(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098624
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】電子部品用基板
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20230703BHJP
H01L 23/13 20060101ALI20230703BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230703BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20230703BHJP
【FI】
H01L23/12 N
H01L23/12 C
H05K1/02 C
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185299
(22)【出願日】2022-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2021215279
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391039896
【氏名又は名称】NGKエレクトロデバイス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】池田 拓児
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC17
5E316CC32
5E316CC35
5E316CC36
5E316CC39
5E316DD45
5E316FF07
5E316GG15
5E316GG19
5E316GG28
5E316HH11
5E338AA03
5E338AA18
5E338BB14
5E338BB25
5E338EE27
(57)【要約】
【課題】ビア導体とビアパッド導体の間に、応力により隙間が発生し断線などの不具合が
発生するのを抑制することができる、電子部品用基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る電子部品用基板は、電子部品を搭載可能な絶縁基板と、前記絶
縁基板の内部で、厚み方向に直列に配置される複数のビア導体と、前記絶縁基板の内部に
配置されるビアパッド導体と、を備え、前記複数のビア導体は、前記ビアパッド導体を介
して導通するように構成され、前記複数のビア導体の少なくとも1つは、円柱状の本体部
と、前記本体部の厚み方向の一方の端部に設けられ、前記ビアパッド導体と接続される接
続部と、を有し、前記接続部の外径は、前記本体部の外径よりも大きく形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を搭載可能な絶縁基板と、
前記絶縁基板の内部で、厚み方向に直列に配置される複数のビア導体と、
前記絶縁基板の内部に配置されるビアパッド導体と、
を備え、
前記複数のビア導体は、前記ビアパッド導体を介して導通するように構成され、
前記複数のビア導体の少なくとも1つは、
円柱状の本体部と、
前記本体部の厚み方向の一方の端部に設けられ、前記ビアパッド導体と接続される接続部と、
を有し、
前記接続部の外径は、前記本体部の外径よりも大きく形成されている、電子部品用基板。
【請求項2】
前記接続部は、前記ビアパッド導体に近づくにつれて前記本体部から径方向に広がるように形成されている、請求項1に記載の電子部品用基板。
【請求項3】
前記接続部の側面の縦断面が円弧状に形成されている、請求項2に記載の電子部品用基板。
【請求項4】
前記ビア導体の縦断面において、前記本体部の外周面と前記接続部の側面とのなす角が100~135°である、請求項2または3に記載の電子部品用基板。
【請求項5】
前記ビアパッド導体は、前記ビア導体と接する面に凹部が形成されており、当該凹部に前記ビア導体の端部が接している、請求項1から4のいずれかに記載の電子部品用基板。
【請求項6】
前記ビア導体及び前記ビアパッド導体は、金属とセラミックの混合体によって形成され、
前記ビアパッド導体に含有されるセラミックの混合比率が、前記ビア導体に含有されるセラミックの混合比率よりも低い、請求項1から5のいずれかに記載の電子部品用基板。
【請求項7】
前記絶縁基板において、厚み方向に前記ビアパッド導体と略同じ位置に配置される内部配線をさらに備え、
前記内部配線及び前記ビアパッド導体は、同じ材料で形成されている、請求項1から6のいずれかに記載の電子部品用基板。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の電子部品用基板と、
前記電子部品用基板の一方の面に配置され、キャビティを形成するように構成された枠部と、
を備えたパッケージ。
【請求項9】
第1面及び第2面を有するシート状の絶縁層に少なくとも1つのビアを形成するステップと、
前記各ビアの前記第2面側の開口を閉じた上で、前記各ビアの前記第1面側の開口からビア導体用の第1ペースト材料を充填し、前記各ビアの前記第1面側の開口から前記第1ペースト材料の一部を突出させて突出部を形成するステップと、
前記絶縁層の第2面に、前記第1ペースト材料と接続するビアパッド導体を形成し、中間体を形成するステップと、
前記ビアパッド導体と前記突出部とが接続するように、複数の前記中間体を積層し、焼成するステップと、
を備えている、電子部品用基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品用基板、パッケージ、及び電子部品用基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、セラミックスからなる絶縁基板の主面に電子部品を搭載する電子部品用基板が提案されている。例えば、特許文献1には、絶縁基板の厚み方向に直列に設けられた複数のビア導体を、ビアパッド導体を介して導通する電子部品用基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2019/044706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような電子部品用基板では、ビア導体とビアパッド導体とを異なる材料で形成することが行われているが、このようにすると、温度サイクルで材質の違いに起因する熱応力が発生した場合、応力によってビア導体とビアパッド導体の間に隙間が発生し、断線などの不具合が発生する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、応力によってビア導体とビアパッド導体の間に、隙間が発生し断線などの不具合が発生するのを抑制することができる、電子部品用基板、パッケージ、及び電子部品用基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子部品用基板は、電子部品を搭載可能な絶縁基板と、前記絶縁基板の内部で、厚み方向に直列に配置される複数のビア導体と、前記絶縁基板の内部に配置されるビアパッド導体と、を備え、前記複数のビア導体は、前記ビアパッド導体を介して導通するように構成され、前記複数のビア導体の少なくとも1つは、円柱状の本体部と、前記本体部の厚み方向の一方の端部に設けられ、前記ビアパッド導体と接続される接続部と、を有し、前記接続部の外径は、前記本体部の外径よりも大きく形成されている。
【0007】
上記電子部品用基板において、前記接続部は、前記ビアパッド導体に近づくにつれて前記本体部から径方向に広がるように形成することができる。
【0008】
上記電子部品用基板においては、前記接続部の側面の縦断面を円弧状に形成することができる。
【0009】
上記電子部品用基板では、前記ビア導体の縦断面において、前記本体部の外周面と前記接続部の側面とのなす角を100~135°にすることができる。
【0010】
上記電子部品用基板において、前記複数のビアパッド導体の少なくとも1つは、前記ビア導体と接する面に凹部を形成することができ、当該凹部に前記ビア導体の端部が接するように構成することができる。
【0011】
上記電子部品用基板において、前記ビア導体及び前記ビアパッド導体は、金属とセラミックの混合体によって形成することができ、前記ビアパッド導体に含有されるセラミックの混合比率を、前記ビア導体に含有されるセラミックの混合比率よりも低くすることができる。
【0012】
上記電子部品用基板では、前記絶縁基板において、厚み方向に前記ビアパッド導体と略同じ位置に配置される内部配線をさらに備えることができ、前記内部配線及び前記ビアパッド導体は、同じ材料で形成することができる。
【0013】
本発明に係るパッケージは、上述したいずれかの電子部品用基板と、前記電子部品用基板の一方の面に配置され、キャビティを形成するように構成された枠部と、を備えている。
【0014】
本発明に係る記電子部品用基板の製造方法は、第1面及び第2面を有するシート状の絶縁層に少なくとも1つのビアを形成するステップと、前記各ビアの前記第2面側の開口を閉じた上で、前記各ビアの前記第1面側の開口からビア導体用の第1ペースト材料を充填し、前記各ビアの前記第1面側の開口から前記第1ペースト材料の一部を突出させて突出部を形成するステップと、前記絶縁層の第2面に、前記第1ペースト材料と接続するビアパッド導体を形成し、中間体を形成するステップと、前記ビアパッド導体と前記突出部とが接続するように、複数の前記中間体を積層し、焼成するステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ビア導体とビアパッド導体の間に、応力により隙間が発生し断線などの不具合が発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子部品用基板の縦断面の断面図である。
【
図3】
図1の電子部品用基板の製造方法を示す縦断面の断面図である。
【
図4】
図1の電子部品用基板の製造方法を示す縦断面の断面図である。
【
図5】
図1の電子部品用基板の製造方法を示す縦断面の断面図である。
【
図6】
図1の電子部品用基板の製造方法を示す縦断面の断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る電子部品用基板を含むパッケージの縦断面の断面図である。
【
図8】
図1の電子部品用基板の他の例を示す縦断面の断面図である。
【
図9】
図1の電子部品用基板の他の例を示す縦断面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る電子部品用基板、及びその製造方法の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本実施形態に係る電子部品用基板の断面図である。
【0018】
<1.電子部品用基板>
本実施形態に係る電子部品用基板は、後述するように、事後の工程により電子部品が搭載される基板である。
図1に示すように、この電子部品用基板10は、複数のシート状の絶縁層11、12を積層することで形成された絶縁基板1を有している。絶縁層の数は特には限定されないが、ここでは、一例として、2枚の絶縁層を積層した絶縁基板1を示している。説明の便宜のため、
図1の上側に配置された絶縁層を第1絶縁層11、下側の絶縁層を第2絶縁層12と称することとする。また、
図1の上下方向を厚み方向または上下方向と称することとする。但し、各図においては、説明の便宜のため、両絶縁層11,12の境界を示しているが、製造時の焼成により、完成品では、このような境界は消滅する。
【0019】
各絶縁層11,12には、厚み方向に延び、各絶縁層11,12を貫通する複数のビア111,121がそれぞれ形成されている。各ビア111,121は、円柱状に形成され、ビア導体21,22が充填されている。ここでは、説明の便宜のため、第1絶縁層11のビア111に充填されたビア導体を第1ビア導体21、第2絶縁層12のビア121に充填されたビア導体を第2ビア導体22と称することとする。また、第1ビア導体21の下方に第2ビア導体22が設けられており、これらビア導体21,22は、次に説明する第2ビアパッド導体32を介して導通している。
【0020】
ビア導体21,22の上端及び下端には、それぞれビアパッド導体31~33が接続されている。より詳細に説明すると、この例では、第1絶縁層11の上面、第1絶縁層11の下面と第2絶縁層12の上面との間、及び第2絶縁層12の下面に、それぞれビアパッド導体が設けられている。ここでは、説明の便宜のため、上から下に並ぶビアパッド導体を、それぞれ第1ビアパッド導体31、第2ビアパッド導体32、及び第3ビアパッド導体33と称することとする。各ビアパッド導体31~33は、各ビア導体21,22の外径よりも大きい円板状に形成されており、その上面は平坦に形成されている。
【0021】
また、第1絶縁層11の下面と第2絶縁層12の上面との間には、1つの内部配線4が設けられていてもよい。なお、本実施形態では、説明の便宜のため、各絶縁層11,12にビア導体21,22を1つずつ設けているが、面方向の異なる位置に複数のビア導体を設けることができる。
【0022】
ここで、第1ビア導体21と第2ビアパッド導体32に接続について、
図2を参照しつつ説明する。
図2は、
図1の一部拡大図である。
【0023】
第1ビア導体21は、円柱状の本体部211と、この本体部211の下端に接続された接続部212と、を有し、これらが一体的に形成されている。本体部211の上端は第1ビアパッド導体31に接続され、接続部212の下端は第2ビアパッド導体32に接続されている。
【0024】
接続部212は、本体部211の下端から下方にいくにしたがって径方向に広がるように形成されている。すなわち、接続部212の側面214は下方に傾斜する傾斜面を形成し、第2ビアパッド導体32の上面まで延びている。接続部212の側面214とは、接続部212の外周面を意味し、本体部211の外周面213に接続される。
【0025】
本体部211の外周面から第2ビアパッド導体32の上面に至っては、接続部212の縦断面が円弧状に形成されている。また、
図2に示すように、この縦断面において、本体部211の外周面213と接続部212の側面214とのなす角度θは、100~135°となっている。すなわち、この縦断面において、本体部211の外周面213及び接続部212の側面214の接続点をAと規定し、接続部212の側面214及び第2ビアパッド導体32の上面の接続点をBと規定したとき、接続点ABを結ぶ仮想直線(点線)と、本体部211の外周面213とがなす角度θは、100~135°となっている。なお、第2ビア導体22も同様に、本体部221と接続部222とで形成される。
【0026】
次に、上記各部材を構成する材料について説明する。絶縁基板1は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス)、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体、ムライト質焼結体またはガラスセラミックス焼結体等のセラミックスを用いることができる。絶縁基板1が、例えば、酸化アルミニウム質焼結体である場合、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化珪素(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)等の原料粉末に適当な有機バインダーおよび有機溶剤等を添加混合して泥漿物を作製する。この泥漿物を、公知のドクターブレード法またはカレンダーロール法等を採用してシート状に成形することによってセラミックグリーンシート、つまり絶縁層が形成される。そして、後述するように、複数の絶縁層11,12を積層することで、絶縁基板1が形成される。
【0027】
各ビア導体21,22は、例えば、タングステン、モリブデン、マンガン、銀、銅などの金属単体、またはこれらの金属にセラミックを混合した混合体とすることができる。ここで用いるセラミックは、絶縁層11,12と同じセラミックにすることができる。また、混合体を形成する場合には、セラミックの混合比率は、例えば、10~20重量%とすることができる。また、全てのビア導体21,22は同じ材料で形成してもよい、異なる材料で形成してもよい。
【0028】
各ビアパッド導体31~33及び内部配線4もビア導体21,22と同じ材料で形成することができる。但し、各ビアパッド導体31~33及び内部配線4を上述した混合体で形成する場合、ビア導体21,22よりもセラミックの混合比率を低くすることが好ましい。この場合、セラミックの混合比率は、例えば、0~10重量%とすることができる。また、全てのビアパッド導体31~33及び内部配線4は同じ材料で形成してもよい、異なる材料で形成してもよい。
【0029】
<2.電子部品用基板の製造方法>
次に、上記電子部品用基板の製造方法について、
図3~
図6を参照しつつ説明する。まず、
図3に示すように、上記のように形成したグリーンシートからなる各絶縁層11,12に対し、ビア111,121を形成する。ビア111,121は、打抜き加工、レーザ加工などで形成することができる。ビア111,121の内径は、例えば、φ0.03~φ0.20mm程度にすることができる。ビアとは貫通孔を意味する。
【0030】
次に、
図4に示すように、各ビア111,121に、ビア導体21,22用の第1ペースト5を印刷する。第1ペースト5は、上述した材料に有機バインダー、有機溶剤等を添加したものである。このような第1ペースト5をスクリーン印刷などの手法で、絶縁層11,12の上面からビア111,121に充填する。このとき、各絶縁層11,12の下面に板材8を配置し、ビア111,121の下方の開口を閉じた上で、各ビア111,121の上側の開口から第1ペースト5を充填する。そして、各ビア111,121の上側の開口から第1ペースト5が突出し、突出部51を形成するように充填を行う。突出部51の形状は、特には限定されないが、例えば、
図4に示すように、ビア111,121の内径よりも大きい円板状に形成することができる。こののち、板材8を除去する。
【0031】
続いて、
図5に示すように、第1絶縁層11において、突出部51とは反対側の面の第1ペースト5(焼成前の第1ビア導体21)上に、第1ビアパッド導体31用の第2ペースト6を印刷する。第2ペースト6は、上述したビアパッド導体用の材料に有機バインダー、有機溶剤等を添加したものである。このような第2ペースト6を、スクリーン印刷などの手法で、絶縁層11,12の上面のビア導体21上に円板状に塗布する。
【0032】
一方、第2絶縁層12において、突出部51とは反対側の面の第1ペースト5(焼成前の第2ビア導体22)上には、第2ビアパッド導体32用及び内部配線4用の第2ペースト6を印刷する。すなわち、第2ペースト6を、スクリーン印刷などの手法で、第2絶縁層12の上面の第1ペースト5上に円板状に塗布する。同時に、第2絶縁層12の上面に、内部配線用に第2ペースト6を印刷する。すなわち、内部配線4の形状に合わせて第2ペースト6を印刷する。続いて、第1ペースト5の突出部51を覆うように、第2ペースト6を印刷する。この状態で圧力をかけると、第2ペースト6が第1ペースト5の突出部51を下側から押圧するため、突出部51が押し上げられて第2絶縁層12の下面に押し込まれる。その結果、上述した接続部222に相当する部分が、が第1ペースト5の下端部に形成される。
【0033】
次に、
図6に示すように、2枚の絶縁層(中間体)11,12を重ね、圧力を作用させる。このとき、第1ビア導体21の突出部51に、第2ビアパッド導体32が接するように位置決めする。これにより、第2ビアパッド導体32が第1ビア導体21の突出部51を下側から押圧するため、突出部51が押し上げられて第1絶縁層11の下面に押し込まれる。その結果、上述した接続部212が形成される(点線参照)。そして、重ねられた絶縁層11,12に対し、約1400~1600℃で焼成を行う。こうして、
図1に示す電子部品用基板が完成する。
【0034】
この電子部品用基板には、上面の第1ビアパッド導体31に対し、半田、導電性樹脂等の接続材により、電子部品が取り付けられる。電子部品は、例えば、ICチップ、LSIチップ等の半導体素子、発光振動子または水晶振動子等の圧電素子、各種センサ等である。特に、この電子部品用基板は、セラミックグリーンシートを用いて製造される水晶振動子用パッケージの基板部に用いることが好ましい。一般的な水晶振動子は、水晶ブランクと、水晶ブランクが収められるキャビティを有するパッケージと、キャビティを封止するための蓋とを有している。
図7に示すように、このパッケージは、キャビティ70の底面をなす基板部10と、キャビティ70を囲み、セラミックから構成される枠部8と、この枠部8上に設けられたメタライズ層81とを有している。メタライズ層81に蓋9が接合材(典型的には、ろう材)を用いて接合される。水晶振動子用パッケージは小型化に伴い、ビア導体とビアパッド導体の小径化や薄膜化が進んでおり、熱応力が発生した場合、応力によってビア導体とビアパッド導体の間で断線などの不具合が発生しやすくなる。そのため、この電子部品用基板10を水晶振動子用パッケージの基板部に適用することで、このような不具合を抑制することが出来る。
【0035】
<3.特徴>
上記のように形成された電子部品用基板は、以下のような効果を奏する。
【0036】
(1)
図2に示すように、第1ビア導体21の下端の接続部212が下方にいくにしたがって径方向に広がるように形成されているため、第1ビア導体21と第2ビアパッド導体32との接触面積を大きくすることができる。さらに、上述した縦断面において、本体部211の外周面213と接続部212の側面214とのなす角度θを約100~135°とすることで角度θが90°である場合に比べて両者21,32の接触部分における熱応力の集中が緩和される。本体部211の外周面213から接続部212の側面214に至っては、断面が円弧状に形成されていることで熱応力の集中はさらに緩和される。これら作用により応力が加わった場合の第1ビア導体21と第2ビアパッド導体32との間に隙間が発生するのを抑制することができる。その結果、断線などの不具合を抑制することができる。
【0037】
(2)各ビアパッド導体31~33及び内部配線4を上述した混合体で形成する場合、ビア導体21,22よりもセラミックの混合比率を低くすれば、ビアパッド導体31~33及び内部配線4の電気抵抗を下げることができる。
【0038】
(3)ビアパッド導体31~33と内部配線4とは異なる材料で形成することができるが、同じ材料で形成する場合には、第2ペースト6を同時に印刷することができるため、製造を効率化することができる。
【0039】
(4)第1ビア導体21と第2ビア導体22とは異なる材料で形成することができるが、同じ材料で形成すれば、熱応力の分布を均一に近づけることができるため、局所的な応力集中を抑制することができる。
【0040】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。以下、本発明の変形例について説明する。但し、以下の変形例は適宜組み合わせることができる。
【0041】
(1)上記実施形態では、本体部211の外周面213から接続部212の側面214に至っては、断面が円弧状に形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、
図8(a)に示すように、本体部211の外周面213から接続部212の側面214に至って、断面が直線状の傾斜面が形成されていてもよい。あるいは、
図8(b)に示すように、傾斜面を形成せず、接続部212が略円柱状に形成されていてもよい。
【0042】
(2)全てのビア導体に接続部を形成しなくてもよく、少なくとも1つのビア導体において、ビアパッド導体の接する一方の端部に接続部を形成することもできる。
【0043】
(3)上記実施形態では、2枚の絶縁層11,12を積層することで、絶縁基板1を形成しているが、絶縁層の数は特には限定されず、3枚以上の絶縁層を積層することができる。このとき、複数の絶縁層に少なくとも1つに内部配線を形成することもできる。また、内部配線は、形成されない場合もある。
【0044】
(4)電子部品用基板の製造時、焼成前に、各ビアパッド導体31~33の上面を板材などで押圧することで、平坦にすることもできる。各ビアパッド導体31~33の厚みが薄い場合には、その上面は概ね平坦であるが、塗布した第2ペースト6の厚みが大きい場合には、上記のように板材で押圧することで、上面を平坦にすることができる。
【0045】
(5)電子部品用基板は、次のように製造することもできる。
図4に示すように、各ビア111,121に、ビア導体21,22用の第1ペースト5を印刷した後、これを約100℃で加熱し第1ペーストに含まれる溶剤を除去する。なお、加熱する前に板材8は除去される。第1ペースト5とセラミックグリーンシートの状態の絶縁層12との体積収縮率が異なっていると、第2ビア導体22の下面を絶縁層12よりも突き出た形状にすることができる。第2ビア導体22の下面とは、第2ビア導体22が板材8に接していた面である。この状態で第1ペースト6を印刷すると、
図9に示すように、第2ビアパッド導体32の下面に凹部321が形成され、この凹部321に、第2ビア導体22の上端が入るように形成することができる。その結果、第2ビア導体22と第2ビアパッド導体32との接触面積を大きくすることができる。
【0046】
すなわち、第2ビア導体22の下面に形成されている、絶縁層12から突き出た形状の部分に、第1ペースト6を印刷し、そのあとは前述した工程と同様にして2枚の絶縁層11,12を積層することで、絶縁基板1を形成すると、
図9に示すように、第2ビアパッド導体32の下面に凹部321が形成され、この凹部321に、第2ビア導体22の上端が入るように形成することができる。
【0047】
(6)上記の説明では、電子部品用基板1の第1ビアパッド導体31に接続材で電子部品が取り付けられる例を示したが、これに限定されない。例えば、電子部品用基板1は、半導体素子ウエハー(電子部品に相当)を搭載可能な保持用絶縁基板として静電チャックに用いることも出来る。
【実施例0048】
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0049】
以下では、実施例として、
図1及び
図2に示すような電子部品用基板を作製した。まず、第1及び第2絶縁層として、焼成後の厚みが0.15mmとなるようなグリーンシートを準備した。このグリーンシートは、アルミナとガラス成分(酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム)を混合したものである。これに対し、
図3に示すように、焼成後の内径が約0.1mmのビアを形成した。
【0050】
次に、上述した第1ペースト及び第2ペーストを準備した。第1ペーストは、タングステン、アルミナ、及びガラス成分を混合した無機成分の粉末に対し、エチルセルロース(ETHYLCELLULOSE)からなる有機バインダーとブチルカルビトールアセテート(Butyl carbito acetate)からなる有機溶剤を混合することで形成した。無機成分におけるアルミナとガラス成分の含有率は、20重量%とした。すなわち、有機成分と無機成分の合計重量に対する無機成分の割合を20重量%とした。第2ペーストは、タングステンからなる無機成分の粉末に対し、エチルセルロース(ETHYLCELLULOSE)からなる有機バインダーとブチルカルビトールアセテート(Butyl carbitol acetate)からなる有機溶剤を混合することで形成した。
【0051】
続いて、
図4に示すように、各絶縁層のビアに第1ペーストを充填した。このとき、ビア導体から突出部を突出させた。これに続いて、絶縁層を約100℃で加熱し、第1ペーストに含まれる有機溶剤を除去した。その後、
図5に示すように、各絶縁層に、第2ペーストを印刷により塗布した。このとき、第2ペーストは、焼成後のビアパッド導体の外径が約0.15mm、厚みが約15μmとなるように塗布した。これに続いて、絶縁層を約100℃で加熱し、第2ペーストに含まれる有機溶剤を除去した。
【0052】
次に、2つの絶縁層を重ねて圧力をかけて一体化した後で、約1500℃で,約3時間、焼成を行った。焼成は、窒素、水素による還元雰囲気下で行った。こうして、実施例に係る電子部品用基板が完成した。
【0053】
こうして製造された電子部品用基板の上側のビア導体では、絶縁基板内に配置されたビアパッド導体と接する部分に、接続部が形成されていた。また、ビアパッド導体の下面には、円弧状の凹部が形成され、この凹部に下側のビア導体の上端部が接していた。なお、2つの絶縁層は焼成により一体化されたため、絶縁基板にこれらの境界はない。また、本体部と接続部とのなす角は100~135°であった。