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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023097935
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】蓄熱システムおよび蓄熱方法
(51)【国際特許分類】
   F25D 16/00 20060101AFI20230703BHJP
   C09K 5/10 20060101ALI20230703BHJP
   F25D 17/02 20060101ALI20230703BHJP
   F25B 27/00 20060101ALI20230703BHJP
   F25D 3/10 20060101ALI20230703BHJP
   F25D 13/00 20060101ALI20230703BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20230703BHJP
   F28D 20/00 20060101ALI20230703BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
F25D16/00
C09K5/10 F
F25D17/02 303
F25B27/00 Q
F25D3/10 F
F25B27/00 M
F25D13/00 A
F25B49/02 D
F28D20/00 B
F17C13/00 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214331
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(71)【出願人】
【識別番号】502040041
【氏名又は名称】日揮株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】仲村 直子
(72)【発明者】
【氏名】星野 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】神谷 篤志
(72)【発明者】
【氏名】永石 暁
【テーマコード(参考)】
3E172
3L044
3L045
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172AB04
3E172AB05
3E172AB11
3E172AB20
3E172BA06
3E172BB04
3E172BB12
3E172BB17
3E172HA04
3E172HA12
3L044AA04
3L044BA01
3L044CA11
3L044DB02
3L044DB03
3L044KA01
3L044KA02
3L044KA03
3L044KA04
3L044KA05
3L045AA01
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA01
3L045KA16
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L045PA05
(57)【要約】
【課題】変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転される冷凍機において、冷凍機の冷熱を蓄熱して、冷凍倉庫で用いられる冷凍機の平均的な電気料金の低下およびエネルギーの低炭素化・脱炭素化を達成することのできる蓄熱システムを提供する。
【解決手段】
蓄熱システム1は、グリッドの中にある変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転される冷凍機10と、冷凍機に連結されて、ブラインを貯蔵可能なブラインタンク20と、ブラインタンクに連結されて、対象物を冷凍する冷凍倉庫40と、液化ガスが貯蔵される液化ガスタンク60と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷熱を蓄熱する蓄熱システムであって、
グリッドの中にある変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転される冷凍機と、
前記冷凍機に連結されて、ブラインを貯蔵可能なブラインタンクと、
前記ブラインタンクに連結されて、対象物を冷凍する冷凍倉庫と、
液化ガスが貯蔵される液化ガスタンクと、を有する蓄熱システム。
【請求項2】
前記冷凍機は、オンサイトの変動性再生可能エネルギーによっても運転される、請求項1に記載の蓄熱システム。
【請求項3】
前記冷凍倉庫から前記ブラインタンクに向かう前記ブラインおよび前記液化ガスを熱交換する熱交換部をさらに有する、請求項1または2に記載の蓄熱システム。
【請求項4】
前記ブラインタンクおよび前記液化ガスタンクは連結される、請求項1~3のいずれか1項に記載の蓄熱システム。
【請求項5】
グリッドの中にある変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転される冷凍機と、
前記冷凍機に連結されて、ブラインを貯蔵可能なブラインタンクと、
前記ブラインタンクに連結されて、対象物を冷凍する冷凍倉庫と、
液化ガスが貯蔵される液化ガスタンクと、を有する蓄熱システムによって蓄熱する蓄熱方法であって、
前記冷凍機を運転することによって、前記ブラインタンク内の前記ブラインを冷却して、前記ブラインに冷熱を蓄熱する蓄熱方法。
【請求項6】
前記蓄熱システムは、前記冷凍倉庫から前記ブラインタンクに向かう前記ブラインおよび前記液化ガスを熱交換する熱交換部をさらに有し、
前記熱交換部において、前記ブラインは前記液化ガスから冷熱を受け取る、請求項5に記載の蓄熱方法。
【請求項7】
前記蓄熱システムにおいて、前記ブラインタンクおよび前記液化ガスタンクは連結され、
前記冷熱が蓄熱された前記ブラインが前記液化ガスタンクに供給されて、前記液化ガスタンク内の前記液化ガスに蓄冷熱される、請求項5または6に記載の蓄熱方法。
【請求項8】
前記冷熱が蓄熱された前記ブラインが前記液化ガスタンクに供給されて、前記液化ガスタンク内の前記液化ガスのBOGの発生を抑制する、請求項7に記載の蓄熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転される冷凍機から取り出される冷熱を蓄熱する蓄熱システムおよび蓄熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、食品の宅配で利用されている蓄冷材は、冷凍倉庫で凍結、保管される。冷凍機で所定温度に冷却された冷凍倉庫に常温の蓄冷材を搬入し、庫内の低温空気で蓄冷材を凍結させて、使用する時に搬出する。この搬入、凍結、搬出工程を常時繰り返しており、一箇所の冷凍倉庫で一週間に数千から数万個の蓄冷材が処理されている。
【0003】
冷凍倉庫の冷却に間膨式の冷凍機を使用する場合には、冷凍機で発生する冷熱をブラインと熱交換させて庫内に設置されたエアクーラーを冷却して、ファンを用いて冷風を庫内に行きわたらせる(例えば、下記の特許文献1参照)。常温の蓄冷材を冷凍倉庫に搬入すると、庫内の負荷が増えるため、冷凍機の冷凍能力および消費電力が増大する。
【0004】
一方で、太陽光、風力、太陽熱といった変動性再生可能エネルギーを有効活用することが求められている。変動性再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低炭素・脱炭素の国産エネルギー源である。特に、変動性再生可能エネルギーの導入の進む日本では、変動性再生可能エネルギーの余剰電力の蓄電方法や余剰電力を他分野で使用するセクターカップリングの検討が進められている。
【0005】
以上から、変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転される冷凍機において、冷凍機の冷熱を蓄熱して、冷凍倉庫で用いられる冷凍機の平均的な電気料金の低下およびエネルギーの低炭素化・脱炭素化を達成する蓄熱システムが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9-196485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、上述した蓄熱システムに要望される各種性能を実現すべく、鋭意努力した結果、最適な構造を発明するに至ったものである。
【0008】
本発明は、変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転される冷凍機において、冷凍機の冷熱を蓄熱して、冷凍倉庫で用いられる冷凍機の平均的な電気料金の低下およびエネルギーの低炭素化・脱炭素化を達成することのできる蓄熱システムおよび蓄熱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明に係る蓄熱システムは、冷熱を蓄熱する蓄熱システムである。蓄熱システムは、電力系統(以下、グリッドと記す)の中にある変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転される冷凍機と、前記冷凍機に連結されて、ブラインを貯蔵可能なブラインタンクと、前記ブラインタンクに連結されて、対象物を冷凍する冷凍倉庫と、液化ガスが貯蔵される液化ガスタンクと、を有する。
【0010】
また、上記目的を達成する本発明に係る蓄熱方法は、グリッドの中にある変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転される冷凍機と、前記冷凍機に連結されて、ブラインを貯蔵可能なブラインタンクと、前記ブラインタンクに連結されて、対象物を冷凍する冷凍倉庫と、液化ガスが貯蔵される液化ガスタンクと、を有する蓄熱システムによって蓄熱する蓄熱方法である。蓄熱方法は、前記冷凍機を運転することによって、前記ブラインタンク内の前記ブラインを冷却して、前記ブラインに冷熱を蓄熱する。
【発明の効果】
【0011】
上述の蓄熱装置および蓄熱方法によれば、変動性再生可能エネルギーの余剰電力を用いて冷凍機を運転することによって、ブラインタンク内のブラインを冷却して、ブラインに冷熱を蓄熱することができる。そして、冷熱が蓄熱されたブラインを冷凍倉庫に供給して、冷凍倉庫内を冷却することができ、冷凍倉庫で用いられる冷凍機の平均的な電気料金の低下およびエネルギーの低炭素化・脱炭素化を達成することができる。したがって、変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転される冷凍機において、冷凍機の冷熱を蓄熱して、冷凍倉庫で用いられる冷凍機の平均的な電気料金の低下およびエネルギーの低炭素化・脱炭素化を達成することのできる蓄熱システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る蓄熱システムを示す概略図である。
図2】第1実施形態に係る蓄熱システムの蓄熱方法を示すフローチャートである。
図3】第1実施形態に係る蓄熱システムの各種パラメータの時間推移を示す図である。
図4】比較例における各種パラメータの時間推移を示す図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る蓄熱システムを示す概略図である。
図6】第2実施形態に係る蓄熱システムの蓄熱方法を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態に係る蓄熱システムの各種パラメータの時間推移を示す図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る蓄熱システムを示す概略図である。
図9】第3実施形態に係る蓄熱システムの蓄熱方法を示すフローチャートである。
図10】第3実施形態に係る蓄熱システムの蓄熱方法の変形例を示すフローチャートである。
図11】第3実施形態に係る蓄熱システムの各種パラメータの時間推移を示す図である。
図12図10の蓄熱方法における各種パラメータの時間推移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を、図1を参照しつつ説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態に係る蓄熱システム1を示す概略図である。
【0015】
第1実施形態に係る蓄熱システム1は、変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転可能な冷凍機10が発生させる冷熱をブラインに蓄熱して、蓄熱した冷熱を用いて、冷凍倉庫40内を冷却するためのシステムである。本システムは、特に限定されないが、蓄冷材、冷凍食品、薬品等の冷凍倉庫、スケートリンク、データセンター、植物工場、養殖または事務所の冷房等の冷熱源として適用可能である。
【0016】
蓄熱システム1は、図1に示すように、冷凍機10と、冷凍機10によって冷却されるブラインが貯蔵されるブラインタンク20と、冷凍機10およびブラインタンク20を連結する第1配管30と、冷凍する対象物が保管される冷凍倉庫40と、ブラインタンク20および冷凍倉庫40を連結する第2配管50と、液化ガスが貯蔵される液化ガスタンク60と、液化ガスタンク60内の液化ガスを外部に供給する供給ライン70と、変動性再生可能エネルギーの電力を冷凍機10に給電するタイミングを制御する制御部(不図示)と、を有する。
【0017】
冷凍機10は、図1に示すように、グリッドの中にある変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転される。具体的に、「余剰電力による運転」とは、需給調整市場における電力市場価格を考慮して、冷凍機10を運転することである。
【0018】
冷凍機10は、図1に示すように、オンサイトの変動性再生可能エネルギーによっても運転される。このように冷凍機10がオンサイトの変動性再生可能エネルギーによって運転されることによって、より効率的に省電力を達成することができる。
【0019】
冷凍機10は、変動性再生可能エネルギーとして太陽光発電を用いる場合、昼間に発生する可能性が高い余剰電力を用いて、冷凍機10をオンにして、ブラインタンク20内のブラインを冷却する。そして余剰電力が無い時には、冷凍機10をオフにするまたは運転台数を減らす。冷凍機10のオン・オフは、制御部によって行われる。このように、冷凍機10は、変動性再生可能エネルギーの余剰電力を活用した間欠運転を行うことで、変動性再生可能エネルギーの有効活用と変動性再生可能エネルギーの電力を熱の形で溜めることができるため、カーボンニュートラルの実現に貢献する。なお、冷凍機の制御は運転台数に限定せず、インバータ制御を用いてもよい。
【0020】
冷凍機10としては、ブラインタンク20内のブラインを好適に冷却することのできるものであれば特に限定されないが、成績係数の観点から、例えば、蒸気圧縮式冷凍機を用いることができる。冷凍機10の冷媒としては、特に限定されないが、例えばアンモニアが用いられる。
【0021】
ブラインタンク20には、ブラインが貯蔵される。ブラインとしては、特に限定されないが、例えば不凍液を用いることができる。
【0022】
ブラインタンク20には、図1に示すように、第1配管30および第2配管50が連結される。ブラインタンク20内のブラインは、第2配管50内を循環する。ブラインタンク20には、ブラインタンク20内のブラインを、第2配管50を介して、冷凍倉庫40に供給するためのポンプP1が配置されている。ポンプP1としては、公知のものを用いることができる。
【0023】
第1配管30は、冷凍機10およびブラインタンク20を連結する。第1配管30には、冷凍機の冷媒またはブラインタンク20内に貯蔵されたブラインが循環する。
【0024】
冷凍倉庫40は、冷凍する対象物が配置される。ブラインタンク20内のブラインによって所定温度(例えば-35℃)に冷却された冷凍倉庫40に、常温の対象物が搬入されて、冷凍倉庫40内の低温空気で対象物を凍結させて、使用するときに搬出される。冷凍倉庫40では、この搬入、凍結、搬出工程が繰り返されている。冷凍する対象物が例えば蓄冷材である場合、一か所の冷凍倉庫40において、一週間で数千個から数万個の蓄冷材が処理されている。
【0025】
冷凍倉庫40には、冷凍倉庫40内の温度を測定するための温度計T1が配置されている。
【0026】
第2配管50は、ブラインタンク20および冷凍倉庫40を連結する。第2配管50には、ブラインタンク20内に貯蔵されたブラインが循環する。
【0027】
第2配管50は、図1に示すように、ブラインタンク20から冷凍倉庫40に向かう往路配管51と、冷凍倉庫40からブラインタンク20に向かう復路配管52と、を有する。
【0028】
往路配管51には、往路配管51を流れるブラインの温度を測定するための温度計T2が配置される。復路配管52には、復路配管52を流れるブラインの温度を測定するための温度計T3が配置される。ブラインは冷凍倉庫40において冷熱を供給するために、復路配管52を流れるブラインの温度は、往路配管51を流れるブラインの温度よりも一般的に高くなる。
【0029】
液化ガスタンク60には、液化ガスが貯蔵されている。ここで液化ガスとは特に限定されないが、LNG(液化天然ガス)、LPG(液化石油ガス)、液体水素、液体窒素、液化アンモニア等を挙げることができる。
【0030】
液化ガスタンク60には、液化ガスタンク60内の液化ガスを外部に供給するためのポンプP2が配置されている。ポンプP2としては、公知のものを用いることができる。また、液化ガスタンク60には、内部に貯蔵されている液化ガスの温度を測定するための温度計T4が配置されている。
【0031】
供給ライン70は、外部の球型タンクまたは枕型タンク、供給配管に接続されている。
【0032】
制御部は、例えば冷凍機10のオン・オフを制御する。制御部は、各種構成の制御を行う。制御部は、例えば、PLCである。
【0033】
次に、図2を参照して、第1実施形態に係る蓄熱システム1の蓄熱方法について説明する。図2は、第1実施形態に係る蓄熱システム1の蓄熱方法を示すフローチャートである。第1実施形態に係る蓄熱システム1の蓄熱方法は、概説すると、変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転可能な冷凍機10の冷熱を、ブラインタンク20内のブラインに蓄冷熱して、蓄冷熱されたブラインを用いて、冷凍倉庫40を冷却する方法である。
【0034】
まず、制御部は、需給調整市場における電力市場価格を考慮して、余剰電力かを判断する(ステップS01)。
【0035】
次に、制御部は、変動性再生可能エネルギーの余剰電力を用いて、冷凍機10を運転する(ステップS02)。
【0036】
次に、制御部は、冷凍機10の冷熱によってブラインタンク20内のブラインに蓄冷熱する(ステップS03)。
【0037】
次に、制御部は、蓄冷熱されたブラインタンク20内のブラインを、冷凍倉庫40に供給して、冷凍倉庫40内を冷却する(ステップS04)。
【0038】
以上のように、冷凍機10によって冷却されたブラインを、冷凍倉庫40内へ供給させることによって、冷凍倉庫40内を冷却することができる。したがって、ブラインの蓄冷熱利用によって、冷凍機10の省電力を達成することができる。
【0039】
次に、図3を参照して、第1実施形態に係る蓄熱システム1の各種パラメータの時間推移について説明する。図3は、第1実施形態に係る蓄熱システム1の各種パラメータの時間推移を示す図である。図3(A)は、変動性再生可能エネルギーの出力の時間推移を示す。図3(B)は、温度計T2、T3で測定されるブラインの温度の時間推移を示す。図3(C)は、温度計T1で測定される冷凍倉庫40内の温度の時間推移を示す。図3(D)は、冷凍機10の消費電力(運転台数に対応)の時間推移を示す。なお、以下において説明する具体的な数は、これに限定されるものではなく、一例である。
【0040】
図3(A)、図3(D)に示すように、再生可能エネルギーの余剰電力を用いて、冷凍機10を運転する。ここでは例えば、再生可能エネルギーの余剰電力が、蓄冷材の荷出しから荷入れの間に発生し、蓄冷材の荷入れから荷出しの間には発生しない場合を例に挙げて説明する。
【0041】
蓄冷材の荷出しから荷入れの間において、図3(D)に示すように、再生可能エネルギーの余剰電力を用いて、例えば7台分の冷凍機10を運転するとする。このとき、7台の冷凍機10のうち、5台分の冷凍機10の冷熱がブラインタンク20内のブラインの冷却に用いられ、2台分の冷凍機10の冷熱が冷凍倉庫40への侵入熱の冷却に用いられるとする。この結果、図3(B)に示すように、蓄冷材の荷出しから荷入れの間に、温度計T2、T3で測定されるブラインの温度は、低下する。
【0042】
一方、蓄冷材の荷入れから荷出しの間において、図3(D)に示すように、例えばオンサイトの再生可能エネルギーを用いて、2台分の冷凍機10を運転する。2台分の冷凍機10の冷熱は、冷凍倉庫40への侵入熱の冷却に用いられるとする。荷入れされた蓄冷材の冷却は、ブラインタンク20内のブラインに蓄えられた冷熱を用いて行われる。なお、冷凍倉庫40内の温度は、図3(C)に示すように、例えば-35℃に維持される。このように、冷熱が蓄熱されたブラインを冷凍倉庫40に供給して、冷凍倉庫40内を冷却することができ、冷凍倉庫40で用いられる冷凍機10の平均的な電力料金の低下およびエネルギーの低炭素化・脱炭素化を達成することができる。
【0043】
次に、図4を参照して、比較例における各種パラメータの時間推移について説明する。図4は、比較例における各種パラメータの時間推移を示す図である。図4(A)は、蓄冷材の温度推移を示す図である。図4(B)は、温度計T1で測定される冷凍倉庫40内の温度の時間推移を示す。図4(C)は、冷凍機10の消費電力(運転台数に対応)の時間推移を示す。
【0044】
比較例では、ブラインによって蓄冷熱することなく、冷凍機によって冷凍倉庫40を直接冷却する。また、冷凍機は変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転せず、荷入れ時に冷凍機を運転する方法が採用される。
【0045】
このような比較例では、図4(C)に示すように、荷入れ時に冷凍機を全台(例えば7台)運転する。このとき、例えば7台の冷凍機のうち、5台分の冷熱が蓄冷材の冷却に使用され、2台分の冷熱が冷凍倉庫40への侵入熱の冷却に使用される。
【0046】
荷入れ時において、冷凍機を7台運転することによって、図4(A)に示すように、冷凍倉庫40内の蓄冷材は、例えば15℃から-25℃に低下する。また、図4(B)に示すように、温度計T1で測定される冷凍倉庫40内の温度は-35℃に維持される。
【0047】
このように比較例では、変動性再生可能エネルギーの余剰電力を用いることなく冷凍機を運転するため、冷凍機の平均的な電気料金の低下およびエネルギーの低炭素化・脱炭素化を達成することができない。
【0048】
以上説明したように、第1実施形態に係る蓄熱システム1は、冷熱を蓄熱する蓄熱システム1である。蓄熱システム1は、グリッドの中にある変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転される冷凍機10と、冷凍機10に連結されて、ブラインを貯蔵可能なブラインタンク20と、ブラインタンク20に連結されて、蓄冷材を冷凍する冷凍倉庫40と、液化ガスが貯蔵される液化ガスタンク60と、を有する。このように構成された蓄熱システム1によれば、変動性再生可能エネルギーの余剰電力を用いて冷凍機10を運転することによって、ブラインタンク20内のブラインを冷却して、ブラインに冷熱を蓄熱することができる。そして、冷熱が蓄熱されたブラインを冷凍倉庫40に供給して、冷凍倉庫40内を冷却することができ、冷凍倉庫40で用いられる冷凍機10の平均的な電気料金の低下およびエネルギーの低炭素化・脱炭素化を達成することができる。したがって、変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転される冷凍機10において、冷凍機10の冷熱を蓄熱して、冷凍倉庫40で用いられる冷凍機10の平均的な電気料金の低下およびエネルギーの低炭素化・脱炭素化を達成することのできる蓄熱システム1を提供することができる。
【0049】
また、冷凍機10は、オンサイトの変動性再生可能エネルギーによっても運転される。このように構成された蓄熱システム1によれば、変動性再生可能エネルギーを用いて冷凍機10を運転することができるため、冷凍機10の平均的な電気料金の低下およびエネルギーの低炭素化・脱炭素化をより達成することができる。
【0050】
また、以上説明したように、第1実施形態に係る蓄熱システム1の蓄熱方法は、グリッドの中にある変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転される冷凍機10と、冷凍機10に連結されて、ブラインを貯蔵可能なブラインタンク20と、ブラインタンク20に連結されて、蓄冷材を冷凍する冷凍倉庫40と、液化ガスが貯蔵される液化ガスタンク60と、を有する蓄熱システム1によって蓄熱する蓄熱方法である。蓄熱方法は、冷凍機10を運転することによって、ブラインタンク20内のブラインを冷却して、ブラインに冷熱を蓄熱する。この蓄熱方法によれば、変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転される冷凍機10において、冷凍機10の冷熱を蓄熱して、冷凍倉庫40で用いられる冷凍機10の平均的な電気料金の低下およびエネルギーの低炭素化・脱炭素化を達成することができる。
【0051】
<第2実施形態>
次に、図5を参照して、第2実施形態に係る蓄熱システム2の構成について説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係る蓄熱システム2を示す概略図である。
【0052】
第1実施形態と共通する部分は説明を省略し、第2実施形態のみに特徴のある箇所について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付して説明し、重複した説明は省略する。第2実施形態は、第1実施形態と比較して、冷凍倉庫40からブラインタンク20に向かうブラインおよび液化ガスを熱交換する熱交換部90を有する点などが異なる。
【0053】
第2実施形態に係る蓄熱システム2は、図5に示すように、冷凍機10と、冷凍機10によって冷却されるブラインが貯蔵されるブラインタンク20と、冷凍機10およびブラインタンク20を連結する第1配管30と、冷凍する対象物が保管される冷凍倉庫40と、ブラインタンク20および冷凍倉庫40を連結する第2配管50と、液化ガスが貯蔵される液化ガスタンク60と、液化ガスタンク60内の液化ガスを外部に供給する供給ライン170と、変動性再生可能エネルギーを冷凍機10に給電するタイミングを制御する制御部(不図示)と、冷凍倉庫40からブラインタンク20に向かうブラインおよび液化ガスを熱交換する熱交換部90と、を有する。
【0054】
冷凍機10、ブラインタンク20、第1配管30、冷凍倉庫40、第2配管50、液化ガスタンク60、および制御部の構成は、上述した第1実施形態に係る蓄熱システム1と同様であるため、説明は省略する。
【0055】
以下、第2実施形態に係る蓄熱システム2の供給ライン170および熱交換部90の構成について説明する。
【0056】
供給ライン170には、供給ライン170から分岐される第1分岐ライン171、および供給ライン170から分岐される第2分岐ライン172が設けられる。
【0057】
供給ライン170には、図5に示すように、上流側から順に弁173、174が設けられる。第1分岐ライン171には、図5に示すように、弁175が設けられる。第2分岐ライン172には、図5に示すように、弁176が設けられる。
【0058】
制御部によって、弁173、174、175、176の開閉を適宜制御することによって、熱交換部90を流れる液化ガスの量や、外部のタンクに供給される液化ガスの量が調整される。
【0059】
熱交換部90は、第2配管50の復路配管52を流れるブラインおよび供給ライン170を流れる液体状態の液化ガスで熱交換される。供給ライン170において、熱交換部90を通過した液体状態の液化ガスは、ブラインに冷熱を渡して、ガス状態となり、ガス状態となった液化ガスは、外部に供給される。一方、第2配管50の復路配管52において、熱交換部90を通過したブラインは、液体状態の液化ガスから冷熱を受け取って、温度が低下する。この結果、ブラインタンク20内のブラインの温度がさらに低下されることによって、冷凍機10の冷凍負荷が低減される。
【0060】
次に、図6を参照して、第2実施形態に係る蓄熱システム2の蓄熱方法について説明する。図6は、第2実施形態に係る蓄熱システム2の蓄熱方法を示すフローチャートである。第2実施形態に係る蓄熱システム2の蓄熱方法は、第1実施形態に係る蓄熱システム1の蓄熱方法と比較して、熱交換部90において、供給ライン170を流れる液化ガスの冷熱を、第2配管50の復路配管52を流れるブラインに供給する点が異なる。
【0061】
第2実施形態に係る蓄熱方法では、第1実施形態に係る蓄熱方法と同様に、ステップS01~ステップS03が行われる。ステップS01~ステップS03は、上述した工程と同様の工程であるため、説明は省略する。
【0062】
第2実施形態に係る蓄熱方法では、ステップS13が行われる。ステップS13において、制御部は、弁174を開くとともに弁176を閉じた状態で、液化ガスタンク60内の液化ガスを外部に供給する。このとき、熱交換部90において、液化ガスの冷熱が第2配管50の復路配管52を流れるブラインに供給されて、ブラインが冷却される(ステップS13)。弁175は開度調整によって熱交換器90を流れる液化ガス量を調整する。
【0063】
このように第2実施形態に係る蓄熱システム2では、ブラインは冷凍機10による冷却に加えて、液化ガスの冷熱も受け取るため、冷凍機10の省電力をより効率的に行うことができる。
【0064】
次に、図7を参照して、第2実施形態に係る蓄熱システム2の各種パラメータの時間推移について説明する。図7は、第2実施形態に係る蓄熱システム2の各種パラメータの時間推移を示す図である。図7(A)は、変動性再生可能エネルギーの出力の時間推移を示す。図7(B)は、温度計T2、T3で測定されるブラインの温度の時間推移を示す。図7(C)は、温度計T1で測定される冷凍倉庫40内の温度の時間推移を示す。図7(D)は、冷凍機10の消費電力(運転台数に対応)の時間推移を示す。
【0065】
図7(A)、図7(D)に示すように、再生可能エネルギーの余剰電力を用いて、冷凍機10を運転する。ここでは例えば、再生可能エネルギーの余剰電力が、蓄冷材の荷出しから荷入れの間に発生し、蓄冷材の荷入れから荷出しの間には発生しない場合を例に挙げて説明する。
【0066】
蓄冷材の荷出しから荷入れの間において、図7(D)に示すように、再生可能エネルギーの余剰電力を用いて、例えば7台分の冷凍機10を運転する。このとき、7台の冷凍機10のうち、5台分の冷凍機10の冷熱がブラインタンク20内のブラインの冷却に用いられ、2台分の冷凍機10の冷熱が冷凍倉庫40への侵入熱の冷却に用いられる。この結果、図7(B)に示すように、蓄冷材の荷出しから荷入れの間に、温度計T2、T3で測定されるブラインの温度は、低下する。
【0067】
一方、蓄冷材の荷入れから荷出しの間において、図7(D)に示すように、冷凍機10の運転を停止する。第1実施形態に係る蓄熱システム1と比較して、液化ガスの冷熱によってブラインタンク20内のブラインの温度を低下させることができるため、例えば2台運転させていた冷凍機10の運転台数を0台にすることができる。
【0068】
冷凍倉庫40内の温度は、図7(C)に示すように、例えば-35℃に維持される。また、熱交換部90において、液化ガスからブラインに冷熱が供給されるため、温度計T3で測定されるブラインの温度は、第1実施形態に係る蓄熱システム1の温度計T3で測定されるブラインの温度よりも低下する(図7(B)の矢印参照)。
【0069】
以上のように、第2実施形態に係る蓄熱システム2では、冷凍倉庫40からブラインタンク20に向かうブラインおよび液化ガスを熱交換する熱交換部90をさらに有する。このように構成された蓄熱システム2によれば、液化ガスの冷熱によってブラインの温度を低下させることができるため、冷凍機10の省電力をより効率的に達成することができる。
【0070】
<第3実施形態>
次に、図8を参照して、第3実施形態に係る蓄熱システム3の構成について説明する。図8は、本発明の第3実施形態に係る蓄熱システム2を示す概略図である。
【0071】
第1実施形態および第2実施形態と共通する部分は説明を省略し、第3実施形態のみに特徴のある箇所について説明する。なお、上述した第1実施形態および第2実施形態と同一の部材には同一の符号を付して説明し、重複した説明は省略する。第3実施形態は、第2実施形態と比較して、ブラインタンク20および液化ガスタンク60を連結する第3配管80を有する点が異なる。
【0072】
第3実施形態に係る蓄熱システム3は、図8に示すように、冷凍機10と、冷凍機10によって冷却されるブラインが貯蔵されるブラインタンク20と、冷凍機10およびブラインタンク20を連結する第1配管30と、冷凍する対象物が保管される冷凍倉庫40と、ブラインタンク20および冷凍倉庫40を連結する第2配管50と、液化ガスが貯蔵される液化ガスタンク60と、液化ガスタンク60内の液化ガスを外部に供給する供給ライン170と、変動性再生可能エネルギーを冷凍機10に給電するタイミングを制御する制御部(不図示)と、冷凍倉庫40からブラインタンク20に向かうブラインおよび液化ガスを熱交換する熱交換部90と、ブラインタンク20および液化ガスタンク60を連結する第3配管80と、を有する。
【0073】
冷凍機10、ブラインタンク20、第1配管30、冷凍倉庫40、第2配管50、液化ガスタンク60、供給ライン170、制御部、および熱交換部90の構成は、上述した第1実施形態に係る蓄熱システム1と同様であるため、説明は省略する。
【0074】
以下、第3実施形態に係る蓄熱システム3の第3配管80の構成について説明する。第3配管80は、図8に示すように、ブラインタンク20および液化ガスタンク60を連結する。第3配管80には、ブラインタンク20内に貯蔵されたブラインが循環する。このように、ブラインタンク20内に貯蔵されたブラインが第3配管80を介して、液化ガスタンク60に流れることによって、液化ガスタンク60内の液化ガスに冷熱を供給することができる。
【0075】
このように、液化ガスタンク60内の液化ガスに冷熱が供給されることによって、液化ガスのBOGの抑制、および液化ガスへの蓄冷熱が可能となる。
【0076】
液化ガスに冷熱が供給されることによって、液化ガスはサブクール状態となり、BOGが抑制される。以下、サブクール状態について説明する。液化ガスは、通常、液相および気相の境界の飽和状態にある。この飽和状態にある液化ガスをブラインの冷熱で冷却することによって、サブクール状態となる。サブクール状態にある液化ガスは、完全に液体の状態にあるため、BOGが発生することを抑制できる。
【0077】
また、変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転される冷凍機10の冷熱をブラインタンク20のブラインおよび液化ガスタンク60内の液化ガスに蓄冷熱することができる。このため、第1実施形態および第2実施形態に係る蓄熱システム1、2と比較して、より好適に冷凍機10の省電力および平均的な電気料金の低減およびエネルギーの低炭素化・脱炭素化を達成することができる。
【0078】
次に、図9図10を参照して、第3実施形態に係る蓄熱システム3の蓄熱方法について説明する。図9は、第3実施形態に係る蓄熱システム3の蓄熱方法を示すフローチャートである。図10は、第3実施形態に係る蓄熱システム3の蓄熱方法の変形例を示すフローチャートである。第3実施形態に係る蓄熱システム3の蓄熱方法は、第1実施形態および第2実施形態に係る蓄熱方法と比較して、変動性再生可能エネルギーの余剰電力によって運転される冷凍機10が発生させる冷熱を液化ガスにも蓄冷熱する点、および液化ガスのBOGを抑制する点が異なる。
【0079】
第3実施形態に係る蓄熱方法では、第2実施形態に係る蓄熱方法と同様に、ステップS01~ステップS03、およびステップS13が行われる。ステップS01~ステップS03、およびステップS13は、上述した工程と同様の工程であるため、説明は省略する。
【0080】
第3実施形態に係る蓄熱方法では、図9に示すように、ステップS14が行われる。ステップS14において、蓄冷熱されたブラインが第3配管80を介して、液化ガスタンク60に供給されて、液化ガスが冷却される。この結果、液化ガスのBOGの発生が抑制されるとともに、液化ガスにも蓄冷熱することができる。
【0081】
なお、図10に示すように、弁174を閉じるとともに弁176を開いた状態で、サブクール状態の液化ガスを外部に供給することなく、供給ライン170を循環させて(ステップS15)、液化ガスのサブクールを維持させつつ、熱交換部90において、ブラインに冷熱を供給する構成であってもよい。
【0082】
次に、図11図12を参照して、第3実施形態に係る蓄熱システム3の各種パラメータの時間推移について説明する。図11(A)、図12(A)は、変動性再生可能エネルギーの出力の時間推移を示す。図11(B)、図12(B)は、温度計T2、T3で測定されるブラインの温度の時間推移を示す。図11(C)、図12(C)は、温度計T1で測定される冷凍倉庫40内の温度の時間推移を示す。図11(D)、図12(D)は、温度計T4で測定される液化ガスの温度の時間推移を示す。図11(E)、図12(E)は、冷凍機10の消費電力(運転台数に対応)の時間推移を示す。
【0083】
図11(A)、図11(E)に示すように、再生可能エネルギーの余剰電力を用いて、冷凍機10を運転する。ここでは例えば、再生可能エネルギーの余剰電力が、蓄冷材の荷出しから荷入れの間に発生し、蓄冷材の荷入れから荷出しの間には発生しない場合を例に挙げて説明する。
【0084】
蓄冷材の荷出しから荷入れの間において、図11(E)に示すように、再生可能エネルギーの余剰電力を用いて、例えば9台分の冷凍機10を運転する。このとき、9台の冷凍機10のうち、5台分の冷凍機10の冷熱がブラインタンク20内のブラインの冷却に用いられ、2台分の冷凍機10の冷熱が冷凍倉庫40への侵入熱の冷却に用いられ、2台分の冷凍機10の冷熱が液化ガスタンク60の侵入熱の冷却に用いられる。この結果、図11(B)に示すように、蓄冷材の荷出しから荷入れの間に、温度計T2、T3で測定されるブラインの温度は、低下する。また、図11(D)に示すように、温度計T4で測定される液化ガスの温度も低下する。
【0085】
一方、蓄冷材の荷入れから荷出しの間において、図11(E)に示すように、冷凍機10の運転を停止する。第2実施形態に係る蓄熱システム2と比較して、液化ガスタンク60内の液化ガスにも蓄冷熱することができるため、液化ガスタンク60への侵入熱による液化ガスタンク60の温度上昇を抑制でき、冷凍機10の運転台数を0台の状態で冷凍倉庫内の荷入れ量を増やすことができる。
【0086】
冷凍倉庫40内の温度は、図11(C)に示すように、例えば-35℃に維持される。また、熱交換部90において、液化ガスからブラインに冷熱が供給されるため、温度計T3で測定されるブラインの温度は、第1実施形態に係る蓄熱システム1の温度計T3で測定されるブラインの温度よりも低下する(図11(B)の矢印参照)。また、図11(D)に示すように、温度計T4によって測定される液化ガスタンク60内の液化ガスの温度は、冷凍機10の運転によって低下する。このとき、液化ガスの温度は、飽和温度よりも低い状態を維持し、BOGの発生が抑制される。
【0087】
なお、上述した図10の蓄熱方法の場合、図12(D)に示すように、図11(D)と比較して液化ガスの温度は上昇する(図12(D)の矢印参照)が、飽和温度よりも低い状態は維持されるため、液化ガスのサブクール状態を維持しつつ、熱交換部90において、ブラインに冷熱を供給することができる。
【0088】
以上、実施形態を通して本発明について説明したが、本発明は上述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。
【0089】
例えば、上述した第1実施形態では、冷凍機10は、オンサイトの変動性再生可能エネルギーによっても運転されたが、冷凍機10は、オンサイトの変動性再生可能エネルギーによって運転されなくてもよい。
【0090】
また、上述した実施形態および変形例では、蓄熱システムに蓄熱された冷熱の使用対象として、冷凍倉庫40の冷却やBOGの発生の抑制に用いられた。しかしながら、蓄熱システムに蓄熱された冷熱の使用対象としては、冷凍食品、薬品等の凍結・保管、チルド温度帯の冷蔵倉庫、冷凍設備、スケートリンク、データセンター、植物工場、養殖または事務所の冷房等の冷熱源としても利用可能である。
【0091】
また、上述した蓄熱システムにおいて、冷凍倉庫40に設けられた対象物(例えば蓄冷材)に冷熱を蓄熱して、対象物の管理によって冷凍倉庫40の冷却が行われてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1、2、3 蓄熱システム、
10 冷凍機、
20 ブラインタンク、
30 第1配管、
40 冷凍倉庫、
50 第2配管、
60 液化ガスタンク、
70、170 供給ライン、
80 第3配管、
90 熱交換部。
図1
図2
図3
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図5
図6
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