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特開2023-9855衝撃緩衝材、包装材、及び包装システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009855
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】衝撃緩衝材、包装材、及び包装システム
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/107 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
B65D81/107 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021113477
(22)【出願日】2021-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】末廣真也
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066BA02
3E066CA01
3E066CA03
3E066DA01
3E066HA01
3E066NA41
3E066NA42
(57)【要約】
【課題】衝撃緩衝用リブ構造を備える衝撃緩衝材において、従来よりも衝撃緩衝性を向上できる衝撃緩衝材を提供する。
【解決手段】被包装体の収容空間を有するベース構造部と、ベース構造部の少なくとも一面に設けられた衝撃緩衝用リブ構造から構成される衝撃緩衝材において、衝撃緩衝用リブ構造が、ベース構造部に支持され、立方体又は直方体形状を有する主緩衝部と、両端部でベース構造部に支持され、両端部の間がベース構造部から離間する形状を有する補助緩衝部とで構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装体の収容空間を有するベース構造部と、前記ベース構造部の少なくとも一面に設けられた衝撃緩衝用リブ構造から構成される衝撃緩衝材において、
前記衝撃緩衝用リブ構造が、
前記ベース構造部に支持され、立方体又は直方体形状を有する主緩衝部と、
両端部で前記ベース構造部に支持され、前記両端部の間が前記ベース構造部から離間した形状を有する補助緩衝部とで構成されることを特徴とする衝撃緩衝材。
【請求項2】
前記主緩衝部及び前記補助緩衝部が、前記ベース構造部の一面にそれぞれ少なくとも1つ以上設けられることを特徴とする請求項1に記載の衝撃緩衝材。
【請求項3】
前記主緩衝部及び前記補助緩衝部が、前記ベース構造部の複数の面に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の衝撃緩衝材。
【請求項4】
前記主緩衝部及び前記補助緩衝部が、前記ベース構造部の5つの面に、それぞれ設けられることを特徴とする請求項3に記載の衝撃緩衝材。
【請求項5】
前記主緩衝部が、前記ベース構造部の同一面上にある2つの前記補助緩衝部の間に設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の衝撃緩衝材。
【請求項6】
前記補助緩衝部が、前記ベース構造部の同一面上にある2つの前記主緩衝部の間に設けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の衝撃緩衝材。
【請求項7】
複数の板状部材を重ね合わせて構成されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の衝撃緩衝材。
【請求項8】
平板状のベース構造部と、前記ベース構造部の一方の面に設けられた衝撃緩衝用リブ構造から構成される衝撃緩衝材において、
前記衝撃緩衝用リブ構造が、
前記ベース構造部に支持され、立方体又は直方体形状を有する主緩衝部と、
両端部で前記ベース構造部に支持され、前記両端部の間が前記ベース構造部から離間する形状を有する補助緩衝部とで構成され、かつ、被包装体に当接して装着されることを特徴とする衝撃緩衝材。
【請求項9】
前記補助緩衝部は、
前記ベース構造部の面に対し、垂直に設けられた2つの支柱部と、
前記2つの支柱に支持され、前記ベース構造部の面に対し、離間して水平に設けられた梁部とから構成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の衝撃緩衝材。
【請求項10】
前記補助緩衝部は、
それぞれ前記ベース構造部の面に対して斜めに設けられ、互いに交わる2つの支柱部で構成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の衝撃緩衝材。
【請求項11】
前記補助緩衝部は、
それぞれ前記ベース構造部の面に対して斜めに設けられた2つの支柱部と、
前記2つの支柱に支持され、前記ベース構造部の面に対し、水平に設けられた梁部とから構成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の衝撃緩衝材。
【請求項12】
前記補助緩衝部は、その長手方向に2つ以上連なって設けられることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の衝撃緩衝材。
【請求項13】
前記ベース構造部に支持される前記主緩衝部は、少なくとも1組の対向する側面に勾配が設けられ、
前記主緩衝部の前記ベース構造部に支持される底面の面積は、前記主緩衝部の上面の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の衝撃緩衝材。
【請求項14】
前記ベース構造部は、前記補助緩衝部の鉛直方向直下に、開口部を有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の衝撃緩衝材。
【請求項15】
発泡樹脂緩衝材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の衝撃緩衝材。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の衝撃緩衝材が装着された被包装体を梱包する包装材。
【請求項17】
請求項16に記載の包装材を用いる包装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃緩衝材、包装体、及び包装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
精密機械製品用の包装材には、物流下で受ける振動又は落下衝撃により、脆弱な被包装体が変形や破損を引き起こさないように、衝撃緩衝機能を有する緩衝材が装着されている。この緩衝材は、被包装体に作用する衝撃、すなわち衝撃加速度を、それ自身の変形・座屈作用により緩衝できる。例えば、最大数百Gの衝撃加速度が被包装体に掛かる場合であっても、緩衝材を用いることで百G以下の衝撃加速度に低減できる技術が知られている。
【0003】
従来の緩衝材は、被包装体の質量や想定落下高さに合わせた構造強度で形成される衝撃緩衝用リブ構造が設けられ(図1参照)、衝撃緩衝用リブ構造の圧縮変形から生じる圧縮応力特性により、衝撃緩衝機能を発揮していた。また、この圧縮応力特性による衝撃緩衝の最大効率点は、圧縮歪みが0.5~0.65となる条件下であり、これが当該構成における衝撃緩衝機能の限界点であることが既に知られている。
【0004】
また、例えば特許文献1には、包蓋面板又は底面板の内側フラップの先端部分を折り曲げて形成した緩衝部材で、収容する製品の上面又は底面を支持する包装箱が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら従来の緩衝材及び特許文献1に開示されている包装箱は、シンプルな構造で良好な衝撃緩衝性を有するが、衝撃緩衝用リブ構造の圧縮応力特性には限界があり、一層の衝撃緩衝性を得ることは困難であった。
【0006】
そこで本発明は、衝撃緩衝用リブ構造を備える衝撃緩衝材において、従来よりも衝撃緩衝性を向上できる衝撃緩衝材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、被包装体の収容空間を有するベース構造部と、前記ベース構造部の少なくとも一面に設けられた衝撃緩衝用リブ構造から構成される衝撃緩衝材において、前記衝撃緩衝用リブ構造が、前記ベース構造部に支持され、立方体又は直方体形状を有する主緩衝部と、両端部で前記ベース構造部に支持され、前記両端部の間が前記ベース構造部から離間した形状を有する補助緩衝部とで構成されることを特徴とする衝撃緩衝材によって解決される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の衝撃緩衝材は、衝撃緩衝用リブ構造が、圧縮変形する主緩衝部と、圧縮及び曲げ変形する補助緩衝部とで構成されている。主緩衝部は圧縮応力を作用し、補助緩衝部は圧縮及び曲げ応力を作用する。したがって、衝撃緩衝用リブ構造は複合的な応力作用を生じ、従来よりも衝撃緩衝性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】従来仕様に係る衝撃緩衝材の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る衝撃緩衝材の斜視図である。
図3図2の衝撃緩衝材に作用する応力を示す斜視図である。
図4】(a)は、各緩衝部の特性を示すグラフであり、(b)は、従来仕様と本実施形態の特性を比較するグラフである。
図5】衝撃緩衝用リブ構造を複数有する衝撃緩衝材の斜視図である。
図6図2の衝撃緩衝材に対し、主緩衝部及び補助緩衝部の配置を変更した衝撃緩衝材の斜視図である。
図7】複数の平板を重ねて合わせて構成した衝撃緩衝材の模式図(その1)である。
図8】複数の平板を重ねて合わせて構成した衝撃緩衝材の模式図(その2)である。
図9】被包装体の収容空間を有さない衝撃緩衝材の斜視図である。
図10】補助緩衝部の形状バリエーションを示す斜視図である
図11】主緩衝部に変形を加えた衝撃緩衝材の斜視図である。
図12】補助緩衝部の変形部分を収容する開口部を有する衝撃緩衝材の斜視図である。
図13図12に示す衝撃緩衝材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図2は、本発明の一実施形態に係る衝撃緩衝材の斜視図である。この衝撃緩衝材1は、被包装体(例えば、複写機)の収容空間5を有するベース構造部10と、ベース構造部10の上面に設けられた衝撃緩衝用リブ構造20から構成される。
【0011】
この衝撃緩衝用リブ構造20は、ベース構造部10に支持され、立方体又は直方体形状を有する主緩衝部12と、両端部でベース構造部10に支持され、両端部の間がベース構造部10から離間した形状を有する補助緩衝部14とで構成される。
【0012】
具体的に、ベース構造部10の上面で中央位置に、主緩衝部12が1つ設けられ、それを挟むように補助緩衝部14が2つ設けられている。また、補助緩衝部14は、逆Vの字(又はアーチ状)の形状を有し、曲げ変形を生じさせることを意図している。
【0013】
複写機などの被包装体は、衝撃緩衝材1が装着され、包装材に梱包される。その包装材が振動及び/又は落下衝撃を受けると、図3に示すように、主緩衝部12の圧縮変形による圧縮応力が作用すると同時に、補助緩衝部14の曲げ変形による圧縮及び曲げ応力が作用する。
【0014】
従来仕様(図1参照)では、単一に設けられた衝撃緩衝用リブ構造の圧縮変形及び圧縮応力のみで衝撃緩衝を行うが、本実施形態(図2参照)では、主緩衝部12と、新たに設けた補助緩衝部14とで複合応力作用を生じさせる。これは、従来仕様以上の衝撃吸収効率で衝撃を緩衝し、同じ被包装体であっても掛かる最大衝撃力を低減できる。
【0015】
図4(a)は、各緩衝部の特性を示すグラフであり、図4(b)は、従来仕様と本実施形態の特性を比較するグラフである。(a)、(b)ともに、横軸は変形量(mm)であり、縦軸は作用する反力(N)である。
【0016】
(a)の一番下の線で示すように、補助緩衝部では、当初は主として圧縮応力が作用し、その後、曲げ変形による曲げ応力が作用する。曲げ変形が生じる時点で大きく反力が下がり、その後緩やかに上昇していくのが分かる。
【0017】
一方、(a)の真ん中の線で示すように、主緩衝部では圧縮応力が作用するため、反力は単調に増加することが分かる。したがって、(a)の一番上のグラフに示すように、これら主緩衝部と補助緩衝部の合計した複合力(反力)は、主緩衝部のみの場合よりも立ち上がりが早く、かつ、その値も大きくなる。
【0018】
上記に加えて、本実施形態では、主緩衝部の衝撃を受ける面積を小さくし、小さな体積とすれば、主緩衝部での反力を小さくすることができる。すなわち、(b)のグラフに示すように、本実施形態の衝撃緩衝材は、変形開始時点での反力の立ち上げ及びその値を大きくできるとともに、所定の変形後に被包装体に作用する反力を従来仕様の緩衝材よりも低減できる。
【0019】
図2の衝撃緩衝材1は、ベース構造部10の一面に、主緩衝部12を1つ、補助緩衝部14を2つ設けているが、これに限定されない。主緩衝部12及び補助緩衝部14を、ベース構造部10の少なくとも一面にそれぞれ少なくとも1つ以上設けてもよい。被包装体の質量及び想定落下高さから想定される衝撃に対し、適切な衝撃緩衝用リブ構造を選択できる。
【0020】
続いて、本発明の有利な構成について説明する。
【0021】
図5は、衝撃緩衝用リブ構造を複数有する衝撃緩衝材の斜視図である。主緩衝部12及び補助緩衝部14は、ベース構造部10の複数の面上(図5では、隠れている背面も含めて、最大5面)に設けることができる。衝撃緩衝材1aは、多方面に衝撃緩衝用リブ構造20を有することから、多方面で衝撃緩衝機能を発揮できる。
【0022】
なお、衝撃緩衝材1aは、直方体、立方体といった六面体に限定されず、より多くの面を有する立体形状であってもよく、それぞれの面に衝撃緩衝用リブ構造20を有してもよい。
【0023】
主緩衝部12及び補助緩衝部14の並べ方(配置)について説明する。被包装体の重心が中央寄りにある場合は、先の図2に示したように、主緩衝部12をベース構造部10の同一面上にある2つの補助緩衝部14の間に設ける構成が適している。
【0024】
一方、被包装体の重心が片方寄り(偏重心)にある場合は、図6に示すように、補助緩衝部14をベース構造部10の同一面上にある2つの主緩衝部12の間に設ける構成が適している。この衝撃緩衝材1bは、衝撃緩衝時に生じる傾きを抑制できる。
【0025】
図7図8は、複数の平板を重ねて合わせて構成した衝撃緩衝材の模式図である。複数の板状部材30a、b、cを重ね合わせて衝撃緩衝材1cを構成できる。また、複数の板状部材30d、e、fを重ね合わせて衝撃緩衝材1dを構成することもできる。それぞれの板状部材30は、射出成形などの高度な成形技法を用いずに容易に製造できるので、効率的かつ安価に衝撃緩衝材を製造できる。
【0026】
図9は、被包装体の収容空間を有さない衝撃緩衝材の斜視図である。この衝撃緩衝材1eは、平板状のベース構造部10eと、前記ベース構造部10eの一方の面に設けられた衝撃緩衝用リブ構造20eから構成される。
【0027】
この衝撃緩衝用リブ構造20eは、ベース構造部10eに支持され、立方体又は直方体形状を有する主緩衝部12と、両端部でベース構造部10に支持され、両端部の間がベース構造部10から離間する形状を有する補助緩衝部14eとで構成される。
【0028】
この衝撃緩衝材1eは、ベース構造部10eが被包装体の収容空間を有していない点で、先の図2の衝撃緩衝材1と異なる。衝撃緩衝材1eは、平面状に形成した衝撃緩衝用リブ構造20eが被包装体に当接して装着されることで、被包装体にかかる衝撃を緩衝する。
【0029】
この構成においても、先の図2で示したのと同様に、補助緩衝部14eと、主緩衝部12とで複合応力作用を生じさせ、従来仕様(図1参照)以上の衝撃吸収効率で衝撃を緩衝し、被包装体に掛かる最大衝撃力を低減できる。
【0030】
図10は、補助緩衝部の形状バリエーションを示す斜視図である。補助緩衝部14は、装着する被梱包体、及び/又は想定される衝撃に即して、様々な形状を取ることができる。
【0031】
(a)に示す補助緩衝部14は、垂直に設けられた2つの支柱部16と、それら支柱部16に支持され、ベース構造部10の面に対し、離間して水平に設けられた梁部18とから構成されている。この補助緩衝部14は、水平に設けられた梁部18が等分布荷重を受ける構造であり、局部荷重を受ける場合に曲げ応力が大きく作用する効果が得られる。これは、質量の大きい被包装体に適している。
【0032】
(b)に示す補助緩衝部14は、それぞれベース構造部の面に対して斜めに設けられ、互いに交わる2つの支柱部16で構成されている。この補助緩衝部14は、局部荷重を受けると曲げ作用が起きやすく、小さい曲げ応力を作用させることができる。これは、質量の小さい被包装体に適している。
【0033】
(c)に示す補助緩衝部14は、それぞれベース構造部の面に対して斜めに設けられた2つの支柱部16と、2つの支柱部16に支持され、ベース構造部10の面に対し、水平に設けられた梁部18とから構成されている。この補助緩衝部14は、水平に設けられた梁部18が等分布荷重を受ける構造である一方、2つの支柱部16は、それら支柱間の距離が長くなることで、曲げ作用が起きやすく、小さい曲げ応力を作用させることができる。これも、質量の小さい被包装体に適している。
【0034】
(d)、(e)、(f)に示す補助緩衝部14は、その長手方向に2つ以上連なって設けられている。これら補助緩衝部14は、各々の支持部間の距離が短くなるため、曲げ応力が大きく作用する効果が得られやすくなる。これは、質量の大きい被包装体に適している。
【0035】
図11は、主緩衝部に変形を加えた衝撃緩衝材の斜視図である。主緩衝部12fは、長手方向の両端の側面に勾配が設けられ、主緩衝部12fのベース構造部10に支持される底面の面積が、上面の面積よりも大きい。すなわち、主緩衝部12fは、テーパを有する構造となっている。
【0036】
主緩衝部12fの圧縮変形が進むにつれ、圧縮部分の面積が増加するため、より大きくの衝撃エネルギーを吸収することができる。なお、主緩衝部12fは、少なくとも1組の対向する側面に勾配を設けるとしてもよい。
【0037】
図12は、補助緩衝部の変形部分を収容する開口部を有する衝撃緩衝材の斜視図である。図12に示すように、ベース構造部10gは、補助緩衝部14の鉛直方向直下に開口部8を有している。補助緩衝部14が曲げ変形した際、その変形部分が開口部8に収容されることになる(図13参照)。補助緩衝部14が著しく変形した場合でも、圧縮変形のみの状態に陥らず、狙いの曲げ変形状態をとることができるため、主緩衝部12とともに複合応力を生成することができる。
【0038】
これら衝撃緩衝材1、(1a~1g)は、発泡樹脂緩衝材で形成することが望ましい。ただし、これに限定するものではない。
【0039】
本実施形態の衝撃緩衝材は、被包装体としての画像形成装置(例えば、複写機、印刷機など)に装着し、包装材(例えば、段ボール箱)に梱包される。この包装材は、荷造機械設備などを包括して備える包装システムに用いられる。
【0040】
(比較検証試験)
従来仕様の衝撃緩衝材と本発明仕様の衝撃緩衝材とで、衝撃加速度の比較検証試験を行った。
検証方法:同じ緩衝距離において、従来仕様(図1)と本発明仕様(図2)における衝撃加速度を比較した。
条件:衝撃緩衝材は、発泡ポリエチレン(EPE:見かけ密度22.5kg/m品)を用いた。
結果:表1に示すように、本発明仕様の平均衝撃加速度は、従来仕様のよりも約20%低くなるという結果を得た。
【0041】
【表1】
【0042】
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明した。この実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して使用できる。例えば、複数の実施形態をそれぞれ組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1、1a、1b、1c、1d、1e 衝撃緩衝材
5 収容空間
8 開口部
10、10e、10g ベース構造部
12、12f 主緩衝部
14、14e 補助緩衝部
16 支柱部
18 梁部
20、20e 衝撃緩衝用リブ構造
30a~f 板状部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開平09-328172号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13