(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009716
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】清掃装置、清掃方法、液体吐出ユニットおよび液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
B41J2/165 211
B41J2/165 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021113220
(22)【出願日】2021-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敏哉
(72)【発明者】
【氏名】戸田 直博
(72)【発明者】
【氏名】濱口 昌也
(72)【発明者】
【氏名】船田 康平
(72)【発明者】
【氏名】石川 禎一郎
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056HA42
2C056HA46
2C056JA13
2C056JB12
2C056JB15
2C056JC20
2C056JC21
(57)【要約】
【課題】液体吐出面の安定した液体吐出を可能にする清掃装置を提供する。
【解決手段】
液体を吐出する吐出面を清掃する清掃装置において、前記吐出面に対して吸引処理を施す吸引処理部と、前記吸引処理後の前記吐出面に対して洗浄液を付与する処理を施す洗浄液付与処理部と、前記洗浄液付与処理後の前記吐出面に対して再吸引処理を施す再吸引処理部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出面を清掃する清掃装置において、
前記吐出面に対して吸引処理を施す吸引処理部と、
前記吸引処理後の前記吐出面に対して洗浄液を付与する処理を施す洗浄液付与処理部と、
前記洗浄液付与処理後の前記吐出面に対して再吸引処理を施す再吸引処理部と
を備えることを特徴とする清掃装置。
【請求項2】
前記吸引処理、前記洗浄液付与処理および前記再吸引処理は、前記清掃装置が前記吐出面に対して相対移動する間に実行することを特徴とする請求項1記載の清掃装置。
【請求項3】
前記吸引処理部の吸引口と前記再吸引処理部の吸引口とを、前記相対移動の移動方向において互いに離れた位置に設け、前記吸引処理部の吸引口と前記再吸引処理部の吸引口との間に前記洗浄液付与処理部の洗浄液付与器を備えることを特徴とする請求項1または2記載の清掃装置。
【請求項4】
前記吸引処理と前記再吸引処理とを同一の吸引口にて実行することを特徴とする請求項1または2記載の清掃装置。
【請求項5】
前記吐出面を備える2以上のヘッドユニットに対して、前記洗浄液付与処理部に接続した洗浄液収容部と、前記吸引処理部および前記再吸引処理部に接続した廃液回収部を、前記ヘッドユニットの数よりも少ない数とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項6】
前記洗浄液付与処理部は超音波素子を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項7】
液体を吐出する吐出面を清掃する清掃方法において、
前記吐出面に対して吸引処理を施す吸引処理工程と、
前記吸引処理工程後の前記吐出面に対して洗浄液を付与する処理を施す洗浄液付与処理工程と、
前記洗浄液付与処理工程後の前記吐出面に対して再吸引処理を施す再吸引処理工程と
からなることを特徴とする清掃方法。
【請求項8】
液体を吐出する吐出面を有する液体吐出ヘッドと、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の清掃装置と
を備えることを特徴とする液体吐出ユニット。
【請求項9】
記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録媒体に液体を吐出する吐出面を有する液体吐出ヘッドと、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の清掃装置と
を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置、清掃方法、液体吐出ユニットおよび液体吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、吐出孔(8)が設けられたノズル面(6)を有してインクを前記吐出孔からインク滴として吐出させるインクジェットヘッド(3)の前記ノズル面に当接する位置に位置付けられて前記ノズル面に沿って移動自在に設けられた当接部材(10)と、前記ノズル面に付着したインク滴を吸引する吸引部(31)と、前記インクジェットヘッドと前記当接部材とを相対的に移動させる第1の移動駆動部(11)とを具備し、前記当接部材は、前記ノズル面に当接する当接面に設けられその移動方向に伸びる溝部(35)を有しているインクジェットヘッドクリーニング装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、液体吐出面の安定した液体吐出を可能にする清掃装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、液体を吐出する吐出面を清掃する清掃装置において、前記吐出面に対して吸引処理を施す吸引処理部と、前記吸引処理後の前記吐出面に対して洗浄液を付与する処理を施す洗浄液付与処理部と、前記洗浄液付与処理後の前記吐出面に対して再吸引処理を施す再吸引処理部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、液体吐出面の安定した液体吐出を可能にする清掃装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の清掃装置を備えた液体吐出ユニットの一実施形態を示す要部概略図。
【
図5】本発明の清掃装置を備えた液体吐出ユニットの他の実施形態を示す要部概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態を、図面を用いて以下に説明する。
【0008】
図1は、本発明の清掃装置を備えた液体吐出ユニットの一実施形態を示す要部概略図であり、
図1(a)は上面図、
図1(b)は側面図である。
【0009】
液体吐出ユニット100は、ヘッドユニット1と清掃装置2を備える。清掃装置2は、清掃部21、洗浄液収容部22および廃液回収部23からなり、清掃部21によってヘッドユニット1の液体吐出面10a(以下、吐出面と称する)を清掃する。
【0010】
清掃部21は、ヘッドユニット1の吐出面10aと対向可能に形成した2つの吸引口211、212を備え、吸引口211と吸引口212との間に洗浄液付与器213を設置している。洗浄液付与器213は、洗浄液供給チューブ22aを介して洗浄液収容部22と接続しており、ヘッドユニット1の吐出面10aの清掃を行う場合、洗浄液付与器213は、洗浄液収容部22から洗浄液Lcの供給を受ける。
【0011】
洗浄液付与器213は、ヘッドユニット1の吐出面10aと対向した状態において、吐出面10aに洗浄液Lcを付与できるものであれば特に構成を限定するものではない。しかし、少ない洗浄液量で吐出面10aに洗浄液Lcをむらなく付与するという点で、洗浄液付与器213は噴霧ノズル、超音波素子等を用い、洗浄液Lcをミスト状にして吐出面10aに付与する構成とすることが好ましい。
【0012】
吸引口211、212は、吸引ホース23aを介して廃液回収部23と接続しており、ヘッドユニット1の吐出面10aからパージ液滴Lp等を吸い取る。廃液回収部23は、サイクロン吸引分離器231を備えており、吸引口211、212における吸引力はこのサイクロン吸引分離器231によって生成している。そして、吸引口211、212で吸い取ったパージ液滴Lp等は、サイクロン吸引分離器231の吸引によって吸引ホース23a内を移動し、廃液回収部23が廃液Lwとして回収する。また、廃液回収部23内の空気は、サイクロン吸引分離器231で浄化し、排気口232から排出する。
【0013】
ここで、吸引口211、吸引ホース23a、廃液回収部23およびサイクロン吸引分離器231は吸引処理部の一例である。また、洗浄液付与器213、洗浄液供給チューブ22aおよび洗浄液収容部22は洗浄液付与処理部の一例である。さらに、吸引口212、吸引ホース23a、廃液回収部23およびサイクロン吸引分離器231は再吸引処理部の一例である。次に、清掃装置2の動作を説明する。
【0014】
【0015】
ヘッドユニット1の吐出面10aの清掃は、ヘッドユニット1に対して清掃装置2が相対移動する間に実行する。本実施形態では、清掃位置に停止したヘッドユニット1に対して清掃装置2を矢印方向へ動かして吐出面10aを清掃する場合に基づき、以下説明する。
【0016】
清掃動作においては、まず清掃部21の吸引口211が、吐出面10aに付着しているパージ液滴Lpの大部分を吸い取る(
図2(a))。吸引口211は、清掃装置2の矢印方向への移動とともに、その後も吐出面10aに付着したパージ液滴Lpの吸い取りを続けながら吐出面10aに沿って移動する。
【0017】
次に、吸引口211が通過した吐出面10aは洗浄液付与器213と対向し、洗浄液付与器213は、吐出面10aに対してミスト状の洗浄液Lcを吹き付ける。これにより、先の吸引で取り除くことができなかった残留物Lrが洗浄液Lcの作用により吐出面10aから浮き上がり(または残留物Lrを希釈し)、残留物Lrを吐出面1aから除去しやすくする(
図2(b))。吸引口211および洗浄液付与器213は、清掃装置2の矢印方向への移動とともに、その後も吐出面10aからのパージ液滴Lpの吸引、および洗浄液Lcの吹き付けを続けながら吐出面10aに沿って移動する。
【0018】
次に、洗浄液付与器213が通過した吐出面10aは吸引口212と対向し、吸引口212は、吐出面10aに付着している混合液Lx(残留物Lrと洗浄液Lcとの混合物)等を吸い取る(
図2(c))。清掃装置2の矢印方向への移動は、吸引口212が吐出面10aを通過するまで継続する(
図2(d))。そして、吸引口212が吐出面10aを通過したならば清掃動作を終了する。
【0019】
以上の清掃動作を行うことにより、最初の吸引後に吐出面10a上にわずかに残った残留物Lrに対しても除去することができる。なお、残留物Lrが吐出面10aに残ってしまった場合であっても、残留物Lrは高沸点の洗浄液Lcと混合した状態となっているため、吐出面10a上で乾燥して固着することはなく、次回以降の清掃動作で除去することができる。
【0020】
また、吸引口211と吸引口212とを、ヘッドユニット1と清掃装置2との相対移動の移動方向において互いに離れた位置に設け、吸引口211と吸引口212との間に洗浄液付与器213を備えている。これにより、吸引口211、洗浄液付与器213および吸引口212の各部材は、相対移動の移動方向に沿って清掃動作の工程順の配置となるので、清掃中の各部材の動作についても簡素にすることができる。
【0021】
以上のように本実施形態の清掃装置は、吐出面10aを清掃する拭き取り部材、ワイパー部材等を必須とせず、清掃装置における消耗品は洗浄液のみとすることが可能になる。よって、洗浄液の補充で清掃機能を維持することが可能になりランニングコストを大幅に低減することができる。
【0022】
【0023】
ヘッドユニット1の吐出面10aに対する清掃動作を開始した場合、清掃装置2は吐出面10aに対し吸引処理を実行する(ステップS1)。この吸引処理では、清掃装置2を構成する清掃部21の吸引口211によって、吐出面10aに付着したパージ液滴Lpの吸い取りを行う。吸引口211は、清掃装置2の移動とともに吐出面10aに沿って移動し、この移動中も吐出面10aに付着したパージ液滴Lpの吸い取りを続ける。
【0024】
次に、吸引口211が通過した吐出面10aに対し洗浄液付与処理を実行する(ステップS2)。洗浄液付与処理では、清掃部21の洗浄液付与器213によって、吸引処理後の吐出面10aに対して洗浄液Lcの吹き付けを行う。洗浄液Lcの作用により、吸引処理で取り除くことができなかった残留物Lrが吐出面10aから浮き上がり(または残留物Lrを希釈し)、残留物Lrを吐出面10aから除去しやすくする。吸引口211および洗浄液付与器213は、清掃装置2の移動とともに吐出面10a沿って移動し、この移動中も吐出面10aからのパージ液滴Lpの吸い取り、および洗浄液Lcの吹き付けを続ける。
【0025】
次に、洗浄液付与器213が通過した吐出面10aに対し再吸引処理を実行する(ステップS3)。再吸引処理では、清掃部21の吸引口212によって、吐出面10aに付着した混合液Lx(残留物Lrと洗浄液Lcとの混合物)等の吸い取りを行う。清掃装置2の移動は、吸引口212が吐出面10aを通過するまで継続し、吸引口212が吐出面10aを通過したならば、清掃動作を終了する。
【0026】
上述のように、本実施形態は、液体を吐出する吐出面10aを清掃する清掃装置2において、吐出面10aに対して吸引処理を施す吸引口211、吸引ホース23a、廃液回収部23およびサイクロン吸引分離器231(吸引処理部の一例)と、吸引処理後の吐出面10aに対して洗浄液Lcを付与する処理を施す洗浄液付与器213、洗浄液供給チューブ22aおよび洗浄液収容部22(洗浄液付与処理部の一例)と、洗浄液付与処理後の吐出面10aに対して再吸引処理を施す吸引口212、吸引ホース23a、廃液回収部23およびサイクロン吸引分離器231(再吸引処理部の一例)とを備える。
【0027】
これにより、吐出面10aの安定した液体吐出を長期にわたり維持することができる。
【0028】
また、上述のように、吸引処理、洗浄液付与処理および再吸引処理は、清掃装置2が吐出面10aに対して相対移動する間に実行する。
【0029】
また、上述のように、吸引口211と吸引口212とを、上記の相対移動の移動方向において互いに離れた位置に設け、吸引口211と吸引口212との間に洗浄液付与器213を備える。
【0030】
これにより、吸引口211、洗浄液付与器213および吸引口212の各部材は、相対移動の移動方向に沿って清掃動作の工程順の配置となるので、清掃中の各部材の動作を簡素にすることができる。
【0031】
また、上述のように、洗浄液付与器213は超音波素子を備える。
【0032】
これにより、洗浄液付与器213は洗浄液Lcをミスト状にして吐出面10aに付与し、少ない洗浄液量で吐出面10aに洗浄液Lcをむらなく付与することができる。
【0033】
【0034】
本変形例は、吸引口212を備えておらず、吸引口211のみの構成としている。本変形例の場合は、清掃装置2が往路を移動する期間に、吸引口211による吸引処理と、洗浄液付与器213による洗浄液付与処理とを行い、洗浄液付与処理が終了した時点で清掃装置2の移動方向を反対方向へ切り替える。そして、清掃装置2が復路を移動する期間に、吸引口211を用いて再吸引処理を行う。
【0035】
上述のように、本変形例は、吸引処理と再吸引処理とを同一の吸引口211にて実行する。
【0036】
これにより、清掃部21の構成をより簡素化でき、装置の低コスト化を図ることができる。
【0037】
図5は、本発明の清掃装置を備えた液体吐出ユニットの他の実施形態を示した要部概略図であり、
図5(a)は上面図、
図5(b)は側面図である。なお、
図1に示した部材と実質的に同等の部材は、
図1と同一の符号を付しここでの説明は省略する。
【0038】
本実施形態の液体吐出ユニット110は、吐出面10aを備えるヘッドユニット1を複数備えた点が
図1の液体吐出ユニット100と異なる。本実施形態のような構成は、例えば複数色のプリントヘッドを搭載したフルカラーインクジェット印刷装置で適用する。ヘッドユニット1を複数設ける場合は、清掃装置2もヘッドユニット1の数と同じ数だけ必要となるため、
図1に示した液体吐出装置100を複数並べただけでは装置が相当大型化してしまう。
【0039】
そこで本実施形態では、清掃装置2を構成する清掃部21、洗浄液収容部22および廃液回収部23のうち、洗浄液収容部22と廃液回収部23を複数のヘッドユニット1で共通にしている。すなわち1つの洗浄液収容部22から分岐した洗浄液供給チューブ22aを介して、各洗浄液付与器213に洗浄液Lcを供給する。また、1つの廃液回収部23から分岐した吸引ホース23aを介して、各清掃部21の吸引口211、212で吸引したパージ液滴Lp、混合液Lx等を廃液回収部23で廃液Lwとして回収する。
【0040】
上述のように、本実施形態は、吐出面10aを備える2以上のヘッドユニット1に対して、洗浄液収容部22と廃液回収部23を、ヘッドユニット1の数よりも少ない数とする。本実施形態では、複数のヘッドユニット1に対し、洗浄液収容部22および廃液回収部23をそれぞれ1つにした構成を例示している。
【0041】
これにより、フルカラーインクジェット印刷装置のようにヘッドユニット1を複数備えた液体吐出装置を構成する場合に、装置の小型化が可能になる。
【0042】
図6は、本発明に係る液体吐出装置の一例としての画像形成装置を示す概略構成図である。
【0043】
画像形成装置1000は、搬入部50、印刷部60、乾燥部70および搬出部80を備える。画像形成装置1000は、搬入部50から搬入したシート材Pに対し印刷部60で液体を付与して所要の印刷を行い、乾燥部70でシート材Pに付着した液体を乾かした後、シート材Pを搬出部80に排出する。
【0044】
搬入部50は、複数のシート材Pが積載可能な搬入トレイ51と、搬入トレイ51からシート材Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置52と、シート材Pを印刷部60へ送り込むレジストローラ対53とを備える。
【0045】
給送装置52には、ローラやコロを用いた装置や、エア吸引を利用した装置などあらゆる給送装置を用いることが可能である。給送装置52により搬入トレイ11から送り出したシート材Pは、その先端がレジストローラ対53に到達した後、レジストローラ対53が所定のタイミングで駆動することにより、印刷部60へ移動する。ここで、シート材Pは記録媒体の一例である。
【0046】
印刷部60は、シート材Pを外周面に保持して搬送する搬送ドラム61と、搬送ドラム61が保持したシート材Pに向けて液体を吐出する液体吐出部62とを備える。また、印刷部60は、レジストローラ対53からのシート材Pを受け取って搬送ドラム61へ渡すための渡し胴63と、搬送ドラム61からのシート材Pを受け取って乾燥部70へ渡すための渡し胴64を備える。
【0047】
渡し胴63は、渡し胴63に設けたシートグリッパによってシート材Pの先端部を把持する構成となっており、渡し胴63が回転することによってシート材Pを搬送ドラム61に向けて搬送する。そして、渡し胴63は、搬送ドラム61との対向位置においてシート材Pを搬送ドラム61へ受け渡す。
【0048】
搬送ドラム61もシートグリッパを備えており、シート材Pの先端部を把持することが可能な構成となっている。また、搬送ドラム61は、その表面に分散して形成した複数の吸引孔を備えており、各吸引孔には吸引装置65によって搬送ドラム61の内側へ向かう吸い込み気流が発生する。
【0049】
そして、搬送ドラム61は、渡し胴63から搬送ドラム61へ移動したシート材Pをシートグリッパで把持するとともに、吸引装置65の吸い込み気流によって搬送ドラム61の表面に吸着し、シート材Pを搬送する。
【0050】
液体吐出部62は、ヘッドユニット1(1A、1B、1C、1D)を備える。例えば、ヘッドユニット1Aはシアン(C)の液体を、ヘッドユニット1Bはマゼンタ(M)の液体を、ヘッドユニット1Cはイエロー(Y)の液体を、ヘッドユニット1Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。なお、必要に応じて、白色、金色、銀色などの特殊な液体、表面コート液などの処理液を吐出するヘッドユニットを設けることもできる。ここで、液体吐出部62の各ヘッドユニット1は、
図1乃至
図4に示したヘッドユニット1に対応しているものであり、
図1乃至
図4に示したように各ヘッドユニット1は清掃装置2とともに液体吐出ユニット100を構成する。
【0051】
液体吐出部62の各ヘッドユニット1は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作する。搬送ドラム61が保持したシート材Pが液体吐出部62との対向領域を通過するときに、ヘッドユニット1は各色の液体を吐出し、印刷情報に応じた画像をシート材Pに印刷する。
【0052】
乾燥部70は、印刷部60でシート材P上に付着した液体を乾かすための乾燥機構部71と、印刷部60からのシート材Pを吸引した状態で搬送する吸引搬送機構部72とを備える。吸引搬送機構部72が受け取ったシート材Pは、乾燥機構部71を通過し、搬出部80へ移動する。乾燥機構部71を通過するとき、乾燥機構部71はシート材P上の液体に対して乾燥処理を施す。これにより液体中の水分等の液分が蒸発し、シート材P上に液体中に含まれる着色剤が定着し、また、シート材Pのカールを抑制する。そして、乾燥部70は、乾燥後のシート材Pを搬出部80へ搬出する。
【0053】
搬出部80は、複数のシート材Pが積載可能な搬出トレイ81を備え、搬出トレイ81は、乾燥部70からのシート材Pを順次積み重ねて保持する。なお、本実施形態において、給送装置52、レジストローラ対53、渡し胴63、搬送ドラム61、渡し胴64および吸引搬送機構部72は搬送手段の一例である。
【0054】
なお、画像形成装置1000には、例えば、シート材Pに対して前処理を行う前処理部を印刷部60の上流側に配置したり、液体が付着したシート材Pに対して後処理を行う後処理部を乾燥部70と搬出部80との間に配置したりすることもできる。
【0055】
前処理部としては、例えば、液体と反応して滲みを抑制するための処理液をシート材Pに塗布する先塗り処理を行うものなどがある。また、後処理部としては、例えば、印刷部60で印刷したシートを反転させて再び印刷部60へ送ってシート材Pの両面に印刷するためのシート反転搬送処理や、複数枚のシートを綴じる処理などを行うものなどがある。
【0056】
図7はヘッドユニットの一例を示す要部平面説明図である。
【0057】
ヘッドユニット1は、液体を吐出する複数のノズルを配列したノズル列10bを備えた吐出面10aを有する複数のヘッド10を、ベース部材11上に千鳥状に並べて配置している。
【0058】
千鳥状に配置したヘッド10の並びの内、シート材Pの搬送方向と直交する方向で一列に並ぶヘッド10の列をそれぞれ第1ヘッド列12、第2ヘッド列13とする。
【0059】
なお、本発明において、液体は、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどでもよい。
【0060】
これらは例えば、インクジェット用インク、塗装用塗料、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0061】
以上説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0062】
第1の態様は、液体を吐出する吐出面(例えば吐出面10a)を清掃する清掃装置(例えば清掃装置2)において、前記吐出面に対して吸引処理を施す吸引処理部(例えば吸引口211、吸引ホース23a、廃液回収部23およびサイクロン吸引分離器231)と、前記吸引処理後の前記吐出面に対して洗浄液を付与する処理を施す洗浄液付与処理部(例えば洗浄液付与器213、洗浄液供給チューブ22aおよび洗浄液収容部22)と、前記洗浄液付与処理後の前記吐出面に対して再吸引処理を施す再吸引処理部(吸引口212、吸引ホース23a、廃液回収部23およびサイクロン吸引分離器231)とを備えることを特徴とするものである。
【0063】
第1の態様によれば、液体吐出面の安定した液体吐出を可能にする清掃装置を提供することができる。
【0064】
また、第2の態様は、第1の態様において、前記吸引処理、前記洗浄液付与処理および前記再吸引処理は、前記清掃装置(例えば清掃装置2)が前記吐出面(例えば吐出面10a)に対して相対移動する間に実行することを特徴とするものである。
【0065】
また、第3の態様は、第1の態様または第2の態様において、前記吸引処理部の吸引口(例えば吸引口211)と前記再吸引処理部の吸引口(例えば吸引口212)とを、前記相対移動の移動方向(例えば
図2の矢印方向)において互いに離れた位置に設け、前記吸引処理部の吸引口と前記再吸引処理部の吸引口との間に前記洗浄液付与処理部の洗浄液付与器(例えば洗浄液付与器213)を備えることを特徴とするものである。
【0066】
第2の態様および第3の態様によれば、吸引処理部の吸引口、洗浄液付与器および再吸引処理部の吸引口の各部材が、相対移動の移動方向に沿って清掃動作の工程順の配置となり、清掃中の各部材の動作を簡素にすることができる。
【0067】
また、第4の態様は、第1の態様または第2の態様において、前記吸引処理と前記再吸引処理とを同一の吸引口(例えば吸引口211)にて実行することを特徴とするものである。
【0068】
第4の態様によれば、清掃部の構成をより簡素化でき、装置の低コスト化を図ることができる。
【0069】
また、第5の態様は、第1の態様乃至第4の態様のいずれかにおいて、前記吐出面(例えば吐出面10a)を備える2以上のヘッドユニット(例えばヘッドユニット1)に対して、前記洗浄液付与処理部に接続した洗浄液収容部(例えば洗浄液収容部22)と、前記吸引処理部および前記再吸引処理部に接続した廃液回収部(例えば廃液回収部23)を、前記ヘッドユニットの数よりも少ない数とすることを特徴とするものである。
【0070】
第5の態様によれば、ヘッドユニットを複数備えた液体吐出装置を構成する場合に装置の小型化が可能になる。
【符号の説明】
【0071】
1 ヘッドユニット
10 液体吐出ヘッド
2 清掃装置
21 清掃部
22 洗浄液収容部
23 廃液回収部
211 吸引口
212 吸引口
213 洗浄液付与器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】