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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099341
(43)【公開日】2023-07-12
(54)【発明の名称】静電ミラー色収差補正器
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/182 20210101AFI20230705BHJP
   H01J 37/153 20060101ALI20230705BHJP
   H01J 37/05 20060101ALI20230705BHJP
   H01J 37/26 20060101ALI20230705BHJP
   G02B 17/08 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
G02B7/182
H01J37/153 A
H01J37/153 B
H01J37/05
H01J37/26
G02B17/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022211187
(22)【出願日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】63/295,474
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンデル ヘンストラ
(72)【発明者】
【氏名】アリ モハンマディ-ゲイダーリ
【テーマコード(参考)】
2H043
2H087
5C101
【Fターム(参考)】
2H043AA06
2H043AA08
2H043AA17
2H043AA20
2H043AA24
2H087KA12
2H087LA01
2H087NA00
2H087NA14
2H087TA01
2H087TA04
5C101AA02
5C101EE08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】偏向システム又はビーム分割器を使用しないで、荷電粒子システムで実用的なミラー補正器システムを開発する。
【解決手段】本開示による、静電ミラー色収差(Cc)補正器は、それ自体が多極子を備える静電電子ミラーを備える。静電電子ミラーは、補正器の使用時に、補正器を通過する電子ビームがミラーの光軸に沿って静電電子ミラーに入射しないように補正器内に配置されている。静電ミラーのミラー物体距離は、静電ミラーのミラー像距離に等しく、静電ミラーは、静電ミラーが電子ビームに分散又はコマ収差を付与しないように構成されている。多極子は、静電電子ミラーのミラー面に配置されており、いくつかの実施形態では、多極子は、四極子である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電ミラー色収差補正器であって、前記補正器は、
多極子を備える静電電子ミラーを備え、
前記静電電子ミラーは、前記補正器の使用時に、前記補正器を通過する電子ビームが前記静電電子ミラーの光軸に沿って前記静電電子ミラーに入射しないように、前記補正器内に配置されている、静電ミラー色収差補正器。
【請求項2】
前記静電電子ミラーのミラー物体距離は、前記静電電子ミラーのミラー像距離に等しく、その結果、前記静電電子ミラーが前記電子ビームに分散又はコマ収差を付与しない、請求項1に記載の静電ミラー色収差補正器。
【請求項3】
前記静電電子ミラーのミラー軸電位は、前記静電電子ミラーが前記電子ビームに色非点収差を誘発しないように特に成形されている、請求項1に記載の静電ミラー色収差補正器。
【請求項4】
前記多極子は、前記静電電子ミラーのミラー面に、又は前記ミラー面近くに配置されている、請求項1に記載の静電ミラー色収差補正器。
【請求項5】
前記静電ミラー色収差補正器は、荷電粒子システムで使用される場合、加速器の上流に配置されており、その結果、前記電子ビームが前記加速器によって加速される前に前記電子ビームの色収差が補正される、請求項1に記載の静電ミラー色収差補正器。
【請求項6】
前記静電ミラー色収差補正器は、ビーム分割器を備えない、請求項1に記載の静電ミラー色収差補正器。
【請求項7】
前記静電電子ミラーは、MEMSデバイスを備える、請求項1に記載の静電ミラー色収差補正器。
【請求項8】
前記静電電子ミラーは、パンケーキ多極子ミラーである、請求項1に記載の静電ミラー色収差補正器。
【請求項9】
前記多極子は、四極子であり、前記四極子は、前記静電電子ミラーの物体側と像側との間の対称性を乱すことなく、前記電子ビームに非点収差を付与する、請求項1に記載の静電ミラー色収差補正器。
【請求項10】
前記静電電子ミラーの直径は、3ミリメートル以下である、請求項1に記載の静電ミラー色収差補正器。
【請求項11】
前記静電電子ミラーは、第1の静電電子ミラーであり、前記多極子は、第1の多極子であり、前記補正器は、第2の多極子を備える第2の静電電子ミラーを更に備える、請求項1に記載の静電ミラー色収差補正器。
【請求項12】
前記第2の静電電子ミラーは、前記補正器の使用時に、前記補正器を通過する前記電子ビームが前記第2の静電電子ミラーの光軸に沿って前記第2の静電電子ミラーに入射しないように、前記補正器内に配置されている、請求項11に記載の静電ミラー色収差補正器。
【請求項13】
前記第1の静電電子ミラー及び前記第2の静電電子ミラーは、対称性を利用して2倍収差を補正する、請求項11に記載の静電ミラー色収差補正器。
【請求項14】
前記第1の静電電子ミラーは、前記電子ビームに第1の2倍収差を第1の方向に付与し、前記第2の静電電子ミラーは、前記電子ビームに第1の2倍収差を直交方向に付与して、その結果、前記第1の収差及び前記第2の収差が合成されて互いを補正する、請求項13に記載の静電ミラー色収差補正器。
【請求項15】
前記補正器は、偏向器の第1のセット及び偏向器の第2のセットを更に備え、
前記偏向器の第1のセットは、前記電子ビームを、前記電子ビームが前記第1の静電電子ミラーに衝突したであろう第1のビーム経路から離れて、前記電子ビームが前記偏向器の第2のセットに進行する第2のビーム経路に至るように選択的に偏向するように構成されており、
前記偏向器の第2のセットは、前記電子ビームを、前記第2のビーム経路から離れて第3のビーム経路に至るように選択的に偏向するように構成されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の静電ミラー色収差補正器。
【請求項16】
前記補正器が色収差補正モードで動作している場合、前記電子ビームは、前記第1の静電電子ミラー及び前記第2の静電電子ミラーによって反射され、前記補正器がバイパスモードで動作している場合、前記電子ビームは、前記電子ビームが前記第1の静電電子ミラー及び前記第2の静電電子ミラーによって反射されないように、前記偏向器の第1のセット及び前記偏向器の第2のセットによって偏向される、請求項15に記載の静電ミラー色収差補正器。
【請求項17】
前記電子ビームは、前記色収差補正モード又は前記バイパスモードで動作しているかどうかにかかわらず、同じビーム経路に沿って前記補正器を出る、請求項16に記載の静電ミラー色収差補正器。
【請求項18】
荷電粒子システムであって、
試料を保持するように構成される試料ホルダと、
試料に向けて荷電粒子ビームを放射するように構成されるソースと、
静電ミラー色収差補正器であって、
多極子を備える静電電子ミラーであって、前記多極子が、前記静電電子ミラーのミラー面に配置されており、
前記静電電子ミラーが、前記補正器の使用時に、前記補正器を通過する電子ビームが前記静電電子ミラーの光軸に沿って前記静電電子ミラーに入射しないように前記補正器内に配置されている、静電電子ミラーを備える、静電ミラー色収差補正器と、
前記荷電粒子ビームを前記試料に入射するように方向付けるように構成される、集束カラムと、
前記試料に入射する前記荷電粒子ビームから生じる放射を検出するように構成される1つ以上の検出器と、を備える、荷電粒子システム。
【請求項19】
前記静電電子ミラーのミラー物体距離は、前記静電電子ミラーのミラー像距離に等しく、その結果、前記静電電子ミラーが前記電子ビームに分散又はコマ収差を付与しない、請求項18に記載の荷電粒子システム。
【請求項20】
前記静電電子ミラーは、第1の静電電子ミラーであり、前記多極子は、第1の多極子であり、前記補正器は、第2の多極子を備える第2の静電電子ミラーを更に備え、前記第1の静電電子ミラー及び前記第2の静電電子ミラーは、対称性を利用して2倍収差を補正する、請求項18又は19に記載の荷電粒子システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
科学者及び産業界は、ますます小さなスケールで我々の世界を探索し続けている。このような探査を可能にするには、荷電粒子ビームシステムが一段と鮮明な解像度を達成できるように、荷電粒子技術が継続的に改善されることが重要である。荷電粒子システムの解像度を向上させる1つの方法は、荷電粒子ビームのレンズ収差を補償する補正器を通すことである。現在の種類の補正器は、90度磁気セクタビーム分割器を有する単一ミラー、又はビーム偏向器と組み合わせた二重ミラーを使用している。このようなシステムでは、ビーム分割器又は追加の偏向器を使用して、ミラーによって生じる軸外収差を低減するように、荷電粒子ビームがミラーに垂直に入射することを保証する。しかしながら、これらの現在のシステムは複雑なため、設計、構築、及び調整が困難になる。
【0002】
現在使用されている別の種類の補正器は、電子ミラーを使用してビーム収差を低減する。この種類のシステムは、収差を補正することができる静電システムに相当し、したがって複雑さを軽減し、補正器の信頼性を向上させるため、有用である。そのような補正器の例は、米国特許第10,679,819号に記載されている。
【0003】
残念なことに、傾斜二重ミラーを備える収差補正器は、現在、光学システムでの使用には実用的ではない。具体的には、二重傾斜ミラーを備える電子ミラー補正器は、荷電粒子ビームが個々のミラーに複数回衝突する範囲で荷電粒子ビームをシステムから通出させないために、個々のミラーを少なくとも数度の角度で傾斜させる必要がある。この大きな傾斜角が必要なため、現在の二重傾斜ミラー補正器の電子ミラーは、荷電粒子ビームに大きな軸外収差を発生させる。この問題に対する現在の解決策は、ミラーを荷電粒子ビームに対して垂直にし、偏向システム又はビーム分割器を使用してビームの反射部分を入射ビームから分離することである。荷電粒子ビームを光軸に沿って電子ミラーに衝突させることにより、軸外収差がなくなるが、このような現在のシステムはより複雑で、より高価である。更に、磁気ビーム分割器を使用する現在の補正システムは、構成要素である軟磁性鉄の磁気ヒステリシスに悩まされる可能性があり、そのような技術の実施態様は実現不可能である。したがって、偏向システム又はビーム分割器を使用しないで、荷電粒子システムで実用的なミラー補正器システムを開発することが望まれる。
【発明の概要】
【0004】
本開示による静電ミラー色収差(Cc)補正器は、それ自体が多極子を備える静電電子ミラーを備える。静電電子ミラーは、補正器の使用時に、補正器を通過する電子ビームが、ミラーの光軸に沿って静電電子ミラーに入射しないように補正器内に配置されている。静電ミラーのミラー物体距離は、静電ミラーのミラー像距離に等しく、静電ミラーは、静電ミラーが電子ビームに分散又はコマ収差を付与しないように構成される。多極子が静電電子ミラーのミラー面に配置され、いくつかの実施形態では、多極子は、四極子である。
【0005】
本開示によれば、静電ミラーCc補正器を含む荷電粒子システムは、試料を保持するように構成された試料ホルダと、試料に向かって荷電粒子ビームを放射するように構成されたソースと、静電ミラーCc補正器と、荷電粒子ビームが試料に入射するように方向付けるように構成される集束カラムと、試料に入射する荷電粒子ビームから生じる放射を検出するように構成される1つ以上の検出器と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
詳細な説明は、添付の図面を参照しながら説明される。図面では、参照番号の最も左の数字は、参照番号が最初に現れる図を識別する。異なる図面の同じ参照番号は、類似の又は同一の項目を示している。
【0007】
図1】単一の静電ミラーを備える例示的な静電ミラーCc補正器を示す。
図2A】それぞれ補正モード及びバイパスモードで動作する2つの静電ミラーを備える例示的な静電ミラーCc補正器を示す。
図2B】それぞれ補正モード及びバイパスモードで動作する2つの静電ミラーを備える例示的な静電ミラーCc補正器を示す。
図3】2枚の静電ミラーで球面収差及び色収差を補正するために構成される例示的な静電ミラー配置を示す。
図4】ミラー面に多極子を有する静電ミラーによって生成される例示的な2倍収差を示し、本開示による静電ミラーCc補正器の機能を示す。
図5】補正動作モードとバイパス動作モードとの間で選択的に切り替えることができる4つの静電ミラーを備える例示的な静電ミラーCc補正器を示す。
図6】本発明による、例示的な静電ミラーCc補正器を用いて試料を調査するための例示的な環境を示す。
図7】本発明による、静電ミラーの断面概略図を示す。
図8】本発明による、例示的な静電ミラーのミラー面に多極子場を作り出すための例示的なパンケーキ多極子ミラーを示す。
【0008】
同じ参照番号は、図面のいくつかの図全体にわたって、対応する部分を指す。概して、図では、所与の例において含まれる可能性が高い要素は、実線で図示されているのに対し、所与の例において任意選択的である要素は、破線で図示されている。しかしながら、実線で図示されている要素は、本開示の全ての例に必須であるわけではなく、実線で示される要素は、本開示の範囲から逸脱することなく、特定の例から省略され得る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
静電ミラー色収差(Cc)補正器及びそれらを備える荷電粒子システムが本明細書に開示される。より具体的には、本開示によるシステムは、荷電粒子ビームが中心ミラー軸に沿ってミラーに衝突しないように配置された静電ミラーを使用することによって色収差を補正する。静電ミラーのそれぞれについて、ミラー物体距離はミラー像距離に等しい。更に、静電ミラーはそれぞれ、軸外収差を補正するために、ミラー面に構成要素の多極子を備える。本開示によれば、多極子は、多極素子によって作り出される多極子場に対応する。例えば、個々の静電ミラーは、静電ミラーのミラー面の近くに四極子場を生成する四極子レンズを備えてもよい。例えば、多極子場は、ミラー面の2、5、10、及び30ナノメートル以内の点に中心を置いてもよい。このように、ミラーの物体距離がミラーの像距離に等しい場合、適切な多極素子がミラー面(すなわち、システムの幾何学的形状、ビームの特性などに対して最適化された多極子場)の近くに配置されている場合、荷電粒子ビームに対する正味の分散、非点収差、及び/又はコマ収差が最小化又は無効化される。
【0010】
2つ以上の静電ミラーがあるシステムでは、ミラーの対称性が、その中心ミラー軸に沿って各ミラーに衝突しない荷電粒子ビームによって作り出される特定の収差(角分散及び色非点収差など)を打ち消すように静電ミラーが配置されていてもよい。いくつかの実施形態では、静電ミラーCc補正器は、荷電粒子ビームが補正器の構成要素の静電ミラーに衝突する補正モードと、荷電粒子ビームが静電ミラーのうちの1つ以上に衝突することなく補正器を通過するバイパスモードとで補正器が動作することを可能にする少なくとも2つの偏向器システムを更に備えてもよい。
【0011】
図1は、単一の静電ミラーを備える例示的な静電ミラーCc補正器100の図である。荷電粒子放射源102(例えば、熱電子源、ショットキー放射源、電界放射源など)は、荷電粒子ビーム104(例えば、イオンビーム、電子、ビームなど)を静電ミラー106に向かって放射するものとして示される。本発明によれば、静電ミラー106は、そのミラー面に多極子114を備える。荷電粒子ビーム104は、静電ミラー106の中心ミラー軸108に平行ではない経路に沿って静電ミラー106に入射するものとして示される。静電ミラーの中心ミラー軸は、ミラーの中心及び/又はミラーによって生成される電界の中心を通り、ミラー面に垂直である仮想直線であることが当業者に知られている。当業者であれば、ビームの反射部分が、静電ミラーによって付与される1つ以上の幾何学的軸外収差(例えば、コマ、非点収差など)を有するように、その中心ミラー軸に沿って静電ミラーに衝突しない荷電粒子ビームの一部が反射されることを理解するであろう。静電ミラー106は、荷電粒子ビーム104のビーム経路に対して傾斜しているため、静電ミラー106は更に、荷電粒子ビーム104に軸外色収差、すなわち色非点収差を作り出す。図1には明示的に示されていないが、静電ミラー106は、静電ミラー106のミラー像距離に等しいミラー物体距離を有するように構成されている。ミラー物体距離はミラー像距離に等しいため、静電ミラー106は荷電粒子ビーム104の反射部分に分散又はコマ収差を加えない。更に、いくつかの実施形態では、静電ミラー106のミラー軸電位は、静電ミラー106が荷電粒子ビーム104の反射部分に色非点収差を付与しない(又はゼロに近い量の色非点収差を付与する)ように特に成形されている。代替的又は追加的に、静電電子ミラーによって電子ビームに付与される球面収差は、ゼロ又はほぼゼロである。
【0012】
図1は更に、静電ミラー106の挿入概略図110を示す。挿入図110は、電極112(a)、電極112(b)、及び多極子114から構成される静電ミラーを示す。多極素子114は、静電ミラー106のミラー面116内又はその近くに多極子場を生成するように配置されている。いくつかの実施形態では、電極112(a)は接地電位であってもよい。代替的又は追加的に、電極112(b)の幾何学的形状及び/又は電圧は、ミラー面116又はその近くで多極子場を作り出す際に多極素子114を生成及び/又は支援するようなものであってもよい。図1は、多極素子がミラー面116に四極子場を作り出すパンケーキ状多極子アレイ114である、例示的な静電ミラーCc補正器100の実施形態を示す。具体的には、図1は、パンケーキ多極子114が2つの層を含み、上層が2つのリングを含み、2つのリングのうちの少なくとも1つがセグメント化されている実施形態を示す(可能なセグメント化の例が図7に示される)。四極子は、静電電子ミラー106の物体側と像側との間の対称性を乱すことなく、荷電粒子ビーム104に非点収差を付与する。静電電子ミラーの直径は、3ミリメートル以下でもよい。
【0013】
図1は、例示的な静電ミラーCc補正器106に入る荷電粒子ビーム104の流れを選択するためのアパーチャ118、及びアパーチャ118と静電ミラー106との間に配置された減速レンズ120を更に示す。
【0014】
図1は、加速器122及び任意の球面収差(Cs)補正器124の上方に配置されている例示的な静電ミラーCc補正システム100を更に示す。四極子126(挿入図128の四極子トリプレットとして更に詳細に示される)は、静電ミラー106の下流に示される。
【0015】
図2A及び2Bは、それぞれ補正モード及びバイパスモードで動作している2つの静電ミラーを備える例示的な静電ミラーCc補正器200及び250の図である。図2A及び2Bは、荷電粒子ビーム204(例えば、イオンビーム、電子、ビームなど)を第1の静電ミラー206に向かって放射している放射源202(例えば、熱電子源、ショットキー放射源、電界放射源など)を示す。荷電粒子ビーム204は、その中心ミラー軸208に平行ではない経路に沿って第1の静電ミラー206に入射するものとして示される。静電ミラーCc補正器200は、第2の静電ミラー210を備えるものとして更に示される。第2の静電ミラー210は、第1の静電ミラー206によって反射される荷電粒子ビーム204の一部が、その中心ミラー軸212に平行ではない経路に沿って第2の静電ミラーに衝突するように配置されている。本発明によれば、第1の静電ミラー206及び第2の静電ミラー210のそれぞれは、それぞれのミラー面に多極子場を含む。例えば、6つの電極を有する多極素子は、いくつかの実施形態では、四極子場を含む、様々な種類及び方向のうちの1つ以上の多極子場を生じさせてもよい。図2Aは、第2の静電ミラー210によって反射された後の荷電粒子ビーム204の出口ビーム経路が、第1の静電ミラー206によって反射される前の荷電粒子ビーム204の最初のビーム経路に平行である実施形態を示す。
【0016】
本開示によれば、第1の静電ミラー206及び第2の静電ミラー210は、対称性を利用して角分散を補正するように配置されている。すなわち、第1の静電ミラー206及び第2の静電ミラー210は、荷電粒子ビーム204が第2の静電ミラー210によって反射される角度が、第1の静電ミラー206からの反射によって作り出される荷電粒子ビーム204の第1の散乱を合成した反射ビームの第2の散乱を誘発し、その結果、荷電粒子ビーム204が静電ミラーCc補正器200及び250を離れた時点で反射ビームの正味の散乱が補正される(すなわち、ゼロ又はほぼゼロになる)ように配置されている。例えば、第1の静電ミラー206は、荷電ビームに第1の分散をx方向に付与してもよく、第2の静電ミラー210はビームに第2の分散をy方向に付与してもよい。第1の分散及び第2の分散は対称で直交しているため、それらを組み合わせると、互いを補償し合い、最終ビームにミラー反射による正味の分散がなくなる。
【0017】
第1の静電ミラー206及び第2の静電ミラー210はそれぞれ、荷電粒子ビーム204のビーム経路に対して傾斜しているため、2つの静電ミラーは、荷電粒子ビーム204の反射部分に軸外Cc収差を作り出す。図2A又は2Bには明示的に示されていないが、第1の静電ミラー206及び第2の静電ミラー210は、それらのミラー像距離に等しいミラー物体距離を有するように構成されている。ミラー物体距離はミラー像距離に等しいため、静電ミラーは荷電粒子ビーム204の反射部分に分散又はコマ収差を付与しない。更に、いくつかの実施形態では、第1の静電ミラー206及び第2の静電ミラー210のミラー軸電位は、静電ミラーが荷電粒子ビーム204の反射部分に色非点収差を付与しない(又はゼロに近い量の色非点収差を付与する)ように特に成形されている。代替的又は追加的に、静電電子ミラーによって電子ビームに付与される球面収差は、ゼロ又はほぼゼロである。図2A及び2Bは、荷電粒子ビーム204が、第1の静電電子ミラー206と第2の静電電子ミラー210との間に交点214を有するものとして示す。いくつかの実施形態では、交点214は、第1の静電電子ミラー206と第2の静電電子ミラー210との間で等距離にある。
【0018】
図2A及び2Bは、例示的な静電ミラーCc補正器200及び250を、偏向器216の第1のセット及び偏向器218の第2のセットを備えるものとして更に示す。しかしながら、例示的な静電ミラーCc補正器200では、偏向器の第1及び第2のセットは任意である。偏向器216の第1のセット及び偏向器218の第2のセットは、荷電粒子ビーム204を、ビームが第1の静電ミラー206に衝突したであろう第1のビーム経路(例えば、図2Aに示される)から離れて、荷電粒子ビーム204が偏向器218の第2のセットに至る第2のビーム経路(例えば、図2Bに示される)へと選択的に偏向するように構成されている。例えば、図2Aは、補正モードで動作している例示的な静電ミラーCc補正器200を示す。補正モードでは、偏向器216の第1のセットにより、荷電粒子ビーム204が第1の静電ミラー206に衝突し、それによって反射されるようになる。図2Bは、バイパスモードで動作している例示的な静電ミラーCc補正器200を示しており、偏向器216の第1のセットが荷電粒子ビーム204に偏向を付与し、ビームが、第1の静電電子ミラー206又は第2の静電電子ミラー210に衝突又は反射することなく、偏向器218の第2のセットに進行するようにする。バイパスモードで動作する場合、偏向器218の第2のセットは、静電ミラーCc補正器200が補正モードで動作していた場合と同じビーム経路に沿って静電ミラーCc補正器200を出るように、荷電粒子ビーム204を更に偏向してもよい。
【0019】
図3は、2つの静電ミラーで球面収差及び色収差の両方を補正するための例示的な静電ミラー構成300の図である。図3は、そのミラー面に多極子を備える第1の静電ミラー304に衝突し、それによって反射される、xz平面内を進行する荷電粒子ビーム302の第1の部分を示す。荷電粒子ビーム302の第1の部分は、中心ミラー軸306に平行でない、又はそれに沿わないビーム経路に沿って第1の静電ミラー304に入射し、その結果、反射された荷電粒子ビーム308の第2の部分が、そのビーム経路に垂直な第1の円筒軸方向に2倍収差を有する。荷電粒子ビーム302と中心ミラー軸306との間の角度は、中心ミラー軸306と荷電粒子ビーム308との間の角度と同じである。荷電粒子ビーム308の第2の部分は、中心ミラー軸に平行でない、又はそれに沿わないビーム経路に沿って第2の静電ミラー310に入射し、その結果、反射された荷電粒子ビーム312の第3の部分が、第1の円筒軸方向及びそのビーム経路の両方に垂直な第2の円筒軸方向に2倍収差を有する。第2の静電ミラー310も、そのミラー面に多極子を備える。図3は、荷電粒子ビームを314、316、及び318に交点を有するものとして更に示す。
【0020】
荷電粒子ビームの第1及び第2の部分は、図3に示される画像のxz平面内を進行するように示されるが、荷電粒子ビーム312の第3の部分は、第2の静電ミラー310によって反射された後に、y軸構成要素を有する経路に沿って進行するものとして示される。具体的には、図3は、ビーム308及びビーム312の両方が通過する平面が、xz平面に垂直である実施形態を示す。すなわち、当業者であれば、図3が3Dビーム経路の2D表現であるため、荷電粒子ビーム302の第1及び第2の部分が、図示された画像の平面内を進行し、荷電粒子ビーム312の第3の部分は、見る人から離れる経路を進行することを理解するであろう。
【0021】
図4は、本開示による静電ミラーCc補正器の機能を示す、ミラー面に多極子を有する静電ミラーによって生成される例示的な2倍収差400の図である。具体的には、図4は、第1の静電ミラー402によって反射される前、第1の静電ミラー404によって反射された後、第2の静電ミラー406によって反射された後、及び第1の静電ミラー及び第2の静電ミラーの両方によって反射された後の、荷電粒子ビームの断面ビームプロファイルを示す。404で分かるように、第1の静電ミラーによる反射は、ビーム経路に垂直な第1の方向にビームを引き伸ばす2倍収差を引き起こす。更に、406は、第2の静電ミラーによる反射が、第1の方向及びビーム経路の両方に垂直な第2の方向にビームを引き伸ばす2倍収差を引き起こすことを示す。最後に、408は、荷電粒子ビームが第1及び第2の静電ミラーの両方によって反射された後、第1及び第2の方向の2倍収差が合成されて互いを補償し、その結果、荷電粒子ビームが再び円形ビームになることを示す。402及び408に示されるように、実施形態では、荷電粒子ビームの一次光学系は非点収差がなく、ビームが第1の静電ミラーに衝突する前とビームが第2の静電ミラーに衝突した後の両方でそれらのプロファイルは丸い円盤状になる。
【0022】
図5は、補正動作モードとバイパス動作モードとの間で選択的に切り替えることができる4つの静電ミラーを備える例示的な静電ミラーCc補正器500の図である。荷電粒子放射源502(例えば、熱電子源、ショットキー放射源、電界放射源など)は、荷電粒子ビーム504(例えば、イオンビーム、電子、ビームなど)を加速器122を通過して第1の静電ミラー506に向かって放射するものとして示される。
【0023】
第1の静電ミラー506及び第2の静電ミラー508は、互いに隣り合って平行であり、反対方向を向いているものとして示される。例示的な静電ミラーCc補正器500がバイパスモードで動作している場合、荷電粒子ビーム504は、反射されることなく第1の静電ミラー506及び第2の静電ミラー508を通過することを許容される。具体的には、各静電電子ミラーは、電子が何かに衝突することなく静電電子ミラーから離れて反射されるように、電子/荷電粒子の経路を変更する電界を生成することによって荷電粒子ビーム504を反射するため、第1の静電ミラー506及び第2の静電ミラー508はオフにされると、それぞれの電界を生成せず、荷電粒子ビーム504はビーム出口経路510に沿ってそれらを通過することを許容される。
【0024】
あるいは、第1の静電ミラー506及び第2の静電ミラー508がオンにされると、荷電粒子ビーム504は第1の静電ミラー506によって反射され、第1の反射ビーム経路512をたどって第3の静電ミラー514に向かい、これに反射された荷電粒子ビーム504は、第2の反射ビーム経路516をたどって第1の偏向器システム518に向かう。
【0025】
第1の偏向器システム518は、荷電粒子ビーム504を第1の偏向経路520に沿って、小型レンズ522を通過して第2の偏向器システム524に至るように偏向する。小型レンズ522は、偏向器を互いの上に結像させ、様々な実施形態において、小型アインツェルレンズ、1つ以上のMEMデバイス、多極子(例えば、四極子)、又はそれらの組み合わせであってもよい。第2の偏向器システム524は、荷電粒子ビーム504に第2の偏向を付与し、第2の偏向経路526をたどって第4の静電レンズ528に至り、その結果、第4の静電レンズ528が荷電粒子ビーム504を第3の反射経路530に沿って第2の静電レンズ508に向けて反射する。次に、第2の静電レンズ508は、ビーム出口経路510に沿って例示的な静電ミラーCc補正器500を出るように荷電粒子ビーム504を反射する。
【0026】
本発明によれば、静電ミラーの各々は、それぞれのミラー面に多極子を備える。例えば、静電レンズの各々は、それぞれのミラー面又はその上方に四極子場を含んでもよい。更に、静電ミラーのそれぞれについて、荷電粒子ビーム504は、ミラーの中心ミラー軸に平行でない経路に沿って静電ミラーに入射するものとして示される。図5には明示的に示されていないが、静電ミラーはそれぞれ、ミラー像距離に等しいミラー物体距離を有するように構成される。ミラー物体距離はミラー像距離に等しいため、静電ミラーは、それらが反射する荷電粒子ビーム504の部分に分散又はコマ収差を付与しない。更に、いくつかの実施形態では、静電ミラーのミラー軸電位は、静電ミラーが荷電粒子ビームの反射部分に色非点収差を付与しない(又はゼロに近い量の色非点収差を付与する)ように特に成形されてもよい。代替的又は追加的に、静電電子ミラーによって電子ビームに付与される球面収差は、ゼロ又はほぼゼロである。図5は、荷電粒子ビームを532、534、536、538、及び540に交点を有するものとして更に示す。
【0027】
図6は、本発明による、例示的な静電ミラーCc補正器で試料602を調査するための例示的な環境600の図である。具体的には、図6は、それぞれ補正モード及びバイパスモードで動作している2つの静電ミラーを備える例示的な静電ミラーCc補正器を含む例示的な環境600を示す。
【0028】
例示的な荷電粒子システム604は、これらに限定されないが、走査型電子顕微鏡(SEM)、走査型透過電子顕微鏡(STEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、荷電粒子顕微鏡(CPM)、極低温適合性顕微鏡、集束イオンビーム顕微鏡(FIB)、デュアルビーム顕微鏡システム、又はそれらの組み合わせなどの1つ以上の異なる種類の光学及び/又は荷電粒子顕微鏡であってもよい、又はこれらを含んでもよい。図6は、例示的な荷電粒子顕微鏡システム604を、透過型電子顕微鏡((S)TEM)606として示す。
【0029】
例示的な荷電粒子顕微鏡システム604は、荷電粒子ビーム610を放射軸612に沿って、透過電子レンズ614に向けて放射する荷電粒子源608(例えば、熱電子源、ショットキー放射源、電界放射源など)を備える。放射軸612は、荷電粒子源608から例示的な荷電粒子顕微鏡システム604の長さに沿って、透過電子レンズ614を通って延びる中心軸である。
【0030】
図6は、補正モード及びバイパスモードで動作可能な2つの静電ミラーを備える例示的な静電ミラーCc補正器200を備えるものとして、例示的な荷電粒子システム604を更に示す。具体的には、図6は、動作の修正モードにおける例示的な静電ミラーCc補正器200を示す。図6は、例示的な静電ミラーCc補正器200に入る荷電粒子ビーム610の流れを選択するためのアパーチャ616を更に示す。
【0031】
荷電粒子ビーム610は、例示的な静電ミラーCc補正器200に入り、第1の静電ミラー206及び第2の静電ミラー210に入射するものとして示されている。荷電粒子ビーム610は、静電ミラーのそれぞれの中心ミラー軸とは異なり、それに平行ではない経路に沿って静電ミラーのそれぞれに入射するものとして示されている。本発明によれば、静電ミラーの各々は、それぞれのミラー面に多極子(例えば、四極子)を備える。図6には明示的に示されていないが、静電ミラーはそれぞれ、ミラー像距離に等しいミラー物体距離を有するように構成されている。ミラー物体距離はミラー像距離に等しいため、静電ミラーは、それらが反射する荷電粒子ビーム610の部分に分散又はコマ収差を付与しない。
【0032】
いくつかの実施形態では、静電ミラーのミラー軸電位は、静電ミラーが荷電粒子ビームの反射部分に色非点収差を付与しない(又はゼロに近い量の色非点収差を付与する)ように特に成形されてもよい。
【0033】
本開示によれば、第1の静電ミラー206及び第2の静電ミラー210は、対称性を利用して2倍収差を補正するように配置されている。すなわち、第1の静電ミラー206及び第2の静電ミラー210は、荷電粒子ビーム610が第2の静電ミラー210によって反射される角度が、第1の静電ミラー206からの反射によって作り出される荷電粒子ビーム610の第1の2倍収差を合成した反射ビームの第2の2倍収差を誘発し、その結果、荷電粒子ビーム610が静電ミラーCc補正器200を離れた時点で反射ビームの正味の2倍収差が補正される(すなわち、ゼロ又はほぼゼロになる)ように配置されている。
【0034】
図6は、偏向器216の第1のセット及び偏向器218の第2のセットを備えるものとして例示的な静電ミラーCc補正器200を更に示す。偏向器216の第1のセット及び偏向器218の第2のセットは、荷電粒子ビーム610を、第1及び第2の静電ミラーに衝突したであろう第1のビーム経路から離れて、偏向器218の第2のセットに向かって第2のビーム経路(例えば、図2Bに示される)上に選択的に偏向するように構成されている。このようにして、ユーザは、例示的な静電ミラーCc補正器200を補正動作モードとバイパス動作モードとの間で選択的に切り替えることができる。
【0035】
透過軸618は、荷電粒子ビーム610が例示的な静電ミラーCc補正器200を離れる場合の荷電粒子ビーム610の経路に沿って走り、試料602まで延びる中心軸である。加速器レンズ620は、例示的な静電ミラーCc補正器200と集束カラム622との間に配置されているように示されている。集束カラム622は、電子ビーム610を集束して、試料602の少なくとも一部分に入射させる。いくつかの実施形態において、集束カラム616は、開口、走査コイル、及び上部集光レンズのうちの1つ以上を含み得る。集束カラムは、電子源からの電子を試料上の小さいスポットに集束させる。試料602の異なる位置を、走査コイルを介して電子ビームの方向を調節することによって走査することができる。更に、集束カラム616は、電子ビーム610の収差(例えば、幾何学的収差、色収差)を補正及び/又は調整し得る。
【0036】
図6は、試料ホルダ624及び顕微鏡検出器システム626を備える例示的な荷電粒子顕微鏡システム604を示す。試料ホルダ624は、試料602を保持するように構成され、例示的な荷電粒子顕微鏡システム604に対して試料602を並進、回転、及び/又は傾けることができる。顕微鏡検出器システム626は、円盤状の明視野検出器及び暗視野検出器を含むものとして示されている。いくつかの実施形態において、顕微鏡検出器システム626は、1つ以上の他の検出器を含み得る。代替的又は追加的に、顕微鏡検出器システム626は、走査型電子顕微鏡検出器システム、集束イオンビーム検出器システム、走査型電子顕微鏡二次電子検出器システム、集束イオンビーム二次電子検出器システム、及び光学顕微鏡検出器システムを含み得る。
【0037】
図6は、コンピューティングデバイス628を更に備えるものとして、例示的な荷電粒子顕微鏡システム604を更に示す。図6は、コンピューティングデバイス628の例示的なコンピューティングアーキテクチャ650を示す概略図を更に含む。例示的なコンピューティングアーキテクチャ650は、本開示で記載される技術を実装するために使用され得る、ハードウェア及びソフトウェア構成要素の追加の詳細を示す。当業者は、コンピューティングアーキテクチャ650が単一のコンピューティングデバイス628に実装され得るか、又は複数のコンピューティングデバイスにまたがって実装され得ることを理解するであろう。例えば、コンピューティングアーキテクチャ650に示される個々のモジュール及び/又はデータ構造は、異なるコンピューティングデバイス628によって実行され及び/又は記憶され得る。このようにして、本開示による本発明の方法の異なるプロセスステップは、別個のコンピューティングデバイス628によって実行及び/又は実施され得る。
【0038】
例示的なコンピューティングアーキテクチャ650では、コンピューティングデバイスは、1つ以上のプロセッサ652と、1つ以上のプロセッサ652に通信可能に結合されたメモリ654と、を含む。例示的なコンピューティングアーキテクチャ650は、メモリ654に記憶された制御モジュール656を含み得る。本明細書で使用される場合、「モジュール」という用語は、説明の目的で実行可能な命令の例示的な区分を表すよう意図されており、あらゆるタイプの要件又は必要な方法、方式又は組織を表すよう意図されていない。したがって、様々な「モジュール」が記載されているが、それらの機能性及び/又は同様の機能性は、異なって配置され得る(例えば、より少数のモジュールに組み合わされる、より多数のモジュールに分割されるなど)。更に、特定の機能及びモジュールは、本明細書ではプロセッサ上で実行可能なソフトウェア及び/又はファームウェアによって実装されるものとして記載されているが、他の事例では、任意又は全てのモジュールは、記載された機能を実行するようにハードウェア(例えば、特殊な処理ユニットなど)によって全体又は部分的に実装され得る。様々な実施態様において上で考察されるように、例示的なコンピューティングアーキテクチャ650に関連して本明細書で記載されるモジュールは、多数のコンピューティングデバイス628にまたがって実行することができる。
【0039】
制御モジュール656は、コンピューティングデバイス628及び/又は例示的な荷電粒子顕微鏡システム604に1つ以上の動作を実行させるように、プロセッサ652によって実行可能とすることができる。例えば、制御モジュール628は、例示的な荷電粒子顕微鏡システム604に、試料ホルダ624が並進、傾斜、回転、又はそれらの組み合わせを付与するようにさせてもよい。加えて、制御モジュール628は、荷電粒子放射源608に電子ビーム610を放射させ得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、制御モジュール656は、コンピューティングデバイス628に、例示的な荷電粒子顕微鏡システム604又はその構成要素の光学要素のうちの1つ以上の光学特性(例えば、位置、配向、動作モード、印加電圧など)を調節させるように更に構成され得る。例えば、制御モジュール656は、例示的な荷電粒子システム604の他の構成要素(例えば、集束カラム622、物体レンズ、伝達レンズ、偏向器、加速器レンズなどの構成要素、又はそれらの組み合わせ)の光学特性を調整し、その結果、試料602での電子ビーム610における合成された球面収差、コマ、及び/又非点収差が補正される。制御モジュール656は、偏向器216の第1のセット及び偏向器218の第2のセットのうちの1つ以上を、荷電粒子ビーム610を、第1及び第2の静電ミラーに衝突したであろう第1のビーム経路から離れて、偏向器218の第2のセットに向かって第2のビーム経路上に選択的に偏向するように構成させるように更に構成され得る。このようにして、制御モジュール656は、例示的な静電ミラーCC補正器200を補正動作モードとバイパス動作モードとの間で選択的に切り替えることができる。
【0041】
上で考察されるように、コンピューティングデバイス628は、1つ以上のプロセッサにアクセス可能なメモリ654に記憶された命令、アプリケーション、又はプログラムを実行するように構成された1つ以上のプロセッサ652を含む。いくつかの例では、1つ以上のプロセッサ652は、これらに限定されるものではないが、ハードウェア中心処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)などを含むハードウェアプロセッサを含み得る。多くの場合、本技術は、1つ以上のプロセッサ652によって実行されるものとして本明細書では説明されているが、場合によっては、本技術は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、又はそれらの組み合わせなどの1つ以上のハードウェア論理構成要素によって実装され得る。
【0042】
1つ以上のプロセッサ352にアクセス可能なメモリ654は、コンピュータ可読媒体の例である。コンピュータ可読媒体は、2つのタイプのコンピュータ可読媒体、すなわちコンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含むことができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータのような情報の記憶のための任意の方法又は技術において実装される揮発性及び不揮発性、取り外し可能及び固定の媒体を含むことができる。コンピュータ記憶媒体は、これらに限定されないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用(EEPROM)、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、若しくは他の光記憶、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置、又は所望の情報を記憶するように使用され得、かつコンピューティングデバイスによってアクセスされ得る、任意の他の非伝送媒体を含む。一般に、コンピュータ記憶媒体は、1つ以上の処理ユニットによって実行されるときに、本明細書に記載される様々な機能及び/又は操作を実施するようにする、コンピュータ実行可能命令を含み得る。対照的に、通信媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、若しくは搬送波のような変調データ信号における他のデータ、又は他の伝送機構を具体化する。本明細書において定義されるように、コンピュータ記憶媒体は、通信媒体を含まない。
【0043】
当業者であれば、項目又はその部分が、メモリ管理及びデータ完全性の目的のために、メモリ654と他の記憶デバイスとの間で転送されることができることを理解することもできるであろう。あるいは、他の実施態様では、ソフトウェア構成要素のうちのいくつか又は全ては、別のデバイスのメモリで実行してもよく、コンピューティングデバイス628と通信してもよい。システム構成要素又はデータ構造のうちのいくつか又は全ては、非一時的なコンピュータアクセス可能媒体に記憶する、又は適切なドライブによって読み取られるポータブル製品に記憶することもでき(例えば、命令又は構造化データとして)、その様々な例は、上に説明されている。いくつかの実施態様では、コンピューティングデバイス628とは別個のコンピュータアクセス可能媒体に記憶された命令は、無線リンクなどの通信媒体を介して搬送される電気信号、電磁信号、又はデジタル信号などの伝送媒体又は信号を介して、コンピューティングデバイス628に伝送され得る。様々な実施態様は、コンピュータアクセス可能媒体に関するこれまでの記述に従って実装される命令及び/又はデータを受信する、送信する、又は記憶することを更に含んでもよい。
【0044】
図7は、本発明による静電ミラーの断面概略図700である。静電ミラーは、電極702及び多極子704から構成される。多極子は、多極子場が静電ミラー700のミラー面にあるように配置されている。図7は、多極子がミラー面に四極子場を作り出すパンケーキ多極子アレイである実施形態を示す。四極子は、静電電子ミラーの物体側と像側との間の対称性を乱すことなく、荷電粒子ビームに非点収差を付与する。静電電子ミラーの直径は、3ミリメートル以下でよい。いくつかの実施形態では、システムの他の寄生収差をゼロにするか、若しくは補正するために、例示的な静電ミラー700に他の多極子を備えることもできる。
【0045】
図8は、本発明による、例示的な静電ミラーのミラー面に多極子場を作り出すためのパンケーキ多極子ミラーの例示的な層800である。具体的には、図8は、2つのリングを含み、外側のリングが6つのセグメントに分割されたパンケーキ多極子ミラーの例示的な層を示している。このように、例示的な多極子800は、例示的な静電ミラーのミラー面に四極子場を存在させるように構成される。この四極子場は、物体側と像側との間のミラーの対称性を乱すことなく、入射ビームを非点収差補正することができる。リング電圧を使用して、色収差が直交方向で等しくなるように、軸方向ミラー電位を成形することもできる。
【0046】
本開示による本発明の主題の例は、以下に列挙される段落で説明される。
【0047】
A1.静電ミラー色収差(Cc)補正器であって、該補正器は、多極子を含む静電電子ミラーを備え、静電電子ミラーは、補正器の使用時に、補正器を通過する電子ビームがミラーの光軸に沿って静電電子ミラーに入射しないように、補正器内に配置されている、静電ミラー色収差(Cc)補正器。
【0048】
A1.1.静電ミラーのミラー物体距離は、静電ミラーのミラー像距離に等しい、段落A1に記載の静電ミラーCc補正器。
【0049】
A1.1.1静電ミラーが分散又はコマ収差を電子ビームに付与しないように静電ミラーが構成される、段落A1.1に記載の静電ミラーCc補正器。
【0050】
A1.2.静電ミラーのミラー軸電位は、静電ミラーが電子ビームに色非点収差を付与しないように特に成形される、段落A1~A1.1.1のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0051】
A1.3.多極子は、静電電子ミラーのミラー面に配置されている、段落A1~A1.2のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0052】
A1.3.1.静電電子ミラーのミラー面は、パンケーキ多極子の平面又はその表面の近くに対応する、段落A1.1に記載の静電ミラーCc補正器。
【0053】
A1.4.荷電粒子システムで使用される場合、減速電子レンズが補正器の上流に配置されている、段落A1~A1.3のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0054】
A1.5.荷電粒子システムで使用される場合、アパーチャが補正器の上流に配置され、アパーチャは、補正器に入る電子ビームの流れを選択するように構成される、段落A1~A1.4のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0055】
A1.6.荷電粒子システムで使用される場合、静電ミラーCc補正器が加速器の上流に配置されており、その結果、電子ビームの色収差が、電子ビームが加速器によって加速される前に補正される、段落A1~A1.5のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0056】
A1.7.補正器の使用時に、四重子トリプレットが静電ミラーの下流に配置されている、段落A1~A1.6のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0057】
A1.8.電子ビームは、電子ビームが反射される経路とは異なる経路に沿って静電ミラーに入射する、段落A1~A1.7のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0058】
A1.9.静電ミラーCc補正器は、ビーム分割器を備えない、段落A1~A1.8のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0059】
A1.10.静電電子ミラーによって電子ビームに付与される色非点収差が、ゼロ又はほぼゼロである、段落A1~A1.9のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0060】
A1.11.静電電子ミラーによって電子ビームに付与される球面収差が、ゼロ又はほぼゼロである、段落A1~A1.10のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0061】
A2.静電電子ミラーは、電子が何にも衝突することなく静電電子ミラーから離れて反射されるように電子の経路を変更する電界を生成する、段落A1~A1.11のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0062】
A2.1.静電電子ミラーは、MEMSデバイスを備える、段落A2に記載の静電ミラーCc補正器。
【0063】
A2.2.静電電子ミラーは、パンケーキ多極子ミラーである、段落A2~A2.1のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0064】
A2.2.1静電電子ミラーは、2つ以上のリングを含む、段落A2.2に記載の静電ミラーCc補正器。
【0065】
A2.2.1.1.2つ以上のリングのうちの少なくとも1つのリングは、セグメント化されている、段落A2.2.1に記載の静電ミラーCc補正器。
【0066】
A2.3.多極子は、四極子である、段落A2~A2.2.1.1のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0067】
A2.3.1.四極子は、静電電子ミラーの物体側と像側との間の対称性を乱すことなく、電子ビームに非点収差を付与する、段落A2.3に記載の静電ミラーCc補正器。
【0068】
A2.4.静電電子ミラーの直径が、3ミリメートル以下である、段落A2~A2.3.1のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0069】
A3.静電電子ミラーは、第1の静電電子ミラーであり、多極子は、第1の多極子であり、補正器は、第2の多極子を備える第2の静電電子ミラーを更に備える、段落A1~A2.4のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0070】
A3.1.静電ミラーのミラー物体距離は、静電ミラーのミラー像距離に等しい、段落A3に記載の静電ミラーCc補正器。
【0071】
A3.1.1.静電ミラーは、静電ミラーが分散又はコマ収差を電子ビームに付与しないように構成されている、段落A3.1に記載の静電ミラーCc補正器。
【0072】
A3.2.第2の静電電子ミラーは、補正器の使用時に、補正器を通過する電子ビームが、第2の静電電子ミラーの光軸に沿って第2の静電ミラーに入射しないように、補正器内に配置されている、段落A3~A3.1.1のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0073】
A3.3.電子ビームは、第1の静電電子ミラーと第2の静電電子ミラーとの間に交点を有する、段落A3~A3.2のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0074】
A3.3.1.交点は、第1の静電電子ミラーと第2の静電電子ミラーとの間で等距離である、段落A3.3に記載の静電ミラーCc補正器。
【0075】
A3.4.第2の静電電子ミラーは、補正器の使用時に第1の静電電子ミラーの下流に配置されている、段落A3~A3.3.1のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0076】
3.4.1.電子ビームは、第1の静電電子ミラーによって反射された後、反射ビーム経路に沿って進行し、反射ビーム経路は、電子ビームが第2の静電電子ミラーに入射するようになっている、段落A3.4に記載の静電ミラーCc補正器。
【0077】
A3.4.2.第2の静電電子ミラーによって反射された後の電子ビームの出口ビーム経路は、第1の静電電子ミラーによって反射される前の電子ビームの最初のビーム経路に平行である、段落A3.4~A3.4.1のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0078】
A3.5.第1の静電電子ミラー及び第2の静電電子ミラーは、対称性を利用して2倍収差を補正するように配置されている、段落A3~A3.4.2のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0079】
A3.6.補正器は、偏向器の第1のセット及び偏向器の第2のセットを更に備える、段落A3~A3.5のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0080】
A3.6.1.偏向器の第1のセットは、電子ビームを、電子ビームが第1の静電電子ミラーに衝突したであろう第1のビーム経路から離れて、電子ビームが偏向器の第2のセットに進行する第2のビーム経路に至るように選択的に偏向するように構成されている、段落A3.6に記載の静電ミラーCc補正器。
【0081】
A3.6.2.偏向器の第2のセットは、電子ビームを、第2のビーム経路から離れて第3のビーム経路に至るように選択的に偏向するように構成されている、段落A3.6~A3.6.1のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0082】
A3.6.3.第3のビーム経路は、電子ビームが偏向器の第2のセットに進行する出口ビーム経路と同じである、段落A3.6~A3.6.2のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0083】
A3.6.4.補正器は、Cc補正モード及びバイパスモードで動作するように構成されている、段落A3.6~A3.6.3のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0084】
A3.6.4.1.補正器がCc補正モードで動作している場合、電子ビームは、第1の静電電子ミラー及び第2の静電電子ミラーによって反射される、段落A3.6.4に記載の静電ミラーCc補正器。
【0085】
A3.6.4.2.補正器がバイパスモードで動作している場合、電子ビームは、電子ビームが第1の静電電子ミラー及び第2の静電電子ミラーによって反射されないように、偏向器の第1のセット及び偏向器の第2のセットによって偏向される、段落A3.6.4~A3.6.4.1のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0086】
A3.6.4.3.電子ビームは、Cc補正モード又はバイパスモードで動作しているかどうかにかかわらず、同じビーム経路に沿って補正器を出る、段落A3.6.4~A3.6.4.2のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0087】
A3.7.第1の静電電子ミラー及び第2の静電電子ミラーは、対称性を利用して2倍収差を補正する、段落A3.7~A3.6.4.3のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0088】
A3.7.1.第1の静電電子ミラーは、電子ビームに第1の2倍収差をx方向に付与し、第2の静電電子ミラーは、電子ビームに第1の2倍収差をy方向に付与する、段落A3.7に記載の静電ミラーCc補正器。
【0089】
A3.7.1.1.第1の収差と第2の収差とが合成されて互いを補正する、段落A3.7.1に記載の静電ミラーCc補正器。
【0090】
A3.7.2.第1の静電電子ミラーは、第1の2倍収差を電子ビームに第1の方向に付与し、第2の静電電子ミラーは、第1の2倍収差を電子ビームに直交方向に付与し、その結果、第1の収差と第2の収差とが合成されて互いを補正する、段落A3.7~A3.7.1.1のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0091】
A3.7.2.1.最初のビーム経路、反射ビーム経路、及び出口ビーム経路が同一平面内にない、段落A3.7.2に記載の静電ミラーCc補正器。
【0092】
A4.補正器は、少なくとも1つ以上の追加の静電電子ミラーを更に備え、追加の静電電子ミラーのそれぞれが、対応する追加の多極子を備える、段落A1~A3.7.2.1のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0093】
A4.1.補正器は、4つの静電ミラーを備える、段落A4に記載の静電ミラーCc補正器。
【0094】
A4.2.第1の静電電子ミラー及び第2の静電電子ミラーは、反射モード及び透過モードで動作するように構成される、段落A4~A4.1のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0095】
A4.2.1.第1の静電電子ミラー及び第2の静電電子ミラーは、反射モードで動作している場合に電子ビームを反射する、段落A4.2に記載の静電ミラーCc補正器。
【0096】
A4.2.2.第1の静電電子ミラー及び第2の静電電子ミラーは、透過モードで動作している場合、電子ビームが反射することなく進行することを可能にする、段落A4~A4.2.1のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0097】
A4.2.3.反射モードで動作している場合、第1の静電電子ミラーは、電子ビームが第3の静電電子ミラーに入射するように、電子ビームを第1の反射ビーム経路に反射する、段落A4~A4.2.2のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0098】
A4.2.3.1.第3の静電電子ミラーは、電子ビームが偏向器の第1のセットによって偏向され得るように、電子ビームを第2の反射ビーム経路に反射する、段落A4~A4.2.3に記載の静電ミラーCc補正器。
【0099】
A4.2.3.2.偏向器の第1のセットは、電子ビームが偏向器の第2のセットによって偏向され得るように、電子ビームを第1の偏向ビーム経路に偏向する、段落A4~A4.4.2.3.1のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0100】
A4.2.3.3.電子ビームが第4の静電電子ミラーに入射するように、偏向器の第2のセットは、電子ビームを第2の偏向ビーム経路に偏向させる、段落A4~A4.2.3.2のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0101】
A4.2.3.4.電子ビームが第2の静電電子ミラーに入射するように、第4の静電電子ミラーは、電子ビームを第3の反射ビーム経路に反射する、段落A4~A4.2.3.2のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0102】
A4.3.少なくとも1つのレンズが、偏向器の第1のセットと偏向器の第2のセットとの間に配置されている、段落A4~A4.2.3.4のいずれか一段落に記載の静電ミラーCc補正器。
【0103】
B1.荷電粒子システムであって、該システムは、試料を保持するように構成された試料ホルダと、試料に向かって荷電粒子ビームを放射するように構成されるソースと、段落A1~A4.3のいずれか一段落に記載の静電ミラー色収差(Cc)補正器と、荷電粒子ビームが試料に入射するように方向付けるように構成される集束カラムと、試料に入射する荷電粒子ビームから生じる放射を検出するように構成される1つ以上の検出器と、を備える荷電粒子システム。
【0104】
C1.段落A1~A4.3のいずれか一段落に記載の静電ミラー色収差(Cc)補正器の使用。
【0105】
D1.段落B1に記載の荷電粒子顕微鏡システムの使用。
【0106】
本明細書に記載のシステム、装置、及び方法は、多少なりとも制限的なものとして解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、単独で、並びに相互の様々な組み合わせ及び部分的な組み合わせにおいて、様々な開示された実施形態の全ての新規かつ非自明な特徴及び態様を対象とする。開示されたシステム、方法、及び装置は、任意の特定の態様若しくは特徴又はそれらの組み合わせに限定されるものではなく、開示されたシステム、方法、及び装置は、任意の1つ以上の特定の利点が存在すべきである、又は問題が解決されるべきであることも必要としない。いずれの動作理論も説明を容易にするためであるが、開示されたシステム、方法、及び装置は、そのような動作理論に限定されない。
【0107】
開示された方法のいくつかの動作は、便宜的な提示のため、特定の順番で記載されているが、以下に記載される具体的な用語によって特定の順序が要求されない限り、この説明様式が並び替えを包含することを理解されたい。例えば、順次記載される動作は、場合によっては、並び替えられ得るか、又は同時に実行され得る。更に、単純化のために、添付の図は、開示されたシステム、方法、及び装置を、他のシステム、方法、及び装置とともに使用することができる様々な方式を示していない場合がある。更に、説明は、開示された方法を記載するために、「判定する」、「識別する」、「製造する」、及び「提供する」などの用語を使用することがある。これらの用語は、実行される実際の動作の高レベルの抽象化である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実施態様に応じて、様々であり、当業者には容易に認識可能である。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】