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特開2023-97492トナー、現像剤、トナー収容ユニット、画像形成装置、及び画像形成方法
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  • 特開-トナー、現像剤、トナー収容ユニット、画像形成装置、及び画像形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097492
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】トナー、現像剤、トナー収容ユニット、画像形成装置、及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/097 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
G03G9/097 365
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021213635
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】荻野 弘太郎
(72)【発明者】
【氏名】山内 祥敬
(72)【発明者】
【氏名】石井 雅之
(72)【発明者】
【氏名】森 彩華
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一己
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA08
2H500CA30
2H500EA11C
2H500EA13C
2H500EA33C
(57)【要約】
【課題】耐フィルミング性及び耐熱保存性に優れるトナーの提供
【解決手段】離型剤を含むトナーであって、前記離型剤が、炭素数2以上16以下の炭化水素化合物を含有し、前記離型剤が、ガスクロマトグラフ質量分析により求められる前記炭素数2以上16以下の炭化水素化合物の含有量がトルエン換算で1,000ppm以上であり、かつ、保持時間が7分間以上8分間未満である炭化水素化合物を含有するトナーである。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型剤を含むトナーであって、
前記離型剤が、炭素数2以上16以下の炭化水素化合物を含有し、
前記離型剤が、ガスクロマトグラフ質量分析により求められる前記炭素数2以上16以下の炭化水素化合物の含有量がトルエン換算で1,000ppm以上であり、かつ、保持時間が7分間以上8分間未満である炭化水素化合物を含有することを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記離型剤が、更に炭素数20以上30以下の炭化水素化合物を含有する請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記ガスクロマトグラフ質量分析により求められる、保持時間が7分間以上8分間未満である炭化水素化合物のピークのピーク面積A、保持時間が8分間以上9分間未満である炭化水素化合物のピークのピーク面積B、及び保持時間が9分間以上10分間未満である炭化水素化合物のピークのピーク面積Cが、下記式(1)及び式(2)を満たす、請求項1から2のいずれかに記載のトナー。
A<B<C・・・式(1)
2A<C・・・式(2)
【請求項4】
前記離型剤の融点が75℃以上である、請求項1から3のいずれかに記載のトナー。
【請求項5】
前記離型剤の示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、70℃以上90℃以下の領域に最大吸熱ピークPを有し、最大吸熱ピークPを示す最大吸熱ピーク温度Tと、最大吸熱ピーク温度Tより低温側であって、最大吸熱ピーク深さの10%の深さとなる温度Tとの差(T-T)が10℃以上である、請求項1から4のいずれかに記載のトナー。
【請求項6】
前記離型剤がライスワックスである、請求項1から5のいずれかに記載のトナーである。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のトナーを含有することを特徴とする現像剤。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載のトナーを収容することを特徴とするトナー収容ユニット。
【請求項9】
静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像を、現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体上に転写する転写手段と、
該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着手段と、を有し、
前記現像剤が、請求項1から6のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像を、現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体上に転写する転写工程と、
該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着工程と、を有し、
前記現像剤が、請求項1から6のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー、現像剤、トナー収容ユニット、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーの定着方法としては、加熱したローラ、ベルト等の部材を用いてトナーを加熱溶融することで定着する方法が行われているが、上記部材にトナーが融着するオフセットが発生しやすいという問題がある。これを防止するためにトナーには離型剤が添加されている。
しかしながら、トナーに添加されている離型剤は、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂等の結着樹脂と相溶するためワックスの離型性が悪くなるという問題があった。
また、トナー表面の近傍に存在する離型剤の割合が高くなると、トナーの長期使用によって離型剤がキャリアや感光体に移行しフィルミングが発生するという問題があった。
例えば、離型剤としてライスワックスを用いたトナーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、耐フィルミング性及び耐熱保存性に優れるトナーを提供することを目的とする。
【0004】
前記課題を解決するための手段としての本発明のトナーは、
離型剤を含むトナーであって、
前記離型剤が、炭素数2以上16以下の炭化水素化合物を含有し、
前記離型剤が、ガスクロマトグラフ質量分析により求められる前記炭素数2以上16以下の炭化水素化合物の含有量がトルエン換算で1,000ppm以上であり、かつ、保持時間が7分間以上8分間未満である炭化水素化合物を含有する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、耐フィルミング性及び耐熱保存性に優れるトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図2図2は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図3図3は、各色の画像形成手段の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(トナー)
本発明のトナーは、離型剤を含み、結着樹脂、着色剤を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含む。
【0008】
特許文献1(特開2008-262094号公報)に記載のトナーは、離型剤としてライスワックスを用いているが、離型剤の分散性が低いため耐フィルミング性に劣るという問題がある。
そこで、本発明者らが、鋭意検討を行ったところ、離型剤が、炭素数2以上6以下の炭化水素化合物をトルエン換算で1,000ppm以上含有することで、結着樹脂に対する前記離型剤の界面張力が小さくなるため離型剤の分散性が向上し、耐フィルミング性及び耐熱保存性に優れることを知見した。また、前記離型剤が、ガスクロマトグラフ質量分析によって求められる保持時間が7分間以上8分間未満である炭化水素化合物を含有することで、離型剤の樹脂に対する界面張力が低下し離型剤の分散性が向上するため、耐フィルミング性及び耐熱保存性に優れることを知見した。
【0009】
<離型剤>
前記離型剤としては、炭素数2以上16以下の炭化水素化合物を含有する。
前記炭素数2以上16以下の炭化水素化合物の含有量としては、前記離型剤に対して、トルエン換算で1,000ppm以上であり、1,200ppm以上8,000ppm以下が好ましく、2,500ppm以上6,500ppm以下がより好ましく、3,000ppm以上4,000ppm以下が特に好ましい。前記含有量が1,000ppm以上であると、耐フィルミング性と耐熱保存性に優れる。
なお、前記含有量は、トルエンの検量線を用いて、すなわちトルエン換算で求められる。
【0010】
前記含有量の測定方法としては、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析を用いて、以下の測定装置及び測定条件で測定することができる。
[測定装置及び測定条件]
・熱抽出装置:PY2020D(フロンティアラボ社製)
・熱抽出条件:150℃/5min
・インターフェース部の温度:250℃
・ガスクロマトグラフ質量分析計(検出器):QP-2010(株式会社島津製作所製)
・カラム:UA-5(フロンティアラボ社製、固定相:5% diphenyldimetyl polysiloxane、長さ:30m、内径:0.25mm、膜厚:0.25μm)
・インジェクション温度:150℃
・キャリアガス(移動相):He
・キャリアガスの流速:1.0mL/min
・イオン化法:EI法(70eV)
・注入モード:Split(1:100)
・オーブン温度:50℃(保持:2min)、320℃(保持:10min)、昇温速度:15℃/min
【0011】
前記炭素数2以上16以下の炭化水素化合物としては、ガスクロマトグラフ質量分析により求められる保持時間が7分間以上8分間未満の炭化水素化合物を含み、保持時間が8分間以上9分間未満の炭化水素化合物、及び保持時間が9分間以上10分間未満の炭化水素化合物を含むことが好ましい。
前記保持時間とは、分析するサンプルをカラムの入口に注入してから、カラムを経て検出器で各化合物の最大ピークが検出されるまでの時間であり、本発明における前記保持時間は、前記測定装置及び測定条件にて測定した値である。
【0012】
前記保持時間が7分間以上8分間未満の炭化水素化合物としては、例えば、下記分子式(1)で表される炭化水素化合物などが挙げられる。
14O・・・分子式(1)
【0013】
前記分子式(1)で表される炭化水素化合物としては、例えば、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン等のヘプタノン、シクロヘキシルメタノール、ヘプタナールなどが挙げられる。
【0014】
前記保持時間が8分間以上9分間未満の炭化水素化合物としては、例えば、下記分子式(2)で表される炭化水素化合物などが挙げられる。
16O・・・分子式(2)
【0015】
前記分子式(2)で表される炭化水素化合物としては、例えば、2-オクタノン、3-オクタノン、4-オクタノン等のオクタノン、4-メチルシクロヘキサンメタノール、オクタナール、1-オクテン-3-オール、テトラメチルテトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0016】
前記保持時間が9分間以上10分間未満の炭化水素化合物としては、例えば、下記分子式(3)で表される炭化水素化合物などが挙げられる。
18O・・・分子式(3)
【0017】
前記分子式(3)で表される炭化水素化合物としては、例えば、2-ノナノン、3-ノナノン、4-ノナノン、5-ノナノン等のノナノン、ノナナール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノールなどが挙げられる。
【0018】
前記離型剤は、前記ガスクロマトグラフ質量分析によって求められる保持時間が7分間以上8分間未満の炭化水素化合物のピークのピーク面積をAとし、保持時間が8分間以上9分間未満の炭化水素化合物のピークのピーク面積をB、保持時間が9分間以上10分間未満の炭化水素化合物のピークのピーク面積をCとしたとき、下記式(1)及び下記式(2)を満たすことが好ましい。
A<B<C・・・式(1)
2A<C・・・式(2)
【0019】
前記離型剤が前記式(1)を満たすことで、前記トナーが耐熱保存性に優れる。
前記離型剤が前記式(2)を満たすことで、定着時の耐高温オフセット性に優れる。
【0020】
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましい。前記融点が70℃以上であると耐フィルミング性と耐熱保存性に優れる。
【0021】
前記離型剤としては、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、70℃以上90℃以下の領域に最大吸熱ピークPを有することが好ましい。また、最大吸熱ピークPを示す最大吸熱ピーク温度Tと、最大吸熱ピーク温度Tより低温側であって、最大吸熱ピーク深さの10%の深さとなる温度Tとの差(T-T)が10℃以上であることが好ましい。
【0022】
前記示差走査熱計による測定条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、JIS K 7121に準拠して、試料2mgを加熱速度10.0℃/minで180℃まで昇温した後、ホールド温度180℃、ホールド時間5分間とした後、セカンドランにおける吸熱曲線より測定することができる。
【0023】
前記離型剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナーに対して、2質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上8質量%以下がより好ましい。前記含有量が2質量%以上であると、定着時の耐高温オフセット性及び低温定着性に優れる。前記含有量が10質量%以下であると、耐熱保存性に優れ、また画像のかぶりを防止することができる。
【0024】
前記離型剤としては、例えば、ライスワックス等の植物性ワックスなどが挙げられる。
前記離型剤としては、適宜合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0025】
前記離型剤の合成方法としては、例えば、以下の方法で合成することができる。
まず、未精製の米糠100gにヘキサンを加え、80℃で加熱を行って前記米糠を溶融した後に、0℃以上30℃以下の温度で冷却して粗ワックスを得る。
次に、得られた粗ワックスに、エタノール1,000mLを添加しホモジナイザーを用いて攪拌する攪拌工程を行った後に、溶液が結晶化するまで20℃で冷却する。結晶化した溶液を濾過し、40℃で24時間減圧乾燥して離型剤を得る。
【0026】
前記エタノールの温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以上が好ましく、50℃以上75℃以下がより好ましい。前記温度が50℃以上であると、本発明のトナーに好適に用いることができる離型剤を得ることができる。
【0027】
前記離型剤の合成方法における攪拌工程の回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1回以上3回以下が好ましい。前記回数が1回以上3回以下であると、本発明のトナーに好適に用いることができる離型剤を得ることができる。
【0028】
前記離型剤の市販品としては、例えば、RBW101(クラリアント社製)などが挙げられる。
【0029】
前記離型剤としては、前記炭素数2以上16以下の炭化水素化合物以外の炭化水素化合物を含んでいてもよい。
前記炭素数2以上16以下の炭化水素化合物以外の炭化水素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数20以上30以下の炭化水素化合物などが挙げられる。
【0030】
前記炭素数20以上30以下の炭化水素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記分子式(4)で表される炭化水素化合物などが挙げられる。
2552・・・分子式(3)
【0031】
<結着樹脂>
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単独重合体又は共重合体)、塩化ビニル樹脂、スチレン/酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン/エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、石油系樹脂、水素添加された石油系樹脂などが挙げられる。
前記スチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単独重合体又は共重合体)としては、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリα-メチルスチレン、スチレン/クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/塩化ビニル共重合体、スチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体(スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン/メタクリル酸エステル共重合体(スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン/α-クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、低温定着性及び環境安全性(残モノマーによるVOC)の点から、ポリエステル樹脂が好ましい。
【0032】
<<<ポリエステル樹脂>>>
前記ポリエステル樹脂としては、一般公知のアルコールとカルボン酸との重縮合反応によって得られるもの全てを用いることができる。
前記アルコールとしては、例えば、ジオール類、エーテル化ビスフェノール類、これらを炭素数3~22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した二価のアルコール単量体、三価以上の高アルコール単量体などが挙げられる。
前記のジオール類としては、例えば、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオールなどが挙げられる。
前記エーテル化ビスフェノール類としては、例えば、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAなどが挙げられる。
前記三価以上の高アルコール単量体としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-サルビタン、ペンタエスリトールジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、蔗糖、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
前記カルボン酸としては、例えば、モノカルボン酸、二価の有機酸単量体、これらの酸の無水物、低級アルキルエステルとリノレイン酸の二量体、三価以上の多価カルボン酸単量体などが挙げられる。
前記モノカルボン酸としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などが挙げられる。
前記二価の有機酸単量体としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3~22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換したものなどが挙げられる。
前記三価以上の多価カルボン酸単量体としては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸エンボール三量体酸、これらの酸の無水物などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記結着樹脂の製造法としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などが利用できる。
【0035】
<着色剤>
本発明のトナーに用いる着色剤としては、例えば、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料等の染料や顔料など、従来公知の染料や顔料を使用することができる。これらは、単独あるいは混合して使用することが可能であり、ブラックトナーとしてもフルカラートナーとしても使用できる。
これらの着色剤の含有量は、トナーの結着樹脂成分に対して、1質量%~30質量%が好ましく、3質量%~20質量%がより好ましい。
【0036】
<<<三価以上の金属塩>>>
本発明のトナーは、三価以上の金属塩を含むことが好ましい。前記金属塩を含むことにより、定着時に結着樹脂の酸性基と架橋反応が進行し、弱い三次元的な架橋を形成することで、低温定着性を維持しつつ、耐高温オフセット性を得ることができる。
前記金属塩としては、例えば、サリチル酸誘導体の金属塩、アセチルアセトナート金属塩から選択される少なくとも一種が好ましい。前記金属としては、3価以上の多価イオン金属である限り特に制限はなく、例えば、鉄、ジルコニウム、アルミニウム、チタン、ニッケルなどが挙げられる。
前記三価以上の金属塩としては、三価以上のサリチル酸金属化合物が好ましい。
前記金属塩の含有量としては、例えば、トナー100質量部に対し、0.5質量部~2質量部が好ましく、0.5質量部~1質量部がより好ましい。前記含有量が0.5質量部~2質量部であると、以下の不具合を防止できる。
・耐ホットオフセット性に劣る不具合
・光沢性、低温定着性に劣る不具合
【0037】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂微粒子、帯電制御剤、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料などが挙げられる。
【0038】
-樹脂微粒子-
前記樹脂微粒子の樹脂としては、水系媒体中で水性分散液を形成しうる樹脂であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができる。樹脂微粒子用の樹脂としては、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂でもよく、例えば、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細な球状の樹脂微粒子の水性分散液が得られ易い点で、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種で形成されるのが好ましい。なお、ビニル樹脂は、ビニルモノマーを単独重合又は共重合したポリマーであり、例えば、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸-アクリル酸エステル重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体などが挙げられる。
【0039】
-帯電制御剤-
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP-51、含金属アゾ染料のボントロンS-34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE-82、サリチル酸系金属錯体のE-84、フェノール系縮合物のE-89(以上、オリエント化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP-302、TP-415(以上、保土谷化学工業株式会社製)、LRA-901、ホウ素錯体であるLR-147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
【0040】
-外添剤-
前記外添剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩、チタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモン、酸価チタン等の金属酸化物、シリカ、疎水性シリカ、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水性シリカ、チタニア、酸化チタン、アルミナが好ましい。
前記シリカ、前記酸化チタンは、後述する流動性向上剤により表面処理行い、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして使用するのが好ましい。
前記シリカとしては、例えば、R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも、日本アエロジル社製)などが挙げられる。
前記チタニアとしては、例えば、P-25(日本アエロジル社製)、STT-30、STT-65C-S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF-140(富士チタン工業株式会社製)、MT-150W、MT-500B、MT-600B、MT-150A(いずれも、テイカ株式会社製)などが挙げられる。
前記酸化チタンとしては、例えば、T-805(日本アエロジル株式会社製)、STT-30A、STT-65S-S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF-500T、TAF-1500T(いずれも、富士チタン工業株式会社製)、MT-100S、MT-100T(いずれも、テイカ株式会社製)、IT-S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
【0041】
-流動性向上剤-
前記流動性向上剤としては、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することが可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0042】
-クリーニング性向上剤-
前記クリーニング性向上剤としては、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加されるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01μm~1μmのものが好適である。
【0043】
-磁性材料-
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライトなどが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
【0044】
<トナーの製造方法>
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、混練/粉砕法、溶解懸濁法、乳化凝集法などが挙げられる。
ここで、混練/粉砕法とは、例えば、以下のようにしてトナーを作製する。
結着樹脂溶液、顔料分散液、離型剤分散液を混合し、ヘンシェルミキサーを用いて予備混合した後、二軸混練機(PCM-30、株式会社池貝製)を用いて120℃の温度で溶融及び混練する。得られた混練物を、ローラを用いて圧延した後にベルトクーラーで室温まで冷却し、ハンマーミルを用いて圧延した混練物を200μm以上300μm以下に粗粉砕する。次いで、超音速ジェット粉砕機(ラボジェット、日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて微粉砕した後に、気流分級機(MDS-I、日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて、重量平均粒子径が5.8±0.2μmとなるように調整しながら分級してトナーを得る。
【0045】
(現像剤)
本発明の現像剤は、少なくとも本発明のトナーを含み、必要に応じてキャリア等のその他の成分を含む。
前記現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。これらの中でも、情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用にする場合に寿命が向上することから、二成分現像剤が好ましい。
【0046】
<キャリア>
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、前記芯材を被覆する樹脂層を有するものが好ましい。
【0047】
-芯材-
前記芯材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、50emu/g~90emu/gのマンガン-ストロンチウム系材料、50emu/g~90emu/gのマンガン-マグネシウム系材料、100emu/g以上の鉄粉、75emu/g~120emu/gのマグネタイト等の高磁化材料、30emu/g~80emu/gの銅-亜鉛系等の低磁化材料などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
前記芯材の体積平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm以上150μm以下が好ましく、40μm以上100μm以下がより好ましい。前記体積平均粒子径が10μm以上であると、キャリア中に微粉が多くなり、一粒子当たりの磁化が低下してキャリアの飛散が生じるという問題を有効に防止できる。前記体積平均粒子径が150μm以下であると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなるという問題を有効に防止することができる。
本発明のトナーは、前記キャリアと混合して現像剤に用いることができる。
【0049】
(トナー収容ユニット)
本発明におけるトナー収容ユニットとは、トナーを収容する機能を有するユニットに、トナーを収容したものをいう。ここで、トナー収容ユニットの態様としては、例えば、トナー収容容器、現像器、プロセスカートリッジなどが挙げられる。
前記トナー収容容器とは、トナーを収容した容器をいう。
前記現像器は、トナーを収容し現像する手段を有するものをいう。
前記プロセスカートリッジとは、少なくとも静電潜像担持体(像担持体ともいう)と現像手段とを一体とし、トナーを収容し、画像形成装置に対して着脱可能であるものをいう。前記プロセスカートリッジは、更に帯電手段、露光手段、クリーニング手段のから選ばれる少なくとも一つを備えてもよい。
本発明のトナー収容ユニットを、画像形成装置に装着して画像形成することで、優れた低温定着性、耐熱保存性を有しつつ、更に画像品質にも優れた前記トナーの特徴を活かした画像形成を行うことができる。
【0050】
(画像形成装置、及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
本発明に関する画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記画像形成方法は、前記画像形成装置により好適に行うことができ、前記静電潜像形成工程は、前記静電潜像形成手段により好適に行うことができ、前記現像工程は、前記現像手段により好適に行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
【0051】
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する、トナーを備える現像手段と、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段とを含むことが好ましい。
また、本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像してトナー像を形成する現像工程と、前記静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、前記記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着工程とを含むことが好ましい。
【0052】
前記現像手段及び前記現像工程では、本発明のトナーが用いられ、前記現像剤を用いることが好ましい。
【0053】
次に、本発明の画像形成装置により画像を形成する方法を実施する一の態様について、図1を参照しながら説明する。図1に示す画像形成装置100Aは、静電潜像担持体としての感光体ドラム10と、帯電手段としての帯電ローラー20と、露光手段としての露光装置(不図示)と、現像手段としての現像器45(K、Y、M、C)と、中間転写体50と、クリーニング手段としてのクリーニングブレードを有するクリーニング装置6と、除電手段としての除電ランプ70を有する。
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されている3個のローラー51で張架されており、矢印方向に移動することができる。3個のローラー51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加することが可能な転写バイアスローラーとしても機能する。
また、中間転写体50の近傍には、クリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。更に、記録紙95にトナー像を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加することが可能な転写手段としての転写ローラー80が中間転写体50に対向して配置されている。
【0054】
また、中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器52が、感光体ドラム10と中間転写体50の接触部と、中間転写体50と記録紙95の接触部との間に配置されている。
ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色の現像器45は、現像剤収容部42(K、Y、M、C)と、現像剤供給ローラー43と、現像ローラー44を備える。
画像形成装置100Aでは、帯電ローラー20により感光体ドラム10を一様に帯電させた後、露光装置(不図示)により露光光Lを感光ドラム10上に像様に露光し、静電潜像を形成する。次に、感光体ドラム10上に形成された静電潜像を、現像器45から現像剤を供給して現像してトナー像を形成した後、ローラー51から印加された転写バイアスにより、トナー像が中間転写体50上に転写(一次転写)される。更に、中間転写体50上のトナー像は、コロナ帯電器52により電荷を付与された後、記録紙95上に転写(二次転写)される。なお、感光体ドラム10上に残存したトナーは、クリーニング装置6により除去され、感光体ドラム10は除電ランプ70により一旦、除電される。
【0055】
図2に、本発明の画像形成装置の他の例を示す。画像形成装置100Bは、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400を有する。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。中間転写体50は、支持ローラー14、15及び16に張架されており、矢印方向に回転することができる。
支持ローラー15の近傍には、中間転写体50上に残留したトナーを除去するためのクリーニング装置17が配置されている。また、支持ローラー14と支持ローラー15により張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの4個の画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。
各色の画像形成手段18は、図3に示すように、感光体ドラム10と、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電ローラー60と、感光体ドラム10に形成された静電潜像をブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の各色の現像剤で現像してトナー像を形成する現像器70と、各色のトナー像を中間転写体50上に転写させるための転写ローラー62と、クリーニング装置63と、除電ランプ64を備える。
【0056】
また、図2の画像形成装置において、タンデム型現像器120の近傍には、露光装置(不図示)が配置されている。露光装置は、感光体ドラム10上に露光光を露光し、静電潜像を形成する。
更に、中間転写体50のタンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22は、一対のローラー23に張架されている無端ベルトである二次転写ベルト24からなり、二次転写ベルト24上を搬送される記録紙と中間転写体50が互いに接触可能となっている。
二次転写装置22の近傍には、定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、定着ベルト26に押圧されて配置される加圧ローラー27を有する。
また、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、記録紙の両面に画像を形成するために記録紙を反転させる反転装置28が配置されている。
【0057】
次に、画像形成装置100Bにおけるフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。まず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。次に、スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は、直ちにスキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に、原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読み取りセンサ36で受光される。これにより、カラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像情報が得られる。
【0058】
更に、露光装置により、得られた各色の画像情報に基づいて、各色の静電潜像が感光体ドラム10に形成された後、各色の静電潜像は、各色の現像器120から供給された現像剤で現像され、各色のトナー像が形成される。形成された各色のトナー像は、支持ローラー14、15及び16により回転移動する中間転写体50上に、順次重ねて転写(一次転写)され、中間転写体50上に複合トナー像が形成される。
給紙テーブル200においては、給紙ローラー142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つから記録紙を繰り出し、分離ローラー145で1枚ずつ分離して給紙路146に送り出し、搬送ローラー147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラー49に突き当てて止める。あるいは、手差しトレイ54上の記録紙を繰り出し、分離ローラー58で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、レジストローラー49に突き当てて止める。なお、レジストローラー49は、一般に接地して使用されるが、記録紙の紙粉除去のために、バイアスが印加された状態で使用してもよい。
【0059】
そして、中間転写体50上に形成された複合トナー像にタイミングを合わせてレジストローラー49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22の間に記録紙を送り出し、複合トナー像を記録紙上に転写(二次転写)する。
複合トナー像が転写された記録紙は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25に送り出される。そして、定着装置25において、定着ベルト26及び加圧ローラー27により、加熱加圧されて複合トナー像が記録紙上に定着される。その後、記録紙は、切換爪55で切り換えて排出ローラー56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。あるいは、切換爪55で切り換えて反転装置28により反転されて再び転写位置へと導かれて、裏面にも画像を形成した後、排出ローラー56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
なお、複合トナー像が転写された後に中間転写体50上に残留したトナーは、クリーニング装置17により除去される。
【実施例0060】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】
<非晶性ポリエステル樹脂の合成例>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱伝対を装備した四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物、テレフタル酸、アジピン酸、及びトリメチロールプロパンを、ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物とビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物とがモル比(ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物)で85/15であり、テレフタル酸とアジピン酸とがモル比(テレフタル酸/アジピン酸)で75/25であり、全モノマー中におけるトリメチロールプロパンの量が1mol%であり、水酸基とカルボキシル基とのモル比であるOH/COOHが1.2となるように仕込み、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)とともに常圧で、230℃で8時間反応し、更に10mmHg~15mmHgの減圧で4時間反応後、反応容器に無水トリメリット酸を全樹脂成分に対して1mol%になるよう入れ、180℃、常圧で3時間反応し、[非晶性ポリエステル樹脂]を得た。
【0062】
<結晶性ポリエステル樹脂の合成例>
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱伝対を装備した5Lの四つ口フラスコに、セバシン酸、及び1,6-ヘキサンジオールを、水酸基とカルボキシル基とのモル比であるOH/COOHが0.9となるように仕込み、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)とともに、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、更に8.3kPaの圧力にて2時間反応し、結晶性ポリエステル樹脂を得た。
【0063】
撹拌棒、及び温度計をセットした容器に前記[結晶性ポリエステル樹脂]60質量部、及び酢酸エチル400質量部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒間、直径0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で分散を行い、[結晶性ポリエステル樹脂分散液]を得た。
【0064】
<ライスワックスの合成例1>
未精製の米糠100gにヘキサンを加え、80℃で加熱を行って前記米糠を溶融した後に、0℃以上30℃以下の温度で冷却して粗ワックスを得た。
次に、得られた粗ワックスに、60℃のエタノール1,000mLを添加しホモジナイザーを用いて攪拌する工程を1回行った後に、溶液が結晶化するまで20℃で冷却した。結晶化した溶液を濾過し、40℃で24時間減圧乾燥して[ライスワックス1]を得た。
得られた[ライスワックス1]について、以下に示すガスクロマトグラフ質量分析を行ったところ、炭素数2以上16以下の炭化水素化合物の含有量は、前記[ライスワックス1]に対してトルエン換算で3,000ppmであった。また、保持時間が7分間以上8分間未満の炭化水素化合物のピークのピーク面積をAとし、保持時間が8分間以上9分間未満の炭化水素化合物のピークのピーク面積をBとし、保持時間が9分間以上10分間未満の炭化水素化合物のピークのピーク面積をCとしたとき、比(A:B:C)は、1.0:5.4:10.3であった。また、ガスクロマトグラフ質量分析の結果、[ライスワックス1]中に炭素数20以上30以下の炭化水素化合物が含まれていることが確認できた。
また、得られた[ライスワックス1]について、以下に示す方法によって、融点を測定したところ、融点は75℃であった。
また、得られた[ライスワックス1]について、以下に示す方法によって、示差走査熱量計により測定されるDSC曲線における、70℃以上90℃以下の領域に最大吸熱ピークPを有し、最大吸熱ピークPを示す最大吸熱ピーク温度Tと、最大吸熱ピーク温度Tより低温側であって、最大吸熱ピーク深さの10%の深さとなる温度Tとの差(T-T)を測定したところ20℃であった。
【0065】
<ガスクロマトグラフ質量分析>
得られた[ライスワックス1]について、以下の測定装置及び測定条件でガスクロマトグラフ質量分析を行った。
[測定装置及び測定条件]
・熱抽出装置:PY2020D(フロンティアラボ社製)
・熱抽出条件:150℃/5min
・インターフェース部の温度:250℃
・ガスクロマトグラフ質量分析計(検出器):QP-2010(株式会社島津製作所製)
・カラム:UA-5(フロンティアラボ社製、固定相:5% diphenyldimetyl polysiloxane、長さ:30m、内径:0.25mm、膜厚:0.25μm)
・インジェクション温度:150℃
・キャリアガス(移動相):He
・キャリアガスの流速:1.0mL/min
・イオン化法:EI法(70eV)
・注入モード:Split(1:100)
・オーブン温度:50℃(保持:2min)、320℃(保持:10min)、昇温速度:15℃/min
【0066】
<融点の測定方法>
前記融点は、DSCシステム(示差走査熱量計)(「Q-200」、TAインスツルメント社製)を用いて測定した。
具体的には、対象試料約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットした。次いで、窒素雰囲気下、-80℃から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した(昇温1回目)。その後、150℃から降温速度10℃/minで-80℃まで冷却させ、更に昇温速度10℃/minで150℃まで加熱(昇温2回目)した。この昇温1回目、及び昇温2回目のそれぞれにおいて、示差走査熱量計(「Q-200」、TAインスツルメント社製)を用いてDSC曲線を計測した。
得られるDSC曲線から、Q-200システム中の解析プログラムを用いて、1回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温1回目における吸熱ピークトップ温度を融点として求めた。同様に、2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温2回目における吸熱ピークトップ温度を融点として求めた。
【0067】
<最大吸熱ピーク温度T、最大吸熱ピーク深さの10%の深さとなる温度T、差(T-T)の測定方法>
得られた[ライスワックス1]のDSC測定は、試料量は2mg、加熱速度10.0℃/min、ホールド温度180℃、ホールド時間5分間でセカンドランにおける吸熱曲線より最大吸熱ピーク温度T、最大吸熱ピーク温度Tより低温側であって、最大吸熱ピーク深さの10%の深さとなる温度Tを測定し、(T-T)を求めた。示差熱走査熱量計はバインダー樹脂のDSC測定と同様に島津製作所製自動示差走査熱量計DSC-60A型を使用した。
【0068】
<ライスワックスの合成例2>
前記ライスワックスの合成例1において、60℃のエタノール1,000mLを添加しホモジナイザーを用いて攪拌する工程を2回行った以外は、前記ライスワックスの合成例1と同様の方法で合成を行い、[ライスワックス2]を得た。
得られた[ライスワックス2]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法でガスクロマトグラフ質量分析を行ったところ、炭素数2以上16以下の炭化水素化合物の含有量は、前記[ライスワックス2]に対してトルエン換算で1,500ppmであった。また、比(A:B:C)は、1.0:2.9:4.7であった。
また、得られた[ライスワックス2]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法で融点を測定したところ、融点は70℃であった。また、ガスクロマトグラフ質量分析の結果、[ライスワックス2]中に炭素数20以上30以下の炭化水素化合物が含まれていることが確認できた。
また、得られた[ライスワックス2]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法で、差(T-T)を測定したところ17℃であった。
【0069】
<ライスワックスの合成例3>
前記ライスワックスの合成例1において、60℃のエタノール1,000mLを添加しホモジナイザーを用いて攪拌する工程を3回行った以外は、前記ライスワックスの合成例1と同様の方法で合成を行い、[ライスワックス3]を得た。
得られた[ライスワックス3]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法でガスクロマトグラフ質量分析を行ったところ、炭素数2以上16以下の炭化水素化合物の含有量は、前記[ライスワックス3]に対してトルエン換算で1,856ppmであった。また、比(A:B:C)は、1.0:0.6:6.6であった。
また、得られた[ライスワックス3]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法で融点を測定したところ、融点は78℃であった。また、ガスクロマトグラフ質量分析の結果、[ライスワックス3]中に炭素数20以上30以下の炭化水素化合物が含まれていることが確認できた。
また、得られた[ライスワックス3]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法で、差(T-T)を測定したところ15℃であった。
【0070】
<ライスワックスの合成例4>
前記ライスワックスの合成例1において、60℃のエタノール1,000mLを、75℃のエタノール1,000mLに変更した以外は、前記ライスワックスの合成例1と同様の方法で合成を行い、[ライスワックス4]を得た。
得られた[ライスワックス4]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法でガスクロマトグラフ質量分析を行ったところ、炭素数2以上16以下の炭化水素化合物の含有量は、前記[ライスワックス4]に対してトルエン換算で2,230ppmであった。また、比(A:B:C)は、1.0:1.3:1.8であった。
また、得られた[ライスワックス4]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法で融点を測定したところ、融点は77℃であった。また、ガスクロマトグラフ質量分析の結果、[ライスワックス4]中に炭素数20以上30以下の炭化水素化合物が含まれていることが確認できた。
また、得られた[ライスワックス4]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法で、差(T-T)を測定したところ16℃であった。
【0071】
<ライスワックスの合成例5>
前記ライスワックスの合成例1において、60℃のエタノール1,000mLを、50℃のエタノール1,000mLに変更した以外は、前記ライスワックスの合成例1と同様の方法で合成を行い、[ライスワックス5]を得た。
得られた[ライスワックス5]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法でガスクロマトグラフ質量分析を行ったところ、炭素数2以上16以下の炭化水素化合物の含有量は、前記[ライスワックス5]に対してトルエン換算で1,291ppmであった。また、比(A:B:C)は、1.0:3.5:2.6であった。
また、得られた[ライスワックス5]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法で融点を測定したところ、融点は73℃であった。また、ガスクロマトグラフ質量分析の結果、[ライスワックス5]中に炭素数20以上30以下の炭化水素化合物が含まれていることが確認できた。
また、得られた[ライスワックス5]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法で、差(T-T)を測定したところ18℃であった。
【0072】
<ライスワックスの合成例6>
前記ライスワックスの合成例1において、50℃のエタノール1,000mLを添加しホモジナイザーを用いて攪拌する工程を3回行った以外は、前記ライスワックスの合成例1と同様の方法で合成を行い、[ライスワックス6]を得た。
得られた[ライスワックス6]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法でガスクロマトグラフ質量分析を行ったところ、炭素数2以上16以下の炭化水素化合物の含有量は、前記[ライスワックス6]に対してトルエン換算で1,069ppmであった。また、比(A:B:C)は、1.0:4.8:1.4であった。
また、得られた[ライスワックス6]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法で融点を測定したところ、融点は71℃であった。また、ガスクロマトグラフ質量分析の結果、[ライスワックス6]中に炭素数20以上30以下の炭化水素化合物が含まれていることが確認できた。
また、得られた[ライスワックス6]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法で、差(T-T)を測定したところ20℃であった。
【0073】
<ライスワックスの合成例7>
前記ライスワックスの合成例1において、45℃のエタノール1,000mLを添加しホモジナイザーを用いて攪拌する工程を4回行った以外は、前記ライスワックスの合成例1と同様の方法で合成を行い、[ライスワックス7]を得た。
得られた[ライスワックス7]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法でガスクロマトグラフ質量分析を行ったところ、炭素数2以上16以下の炭化水素化合物の含有量は、前記[ライスワックス7]に対してトルエン換算で920ppmであった。また、比(A:B:C)は、1.0:2.9:5.8であった。
また、得られた[ライスワックス7]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法で融点を測定したところ、融点は78℃であった。また、ガスクロマトグラフ質量分析の結果、[ライスワックス7]中に炭素数20以上30以下の炭化水素化合物が含まれていることが確認できた。
また、得られた[ライスワックス7]について、前記[ライスワックス1]と同様の方法で、差(T-T)を測定したところ20℃であった。
【0074】
【表1】
【0075】
(実施例1)
<トナー母体粒子の製造>
前記[非晶性ポリエステル樹脂]69質量部、前記[結晶性ポリエステル樹脂]8質量部、離型剤としての前記[ライスワックス1]5質量部、着色剤としてのカーボンブラック(♯44、三菱化成株式会社製)11質量部、帯電制御剤としてのアゾ鉄化合物(T-77、保土谷化学工業株式会社製)1質量部をヘンシェルミキサー(FM20B、三井三池化工機株式会社製)を用いて混合した後に、二軸混練機(PCM-30、株式会社池貝製)を用いて120℃で混練し混練物を得た。
得られた混練物を、ローラを用いて2.7mmの厚さに圧延した後にベルトクーラーを用いて室温まで冷却し、ハンマーミルを用いて重量平均粒子径が200μm~300μmとなるまで粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS-I)で重量平均粒子径が5.8±0.2μmとなるように分級し、[トナー母体粒子1]を得た。
【0076】
<トナーの製造>
前記[トナー母体粒子1]100質量部に対し、金属酸化物微粒子1(商品名:HDK-2000、クラリアント株式会社製)1.00質量部を加えてヘンシェルミキサーで撹拌混合し、前記金属酸化物微粒子1が外添された[トナー1]を得た。
【0077】
<現像剤の製造>
得られた[トナー1]5質量%、及びコーティングフェライトキャリア95質量%をターブラーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製)を用いて、48rpmで5分間均一に混合して[現像剤1]を得た。
【0078】
(実施例2)
実施例1において、離型剤としての[ライスワックス1]を、[ライスワックス2]に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーの製造を行い、[トナー2]を得た。また、実施例1と同様にして現像剤の製造を行い、[現像剤2]を得た。
【0079】
(実施例3)
実施例1において、離型剤としての[ライスワックス1]を、[ライスワックス3]に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーの製造を行い、[トナー3]を得た。また、実施例1と同様にして現像剤の製造を行い、[現像剤3]を得た。
【0080】
(実施例4)
実施例1において、離型剤としての[ライスワックス1]を、[ライスワックス4]に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーの製造を行い、[トナー4]を得た。また、実施例1と同様にして現像剤の製造を行い、[現像剤4]を得た。
【0081】
(実施例5)
実施例1において、離型剤としての[ライスワックス1]を、[ライスワックス5]に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーの製造を行い、[トナー5]を得た。また、実施例1と同様にして現像剤の製造を行い、[現像剤5]を得た。
【0082】
(実施例6)
実施例1において、離型剤としての[ライスワックス1]を、[ライスワックス6]に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーの製造を行い、[トナー6]を得た。また、実施例1と同様にして現像剤の製造を行い、[現像剤6]を得た。
【0083】
(比較例1)
実施例1において、離型剤としての[ライスワックス1]を、[ライスワックス7]に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーの製造を行い、[トナー7]を得た。また、実施例1と同様にして現像剤の製造を行い、[現像剤7]を得た。
【0084】
(比較例2)
実施例1において、離型剤としての[ライスワックス1]を、カルナウバワックス(トーヨーケム株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーの製造を行い、[トナー8]を得た。また、実施例1と同様にして現像剤の製造を行い、[現像剤8]を得た。
【0085】
次に、得られた各トナー及び各現像剤を用いて以下のようにして「耐フィルミング性」、「耐熱保存性」、及び「ホットオフセット性」を評価した。結果を表2に示す。
【0086】
<耐フィルミング性>
前記現像剤を、複写機(RICOH MPC 6003、株式会社リコー製)の収容ユニットに投入し、前記現像剤の付着量が0.4mg/cmとなるように記録媒体(Type6200、株式会社リコー製)上にベタ画像を形成して、合計2,000枚の連続通紙試験を行った。その後、潜像担持体及び帯電装置を目視で観察し、下記評価基準に基づき、耐フィルミング性を評価した。
[評価基準]
◎: 潜像担持体での汚染及び帯電装置上にフィルミングがない
〇: 潜像担持体での汚染及び帯電装置上にフィルミングがわずかにある
△: 潜像担持体での汚染及び帯電装置上にフィルミングがわずかにあり、経時で異常画像が発生する
×: 潜像担持体での汚染及び帯電装置上にフィルミングがわずかにあり、早期に異常画像が発生する
【0087】
<耐熱保存性>
前記トナーを、50℃の温度環境下にて24時間保存した後、針入度測定機器(VR-5610、株式会社島津製作所製)を用いて、JIS K2235(25℃)に則り前記トナーの針入度を測定し、下記評価基準に基づき、耐熱保存性を評価した。
[評価基準]
◎: 針入度が4.0mm以上
○: 針入度が1.0mm以上4.0mm未満
△: 針入度が0.5mm以上1.0mm未満
×: 針入度が0.5mm未満
【0088】
<ホットオフセット性>
前記現像剤を、複写機(RICOH MPC 6003、株式会社リコー製)の収容ユニットに投入し、前記現像剤の付着量が0.4mg/cmとなるように記録媒体(Type6200、株式会社リコー製)上にベタ画像を形成した。定着の線速を256mm/秒、定着装置のNIP幅を11mm、定着温度を5℃刻みで順次出力し、ホットオフセットが発生しない上限温度(定着上限温度:ホットオフセット性)を測定し、下記評価基準に基づき、ホットオフセット性を評価した。
[評価基準]
〇: 定着上限温度が200℃以上
△: 定着上限温度が180℃以上200℃未満
×: 定着上限温度が180℃未満
【0089】
【表2】
【0090】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 離型剤を含むトナーであって、
前記離型剤が、炭素数2以上16以下の炭化水素化合物を含有し、
前記離型剤が、ガスクロマトグラフ質量分析により求められる前記炭素数2以上16以下の炭化水素化合物の含有量がトルエン換算で1,000ppm以上であり、かつ、保持時間が7分間以上8分間未満である炭化水素化合物を含有することを特徴とするトナーである。
<2> 前記離型剤が、更に炭素数20以上30以下の炭化水素化合物を含有する前記<1>に記載のトナーである。
<3> 前記ガスクロマトグラフ質量分析により求められる、保持時間が7分間以上8分間未満である炭化水素化合物のピークのピーク面積A、保持時間が8分間以上9分間未満である炭化水素化合物のピークのピーク面積B、及び保持時間が9分間以上10分間未満である炭化水素化合物のピークのピーク面積Cが、下記式(1)及び式(2)を満たす、前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーである。
A<B<C・・・式(1)
2A<C・・・式(2)
<4> 前記離型剤の融点が75℃以上である、前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5> 前記離型剤の示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、70℃以上90℃以下の領域に最大吸熱ピークPを有し、最大吸熱ピークPを示す最大吸熱ピーク温度Tと、最大吸熱ピーク温度Tより低温側であって、最大吸熱ピーク深さの10%の深さとなる温度Tとの差(T-T)が10℃以上である、前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナーである。
<6> 前記離型剤がライスワックスである、前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーである。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーを含有することを特徴とする現像剤である。
<8> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーを収容することを特徴とするトナー収容ユニットである。
<9> 静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像を、現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、
前記可視像を記録媒体上に転写する転写手段と、
該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着手段と、を有し、
前記現像剤が、前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする画像形成装置である。
<10> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像を、現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、
前記可視像を記録媒体上に転写する転写工程と、
該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着工程と、を有し、
前記現像剤が、前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする画像形成方法である。
【0091】
前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナー、前記<7>に記載の現像剤、前記<8>に記載のトナー収容ユニット、前記<9>に記載の画像形成方法、及び前記<10>に記載の画像形成装置によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0092】
【特許文献1】特開2008-262094号公報
図1
図2
図3