から周囲に向かって均等に伸長しない。すなわち、インクが付与された端部領域より外側の連帳紙120が存在しない方向には伸長しない。
【0093】
以上のように、連帳紙120におけるインク付与領域の位置に応じて、連帳紙120の伸長状態は異なる。インク付与領域は画像データImにより決定されるため、液体吐出装置1は、画像データImに基づき、インク付与領域の位置に応じた伸長状態の差異を把握し、変更部115による有効画像領域の位置、形状および大きさの少なくとも1つの変更に反映させることができる。
【0094】
<連帳紙120の伸縮状態に応じた有効画像領域Vcの形状変更例>
図10は、連帳紙120の伸縮状態に応じた有効画像領域Vcの形状変更の一例を示す図である。図10は、その法線方向から平面視した連帳紙120を表している。
【0095】
図10において、連帳紙120aは、搬送方向2に沿って収縮した連帳紙120を表している。変更部115は、連帳紙120aの収縮に応じて有効撮像領域72aが搬送方向2に沿って収縮するように、有効画像領域Vcの形状を変更できる。
【0096】
連帳紙120bは、搬送方向2に沿って伸長した連帳紙120を表している。変更部115は、連帳紙120bの伸長に応じて有効撮像領域72bが搬送方向2に沿って伸長するように、有効画像領域Vcの形状を変更できる。
【0097】
なお、変更部115は、特徴的な画像領域が有効画像領域Vcに含まれるように、有効画像領域Vcの大きさを変更することもできる。
【0098】
<連帳紙120の伸縮状態に応じた画像データImの補正例>
図11は、連帳紙120の伸縮状態に応じた画像データの補正の一例を示す図である。図11は、その法線方向から平面視した連帳紙120と、画像データImおよび補正後の画像データIm'を示している。
【0099】
図11において、連帳紙120aは、搬送方向2に沿って収縮した連帳紙120を表し、連帳紙120bは、搬送方向2に沿って伸長した連帳紙120を表している。
【0100】
補正部116は、連帳紙120aのように、連帳紙120が搬送方向2に沿って収縮した場合には、画像データImを搬送方向2に対応する方向に伸長するように補正した補正後の画像データIma'を出力できる。また、補正部116は、連帳紙120bのように、連帳紙120が搬送方向2に沿って伸長した場合には、画像データImを搬送方向2に対応する方向に収縮するように補正した補正後の画像データImb'を出力できる。
【0101】
<変形例>
本実施形態では、液体吐出装置1が、液体吐出手段210Kの直下近傍に配置した撮像手段52Aと、液体吐出手段210Mの直下近傍に配置した撮像手段52Cと、を有する構成を例示したが、この構成に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0102】
図12から図16は、様々な変形例に係る液体吐出装置の構成を例示する図である。図12は第1例、図13は、第2例、図14は第3例、図15は第4例、図16は第5例をそれぞれ示している。
【0103】
図12に示すように、液体吐出装置1aは、液体吐出手段210Kの直下近傍に配置された撮像手段52Aと、液体吐出手段210Yの直下近傍に配置された撮像手段52Dと、を有する。撮像手段52Dは、液体吐出手段210Yに対応する位置において連帳紙120を撮像した撮像画像Sdを出力する。
【0104】
図13に示すように、液体吐出装置1bは、液体吐出手段210Kの直下近傍に配置された撮像手段52Aと、液体吐出手段210Cの直下近傍に配置された撮像手段52Bと、を有する。撮像手段52Bは、液体吐出手段210Cに対応する位置において連帳紙120を撮像した撮像画像Sbを出力する。
【0105】
図14に示すように、液体吐出装置1cは、液体吐出手段210Kの直下近傍に配置された撮像手段52Aと、液体吐出手段210Cの直下近傍に配置された撮像手段52Bと、液体吐出手段210Mの直下近傍に配置された撮像手段52Cと、を有する。撮像手段52Bは、液体吐出手段210Cに対応する位置において連帳紙120を撮像した撮像画像Sbを出力し、撮像手段52Cは、液体吐出手段210Mに対応する位置において連帳紙120を撮像した撮像画像Scを出力する。
【0106】
図15に示すように、液体吐出装置1dは、液体吐出手段210Kの直下近傍に配置された撮像手段52Aと、液体吐出手段210Cの直下近傍に配置された撮像手段52Bと、液体吐出手段210Yの直下近傍に配置された撮像手段52Dと、を有する。撮像手段52Bは、液体吐出手段210Cに対応する位置において連帳紙120を撮像した撮像画像Sbを出力し、撮像手段52Dは、液体吐出手段210Yに対応する位置において連帳紙120を撮像した撮像画像Sdを出力する。
【0107】
図16に示すように、液体吐出装置1eは、液体吐出手段210Kの直下近傍に配置された撮像手段52Aと、液体吐出手段210Mの直下近傍に配置された撮像手段52Cと、液体吐出手段210Yの直下近傍に配置された撮像手段52Dと、を有する。撮像手段52Cは、液体吐出手段210Mに対応する位置において連帳紙120を撮像した撮像画像Scを出力し、撮像手段52Dは、液体吐出手段210Yに対応する位置において連帳紙120を撮像した撮像画像Sdを出力する。
【0108】
以上のような液体吐出装置1a、1b、1c、1dおよび1eにおいても、液体吐出装置1と同様の効果が得られる。
【0109】
<液体吐出装置1の作用効果>
以上説明したように、液体吐出装置1は、搬送される連帳紙120(長尺の記録媒体)にインク(液体)を吐出するものである。液体吐出装置1は、搬送される連帳紙120にインクを吐出する液体吐出手段210K、210C、210Mおよび210Y(複数の液体吐出手段)と、液体吐出手段210K、210C、210Mおよび210Yの位置に対応して設けられ、搬送される連帳紙120を撮像した撮像画像SaおよびScを出力する撮像手段52Aおよび52C(複数の撮像手段)と、を有する。また液体吐出装置1は、撮像手段52Aおよび52Cから出力された撮像画像SaおよびSc(複数の撮像画像)それぞれにおける有効画像領域VaおよびVcに基づき、液体吐出手段210K、210C、210Mおよび210Yによるインク吐出タイミング(液体吐出タイミング)を制御する制御手段520を有する。さらに液体吐出装置1は、連帳紙120の伸縮状態に基づき、有効画像領域VaおよびVcの位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更する変更部115(変更手段)を有する。
【0110】
液体吐出装置1は、連帳紙120の伸縮状態に基づき、有効画像領域VaおよびVcの位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更するため、連帳紙120が伸縮しても、相互相関演算による検出精度に影響する特徴的な画像領域が有効画像領域VaおよびVcに含まれる状態にし、連帳紙120の搬送量誤差を検出可能にする。本実施形態では、連帳紙120の搬送量誤差を検出可能にすることにより、インクの吐出タイミングの制御精度に優れ、インク吐出精度に優れた液体吐出装置1を提供できる。
【0111】
また、本実施形態では、撮像手段52Aおよび52Cの数は、液体吐出手段210K、210C、210Mおよび210Yの数よりも少ない。撮像手段52Aおよび52Cのうち、撮像手段52Aは、液体吐出手段210K、210C、210Mおよび210Yのうち、搬送方向2における最も上流側に配置された液体吐出手段210Kの位置に対応した位置に配置される。本実施形態では、撮像手段52Aおよび52Cの数を削減するため、液体吐出装置1の構成を簡略化できる。また装置コストを低減できる。
【0112】
また、本実施形態では、連帳紙120の伸縮量が所定の伸縮閾値以上の場合に、有効画像領域VaおよびVcの位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更する。液体吐出装置1は、連帳紙120の伸縮量が所定の伸縮閾値以上である場合にのみ、変更部115による変更を行うため、変更部115による変更のための処理負荷を低減できる。
【0113】
また、本実施形態では、連帳紙120の伸縮状態は、連帳紙120に吐出されるインクの量、連帳紙120の周囲の湿度、連帳紙120の種類、インクの種類、連帳紙120に吐出されたインクの乾燥状態、および連帳紙120に加えられる張力、の少なくとも1つに応じた伸縮状態を含む。伸縮情報がこれらの情報を含むことにより、液体吐出装置1は、様々な要因により連帳紙120が伸縮しても、連帳紙120の搬送量誤差を検出できる。
【0114】
また、本実施形態では、変更部115は、連帳紙120の伸縮状態と、有効画像領域VaおよびVcの位置、形状および大きさの少なくとも1つと、の対応関係を示す予め定められた対応情報130に基づいて、有効画像領域VaおよびVcの位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更する。液体吐出装置1は、連帳紙120の伸縮状態が変わるたびに、変更部115によって上述した(1)式を演算しなくてもよいため、演算負荷を低減することができる。
【0115】
また、本実施形態では、液体吐出手段210K、210C、210Mおよび210Yは、連帳紙120の表面(第1面)にインクを吐出した後に、連帳紙120における裏面(第2面)にインクを吐出する。変更部115は、液体吐出手段210K、210C、210Mおよび210Yが裏面にインクを吐出する前に、連帳紙120の表面にインクが吐出された連帳紙120の乾燥状態に応じた対応情報130に基づいて、有効画像領域VaおよびVcの位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更する。液体吐出装置1は、変更部115により、連帳紙120の表面にインクが吐出された連帳紙120の乾燥状態に応じた対応情報130に基づいて変更するため、両面印刷の際に表面に付与されたインクにより連帳紙120が伸縮しても、連帳紙120の搬送量誤差を検出できる。
【0116】
また、本実施形態では、変更部115は、搬送方向2、および連帳紙120の幅方向、の少なくとも一方における撮像手段52Aおよび52Cそれぞれの位置を変更することにより、有効画像領域VaおよびVcの位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更する。液体吐出装置1は、変更部115により、搬送方向2および連帳紙120の幅方向の両方における撮像手段52Aおよび52Cの位置を変更するため、搬送方向2および連帳紙120の幅方向の両方に連帳紙120が伸縮しても、連帳紙120の搬送量誤差を検出できる。
【0117】
また、本実施形態では、液体吐出手段210K、210C、210Mおよび210Yは、連帳紙120の伸縮状態に応じて補正後の画像データIm'に基づいて、連帳紙120にインクを吐出する。連帳紙120が一時的に伸縮した状態において、連帳紙120に画像が形成されると、その後に連帳紙120の伸縮が伸縮前の状態に戻った場合に、連帳紙120に形成された画像が変形する場合がある。液体吐出装置1は、連帳紙120の伸縮状態に応じて画像データを補正するため、連帳紙120に形成された画像の変形を抑制することができる。
【0118】
以上、実施形態を説明したが、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0119】
なお、実施形態の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷は何れも同義語とする。また記録媒体は、用紙、記録紙、記録用紙、普通紙、光沢紙、フィルム、布等の被記録媒体を含む。記録媒体の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等で、液体が一時的でも付着可能であればよい。また、記録媒体はシート状の形状に限られず、壁や天井等の構造物、或いは段ボールの側面、底面、上面等であってもよい。また、地面や施設等に固定されている立体物の表面を記録媒体としてもよい。
【0120】
液体は、液体吐出部から吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料等を含む溶液、懸濁液、エマルジョン等である。これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液等の用途で用いることができる。
【0121】
また液体吐出部は、ノズルから液体を吐出・噴射する機能部品である。液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータ等を使用するものが含まれる。
【0122】
また、実施形態は、液体吐出方法も含む。例えば、液体吐出方法は、搬送される長尺の記録媒体に液体を吐出する液体吐出装置による液体吐出方法であって、前記液体吐出装置が、複数の液体吐出手段により、搬送される前記記録媒体に液体を吐出し、前記液体吐出手段の位置に対応して設けられた複数の撮像手段により、搬送される前記記録媒体を撮像した撮像画像を出力し、制御手段により、前記複数の撮像手段から出力された複数の前記撮像画像それぞれにおける有効画像領域に基づき、前記複数の液体吐出部による液体吐出タイミングを制御し、変更手段により、前記記録媒体の伸縮状態に基づき、前記有効画像領域の位置、形状および大きさの少なくとも1つを変更する。このような液体吐出方法により、上述した液体吐出装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0123】
また、上記で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0124】
また上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0125】
1 液体吐出装置
2 搬送方向
52A、52B、52C、52D 撮像手段
53A、53C 移動機構
61 インク付与領域
62 伸縮方向
63 移動方向
71 被撮像領域
72 有効撮像領域
73 特徴領域
100 ヘッド駆動基板
101 制御IC
102A、102B 駆動波形生成手段
103 メモリ
111 検出部
112 決定部
113 通信部
114 取得部
115 変更部(変更手段)
116 補正部
117 吐出制御部
120 連帳紙(長尺の記録媒体)
130 対応情報
201 ヘッド基板
202 圧電素子支持基板
203 圧電素子駆動IC
204 圧電素子
205 切替回路
210、210K、210C、210M、210Y 液体吐出手段
220 支持ローラ
300 外部PC
520 制御手段
Im 画像データ
Im' 補正後の画像データ
tt 吐出タイミング信号
Sa、Sc 撮像画像
U 伸縮状態情報
V 定数情報
Vc、Va 有効画像領域
t1 装置内温度情報
t2 乾燥工程温度情報
h1 湿度情報
p1 連帳紙種類情報
in1 インク種類情報
in2 表面へのインク吐出量情報
te 張力情報
a、b、T1、T2、H1、P1、I1、I2、Te 定数
【先行技術文献】
【特許文献】
【0126】
【特許文献1】特開2017‐170889号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16