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特開2023-97069トナー、画像形成装置、画像形成方法、及び印刷物の製造方法
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  • 特開-トナー、画像形成装置、画像形成方法、及び印刷物の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097069
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】トナー、画像形成装置、画像形成方法、及び印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/097 20060101AFI20230630BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
G03G9/097 365
G03G9/087 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213213
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山内 祥敬
(72)【発明者】
【氏名】荻野 弘太郎
(72)【発明者】
【氏名】石井 雅之
(72)【発明者】
【氏名】森 彩華
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA01
2H500AA03
2H500AA08
2H500BA03
2H500CA02
2H500CA03
2H500CA06
2H500CA30
2H500EA13B
2H500EA34C
2H500EA39B
2H500EA42C
2H500EA44B
2H500EA44C
(57)【要約】
【課題】粉砕性、低温定着性、及び耐熱保存性に優れたトナーを提供すること。
【解決手段】非結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、炭化水素系ワックス、及び芳香族系石油樹脂を含有し、前記炭化水素系ワックスに対する前記芳香族系石油樹脂の質量比が1.0以上であり、前記非結晶性ポリエステル樹脂が、ジオール成分として少なくともビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物およびエチレングリコールを含有する、トナー。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、炭化水素系ワックス、及び芳香族系石油樹脂を含有し、
前記炭化水素系ワックスに対する前記芳香族系石油樹脂の質量比が1.0以上であり、
前記非結晶性ポリエステル樹脂が、ジオール成分としてビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物及びエチレングリコールを含有する、
トナー。
【請求項2】
前記ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物の少なくとも一方である、
請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記結晶性ポリエステル樹脂の融点が90℃以上130℃以下である、
請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項4】
前記芳香族系石油樹脂がスチレン系共重合体である、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のトナー。
【請求項5】
前記芳香族系石油樹脂の重量平均分子量が1000以上4000以下である、
請求項1乃至4の何れか一項に記載のトナー。
【請求項6】
前記炭化水素系ワックスがフィッシャートロプシュワックスである、
請求項1乃至5の何れか一項に記載のトナー。
【請求項7】
静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成部と、
前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を、粉砕トナーを用いて現像して粉砕トナー像を形成する現像部と、
前記静電潜像担持体上に形成された粉砕トナー像を記録媒体の表面に転写する転写部と、
前記記録媒体の表面に転写された粉砕トナー像を定着する定着部と、を含み、
前記粉砕トナーが、請求項1乃至6の何れか一項に記載のトナーである、
画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置を用い、請求項1乃至6の何れか一項に記載のトナーによるトナー画像を記録媒体上に形成する、
印刷物の製造方法。
【請求項9】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を、粉砕トナーを用いて現像して粉砕トナー像を形成する現像工程と、
前記静電潜像担持体上に形成された粉砕トナー像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写された粉砕トナー像を定着する定着工程と、を含み、
前記粉砕トナーが、請求項1乃至6の何れか一項に記載のトナーである、
画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー、画像形成装置、画像形成方法、及び印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のトナーには、環境面への配慮から優れた粉砕性を有することが求められている。粉砕性改善のためには、製造工程面だけでなく、材料面での工夫も求められる。また、従来からの省エネルギー化に加えて微粒子からの揮発成分を抑制する観点から、低温定着性の向上が重要であり、特に耐熱保存性の確保や実機内での耐久性の確保も必要となっている。
【0003】
更に、近年ではオフィス用途から大量印刷まで幅広い用途で電子写真システムが使用されており、特に両面で連続印刷を行う際には、排紙後の高温によるブロッキング発生のリスクを抑えることも必要となる。
【0004】
例えば、特許文献1~3には、低分子量の熱可塑性樹脂を使用しつつ、結着樹脂の熱物性を制御することにより、粉砕性と低温定着性を両立する技術が開示されている。また、特許文献4には、水添石油樹脂を使用することにより低温定着性と耐熱保存性を両立する技術が開示されている。更に、特許文献5には、コアシェルトナーにより低温定着性と耐熱保存性を両立する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のトナーでは、粉砕性、低温定着性、及び耐熱保存性の全てを有するものは存在していない。
【0006】
本発明の課題は、粉砕性、低温定着性、及び耐熱保存性に優れたトナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、非結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、炭化水素系ワックス、及び芳香族系石油樹脂を含有し、前記炭化水素系ワックスに対する前記芳香族系石油樹脂の質量比が1.0以上であり、前記非結晶性ポリエステル樹脂が、ジオール成分として少なくともビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物およびエチレングリコールを含有する、トナーである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、粉砕性、低温定着性、及び耐熱保存性に優れたトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置の一例を示す模式図である。
図2】画像形成装置の他の一例を示す模式図である。
図3】画像形成装置の他の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、説明する。
【0011】
<トナー>
本実施形態に係るトナーは、少なくとも非結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、炭化水素系ワックス、及び芳香族系石油樹脂を含有する。
【0012】
<<非結晶性ポリエステル樹脂>>
本開示のトナーに使用する非結晶性ポリエステル樹脂は、ジオール成分としてビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物およびエチレングリコールを含有する。本明細書において、ジオールとは、脂肪族ジオール、脂環族ジオール、及び芳香族ジオールを含む意味である。また、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物は、ビスフェノールAに環状エーテルであるアルキレンオキシドが重合して得られる。
【0013】
トナー中の非結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、特に制限されないが、65質量%以上90質量%であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上85質量%であり、更に好ましくは75質量%以上80質量%である。
【0014】
また、非結晶性ポリエステル樹脂中のジオール成分の含有量は、特に制限されないが、35質量%以上65質量%であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上60質量%であり、更に好ましくは45質量%以上55質量%である。
【0015】
また、ジオール成分中のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物とエチレングリコールの含有量は、特に制限されないが、ジオール成分中のエチレングリコールに対するビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の質量比が0.7~2.3であることが好ましく、より好ましくは1~2、更に好ましくは1.3~1.7である。
【0016】
非結晶性ポリエステル樹脂を構成するジオール成分がビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有することで、トナーとして良好な耐熱性を確保することができる。また、該ジオール成分がエチレングリコールを含有することにより、炭化水素系ワックスとの分散性を良好に保つことができる。その結果、本開示のトナーは、粉砕性、低温定着性、及び耐熱保存性に優れたものとなる。
【0017】
非結晶性ポリエステル樹脂のジオール成分として含まれるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物は、好ましくはビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物の少なくとも一方であり、より好ましくはビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物である。
【0018】
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物がビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物の場合、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物の質量比は、特に制限されないが、ジオール成分中のビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物に対するビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の質量比が3~7であることが好ましく、より好ましくは4~6であり、更に好ましくは4.5~5.5である。
【0019】
非結晶性ポリエステル樹脂のジオール成分がビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物の少なくとも一方であると、粉砕性、低温定着性、および耐熱保存性を向上させることができる。
【0020】
本開示のトナーに使用する非結晶性ポリエステル樹脂は、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド及びエチレングリコール以外のその他のジオール成分を含有してもよい。
【0021】
その他のジオール成分としては、例えば、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、などが挙げられる。
【0022】
非結晶性ポリエステル樹脂を架橋させる手段として、3価以上のポリオールを併用してもよい。3価以上のポリオールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタトリオール、グリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられる。
【0023】
非結晶性ポリエステルを構成する酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、などが挙げられる。
【0024】
また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシ-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル、などが挙げられる。
【0025】
非結晶性ポリエステルの酸価としては、0.1mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることが好ましく、0.1mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であることがより好ましく、0.1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることが更に好ましい。非結晶性ポリエステルの酸価が0.1mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であると、非結晶性ポリエステルが結着樹脂として機能し得る。
【0026】
本開示のトナーにおいて、非結晶性ポリエステルの分子量分布は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
<<結晶性ポリエステル樹脂>>
本開示のトナーは、結晶性ポリエステル樹脂を含有する。結晶性ポリエステル樹脂を含むトナーで、良好な低温定着性を確保することができる。
【0027】
本開示のトナーに使用される結晶性ポリエステル樹脂の融点は90~130℃であることが好ましく、より好ましくは95℃以上125℃以下であり、更に好ましくは100~120℃である。
【0028】
結晶性ポリエステルでは、一部に結晶化していない部分が存在し、そのガラス転移温度は融点に応じて高くなる。また、結晶化していない部分のガラス転移温度と非結晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度が近いほど、相溶性が高くなり、低温定着性が高くなる。以上の理由から、結晶性ポリエステル樹脂の融点が90℃以上であると、低温定着性が高くなり好ましい。
【0029】
ただし、結晶性ポリエステル樹脂の融点が高すぎると、定着時の熱量による融解が不十分となり、低温定着性を阻害する可能性がある。以上の理由から、結晶性ポリエステル樹脂の融点は120℃以下であると、低温定着性の低下を抑制することができ好ましい。
【0030】
結晶性ポリエステル樹脂は、(I)直鎖状不飽和脂肪族2価カルボン酸またはその反応性誘導体(例えば、酸無水物、炭素数1~4の低級アルキルエステル、酸ハライド等)からなる多価カルボン酸成分と、(II)直鎖状脂肪族ジオールからなる多価アルコール成分とを、常法により重縮合反応させることによって製造することができる。
【0031】
結晶性ポリエステル樹脂の製造に用いられる多価カルボン酸成分には、必要に応じて、少量の他の多価カルボン酸を添加することができる。この場合の多価カルボン酸には、(i)分岐鎖を有する不飽和脂肪族二価カルボン酸、(ii)飽和脂肪族2価カルボン酸や、飽和脂肪族3価カルボン酸等の飽和脂肪族多価カルボン酸の他、(iii)芳香族2価カルボン酸や芳香族3価カルボン酸等の芳香族多価カルボン酸等が包含される。
【0032】
これらの多価カルボン酸の添加量は、全カルボン酸に対して、通常、30モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下であり、得られるポリエステルが結晶性を有する範囲内で適宜添加される。
【0033】
必要に応じて添加することのできる多価カルボン酸を例示すると、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シトラコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の2価カルボン酸;無水トリメット酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸等の3価以上の多価カルボン酸、などが挙げられる。
【0034】
多価アルコール成分には、必要に応じ、少量の脂肪族系の分岐鎖2価アルコールや環状2価アルコールの他、3価以上の多価アルコールを添加することができる。その添加量は、全アルコールに対して、30モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下であり、得られるポリエステルが結晶性を有する範囲内で適宜添加される。
【0035】
必要に応じて添加される多価アルコールを例示すると、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ポリエチレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、などが挙げられる。
【0036】
結晶性ポリエステル樹脂において、その分子量分布は、低温定着性の点から、シャープであることが好ましく、また、その分子量は、比較的低分子量であるのが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の分子量は、そのo-ジクロルベンゼン可溶分のGPCによる分子量分布において、その重量平均分子量(Mw)が5500~6500、その数平均分子量(Mn)が1300~1500、及びそのMw/Mn比が2~5であることが好ましい。
【0037】
結晶性ポリエステル樹脂の分子量分布は、横軸をlogM(Mは分子量)とし、縦軸を質量%とする分子量分布図に基づくものである。本開示のトナーで用いる結晶性ポリエステル樹脂(A)の場合、この分子量分布図において、3.5~4.0質量%の範囲に分子量ピークを有することが好ましく、また、そのピークの半値幅が1.5以下であることが好ましい。
【0038】
<<炭化水素系ワックス>>
本開示のトナーは、炭化水素系ワックスを含有する。炭化水素系ワックスは、比較的融点が高いため、炭化水素系ワックスを含有するトナーは、耐熱性に優れ、耐ブロッキング抑止性にも優れるものとなる。
【0039】
炭化水素系ワックスは、合成ワックス、天然ワックスのいずれでもよい。炭化水素系ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、などが挙げられる。中でも、トナーの耐熱性および耐ブロッキング抑止性を向上させる点で、フィッシャートロプシュワックスが好ましい。
【0040】
炭化水素系ワックスの融点としては、特に制限されないが、75℃以上100℃以下であることが好ましく、80℃以上95℃以下がより好ましい。炭化水素系ワックスの融点を75℃以上とすることにより、トナーにおける耐ブロッキング抑制の効果を確保することができる。また、炭化水素系ワックスの融点を100℃以下とすることにより、トナーにおける低温定着性の阻害を抑制することができる。
【0041】
トナー中の炭化水素系ワックスの含有量は、4.5質量%以上6.5質量%以下であることが好ましく、5質量%以上6質量%以下がより好ましい。炭化水素系ワックスの含有量を4.5質量%以上とすることにより、トナーにおける定着時の離型性を確保することができる。また、炭化水素系ワックスの含有量を6.5質量%以下とすることにより、過剰なワックスによるトナーの耐久性低下を抑制することができる。
【0042】
<<芳香族系石油樹脂>>
本開示のトナーは、芳香族系石油樹脂を含有する。芳香族系石油樹脂を含有するトナーでは、粉砕性を高め、低温定着性を維持しながら耐熱性を高めることが可能になる。
【0043】
本明細書において、芳香族系石油樹脂とは、石油のC9留分であるスチレン、ビニルトルエン、インデン等を原料として合成した樹脂である。芳香族系石油樹脂としては、これらの中でも、ワックス分散性とトナーの耐久性を向上させる点で、スチレン系共重合体が好ましい。
【0044】
スチレン系共重合体としては、特に制限されないが、例えば、ポリスチレン、ポリp-スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体、スチレン-αメチルスチレン共重合体、スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン-α-クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、などが挙げられる。スチレン系共重合体としては、これらの中でも、スチレン―αメチルスチレン共重合体が好ましい。
【0045】
スチレン系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、60℃以上であることが好ましく、65~85℃であることがさらに好ましい。スチレン樹脂のTgが60℃以上であることにより、耐熱保存性が向上する。
【0046】
なお、Tgは、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製、Q-200)を用いて測定される。具体的には、対象試料約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れた後、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉にセットし、次に、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minで-80℃から150℃まで昇温し、得られたDSC曲線から、示差走査熱量計中の解析プログラムを用いて、対象試料のガラス転移温度(Tg)が求められる。
【0047】
本開示のトナーでは、炭化水素系ワックスに対する芳香族系石油樹脂の質量比が1.0以上であることが好ましい。比率が1.0以上であることにより、ワックス分散性を良好に保ち、トナーの耐久性を確保することができる。
【0048】
芳香族系石油樹脂の重量平均分子量は、1000以上4000以下あることが好ましく、より好ましくは1300以上3800以下、更に好ましくは1500以上3700以下である。芳香族系石油樹脂の重量平均分子量が1000以上であることにより、実機内でのトナーの耐久性を確保することができる。また、芳香族系石油樹脂の重量平均分子量が4000以下であることにより、トナーにおける良好な粉砕性を確保することができる。
【0049】
本開示のトナーは、必要に応じて、着色剤、帯電制御剤、外添剤を含有してもよい。
【0050】
<<着色剤>>
本開示のトナーに用いられる着色剤としては、公知の染料および顔料が全て使用できる。
【0051】
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンおよびこれらの混合物、などが挙げられる。
【0052】
着色剤の含有量としては、トナーに対して1質量%以上15質量以下であることが好ましく、3質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
【0053】
本開示のトナーに用いられる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチとともに混練される結着樹脂としては、上述の結着樹脂としても用いられる非結晶性ポリエステルと同じものが使用できる。また、結着樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0054】
マスターバッチは、マスターバッチ調製用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得ることができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる、着色剤の水を含んだ水性ペーストを、樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も、着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため、乾燥する必要がなく、好適に使用される。
【0055】
混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用される。マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましい。
【0056】
また、マスターバッチ調製用の樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下、アミン価が1~100で、着色剤を分散させて使用することが好ましく、酸価が20mgKOH/g以下、アミン価が10~50で、着色剤を分散させて使用することがより好ましい。
【0057】
酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となることがある。また、アミン価が1未満であるとき、および、アミン価が100を超えるときにも、顔料分散性が不十分となることがある。なお、酸価はJIS K0070に記載の方法により測定することができ、アミン価はJIS K7237に記載の方法により測定することができる。
【0058】
また、顔料の分散性を高めるために分散剤を用いることができる。分散剤は、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、具体的な市販品としては、「アジスパー(登録商標)PB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk(登録商標)-2001」(ビックケミー社製)、「EFKA-4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
【0059】
分散剤の質量平均分子量は、GPCにおけるスチレン換算質量での、メインピークの極大値の分子量で、500~100,000が好ましく、顔料分散性の観点から、3,000~100,000がより好ましく、5,000~50,000がさらに好ましく、5,000~30,000が特に好ましい。
【0060】
分散剤の質量平均分子量が500未満であると、極性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。また、分散剤の質量平均分子量が100,000を超えると、溶剤との親和性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。
【0061】
分散剤は、トナー中に、着色剤に対して0.1質量%以上10質量%以下の割合で配合することが好ましい。分散剤の配合割合が0.1質量%未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、10質量%より多いと、高湿下での帯電性が低下することがある。
【0062】
<<帯電制御剤>>
本開示のトナーに用いられる帯電制御剤としては、公知のものが全て使用できる。但し、カラートナーでは、白色もしくは淡色のものが好ましい。有色の帯電制御剤では、トナーに色が混じり、くすむために含有量を少なくする必要がある。
【0063】
帯電制御剤を例示すると、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩および、サリチル酸誘導体の金属塩等を挙げることができる。
【0064】
帯電制御剤としては、具体的には、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP-51、含金属アゾ染料のボントロンS-34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE-82、サリチル酸系金属錯体のE-84、フェノール系縮合物のE-89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP-302、TP-415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA-901、ホウ素錯体であるLR-147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0065】
本開示のトナーにおいて帯電制御剤の含有量は、結着樹脂(バインダー樹脂)の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100質量%に対して0.1~10質量%の範囲で用いられ、より好ましくは0.2~5質量%の範囲である。
【0066】
帯電制御剤の含有量が10質量%を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤、離型剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練することができる。
【0067】
<<外添剤>>
また、トナーの流動性や保存性、現像性、転写性、耐久性を高めるために、トナー母体粒子に外添剤として、酸化物微粒子、疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子や、高分子系の樹脂微粒子を添加混合してもよい。転写性や耐久性を低下させるワックスをこれらの外添剤で覆い隠すこととトナー表面が微粒子で覆われることによる接触面積が低下することによりこの効果が得られる。
【0068】
これらの無機微粒子はその表面が疎水化処理されていることが好ましく、疎水化処理されたシリカや酸化チタン、といった金属酸化物微粒子が好適に用いられる。疎水化処理されたシリカの外添量より疎水化処理された酸化チタンの外添量を多くすることにより湿度に対する帯電の安定性にも優れ、トナー転写率の改善および耐フィルミング性の良いトナーとすることができる。
【0069】
無機微粒子や樹脂微粒子の一次粒子径は、5nm~2μmのものが好ましく用いられる。無機微粒子の使用割合は、種類にもよるが、トナー粒子に対してその0.01~5質量%の範囲で用いられる。ここで、一次粒子径は、粒子の透過型電子顕微鏡写真(TEM像)又は走査型電子顕微鏡写真(SEM像)から求められる体積平均一次粒子径の平均値(個数基準の平均一次粒子径)を示す。
【0070】
無機微粒子の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、などが挙げられる。これらの無機微粒子は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0071】
また、高分子系の樹脂微粒子としては、例えば、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0072】
これらのうち、離型剤として、ケトンワックス以外にグリセリン脂肪酸エステルもしくはポリグリセリン脂肪酸エステルを併用した場合は、シリカと酸化チタンを併用するのが好ましい。シリカ、酸化チタンは、負帯電性が強く、外添剤がない状態で、正帯電性の粒子を負帯電性に変更することができる。
【0073】
なお、無機微粒子の表面を疎水化処理する疎水化処理剤の代表例としては、ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α-クロルエチルトリクロルシラン、p-クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、p-クロルフェニルトリクロルシラン、3-クロルプロピルトリクロルシラン、3-クロルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニル-トリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルジクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン、オクチル-トリクロルシラン、デシル-トリクロルシラン、ノニル-トリクロルシラン、(4-t-プロピルフェニル)-トリクロルシラン、(4-t-ブチルフェニル)-トリクロルシラン、ジペンチル-ジクロルシラン、ジヘキシル-ジクロルシラン、ジオクチル-ジクロルシラン、ジノニル-ジクロルシラン、ジデシル-ジクロルシラン、ジドデシル-ジクロルシラン、ジヘキサデシル-ジクロルシラン、(4-t-ブチルフェニル)-オクチル-ジクロルシラン、ジオクチル-ジクロルシラン、ジデセニル-ジクロルシラン、ジノネニル-ジクロルシラン、ジ-2-エチルヘキシル-ジクロルシラン、ジ-3,3-ジメチルペンチル-ジクロルシラン、トリヘキシル-クロルシラン、トリオクチル-クロルシラン、トリデシル-クロルシラン、ジオクチル-メチル-クロルシラン、オクチル-ジメチル-クロルシラン、(4-t-プロピルフェニル)-ジエチル-クロルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ジエチルテトラメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン、などが挙げられる。疎水化処理剤の代表例としては、これらの他にも、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤が挙げられる。
【0074】
以上の外添剤の混合には、一般の粉体の混合機が用いられるが、ジャケット等を装備して内部の温度を調節できることが好ましい。例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが好ましく用いられる。
【0075】
上記した無機微粒子や樹脂微粒子は、トナー中に含有(内添)させることにより、外添した場合より効果は減少するが転写性や耐久性を向上させる効果が得られるとともに、トナーの粉砕性を向上させることができる。また、外添と内添を併用することにより外添した微粒子が埋め込まれることを抑制することができるため、トナーにおいて優れた転写性が安定して得られるとともに、耐久性も向上する。
【0076】
<<その他の成分>>
また、本開示のトナーにおいては、目的に応じて適宜その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、などが挙げられる。
【0077】
流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを示す。流動性向上剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが挙げられる。
【0078】
クリーニング性向上剤は、静電潜像担持体や中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するためにトナーに添加される。
【0079】
クリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、重量平均粒径が0.01~1μmのものが好適である。
【0080】
磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、などが挙げられる。磁性材料は、これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
【0081】
金属石鹸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛、などが挙げられる。
【0082】
<<トナーの製造方法>>
本開示のトナーを製造する方法としては、特に制限されるものではなく、溶融混練粉砕法および重合法、イソシアネート基含有プレポリマーを用いた重付加反応法、溶剤に溶解し脱溶剤して粉砕する方法のほか、溶融スプレー法によっても製造することができる。
【0083】
トナーの製造方法としては、例えば、溶融混練法、特定の結晶性高分子および重合性単量体を含有する単量体組成物を水相中で直接的に重合する重合法(懸濁重合法・乳化重法)、特定の結晶性高分子およびイソシアネート基含有プレポリマーを含む組成物を水相中でアミン類により直接的に伸長/架橋する重付加反応法、溶剤溶解し脱溶剤して粉砕する方法、などが採用できる。
【0084】
なお、前述のように本開示のトナーにおいては、結着樹脂の主成分がポリエステル樹脂であるものは好ましく用いられる。
【0085】
溶融混練粉砕法において、トナーを溶融混練する装置としては、バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機(例えば、神戸製鋼所社製のKTK型2軸押出し機、東芝機械社製のTEM型2軸押出し機、KCK社製の2軸押出し機、池貝鉄工社製のPCM型2軸押出し機、栗本鉄工所社製のKEX型2軸押出し機など)や連続式の1軸混練機(例えばブッス社製コ・ニーダなど)が好適に用いられる。
【0086】
上記重合法、イソシアネート基含有プレポリマーを用いた重付加反応法においては、水相中での機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)処理が必須となる。かかる機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い攪拌または超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることができる。
【0087】
粉砕する方法については、ハンマーミルやロートプレックス等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式の微粉砕機などを使用することができ、平均粒径が3~15μmになるように行なうのが望ましい。さらに、粉砕物は、風力式分級機等により、5~20μmに粒度調整される。
【0088】
トナーのフローテスターにより求められる軟化温度(T1/2:昇温・所定荷重下において試料の半量が流出する温度)は、115~140℃であるものが好適である。そして、トナー保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が55~70℃であるのが好ましく、57~70℃であるのがより好ましい。
【0089】
Tgが55℃より低いと高温雰囲気下でトナーが劣化しやすく、また定着時にオフセットが発生しやすくなることがある。また、Tgが70℃を超えると、定着性が低下することがある。
【0090】
外添剤のトナー母体への外添は、トナー母体と外添剤をミキサー類を用いて混合・攪拌することにより外添剤が解砕されながらトナー表面に被覆させる。このとき、無機微粒子や樹脂微粒子等の外添剤が均一にかつ強固にトナー母体に付着させることが耐久性の点で重要である。
【0091】
<<現像剤>>
本開示のトナーを用いた現像剤は、一成分現像剤または二成分現像剤のいずれであってもよい。例えば、二成分現像剤は、本開示のトナーとキャリアとを有する。
【0092】
キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
【0093】
芯材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50emu/g以上90emu/g以下のマンガン-ストロンチウム(Mn-Sr)系材料、マンガン-マグネシウム(Mn-Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75emu/g以上120emu/g以下)等の高磁化材料が好ましい。
【0094】
また、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅-ジンク(Cu-Zn)系(30emu/g以上80emu/g以下)等の弱磁化材料が好ましい。これらの弱磁化材料は、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
【0095】
芯材の体積平均粒径としては、25μm以上200μm以下が好ましい。
【0096】
樹脂層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0097】
二成分現像剤におけるトナーとキャリアの配合割合は、キャリアに対するトナーの配合量が2.0質量%以上12.0質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
【0098】
<<トナー収容ユニット>>
本開示のトナーは、トナー収容ユニットに収容して使用することができる。ここで、トナー収容ユニットは、トナーを収容する機能を有するユニットに、トナーを収容したものである。トナー収容ユニットの態様としては、例えば、トナー収容容器、現像器、プロセスカートリッジ等が挙げられる。
【0099】
トナー収容容器とは、トナーを収容した容器を示す。
【0100】
現像器とは、トナーを収容し現像する手段を有するものを示す。
【0101】
プロセスカートリッジとは、少なくとも像担持体と現像手段とを一体とし、トナーを収容し、画像形成装置に対して着脱可能であるものを示す。プロセスカートリッジは、更に帯電手段、露光手段、クリーニング手段のから選ばれる少なくとも一つを備えてもよい。
【0102】
トナー収容ユニットは、後述の画像形成装置に装着して画像形成することで、本開示のトナーを用いて画像形成が行われるため、低温定着性及び耐熱保存性に優れ、優れた画像が得られる。
【0103】
<<プロセスカートリッジ>>
本開示のトナーは、プロセスカートリッジに用いられる。プロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段などのその他の手段を有する。
【0104】
現像手段としては、本開示のトナー又は上述の現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容されたトナー又は現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
【0105】
プロセスカートリッジは、各種電子写真装置、ファクシミリ、プリンターに着脱可能に備えさせることができ、後述する本開示の画像形成装置に着脱可能に備えさせるのが好ましい。
【0106】
<画像形成方法及び画像形成装置>
本開示の画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、該静電潜像担持体上に形成された該静電潜像を、粉砕トナーを用いて現像して粉砕トナー像を形成する現像工程と、該静電潜像担持体上に形成された粉砕トナー像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、該記録媒体の表面に転写された粉砕トナー像を定着する定着工程と、を含む。
【0107】
本開示の画像形成方法は、更に必要に応じて、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程などのその他の工程を含む。
【0108】
本開示の画像形成装置は、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成部と、該静電潜像担持体に形成された該静電潜像を、粉砕トナーを用いて現像して粉砕トナー像を形成する現像部と、該静電潜像担持体上に形成された粉砕トナー像を記録媒体の表面に転写する転写部と、該記録媒体の表面に転写された粉砕トナー像を定着する定着部と、を含み、更に必要に応じて、除電部、クリーニング部、リサイクル部、制御部などのその他の部を有する。
【0109】
本開示の画像形成方法および画像形成装置において、粉砕トナーは、本開示のトナーを使用する。
【0110】
また、本開示の印刷物の製造方法は、本開示の画像形成装置を用い、本開示のトナーによる粉砕トナー画像を記録媒体上に形成する。
【0111】
本発明の印刷物の製造方法によれば、粉砕性、低温定着性、及び耐熱保存性に優れる本開示のトナーを用いているので、高画質な画像を長期にわたって印刷された印刷物が得られる。
【0112】
<<静電潜像形成工程及び静電潜像形成部>>
本開示の画像形成方法を構成する静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。静電潜像担持体(以下、「電子写真感光体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。
【0113】
静電潜像担持体の形状としては、ドラム状が好適に挙げられる。静電潜像担持体の材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)などが挙げられる。静電潜像担持体の材質としては、これらの中でも、より高精細な画像が得られる点で、有機感光体(OPC)が好ましい。
【0114】
静電潜像の形成は、例えば、静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、静電潜像形成部により行うことができる。
【0115】
静電潜像形成部は、例えば、静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電部(帯電器)と、静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光部(露光器)とを少なくとも備える。
【0116】
帯電は、例えば、帯電器を用いて静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた、それ自体が公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器などが挙げられる。
【0117】
帯電器としては、静電潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。また、帯電器が、静電潜像担持体にギャップテープを介して非接触に近接配置された帯電ローラであり、該帯電ローラに直流並びに交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
【0118】
露光は、例えば、露光器を用いて静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。露光器としては、上述の帯電器により帯電された静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。露光器としては、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、等の各種露光器が挙げられる。
【0119】
なお、本開示の画像形成方法及び画像形成装置においては、静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0120】
<<現像工程及び現像部>>
現像工程は、静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する工程である。可視像の形成は、例えば、静電潜像を本開示のトナーを用いて現像することにより行うことができ、現像部により行うことができる。
【0121】
現像部は、例えば、本開示のトナーを収容し、静電潜像に該トナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適であり、トナー入り容器を備えた現像器等がより好ましい。
【0122】
現像器は、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、トナーを摩擦撹拌させて帯電させる撹拌器と、回転可能なマグネットローラとを有するもの等が好適に挙げられる。
【0123】
<<転写工程及び転写部>>
転写工程は、可視像を記録媒体に転写する工程である。転写工程は、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を記録媒体上に二次転写する態様が好ましい。転写工程では、トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用いる。転写工程は、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
【0124】
転写部(第一次転写部、第二次転写部)は、静電潜像担持体(感光体)上に形成された可視像を記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。転写部は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
【0125】
転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
【0126】
なお、記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
【0127】
<<定着工程及び定着部>>
定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程である。定着工程は、各色の現像剤に対し記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色の現像剤に対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
【0128】
定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せなどが挙げられる。
【0129】
除電工程は、静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電部により好適に行うことができる。
【0130】
除電部としては、特に制限はなく、静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0131】
クリーニング工程は、静電潜像担持体上に残留するトナーを除去する工程であり、クリーニング部により好適に行うことができる。
【0132】
クリーニング部としては、特に制限はなく、静電潜像担持体上に残留するトナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができる。クリーナとしては、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
【0133】
リサイクル工程は、クリーニング工程により除去したトナーを現像部にリサイクルさせる工程であり、リサイクル部により好適に行うことができる。リサイクル部としては、特に制限はなく、公知の搬送部などが挙げられる。
【0134】
制御工程は、上述の各工程を制御する工程であり、各工程は制御部により好適に行うことができる。
【0135】
制御部としては、各部の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0136】
図1は、本発明の画像形成装置の一例(第1実施形態)を示す概略説明図である。画像形成装置100Aは、感光体ドラム10と、帯電ローラ20と、露光装置(不図示)と、現像装置40と、中間転写ベルト50と、クリーニングブレードを有するクリーニング装置60と、除電ランプ70とを備える。、感光体ドラム10は、静電潜像担持体の一例である。
【0137】
中間転写ベルト50は、内側に配置されている3個のローラ51で張架されている無端ベルトであり、図1中、矢印方向に移動することができる。3個のローラ51の一部は、中間転写ベルト50に転写バイアス(一次転写バイアス)を印加することが可能な転写バイアスローラとしても機能する。
【0138】
中間転写ベルト50の近傍には、クリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。更に、転写紙95にトナー像を転写するための転写バイアス(二次転写バイアス)を印加することが可能な転写ローラ80が中間転写ベルト50と対向して配置されている。
【0139】
中間転写ベルト50の周囲には、中間転写ベルト50に転写されたトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電装置58が設けられている。コロナ帯電装置58は、中間転写ベルト50の回転方向(図1中、矢印方向)に対して、感光体ドラム10と中間転写ベルト50の接触部と、中間転写ベルト50と転写紙95の接触部との間に配置されている。
【0140】
現像装置40は、現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M、及びシアン現像ユニット45Cから構成されている。
【0141】
なお、各色の現像ユニット45(現像ユニット45K、45Y、45M、45C)は、現像剤収容部42(現像剤収容部42K、42Y、42M、42C)、現像剤供給ローラ43(現像剤供給ローラ43K、43Y、43M、43C)、及び現像ローラ(現像剤担持体)44(現像ローラ44K、44Y、44M、44C)を備える。また、現像ベルト41は、複数のベルトローラで張架されている無端ベルトであり、図1中、矢印方向に移動することができる。更に、現像ベルト41の一部が感光体ドラム10と接触している。
【0142】
次に、画像形成装置100Aを用いて画像を形成する方法について説明する。まず、帯電ローラ20を用いて、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させた後、露光装置(不図示)を用いて、感光体ドラム10に露光光Lを露光し、静電潜像を形成する。次に、感光体ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40から供給されたトナーで現像してトナー像を形成する。
【0143】
更に、感光体ドラム10上に形成されたトナー像が、ローラ51から印加された転写バイアスにより、中間転写ベルト50上に転写(一次転写)された後、転写ローラ80から印加された転写バイアスにより、転写紙95上に転写(二次転写)される。一方、トナー像が中間転写ベルト50に転写された感光体ドラム10は、表面に残留したトナーがクリーニング装置60により除去された後、除電ランプ70により除電される。
【0144】
図2に、本発明で用いられる画像形成装置の他の一例(第2実施形態)を示す。画像形成装置100Bは、現像ベルト41を設けずに、感光体ドラム10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M、及びシアン現像ユニット45Cが、直接対向して配置されている以外は、画像形成装置100Aと同様の構成を有する。
【0145】
図3に、本発明で用いられる画像形成装置の他の一例(第3実施形態)を示す。画像形成装置100Cは、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備える。
【0146】
複写装置本体150の中央部に設けられている中間転写ベルト50は、3個のローラ14、15及び16に張架されている無端ベルトであり、図3中、矢印方向に移動することができる。
【0147】
ローラ15の近傍には、トナー像が記録紙に転写された中間転写ベルト50上に残留したトナーを除去するためのクリーニングブレードを有するクリーニング装置17が配置されている。ローラ14及び15により張架された中間転写ベルト50に対向すると共に、搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの画像形成ユニット120(画像形成ユニット120Y、120C、120M及び120K)が並置されている。
【0148】
また、画像形成ユニット120の近傍には、露光装置21が配置されている。更に、中間転写ベルト50の画像形成ユニット120が配置されている側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22は、一対のローラ23と二次転写ベルト24を備える。
【0149】
なお、二次転写ベルト24は、一対のローラ23に張架されている無端ベルトであり、二次転写ベルト24上を搬送される記録紙と中間転写ベルト50は、ローラ16とローラ23の間で接触することができる。
【0150】
また、二次転写ベルト24の近傍には、一対のローラに張架されている無端ベルトである定着ベルト26と、定着ベルト26に押圧されて配置された加圧ローラ27とを備える定着装置25が配置されている。なお、二次転写ベルト24及び定着装置25の近傍に、記録紙の両面に画像を形成する場合に、記録紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
【0151】
次に、画像形成装置100Cを用いて、フルカラー画像を形成する方法について説明する。まず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に、カラー原稿をセットするか、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に、カラー原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
【0152】
スタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした場合は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした場合は、直ちに、スキャナ300が駆動し、光源を備える第1走行体33及びミラーを備える第2走行体34が走行する。
【0153】
このとき、第1走行体33から照射された光の原稿面からの反射光を第2走行体34で反射した後、結像レンズ35を介して、読み取りセンサ36で受光することにより、原稿が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報が得られる。各色の画像情報は、各色の画像形成ユニット120における各画像形成手段18に伝達され、各色のトナー像が形成される。
【0154】
各色の画像形成ユニット120は、それぞれ、感光体ドラム10(感光体ドラム10K、10Y、10M、10C)と、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電ローラ(不図示)と、各色の画像情報に基づいて、感光体ドラム10に露光光L(図1図2参照)を露光し、各色の静電潜像を形成する露光装置21と、静電潜像を各色の現像剤で現像して各色のトナー像を形成する現像装置と、トナー像を中間転写ベルト50上に転写させるための転写ローラ62と、クリーニングブレードを有するクリーニング装置と、除電ランプとを備える。
【0155】
各色の画像形成ユニット120で形成された各色のトナー像は、ローラ14、15及び16に張架されて移動する中間転写ベルト50上に順次転写(一次転写)され、重ね合わされて複合トナー像が形成される。
【0156】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の一つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の一つから記録紙を繰り出す。更に、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写装置本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
【0157】
あるいは、給紙ローラを回転して手差しトレイ54上の記録紙を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録紙の紙粉を除去するためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
【0158】
次に、中間転写ベルト50上に形成された複合トナー像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させることにより、中間転写ベルト50と二次転写ベルト24との間に記録紙を送出させ、複合トナー像を記録紙上に転写(二次転写)する。なお、複合トナー像を転写した中間転写ベルト50上に残留したトナーは、クリーニング装置17により除去される。
【0159】
複合トナー像が転写された記録紙は、二次転写ベルト24により搬送された後、定着装置25により複合トナー像が定着される。次に、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。あるいは、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、シート反転装置28により反転され、裏面にも同様にして画像が形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。
【0160】
本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、低温定着性及び耐熱保存性に優れる本開示のトナーを用いているので、高画質な画像を長期にわたって提供することができる。
【実施例0161】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下において、「部」は質量部を、「%」は質量%を表す。また、各種の試験及び評価は、下記の方法に従う。
【0162】
[製造例]
(非結晶性ポリエステル樹脂1の製造)
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管を装備した反応槽中に、下記表1に示すモノマー種及び縮合触媒としてのテトラブトキシチタネートを入れ、窒素気流下、生成する水を留去しながら、230℃で6時間反応させた。次に、5mmHg~20mmHgの減圧下、1時間反応させ実施例で使用する非結晶性ポリエステル樹脂1を得た。
【0163】
表1において、ビスフェノールA(2,2)エチレンオキサイドが示す「25mol%」とは、酸成分50mol%、アルコール成分50mol%としたときのジオール成分中の割合を示す。
【0164】
【表1】
【0165】
(非結晶性ポリエステル樹脂2の製造)
非結晶性ポリエステル樹脂1の製造において、使用するモノマー種類を下記表2のように変更した以外は同様の手順により、非結晶性ポリエステル樹脂2を得た。
【0166】
【表2】
【0167】
(結晶性ポリエステル1の製造)
フマル酸及び1,6-ヘキサンジオールのOH/COOHが0.9となるように窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに仕込み、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、更に8.3kPaの圧力にて2時間反応させて、融点103℃の結晶性ポリエステルを得た。
【0168】
(結晶性ポリエステル2の製造)
フマル酸及び1,6-ヘキサンジオールのOH/COOHが0.93となるように窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに仕込み、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、更に8.3kPaの圧力にて2時間反応させて、融点117℃の結晶性ポリエステルを得た。
【0169】
(結晶性ポリエステル3の製造)
フマル酸及び1,6-ヘキサンジオールのOH/COOHが0.85となるように窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに仕込み、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、更に8.3kPaの圧力にて2時間反応させて、融点97℃の結晶性ポリエステルを得た。
【0170】
(結晶性ポリエステル4の製造)
フマル酸及び1,6-ヘキサンジオールのOH/COOHが0.96となるように窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに仕込み、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、更に8.3kPaの圧力にて2時間反応させて、融点123℃の結晶性ポリエステルを得た。
【0171】
[実施例・比較例]
(実施例1)
―トナー1の作成―
非結晶性ポリエステル樹脂1: 77.5部
結晶性ポリエステル樹脂1: 10部
芳香族系石油樹脂:スチレン系共重合体(三井化学社製、FTR-2140) 7.5部
ワックス:フィッシャートロプシュワックス(日本精蝋社製、FNP-0090) 5部
カーボンブラック(三菱化成社製、#44): 10部
【0172】
上記処方にしたがい、トナー原材料をヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製、FM20B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(池貝鉄工社製、PCM-30)で120℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物はローラにて2.7mmの厚さに圧延した後にベルトクーラーにて室温まで冷却し、ハンマーミルにて200μm~300μmに粗粉砕した。
【0173】
次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業社製)を用いて微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業社製、MDS-I)で重量平均粒径が5.8±0.2μmとなるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、実施例1のトナー母体粒子1を得た。
【0174】
(実施例2~9、比較例1~5)
―トナー2~14の作成―
使用する非結晶性ポリエステル樹脂種類・部数、結晶性ポリエステル樹脂種類、芳香族系石油樹脂種類・部数、ワックス種類を下記表3のように変更した以外は同様の手順により、実施例2~9、比較例1~5のトナー2~14を得た。
【0175】
【表3】
【0176】
なお、使用した芳香族系石油樹脂・ワックスのメーカー、組成、物性値は、下記表4、表5に示すとおりである。
【0177】
【表4】
【0178】
【表5】
【0179】
(トナー現像剤の作成)
上記トナー(トナー1~14)100質量部に対し、金属酸化物微粒子(クラリアント社製、HDK-2000)1部をヘンシェルミキサーで撹拌混合し、外添処理トナーを作製した。この外添処理トナー5%と、コーティングフェライトキャリア95%とを、ターブラーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製)を用いて48rpmで5分間均一混合し、トナー現像剤を作成した。
【0180】
このトナー現像剤を用い、以下の評価方法により、低温定着性、耐熱保存性、耐久性、耐ブロッキング性を評価した。
【0181】
(粉砕性)
トナー母体粒子製造過程において、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業社製)を用いて微粉砕した後の重量平均粒径を測定し、以下の評価基準に基づいて、粉砕性を評価した。A及びBの評価は、実用上、粉砕性が良好な結果であると判断できる。
【0182】
-粉砕性の評価基準-
A:5.3μm未満
B:5.3μm以上5.5μm未満
C:5.5μm以上
【0183】
(低温定着性)
上述のトナー現像剤を、複写機(リコー社製、RICOH MPC 6003)に入れ、画像出力を行った。付着量0.4mg/cmのベタ画像を、露光、現像、転写工程を経ることで紙(リコー社製 Type6200)上に出力した。定着の線速は256mm/秒とした。定着温度を5℃刻みで順次出力し、コールドオフセットが発生しない下限温度(定着下限温度:低温定着性)を測定した。定着装置のNIP幅は11mmであった。
【0184】
以下の評価基準に基づいて、低温定着性を評価した。AおよびBの評価は、実用上、低温定着性が良好な結果であると判断できる。
【0185】
-低温定着性の評価基準-
A:120℃未満
B:120℃以上130℃未満
C:130℃以上
【0186】
(耐熱保存性)
トナー母体粒子を50℃条件下にて24時間保存し、JIS K2235(25℃)に則って針入度を測定した。針入度測定機器には針入度計VR-5610(島津製作所社製)を用いた。以下の評価基準に基づいて、耐熱保存性を評価した。AおよびBの評価は、実用上、耐熱保存性が良好な結果であると判断できる。
【0187】
-耐熱保存性の評価基準-
A:4.0mm以上
B:0.5mm以上4.0mm未満
C:0.5mm未満
【0188】
(耐久性)
低温定着性の複写機(リコー社製、imajioMF-6550)を用い、画像面積6%のテストチャートを10万枚複写し現像剤の帯電量の低下度合いで評価した。以下の評価基準に基づいて、耐久性を評価した。AおよびBの評価は、実用上、耐久性が良好な結果であると判断できる。
【0189】
A:帯電量の低下が非常に少なく耐久性に優れる
B:帯電量の低下が少なく従来のトナーと比べて耐久性に優れる
C:従来のトナーと同等以下の低い耐久性
【0190】
(耐ブロッキング性)
定着性評価において、定着下限+10℃で評価した画像を2cm×5cmに切り、画像面同士を重ね合わせ、スライドガラスに挟み込んだ。フェライトキャリア60gを入れた50ml軟膏瓶をスライドガラス上に置き、保管温度を変えて24時間放置した。その後、1時間冷却した後に画像の剥がれ具合を確認した。画像剥がれが無くなる温度によってランクを決定した。
【0191】
以下の評価基準に基づいて、耐ブロッキング性を評価した。AおよびBの評価は、実用上、耐ブロッキング性が良好な結果であると判断できる。
【0192】
A:画像剥がれが無くなる温度が75℃以上
B:画像剥がれが無くなる温度が70℃以上75℃未満
C:画像剥がれが無くなる温度が70℃未満
【0193】
各トナーの評価結果は下記表6の通りである。
【0194】
【表6】
【0195】
表6から、実施例1~9のトナーが、粉砕性、低温定着性、耐熱保存性、耐久性、及び耐ブロッキング性に優れていることが分かる。
【0196】
これに対して、比較例1~5のトナーは、粉砕性、低温定着性、耐熱保存性、耐久性、及び耐ブロッキング性の少なくとも1つが劣るものであった。
【0197】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0198】
10 静電潜像担持体(感光体ドラム)
14 ローラ
15 ローラ
16 ローラ
17 クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読み取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42 現像剤収容部
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43 現像剤供給ローラ
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44 現像ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45 現像ユニット
45K ブラック現像ユニット
45Y イエロー現像ユニット
45M マゼンタ現像ユニット
45C シアン現像ユニット
49 レジストローラ
50 中間転写ベルト
51 ローラ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
58 コロナ帯電装置
60 クリーニング装置
62 転写ローラ
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
100A、100B、100C 画像形成装置
120 画像形成ユニット
120Y 画像形成ユニット
120C 画像形成ユニット
120M 画像形成ユニット
120K 画像形成ユニット
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0199】
【特許文献1】特許5152372号公報
【特許文献2】特許4535017号公報
【特許文献3】特開2007-264222号公報
【特許文献4】特許3525216号公報
【特許文献5】特開2014-056143号公報
図1
図2
図3