(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098848
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】窒化ガリウム系装置及びそのテスト方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20230704BHJP
H01L 29/80 20060101ALI20230704BHJP
H01L 21/338 20060101ALI20230704BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
H01L27/04 T
H01L29/80 Z
H01L29/80 H
H01L27/04 H
H01L21/66 F
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205294
(22)【出願日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/294,505
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/737,717
(32)【優先日】2022-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500262038
【氏名又は名称】台湾積體電路製造股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.8, Li-Hsin Rd.6, Hsinchu Science Park, Hsinchu, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】ライ イーアン
(72)【発明者】
【氏名】陳 建宏
(72)【発明者】
【氏名】謝 正祥
【テーマコード(参考)】
4M106
5F038
5F102
【Fターム(参考)】
4M106AA08
4M106AC02
4M106AC07
4M106AD23
5F038AC09
5F038AR07
5F038BE07
5F038BH13
5F038EZ02
5F102FA06
5F102FA09
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GD04
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ10
5F102GK04
5F102GK08
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
(57)【要約】
【課題】集積回路を提供する。
【解決手段】集積回路は、1つ又は複数の第III族及び第V族化合物材料により形成された、第1の電圧範囲で動作するための第1の回路と、同じく1つ又は複数の第III族及び第V族化合物材料により形成された、前記第1の回路に動作可能に結合するとともに実質的に第1の電圧範囲よりも高い第2の電圧範囲で動作するための第2の回路と、第1の回路に接続される1組の第1のテスト端子と、第2の回路に接続される1組の第2のテスト端子と、を含み、それぞれ前記1組の第1のテスト端子と前記1組の第2のテスト端子に印加されるテスト信号は、互いに独立する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の第III族及び第V族化合物材料により形成された、第1の電圧範囲で動作するための第1の回路と、
同じく前記1つ又は複数の第III族及び第V族化合物材料により形成された、前記第1の回路に動作可能に結合するとともに実質的に前記第1の電圧範囲よりも高い第2の電圧範囲で動作するための第2の回路と、
前記第1の回路に接続される1組の第1のテスト端子と、
前記第2の回路に接続される1組の第2のテスト端子と、
を含み、
それぞれ前記1組の第1のテスト端子に印加される複数のテスト信号と前記1組の第2のテスト端子に印加される複数のテスト信号は、互いに独立する集積回路。
【請求項2】
前記1組の第1のテスト端子は、それぞれ前記第1の回路の複数の第1のトランジスタのうちの少なくとも1つのゲート、ドレイン及びソースに動作可能に結合し、前記1組の第2のテスト端子は、それぞれ前記第2の回路の複数の第2のトランジスタのうちの少なくとも1つのゲート、ドレイン及びソースに動作可能に結合する請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
それぞれ前記1組の第1のテスト端子に印加される前記テスト信号は、各々前記第2の電圧範囲内の第1の固定電圧である第1の信号、第2の信号及び第3の信号を含み、それぞれ前記1組の第2のテスト端子に印加される前記テスト信号は、各々前記第2の電圧範囲内の第2の固定電圧である第4の信号、第5の信号及び第6の信号を含む請求項2に記載の集積回路。
【請求項4】
それぞれ前記1組の第1のテスト端子に印加される前記テスト信号は、各々浮遊電圧である第7の信号、第8の信号及び第9の信号を含み、それぞれ前記1組の第2のテスト端子に印加される前記テスト信号は、それぞれ第1の電圧スイープ、第2の電圧スイープ及び接地電圧である第10の信号、第11の信号及び第12の信号を含む請求項2又は3に記載の集積回路。
【請求項5】
動作可能に互いに結合する、第1の電圧範囲で動作する第1のトランジスタを少なくとも含む第1の回路と、実質的に前記第1の電圧範囲よりも高い第2の電圧範囲で動作する第2のトランジスタを少なくとも含む第2の回路と、を含有する集積回路を提供するステップと、
前記集積回路の複数の第1のテスト端子を介して複数の第1のテスト信号を前記第1のトランジスタに印加するステップと、
前記集積回路の複数の第2のテスト端子を介して複数の第2のテスト信号を前記第2のトランジスタに印加するステップと、
を備え、
前記第1のテスト信号は、前記第2のテスト信号とは独立して配置される集積回路のテスト方法。
【請求項6】
全て前記第2の電圧範囲内の固定電圧である前記第1のテスト信号及び前記第2のテスト信号を印加することにより、前記第1の回路又は前記第2の回路のうちの少なくとも1つのエピタキシャル欠陥を識別するステップを更に含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
浮遊電圧である前記第1のテスト信号を印加し、且つそれぞれ第1の電圧スイープ、第2の電圧スイープ及び接地電圧である前記第2のテスト信号を印加することにより、前記第2の回路の表面結晶欠陥を識別するステップを更に含む請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
浮遊電圧である前記第1のテスト信号を印加し、且つそれぞれ接地電圧、接地電圧に近い電圧及び実質的に前記接地電圧よりも高い固定電圧である前記第2のテスト信号を印加することにより、前記第2のトランジスタのゲートをテストするステップを更に含む請求項5に記載の方法。
【請求項9】
集積回路の複数の第1のテスト端子を介して複数の第1のテスト信号を、窒化ガリウムを含むとともに第1の電圧範囲で動作するための前記集積回路の第1のトランジスタに印加し、且つ、
前記集積回路の複数の第2のテスト端子を介して複数の第2のテスト信号を、窒化ガリウムを含むとともに実質的に前記第1の電圧範囲よりも高い第2の電圧範囲で動作するための前記集積回路の第2のトランジスタに印加するための信号発生器と、
前記信号発生器に動作可能に結合し、独立して前記第2のテスト信号に基づいて前記第1のテスト信号を判定するためのコントローラと、
を備えるテストシステム。
【請求項10】
前記第1のテスト端子と前記第2のテスト端子は、各々動作可能に互いに隔離される請求項9に記載のテストシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、テストシステム、集積回路及びそのテスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去の数十年間、シリコン系電子装置(例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect-Transistor;MOSFET))は、非常に成功しており、数十ワットから数百ひいては数千ワットの電力用途(例えば、AC/DC給電、DC/DC給電及びモータ制御)の現在の基準を代表している。このようなシリコン系電子装置は、オン抵抗RDS(ON)、定格電圧、スイッチング速度、パッケージングやその他のプロパティの肝心なパラメータが絶えず改良されてきた。しかしながら、これらの電子装置の性能が現在このような材料及びプロセスの固有の基礎物理学的に判定された理論的限界に近づいているため、これらのシリコン系電子装置の改良率は横ばいになっている。
【発明の概要】
【0003】
本開示内容は、集積回路を含む。集積回路は、1つ又は複数の第III族及び第V族化合物材料により形成された、第1の電圧範囲で動作するための第1の回路と、同じく1つ又は複数の第III族及び第V族化合物材料により形成された、第1の回路に動作可能に結合するとともに実質的に第1の電圧範囲よりも高い第2の電圧範囲で動作するための第2の回路と、第1の回路に接続される1組の第1のテスト端子と、第2の回路に接続される1組の第2のテスト端子と、を含み、それぞれ前記1組の第1のテスト端子と前記1組の第2のテスト端子に印加されるテスト信号は、互いに独立する。
【0004】
本開示内容は、集積回路のテスト方法を含む。方法は、動作可能に互いに結合する、第1の電圧範囲で動作する第1のトランジスタを少なくとも含む第1の回路と、実質的に第1の電圧範囲よりも高い第2の電圧範囲で動作する第2のトランジスタを少なくとも含む第2の回路と、を含有する集積回路を提供するステップと、集積回路の複数の第1のテスト端子を介して複数の第1のテスト信号を第1のトランジスタに印加するステップと、集積回路の複数の第2のテスト端子を介して複数の第2のテスト信号を第2のトランジスタに印加するステップと、を備え、複数の第1のテスト信号は、複数の第2のテスト信号とは独立して配置される。
【0005】
本開示内容は、テストシステムを含む。テストシステムは、集積回路の複数の第1のテスト端子を介して複数の第1のテスト信号を、窒化ガリウムを含むとともに第1の電圧範囲で動作するための集積回路の第1のトランジスタに印加し、且つ、集積回路の複数の第2のテスト端子を介して複数の第2のテスト信号を、窒化ガリウムを含むとともに実質的に第1の電圧範囲よりも高い第2の電圧範囲で動作するための集積回路の第2のトランジスタに印加するための信号発生器と、信号発生器に動作可能に結合し、独立して複数の第2のテスト信号に基づいて複数の第1のテスト信号を判定するためのコントローラと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の幾つかの実施例の態様は、図面に合わせて読む時に以下の詳細な記述から最適に理解される。業界における標準方法に従い、様々な特徴は縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。実際には、明らかに説明するために、様々な特徴の寸法は任意に増減可能である。
【
図1】幾つかの実施例によるGaN系集積回路を示すブロック図である。
【
図2】幾つかの実施例による
図1のGaN系集積回路を示す詳細なブロック図である。
【
図3-8】幾つかの実施例による
図1のGaN系集積回路の様々なGaN系アセンブリを示す横断面図の実例である。
【
図9-11】幾つかの実施例による
図1のGaN系集積回路の様々なGaN系回路を示す回路図の実例である。
【
図12】幾つかの実施例による
図1のGaN系集積回路のテスト方法の実例を示すフローチャートである。
【
図13-18】幾つかの実施例による
図12の方法で実施された様々なテスト信号を示す。
【
図19】幾つかの実施例によるGaN系集積回路をテストするためのテストシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の開示内容により、提供される対象の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施例又は実例を提供する。以下、本開示の幾つかの実施例を簡略化するために、アセンブリと配置の特定の実例を記述する。勿論、これらはそれぞれ単なる実例に過ぎず、制限しようとするものではない。例えば、以下の記述では、第1の特徴が第2の特徴の上方又はその上に形成されることは、第1の特徴と第2の特徴が直接接触するように形成される実施例を含んでもよく、別の特徴が第1の特徴と第2の特徴の間に形成されて第1の特徴と第2の特徴が直接接触できないようにする実施例を含んでもよい。また、本開示内容は、様々な実例において数字及び/又はアルファベットを繰り返して参照してよい。この繰り返しは、簡単且つ明瞭にするためであり、且つそれ自体は、説明される様々な実施例及び/又は配置の間の関係を限定しない。
【0008】
また、各図面に図示される1つの素子又は特徴と別(複数)の素子又は特徴との関係を記述しやすくするために、本明細書において、「…下方」、「…下」、「下部」、「…の上」、「上部」、「頂部」、「底部」及び類似する用語などの空間関連用語を使用してよい。空間関連用語は、各図面に描かれている配向以外の装置の使用又は動作時の異なる配向を網羅することを意図する。デバイスは、他の形で配向されてもよく(90度回転又は他の配向)、且つ、本明細書において使用される空間関連記述子はそれに応じて類似するように解釈されてよい。
【0009】
第III族及び第V族(又は第III及びV族)半導体化合物材料は、通常、シリコンの代替材料の1つと見なされており、これは、これらの材料がシリコンに比べる時に最も高い材料特性を有するからである。例えば、窒化ガリウム(GaN)系材料は、既に様々な電子及び/又は光電子用途のために研究されている。GaN系材料は、典型的に、窒化ガリウム(GaN)、並びに窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)及び窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)などの窒化ガリウムの合金を指す。特に、シリコンやヒ化ガリウムなどの他の半導体に比べて、GaN系材料は、ワイドバンドギャップ半導体であり、高い温度でその電気性能を維持することができる。シリコンに比べれば、GaN系材料は、高いキャリア飽和速度をも有する。また、GaN系材料は、ウルツ鉱型結晶構造を有し、硬質材料であり、高い熱伝導率を有し、且つシリコン、ゲルマニウムやヒ化ガリウムなどの他の従来の半導体よりも遥かに高い融点を有する。従って、GaN系材料は、高電圧及び高パワーの用途に用いられることができる。
【0010】
従来、高電圧装置のみがGaN系材料により形成されるが、低電圧装置が相変わらずシリコンで形成されてよい。このようなハイブリッド集積によって、製造コスト/複雑性の向上、余分の占用面積の増加、比較的高い寄生インダクタンスなどの不良な効果が誘発される場合がある。半導体処理技術の進歩につれて、同じGaN系材料に基づく高電圧装置と低電圧装置の両者のモノリシック集積を採用しており、GaN系集積回路と呼ばれる場合がある。例えば、GaN系集積回路は、比較的高い電圧範囲で動作する多くの回路(例えば、制御回路、ドライバ、保護回路など)及び比較的低い電圧範囲で動作する多くの回路(例えば、パワートランジスタ)を含んでよく、これらの回路のそれぞれは、回路の能動アセンブリの1つ(例えば、トランジスタチャネル)として形成される少なくとも1つのGaN系材料を含んでよい。
【0011】
GaN系の光電子装置及び電子装置は、高い商業的重要性を有するが、これらの装置の品質と信頼性は、通常、装置の1つ又は複数の半導体層における比較的高い欠陥レベルにより損害される。これらの欠陥は、例えば、(1)GaN系半導体層とシリコン、サファイア又は炭化ケイ素の非GaN基板との格子不整合、(2)過剰にエピタキシャル成長した層の凝集したフロント、(3)熱膨張の不整合、(4)不純物、及び(5)傾斜した粒界に起因する可能性がある。欠陥の存在は、エピタキシャル成長層に悪影響を与える。このような欠陥は、電子/光電子装置の性能への損害を含む。
【0012】
これらの欠陥を克服するために、複雑で単調な製造プロセスによって欠陥の濃度及び/又は影響を低減する技術が提案された。GaN系結晶に用いられる従来の生長方法が多く提案されたが、制限が依然として存在する。例えば、従来技術では、完全なGaN系集積回路を製造する前にこのような欠陥を検出・テスト・選別するか又は他の方法で識別するしかできない。高電圧装置における欠陥の一部を識別するための技術が幾つか提案されたが、これらの技術は低電圧装置の側面における欠陥を一切識別できず、且つ高電圧装置をテストする時に低電圧装置に更なる傷害を与える場合がある。例えば、既存のGaN系集積回路は、典型的に互いに接続された低電圧回路と高電圧回路の各々の源を有し、これによって少なくとも上記に挙げられた有害な欠陥が本質的に引き起こされる可能性がある。即ち、回路レベルで、GaN系集積回路におけるそれらの「材料レベル」の欠陥を検出・テスト・選別するか又は他の方法で識別する有効で効率的な技術がまだ提案されていない。
【0013】
本開示内容は、回路レベルでその低電圧回路及び高電圧回路の何れか1つにおける欠陥を検出可能にするGaN系集積回路の様々な実施例を提供する。様々な実施例において、本明細書に開示されたように、GaN系集積回路は、低電圧回路及び高電圧回路のそれぞれに接続される対応する数のテスト端子(パッド又はピン)を含む。様々な実施例によれば、異なる高/低電圧回路に跨るこれらのテスト端子は、電気的に又は他の形で互いに隔離可能である。このように、高電圧回路及び低電圧回路における欠陥又は機能異常を共同で又は個別に識別することができる。例えば、本開示内容は、方法の様々な実施例を提供し、前記方法は、これらのテスト端子により、高電圧回路及び低電圧回路の両者に存在する可能性のあるエピタキシャル欠陥を共同で識別し、高電圧回路に存在する可能性のある表面欠陥を個別に識別し、低電圧回路のリーク電流を実質的に抑制しながら高電圧回路のゲートとソースの接合面に存在する可能性のある欠陥を個別に識別し、且つ低電圧回路及び高電圧回路のそれぞれの機能異常を個別に識別するために用いられる。
【0014】
図1は、様々な実施例によるGaN系集積回路100を示すブロック図である。説明のために、
図1のブロック図が簡略化されていることを理解されたい。従って、GaN系集積回路100は、本開示内容の範疇内に留まりながら、様々な他の(例えば、機能)ブロックの何れか1つを含んでもよい。
【0015】
以下に検討されるように、GaN系集積回路100は、多くの(例えば、電子)アセンブリを含み、これらのアセンブリは、窒化ガリウム(GaN)、並びに窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)及び窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)などの窒化ガリウム(GaN)の合金のようなGaN系材料で形成される。これらのアセンブリの実例は、トランジスタ、抵抗器、コンデンサ、ダイオードなどを含むが、これらに限定されない。このようなGaN系材料は、GaN系集積回路100の基板とされる非GaN系材料(例えばシリコン、サファイア及び/又は炭化ケイ素)にエピタキシャル成長してよい。GaN系集積回路100は、システム・オン・チップ(system-on-a-chip;SoC)アーキテクチャ又はマルチSoCアーキテクチャとして実施されてよい。従って、GaN系集積回路100は、単一の基板又は複数の基板に形成されてよい。
【0016】
図示されるように、GaN系集積回路100は、1つの高電圧回路(又は回路システム)110及び少なくとも1つの低電圧回路(又は回路システム)160を少なくとも含む。高電圧回路110と低電圧回路160は、動作可能に互いに結合する。高電圧回路110及び低電圧回路160のそれぞれは、多くのGaN系アセンブリを含む。従って、高電圧回路110と低電圧回路160は、GaN系集積回路100にモノリシックに統合されると称される場合があり、GaN系集積回路100は、例えば全GaNパワー集積回路(例えば、電力パワーコンバータ)として用いられてよい。
【0017】
様々な実施例において、高電圧回路110のアセンブリは、実質的に低電圧回路160のアセンブリの動作可能な電圧範囲よりも高い電圧範囲で動作可能である。例えば、高電圧回路110のアセンブリは、40ボルトを超えた電圧範囲(例えば、600ボルト程度の電圧)での動作を維持することができ、低電圧回路160のアセンブリは、多くても12ボルトの電圧範囲での動作を維持することができる。しかしながら、高電圧回路110及び低電圧回路160の各々のアセンブリは、本開示内容の範疇内に留まりながら、様々な他の電圧範囲内の何れか1つで動作可能であることを理解されたい。
【0018】
様々な実施例において、GaN系集積回路100は、多くの(テスト)端子102-1、102-2、102-3、102-4、102-5、102-6、102-7、102-8、102-9、102-10、102-11及び102-12を更に含む。端子102-1~端子102-12は、動作可能に(例えば、電気的に)互いに隔離される。また、端子102-1~端子102-5及び端子102-10~102-12は、低電圧回路160に動作可能に結合してよく、端子102-6、端子102-8及び端子102-9は、高電圧回路110に動作可能に結合してよく、端子102-7は、GaN系集積回路100の1つ又は複数の基板に接続される。端子の対応するセットが高電圧回路110及び低電圧回路160に結合するため、高電圧回路110及び/又は低電圧回路160の様々な欠陥を効率的且つ有効に識別することができ、以下で前記欠陥についてより詳細に検討する。様々な実施例において、端子102-1~端子102-12のそれぞれは、多くの相互接続構造(例えば、金属線、金属ビアホールなど)を介して1つ又は複数のバンプ構造(例えば、半田ボール、銅バンプ、銅ピラー又は他のコネクタ素子)に電気的に結合し、且つGaN系集積回路100のGaN系アセンブリ(例えば、トランジスタ、コンデンサ、抵抗器、ダイオードなど)の電極に結合する。
【0019】
図2を参照し、様々な実施例によるGaN系集積回路100のより詳細なブロック図を代表的な実例として図示する。説明のために、
図2のブロック図が簡略化されていることを理解されたい。従って、高電圧回路110及び低電圧回路160のそれぞれは、本開示内容の範疇内に留まりながら、様々な他の(例えば、機能)ブロック又はアセンブリの何れか1つを含んでもよい。図示されるように、高電圧回路110は、(例えば、互いに直列に結合する)多くのパワートランジスタ210を含み、低電圧回路160は、静電気放電(electrostatic discharge;ESD)保護回路260、制御回路262及びドライバ回路264を含む。
【0020】
高電圧側では、パワートランジスタ210は、それぞれ端子102-9、端子102-6及び端子102-8に接続されるゲート(G)、ソース(S)及びドレイン(D)を有する。低電圧側では、ESD保護回路260は、端子102-1、端子102-2、端子102-3及び端子102-4に接続されてよく、制御回路262は、端子102-1、端子102-2及び端子102-12に接続されてよく(且つESD保護回路260を介して端子102-4に接続される)、ドライバ回路264は、端子102-5、端子102-10及び端子102-11に接続される。様々な実施例によれば、端子102-1~端子102-12のそれぞれは、GaN系集積回路100のピンとして実施されてよい。
【0021】
様々な実施例において、ESD保護回路260は、ESDイベントが制御回路262の結合した回路などに発生する(又は前記結合した回路に損害を与える)ことを防止することができる。端子102-2(GaN系集積回路100の入力/出力(input/output;I/O)ピンとして用いられてよい)及び端子102-4は、それぞれESD保護回路260の高側及び低側として用いられてよい。例えば、端子102-2及び端子102-4は、各々ESDパルスが制御回路262に結合することを防止することができる。端子102-3は、ESD保護回路260が正常に作動できるか否かをテストするための検知端子とされるように、ESD保護回路260の1つ又は複数の内部ノードに接続されてよい。端子102-3は、場合に応じて形成されてよい。端子102-2を介して1つ又は複数の入力信号を受信するとともに端子102-12を介して供給電圧を受信することができる制御回路262は、1つ又は複数の制御信号をドライバ回路264に提供することができる。端子102-1は、制御回路262が正常に作動できるか否かをテストするための検知端子とされるように、制御回路262の1つ又は複数の内部ノードに接続されてよい。端子102-11は、ドライバ回路264の入力端に接続されてよく、前記入力端は、ドライバ回路264をテストするために機能信号(例えば、機能電圧)を提供することができる。端子102-10及び端子102-5は、それぞれ異なる供給電圧をドライバ回路264に提供することができる。端子102-9は、パワートランジスタ210の入力端に接続されてよく、前記入力端は、機能信号(例えば、機能電圧)をパワートランジスタ210に提供することができる。端子102-8及び端子102-6は、それぞれ異なる供給電圧をパワートランジスタ210に提供することができる。スイッチングレギュレータ又はリニアレギュレータとして実施可能なパワートランジスタ210は、GaN系集積回路100のI/Oピン(図示されていない)を介してGaN系集積回路100の負荷に充電することができる。
【0022】
図3、
図4、
図5、
図6、
図7及び
図8は、それぞれ様々な実施例による複数種のGaN系アセンブリ300、400、500、600、700及び800の実例を示し、これらのGaN系アセンブリを実施することにより、GaN系集積回路100の高電圧回路110及び低電圧回路160のうちの少なくとも1つを構成してよい。GaN系アセンブリ300~GaN系アセンブリ800は、各々アセンブリの能動素子(例えば、トランジスタの能動チャネル)として用いられるGaN系材料(例えば、GaN、AlGaN、InGaN、AlInGaNなど)のうちの少なくとも1つを含む。また、GaN系アセンブリ300~GaN系アセンブリ800は、集積回路100の同じ又は異なる非GaN系基板(例えば、シリコン)に形成されてよい。従って、GaN系アセンブリ300~GaN系アセンブリ800のそれぞれは、非GaN系基板にエピタキシャル成長した1つ又は複数のGaN系材料を有し、前記材料は、GaN系材料の層内に存在するか又は異なるGaN系層の界面に存在する以上の識別された欠陥のうちの一部を有してよい。
【0023】
図3~
図8に示される模式的横断面図は、単に説明のために提供されたものであり、本開示内容の範疇を制限しようとするものではないことを理解されたい。従って、GaN系集積回路100は、本開示内容の範疇内に留まりながら、様々な他のGaN系アセンブリ及び/又は非GaN系アセンブリの何れか1つを含んでよい。
【0024】
まず
図3を参照し、アセンブリ300は、高電圧回路110に適用可能なパワートランジスタとして実施されてよい。幾つかの実施例において、アセンブリ300は、高電子移動度トランジスタ(high electron mobility transistor;HEMT)であってよく、高電流密度、高破壊電圧(HEMTが高いゲート及び/又はドレイン電圧を受けても損傷されないか及び/又は不規則な電流挙動を示さない能力)及び低オン抵抗を有し、低オン抵抗は、アセンブリ300が約40ボルト~約650ボルトの電圧範囲での動作を維持することを可能にする。従って、アセンブリ300は、以下で「パワーHEMT 300」と称される。以下で検討される二次元電子ガス(two-dimensional electron gas;2DEG)は、典型的にこのようなHEMTにおける電荷キャリアとして用いられる。
【0025】
図3の横断面図に示すように、パワーHEMT 300は、基板310、基板310の上方にある遷移構造320、遷移構造320の上方にあるバッファ層330、バッファ層330の上方にあるチャネル層340及びチャネル層340の上方にある能動層350を含む。パワーHEMT 300は、場合に応じて基板310とチャネル層340の間にあるバリア層構造360を含む。パワーHEMT 300は、チャネル層340の上方にあるソース電極372とドレイン電極374、及び能動層350の上方にあるゲート電極380をも含む。幾つかの実施例において、ソース電極372とドレイン電極374は、能動層350の上方に形成される。
【0026】
基板310は、炭化ケイ素(SiC)基板、サファイア基板又はシリコン(Si)基板を含む。少なくとも1つの実施例において、基板310は、本明細書に記載のようなGaN層の上側層との最適な格子不整合を提供するようにSi(111)ウェハを含む。
【0027】
遷移構造320は、基板310の上方にある核生成層322を含む。核生成層322は、基板310と本明細書に記載のようなGaN層の上側層との間の格子不整合及び/又は熱膨張係数(thermal expansion coefficient;TEC)不整合を架橋することに適する格子構造及び/又はTECを有する。幾つかの実施例において、核生成層322は、窒化アルミニウム(AlN)を含む。幾つかの実施例において、核生成層322は、70~300ナノメートル(nanometer;nm)の厚さを有する。幾つかの実施例において、核生成層322は省略される。
【0028】
遷移構造320は、核生成層322の上方、又は核生成層322が省略された1つ又は複数の実施例において基板310の上方にある遷移層324を更に含む。遷移層324は、更に核生成層322(又は基板310)と本明細書に記載のようなGaN層の上側層の間の格子構造及びTECの漸進的変化を促進する。幾つかの実施例において、遷移層324は、プログレッシブ窒化アルミニウムガリウム(AlxGa(1-x)N、xはアルミニウムガリウム成分におけるアルミニウム含有量の割合であり、0<x<1)層を含む。幾つかの実施例において、プログレッシブ窒化アルミニウムガリウム層は、基板310に近い底部層からバッファ層330に近い頂部層までの複数の層を含み、これらの層は、各々減少した割合xを有する。少なくとも1つの実施例において、プログレッシブ窒化アルミニウムガリウム層は、3つの層を有し、これらの層は、底部層に対して0.7~0.9の範囲内にあり、中間層に対して0.4~0.6の範囲内にあり、且つ頂部層に対して0.15~0.3の範囲内にあるx割合を有する。幾つかの実施例において、x割合の異なる複数の層を有する代わりに、プログレッシブ窒化アルミニウムガリウム層は、割合xの連続的な勾配を有する。幾つかの実施例において、遷移層324は、500nm~1050nmの厚さを有する。幾つかの実施例において、遷移層324は省略される。
【0029】
バッファ層330は、パワーHEMT 300の破壊電圧(例えば、多くても約650ボルト)を向上させるための高抵抗率層を画定する。幾つかの実施例において、バッファ層330は、1つ又は複数の第III族及び第V族化合物層を含む。第III族及び第V族化合物層の実例は、GaN、AlGaN、InGaN及びInAlGaNを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施例において、バッファ層330は、所定の高抵抗率に達するようにドーパントを含む。少なくとも1つの実施例において、ドーパントはp型ドーパントである。少なくとも1つの実施例において、バッファ層330は、p型ドーパントがドープされたGaNを含む。p型ドーパントの実例は、C、Fe、Mg及びZnを含むが、これらに限定されない。少なくとも1つの実施例において、バッファ層330におけるp型ドーパントの濃度は、約5×1018個のイオン/cm3以上である。少なくとも1つの実施例において、バッファ層330は、500nm~2000nmの厚さを有する。
【0030】
チャネル層340は、パワーHEMT 300の電流性能を改良するために、バッファ層330より低い抵抗率を有する。幾つかの実施例において、チャネル層340は、1つ又は複数の第III族及び第V族化合物層を含む。第III族及び第V族化合物層の実例は、GaN、AlGaN、InGaN及びInAlGaNを含むが、これらに限定されない。少なくとも1つの実施例において、第III族及び第V族化合物層の1つ又は複数はドープされた。1つ又は複数の実施例において、チャネル層340は、交互に配置されるp型ドープとn型ドープの第III族及び第V族化合物層を含む。少なくとも1つの実施例において、チャネル層340は、p型ドープのGaN層を含む。p型ドープのGaN層におけるp型ドーパントの実例は、C、Fe、Mg及びZnを含むが、これらに限定されない。少なくとも1つの実施例において、チャネル層340におけるp型ドーパントの濃度は、バッファ層330におけるp型ドーパントの濃度より低い。例えば、チャネル層340におけるp型ドーパントの濃度は、1×1017個のイオン/cm3以下である。少なくとも1つの実施例において、チャネル層340は、200nm~500nmの厚さを有する。
【0031】
能動層350は、組成がチャネル層340の1つ又は複数の第III族及び第V族化合物層と異なる1つ又は複数の第III族及び第V族化合物層を含む。幾つかの実施例において、能動層350は、AlN、AlyGa(1-y)N(ただし、yはアルミニウム含有量の割合であり、0<y<1)又はそれらの組み合わせを含む。能動層350は、二次元電子ガス(two-dimensional electron gas;2DEG)をチャネル層340と能動層350の間の界面341に沿ってチャネル層340に形成するために用いられる。2種類の異なる半導体材料を有する能動層350とチャネル層340の間にヘテロ接合面が形成される。能動層350とチャネル層340の間にバンドギャップが非連続的に存在する。能動層350における圧電効果による電子は、チャネル層340まで降下し、それによって、チャネル層340において、能動層350との界面341に隣接するように高移動性の伝導電子(即ち、2DEG)の薄層を構築する。2DEGにおける電子は、チャネル層340における電荷キャリアである。幾つかの実施例において、十分な電圧をゲート電極380に印加すると、ドレイン電極374からチャネル層340を介してソース電極372まで流れる電流(即ち、ドレイン電流)を変調する可能性がある。
【0032】
2DEGは、チャネル層340と能動層350の間のヘテロ接合面を形成する異なる第III族及び第V族化合物材料の界面341に自然に発生する。幾つかの実施例において、自然に現れた2DEGによって、パワーHEMT 300は、電圧がゲート電極380に印加されていない場合でも導電し、即ち、パワーHEMT 300は、通常開装置(空乏モードと称される場合がある)である。
【0033】
幾つかの実施例において、パワーHEMT 300は、通常閉装置(増強モードと称される場合がある)に変換可能である。例えば、ゲート電極380は、ゲート構造下の2DEGを空乏化するためのゲート構造を含み、即ち、電極380下の領域344における2DEGが全て空乏化され、それぞれ(i)ゲート電極380と(ii)ソース電極372及びドレイン電極374の間の領域345、346における2DEGが残される。少なくとも1つの実施例において、電極380のゲート構造は、能動層350の上方にあるp型ドープ層、及びp型ドープ層の上方にあるn型ドープ層を含む。p型ドープ層及び/又はn型ドープ層の材料の実例は、GaN、AlGaN、InGaN及びInAlGaNを含むが、これらに限定されない。p型ドーパントの実例は、炭素、鉄、マグネシウム及び亜鉛を含むが、これらに限定されない。n型ドーパントの実例は、シリコン及び酸素を含むが、これらに限定されない。少なくとも1つの実施例において、n型ドープ層は省略される。
【0034】
選択的に、バリア層構造360は、第1のバリア層362又は第2のバリア層364のうちの少なくとも1つを含む。第1のバリア層362は、遷移構造320とバッファ層330の間に形成される。第1のバリア層362は、基板310の材料のバッファ層330への拡散を遮断するために用いられる。第2のバリア層364は、バッファ層330とチャネル層340の間に形成される。第2のバリア層364は、p型ドーパントのバッファ層330からチャネル層340への拡散を遮断するために用いられる。
【0035】
続いて
図4を参照し、アセンブリ400は、低電圧回路160に適用可能なHEMTとして実施されてよい。また、アセンブリ400は、増強モードで動作可能である。従って、アセンブリ400は、以下で「E-HEMT 400」と称される。E-HEMT 400は、実質的にパワーHEMT 300に類似するが、比較的低い電圧範囲、例えば約6ボルト~約12ボルト(又は多くても40ボルト)の範囲内で動作するために用いられる。従って、E-HEMT 400の素子について次のように簡単に記述する。
【0036】
図4の横断面図に示すように、E-HEMT 400は、基板410、基板410の上方にあるバッファ層430、バッファ層430の上方にあるチャネル層440及びチャネル層440の上方にある能動層450を含む。E-HEMT 400は、チャネル層440の上方にあるソース電極472とドレイン電極474、及び能動層450の上方にあるゲート電極480をも含む。幾つかの実施例において、ソース電極472とドレイン電極474は、能動層450の上方に形成される。ゲート電極480が能動層450と金属コンタクト490の間にあるp型ドープ層又はn型ドープ層(例えば、GaN)492を更に含む以外に、基板410、バッファ層430、チャネル層440、能動層450、ソース電極472、ドレイン電極474及びゲート電極480といった素子は、それぞれ実質的に
図3における基板310、バッファ層330、チャネル層340、能動層350、ソース電極372、ドレイン電極374及びゲート電極380といった素子に類似する。
【0037】
続いて
図5を参照し、アセンブリ500は、低電圧回路160に適用可能なHEMTとして実施されてよい。また、アセンブリ500は、空乏モードで動作可能である。従って、アセンブリ500は、以下で「D-HEMT 500」と称される。D-HEMT 500は、実質的にパワーHEMT 300に類似するが、比較的低い電圧範囲、例えば約6ボルト~約12ボルト(又は多くても40ボルト)の範囲内で動作するために用いられる。従って、D-HEMT 500の素子について次のように簡単に記述する。
【0038】
図5の横断面図に示すように、D-HEMT 500は、基板510、基板510の上方にあるバッファ層530、バッファ層530の上方にあるチャネル層540及びチャネル層540の上方にある能動層550を含む。D-HEMT 500は、チャネル層540の上方にあるソース電極572とドレイン電極574、及び能動層550の上方にあるゲート電極580をも含む。幾つかの実施例において、ソース電極572とドレイン電極574は、能動層550の上方に形成される。基板510、バッファ層530、チャネル層540、能動層550、ソース電極572、ドレイン電極574及びゲート電極580といった素子は、それぞれ実質的に
図3における基板310、バッファ層330、チャネル層340、能動層350、ソース電極372、ドレイン電極374及びゲート電極380といった素子に類似する。
【0039】
続いて
図6を参照し、アセンブリ600は、高電圧回路110及び/又は低電圧回路160に適用可能なHEMT構造において実施されてよい。アセンブリ600は、実質的にパワーHEMT 300に類似するが、抵抗器などの2端子装置として動作するために用いられる。従って、アセンブリ600は、以下で「HEMT抵抗器600」と称され、HEMT抵抗器600の素子について次のように簡単に記述する。
【0040】
図6の横断面図に示すように、HEMT抵抗器600は、基板610、基板610の上方にあるバッファ層630、バッファ層630の上方にあるチャネル層640及びチャネル層640の上方にある能動層650を含む。HEMT抵抗器600は、それぞれHEMT抵抗器600の両端とされる、チャネル層640の上方にある第1の電極672及び第2の電極674をも含む。幾つかの実施例において、第1の電極672及び第2の電極674は、能動層650の上方に形成される。基板610、バッファ層630、チャネル層640、能動層650、ソース電極672及びドレイン電極674といった素子は、それぞれ実質的に
図3における基板310、バッファ層330、チャネル層340、能動層350、ソース電極372及びドレイン電極374といった素子に類似する。
【0041】
このようなGaN系抵抗器(例えば、HEMT抵抗器600)以外に、GaN系集積回路100は、多くの他のタイプの抵抗器を含んでもよく、これらの抵抗器は、GaN系材料で形成されるわけではない。例えば、GaN系集積回路100は、シリコンクロム(SiCr)で形成された薄膜抵抗器を含んでよい。一般的には、このような薄膜抵抗器は、それらのHEMT構造の上に配置される誘電体層に形成されるSiCr薄膜を有する。SiCr薄膜の2つの末端は、それぞれ薄膜抵抗器の両端とされる2つのコンタクト/電極に接続される。
【0042】
続いて
図7を参照し、アセンブリ700は、高電圧回路110及び/又は低電圧回路160に適用可能なHEMT構造において実施されてよい。アセンブリ700は、実質的にパワーHEMT 300に類似するが、コンデンサなどの2端子装置として動作するために用いられる。従って、アセンブリ700は、以下で「HEMTコンデンサ700」と称され、HEMTコンデンサ700の素子について次のように簡単に記述する。
【0043】
図7の横断面図に示すように、HEMTコンデンサ700は、基板710、基板710の上方にあるバッファ層730、バッファ層730の上方にあるチャネル層740及びチャネル層740の上方にある能動層750を含む。HEMTコンデンサ700は、チャネル層740の上方にあるソース電極772とドレイン電極774、及び能動層750の上方にあるゲート電極780をも含む。幾つかの実施例において、ソース電極772とドレイン電極774は、能動層750の上方に形成される。ソース電極772とドレイン電極774は、短絡するように接続されてよく、ソース電極772とドレイン電極774は、HEMTコンデンサ700の第1の端子とされ、ゲート電極780は、HEMTコンデンサ700の第2の端子とされる。基板710、バッファ層730、チャネル層740、能動層750、ソース電極772、ドレイン電極774及びゲート電極780といった素子は、それぞれ実質的に
図3における基板310、バッファ層330、チャネル層340、能動層350、ソース電極372、ドレイン電極374及びゲート電極380といった素子に類似する。
【0044】
このようなGaN系コンデンサ(例えば、HEMTコンデンサ700)以外に、GaN系集積回路100は、多くの他のタイプのコンデンサを含んでもよく、これらのコンデンサは、GaN系材料で形成されるわけではない。例えば、GaN系集積回路100は、それらのHEMT構造の上に配置される金属-絶縁体-金属(metal-insulator-metal;MIM)コンデンサを含んでよい。一般的には、MIMコンデンサは、第1の相互接続(例えば、金属)構造及び第2の相互接続(例えば、金属)構造を含み、誘電体層は前記2つの構造の間に介在する。第1の相互接続構造及び第2の相互接続構造は、それぞれMIMコンデンサの両端とされてよい。
【0045】
続いて
図8を参照し、アセンブリ800は、高電圧回路110及び/又は低電圧回路160に適用可能なHEMT構造において実施されてよい。アセンブリ800は、実質的にパワーHEMT 300に類似するが、ダイオードなどの2端子装置として動作するために用いられる。従って、アセンブリ800は、以下で「HEMTダイオード800」と称され、HEMTダイオード800の素子について次のように簡単に記述する。
【0046】
図8の横断面図に示すように、HEMTダイオード800は、基板810、基板810の上方にあるバッファ層830、バッファ層830の上方にあるチャネル層840及びチャネル層840の上方にある能動層850を含む。HEMTダイオード800は、チャネル層840の上方にあるソース電極872とドレイン電極874、及び能動層850の上方にあるゲート電極880をも含む。幾つかの実施例において、ソース電極872とドレイン電極874は、能動層850の上方に形成される。ソース電極872とゲート電極880は、短絡するように接続されてよく、ソース電極872とゲート電極880は、共同してHEMTダイオード800の第1の端子(例えば、アノード)とされ、ドレイン電極874は、HEMTダイオード800の第2の端子(例えば、カソード)とされる。基板810、バッファ層830、チャネル層840、能動層850、ソース電極872、ドレイン電極874及びゲート電極880といった素子は、それぞれ実質的に
図3における基板310、バッファ層330、チャネル層340、能動層350、ソース電極372、ドレイン電極374及びゲート電極380といった素子に類似する。
【0047】
図9、
図10及び
図11は、それぞれ様々な実施例によるGaN系集積回路100の低電圧回路160のESD保護回路260、制御回路262及びドライバ回路264を示す回路図の実例900、1000及び1100である。
図9~
図11に示される回路図は、単に説明のために提供されたものであり、本開示内容の範疇を制限しようとするものではないことを理解されたい。従って、低電圧回路160の回路のそれぞれは、本開示内容の範疇内に留まりながら、様々な他の回路配置の何れか1つとして実施されてよい。
【0048】
図9の回路図の実例900において、ESD保護回路260は、直列に接続される多くのGaN系ゲート-ソース短絡トランジスタ902、GaN系又は非GaN系抵抗器904及びGaN系分流トランジスタ906を含んでよい。幾つかの実施例において、ESD保護回路260の高側は、動作可能に(例えば、電気的に)端子102-2と次の段階の回路(例えば、制御回路262)の間に接続されてよく、ESD保護回路260の低側は、動作可能に(例えば、電気的に)端子102-4に接続されてよい。
【0049】
図10の回路図の実例1000において、制御回路262は、多くのGaN系トランジスタ1002及び1004を含んでよく、これらのトランジスタは、図示されるように互いに動作可能に(例えば、電気的に)結合し、更に第1の供給電圧(例えば、VDD)と第2の供給電圧(例えば、VSS)の間にある。トランジスタ1002は、第1の導電型(例えば、p型)又は第1の動作モード(例えば、空乏モード)を有してよく、トランジスタ1004は、第2の導電型(例えば、n型)又は第2の動作モード(例えば、増強モード)を有してよく、このように制御回路262を相補型論理回路として形成する。しかしながら、制御回路262は、本開示内容の範疇内に留まりながら、抵抗器-トランジスタ論理回路(例えばp型トランジスタがHEMT抵抗器で形成され、且つn型トランジスタがp-GaNゲート制御式HEMTで形成された場合)として構築されてよいことを理解されたい。幾つかの実施例において、第1の供給電圧及び第2の供給電圧は、それぞれ端子102-12及び端子102-4を介して受信されてよい。幾つかの実施例において、制御回路262は、端子102-2に接続される入力端(命令信号を受信可能)、及び次の段階の回路(例えば、ドライバ回路264)に接続される出力端を有してよい。制御回路262は、例えばクロック信号をドライバ回路264に出力することができる。
【0050】
図11の回路図の実例1100において、ドライバ回路264は、多くのGaN系トランジスタ1102及び1104を含んでよく、これらのトランジスタは、図示されるように互いに動作可能に(例えば、電気的に)結合し、更に第1の供給電圧(例えば、VDD)と第2の供給電圧(例えば、VSS)の間にある。トランジスタ1102は、第1の導電型(例えば、p型)又は第1の動作モード(例えば、空乏モード)を有してよく、トランジスタ1104は、第2の導電型(例えば、n型)又は第2の動作モード(例えば、増強モード)を有してよく、このようにドライバ回路264を相補型論理回路として形成する。しかしながら、ドライバ回路264は、本開示内容の範疇内に留まりながら、抵抗器-トランジスタ論理回路(例えばp型トランジスタがHEMT抵抗器で形成され、且つn型トランジスタがp-GaNゲート制御式HEMTで形成された場合)として構築されてよいことを理解されたい。幾つかの実施例において、第1の供給電圧及び第2の供給電圧は、それぞれ端子102-10及び端子102-5を介して受信されてよい。ドライバ回路264は、1つ又は複数のGaN系又は非GaN系コンデンサ1106を更に含んでよい。幾つかの実施例において、ドライバ回路264は、制御回路262に接続される入力端、及び次の段階の回路(例えば、パワートランジスタ210)に接続される出力端を有してよい。ドライバ回路264は、ゲート信号をパワートランジスタ210に提供することができる。
【0051】
以下、
図12を参照し、様々な実施例による開示されたGaN系集積回路100の様々な欠陥を識別するための方法1200の実例を示すフローチャートである。本明細書に開示されたように、GaN系集積回路100は、多くの隔離端子(例えば、端子102-1~102-12)を含むため、方法1200の動作により回路レベルのGaN系集積回路100の様々な(例えば、生長)欠陥を検出・テスト・選別又は他の形で識別することを可能にする。従って、
図12について、以上の図面の一部(例えば、
図2のGaN系集積回路100)を参照しながら以下のように検討する。方法1200について説明された実施例は単なる実例である。従って、本開示内容の範疇内に留まりながら、複数の動作の何れか1つが省略され、並べ替えられ及び/又は追加されてもよいことを理解されたい。
【0052】
簡単な概説では、方法1200は、1つの高電圧回路及び少なくとも1つの低電圧回路を少なくとも含むGaN系集積回路を提供する動作1202からスタートする。高電圧回路と低電圧回路は、動作可能に互いに結合する。また、高電圧回路は、第1の電圧範囲で動作する多くの第1のGaN系アセンブリを含み、低電圧回路は、第2の電圧範囲で動作する多くの第2のGaN系アセンブリを含み、第1の電圧範囲は、実質的に第2の電圧範囲よりも高い。続いて、方法1200は、高電圧回路に結合する集積回路の多くの第1のテスト端子を介して多くの第1のテスト信号を高電圧回路に印加する動作1204に移行する。動作1204と同時に又はそれとは別に、方法1200は、低電圧回路に結合する集積回路の多くの第2のテスト端子を介して多くの第2のテスト信号を低電圧回路に印加する動作1206に移行する。様々な実施例において、第1のテスト信号は、第2のテスト信号とは独立して配置される。
【0053】
図13は、様々な実施例による第1組のテスト信号及び第2組のテスト信号がそれぞれ高電圧回路110及び低電圧回路160に印加されてエピタキシャル欠陥を識別することを示す。このようなエピタキシャル欠陥は、高電圧回路110、低電圧回路160のGaN系アセンブリの何れか1つに存在する可能性がある。例えば、このエピタキシャル欠陥は、基板全体にわたるGaN系層の1つ又は複数における全域欠陥(例えば、線転位、粒界、歪みなどによる)であってよい。
図3のアセンブリ300(パワートランジスタ210の実現)を代表的な実例とすれば、このようなエピタキシャル欠陥は、層322~350又はこれらの層と隣り合う層の対応する界面の何れか1つに存在する可能性がある。
【0054】
図示されるように、端子102-6~端子102-9を介して高電圧回路110に印加される第1のテスト信号及び端子102-1~端子102-5と端子102-10~102-12を介して低電圧回路160に印加される第2のテスト信号は、全て比較的高い電圧レベルで配置され(例えば、高電圧回路110の動作電圧範囲内)、基板に接続される端子102-7が接地電圧に繋がる場合が除外される。基板端子102-7を除き、全ての端子がこの高ストレス電圧に繋がるため、これらの端子の何れか1つで突然の電圧降下を検出したことに応答し、如何なるエピタキシャル欠陥も識別することができる。これは、このような全域エピタキシャル欠陥が通常GaN系アセンブリ(例えば、HEMT)における余分の漏電を誘発するおそれがあるからである。また、端子102-6と端子102-4又は端子102-5が動作的に隔離され、且つ端子102-9が特にパワートランジスタ210のゲートに接続されるため、他の回路のゲートへの損害(結合による)を有利に防止することができる。
【0055】
図14は、様々な実施例による別の第1組のテスト信号及び別の第2組のテスト信号がそれぞれ高電圧回路110及び低電圧回路160に印加されて表面結晶欠陥を識別することを示す。このような表面結晶欠陥は、高電圧回路110のGaN系アセンブリの何れか1つに存在する可能性がある。例えば、この表面結晶欠陥は、パワートランジスタ210のGaN系層(例えば、汚染、不規則な生長などによる)における1つ又は複数の頂面に沿う局所的な欠陥であってよい。
図3のアセンブリ300(パワートランジスタ210の実現)を代表的な実例とすれば、このような表面結晶欠陥は、層322~350の何れか1つの頂面に沿って存在する可能性がある。
【0056】
図示されるように、端子102-6、102-8及び102-9を介して高電圧回路110に印加される第1のテスト信号は、それぞれ接地電圧、第1の電圧スイープ(例えば、0ボルト~650ボルト)及び第2の電圧スイープ(例えば、0ボルト~6ボルト)であり、端子102-1~102-5及び102-10を介して低電圧回路160に印加される第2のテスト信号は、全て浮遊電圧として配置され、基板に接続される端子102-7は接地電圧に繋がる。パワートランジスタ210がn型に形成された実例において、端子102-9に印加される信号は、6ボルトから0ボルトまでスイープ(sweep)してよく(パワートランジスタ210のオンからオフまで)、端子102-8に印加される信号も0ボルトから650ボルトまでスイープする。的確に言えば、パワートランジスタ210をオンにした場合、前記トランジスタの抵抗が非常に小さいことが望まれている。しかしながら、表面結晶欠陥が存在する場合、このような小さいON抵抗が不規則に大きくなるおそれがある。一方、パワートランジスタ210をオフにした場合、前記トランジスタのドレインの維持可能な電圧レベルが非常に大きいことが望まれている。しかしながら、表面結晶欠陥が存在する場合、電界のGaN系層に沿う分布に干渉し、パワートランジスタ210のドレインでの耐電圧が不規則に小さくなる可能性がある。また、低電圧回路160に接続される端子(102-1~102-5及び102-10~102-12)と高電圧回路110に接続される端子(102-6~102-9)は、動作的に隔離されて浮遊するため、低電圧回路160への損害を有利に防止することができる。
【0057】
図15は、様々な実施例による更なる第1組のテスト信号及び更なる第2組のテスト信号がそれぞれ高電圧回路110及び低電圧回路160に印加されて集積回路100のHEMTのゲートに存在する欠陥を識別することを示す。このようなゲート欠陥は、パワートランジスタ210のゲート周囲の局所的な欠陥(例えば、汚染、不規則な生長などによる)であってよい。
図3のアセンブリ300(パワートランジスタ210の実現)を代表的な実例とすれば、このようなゲート欠陥は、ゲート電極380と能動層350の界面、又は能動層350内に存在する可能性がある。
【0058】
図示されるように、端子102-6、102-8及び102-9を介して高電圧回路110に印加される第1のテスト信号は、それぞれ実質的に0ボルトよりも高い第1の電圧(例えば、約8ボルト)、ほぼ0ボルトに近い第2の電圧(例えば、約0.1ボルト)及び接地電圧であり、端子102-1~端子102-5及び端子102-10~102-12を介して低電圧回路160に印加される第2のテスト信号は、全て浮遊電圧として配置され、基板に接続される端子102-7が接地電圧に繋がる。パワートランジスタ210がn型に形成された実例において、端子102-6(ソース)に印加される信号は、実質的に端子102-9(ゲート)に印加される信号よりも高く、このように、依然としてソースとゲートの間に漏電が存在するか否か(例えば、ゲートの欠陥による)を識別すると同時に、低電圧回路160の損傷を防止することができる。より的確には、低電圧回路160に接続される端子(102-1~102-5及び102-10~102-12)とパワートランジスタ210のゲートに接続される端子(102-9)は、動作的に隔離されて浮動するため、リーク電流(存在すれば)は端子102-6のみから端子102-9に伝導することができる。又は、このリーク電流は、低電圧回路160において回避可能である。
【0059】
図16は、様々な実施例による更なる第1組のテスト信号及び更なる第2組のテスト信号がそれぞれ高電圧回路110及び低電圧回路160に印加されて集積回路100の低電圧回路160のESD保護回路260の機能異常を識別することを示す。
【0060】
図示されるように、端子102-6、102-8及び102-9を介して高電圧回路110に印加される第1のテスト信号は、全て浮遊電圧として配置され、端子102-3及び102-4を介してESD保護回路260に印加される第2のテスト信号は、それぞれ機能信号(例えば、機能電圧)及び接地電圧であり、端子102-1~端子102-2、端子102-5及び端子102-10~端子102-12を介して低電圧回路160の他の回路に印加される第2のテスト信号は、全て浮遊電圧として配置され、基板に接続される端子102-7が接地電圧に繋がる。幾つかの実施例において、機能信号(端子102-3を介して受信される)は、ESD保護回路260の機能性に対応する様々な信号の何れか1つを含んでよい。例えば、機能信号は、ESD保護回路260への励起信号とされてよく、それによりESD保護回路260がこのような励起信号を受信した場合、ESD保護回路260は、例えばその出力端又は内部ノードにて対応する応答を提供することができる。応答信号をチェックすることにより、ESD保護回路260自体が予期通りに作動したか否かを判定することができる。機能信号の実例は、パルス電圧、波信号及び類似するものを含んでよい。低電圧回路160の回路によってその各々のテスト端子が利用可能になるため、低電圧回路160の回路のそれぞれは、個別にテストすることができ、集積回路100全体の如何なる機能異常の根本的な原因を効果的に識別することができる。
【0061】
図17は、様々な実施例による更なる第1組のテスト信号及び更なる第2組のテスト信号がそれぞれ高電圧回路110及び低電圧回路160に印加されて集積回路100の低電圧回路160の制御回路262の機能異常を識別することを示す。
【0062】
図示されるように、端子102-6、102-8及び102-9を介して高電圧回路110に印加される第1のテスト信号は、全て浮遊電圧として配置され、端子102-2、102-4及び102-12を介して制御回路262に印加される第2のテスト信号は、それぞれ機能信号(例えば、機能電圧)、接地電圧及び電源電圧(例えば、約6ボルト、制御回路262の設計によって決定される)であり、端子102-1、端子102-3、端子102-5及び端子102-10~102-11を介して低電圧回路160の他の回路に印加される第2のテスト信号は、全て浮遊電圧として配置され、基板に接続される端子102-7が接地電圧に繋がる。幾つかの実施例において、機能信号(端子102-2を介して受信される)は、制御回路262の機能性に対応する様々な信号の何れか1つを含んでよい。例えば、機能信号は、制御回路262への励起信号とされてよく、それにより制御回路262がこのような励起信号を受信した場合、制御回路262は、例えばその出力端又は内部ノードにて対応する応答を提供することができる。応答信号をチェックすることにより、制御回路262自体が予期通りに作動したか否かを判定することができる。機能信号の実例は、パルス電圧、波信号及び類似するものを含んでよい。低電圧回路160の回路によってその各々のテスト端子が利用可能になるため、低電圧回路160の回路のそれぞれは、個別にテストすることができ、集積回路100全体の如何なる機能異常の根本的な原因を効果的に識別することができる。
【0063】
図18は、様々な実施例による更なる第1組のテスト信号及び更なる第2組のテスト信号がそれぞれ高電圧回路110及び低電圧回路160に印加されて集積回路100の低電圧回路160のドライバ回路264の機能異常を識別することを示す。
【0064】
図示されるように、端子102-6、102-8及び102-9を介して高電圧回路110に印加される第1のテスト信号は、全て浮遊電圧として配置され、端子102-11、102-5及び102-10を介してドライバ回路264に印加される第2のテスト信号は、それぞれ機能信号(例えば、機能電圧)、接地電圧及び電源電圧(例えば、約6ボルト、ドライバ回路264の設計によって決定される)であり、端子102-1~端子102-4及び端子102-12を介して低電圧回路160の他の回路に印加される第2のテスト信号は、全て浮遊電圧として配置され、基板に接続される端子102-7が接地電圧に繋がる。幾つかの実施例において、機能信号(端子102-11を介して受信される)は、ドライバ回路264の機能性に対応する様々な信号の何れか1つを含んでよい。例えば、機能信号は、ドライバ回路264への励起信号とされてよく、それによりドライバ回路264がこのような励起信号を受信した場合、ドライバ回路264は、例えばその出力端又は内部ノードにて対応する応答を提供することができる。応答信号をチェックすることにより、ドライバ回路264自体が予期通りに作動したか否かを判定することができる。機能信号の実例は、パルス電圧、波信号及び類似するものを含んでよい。低電圧回路160の回路によってその各々のテスト端子が利用可能になるため、低電圧回路160の回路のそれぞれは、個別にテストすることができ、集積回路100全体の如何なる機能異常の根本的な原因を効果的に識別することができる。
【0065】
図19は、様々な実施例によるテストシステム1900を示す簡略化されたブロック図であり、前記テストシステムは、GaN系集積回路の様々な欠陥及び/又は機能異常を識別することができる。このような被験GaN系集積回路は、モノリシックに統合された低電圧回路システムと高電圧回路システムを少なくとも含んでよい。また、このGaN系集積回路の高電圧回路システム及び低電圧回路システムは、動作的に隔離された対応する数のテスト端子を有し、これは、テストシステム1900が独立して低電圧回路システム及び高電圧回路システムに用いられるテスト信号を配置することを可能にする。
【0066】
図示されるように、テストシステム1900は、動作可能に互いに結合するコントローラ1910と信号発生器1920を少なくとも含む。別体のブロックとして示されているが、信号発生器1920は、本開示内容の範疇内に留まりながら、コントローラ1910に統合されてもよい。様々な実施例において、コントローラ1910は、それぞれ支持部材1960上に配置される被験GaN系集積回路1950の低電圧回路システム及び高電圧回路システムに用いられる第1組のテスト信号及び第2組のテスト信号を判定することができる。GaN系集積回路1950の高電圧回路システム及び低電圧回路システムにおいてその各々のテスト端子が互いに隔離されるため(例えば、GaN系集積回路100)、コントローラ1910は、独立して第1組のテスト信号と第2組のテスト信号を配置することができる。第1組のテスト信号と第2組のテスト信号を配置した後、信号発生器1920は、それらのテスト信号をGaN系集積回路1950に印加してGaN系集積回路1950の欠陥及び/又は機能異常を識別するために用いられることができる。
【0067】
テストシステム1900は、プローブ1940を支持するためのプローブカード1930を更に含んでよい。動作では、プローブ1940がGaN系集積回路1950の所定の位置に接触するまで、プローブカード1930を移動させる。
図19における垂直な矢印に示すように移動する。拡大機能を有する顕微鏡又は視覚表示デバイスなどのアライメントデバイスは、プローブ1940を例えばGaN系集積回路1950のテスト端子の1つ又は複数に配置するように、ウェハをX方向及びY方向に移動させるために用いられることができる。プローブ1940がテスト端子に電気的に接触するように配置された後、以上に検討されたように、第1組のテスト信号及び第2組のテスト信号は、GaN系集積回路1950に印加されてその欠陥及び/又は機能異常を識別するために用いられることができる。図示されていないが、テストシステム1900は、それらのテスト信号が印加された後のGaN系集積回路1950の応答を監視するための多くの(例えば、電圧及び/又は電流)モニタを含んでよい。モニタは、テスト信号を印加するために使用されたテスト端子と同じ又は異なる端子を介してGaN系集積回路1950に電気的に接触してよい。
【0068】
本開示内容の一態様において、集積回路を開示する。集積回路は、1つ又は複数の第III族及び第V族化合物材料により形成された、第1の電圧範囲で動作するための第1の回路と、同じく1つ又は複数の第III族及び第V族化合物材料により形成された、第1の回路に動作可能に結合するとともに実質的に第1の電圧範囲よりも高い第2の電圧範囲で動作するための第2の回路と、第1の回路に接続される1組の第1のテスト端子と、第2の回路に接続される1組の第2のテスト端子と、を含み、それぞれ前記1組の第1のテスト端子と前記1組の第2のテスト端子に印加されるテスト信号は、互いに独立する。幾つかの実施例において、1つ又は複数の第III族及び第V族化合物材料は、窒化ガリウムを含む。幾つかの実施例において、前記1組の第1のテスト端子は、それぞれ第1の回路の複数の第1のトランジスタのうちの少なくとも1つのゲート、ドレイン及びソースに動作可能に結合し、前記1組の第2のテスト端子は、それぞれ第2の回路の複数の第2のトランジスタのうちの少なくとも1つのゲート、ドレイン及びソースに動作可能に結合する。幾つかの実施例において、それぞれ前記1組の第1のテスト端子に印加される複数のテスト信号は、各々第2の電圧範囲内の第1の固定電圧である第1の信号、第2の信号及び第3の信号を含み、それぞれ前記1組の第2のテスト端子に印加される複数のテスト信号は、各々第2の電圧範囲内の第2の固定電圧である第4の信号、第5の信号及び第6の信号を含む。幾つかの実施例において、前記1組の第1のテスト端子に印加される複数のテスト信号及び前記1組の第2のテスト端子に印加される複数のテスト信号は、第1の回路又は第2の回路のうちの少なくとも1つのエピタキシャル欠陥を識別するために用いられる。幾つかの実施例において、それぞれ前記1組の第1のテスト端子に印加される複数のテスト信号は、各々浮遊電圧である第7の信号、第8の信号及び第9の信号を含み、それぞれ前記1組の第2のテスト端子に印加される複数のテスト信号は、それぞれ第1の電圧スイープ、第2の電圧スイープ及び接地電圧である第10の信号、第11の信号及び第12の信号を含む。幾つかの実施例において、前記1組の第1のテスト端子に印加される複数のテスト信号及び前記1組の第2のテスト端子に印加される複数のテスト信号は、第2の回路の表面結晶欠陥を識別するために用いられる。幾つかの実施例において、それぞれ前記1組の第1のテスト端子に印加される複数のテスト信号は、各々浮遊電圧である第13の信号、第14の信号及び第15の信号を含み、それぞれ前記1組の第2のテスト端子に印加される複数のテスト信号は、接地電圧、第3の固定電圧及び第4の固定電圧である第16の信号、第17の信号及び第18の信号を含み、第4の固定電圧は実質的に前記接地電圧よりも高い。幾つかの実施例において、前記1組の第1のテスト端子に印加される複数のテスト信号及び前記1組の第2のテスト端子に印加される複数のテスト信号は、第2の回路の複数の第2のトランジスタのうちの前記少なくとも1つの前記ゲートをテストするために用いられる。幾つかの実施例において、それぞれ前記1組の第1のテスト端子に印加される複数のテスト信号は、機能電圧、第5の固定電圧及び接地電圧である第19の信号、第20の信号、第21の信号を含み、それぞれ前記1組の第2のテスト端子に印加される複数のテスト信号は、各々浮遊電圧である第22の信号、第23の信号及び第24の信号を含む。幾つかの実施例において、前記1組の第1のテスト端子に印加される複数のテスト信号及び前記1組の第2のテスト端子に印加される複数のテスト信号は、第1の回路の機能をテストするために用いられる。
【0069】
本開示内容の別の態様において、集積回路のテスト方法を開示する。方法は、動作可能に互いに結合する、第1の電圧範囲で動作する第1のトランジスタを少なくとも含む第1の回路と、実質的に第1の電圧範囲よりも高い第2の電圧範囲で動作する第2のトランジスタを少なくとも含む第2の回路と、を含有する集積回路を提供するステップと、集積回路の複数の第1のテスト端子を介して複数の第1のテスト信号を第1のトランジスタに印加するステップと、集積回路の複数の第2のテスト端子を介して複数の第2のテスト信号を第2のトランジスタに印加するステップと、を備え、複数の第1のテスト信号は、複数の第2のテスト信号とは独立して配置される。幾つかの実施例において、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタのそれぞれは、1つ又は複数の第III族及び第V族化合物材料内に形成される能動チャネルを含む。幾つかの実施例において、方法は、全て第2の電圧範囲内の固定電圧である複数の第1のテスト信号及び複数の第2のテスト信号を印加することにより、第1の回路又は第2の回路のうちの少なくとも1つのエピタキシャル欠陥を識別するステップを更に含む。幾つかの実施例において、方法は、浮遊電圧である複数の第1のテスト信号を印加し、且つそれぞれ第1の電圧スイープ、第2の電圧スイープ及び接地電圧である複数の第2のテスト信号を印加することにより、第2の回路の表面結晶欠陥を識別するステップを更に含む。幾つかの実施例において、方法は、浮遊電圧である複数の第1のテスト信号を印加し、且つそれぞれ接地電圧、接地電圧に近い電圧及び実質的に前記接地電圧よりも高い固定電圧である複数の第2のテスト信号を印加することにより、第2のトランジスタのゲートをテストするステップを更に含む。幾つかの実施例において、方法は、それぞれ機能電圧、電源電圧及び接地電圧である複数の第1のテスト信号を印加し、且つ各々浮遊電圧である複数の第2のテスト信号を印加することにより、第1の回路の機能をテストするステップを更に含む。幾つかの実施例において、複数の第1のテスト端子と複数の第2のテスト端子は、各々動作可能に互いに隔離される。
【0070】
本開示内容の更なる態様において、テストシステムを開示する。テストシステムは、集積回路の複数の第1のテスト端子を介して複数の第1のテスト信号を、窒化ガリウムを含むとともに第1の電圧範囲で動作するための集積回路の第1のトランジスタに印加し、且つ、集積回路の複数の第2のテスト端子を介して複数の第2のテスト信号を、窒化ガリウムを含むとともに実質的に第1の電圧範囲よりも高い第2の電圧範囲で動作するための集積回路の第2のトランジスタに印加するための信号発生器と、信号発生器に動作可能に結合し、独立して複数の第2のテスト信号に基づいて複数の第1のテスト信号を判定するためのコントローラと、を備える。幾つかの実施例において、複数の第1のテスト端子と複数の第2のテスト端子は、各々動作可能に互いに隔離される。
【0071】
本明細書において使用される「約」及び「およそ」という用語は、通常、説明される値に10%加減することを意味する。例えば、約0.5は、0.45~0.55を含んでよく、約10は、9~11を含んでよく、約1000は、900~1100を含んでよい。
【0072】
当業者が本開示の幾つかの実施例の態様をよりよく理解できるように、前述した内容をもって幾つかの実施例の特徴を概説した。当業者であれば、関連技術者が、本明細書において説明された実施例と同じ目的を実現する及び/又は本明細書において説明された実施例と同じ利点を達成するための他のプロセス及び構造を設計又は修正する基礎として本開示の幾つかの実施例を容易に使用できることを理解すべきである。当業者であれば、これらの等価構造が本開示の幾つかの実施例の精神及び範疇から逸脱しておらず、且つ関連技術者が本開示の幾つかの実施例の精神及び範疇から逸脱することなく本明細書に対する多様の変更、置換及び変化を行えることをも意識すべきである。
【符号の説明】
【0073】
100 集積回路
102-1、102-2、102-3、102-4、102-5、102-6、102-7、102-8、102-9、102-10、102-11、102-12 端子
110 高電圧回路
160 低電圧回路
210 パワートランジスタ
260 ESD保護回路
262 制御回路
264 ドライバ回路
300 アセンブリ/パワーHEMT
310 基板
320 遷移構造
322、324、330、340、350 層
341 界面
344、345、346 領域
360 バリア層構造
362 第1のバリア層
364 第2のバリア層
372 ソース電極
374 ドレイン電極
380 電極
400 アセンブリ/E-HEMT
410 基板
430 バッファ層
440 チャネル層
450 能動層
472 ソース電極
474 ドレイン電極
480 ゲート電極
490 金属コンタクト
492 ドープ層
500 アセンブリ/D-HEMT
510 基板
530 バッファ層
540 チャネル層
550 能動層
572 ソース電極
574 ドレイン電極
580 ゲート電極
600 アセンブリ/HEMT抵抗器
610 基板
630 バッファ層
640 チャネル層
650 能動層
672、674 電極
700 アセンブリ/HEMTコンデンサ
710 基板
730 バッファ層
740 チャネル層
750 能動層
772 ソース電極
774 ドレイン電極
780 ゲート電極
800 アセンブリ/HEMTダイオード
810 基板
830 バッファ層
840 チャネル層
850 能動層
872 ソース電極
874 ドレイン電極
880 ゲート電極
900 回路図の実例
902、906 トランジスタ
904 抵抗器
1000 回路図の実例
1002、1004、1102、1104 トランジスタ
1100 回路図の実例
1106 コンデンサ
1200 方法
1202、1204、1206 動作
1900 テストシステム
1910 コントローラ
1920 信号発生器
1930 プローブカード
1940 プローブ
1950 集積回路
1960 支持部材