(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099128
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】撮像素子及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/79 20230101AFI20230704BHJP
H04N 25/77 20230101ALI20230704BHJP
H04N 25/772 20230101ALI20230704BHJP
【FI】
H04N25/79
H04N25/77
H04N25/772
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074498
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2021113775の分割
【原出願日】2016-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2015195280
(32)【優先日】2015-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】猿渡 修
(72)【発明者】
【氏名】加藤 周太郎
(72)【発明者】
【氏名】安藤 良次
(72)【発明者】
【氏名】手塚 洋二郎
(72)【発明者】
【氏名】駒井 敦
(57)【要約】 (修正有)
【課題】画素毎に露光時間を制御することができる撮像素子を提供する。
【解決手段】撮像素子は、光を光電変換して電荷を生成する光電変換部31と、前記光電変換部で生成された電荷を蓄積部FDに転送する転送部Txとをそれぞれ有し、行方向に配置される第1画素と第2画素とが設けられる第1半導体基板7と、前記第1画素の前記蓄積部FDに電荷を転送するよう第1電圧以上の電圧を前記転送部Txに供給し、前記第1画素の前記蓄積部FDに電荷を転送しないよう前記第1電圧未満の電圧を前記転送部Txに供給する第1供給部と、前記第2画素の前記蓄積部FDに電荷を転送するよう前記第1電圧以上の電圧を前記転送部Txに供給し、前記第2画素の前記蓄積部FDに電荷を転送しないよう前記第1電圧未満の電圧を前記転送部Txに供給する第2供給部と、を有する第2半導体基板8と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を光電変換して電荷を生成する光電変換部と、前記光電変換部で生成された電荷を蓄積部に転送する転送部とをそれぞれ有し、行方向に配置される第1画素と第2画素とが設けられる第1半導体基板と、
前記第1画素の前記蓄積部に電荷を転送するよう第1電圧以上の電圧を前記転送部に供給し、前記第1画素の前記蓄積部に電荷を転送しないよう前記第1電圧未満の電圧を前記転送部に供給する第1供給部と、
前記第2画素の前記蓄積部に電荷を転送するよう前記第1電圧以上の電圧を前記転送部に供給し、前記第2画素の前記蓄積部に電荷を転送しないよう前記第1電圧未満の電圧を前記転送部に供給する第2供給部と、を有する第2半導体基板と、
を備える撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
行方向に配置され、前記第1供給部を制御する第1制御部と、前記第2供給部を制御する第2制御部とを備える撮像素子。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像素子において、
前記第1制御部は、前記第1半導体基板に設けられる撮像素子。
【請求項4】
請求項2に記載の撮像素子において、
前記第2制御部は、前記第2半導体基板に設けられる撮像素子。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記転送部は、前記第1電圧以上の電圧が供給されると、前記光電変換部と前記蓄積部とを電気的に導通させ、前記第1電圧未満の電圧が供給されると、前記光電変換部と前記蓄積部とを電気的に非導通にする撮像素子。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素と前記第2画素それぞれは、前記光電変換部で生成された電荷をリセットする第1リセット部を有し、
前記第1供給部は、前記第1画素の前記光電変換部で生成された電荷をリセットするよう、前記第1電圧以上の電圧を前記第1画素の前記第1リセット部に供給し、
前記第2供給部は、前記第2画素の前記光電変換部で生成された電荷をリセットするよう、前記第1電圧以上の電圧を前記第2画素の前記第1リセット部に供給する撮像素子。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素と前記第2画素それぞれは、前記蓄積部に蓄積された電荷をリセットする第2リセット部を有し、
前記第1供給部は、前記第1画素の前記蓄積部に蓄積された電荷をリセットするよう、前記第1電圧以上の電圧を前記第1画素の前記第2リセット部に供給し、
前記第2供給部は、前記第2画素の前記蓄積部に蓄積された電荷をリセットするよう、前記第1電圧以上の電圧を前記第2画素の前記第2リセット部に供給する撮像素子。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1画素の前記転送部は、第1の期間に前記光電変換部で生成された電荷を前記蓄積部に転送し、
前記第2画素の前記転送部は、前記第1の期間とは異なる長さの第2の期間に前記光電変換部で生成された電荷を前記蓄積部に転送する撮像素子。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1供給部は、第1の期間に前記光電変換部で生成された電荷を前記蓄積部に転送するよう、前記第1画素の前記転送部に電圧を供給し、
前記第2供給部は、前記第1の期間とは異なる長さの第2の期間に前記光電変換部で生成された電荷を前記蓄積部に転送するよう、前記第1画素の前記転送部に電圧を供給する撮像素子。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1半導体基板は、前記第1電圧が印加される撮像素子。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第2半導体基板は、前記第1電圧と異なる第2電圧が印加される撮像素子。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第2半導体基板は、前記第1電圧未満の電圧が印加される撮像素子。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第2供給部は、前記第2半導体基板に設けられる第1電源部および第2電源部の少なくとも一方を有する撮像素子。
【請求項14】
請求項13に記載の撮像素子において、
前記第1電源部は、前記第1電圧以上の電圧を供給し、
前記第2電源部は、前記第1電圧未満の電圧を供給する撮像素子。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1電圧は、接地電圧である撮像素子。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第2半導体基板に設けられ、前記蓄積部に蓄積された電荷に基づくアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部を備える撮像素子。
【請求項17】
請求項16に記載の撮像素子において、
前記A/D変換部は、前記光電変換部毎に設けられる撮像素子。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の撮像素子を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画素が形成されたチップと、画素を駆動する画素駆動回路が形成されたチップとが積層された撮像素子が知られている(例えば特許文献1)。従来の撮像素子で画素毎に露光量を制御するには、各画素に転送パルスの2つの電源を設けねばならないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開2010-225927号公報
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によると、撮像素子は、光を光電変換して電荷を生成する光電変換部と、前記光電変換部で生成された電荷を蓄積部に転送する転送部とをそれぞれ有し、行方向に配置される第1画素と第2画素とが設けられる第1半導体基板と、前記第1画素の前記蓄積部に電荷を転送するよう第1電圧以上の電圧を前記転送部に供給し、前記第1画素の前記蓄積部に電荷を転送しないよう前記第1電圧未満の電圧を前記転送部に供給する第1供給部と、前記第2画素の前記蓄積部に電荷を転送するよう前記第1電圧以上の電圧を前記転送部に供給し、前記第2画素の前記蓄積部に電荷を転送しないよう前記第1電圧未満の電圧を前記転送部に供給する第2供給部と、を有する第2半導体基板と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図5】第1半導体基板と第2半導体基板のウェル構造を模式的に示す図
【
図6】撮像素子を用いた撮像シーケンスを示すタイミングチャート
【
図7】第1半導体基板、第2半導体基板、および第3半導体基板のウェル構造を模式的に示す図
【
図8】第1半導体基板と第2半導体基板のウェル構造を模式的に示す図
【
図9】第1半導体基板と第2半導体基板のウェル構造を模式的に示す図
【
図10】第1半導体基板と第2半導体基板のウェル構造を模式的に示す図
【
図11】第1半導体基板と第2半導体基板のウェル構造を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る撮像素子を用いた撮像装置の構成を模式的に示す断面図である。撮像装置1は、撮像光学系2、撮像素子3、制御部4、レンズ駆動部5、および表示部6を備える。
【0007】
撮像光学系2は、撮像素子3の撮像面に被写体像を結像させる。撮像光学系2は、レンズ2a、フォーカシングレンズ2b、およびレンズ2cから成る。フォーカシングレンズ2bは、撮像光学系2の焦点調節を行うためのレンズである。フォーカシングレンズ2bは、光軸O方向に駆動可能に構成されている。
【0008】
レンズ駆動部5は、不図示のアクチュエータを有する。レンズ駆動部5は、このアクチュエータにより、フォーカシングレンズ2bを光軸O方向に所望の量だけ駆動する。撮像素子3は、被写体像を撮像して画像を出力する。制御部4は、撮像素子3等の各部を制御する。制御部4は、撮像素子3により出力された画像信号に対して画像処理等を施して、不図示の記録媒体に記録したり、表示部6に画像を表示したりする。表示部6は、例えば液晶パネル等の表示部材を有する表示装置である。
【0009】
図2は、撮像素子3の断面図である。なお
図2では、撮像素子3の全体のうち、一部の断面のみを示している。撮像素子3は、いわゆる裏面照射型の撮像素子である。撮像素子3は、紙面上方向からの入射光を光電変換する。撮像素子3は、第1半導体基板7と、第2半導体基板8とを備える。
【0010】
第1半導体基板7は、少なくともPD層71と、配線層72とを備える。PD層71は、配線層72の裏面側に配置される。PD層71には、埋め込みフォトダイオードである複数のフォトダイオード31が二次元状に配置される。従って、PD層71の配線層72側の表面(すなわち入射光の入射側とは反対側の面)は、PD層71とは逆の導電型とされる。例えば、PD層71がN型の半導体層であるなら、配線層72側の表面は、濃度が高く厚さの薄いP型の半導体層が配置される。第1半導体基板7には、基板電圧として接地電圧(GND)が印加される。第2半導体基板8には、少なくともフォトダイオード31から信号を読み出すための各種回路が配置される。具体的には、後述する画素駆動部307の一部(負電圧を扱う転送信号供給部307aと第2リセット信号供給部307c)が第2半導体基板8に配置される。第2半導体基板8には、基板電圧として後述する電圧VTxLが印加される。
【0011】
PD層71における入射光の入射側には、複数のフォトダイオード31の各々に対応する複数のカラーフィルタ73が設けられる。カラーフィルタ73には、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)にそれぞれ対応する波長領域を透過する複数の種類が存在する。カラーフィルタ73は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)に対応する3種類が、ベイヤー配列を為すように配列される。
【0012】
カラーフィルタ73における入射光の入射側には、複数のカラーフィルタ73の各々に対応する複数のマイクロレンズ74が設けられる。マイクロレンズ74は、対応するフォトダイオード31に向けて入射光を集光する。マイクロレンズ74を通過した入射光は、カラーフィルタ73により一部の波長領域のみがフィルタされ、フォトダイオード31に入射する。フォトダイオード31は、入射光を光電変換して電荷を生成する。
【0013】
配線層72の表面には複数のバンプ75が配置される。第2半導体基板8の、配線層72に対向する面には、複数のバンプ75に対応する複数のバンプ76が配置される。複数のバンプ75と複数のバンプ76とは互いに接合されている。複数のバンプ75と複数のバンプ76とを介して、第1半導体基板7と第2半導体基板8とが電気的に接続される。
【0014】
詳細は後述するが、撮像素子3は複数の画素30を有している。1つの画素30は、第1半導体基板7に設けられた第1画素30xと、第2半導体基板8に設けられた第2画素30yとを含む。1つの第1画素30xには、1つのマイクロレンズ74、1つのカラーフィルタ73、1つのフォトダイオード31等が含まれる。第1画素30xにはこの他に、第1半導体基板7に設けられた種々の回路(後述)が含まれる。第2画素30yには、第2半導体基板8に設けられた種々の回路(後述)が含まれる。
【0015】
図3は、画素30の構成を模式的に示すブロック図である。画素30は、アナログ回路部301、A/D変換部302、サンプリング部303、画素値保持部304、画素駆動部307、個別画素制御部306、および演算部305を備える。
【0016】
アナログ回路部301は、入射光を光電変換した結果をアナログ信号としてA/D変換部302に出力する。A/D変換部302は、アナログ回路部301が出力したアナログ信号をサンプリングし、所定のゲイン倍されたデジタル信号を出力する。A/D変換部302は、画素リセット信号と画素信号とを繰り返しサンプリングし、画素リセット信号のサンプリング結果と画素信号のサンプリング結果とをデジタル信号としてそれぞれ個別に出力する。
【0017】
サンプリング部303は、画素リセット信号のサンプリング結果と画素信号のサンプリング結果の積分値を演算し保持する。サンプリング部303は、画素リセット信号用の第1加算器308および第1メモリ309と、画素信号用の第2加算器310および第2メモリ311を備える。
【0018】
サンプリング部303は、A/D変換部302により出力された画素リセット信号のサンプリング結果と、第1メモリ309に保持されている過去のサンプリング結果の積分値とを、第1加算器308により加算する。サンプリング部303は、この加算結果を第1メモリ309に記憶する。サンプリング部303は、A/D変換部302により画素リセット信号のサンプリング結果が出力される度に、第1メモリ309に記憶されている値を更新する。
【0019】
サンプリング部303は、A/D変換部302により出力された画素信号のサンプリング結果と、第2メモリ311に保持されている過去のサンプリング結果の積分値とを、第2加算器310により加算する。サンプリング部303は、この加算結果を第2メモリ311に記憶する。サンプリング部303は、A/D変換部302により画素信号のサンプリング結果が出力される度に、第2メモリ311に記憶されている値を更新する。
【0020】
以上のように、A/D変換部302およびサンプリング部303は、画素リセット信号と画素信号とを繰り返しサンプリングし、サンプリング結果を積分する処理を実行する。この処理は、いわゆる相関多重サンプリング処理である。
【0021】
個別画素制御部306により予め定められた回数のサンプリングが完了すると、サンプリング部303は、第1メモリ309に記憶されている値と、第2メモリ311に記憶されている値と、に基づくデジタル値を、画素値保持部304に出力する。画素値保持部304は、このデジタル値を、画素30による光電変換結果として記憶する。画素値保持部304は、信号線340に接続されている。画素値保持部304に記憶されているデジタル値は、信号線340を介して外部から読み出し可能である。
【0022】
演算部305は、外部から指示された露光時間や、画素値保持部304に保持されている前回の光電変換結果に基づき、相関多重サンプルリング処理における繰り返し回数、露光時間、ゲイン等を演算する。個別画素制御部306は、演算部305により演算された繰り返し回数およびゲインをA/D変換部302に出力する。個別画素制御部306は、演算部305により演算された露光時間およびゲインを画素駆動部307に出力する。画素駆動部307は、アナログ回路部301の各部を駆動する種々の信号(後述)をアナログ回路部301に出力する。
【0023】
図4は、アナログ回路部301、個別画素制御部306、および画素駆動部307の回路図である。なお、
図4では、便宜上、個別画素制御部306および画素駆動部307の一部のみを図示している。個別画素制御部306の一部には306a、306bのように符号を付し、画素駆動部307の一部には307a、307bのように符号を付している。
【0024】
アナログ回路部301は、フォトダイオード31、転送トランジスタTx、フローティングディフュージョンFD、第1リセットトランジスタRST1、第2リセットトランジスタRST2、増幅トランジスタAMI、選択トランジスタSEL、容量拡張トランジスタFDS、および容量C1を有する。
【0025】
フォトダイオード31は、入射光を光電変換し、入射光の光量に応じた量の電荷を生成する光電変換部である。転送トランジスタTxは、後述する転送信号供給部307aから供給された転送信号に基づき、フォトダイオード31が生成した電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する転送部である。フローティングディフュージョンFDは、転送トランジスタTxにより転送された電荷を蓄積する蓄積部である。増幅トランジスタAMIは、フローティングディフュージョンFDに蓄積されている電荷の量に応じた信号を出力する。選択トランジスタSELがオンされているとき、増幅トランジスタAMIにより出力された信号は、A/D変換部302に入力される。
【0026】
アナログ回路部301は、第1リセットトランジスタRST1および第2リセットトランジスタRST2の2つのリセットトランジスタを有している。第1リセットトランジスタRST1は、フローティングディフュージョンFDをリセットするとき、後述する第1リセット信号供給部307bから第1リセット信号の供給を受ける。後述する第1リセット信号供給部307bは、電圧VDDの信号を第1リセット信号として供給する。第1リセットトランジスタRST1は、この第1リセット信号に基づき、フローティングディフュージョンFDをリセットする。第2リセットトランジスタRST2は、フォトダイオード31をリセットするとき、後述する第2リセット信号供給部307cから第2リセット信号の供給を受ける。後述する第2リセット信号供給部307cは、電圧VDDの信号を第2リセット信号として供給する。第2リセットトランジスタRST2は、この第2リセット信号に基づき、フォトダイオード31をリセットする。
【0027】
容量拡張トランジスタFDSは、後述する容量拡張信号供給部307dから供給された容量拡張信号に基づき、フローティングディフュージョンFDと容量C1との接続を切り替える。例えばフォトダイオード31への入射光量が大きく、フローティングディフュージョンFDが飽和してしまう場合には、容量拡張トランジスタFDSをオンすることで、フローティングディフュージョンFDと容量C1とを接続する。これにより、フローティングディフュージョンFDの容量が、容量C1の分だけ実質的に増加し、より大きな光量に対応することができる。
【0028】
第1リセット信号供給部307bは、pMOSトランジスタTr7およびnMOSトランジスタTr8から成るCMOS回路である。第1リセット信号供給部307bは、第1リセット制御部306bの出力信号に基づき、VDDとGNDいずれかの電圧を第1リセット信号として第1リセットトランジスタRST1のゲートに供給する。前述の通り、第1リセット制御部306bは個別画素制御部306の一部であり、第1リセット信号供給部307bは画素駆動部307の一部である。なお、オーバードライブを行う際は、第1リセット制御部306bが第1リセットトランジスタRST1のゲートに、電圧VDDの代わりに、電圧VDDよりも高い電圧VRST1Hを供給するようにすればよい。
【0029】
容量拡張信号供給部307dは、pMOSトランジスタTr11およびnMOSトランジスタTr12から成るCMOS回路である。容量拡張信号供給部307dは、容量拡張制御部306dの出力信号に基づき、VDDとGNDいずれかの電圧を容量拡張信号として容量拡張トランジスタFDSのゲートに供給する。前述の通り、容量拡張制御部306dは個別画素制御部306の一部であり、容量拡張信号供給部307dは画素駆動部307の一部である。なお、オーバードライブを行う際は、容量拡張信号供給部307dが容量拡張トランジスタFDSのゲートに、電圧VDDの代わりに、電圧VDDよりも高い電圧VFDSHを供給するようにすればよい。
【0030】
転送信号供給部307aは、nMOSトランジスタTr1、nMOSトランジスタTr2、pMOSトランジスタTr3、nMOSトランジスタTr4、nMOSトランジスタTr5、およびpMOSトランジスタTr6を有する。
【0031】
nMOSトランジスタTr2およびpMOSトランジスタTr3は、CMOS回路を構成する。pMOSトランジスタTr3のソースには所定電源により電圧VTxHが印加される。nMOSトランジスタTr2およびpMOSトランジスタTr3のゲートには、転送制御部306aによって、転送制御信号が供給される。nMOSトランジスタTr2のソースはnMOSトランジスタTr1のドレインと接続される。nMOSトランジスタTr1のソースには所定電源により電圧VTxLが印加される。電圧VTxHは第1半導体基板7の基板電圧である接地電圧よりも高い電圧(すなわち正電圧)であり、電圧VTxLは第1半導体基板7の基板電圧である接地電圧よりも低い電圧(すなわち負電圧)である。
【0032】
nMOSトランジスタTr5およびpMOSトランジスタTr6は、CMOS回路を構成する。pMOSトランジスタTr6のソースには所定電源により電圧VTxHが印加される。nMOSトランジスタTr5およびpMOSトランジスタTr6のゲートには、転送制御部306aによって、転送制御信号のハイレベルとローレベルとを反転させた信号が供給される。nMOSトランジスタTr5のソースはnMOSトランジスタTr4のドレインと接続される。nMOSトランジスタTr4のソースには所定電源により電圧VTxLが印加される。
【0033】
nMOSトランジスタTr4のゲートは、nMOSトランジスタTr2およびpMOSトランジスタTr3のドレインと接続される。nMOSトランジスタTr1のゲートは、nMOSトランジスタTr5およびpMOSトランジスタTr6のドレインと接続される。nMOSトランジスタTr5およびpMOSトランジスタTr6のドレインからの電圧が、転送信号として転送トランジスタTxに供給される。
【0034】
すなわち、pMOSトランジスタTr6は、転送トランジスタTxのゲートに第1半導体基板7の基板電圧よりも高い電圧VTxHを供給する第1電源部として機能する。また、nMOSトランジスタTr4およびnMOSトランジスタTr5は、転送トランジスタTxのゲートに第1半導体基板7の基板電圧よりも低い電圧VTxLを供給する第2電源部として機能する。
【0035】
転送信号供給部307aは、CMOSを構成するnMOSトランジスタTr5およびpMOSトランジスタTr6だけではなく、nMOSトランジスタTr1、nMOSトランジスタTr2、pMOSトランジスタTr3、およびnMOSトランジスタTr4を有している。この理由について説明する。
転送制御部306aが供給する転送制御信号を反転させた信号は、ハイレベルが電圧VDD、ローレベルが接地電圧(GND)の信号である。nMOSトランジスタTr5は、ゲートにローレベルの信号すなわち接地電圧が印加されたとき、オフ状態にならなければならない。
nMOSトランジスタTr4を省略し、nMOSトランジスタTr5のソースに電圧VTxLを印加した回路について検討する。nMOSトランジスタTr5は、ゲート・ソース間電圧VGSがゲートしきい値電圧Vthよりも低いとき、オフ状態になる。ゲート・ソース間電圧VGSは、nMOSトランジスタTr5のゲートにローレベルの信号すなわち接地電圧が印加されたとき、VTxLの分だけゼロよりも大きくなる(VGS=0-VTxL)。このため、上記の回路は、ゲートしきい値電圧Vthが-VTxLよりも小さい場合、nMOSトランジスタTr5のゲートにローレベルの信号を供給しても、nMOSトランジスタTr5が完全にオフにならない、不安定な回路になってしまう。
本実施の形態で用いている回路は、nMOSトランジスタTr5が完全にオフになっていない状態であっても、nMOSトランジスタTr4が、nMOSトランジスタTr5のソースへの電圧VTxLの供給を遮断する。従って、上述した、ゲートしきい値電圧Vthに関する問題は生じない。
なお、nMOSトランジスタTr1、nMOSトランジスタTr2、pMOSトランジスタTr3、およびnMOSトランジスタTr4は、nMOSトランジスタTr5のゲートしきい値電圧Vthを十分に大きくできるのであれば、省略してもよい。
【0036】
以上のように構成された転送信号供給部307aは、転送制御部306aの出力信号に基づき、VTxHとVTxLいずれかの電圧を転送信号として転送トランジスタTxのゲートに供給する。前述の通り、転送制御部306aは個別画素制御部306の一部であり、転送信号供給部307aは画素駆動部307の一部である。なお、転送トランジスタTxのゲートに第1半導体基板7の基板電圧よりも低い電圧VTxLを印加するのは、転送トランジスタTxのオフ時にフォトダイオード31からフローティングディフュージョンFDに電荷が転送されないようにするためである。
【0037】
第2リセット信号供給部307cは、nMOSトランジスタTr21、nMOSトランジスタTr22、pMOSトランジスタTr23、nMOSトランジスタTr24、nMOSトランジスタTr25、およびpMOSトランジスタTr26を有する。第2リセット信号供給部307cは、第2リセット制御部306cの出力信号に基づき、VTxHとVTxLいずれかの電圧を第2リセット信号として第2リセットトランジスタRST2のゲートに供給する。第2リセット信号供給部307cの構成は、転送信号供給部307aと同様であるので説明を省略する。前述の通り、第2リセット制御部306cは個別画素制御部306の一部であり、第2リセット信号供給部307cは画素駆動部307の一部である。
【0038】
図5は、第1半導体基板7と第2半導体基板8のウェル構造を模式的に示す図である。入射光は、紙面上方向から第1半導体基板7に向けて入射する。第1半導体基板7は、P型の半導体基板である。第1半導体基板7の基板電圧は、接地電圧(GND)に設定される。第2半導体基板8は、P型の半導体基板である。第2半導体基板8の基板電圧は、VTxLに対応する電圧に設定される。
【0039】
第1半導体基板7には、
図4に示した各部のうち、アナログ回路部301と、転送制御部306aと、第1リセット制御部306bと、第1リセット信号供給部307bとが配置される。第2半導体基板8には、
図4に示した各部のうち、転送信号供給部307aが配置される。なお、
図5では図示を省略しているが、その他の各部は、第1半導体基板7に配置される。
【0040】
図6は、撮像素子3を用いた撮像シーケンスを示すタイミングチャートである。撮像素子3は、多重露光と相関多重サンプリングとを選択的に実行することができる。まず、
図6(a)を用いて、多重露光制御について説明する。
【0041】
図6(a)は、画素30ごとの多重露光を行う場合のタイミングチャートである。
図6(a)の横軸は時間であり、右方向に向かって時間が進んでいる。
図6(a)の「Dark」と書かれた四角形は、A/D変換部302が画素リセット信号のサンプリングを行うタイミングを示している。
図6(a)の「Sig」と書かれた四角形は、A/D変換部302が画素信号のサンプリングを行うタイミングを示している。
図6(a)の「Out」と書かれた四角形は、画素値保持部304が記憶するデジタル値(光電変換結果)を、信号線340を介して周辺回路に出力するタイミングを示している。
図6(a)では、入射光量の多さで、画素30を画素30a~画素30dの4つに分類して多重露光を行っている。
【0042】
露光期間T1の開始時刻t0に、フォトダイオード31およびフローティングディフュージョンFDをリセットする動作は、全ての画素30について同一である。その後、入射光量が極めて少ない画素30aでは、時刻t3に、フローティングディフュージョンFDをリセットし、画素リセット信号のサンプリングを行う。時刻t3は、露光期間T1の終了時刻t4から、フローティングディフュージョンFDのリセットと画素リセット信号のサンプリングとに必要な時間を差し引いた時刻である。露光期間T1の終了時刻t4に、時刻t0~t4にかけて生成された、フォトダイオード31に蓄積されている電荷をフローティングディフュージョンFDに転送し、画素信号のサンプリングを行う。その後、時刻t5に、画素値保持部304に光電変換結果を記憶する。
【0043】
入射光量がやや少ない画素30bでは、外部から指定された露光期間T1を期間T2と期間T3の2つの期間に等分して、上述の動作を2回行う。具体的には、時刻t1と時刻t3に、フローティングディフュージョンFDをリセットし、画素リセット信号のサンプリングを行う。時刻t1は、期間T2の終了時刻t2から、フローティングディフュージョンFDのリセットと画素リセット信号のサンプリングとに必要な時間を差し引いた時刻である。その後、時刻t2に、フォトダイオード31に蓄積されている電荷をフローティングディフュージョンFDに転送し、画素信号のサンプリングを行う。時刻3~t5の動作は、画素30aの場合と同様である。
【0044】
入射光量がやや多い画素30cでは、外部から指定された露光期間T1を4等分して、上述の動作を4回行う。入射光量が極めて多い画素30dでは、外部から指定された露光期間T1を8等分して、上述の動作を8回行う。
【0045】
以上のように、多重露光制御によれば、入射光量が多い画素30と入射光量が少ない画素30とで露光時間を個別に変化させて撮像を行うことができる。通常の撮像ではフローティングディフュージョンFDが飽和してしまうほど入射光量が多い場合であっても、露光時間を細かく区切って繰り返し撮像を行うことで、ダイナミックレンジを拡大させることができる。
【0046】
次に、
図6(b)を用いて、相関多重サンプリング制御について説明する。
図6(b)は、画素30ごとに相関多重サンプリング制御を行う場合のタイミングチャートである。
図6(b)の横軸は時間であり、右方向に向かって時間が進んでいる。
図6(b)の「Dark」と書かれた四角形は、A/D変換部302が画素リセット信号のサンプリングを行うタイミングを示している。
図6(b)の「Sig」と書かれた四角形は、A/D変換部302が画素信号のサンプリングを行うタイミングを示している。
図6(b)の「Out」と書かれた四角形は、A/D変換部302がサンプリング部303に向けてサンプリング結果を出力するタイミングを示している。
図6(b)では、入射光量の多さで、画素30を画素30a~画素30dの4つに分類して相関多重サンプリングを行っている。
【0047】
画素30aがもっとも露光時間が長く、画素30dがもっとも露光時間が短い。相関多重サンプリング制御では、露光時間が長い画素30ほど、早いタイミングでフローティングディフュージョンFDをリセットする。露光時間が長い画素30ほど、フローティングディフュージョンFDをリセットしてから画素信号をサンプリングするまでに間が空くことになる。その期間に、画素リセット信号を繰り返しサンプリングする。
【0048】
例えば
図6(b)では、画素30aがもっとも露光時間が長い。画素30aの露光時間T4の終了時刻t6から、期間T5だけ前の時刻t7に、フローティングディフュージョンFDをリセットする。その結果、時刻t6までに、画素リセット信号が4回サンプリングされる。露光時間T4が終了した後、次の露光時間T6が終了するまでの間、今度は画素信号を繰り返しサンプリングする。
【0049】
露光時間が長いということは、入射光量が少ないということであり、画素信号における増幅トランジスタAMI、選択トランジスタSEL、およびA/D変換部302のノイズの影響が大きいということである。つまり前述のノイズの影響が大きい画素30ほど、画素リセット信号と画素信号とをより多い回数サンプリングすることになり、より高感度で撮像を行うことができるようになる。
【0050】
撮像素子3は、画素30の各々について、以上の動作を並列に実行する。すなわち、各々の画素30は、フォトダイオード31による光電変換から、画素値保持部304へのデジタル値の記憶までの動作を、並列して行う。画素値保持部304からの撮像結果の読み出しは、画素30ごとに順次行われる。
【0051】
以上のように、本実施の形態の撮像素子3は、画素毎に露光時間を制御することができる。画素毎に露光時間を制御するためには、転送トランジスタTxのオンオフのタイミングを画素毎に制御できなければならない。すなわち、転送トランジスタTxのゲートに供給する電圧(本実施の形態では電圧VTxHと電圧VTxL)を画素毎に制御できなければならない。つまり、電圧VTxHを供給する第1電源部と、電圧VTxLを供給する第2電源部とを、画素毎に設けなければならない。第1半導体基板7が扱う電圧は、電圧VTxHや電圧VTxLと異なるため、第1電源部および第2電源部を画素30内に設けようとすると、第1電源部および第2電源部は多大な面積を占めることになる。特に第1電源部は、基板電圧よりも低い電圧VTxLを扱うため、基板に対して順バイアスとならないように、トリプルウェル構造が必要となる。従って、第1電源部は特に広い面積を必要とする。その結果、画素30に占めるフォトダイオード31の面積が大幅に小さくなってしまう。つまり、フォトダイオード31の開口率が大幅に低下してしまい、撮像素子の微細化が困難になる。本実施の形態では、第1電源部および第2電源部を第2半導体基板8に設けることにより、第1半導体基板7のフォトダイオード31近傍に第1電源部および第2電源部を設けることなく(フォトダイオード31の開口率を低下させることなく)、画素毎に露光時間を制御することができる。
【0052】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)第1半導体基板7には、入射光を光電変換するフォトダイオード31と、フォトダイオード31により生成された電荷を転送信号に基づきフローティングディフュージョンFDに転送する転送トランジスタTxと、が設けられる。しかし、転送トランジスタTXのゲート電極に転送信号を供給する転送信号供給部307aは、第1半導体基板7には配置されない。第2半導体基板8には、接地電圧より低い電圧VTxLおよび接地電圧より高い電圧VTxHのいずれかを転送信号として転送トランジスタTxのゲートに供給する転送信号供給部307aが設けられる。このようにしたので、転送トランジスタTxを確実にオフすることができ、暗電流の増大が抑止される。また、負電源を扱う回路が第1半導体基板7に存在しないので、第1半導体基板7に負電源を扱うための拡散層等を設ける必要がなく、フォトダイオード31の開口率を向上させることができる。第2リセットトランジスタRST2に対しても、同様の効果が得られる。
【0053】
(2)第1半導体基板7は、フォトダイオード31と、フローティングディフュージョンFDと、転送トランジスタTxと、をそれぞれ複数備える。第2半導体基板8は、転送信号供給部307aを複数備える。それら複数の転送信号供給部307aのうちの一部の転送信号供給部307aは、第1の期間にフォトダイオード31が生成した電荷をフローティングディフュージョンFDに転送させる。他の一部の転送信号供給部307aは、第1の期間とは異なる長さの第2の期間にフォトダイオード31が生成した電荷をフローティングディフュージョンFDに転送させる。このようにしたので、露光時間を画素30ごとに異ならせることができ、撮像素子3のダイナミックレンジが拡大される。
【0054】
(3)第1の期間の終了時刻が、第2の期間の終了時刻と同一になるように撮像シーケンスを設定した。このようにしたので、容易に撮像制御を行うことができる。
【0055】
(4)第1半導体基板7の基板電圧を接地電圧に設定した一方で、第2半導体基板8の基板電圧をそれとは異なる電圧VTxLに対応する電圧に設定した。このようにしたので、拡散層を増加させることなく、転送トランジスタTxのゲートに供給する転送信号の信号電圧の変動範囲を、他の駆動信号とは異なる電圧に設定することができる。第2リセットトランジスタRST2に対しても、同様の効果が得られる。
【0056】
(5)転送信号の電圧である電圧VTxLと電圧VTxHのうちの前者は、第2半導体基板8の基板電圧に基づく電圧である。このようにしたので、拡散層を増加させることなく、転送トランジスタTxのゲートに供給する転送信号の信号電圧の変動範囲を、他の駆動信号とは異なる電圧に設定することができる。第2リセットトランジスタRST2に対しても、同様の効果が得られる。
【0057】
(6)第1リセットトランジスタRST1は、第1半導体基板7に設けられ、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷を第1リセット信号に基づきリセットする。第1リセット信号供給部307bは、第2半導体基板8とは異なる第1半導体基板7に設けられ、接地電圧および接地電圧より高い電圧VDDのいずれかを第1リセット信号として第1リセットトランジスタRST1に供給する。このようにしたので、転送信号の信号電圧の変動範囲に負電圧を含める一方で、第1リセット信号の信号電圧の変動範囲は負電圧を含まない通常の範囲とすることができる。
【0058】
(7)第1リセット信号の電圧である接地電圧と電圧VDDのうちの前者は、第1半導体基板7の基板電圧に基づく電圧である。このようにしたので、第1リセット信号供給部307bを設けるために更なる拡散層を用意する必要がない。
【0059】
(8)A/D変換部302およびサンプリング部303は、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷の量に基づくアナログ信号を、相関多重サンプリング処理によってアナログ/デジタル変換する。このようにしたので、撮像信号のS/N比が向上する。
【0060】
(9)フォトダイオード31に蓄積された電荷をリセットする第2リセットトランジスタRST2を設けた。このようにしたので、画素30ごとに露光時間を異ならせることができる。
【0061】
(10)撮像素子3は、フォトダイオード31と、フローティングディフュージョンFDと、転送トランジスタTxと、転送信号供給部307aと、を有する画素30を複数備える。それら複数の画素30のうちの一部の画素30が有する転送信号供給部307aは、第1の期間にフォトダイオード31が生成した電荷をフローティングディフュージョンFDに転送させる転送信号を供給する。他の一部の画素30が有する転送信号供給部307aは、第1の期間とは異なる長さの第2の期間にフォトダイオード31が生成した電荷をフローティングディフュージョンFDに転送させる転送信号を供給する。このようにしたので、露光時間を画素30ごとに異ならせることができ、撮像素子3のダイナミックレンジが拡大される。
【0062】
なお、上述した第1の実施の形態では、
図5に図示したように、第2半導体基板8は、転送信号のハイレベルに対応する電圧VTxHを供給するpMOSトランジスタTr6(第1電源部)と、転送信号のローレベルに対応する電圧VTxLを供給するnMOSトランジスタTr4およびnMOSトランジスタTr5(第2電源部)の両方を有していた。しかし、これら両方のうちの一方のみを第2半導体基板8に設け、残りを第1半導体基板7に設けてもよい。この場合、面積の大きいnMOSトランジスタTr4およびnMOSトランジスタTr5(第2電源部)を第2半導体基板8に設け、面積の小さいpMOSトランジスタTr6(第1電源部)を第1半導体基板7に設けることが好ましい。
【0063】
図10は、pMOSトランジスタTr6(第1電源部)を第1半導体基板7に設けた例を示す図である。
図10には、pMOSトランジスタTr6(第1電源部)だけではなく、pMOSトランジスタTr3も第1半導体基板7に設けた例を図示している。なお
図10に例示した構成において、回路の構成および動作は、上述した第1の実施の形態と同一である。
【0064】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態に係る撮像素子3は、第1半導体基板7と第2半導体基板8とを有していた。第2の実施の形態に係る撮像素子3は、更に、第3半導体基板9を有している。以下、第2の実施の形態に係る撮像素子3について、第1の実施の形態に係る撮像素子3との差異を中心に説明する。なお、第1の実施の形態と同一の箇所については第1の実施の形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0065】
図7は、第1半導体基板7、第2半導体基板8、および第3半導体基板9のウェル構造を模式的に示す図である。本実施の形態において、第1半導体基板7には、第1リセット制御部306bおよび第1リセット信号供給部307bが設けられていない。その代わりに、第3半導体基板9に、第1リセット制御部306bおよび第1リセット信号供給部307bが設けられている。第3半導体基板9は、基板電圧が接地電圧に設定されたP型の半導体基板である。
【0066】
上述した実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明した作用効果に加えて、更に次の作用効果が得られる。
(11)撮像素子3は、第1半導体基板7と同一の基板電圧(接地電圧)が設定された第3半導体基板9を更に備える。第1リセット信号供給部307bは、第3半導体基板9に設けられる。このようにしたので、第1半導体基板7を占める回路が第1の実施の形態に比べて少なくなり、フォトダイオード31の開口をより大きくすることができる。すなわち、フォトダイオード31の光利用効率がより向上する。
【0067】
なお、上述した第2の実施の形態では、
図7に図示したように、第2半導体基板8は、転送信号のハイレベルに対応する電圧VTxHを供給するnMOSトランジスタTr6(第1電源部)と、転送信号のローレベルに対応する電圧VTxLを供給するpMOSトランジスタTr4およびpMOSトランジスタTr5(第2電源部)の両方を有していた。しかし、これら両方のうちの一方のみを第2半導体基板8に設け、残りを第1半導体基板7に設けてもよい。この場合、面積の大きいpMOSトランジスタTr4およびpMOSトランジスタTr5(第2電源部)を第2半導体基板8に設け、面積の小さいnMOSトランジスタTr6(第1電源部)を第1半導体基板7に設けることが好ましい。
【0068】
なお、上述した第2の実施の形態では、
図7に図示したように、転送信号供給部307aが有するpMOSトランジスタTr1、pMOSトランジスタTr2、nMOSトランジスタTr3、pMOSトランジスタTr4、pMOSトランジスタTr5、およびnMOSトランジスタTr6を、すべて第2半導体基板8に設けていた。これらのうちの一部のトランジスタを、第1半導体基板7や第3半導体基板9に設けてもよい。
【0069】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態に係る撮像素子3は、第2半導体基板8を、P型の半導体基板として構成していた。第3の実施の形態に係る撮像素子3は、第2半導体基板8を、N型の半導体基板として構成する。以下、第3の実施の形態に係る撮像素子3について、第1の実施の形態に係る撮像素子3との差異を中心に説明する。なお、第1の実施の形態と同一の箇所については第1の実施の形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0070】
図8は、第1半導体基板7と第2半導体基板8のウェル構造を模式的に示す図である。第2半導体基板8は、N型の半導体基板であり、基板電圧は電圧VDDに対応する電圧に設定される。本実施の形態において、第1半導体基板7には、転送制御部306a、第1リセット制御部306b、転送信号供給部307a、および第1リセット信号供給部307bが設けられていない。その代わりに、第2半導体基板8に、転送制御部306a、第1リセット制御部306b、転送信号供給部307a、および第1リセット信号供給部307bが設けられている。なお、
図8では図示を省略しているが、個別画素制御部306および画素駆動部307の残りの部分についても、第2半導体基板8に配置することが望ましい。
【0071】
転送制御部306a、第1リセット制御部306b、転送信号供給部307a、および第1リセット信号供給部307bは、第1の実施の形態と同一の構成を有しているが、拡散層の極性が第1の実施の形態とは異なっている。これは、第2半導体基板8がN型の半導体基板であることに因る。従って、各部を構成するトランジスタは、第1の実施の形態でnMOSトランジスタであったものについてはpMOSトランジスタに、第1の実施の形態でpMOSトランジスタであったものについてはnMOSトランジスタに、それぞれ置き換わっている。
【0072】
本実施の形態の転送信号供給部307aは、転送制御部306aの出力信号に基づき、VDDとVTxLいずれかの電圧を転送信号として転送トランジスタTxのゲートに供給する。第2半導体基板8の基板電圧が、電圧VDDに対応する電圧となっているので、電圧VTxHの代わりに電圧VDDを用いることで、回路規模の増大(更なる拡散層の追加等)を避けることができる。
【0073】
上述した実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明した作用効果に加えて、更に次の作用効果が得られる。
(12)第2半導体基板8をN型の半導体基板として構成し、個別画素制御部306および画素駆動部307を第2半導体基板8に設けた。このようにしたので、第1半導体基板7を占める回路が第1の実施の形態や第2の実施の形態に比べて少なくなり、フォトダイオード31の開口をより大きくすることができる。すなわち、フォトダイオード31の光利用効率がより向上する。また、第2の実施の形態のように、半導体基板を更に追加する必要がなく、材料費を低減することができ、かつ、撮像素子3の厚さの増大を抑止することができる。
【0074】
なお、上述した第3の実施の形態では、
図8に図示したように、第2半導体基板8は、転送信号のハイレベルに対応する電圧VTxHを供給するnMOSトランジスタTr6(第1電源部)と、転送信号のローレベルに対応する電圧VTxLを供給するpMOSトランジスタTr4およびpMOSトランジスタTr5(第2電源部)の両方を有していた。しかし、これら両方のうちの一方のみを第2半導体基板8に設け、残りを第1半導体基板7に設けてもよい。この場合、面積の大きいpMOSトランジスタTr4およびpMOSトランジスタTr5(第2電源部)を第2半導体基板8に設け、面積の小さいnMOSトランジスタTr6(第1電源部)を第1半導体基板7に設けることが好ましい。
【0075】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係る撮像素子3は、第3の実施の形態に係る撮像素子3と同様に、個別画素制御部306および画素駆動部307を第2半導体基板8に設ける。ただし、第3の実施の形態とは、第2半導体基板8をP型の半導体基板として構成する点で異なっている。以下、第3の実施の形態に係る撮像素子3について、第1の実施の形態に係る撮像素子3との差異を中心に説明する。なお、第1の実施の形態と同一の箇所については第1の実施の形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0076】
図9は、第1半導体基板7と第2半導体基板8のウェル構造を模式的に示す図である。第2半導体基板8は、第1半導体基板7と同様にP型の半導体基板であり、基板電圧も第1半導体基板7と同様に接地電圧に設定される。
【0077】
電圧VTxHと電圧VTxLとを扱う転送信号供給部307aを、第2半導体基板8に設けるために、本実施の形態では、N型の拡散層81、82を第2半導体基板8に設けている。拡散層81、82には、第3の実施の形態と同様に、第1の実施の形態でnMOSトランジスタであったものについてはpMOSトランジスタに、第1の実施の形態でpMOSトランジスタであったものについてはnMOSトランジスタにそれぞれ置き換えた転送信号供給部307aが配置される。N型の拡散層81、82によってP型基板と電気的に分離したことにより、転送信号供給部307aは、電圧VTxHと電圧VTxLとを扱うことができる。
【0078】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(13)フォトダイオード31は、入射光を光電変換する。転送トランジスタTxは、フォトダイオード31により光電変換された電荷を転送信号に基づきフローティングディフュージョンFDに転送する。転送信号供給部307aは、転送トランジスタTxのゲートに転送信号を供給する。第1リセットトランジスタRST1は、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷を第1リセット信号に基づきリセットする。第1リセット信号供給部307bは、第1リセットトランジスタRST1にリセット信号を供給する。フォトダイオード31と転送トランジスタTxは、第1半導体基板7に設けられる。第2半導体基板8には、N型の拡散層に配置された第1リセット信号供給部307bと、P型の拡散層に配置された転送信号供給部307aとが設けられる。このようにしたので、第1半導体基板7を占める回路が第1の実施の形態や第2の実施の形態に比べて少なくなり、第3の実施の形態と同様に、フォトダイオード31の開口をより大きくすることができる。すなわち、フォトダイオード31の光利用効率がより向上する。また、第2の実施の形態のように、半導体基板を更に追加する必要がなく、材料費を低減することができ、かつ、撮像素子3の厚さの増大を抑止することができる。
【0079】
なお、上述した第1の実施の形態では、
図9に図示したように、第2半導体基板8は、転送信号のハイレベルに対応する電圧VTxHを供給するnMOSトランジスタTr6(第1電源部)と、転送信号のローレベルに対応する電圧VTxLを供給するpMOSトランジスタTr4およびpMOSトランジスタTr5(第2電源部)の両方を有していた。しかし、これら両方のうちの一方のみを第2半導体基板8に設け、残りを第1半導体基板7に設けてもよい。この場合、面積の大きいpMOSトランジスタTr4およびpMOSトランジスタTr5(第2電源部)を第2半導体基板8に設け、面積の小さいnMOSトランジスタTr6(第1電源部)を第1半導体基板7に設けることが好ましい。
【0080】
図11は、pMOSトランジスタTr4およびpMOSトランジスタTr5(第2電源部)を第1半導体基板7に設けた例を示す図である。
図11には、pMOSトランジスタTr4およびpMOSトランジスタTr5(第2電源部)だけではなく、pMOSトランジスタTr1およびpMOSトランジスタTr2も第1半導体基板7に設けた例を図示している。なお
図11に例示した構成において、回路の構成および動作は、上述した第4の実施の形態と同一である。
【0081】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
第2半導体基板8や第3半導体基板9に、上述した各実施の形態で説明した回路とは異なる回路を設けてもよい。例えば、上述した各実施の形態では第1半導体基板7に搭載していた回路を第2半導体基板8や第3半導体基板9に設けることで、フォトダイオード31のための空間をより大きく取ることができ、より効率的に光を取り込むことができるようになる。
【0082】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
上述した実施の形態および変形例は、以下のような撮像装置および電子カメラも含む。
(1)入射光を光電変換する光電変換部と、上記光電変換部により光電変換された電荷が転送されて蓄積される蓄積部と、上記光電変換部により生成された電荷を上記蓄積部に転送する転送部とを有する複数の画素が設けられた第1半導体基板と、上記電荷を上記光電変換部から上記蓄積部に転送するための転送信号を上記転送部に供給する供給部が上記画素ごとに設けられた第2半導体基板と、を備える撮像素子。
(2)(1)のような撮像素子において、上記第1半導体基板に印加される第1の基板電圧と、上記第2半導体基板に印加される第2の基板電圧と、が異なる。
(3)(2)のような撮像素子において、上記供給部は、第1電源部および第2電源部を含み、上記第1電源部および上記第2電源部の少なくとも一方が上記第2半導体基板に設けられる。
(4)(3)のような撮像素子において、上記第1電源部は、上記第1の基板電圧よりも高い第1の電圧を供給し、上記第2電源部は、上記第1の基板電圧よりも低い第2の電圧を供給する。
(5)(4)のような撮像素子において、上記転送部は、上記光電変換部と上記蓄積部との間を電気的に導通させて上記光電変換部により生成された電荷を上記蓄積部に転送し、上記供給部は、上記光電変換部と上記蓄積部との間を電気的に導通または非導通にするための上記転送信号を上記転送部に供給する。
(6)(5)のような撮像素子において、上記転送部は、上記第1の電圧が上記転送信号として供給されると、上記光電変換部と上記蓄積部との間を電気的に導通させ、上記第2の電圧が上記転送信号として供給されると、上記光電変換部と上記蓄積部との間を電気的に非導通にする。
(7)(4)~(6)のような撮像素子において、複数の上記供給部のうちの一部の上記供給部は、第1の期間に上記光電変換部が生成した電荷を上記蓄積部に転送させ、他の一部の上記供給部は、上記第1の期間とは異なる長さの第2の期間に上記光電変換部が生成した電荷を上記蓄積部に転送させる。
(8)(7)のような撮像素子において、上記第1の期間の終了時刻は、上記第2の期間の終了時刻と同一である。
(9)(4)~(8)のような撮像素子において、上記第1の電圧と上記第2の電圧との一方は、上記第2の基板電圧である。
(10)(4)または(5)のような撮像素子において、上記第1半導体基板に設けられ、上記蓄積部に蓄積された電荷をリセット信号に基づきリセットする第1リセット部と、上記第2半導体基板とは異なる半導体基板に設けられ、上記第1の基板以上の第3の電圧および上記第3の電圧より高い第4の電圧のいずれかを上記リセット信号として上記第1リセット部に供給するリセット信号供給部とを更に備える。
(11)(10)のような撮像素子において、上記第3の電圧と上記第4の電圧との一方は、上記第1の基板電圧である。
(12)(10)のような撮像素子において、上記第1の基板電圧が印加された第3半導体基板を更に備え、上記リセット信号供給部は、上記第3半導体基板に設けられる。
(13)(1)~(6)のような撮像素子において、上記複数の画素のうちの一部の画素が有する上記供給部は、第1の期間に上記光電変換部が生成した電荷を上記蓄積部に転送させる上記転送信号を供給し、上記複数の画素のうちの他の一部の画素が有する上記供給部は、上記第1の期間とは異なる長さの第2の期間に上記光電変換部が生成した電荷を上記蓄積部に転送させる上記転送信号を供給する。
(14)入射光を光電変換する光電変換部と、上記光電変換部により光電変換された電荷を転送信号に基づき蓄積部に転送する転送部と、上記転送部に上記転送信号を供給する転送信号供給部と、上記蓄積部に蓄積された電荷をリセット信号に基づきリセットする第1リセット部と、上記第1リセット部に上記リセット信号を供給するリセット信号供給部と、上記光電変換部と上記転送部と上記第1リセット部とが設けられた第1半導体基板と、第1拡散層に配置された上記リセット信号供給部と、上記第1拡散層とは異なる極性を有する第2拡散層に配置された上記転送信号供給部と、が設けられている第2半導体基板と、を備える撮像素子。
(15)(1)~(14)のような撮像素子において、上記蓄積部に蓄積された電荷の量に基づくアナログ信号を、相関多重サンプリング処理によってアナログ/デジタル変換するA/D変換部を更に備える。
(16)(1)~(15)のような撮像素子において、上記光電変換部に蓄積された電荷をリセットする第2リセット部を更に備える。
(17)(1)~(16)のような撮像素子において、上記光電変換部は埋め込みフォトダイオードである。
(18)(1)~(16)のような撮像素子を有する電子カメラ。
【0083】
また、上述した実施の形態および変形例は、以下のような撮像素子も含む。
(1)入射光を光電変換する光電変換部と、上記光電変換部により生成された電荷を転送信号に基づき蓄積部に転送する転送部と、が設けられた第1半導体基板と、接地電圧より低い第1の電圧および接地電圧より高い第2の電圧のいずれかを上記転送信号として上記転送部に供給する転送信号供給部が設けられた第2半導体基板と、を備える撮像素子。
(2)(1)のような撮像素子において、上記第1半導体基板は、上記光電変換部と、上記蓄積部と、上記転送部と、をそれぞれ複数備え、上記第2半導体基板は、上記転送信号供給部を複数備え、複数の上記転送信号供給部のうちの一部の上記転送信号供給部は、第1の期間に上記光電変換部が生成した電荷を上記蓄積部に転送させ、他の一部の上記転送信号供給部は、上記第1の期間とは異なる長さの第2の期間に上記光電変換部が生成した電荷を上記蓄積部に転送させる。
(3)(2)のような撮像素子において、上記第1の期間の終了時刻は、上記第2の期間の終了時刻と同一である。
(4)(1)~(3)のような撮像素子において、上記第1半導体基板に設定される第1の基板電位は、上記第2半導体基板に設定される第2の基板電位とは異なる。
(5)(4)のような撮像素子において、上記第1の電圧と上記第2の電圧との一方は、上記第2の基板電位に基づく電圧である。
(6)(4)または(5)のような撮像素子において、上記第1半導体基板に設けられ、上記蓄積部に蓄積された電荷をリセット信号に基づきリセットする第1リセット部と、上記第2半導体基板とは異なる半導体基板に設けられ、接地電圧以上の第3の電圧および上記第3の電圧より高い第4の電圧のいずれかを上記リセット信号として上記第1リセット部に供給するリセット信号供給部とを更に備える。
(7)(6)のような撮像素子において、上記第3の電圧と上記第4の電圧との一方は、上記第1の基板電位に基づく電圧である。
(8)(6)のような撮像素子において、上記第1の基板電位が設定された第3半導体基板を更に備え、上記リセット信号供給部は、上記第3半導体基板に設けられる。
(9)(1)のような撮像素子において、上記光電変換部と、上記蓄積部と、上記転送部と、上記転送信号供給部と、を有する画素を複数備え、上記複数の画素のうちの一部の画素が有する上記転送信号供給部は、第1の期間に上記光電変換部が生成した電荷を上記蓄積部に転送させる上記転送信号を供給し、上記複数の画素のうちの他の一部の画素が有する上記転送信号供給部は、上記第1の期間とは異なる長さの第2の期間に上記光電変換部が生成した電荷を上記蓄積部に転送させる上記転送信号を供給する。
(10)入射光を光電変換する光電変換部と、上記光電変換部により光電変換された電荷を転送信号に基づき蓄積部に転送する転送部と、上記転送部に上記転送信号を供給する転送信号供給部と、上記蓄積部に蓄積された電荷をリセット信号に基づきリセットする第1リセット部と、上記第1リセット部に上記リセット信号を供給するリセット信号供給部と、上記光電変換部と上記転送部と上記第1リセット部とが設けられた第1半導体基板と、第1拡散層に配置された上記リセット信号供給部と、上記第1拡散層とは異なる極性を有する第2拡散層に配置された上記転送信号供給部と、が設けられている第2半導体基板と、を備える撮像素子。
(11)(1)~(10)のような撮像素子において、上記蓄積部に蓄積された電荷の量に基づくアナログ信号を、相関多重サンプリング処理によってアナログ/デジタル変換するA/D変換部を更に備える。
(12)(1)~(11)のような撮像素子において、上記光電変換部に蓄積された電荷をリセットする第2リセット部を更に備える。
(13)(1)~(12)のような撮像素子において、上記光電変換部は埋め込みフォトダイオードである。
【0084】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2015年第195280号(2015年9月30日出願)
【符号の説明】
【0085】
3…撮像素子、7…第1半導体基板、8…第2半導体基板、30…画素、31…フォトダイオード、301…アナログ回路部、302…A/D変換部、303…サンプリング部、306…個別画素制御部、307…画素駆動部