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特開2023-98026放電管、放電装置、表面改質装置および植物育成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098026
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】放電管、放電装置、表面改質装置および植物育成装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20230703BHJP
   B01J 19/12 20060101ALI20230703BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
H05H1/24
B01J19/12 F
A01G7/00 601Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214499
(22)【出願日】2021-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 久浩
【テーマコード(参考)】
2B022
2G084
4G075
【Fターム(参考)】
2B022DA19
2G084AA13
2G084AA18
2G084AA19
2G084BB23
2G084CC19
2G084CC20
2G084CC22
2G084CC24
2G084CC34
2G084CC35
2G084DD12
2G084DD25
2G084DD63
2G084FF33
4G075AA30
4G075BA05
4G075BA08
4G075CA15
4G075DA02
4G075DA03
4G075DA18
4G075EB31
4G075EC21
4G075ED11
4G075FB02
4G075FB06
4G075FC11
4G075FC15
(57)【要約】
【課題】高濃度のラジカルを生成させる。
【解決手段】中空の円筒状であって均一な厚みであって、電離対象となる改質対象材料を通す誘電体と、前記誘電体の内部に、当該誘電体との距離が均一に保たれるように、前記誘電体に対して平行に設置された1または複数の導電棒と、前記誘電体の表面を覆う導体と、を備え、電気的な絶縁構造の前記導電棒と前記導体との間に電圧が印加され、前記改質対象材料を入出力させて改質する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の円筒状であって均一な厚みであって、電離対象となる改質対象材料を通す誘電体と、
前記誘電体の内部に、当該誘電体との距離が均一に保たれるように、前記誘電体に対して平行に設置された1または複数の導電棒と、
前記誘電体の表面を覆う導体と、
を備え、
電気的な絶縁構造の前記導電棒と前記導体との間に電圧が印加され、前記改質対象材料を入出力させて改質する、
ことを特徴とする放電管。
【請求項2】
請求項1に記載の放電管を複数備え、
複数の前記放電管の前記誘電体内で前記改質対象材料を順番に循環させる、
ことを特徴とする放電装置。
【請求項3】
前記放電管を3個以上備えて、並列または直列に電気的に接続される電極を構成し、
第二電極である前記放電管は、第一電極である前記放電管である前記導電棒の面積Sの1倍より低い等比例により、前記導電棒の本数によって、前記導電棒と前記導体との間の分布容量が調整され、
前記導電棒と前記導体との間の分布容量が調整された前記第二電極は、前記誘電体と前記導電棒とのエアギャップ長は前記第一電極と同じ距離としつつ、前記第一電極と分布容量がほぼ同容量になるように前記導電棒の面積を減らすとともに前記導電棒を増加させることにより、容量の範囲が±30%以内となるようにする、
ことを特徴とする請求項2に記載の放電装置。
【請求項4】
前記第二電極以降の前記放電管は、前記導電棒と平行であって多数の孔を有して電極内部のラジカルの分布を均一にする円筒を備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の放電装置。
【請求項5】
前記導電棒と前記導体との間に対する印加電圧は交番された電圧であり、印可電圧範囲は電圧印加すると流れる電流値によって印加電圧が自動調整される、
ことを特徴とする請求項2ないし4の何れか一項に記載の放電装置。
【請求項6】
請求項2ないし5の何れか一項に記載の放電装置を備える、
ことを特徴とする表面改質装置。
【請求項7】
請求項2ないし5の何れか一項に記載の放電装置を備える、
ことを特徴とする植物育成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電管、放電装置、表面改質装置および植物育成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ラジカルとして残存しやすいオゾンは、微生物、分生子、菌体に対して強い殺菌力を有しており、容易に分解して酸素となることから安全性の高い殺菌剤として注目されてきた。ラジカルは、難溶水である。たとえば、オゾンは、水に溶解しにくいため、溶解してオゾン水としての濃度を上げられれば、強力な殺菌資材として利用できる。また、オゾンは、溶解した場合、長くても数十分の時間で元の状態になることから、残らない無害な無農薬ともいえる。このような作用は、誘電帯(改質したい水、水溶液、水蒸気などを主成分とした培地など)に高電圧を印加する際におこり、オゾン以外にも多種多様ならラジカル基が発生することは、知られている。これは、空気などに高電圧を印可して、分子、イオンを分化する際に発生するプラズマに分類されラジカル発生の最終段階で生成される。
【0003】
オゾン水の酸化力を利用した殺菌、脱臭は多くの分野で実用化されており、さらに細胞の活性化などの面でも、皮膚の清浄化と活性化などの仕組みが解明され、火傷の治療から美容用まで人体に役立つ研究が年々発表されている。そして、これらの作用が顕著に認められるのは、オゾン水濃度が1~5ppmの範囲である。
【0004】
現在、医療用及び産業用に普及しているオゾン水の製法は、大別して、放電により生成したオゾンガスに溶解させるガス溶解法、電解により生成したオゾンガスを水に溶解させる電解ガス溶解法、電解面に原料水を直接接触させてオゾン水を生成させる直接電解法の3方式が開示されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、電解面に原料水を直接接触させてオゾン水を生成させる直接電解法を利用した技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、放電の種類はそれに伴う電流の挙動によって大まかな分類がなされている。放電電流と正の相関を示し、電流が増えるに従って電圧が増加していく領域を「コロナ放電」といい、電流が増えても電圧変動がほとんどない領域を「グロー放電」、そして電流が多く流れているのにも関わらず、電圧が極端に低下した状態となる領域を「アーク放電」と識別・理解がなされている。中でも特にアーク放電は非常に大きな電流が流れるということから、その放電には非常に高い熱の発生を伴う。
【0007】
大気圧下のコロナ放電やバリア放電では、フィラメント状の放電が発生する。これをストリーマ放電と呼ぶ。ストリーマ放電は、環境改善技術、オゾン生成、バイオ、医療、表面処理、燃焼支援など多くの分野で利用されており、放電で生成される活性種(O、N、OH、Oなどのラジカル、イオン、励起種など)が重要な役割を果たしている。例えば環境改善技術では、放電で生成されるO、N、OH、Oなどの活性種が、環境汚染ガス(NOx、SOx、揮発性有機物など)や水中の環境汚染物質(化学薬品、細菌など)を分解除去する。
【0008】
バイオ技術(殺菌)では、活性種の殺菌反応や、イオンによる細胞膜の帯電破裂が効果的と考えられている。医療技術(止血、けが治療、がん治療、歯科治療)でも、放電で生成される活性種の反応が治療に効果的と考えられている。燃焼支援技術では燃料を放電でラジカル化してから燃焼させ、ラジカルの連鎖反応である燃焼反応を高効率化する。このように、ストリーマ放電の応用技術では活性種が重要であり、技術開発には活性種の計測が必須である。活性種は一般に寿命が短いため(<1ms)、計測にはレーザー分光による「その場」計測が用いられる。
【0009】
しかしながら、レーザー計測は装置が大がかりで、測定が容易ではなく、ストリーマ放電の計測例は少ないと報告されている。ストリーマ放電では直流、交流、パルスなど様々な電圧を用いるが、発生する放電はすべて10~数100nsのパルス放電である。放電では1~10eV程度の電子が発生し、背景ガスの中性粒子と衝突反応する。背景ガスは空気であることが多く、空気中のN、O、HOなどと衝突反応する。その結果、衝突解離反応(例:e+O→e+O+O)や付着解離反応(例:e+O→O-+O)で、N、O、OH、Hなどのラジカルが生成される。さらに、N+、N+、N+、O+、O+、O+、O-、O-、HO+、H-などのイオンや、N、N(2D)、O(1D)などの励起種も生成される。電子の衝突反応の他に、活性種の化学反応で生成される活性種もある。
【0010】
NOx除去プロセスでは、このように生成された活性種が、放電後1μs~1msの時間オーダーで反応してNOxを除去する。NOxは、主にNラジカルによる還元反応で除去される。あるいは、NOxは、O、O、OHラジカルによる酸化反応で除去される。
【0011】
酸化反応の生成物であるNOやHNOは、溶液で還元して回収することができる。酸化反応と還元反応のどちらが主要な反応パスになるかは、放電条件に依存する。実際の反応にはこれよりもはるかに複雑であり、シミュレーションでは数10~数100、場合によっては 1000近くにもおよぶ反応式を考慮する。ラジカルおよびNOx濃度の「一次ラジカル」は電子衝突で生成されるO、N、OHなどのラジカルであり一次ラジカルは放電パルスで 生成され、その後様々な反応により1μs~1msの時定数で減少する。
【0012】
「二次ラジカル」は、一次ラジカルの反応で生成されるO、HOなどを表す。二次ラジカルは放電後、1~100μsで生成され、その後、100μs~10msの時定数で減少する(場合によっては1s以上)。NOxは、一次および二次ラジカルと反応して減少する。
【0013】
このような反応の流れは、バイオ、医療、表面処理、燃焼支援でも同じである。いずれも放電で生成された活性種の反応がポイントになる。
【0014】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高濃度のラジカルを生成させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、中空の円筒状であって均一な厚みであって、電離対象となる改質対象材料を通す誘電体と、前記誘電体の内部に、当該誘電体との距離が均一に保たれるように、前記誘電体に対して平行に設置された1または複数の導電棒と、前記誘電体の表面を覆う導体と、を備え、電気的な絶縁構造の前記導電棒と前記導体との間に電圧が印加され、前記改質対象材料を入出力させて改質する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高濃度のラジカルを生成させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1の実施の形態にかかる放電管の構成を示す斜視図である。
図2図2は、放電管の構成を示す断面図である。
図3図3は、誘電体の表面にフィンを備えた状態を示す図である。
図4図4は、静電容量の一般的な算出例を示す図である。
図5図5は、放電管の一部を拡大して示す図である。
図6図6は、放電管の制御構成例を示すブロック図である。
図7図7は、第2の実施の形態に係る複数の放電管の誘電体の直径と導電棒の本数とを変えた場合における等価回路を示す図である。
図8図8は、イオンクロマトグラフィーの測定結果の一例を示す図である。
図9図9は、第3の実施の形態に係る放電管を含む装置構成を示す図である。
図10図10は、放電管の構成を示す断面図である。
図11図11は、円筒の構成を示す斜視図である。
図12図12は、第4の実施の形態に係る放電装置とそれを備えた画像形成装置の一実施形態を示す要部のみの構成図である。
図13図13は、第5の実施の形態に係る植物育成方法に用いられる植物育成装置の一例を示す概略図である。
図14図14は、第6の実施の形態に係る植物育成方法に用いられる植物育成装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、放電管、放電装置、表面改質装置および植物育成装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
ここで、図1は第1の実施の形態にかかる放電管1の構成を示す斜視図、図2は放電管1の構成を示す断面図、図3は誘電体2の表面にフィン6を備えた状態を示す図である。
【0020】
図1および図2に示すように、放電管1は、中空の円筒状であって均一な厚みの誘電体2を備える。誘電体2は、例えばシリカ(SiO)成分からなる石英ガラスである。石英ガラスは、例えば2mmの厚みを有している。放電管1は、誘電体2の内部に、誘電体2との距離が均一に保たれるように、誘電体2に対して平行に設置された導体である導電棒3を備える。導電棒3は、1または複数の数が選択可能である。図2に示すように、本実施形態の放電管1においては、誘電体2の内部に備えられる導電棒3の数は、一例として5本とする。5本の導電棒3は、誘電体2の中空部分に円状に並べて備えられる。
【0021】
また、放電管1は、円筒状の誘電体2の表面を、導体4で覆っている。放電管1の両端には、それぞれ電極5が設けられる。放電管1は、電気的な絶縁構造の導電棒3と導体4との間に、電極5を介して電圧を印加される。
【0022】
放電管1は、誘電体2の内部の中空部分に、チューブを通して電離対象となる改質対象材料を通すことになる。改質対象材料は、例えば、液体(水、アンモニア、有機物など)、気体(空気、ガスなど)、イオン、ラジカルなどである。放電管1は、液体(水、アンモニア、有機物など)、気体(空気、ガスなど)、イオン、ラジカルなどを改質またはラジカル、イオン濃度を上げる用途に用いることができる。
【0023】
放電管1の両端の電極5は、Al、Cuなど放熱性の良いものが選択される。ラジカルは、放電管1の外周ではほぼ発生しないためである。
【0024】
なお、導電棒3には、電流が表面電流の1/e(≒1/2.718≒-8.7dB)になる深さである表皮深さ(Skin Depth)が大きいCu、Alのようなものではなく、表皮深さが小さい物質が理想である。例えば、磁性金属の表皮電流の表皮深さ(Skin Depth)は、反磁性金属より格段に浅くなる。したがって、沿面放電を目的にした特性をだすためには、表皮電流の深さは浅いほうがよく、CuやAlより磁性金属のほうが優れている。さらに、導電棒3には、耐食性、硬度のあるものがふさわしい。すなわち、導電棒3には、表皮電流が大きいものが良い。導電棒3の材料は、チタン(Ti)、バナジウム(V)、Ta、Nbなどの4~6族の元素金属、または、貴金属Pt、Auを主成分とした合金などであれば、耐酸化性があり、腐食しない。
【0025】
また、図3に示すように、放電管1は、誘電体2の表面にフィン(放熱板)6を備える。放電管1は、円筒状の誘電体2の表面において放熱を行う。
【0026】
ここで、図4は静電容量の一般的な算出例を示す図である。図4に示す例は、面積S[m]、距離d[m]の2枚の平行導体の間に、比誘電率εsの誘電体が設けられている物体の静電容量Cを示すものである。なお、2枚の平行導体の間の真空誘電率ε0とする。一方の導体に+Q[C]の電荷、他方の導体に-Q[C]の電荷を与えたとき、平板間が平等電界となるのでそれをE[V/m]とすると、ガウスの法則により、下記に示すような関係が成立する。
E=Q/εs・ε0・S
また、平板導体間の電圧をV[V]とすると次に示す式のようになり、この物体の静電容量C[f]が求められる。
C=Q/V=Q/Ed=εs・ε0・S/d
【0027】
なお、本実施形態の放電管1においては、詳細は後述するが、電極+と電極-との間に印加される距離は、最大でも4mmである。本実施形態の放電管1においては、電極+と電極-との間に、均一な厚みの誘電体2と均一な厚みの改質対象材料とが、均一な距離で円状に配置される。これによって、誘電体2に対して印加される電圧は、均一なストリーマ放電(コロナ放電の1種)になり、アーク放電にはならないものとなっている。
【0028】
ここで、図5は放電管1の一部を拡大して示す図である。図5に示すように、誘電体2と導電棒3とのエアギャップ長d1と、石英ガラスである誘電体2の肉厚長d2との比誘電率によって、それぞれ印加される電圧は直列接続になるために、その逆数比分が印加されることになる。すなわち、d1:εs=1、d2=4、d1=d2とし、放電管1の内部の電荷量Qは同一とすれば、誘電体2と導電棒3とのエアギャップ長d1には4/5、誘電体2の肉厚長d2には1/5の電圧が印加されることになる。
【0029】
改質対象材料は、誘電体2と導電棒3とのエアギャップ長d1間を通る際に改質されることになるが、図5に示す破線範囲を超えて広がるスカートにように広がる沿面放電部分に作用することになる。なお、距離が短い部分は、光熱の損失にしかならない。印加電圧は、パッシェン則より大気圧(1気圧)にて3kV/mmと言われているので、d1+d2=4mmとすれば、12kvということになる。
【0030】
したがって、スカートのように広がる沿面放電部分の領域を増やすためには、図5に示す導電棒3の面積が1本よりも、距離を離して複数(例えば2本)備えるほうがよい。そこで、本実施形態においては、複数の導電棒3を誘電体2の内部の中空部分に円状に並べる構成としている。
【0031】
その際、導電棒3と導電棒3との距離は、製作上の関係で、少なくとも1mmのクリアランスをとることにより(望ましくは導電棒3の直径分)、同一方向に流れる電流の引力(導電棒3が引き付け合う力)を抑える作用がある。一方で、導電棒3には、表皮効果が表れる。表皮効果は、交流電流が導体を流れるとき、電流密度が導体の表面で高く、表面から離れると低くなる現象のことである。したがって、導電棒3は、印加周波数が高くなればなるほど、表皮しか電流が流れなくなってしまう。そのため、導電棒3を太くするよりも導電棒3を複数本備えるほうが、作用効果が高いことがわかる。
【0032】
ここで、図6は放電管1の制御構成例を示すブロック図である。改質対象材料により絶縁抵抗は異なることから、ラジカルが生成される誘電体バリア放電によって流れる電流も異なることになる。そこで、図6に示すように、本実施形態においては、ラジカルが生成される誘電体バリア放電によって流れる電流値を、インバータ20から放電管1に給電される配線上に備えられるCT(カレントトランス)30などによって検出する。CT(カレントトランス)30は、検出した量インバータ20にフィードバックして、インバータ20側からの供給量を自動的に制御させ、インバータ20の供給量を制御する。
【0033】
すなわち、本実施形態においては、印加電圧は交番された電圧であり、印可電圧範囲は電圧印加すると流れる電流値によって印加電圧が自動調整される。
【0034】
このように誘電体2と導電棒3とのエアギャップ長d1と誘電体2の肉厚長d2とを同一距離とし、導電棒3間に対して交番電圧を印加することによって、弱く均一な電気力線がでて、放電(ストリーマ)になる。なお、どこかにインピーダンスが弱い絶縁性が低い部分があると、そこに大きな電流が流れ、アーク放電になって、誘電体2に穴があいてしまい、絶縁破壊となるばかりか、印加するインバータにも過負荷な状態になって最悪故障するということにいたる。
【0035】
導電棒3の長さは、金属材料の導電率によるが、短いほうがよい。本実施形態においては、導電棒3は、200mm/10Wのφ0.3~φ12とし、2本から50本とする。この場合、容量は、10~500pFである。
【0036】
このように本実施形態によれば、中空の円筒状であって均一な厚みの誘電体2の内部に円状に複数の導電棒3を並べ、放電管1は円筒状の誘電体2の表面において放熱を行う。これにより、チューブを通して誘電体2の内部の中空部分に改質対象材料を入れ、放電管1で生成して出力する構造とすることができるので、高濃度のラジカルを生成させることができる。
【0037】
なお、本実施形態においては、単一の放電管1であるとしたが、これに限るものではない。例えば、複数の放電管1を備え、順番に誘電体2の中空部分内で電離したい改質対象材料を循環させるようにしてもよい。より詳細には、放電管1が複数ある構成で、これらの放電管1をシリコンチューブなどでつなぐことで、改質対象材料を直列的に改質する。これにより、ラジカルがさらに次の放電管1でラジカル発生と濃度を上げる構成になっていて、効果は当然のことながら向上する。ただし、放電管1は、容量性であることから、印加するインバータ20の電圧波形が負荷による共振を使用している場合は電圧波形がなまってしまい、急峻な電圧変化にならないという欠点がでてくるが、そうでない場合は、単純に、負荷に印加できる電力は、物体の静電容量Cに比例することになる。したがって、同じ放電管1を使用するだけで、2倍の効果を得ることができる。
【0038】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0039】
第2の実施の形態は、誘電体2の中空部分内の導電棒3の直径と本数とを変えたもので、それぞれの分布容量を導電棒3の本数で調整する点が、第1の実施の形態と異なるものとなっている。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0040】
図7は、第2の実施の形態に係る複数の放電管1の誘電体2の直径と導電棒3の本数とを変えた場合における等価回路を示す図である。図7に示す例は、誘電体2の直径と導電棒3の本数とを変えたもので、それぞれの分布容量を導電棒3の本数で調整していることを示しているものであって、3個構成の放電管1を第一電極C1~第三電極C3で示すものである。下記は、放電管1の誘電体2の内径φ21、外径φ25での検証結果を示すものである。
第一電極(C1):7本、40pF(10KHz)、φ3(電気力線大/本)
第二電極(C2):15本、41pF(10KHz)、φ1(電気力線中/本)
第三電極(C3):29本、43pF(10KHz)、φ0.3(電気力線小/本)
【0041】
図7に示す例は、最初に放電管1である第一電極(C1)において、本数が少ないことを利用し、1本あたりの電気力線(放電線)が強いものを出す。次に、第二電極(C2)に電気力線が入ってくると、より本数の多い1本あたりの電気力線が第一電極(C1)より弱い放電をする。次に、第三電極(C3)に電気力線が入ってくると、さらにより本数の多い1本あたりの電気力線がより弱い放電をなす。これにより、エネルギーの結合力が高いものを最初強い電気力線で電離させることで、徐々にラジカルの濃度を上げる構成としている。
【0042】
電力的には、3個の放電管1の構成であれば、3倍の電力を印加することになる。また、ラジカルは、1~10ev(空気中を改質する場合)必要とされ、たいていは1msec以内に消えてしまうため、印加サイクルも1/msec、つまり10KHz以上にすることが望ましい。このようにすぐにラジカルが消えないような構造のため、多段回以上循環させることにより、より密度(濃度)の高いラジカルが生成されることになる。
【0043】
本実施形態では、3個以上の電極(放電管1)で構成される。そして、第二電極は、第一電極の導体である導電棒3の面積Sの1倍より低い等比例により、複数の導電棒3の本数によって、導電棒3と導体4との間の分布容量が調整される。導電棒3と導体4との間の分布容量が調整された第二電極は、エアギャップ長(d1)は第一電極と同じ距離としつつ、第一電極と分布容量がほぼ同容量になるように導電棒3の面積を減らして、その分導電棒3を増加させることにより、容量の範囲が±30%以内となるようにする。
【0044】
ところで、改質対象材料の一例である空気は分子状態にあるが、最初から第三電極(C3)のような弱い電気力線では、位置エネルギーが大きいために、改質を十分に行うことができない。徐々に運動エネルギーに変化させるためには、加速度が必要である。加速度の役割は、同一容量(印加電力を同一にするため)とすることと、沿面放電量(スカート領域)を広げることである。
【0045】
実験の結果、導電棒3の材料を改質変化が見えやすいCuとした場合、8kV、22kHzを各15Wで印加させたときに、4H後、第3電極においてはOHラジカルの酸化反応のさびが生成され、第二電極においてはOラジカルとOHラジカルの酸化反応のさびが生成された。また、第一電極においては、Oラジカルのさびの酸化反応が見られた。このように、最初に生成されるのは、Oの分解であり、その次にOHと結合している分子の分解が始まっていると思われる。このような構成にすることによって、それぞれの電極近辺に生成されるラジカルのみを抽出することが可能となる。
【0046】
なお、改質された空気を純水(購入品)に溶かした1日後のイオンクロマトグラフィー測定の状態は、次のような状態であった。図8は、イオンクロマトグラフィーの測定結果の一例を示す図である。図8(a)はECD検出器のクロマトグラフィーの測定結果を示し、図8(b)はUV検出器のクロマトグラフィーの測定結果を示す。図8(a)において「不」と表示されている部分は、不明であるピークが出ていることを示す。図8のNO.1は純水の状態、NO.2は1日後のイオンクロマトグラフィーの測定の状態を示している。ただし、イオン状態で硝酸、硫酸、塩素などは残存していることがわかっているが、ラジカル状態が残存しているかについては、測定できていない。
【0047】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0048】
第3の実施の形態は、導電棒と平行に、電極内部のラジカルの分布を均一にするための円筒を備える点が、第1の実施の形態と異なるものとなっている。以下、第3の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0049】
図9は、第3の実施の形態に係る放電管1を含む装置構成を示す図である。図9に示す装置構成は、第一電極C1~第三電極C3で示される3つの放電管1、11を備える。図9に示す装置構成は、電離したい改質対象材料が順次第一電極C1~第三電極C3に供給され、最初の供給場所に戻る構成である。
【0050】
また、図10は放電管11の構成を示す断面図である。図10に示すように、第二電極または第三電極となる放電管11においては、誘電体2の内部に備えられる導電棒3の数は、一例として4本とする。加えて、第二電極または第三電極となる放電管11においては、第二電極内にある導体(導電棒3)と平行に、電極内部のラジカルの分布を均一にするための円筒12を備える。4本の導電棒3および円筒12は、誘電体2の中空部分に円状に並べて備えられる。
【0051】
ここで、図11は円筒12の構成を示す斜視図である。図11に示すように、円筒12は、内部が空洞であって、樹脂または耐酸化性材料(チタンなどの金属材料の繊維で編んだものなど)で形成される。円筒12は、表面に多数の孔12aを備える。このような構成により、電極内部のラジカルの分布を均一にすることができる。
【0052】
すなわち、第一電極以外の第二電極および第三電極は、電極内部のラジカルの分布を均一にするための円筒12を備えており、円筒12から放電管内部に改質対象材料が循環されてゆく。これによって、よりよく密度が高い濃度が高いラジカルは生成されることになる。このようにして入ってきた改質対象材料は、ラジカルにまで改質されることになり、気体液体に限定されず、図5の均一な距離d1,d2によって放電がアークにならず、均一なストリーマ放電になる。
【0053】
このように第二電極および第三電極に、電極内部のラジカルの分布を均一にするための円筒12を備えることによって、電極内部のラジカル濃度を均一にすることができる。
【0054】
なお、第三電極以降に電極を設ける場合には、第三電極以降に設けられる電極は、第二電極および第三電極と同じ構成とし、その数は限定しない。
【0055】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。
【0056】
第4の実施の形態は、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態の放電装置を、シートの表面改質装置に適用した点が、第1の実施の形態と異なるものとなっている。以下、第4の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0057】
〔放電装置と画像形成装置の実施形態〕
次に、この発明による放電装置と、その放電装置を備えた画像形成装置の実施形態について、図12によって説明する。図12は、第4の実施の形態に係る放電装置とそれを備えた画像形成装置の一実施形態を示す要部のみの構成図である。
【0058】
放電装置50は、高電圧インバータ装置51と、ローラ状の放電電極52及びカウンタ電極53と、カウンタ電極53の外周に一体に設けたスリーブ状の誘電体54とを備えている。放電電極52は、銅アルミニウムのような導電性のよい金属によるロッド状の金属体52aと、その外周を覆う絶縁体(誘電体)52bとからなる。
【0059】
この放電電極52とカウンタ電極53は誘電体54を挟んで対向し、シート材の搬送路の上側と下側にそれぞれ回転自在に支持されている。
【0060】
高電圧インバータ装置51は、前述したこの発明によるインバータ20であり、出力端子2aを放電電極52の金属体52aに接続し、出力端子2bをアースに接続している。一方、カウンタ電極53もアースに接続している。
【0061】
したがって、高電圧インバータ装置51から出力される脈流の十数KVの高電圧が、大気中で放電電極52の金属体52aとカウンタ電極53との間に印加される。それによって、放電電極52からカウンタ電極53に向けて大気圧プラズマ放電が発生し、誘電体54の表面に沿うようにプラズマが形成される。この放電は、沿面放電又は無声放電、あるいは誘電体バリア放電とも称される。
【0062】
この放電装置50の放電電極52と誘電体54との間を通して、シート材Sを搬送できるように、搬送ローラ対71を設けると共に、誘電体54及びカウンタ電極53の両側に搬送路を形成するガイド板72,73を設けている。
【0063】
このシート材Sは、コピーや印刷等に用いられる普通紙やコート紙の他、OHPシートを含む樹脂フィルム、カード、ハガキ等の厚紙や封筒等であり、この放電装置50の放電電極52と誘電体54との間を通してプラズマに触れさせることによって、その表面が改質処理される。その改質処理は、シート材の表面の撥水性を親水化する(濡れ性を高める)処理である。
【0064】
その際、放電電極52と誘電体54を一体とするカウンタ電極53がシート材Sの移動に連れ回りするので、プラズマが均一に発生し、改質がシート材Sの表面全体に均一に行われる。
【0065】
このように、この実施形態ではこの放電装置50がシート材改質装置の役目を果し、そのシート材搬送方向の下流側に、シート材に画像を形成する画像形成部60を備えて、画像形成装置を構成している。
【0066】
その画像形成部60には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色のライン型インクジェットヘッド61y,61m,61c,61kを有するヘッドユニット61が設けられている。
【0067】
したがって、この画像形成部60はインクジェット方式の画像形成部であり、さらには、フルカラーのライン型インクジェットヘッドを用いた画像形成部である。
【0068】
なお、図12では、各インクジェットヘッドにおけるインクの乾燥を防止するための部材等は図示を省略している。
【0069】
また、ライン型インクジェットヘッドに代えて、ヘッドユニットをキャリッジに搭載して、シート材の搬送方向と直交する方向に走査しながら画像を形成する走査型のインクジェットヘッドを使用してもよい。
【0070】
ヘッドユニット61の下側には、無端広幅ベルト62が、駆動ローラ63と従動ローラ64とテンションローラ65に巻きつけられて所定の張力を与えられて、矢印B方向に周回移動(回動)されるように設けられている。テンションローラ65は圧縮バネ66によって押圧され、無端広幅ベルト62に張力を与えている。
【0071】
駆動ローラ63と無端広幅ベルト62を挟んで対向するように、ピンチローラ67が回転自在に設けられ、駆動ローラ63に接近する方向に押圧力が付与されている。
【0072】
その無端広幅ベルト62に、シート材Sをエアー吸引力によって密着させるか、静電吸着によって密着させる手段も設けられるが、それらは当業者に周知の技術であるから、ここでは説明を省略する。
【0073】
この画像形成装置によれば、図示していないシート材給送部から順次給送されるシート材Sが、図12の矢示A方向から搬送ローラ対71によって、放電装置50へ送り込まれる。そして、そのシート材Sがガイド板72,73に沿って、放電電極52とカウンタ電極53との間を、放電電極52と誘電体54に挟まれて図で左方へ搬送される。その際に、シート材Sの表面がプラズマ放電によって発生したプラズマに接触して改質され、親水性が高められる。
【0074】
その改質されたシート材Sが、放電装置50から出ると、駆動ローラ63に支持された無端広幅ベルト62とピンチローラ67とに挟まれ、無端広幅ベルト62の表面に密着して、ヘッドユニット61と対向する画像形成位置を一定の速度で搬送される。
【0075】
その間にヘッドユニット61は、図示していない用紙先端検知センサによる用紙先端の検出時点からタイミングをとって、各色のインクジェットヘッド61y,61m,61cm,61kを駆動する。それによって、シート材Sの矢示B向への搬送に伴って、インクジェットヘッド61y,61m,61c,61kの各先端のノズルから、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の液状記録剤である水性インク滴をシート材Sの表面に順次吐出させて、フルカラーの画像を形成する。
【0076】
ヘッドユニット61によって画像が形成された印刷済みシート材は、矢示C方向へ送られ、図示していない搬送ローラ対等によって機外に排出される。しかし、その印刷済みシート材の裏面にも画像を形成する場合には、図示していない反転搬送機構によって表裏を反転して、再び放電装置50へ給送する。そして、放電装置50でそのシート材の裏面の改質処理を行ってから、画像形成部60へ送り込み、その裏面にヘッドユニット61によって画像を形成する。
【0077】
画像形成部60の下流側に、ニス等のコート剤を塗布する後処理部を設けて、印刷済みシート材の表面にコート剤を塗布するようにしてもよい。その場合、印刷済みシート材の表面は既に改質されて親水化されているので、全面に均一にコート剤を塗布することができる。それによって、画像を形成したシート材の表面を保護したり、艶出しして付加価値を高めたりすることができる。
【0078】
また、画像形成部として電子写真方式の画像形成部を備えた画像形成装置の場合、画像形成部の下流側に放電装置50を配置し、そのさらに下流側にコート剤を塗布する後処理部を設けるとよい。それによって、電子写真方式でトナーによる画像を転写及び定着されたシート材の表面を改質処理して、その全面に均一にコート剤を塗布することができる。それは、トナー粒子に含有されるワックスや定着時に付着するシリコンオイル等の影響によって、シート材の表面に形成される撥水性を有する部分を、放電装置50で改質して親水化できるからである。
【0079】
放電装置50は、放電電極52をシート材の搬送方向に沿って複数本並べて配置し、カウンタ電極53及び誘電体54を平板状に構成してもよい。放電電極52をカウンタ電極53に対して、接近及び離間する方向に移動可能に支持し、接近する方向に押圧力を付与しておくようにすれば、シート材をその厚さにかかわらずスムーズに搬送して、均質な改質処理を行うことが可能である。
【0080】
この発明による画像形成装置は、プリンタに限らず、複写機、ファクシミリ装置、それらの複数の機能を持つデジタル複合機、業務用大型プリンタなどでもよい。また、カラー画像を形成するものに限らず、モノクロ画像を形成するものでもよいし、使用するシート材はカットシートに限らず、ロール状に巻かれた長尺シートでもよい。
【0081】
この発明による高電圧インバータ装置、放電装置、および画像形成装置は、それぞれ上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更、追加、あるいは省略および組合せ等が可能であることは言うまでもない。
【0082】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について説明する。
【0083】
第5の実施の形態は、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態の放電装置を、植物育成方法に用いられる植物育成装置に適用した点が、第1の実施の形態と異なるものとなっている。以下、第5の実施の形態の説明では、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0084】
図13は、第5の実施の形態に係る植物育成方法に用いられる植物育成装置の一例を示す図である。
【0085】
図13の植物育成装置は、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態の放電装置を用いるものであって、電圧を印加後の培養材料を収容する植物育成容器の材質が、珪素及びフッ素のいずれかである。
【0086】
電圧印加後の培養材料は、植物の育成に用いるために、植物を育成する植物育成容器内に移される。
【0087】
植物育成容器は、非結晶質の珪素又はフッ素を主成分とした容器であり、容器内に収容した培養材料に種を播種することができる。
【0088】
電圧印加後の空気、水溶液又は水蒸気は、発生したラジカル基などが元の状態に戻りやすいため、植物育成容器内で保持する必要がある。植物育成容器の材質としては、非結晶質の珪素、フッ素などが好ましい。本発明者は、容器の材料としていくつか検証した結果、ポリプロピレン樹脂より、非結晶質の珪素又はフッ素を主成分とした容器のほうが、育成の結果10%成長が早いという結果が得られた。植物育成容器が、金属容器である場合は、金属表面に直接触れる空気、水溶液又は水蒸気中のイオンやラジカル基が分子に戻ってしまうため、使用することができない。
【0089】
電圧印加後の空気、水溶液又は水蒸気を植物育成容器に戻す方法としては、空気又は水蒸気は、エアーストーンを用いて植物育成容器内の溶媒に溶かす方法が挙げられ、培養材料は、循環システムを用いて植物育成容器に移される方法が挙げられる。
【0090】
(第6の実施形態)
図14は、第6の実施形態の植物育成方法に用いられる植物育成装置の一例を示す図である。
【0091】
図14の植物育成装置は、第1の実施の形態ないし第3の実施の形態の放電装置を用いるものであって、電圧を印加するときに高電圧誘導コイルを用いる。
【0092】
植物育成容器110内に培養材料120が配置され、培養材料120上に植物育成エリアを有し、植物育成エリア内は気体が充満されている。植物育成エリアには、導線が複数巻かれ、終端が開放された、導体からなる空芯コイル160が配置されている。
【0093】
空芯コイル160は、数百m~数kmの導体を複数巻いた構造をしている。
【0094】
発振子が、地磁気周波数を用いて磁束誘導させ、電圧を誘起させることで、植物150の周りに電圧を常時発生させることができる。その電圧により、気体130、及び培養材料120を改質させることができる。
【符号の説明】
【0095】
1 放電管
2 誘電体
3 導電棒
4 導体
12 円筒
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】特許第4291320号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14