(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099476
(43)【公開日】2023-07-13
(54)【発明の名称】ブランクマスク及びそれを用いたフォトマスク
(51)【国際特許分類】
G03F 1/54 20120101AFI20230706BHJP
【FI】
G03F1/54
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022187834
(22)【出願日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0194314
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0132122
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケー エンパルス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK enpulse Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】イ、ゴンゴン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、スクヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヒョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンユン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ミンギョ
(72)【発明者】
【氏名】キム、テワン
(72)【発明者】
【氏名】シン、インキュン
【テーマコード(参考)】
2H195
【Fターム(参考)】
2H195BA07
2H195BB14
2H195BC05
2H195BC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】遮光膜のパターニングを通じて高解像度のフォトマスクを実現することができ、遮光膜に対する高感度の欠陥検査時に検査結果の正確度を向上させることができるブランクマスク。
【解決手段】ブランクマスクは、光透過性基板10、及び前記光透過性基板上に配置される遮光膜20を含む。遮光膜は、第1遮光層21、及び前記第1遮光層21上に配置される第2遮光層22を含む。第2遮光層22は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。遮光膜の表面は、空間周波数1μm
-1以上10μm
-1以下でのパワースペクトル密度が18nm
4以上50nm
4以下の値を有する。前記遮光膜の表面の空間周波数1μm
-1以上10μm
-1以下でのパワースペクトル密度の最小値が18nm
4以上40nm
4未満である。遮光膜の表面のRq値は0.25nm以上0.55nm以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基板、及び前記光透過性基板上に配置される遮光膜を含み、
前記遮光膜は、第1遮光層、及び前記第1遮光層上に配置される第2遮光層を含み、
前記第2遮光層は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含み、
前記遮光膜の表面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度が18nm4以上50nm4以下の値を有し、
前記遮光膜の表面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度の最小値が18nm4以上40nm4未満であり、
前記遮光膜の表面のRq値は0.25nm以上0.55nm以下である、ブランクマスク;
前記Rq値は、ISO_4287によって評価される値である。
【請求項2】
前記遮光膜の表面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度の最大値が28nm4以上50nm4以下である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項3】
前記遮光膜の表面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度の最大値から最小値を引いた値が70nm4以下である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項4】
アルゴンガスでエッチングして測定した前記第2遮光層のエッチング速度が0.3Å/s以上0.5Å/s以下である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項5】
アルゴンガスでエッチングして測定した前記第1遮光層のエッチング速度が0.56Å/s以上1Å/s以下である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項6】
塩素系ガスでエッチングして測定した前記遮光膜のエッチング速度は1.5Å/s以上3Å/s以下である、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項7】
前記第2遮光層は、遷移金属を30at%以上80at%以下含み、窒素を5at%以上30at%以下含む、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項8】
前記遷移金属は、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを含み、7~12族の遷移金属をさらに含む、請求項1に記載のブランクマスク。
【請求項9】
光透過性基板、及び前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜を含み、
前記遮光パターン膜は、第1遮光層、及び前記第1遮光層上に配置される第2遮光層を含み、
前記第2遮光層は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含み、
前記遮光パターン膜の上面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度が18nm4以上50nm4以下の値を有し、
前記遮光パターン膜の上面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度の最小値が18nm4以上40nm4未満であり、
前記遮光パターン膜の上面のRq値は0.25nm以上0.55nm以下である、フォトマスク;
前記Rq値は、ISO_4287によって評価される値である。
【請求項10】
光源、フォトマスク、及びレジスト膜が塗布された半導体ウエハを配置する準備ステップと、前記フォトマスクを介して、前記光源から入射された光を前記半導体ウエハ上に選択的に透過させて出射する露光ステップと、前記半導体ウエハ上にパターンを現像する現像ステップとを含み、
前記フォトマスクは、光透過性基板、及び前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜を含み、
前記遮光パターン膜は、第1遮光層、及び前記第1遮光層上に配置される第2遮光層を含み、
前記遮光パターン膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含み、
前記遮光パターン膜の上面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度が18nm4以上50nm4以下の値を有し、
前記遮光パターン膜の上面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度の最小値が18nm4以上40nm4未満であり、
前記遮光パターン膜の上面のRq値は0.25nm以上0.55nm以下である、半導体素子の製造方法;
前記Rq値は、ISO_4287によって評価される値である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
具現例は、ブランクマスク及びそれを用いたフォトマスクなどに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスなどの高集積化により、半導体デバイスの回路パターンの微細化が求められている。これにより、ウエハの表面上にフォトマスクを用いて回路パターンを現像する技術であるリソグラフィー技術の重要性が益々高まっている。
【0003】
微細化された回路パターンを現像するためには、露光工程で用いられる露光光源の短波長化が要求される。最近用いられている露光光源としてはArFエキシマレーザー(波長193nm)などがある。
【0004】
一方、フォトマスクにはバイナリマスク(Binary mask)と位相反転マスク(Phase shift mask)などがある。
【0005】
バイナリマスクは、光透過性基板上に遮光層パターンが形成された構成を有する。バイナリマスクは、パターンが形成された面において、遮光層を含まない透過部は露光光を透過させ、遮光層を含む遮光部は露光光を遮断することによって、ウエハ表面のレジスト膜上にパターンを露光させる。但し、バイナリマスクは、パターンが微細化されるほど、露光工程で透過部の縁部で発生する光の回折により微細パターンの現像に問題が発生することがある。
【0006】
位相反転マスクとしては、レベンソン型(Levenson type)、アウトリガー型(Outrigger type)、及びハーフトーン型(Half-tone type)がある。その中でハーフトーン型位相反転マスクは、光透過性基板上に半透過膜で形成されたパターンが形成された構成を有する。ハーフトーン型位相反転マスクは、パターンが形成された面において、半透過層を含まない透過部は露光光を透過させ、半透過層を含む半透過部は減衰された露光光を透過させる。前記減衰された露光光は、透過部を通過した露光光と比較して位相差を有するようになる。これにより、透過部の縁部で発生する回折光は、半透過部を透過した露光光によって相殺され、位相反転マスクは、ウエハの表面にさらに精巧な微細パターンを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本登録特許第5826886号
【特許文献2】日本公開特許第2016-153889号
【特許文献3】韓国登録特許第10-1758837号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
具現例の目的は、パターニング時にさらに高い解像度のパターンを形成することができ、遮光膜に対する高感度の欠陥検査時に欠陥検査の正確度が向上したブランクマスクなどを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書の一実施例に係るブランクマスクは、光透過性基板、及び前記光透過性基板上に配置される遮光膜を含む。
【0010】
前記遮光膜は、第1遮光層、及び前記第1遮光層上に配置される第2遮光層を含む。
【0011】
前記第2遮光層は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0012】
前記遮光膜の表面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度が18nm4以上50nm4以下の値を有する。
【0013】
前記遮光膜の表面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度の最小値が18nm4以上40nm4未満である。
【0014】
前記遮光膜の表面のRq値は0.25nm以上0.55nm以下である。
【0015】
前記Rq値は、ISO_4287によって評価される値である。
【0016】
前記遮光膜の表面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度の最大値が28nm4以上50nm4以下であってもよい。
【0017】
前記遮光膜の表面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度の最大値から最小値を引いた値が70nm4以下であってもよい。
【0018】
アルゴンガスでエッチングして測定した前記第2遮光層のエッチング速度が0.3Å/s以上0.5Å/s以下であってもよい。
【0019】
アルゴンガスでエッチングして測定した前記第1遮光層のエッチング速度が0.56Å/s以上1Å/s以下であってもよい。
【0020】
塩素系ガスでエッチングして測定した前記遮光膜のエッチング速度は1.5Å/s以上3Å/s以下であってもよい。
【0021】
前記第2遮光層は、遷移金属を30at%以上80at%以下含み、窒素を5at%以上30at%以下含むことができる。
【0022】
前記遷移金属は、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを含み、7~12族の遷移金属をさらに含むことができる。
【0023】
本明細書の他の実施例に係るフォトマスクは、光透過性基板、及び前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜を含む。
【0024】
前記遮光パターン膜は、第1遮光層、及び前記第1遮光層上に配置される第2遮光層を含む。
【0025】
前記第2遮光層は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0026】
前記遮光パターン膜の上面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度が18nm4以上50nm4以下の値を有する。
【0027】
前記遮光パターン膜の上面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度の最小値が18nm4以上40nm4未満である。
【0028】
前記遮光パターン膜の上面のRq値は0.25nm以上0.55nm以下である。
【0029】
前記Rq値は、ISO_4287によって評価される値である。
【0030】
本明細書の更に他の実施例に係る半導体素子の製造方法は、光源、フォトマスク、及びレジスト膜が塗布された半導体ウエハを配置する準備ステップと、前記フォトマスクを介して、前記光源から入射された光を前記半導体ウエハ上に選択的に透過させて出射する露光ステップと、前記半導体ウエハ上にパターンを現像する現像ステップとを含む。
【0031】
前記フォトマスクは、光透過性基板、及び前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜を含む。
【0032】
前記遮光パターン膜は、第1遮光層、及び前記第1遮光層上に配置される第2遮光層を含む。
【0033】
前記遮光パターン膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0034】
前記遮光パターン膜の上面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度が18nm4以上50nm4以下の値を有する。
【0035】
前記遮光パターン膜の上面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度の最小値が18nm4以上40nm4未満である。
【0036】
前記遮光パターン膜の上面のRq値は0.25nm以上0.55nm以下である。
【0037】
前記Rq値は、ISO_4287によって評価される値である。
【発明の効果】
【0038】
具現例に係るブランクマスクなどは、パターニング時にさらに高い解像度のパターンが形成され得る。また、前記ブランクマスクの遮光膜に対する高感度の欠陥検査時にさらに正確な欠陥検査結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本明細書が開示する一実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。
【
図2】本明細書が開示する他の実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。
【
図3】本明細書が開示する更に他の実施例に係るフォトマスクを説明する概念図である。
【
図4】実施例1~5の空間周波数によるパワースペクトル密度の測定値を開示するグラフである。
【
図5】比較例1~3の空間周波数によるパワースペクトル密度の測定値を開示するグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、具現例の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、実施例について詳細に説明する。しかし、具現例は、様々な異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0041】
本明細書で使用される程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造及び物質の許容誤差が提示されるとき、その数値で又はその数値に近接した意味で使用され、具現例の理解を助けるために正確又は絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。
【0042】
本明細書全体において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群から選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、前記構成要素からなる群から選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0043】
本明細書全体において、「A及び/又はB」の記載は、「A、B、または、A及びB」を意味する。
【0044】
本明細書全体において、「第1」、「第2」又は「A」、「B」のような用語は、特に説明がない限り、同一の用語を互いに区別するために使用される。
【0045】
本明細書において、A上にBが位置するという意味は、A上にBが位置したり、それらの間に別の層が位置しながらA上にBが位置したりすることができることを意味し、Aの表面に当接してBが位置することに限定されて解釈されない。
【0046】
本明細書において、単数の表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数又は複数を含む意味で解釈される。
【0047】
本明細書において、表面プロファイル(surface profile)は、表面で観察される輪郭形状を意味する
【0048】
Rq値は、ISO_4287に準拠して評価される値である。Rq値は、測定対象のプロファイルの平均平方根高さを意味する。
【0049】
本明細書において、擬似欠陥は、ブランクマスク又はフォトマスクの解像度の低下を誘発しないので実際の欠陥には該当しないが、高感度の欠陥検査装置で検査する場合に欠陥として判定されるものを意味する。
【0050】
半導体の高集積化に伴い、半導体ウエハ上にさらに微細化された回路パターンを形成することが要求される。半導体ウエハ上に現像されるパターンの線幅がさらに減少するに伴い、前記パターンの線幅がさらに微細かつ精巧に制御される必要がある。具体的には、フォトマスク内のパターニングされた遮光膜の形状が、設計されたパターンの形状にさらに近い形状を有し、パターニング前後に遮光膜の表面に存在する欠陥をさらに正確に検出及び除去することが要求され得る。
【0051】
具現例の発明者らは、2層構造の遮光膜において、パワースペクトル密度特性及び粗さ特性を制御するなどの方法を通じて、さらに精巧な遮光膜のパターニングを行うことができ、高感度の欠陥検査において擬似欠陥の検出頻度を効果的に低減したブランクマスクなどを提供できることを確認し、具現例を完成した。
【0052】
以下、具現例について具体的に説明する。
【0053】
図1は、本明細書が開示する一実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。前記
図1を参照して具現例のブランクマスクを説明する。
【0054】
ブランクマスク100は、光透過性基板10、及び前記光透過性基板10上に配置される遮光膜20を含む。
【0055】
光透過性基板10の素材は、露光光に対する光透過性を有し、ブランクマスク100に適用できる素材であれば制限されない。具体的には、光透過性基板10の波長193nmの露光光に対する透過率は85%以上であってもよい。前記透過率は87%以上であってもよい。前記透過率は99.99%以下であってもよい。例示的に、光透過性基板10は合成クォーツ基板が適用されてもよい。このような場合、光透過性基板10は、前記光透過性基板10を透過する光の減衰(attenuated)を抑制することができる。
【0056】
また、光透過性基板10は、平坦度及び粗さなどの表面特性を調節して光学歪みの発生を抑制することができる。
【0057】
遮光膜20は、光透過性基板10の上面(top side)上に位置することができる。
【0058】
遮光膜20は、光透過性基板10の下面(bottom side)側に入射する露光光を少なくとも一定部分遮断する特性を有することができる。また、光透過性基板10と遮光膜20との間に位相反転膜30(
図2参照)などが位置する場合、遮光膜20は、前記位相反転膜30などをパターンの形状通りにエッチングする工程でエッチングマスクとして使用され得る。
【0059】
遮光膜20は、第1遮光層21、及び前記第1遮光層21上に配置される第2遮光層22を含むことができる。
【0060】
遮光膜20は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0061】
第2遮光層22は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0062】
第1遮光層21と第2遮光層22は、互いに異なる遷移金属含量を有する。
【0063】
遮光膜のパワースペクトル密度及び粗さ特性
遮光膜20の表面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度が18nm4以上50nm4以下の値を有する。
【0064】
遮光膜20上にレジスト膜を形成した後、レジスト膜に電子ビームを照射する場合、レジスト膜の下にある遮光膜20の表面に電子が蓄積されてチャージアップ(charge up)現象が発生し得る。このような場合、照射された電子ビームに含まれた電子と、遮光膜20の表面に蓄積された電子との間に反発が発生してしまい、レジストパターン膜の精巧な形状の制御を難しくすることがある。
【0065】
具現例は、遮光膜20の表面のパワースペクトル密度を制御することで、遮光膜20の表面の結晶粒界(grain boundary)密度を調節することができる。これを通じて、遮光膜20の表面に蓄積された電子がさらに広い空間で移動できるようにして、電子ビームの照射による遮光膜20の表面のチャージング(charging)の程度を効果的に低減することができる。これと同時に、結晶粒の過度の成長により擬似欠陥の検出頻度が高くなったり、遮光膜20の耐久性が低下したりすることを抑制することができる。
【0066】
遮光膜20の表面でのパワースペクトル密度の値は、AFM(Atomic Force Microscope)を通じて測定する。具体的には、AFMを用いて、測定対象の遮光膜20の表面の中央部に位置する横1μm、縦1μmの領域で非接触モード(non-contact mode)で測定する。例示的に、パワースペクトル密度は、探針としてPark System社のカンチレバー(Cantilever)モデルであるPPP-NCHRを適用したPark System社のXE-150モデルを用いて測定することができる。
【0067】
遮光膜20の表面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度が18nm4以上50nm4以下の値を有し得る。遮光膜20の表面は、前記パワースペクトル密度が20nm4以上の値を有してもよい。遮光膜20の表面は、前記パワースペクトル密度が22nm4以上の値を有してもよい。遮光膜20の表面は、前記パワースペクトル密度が24nm4以上の値を有してもよい。遮光膜20の表面は、前記パワースペクトル密度が30nm4以上の値を有してもよい。遮光膜20の表面は、前記パワースペクトル密度が48nm4以下の値を有してもよい。遮光膜20の表面は、前記パワースペクトル密度が45nm4以下の値を有してもよい。遮光膜20の表面は、前記パワースペクトル密度が40nm4以下の値を有してもよい。このような場合、電子ビームの照射による遮光膜20の表面のチャージングの程度を効果的に減少させることができる。
【0068】
遮光膜20の表面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度の最大値が28nm4以上50nm4以下であり得る。遮光膜20の表面の前記最大値が30nm4以上であってもよい。遮光膜20の表面の前記最大値が35nm4以上であってもよい。遮光膜20の表面の前記最大値が38nm4以上であってもよい。遮光膜20の表面の前記最大値が48nm4以下であってもよい。遮光膜20の表面の前記最大値が45nm4以下であってもよい。遮光膜20の表面の前記最大値が40nm4以下であってもよい。このような場合、遮光膜20内の結晶粒の大きさが制御され、遮光膜20の表面での電子間の反発を十分に低減させることができる。
【0069】
遮光膜20の表面の空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度の最小値が18nm4以上40nm4未満であり得る。遮光膜20の表面の前記最小値が20nm4以上であってもよい。遮光膜20の表面の前記最小値が22nm4以上であってもよい。遮光膜20の表面の前記最小値が24nm4以上であってもよい。遮光膜20の表面の前記最小値が35nm4以下であってもよい。遮光膜20の表面の前記最小値が33nm4以下であってもよい。遮光膜20の表面の前記最小値が30nm4以下であってもよい。遮光膜20の表面の前記最小値が28nm4以下であってもよい。遮光膜20の表面の前記最小値が25nm4以下であってもよい。遮光膜20の表面の前記最小値が23nm4以下であってもよい。このような場合、遮光膜20のパターニング時に、パターニングされた遮光膜のCD誤差を減少させることができ、遮光膜の表面を高い感度で欠陥検査する場合に、擬似欠陥の検出頻度を低減することができる。
【0070】
遮光膜20の表面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度の最大値から最小値を引いた値が70nm4以下であってもよい。
【0071】
具現例は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下で測定した遮光膜20の表面のパワースペクトル密度の最大値から最小値を引いた値を制御することができる。これを通じて、遮光膜20の表面が相対的に緩やかな形状を有するように制御して、遮光膜20の高感度の欠陥検査時に擬似欠陥の検出頻度を効果的に低減することができる。
【0072】
遮光膜20の表面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度の最大値から最小値を引いた値が70nm4以下であってもよい。前記最大値から最小値を引いた値が50nm4以下であってもよい。前記最大値から最小値を引いた値が30nm4以下であってもよい。前記最大値から最小値を引いた値が5nm4以上であってもよい。前記最大値から最小値を引いた値が8nm4以上であってもよい。前記最大値から最小値を引いた値が10nm4以上であってもよい。このような場合、遮光膜20の表面に対して高感度の欠陥検査を行う際に、検査結果の正確度をさらに高めることができる。
【0073】
遮光膜20の表面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度の最大値と最小値の平均値が15nm4以上であってもよい。前記平均値が20nm4以上であってもよい。前記平均値が25nm4以上であってもよい。前記平均値が30nm4以上であってもよい。前記平均値が100nm4以下であってもよい。前記平均値が80nm4以下であってもよい。前記平均値が60nm4以下であってもよい。前記平均値が50nm4以下であってもよい。前記平均値が45nm4以下であってもよい。このような場合、電子ビームの照射時に遮光膜の表面に形成される電荷の強度を安定的に調節することができる。
【0074】
遮光膜20の表面のRq値は0.25nm以上0.55nm以下である。
【0075】
具現例は、遮光膜20の表面のパワースペクトル密度特性とRq値を同時に制御することができる。このような場合、結晶粒の成長により形成された遮光膜の表面の凹凸の高さが制御されることで、高感度の欠陥検査時に擬似欠陥の検出頻度を減少させることができ、電子ビームによるレジスト膜の精巧なパターニングが可能なようにすることができる。
【0076】
Rq値は、ISO_4287によって評価される値である。具体的に、AFMを用いて、測定対象の遮光膜20の表面の中央部に位置する横1μm、縦1μmの領域で非接触モード(non-contact mode)で遮光膜20の表面のRq値を測定する。例示的に、Rq値は、探針としてPark System社のカンチレバー(Cantilever)モデルであるPPP-NCHRを適用したPark System社のXE-150モデルを用いて測定することができる。
【0077】
遮光膜20の表面のRq値は0.25nm以上0.55nm以下であり得る。前記Rq値は0.27nm以上であってもよい。前記Rq値は0.30nm以上であってもよい。前記Rq値は0.45nm以下であってもよい。前記Rq値は0.38nm以下であってもよい。このような場合、遮光膜20の表面に擬似欠陥が形成される程度を効果的に減少させることができる。
【0078】
遮光膜のエッチング特性
アルゴンガスでエッチングして測定した第2遮光層22のエッチング速度が0.3Å/s以上0.5Å/s以下であってもよい。
【0079】
アルゴンガスでエッチングして測定した前記第1遮光層21のエッチング速度が0.56Å/s以上であってもよい。
【0080】
遮光膜20を乾式エッチングする場合、結晶粒界が位置した部分は、結晶粒の内部に比べて相対的にさらに速い速度でエッチングされ得る。具現例は、遮光膜20内の各層別の組成、結晶粒界の分布などを制御して、遮光膜20の層別のエッチング速度を調節することができる。これを通じて、遮光膜20のパターニング時に、パターニングされた遮光膜20の側面が、基板の表面からさらに垂直に近く形成されるように助けることができ、遮光膜20内の結晶粒の過度の成長により遮光膜20の表面粗さが過度に高くなることを抑制することができる。
【0081】
具現例は、アルゴン(Ar)ガスでエッチングして測定した遮光膜20内の各層別のエッチング速度を調節することができる。アルゴンガスをエッチャント(etchant)として適用して行った乾式エッチングは、エッチャントと遮光膜20との間に実質的に化学反応を伴わない物理的エッチングに該当する。アルゴンガスをエッチャントとして測定したエッチング速度は、遮光膜20内の各層の組成、化学反応性などに対して独立しており、前記各層の結晶粒界の密度を効果的に反映できるパラメータであると考えられる。
【0082】
アルゴンガスでエッチングして第1遮光層21及び第2遮光層22のエッチング速度を測定する方法は、以下の通りである。
【0083】
まず、TEM(Transmission Electron Microscopy)を用いて第1遮光層21及び第2遮光層22の厚さを測定する。具体的には、測定対象であるブランクマスク100を横15mm、縦15mmのサイズに加工して試験片を準備する。前記試験片の表面をFIB(Focused Ion Beam)処理した後、TEMイメージ測定装備内に配置し、前記試験片のTEMイメージを測定する。前記TEMイメージから第1遮光層21及び第2遮光層22の厚さを算出する。例示的に、TEMイメージは、JEOL LTD社のJEM-2100F HRモデルを通じて測定することができる。
【0084】
その後、前記試験片の第1遮光層21及び第2遮光層22をアルゴンガスでエッチングし、各層をエッチングするのにかかる時間を測定する。具体的には、前記試験片をXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)測定装備内に配置し、前記試験片の中央部に位置する横4mm、縦2mmの領域をアルゴンガスでエッチングして、各層別のエッチング時間を測定する。エッチング時間の測定時に、測定装備内の真空度は1.0×10-8mbar、X-rayソース(Source)はMonochromator Al Kα(1486.6eV)、アノード電力は72W、アノード電圧は12kV、アルゴンイオンビームの電圧は1kVを適用する。例示的に、XPS測定装備は、サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific)社のK-Alphaモデルを適用することができる。
【0085】
測定された第1遮光層21及び第2遮光層22の厚さ及びエッチング時間から、アルゴンガスでエッチングして測定した各層のエッチング速度を算出する。
【0086】
アルゴンガスでエッチングして測定した前記第2遮光層22のエッチング速度が0.3Å/s以上0.5Å/s以下であり得る。前記エッチング速度が0.35Å/s以上であってもよい。前記エッチング速度が0.5Å/s以下であってもよい。前記エッチング速度が0.47Å/s以下であってもよい。前記エッチング速度が0.45Å/s以下であってもよい。前記エッチング速度が0.4Å/s以下であってもよい。このような場合、遮光膜20をさらに精巧にパターニングすることを助けることができ、遮光膜20の表面粗さ特性により擬似欠陥の検出頻度が高くなることを抑制することができる。
【0087】
アルゴンガスでエッチングして測定した前記第1遮光層21のエッチング速度が0.56Å/s以上であってもよい。前記エッチング速度が0.58Å/s以上であってもよい。前記エッチング速度が0.6Å/s以上であってもよい。前記エッチング速度が1Å/s以下であってもよい。前記エッチング速度が0.8Å/s以下であってもよい。このような場合、遮光膜20のパターニング時に、パターニングされた遮光膜20の側面が、基板の表面からさらに垂直に近い形状を有することを助けることができ、エッチング気体に対する遮光膜20のエッチング速度を一定レベル以上に維持することができる。
【0088】
具現例は、塩素系ガスでエッチングして測定した遮光膜20のエッチング速度を制御することができる。これを通じて、遮光膜20のパターニング時に、さらに薄膜化されたレジスト膜を適用できるようにすることができ、遮光膜20のパターニング過程でレジストパターン膜が崩れる現象を抑制することができる。
【0089】
塩素系ガスに対する遮光膜20のエッチング速度を測定する方法は、以下の通りである。
【0090】
まず、遮光膜20のTEMイメージを測定して遮光膜20の厚さを測定する。遮光膜20の厚さの測定方法は、遮光膜20の全厚を測定する点を除いては、TEMを用いて第1遮光層21などを測定する方法と同一である。
【0091】
その後、塩素系ガスで遮光膜20をエッチングしてエッチング時間を測定する。塩素系ガスは、塩素気体を90~95体積比%、酸素気体を5~10体積比%含むガスを適用する。測定した遮光膜20の厚さ及びエッチング時間から、塩素系ガスでエッチングして測定した遮光膜20のエッチング速度を算出する。
【0092】
塩素系ガスでエッチングして測定した遮光膜20のエッチング速度は1.55Å/s以上であってもよい。前記エッチング速度は1.6Å/s以上であってもよい。前記エッチング速度は1.7Å/s以上であってもよい。前記エッチング速度は3Å/s以下であってもよい。前記エッチング速度は2Å/s以下であってもよい。このような場合、相対的に薄い厚さのレジスト膜を形成して、遮光膜20のパターニングをさらに精巧に行うことができる。
【0093】
遮光膜の組成
具現例は、遮光膜20に要求されるパワースペクトル密度特性、表面粗さ特性、エッチング特性などを考慮して、工程条件及び遮光膜20の組成などを制御することができる。
【0094】
遮光膜20の各層別の元素別の含量は、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いたデプスプロファイル(depth profile)を測定して確認することができる。具体的には、ブランクマスク100を横15mm、縦15mmのサイズに加工して試験片を準備する。その後、前記試験片をXPS測定装備内に配置し、前記サンプルの中心部に位置する横4mm、縦2mmの領域をエッチングして各層の元素別の含量を測定する。
【0095】
例示的に、各薄膜の元素別の含量は、サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific)社のK-alphaモデルを通じて測定することができる。
【0096】
第1遮光層21は、遷移金属と、酸素及び窒素を含むことができる。第1遮光層21は遷移金属を15at%以上含んでもよい。第1遮光層21は遷移金属を20at%以上含んでもよい。第1遮光層21は遷移金属を25at%以上含んでもよい。第1遮光層21は遷移金属を30at%以上含んでもよい。第1遮光層21は遷移金属を50at%以下含んでもよい。第1遮光層21は遷移金属を45at%以下含んでもよい。第1遮光層21は遷移金属を40at%以下含んでもよい。
【0097】
第1遮光層21の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は23at%以上であってもよい。前記値は32at%以上であってもよい。前記値は37at%以上であってもよい。前記値は70at%以下であってもよい。前記値は65at%以下であってもよい。前記値は60at%以下であってもよい。
【0098】
第1遮光層21は酸素を20at%以上含んでもよい。第1遮光層21は酸素を25at%以上含んでもよい。第1遮光層21は酸素を30at%以上含んでもよい。第1遮光層21は酸素を50at%以下含んでもよい。第1遮光層21は酸素を45at%以下含んでもよい。第1遮光層21は酸素を40at%以下含んでもよい。
【0099】
第1遮光層21は窒素を3at%以上含んでもよい。第1遮光層21は窒素を7at%以上含んでもよい。第1遮光層21は窒素を20at%以下含んでもよい。第1遮光層21は窒素を15at%以下含んでもよい。
【0100】
第1遮光層21は炭素を5at%以上含んでもよい。第1遮光層21は炭素を10at%以上含んでもよい。第1遮光層21は炭素を25at%以下含んでもよい。第1遮光層21は炭素を20at%以下含んでもよい。
【0101】
このような場合、第1遮光層21は、遮光膜20が優れた消光特性を有するように助けることができ、遮光膜20にさらに精巧なパターニングを行うのに寄与することができる。
【0102】
第2遮光層22は、遷移金属と、酸素及び/又は窒素を含むことができる。第2遮光層22は遷移金属を30at%以上含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を35at%以上含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を40at%以上含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を45at%以上含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を80at%以下含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を75at%以下含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を70at%以下含んでもよい。第2遮光層22は遷移金属を65at%以下含んでもよい。
【0103】
第2遮光層22の酸素含量及び窒素含量を合わせた値は10at%以上であってもよい。前記値は15at%以上であってもよい。前記値は25at%以上であってもよい。前記値は70at%以下であってもよい。前記値は65at%以下であってもよい。前記値は60at%以下であってもよい。前記値は55at%以下であってもよい。前記値は50at%以下であってもよい。
【0104】
第2遮光層22は酸素を5at%以上含んでもよい。第2遮光層22は酸素を10at%以上含んでもよい。第2遮光層22は酸素を15at%以上含んでもよい。第2遮光層22は酸素を40at%以下含んでもよい。第2遮光層22は酸素を35at%以下含んでもよい。第2遮光層22は酸素を30at%以下含んでもよい。第2遮光層22は酸素を25at%以下含んでもよい。
【0105】
第2遮光層22は窒素を5at%以上含んでもよい。第2遮光層22は窒素を10at%以上含んでもよい。第2遮光層22は窒素を30at%以下含んでもよい。第2遮光層22は窒素を25at%以下含んでもよい。
【0106】
第2遮光層22は炭素を1at%以上含んでもよい。第2遮光層22は炭素を5at%以上含んでもよい。第2遮光層22は炭素を25at%以下含んでもよい。第2遮光層22は炭素を20at%以下含んでもよい。
【0107】
このような場合、遮光膜20の表面に電子ビームを照射する際に、遮光膜20の表面に電荷が過度に形成されないように助けることができる。また、遮光膜20の表面を高感度で欠陥検査する場合に、擬似欠陥が検出される頻度を低減することを助けることができる。
【0108】
第2遮光層22の遷移金属含量から第1遮光層21の遷移金属含量を引いた値の絶対値は3at%以上であってもよい。前記絶対値は10at%以上であってもよい。前記絶対値は15at%以上であってもよい。前記絶対値は40at%以下であってもよい。前記絶対値は35at%以下であってもよい。前記絶対値は30at%以下であってもよい。
【0109】
第2遮光層22の酸素含量から第1遮光層21の酸素含量を引いた値の絶対値は3at%以上であってもよい。前記絶対値は10at%以上であってもよい。前記絶対値は15at%以上であってもよい。前記絶対値は30at%以下であってもよい。前記絶対値は25at%以下であってもよい。
【0110】
第2遮光層22の窒素含量から第1遮光層21の窒素含量を引いた値の絶対値は1at%以上であってもよい。前記絶対値は5at%以上であってもよい。前記絶対値は30at%以下であってもよい。前記絶対値は20at%以下であってもよい。
【0111】
このような場合、遮光膜20内の各層のエッチング速度を、具現例で予め設定した範囲に容易に調節されるように助けることができる。
【0112】
遷移金属は、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを含むことができる。遷移金属はCrであってもよい。
【0113】
遷移金属は7~12族の遷移金属をさらに含むことができる。
【0114】
具現例の発明者らは、遮光膜20に少量の7~12族の遷移金属元素が含まれる場合、熱処理過程でクロムなどの結晶粒の大きさが一定の範囲内に制御されることを実験的に確認した。これは、熱処理を通じて結晶粒が成長するようになるが、7~12族の遷移金属元素が不純物として作用して結晶粒界の持続的な成長を妨げるためであると考えられる。具現例は、遮光膜20内に少量の7~12族の遷移金属元素を含むことで、遮光膜20のパワースペクトル密度特性及び粗さ特性が、具現例で予め設定した範囲内に制御されるようにすることができる。
【0115】
7~12族の遷移金属は、例示的にMn、Fe、Co、Ni、Cu、Znなどがある。7~12族の遷移金属はFeであってもよい。
【0116】
遮光膜の厚さ
第1遮光層21の厚さは250~650Åであってもよい。第1遮光層21の厚さは350~600Åであってもよい。第1遮光層21の厚さは400~550Åであってもよい。
【0117】
このような場合、第1遮光層21が優れた消光特性を有するように助けることができる。
【0118】
第2遮光層22の厚さは30~200Åであってもよい。第2遮光層22の厚さは30~100Åであってもよい。第2遮光層22の厚さは40~80Åであってもよい。このような場合、遮光膜20をさらに精巧にパターニングすることができるので、フォトマスクの解像度をさらに向上させることができる。
【0119】
第1遮光層21の厚さに対する第2遮光層22の厚さの比率は0.05~0.3であってもよい。前記厚さの比率は0.07~0.25であってもよい。前記厚さの比率は0.1~0.2であってもよい。このような場合、パターニングを通じて形成される遮光パターン膜の側面形状をさらに精巧に制御することができる。
【0120】
遮光膜の光学特性
波長193nmの光に対する遮光膜20の光学密度が1.3以上であってもよい。波長193nmの光に対する遮光膜20の光学密度が1.4以上であってもよい。
【0121】
波長193nmの光に対する遮光膜20の透過率が2%以下であってもよい。波長193nmの光に対する遮光膜20の透過率が1.9%以下であってもよい。
【0122】
このような場合、遮光膜20は、露光光の透過を効果的に遮断することを助けることができる。
【0123】
遮光膜20の光学密度及び透過率は、分光エリプソメータ(spectroscopic ellipsometer)を用いて測定できる。例示的に、遮光膜20の光学密度及び透過率は、ナノビュー社のMG-Proモデルを用いて測定できる。
【0124】
その他の薄膜
図2は、本明細書の更に他の実施例に係るブランクマスクを説明する概念図である。前記
図2を参照して、以下の内容を説明する。
【0125】
光透過性基板10と遮光膜20との間に位相反転膜30が配置され得る。位相反転膜30は、前記位相反転膜30を透過する露光光の光強度を減衰し、露光光の位相差を調節して、転写パターンの縁部に発生する回折光を実質的に抑制する薄膜である。
【0126】
波長193nmの光に対する位相反転膜30の位相差が170~190°であってもよい。波長193nmの光に対する位相反転膜30の位相差が175~185°であってもよい。
【0127】
波長193nmの光に対する位相反転膜30の透過率が3~10%であってもよい。波長193nmの光に対する位相反転膜30の透過率が4~8%であってもよい。
【0128】
このような場合、パターン膜の縁部で発生し得る回折光を効果的に抑制することができる。
【0129】
波長193nmの光に対する位相反転膜30と遮光膜20を含む薄膜の光学密度が3以上であってもよい。波長193nmの光に対する位相反転膜30と遮光膜20を含む薄膜の光学密度が5以下であってもよい。このような場合、前記薄膜は、露光光の透過を効果的に抑制することができる。
【0130】
位相反転膜30の位相差、透過率、及び位相反転膜30と遮光膜20を含む薄膜の光学密度は、分光エリプソメータを用いて測定できる。例示的に、分光エリプソメータは、ナノビュー社のMG-Proモデルを用いることができる。
【0131】
位相反転膜30は、遷移金属及び珪素を含むことができる。位相反転膜30は、遷移金属、珪素、酸素及び窒素を含むことができる。前記遷移金属はモリブデンであってもよい。
【0132】
遮光膜20上にハードマスク(図示せず)が位置することができる。ハードマスクは、遮光膜20のパターンエッチング時にエッチングマスク膜の機能を行うことができる。ハードマスクは、珪素、窒素及び酸素を含むことができる。
【0133】
遮光膜上にレジスト膜(図示せず)が位置することができる。レジスト膜は、遮光膜の上面に接して形成されてもよい。レジスト膜は、遮光膜上に配置された他の薄膜の上面に接して形成されてもよい。
【0134】
レジスト膜は、電子ビームの照射及び現像を通じてレジストパターン膜を形成することができる。レジストパターン膜は、遮光膜20のパターンエッチング時にエッチングマスク膜の機能を行うことができる。
【0135】
レジスト膜は、ポジティブレジスト(positive resist)が適用されてもよい。レジスト膜は、ネガティブレジスト(negative resist)が適用されてもよい。例示的に、レジスト膜は、Fuji社のFEP255モデルを適用することができる。
【0136】
フォトマスク
図3は、本明細書の更に他の実施例に係るフォトマスクを説明する概念図である。前記
図3を参照して、以下の内容を説明する。
【0137】
本明細書の他の実施例に係るフォトマスク200は、光透過性基板10、及び前記光透過性基板10上に配置される遮光パターン膜25を含む。
【0138】
遮光パターン膜25は、第1遮光層21、及び前記第1遮光層21上に配置される第2遮光層22を含む。
【0139】
第2遮光層22は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0140】
遮光パターン膜25の上面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度が18nm4以上50nm4以下の値を有する。
【0141】
前記遮光パターン膜25の上面の空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度の最小値が18nm4以上40nm4未満である。
【0142】
前記遮光パターン膜25の上面のRq値は0.25nm以上0.55nm以下である。前記Rq値は、ISO_4287によって評価される値である。
【0143】
フォトマスク200に含まれた光透過性基板10についての説明は、前述した内容と重複するので省略する。
【0144】
遮光パターン膜25は、前述した遮光膜20をパターニングして形成することができる。
【0145】
遮光パターン膜25の層構造、物性、組成などについての説明は、先の遮光膜20についての説明と重複するので省略する。
【0146】
遮光膜の製造方法
本明細書の一実施例に係るブランクマスクの製造方法は、遷移金属を含むスパッタリングターゲット及び光透過性基板をスパッタリングチャンバ内に配置する準備ステップと;光透過性基板上に第1遮光層を成膜する第1遮光層成膜ステップと;第1遮光層上に第2遮光層を成膜して遮光膜を製造する第2遮光層成膜ステップと;遮光膜を熱処理する熱処理ステップと;を含む。
【0147】
準備ステップにおいて、遮光膜の組成を考慮して、遮光膜を成膜する際のターゲットを選択することができる。
【0148】
スパッタリングターゲットは、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを90重量%以上含んでもよい。スパッタリングターゲットは、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを95重量%以上含んでもよい。スパッタリングターゲットは、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを99重量%以上含んでもよい。スパッタリングターゲットは、Cr、Ta、Ti及びHfのうちの少なくともいずれか1つを99重量%以上含んでもよい。
【0149】
スパッタリングターゲットはCrを90重量%以上含んでもよい。スパッタリングターゲットはCrを95重量%以上含んでもよい。スパッタリングターゲットはCrを99重量%以上含んでもよい。スパッタリングターゲットはCrを99.9重量%以上含んでもよい。スパッタリングターゲットはCrを99.97重量%以上含んでもよい。スパッタリングターゲットはCrを100重量%以下含んでもよい。
【0150】
スパッタリングターゲットは、7~12族の遷移金属元素をさらに含むことができる。7~12族の遷移金属は、例示的に、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znなどがある。7~12族の遷移金属はFeであってもよい。
【0151】
スパッタリングターゲットは、7~12族の遷移金属元素を0.0001重量%以上含んでもよい。スパッタリングターゲットは、7~12族の遷移金属元素を0.001重量%以上含んでもよい。スパッタリングターゲットは、7~12族の遷移金属元素を0.003重量%以上含んでもよい。スパッタリングターゲットは、7~12族の遷移金属元素を0.005重量%以上含んでもよい。スパッタリングターゲットは、7~12族の遷移金属元素を0.035重量%以下含んでもよい。スパッタリングターゲットは、7~12族の遷移金属元素を0.03重量%以下含んでもよい。スパッタリングターゲットは、7~12族の遷移金属元素を0.025重量%以下含んでもよい。このような場合、前記ターゲットを適用して成膜された遮光膜は、結晶粒界の密度が調節されることで、電子ビームの照射による遮光膜の表面の電荷形成の程度を低下させることができ、結晶粒の成長が遮光膜の表面粗さ特性に及ぼす影響を減少させることができる。
【0152】
スパッタリングターゲットの元素別の含量は、ICP-OES(Inductively Coupled Plasma-Optical Emission Spectrometry)を用いて測定して確認できる。例示的に、スパッタリングターゲットの元素別の含量は、セイコーインスツルメンツ社のICP_OESで測定することができる。
【0153】
準備ステップにおいて、スパッタリングチャンバ内にマグネットを配置することができる。マグネットは、スパッタリングターゲットにおけるスパッタリングが発生する一面に対向する面に配置され得る。
【0154】
第1遮光層成膜ステップ及び第2遮光層成膜ステップにおいて、遮光膜に含まれた各層別にスパッタリング工程の条件を異なって適用することができる。具体的には、各層別に要求されるパワースペクトル密度特性、表面粗さ特性、消光特性及びエッチング特性などを考慮して、雰囲気ガスの組成、スパッタリングターゲットに加える電力、成膜時間などの各種工程条件を各層別に異なって適用することができる。
【0155】
雰囲気ガスは、不活性ガス及び反応性ガスを含むことができる。不活性ガスは、成膜された薄膜を構成する元素を含まないガスである。反応性ガスは、成膜された薄膜を構成する元素を含むガスである。
【0156】
不活性ガスは、プラズマ雰囲気でイオン化してターゲットと衝突するガスを含むことができる。不活性ガスはアルゴンを含むことができる。不活性ガスは、成膜される薄膜の応力調節などの目的のためにヘリウムをさらに含むことができる。
【0157】
反応性ガスは、窒素元素を含むガスを含むことができる。前記窒素元素を含むガスは、例示的にN2、NO、NO2、N2O、N2O3、N2O4、N2O5などであってもよい。反応性ガスは、酸素元素を含むガスを含むことができる。前記酸素元素を含むガスは、例示的にO2、CO2などであってもよい。反応性ガスは、窒素元素を含むガス、及び酸素元素を含むガスを含むことができる。前記反応性ガスは、窒素元素と酸素元素の両方を含むガスを含むことができる。前記窒素元素と酸素元素の両方を含むガスは、例示的にNO、NO2、N2O、N2O3、N2O4、N2O5などであってもよい。
【0158】
スパッタリングガスは、アルゴン(Ar)ガスであってもよい。
【0159】
スパッタリングターゲットに電力を加える電源は、DC電源を使用してもよく、またはRF電源を使用してもよい。
【0160】
第1遮光層成膜ステップにおいて、スパッタリングターゲットに加える電力を1.5kW以上2.5kW以下として適用してもよい。前記スパッタリングターゲットに加える電力を1.6kW以上2kW以下として適用してもよい。
【0161】
第1遮光層成膜ステップにおいて、雰囲気ガスの不活性気体の流量に対する反応性気体の流量の比率は0.5以上であってもよい。前記流量の比率は0.7以上であってもよい。前記流量の比率は1.5以下であってもよい。前記流量の比率は1.2以下であってもよい。前記流量の比率は1以下であってもよい。
【0162】
前記雰囲気ガスにおいて、不活性気体全体の流量に対するアルゴン気体の流量の比率は0.2以上であってもよい。前記流量の比率は0.25以上であってもよい。前記流量の比率は0.3以上であってもよい。前記流量の比率は0.55以下であってもよい。前記流量の比率は0.5以下であってもよい。前記流量の比率は0.45以下であってもよい。
【0163】
前記雰囲気ガスにおいて、反応性気体に含まれた窒素含量に対する酸素含量の比率は1.5以上4以下であってもよい。前記比率は1.8以上3.8以下であってもよい。前記比率は2以上3.5以下であってもよい。
【0164】
このような場合、成膜された第1遮光層は、遮光膜が十分な消光特性を有することを助けることができる。また、遮光膜のパターニング過程で遮光パターン膜の形状を精密に制御することを助けることができる。
【0165】
第1遮光層の成膜は、200秒以上300秒以下の時間行ってもよい。第1遮光層の成膜は、230秒以上280秒以下の時間行ってもよい。このような場合、成膜された第1遮光層は、遮光膜が十分な消光特性を有するように助けることができる。
【0166】
第2遮光層成膜ステップにおいて、スパッタリングターゲットに加える電力を1~2kWとして適用してもよい。前記電力を1.2~1.7kWとして適用してもよい。このような場合、第2遮光層が目的とする光学特性及びエッチング特性を有することを助けることができる。
【0167】
第2遮光層成膜ステップは、第2遮光層の下面と接して配置された薄膜(一例として第1遮光層)の成膜直後から15秒以上経過した後に行われてもよい。第2遮光層成膜ステップは、第2遮光層の下面と接して配置された薄膜の成膜直後から20秒以上経過した後に行われてもよい。第2遮光層成膜ステップは、第2遮光層の下面と接して配置された薄膜の成膜直後から30秒以内に行われてもよい。
【0168】
第2遮光層成膜ステップは、第2遮光層の下面に接して配置された薄膜(一例として第1遮光層)の成膜に適用された雰囲気ガスをスパッタリングチャンバから完全に排気した後に行われ得る。第2遮光層成膜ステップは、第2遮光層の下面に接して配置された薄膜の成膜に適用された雰囲気ガスを完全に排気した時点から10秒内に行われてもよい。第2遮光層成膜ステップは、第2遮光層の下面に接して配置された薄膜の成膜に適用された雰囲気ガスを完全に排気した時点から5秒内に行われてもよい。
【0169】
このような場合、第2遮光層の組成をさらに細密に制御することができる。
【0170】
第2遮光層成膜ステップにおいて、雰囲気ガスに含まれた不活性気体の流量に対する反応性気体の流量の比率は0.4以上であってもよい。前記流量の比率は0.5以上であってもよい。前記流量の比率は0.65以上であってもよい。前記流量の比率は1以下であってもよい。前記流量の比率は0.9以下であってもよい。前記流量の比率は0.8以下であってもよい。
【0171】
前記雰囲気ガスにおいて、不活性気体全体に対するアルゴンガスの流量の比率は0.8以上であってもよい。前記流量の比率は0.9以上であってもよい。前記流量の比率は0.95以上であってもよい。前記流量の比率は1以下であってもよい。
【0172】
第2遮光層成膜ステップにおいて、反応性気体に含まれた窒素含量に対する酸素含量の比率は0.3以下であってもよい。前記比率は0.1以下であってもよい。前記比率は0以上であってもよい。前記比率は0.001以上であってもよい。
【0173】
このような場合、遮光膜の表面が、具現例で予め設定した範囲のパワースペクトル密度及び粗さ特性を有するように助けることができる。
【0174】
第2遮光層の成膜は、10秒以上30秒以下の時間行ってもよい。第2遮光層の成膜時間は、15秒以上25秒以下の時間行ってもよい。このような場合、ドライエッチングを通じた遮光パターン膜の形成時に、遮光パターン膜の形状をさらに精巧に制御することができる。
【0175】
熱処理ステップにおいて、遮光膜を熱処理することができる。遮光膜が成膜された基板を熱処理チャンバ内に配置した後、遮光膜を熱処理することができる。具現例は、成膜された遮光膜に熱処理ステップを行うことで遮光膜の内部応力を解消することができ、再結晶を通じて形成された結晶粒の大きさを調節することができる。
【0176】
熱処理ステップにおいて、熱処理チャンバ内の雰囲気温度は150℃以上であってもよい。前記雰囲気温度は200℃以上であってもよい。前記雰囲気温度は250℃以上であってもよい。前記雰囲気温度は400℃以下であってもよい。前記雰囲気温度は350℃以下であってもよい。
【0177】
熱処理ステップは5分以上行われてもよい。熱処理ステップは10分以上行われてもよい。熱処理ステップは60分以下行われてもよい。熱処理ステップは45分以下行われてもよい。熱処理ステップは25分以下行われてもよい。
【0178】
このような場合、遮光膜内の結晶粒の成長の程度が制御されることで、遮光膜の表面が、具現例で予め設定した範囲のパワースペクトル密度及び粗さ特性を有するように助けることができる。
【0179】
具現例のブランクマスクの製造方法は、熱処理を終えた遮光膜を冷却させる冷却ステップをさらに含むことができる。冷却ステップにおいて、光透過性基板側に冷却プレートを設置して遮光膜を冷却させることができる。
【0180】
光透過性基板と冷却プレートとの離隔距離は0.05mm以上2mm以下であってもよい。冷却プレートの冷却温度は10℃以上40℃以下であってもよい。冷却ステップは5分以上20分以下行われてもよい。
【0181】
このような場合、熱処理を終えた遮光膜内の残熱により結晶粒の成長が持続することを効果的に抑制することができる。
【0182】
半導体素子の製造方法
本明細書の他の実施例に係る半導体素子の製造方法は、光源、フォトマスク、及びレジスト膜が塗布された半導体ウエハを配置する準備ステップと、前記フォトマスクを介して、前記光源から入射された光を前記半導体ウエハ上に選択的に透過させて出射する露光ステップと、前記半導体ウエハ上にパターンを現像する現像ステップとを含む。
【0183】
フォトマスクは、光透過性基板、及び前記光透過性基板上に配置される遮光パターン膜を含む。
【0184】
遮光パターン膜は、第1遮光層、及び前記第1遮光層上に配置される第2遮光層を含む。
【0185】
遮光パターン膜は、遷移金属と、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか1つとを含む。
【0186】
遮光パターン膜の上面は、空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度が18nm4以上50nm4以下の値を有する。
【0187】
前記遮光パターン膜の上面の空間周波数1μm-1以上10μm-1以下でのパワースペクトル密度の最小値が18nm4以上40nm4未満である。
【0188】
遮光パターン膜の上面のRq値は0.25nm以上0.55nm以下である。前記Rq値は、ISO_4287によって評価される値である。
【0189】
準備ステップにおいて、光源は、短波長の露光光を発生させることができる装置である。露光光は、波長200nm以下の光であってもよい。露光光は、波長193nmのArF光であってもよい。
【0190】
フォトマスクと半導体ウエハとの間にレンズがさらに配置されてもよい。レンズは、フォトマスク上の回路パターンの形状を縮小して半導体ウエハ上に転写する機能を有する。レンズは、ArF半導体ウエハ露光工程に一般に適用できるものであれば限定されない。例示的に、前記レンズは、フッ化カルシウム(CaF2)で構成されたレンズを適用できる。
【0191】
露光ステップにおいて、フォトマスクを介して、半導体ウエハ上に露光光を選択的に透過させることができる。このような場合、レジスト膜において露光光が入射した部分で化学的変性が発生することができる。
【0192】
現像ステップにおいて、露光ステップを終えた半導体ウエハを現像溶液で処理して半導体ウエハ上にパターンを現像することができる。塗布されたレジスト膜がポジティブレジスト(positive resist)である場合、レジスト膜において露光光が入射した部分が現像溶液によって溶解され得る。塗布されたレジスト膜がネガティブレジスト(negative resist)である場合、レジスト膜において露光光が入射していない部分が現像溶液によって溶解され得る。現像溶液の処理によって、レジスト膜はレジストパターンとして形成される。前記レジストパターンをマスクとして半導体ウエハ上にパターンを形成することができる。
【0193】
フォトマスクについての説明は、前述の内容と重複するので省略する。
【0194】
以下、具体的な実施例についてより詳細に説明する。
【0195】
製造例:遮光膜の成膜
実施例1:DCスパッタリング装備のチャンバ内に、横6インチ、縦6インチ、厚さ0.25インチ、平坦度500nm未満のクォーツ素材の光透過性基板を配置した。T/S距離が255mm、基板とターゲットとの間の角度が25°を形成するように、下記表1に記載された組成を有するスパッタリングターゲットをチャンバ内に配置した。前記スパッタリングターゲットの後面にマグネットを設置した。
【0196】
その後、Ar19体積比%、N211体積比%、CO236体積比%、He34体積比%が混合された雰囲気ガスをチャンバ内に導入し、スパッタリングターゲットに加える電力を1.85kW、マグネットの回転速度を113rpmとして適用して、250秒間スパッタリング工程を行って第1遮光層を成膜した。
【0197】
第1遮光層の成膜を終えた後、第1遮光層上にAr57体積比%、N243体積比%が混合された雰囲気ガスをチャンバ内に導入し、スパッタリングターゲットに加える電力を1.5kW、マグネットの回転速度を113rpmとして適用して、25秒間スパッタリング工程を行って第2遮光層を成膜した。
【0198】
第2遮光層の成膜を終えた試験片を熱処理チャンバ内に配置した。その後、雰囲気温度を250℃として適用して15分間熱処理を行った。
【0199】
熱処理を経たブランクマスクの基板側に、冷却温度が10~40℃として適用された冷却プレートを設置し、冷却処理を行った。ブランクマスクの基板と冷却プレートとの離隔距離は0.1mmとして適用した。冷却処理は5~20分間行った。
【0200】
実施例2:準備ステップにおいて、スパッタリングターゲットとして、下記表1に記載された組成を有するターゲットを配置し、熱処理ステップで雰囲気温度を300℃として適用した以外は、実施例1と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。
【0201】
実施例3~5及び比較例1~3:準備ステップにおいて、スパッタリングターゲットとして、下記表1に記載された組成を有するターゲットを配置した以外は、実施例1と同じ条件でブランクマスク試験片を製造した。
【0202】
実施例及び比較例別に適用されたスパッタリングターゲットの組成は、下記表1に記載した。
【0203】
評価例:パワースペクトル密度の測定
AFMを通じて、実施例及び比較例別の試験片のパワースペクトル密度の値を測定した。
【0204】
遮光膜の表面でのパワースペクトル密度の値は、探針としてPark System社のカンチレバー(Cantilever)モデルであるPPP-NCHRを適用したPark System社のXE-150モデルを通じて測定した。具体的には、AFMを用いて、測定対象の遮光膜の表面の中心部(中央部)に位置する横1μm、縦1μmの領域で非接触モード(non-contact mode)で測定した。パワースペクトル密度の測定時の空間周波数は、1μm-1以上100μm-1以下の範囲に設定した。
【0205】
実施例及び比較例別の空間周波数によるパワースペクトル密度の測定値を示したグラフは、
図4及び
図5に開示した。実施例及び比較例別の空間周波数1μm
-1以上10μm
-1以下でのパワースペクトル密度の最大値及び最小値は、下記表2に記載した。
【0206】
評価例:Rq値の測定
ISO_4287に準拠して実施例及び比較例別の試験片のRq値を測定した。
【0207】
遮光膜の表面でのパワースペクトル密度の値は、探針としてPark System社のカンチレバー(Cantilever)モデルであるPPP-NCHRを適用したPark System社のXE-150モデルを通じて測定した。具体的には、AFMを用いて、測定対象の遮光膜の表面の中心部(中央部)に位置する横1μm、縦1μmの領域で非接触モード(non-contact mode)で測定した。
【0208】
実施例及び比較例別の測定結果は、下記表2に記載した。
【0209】
評価例:擬似欠陥の検出頻度の評価
SMIFポッド(Standard Mechanical InterFace Pod)で保管している実施例及び比較例別の試験片を取り出して欠陥検査を行った。具体的には、試験片の遮光膜の表面において、前記遮光膜の表面の中央に位置する横146mm、縦146mmの領域を測定部位として特定した。
【0210】
前記測定部位を、Lasertec社のM6641Sモデルを用いて、検査光の波長532nm、装備内の設定値を基準としてレーザパワー(Laser power)を0.4以上0.5以下、ステージ速度を2として適用して、欠陥検査を行った。
【0211】
その後、前記測定部位のイメージを測定し、実施例及び比較例別の前記欠陥検査による結果値のうち擬似欠陥に該当するものを区別して、下記表2に記載した。
【0212】
評価例:遮光パターン膜が不良であるか否かの評価
実施例及び比較例別の試験片の遮光膜の上面にレジスト膜を形成した後、前記レジスト膜の中央部に電子ビームを用いてコンタクトホールパターン(contact hole pattern)を形成した。コンタクトホールパターンは、横方向に13個ずつ、縦方向に12個ずつ形成された計156個のコンタクトホールパターンで構成された。
【0213】
その後、各試験片別にパターニングされたレジスト膜の表面のイメージを測定した。各試験片別に不良として検出されたコンタクトホールパターンの数が5個以下である場合に×、6個以上である場合に○と評価した。
【0214】
実施例及び比較例別の評価結果は、下記表2に記載した。
【0215】
評価例:遮光膜のエッチング特性の測定
実施例1の試験片をそれぞれ2個ずつ横15mm、縦15mmのサイズに加工した。加工した試験片の表面をFIB(Focussed Ion Beam)処理した後、JEOL LTD社のJEM-2100F HRモデルの装備内に配置し、前記試験片のTEMイメージを測定した。前記TEMイメージから第1遮光層及び第2遮光層の厚さを算出した。
【0216】
その後、実施例1の一つの試験片に対して、アルゴンガスで第1遮光層及び第2遮光層をエッチングするのにかかる時間を測定した。具体的には、前記試験片をサーモサイエンティフィック(Thermo Scientific)社のK-Alphaモデル内に配置し、前記試験片の中央部に位置する横4mm、縦2mmの領域をアルゴンガスでエッチングして、各層別のエッチング時間を測定した。各層別のエッチング時間の測定時に、測定装備内の真空度は1.0×10-8mbar、X-rayソース(Source)はMonochromator Al Kα(1486.6eV)、アノード電力は72W、アノード電圧は12kV、アルゴンイオンビームの電圧は1kVを適用した。
【0217】
測定された第1遮光層及び第2遮光層の厚さ及びエッチング時間から、各層別のエッチング速度を算出した。
【0218】
実施例1の他の一つの試験片を塩素系ガスでエッチングして、遮光膜全体をエッチングするのにかかる時間を測定した。前記塩素系ガスとして、塩素気体を90~95体積比%、酸素気体を5~10体積比%含むガスを適用した。前記遮光膜の厚さ及び遮光膜のエッチング時間から、塩素系ガスに対する遮光膜のエッチング速度を算出した。
【0219】
実施例1のアルゴンガス及び塩素系ガスに対するエッチング速度の測定値は、下記表3に記載した。
【0220】
評価例:薄膜別の組成の測定
実施例1及び比較例1の遮光膜内の各層の元素別の含量をXPS分析を用いて測定した。具体的には、実施例1及び比較例1のブランクマスクを横15mm、縦15mmのサイズに加工して試験片を準備した。前記試験片をサーモサイエンティフィック(Thermo Scientific)社のK-Alphaモデルの測定装備内に配置した後、前記試験片の中央部に位置した横4mm、縦2mmの領域をエッチングして、各層の元素別の含量を測定した。実施例1及び比較例1の測定結果は、下記表4に記載した。
【0221】
【0222】
【0223】
【0224】
【0225】
前記表2において、実施例1~5の擬似欠陥の検出数は100個以下と測定されたのに対し、比較例1は500個超と測定された。
【0226】
遮光パターン膜が不良であるか否かの評価において、実施例1~5は×と評価されたのに対し、比較例2及び3は○と評価された。
【0227】
前記表3において、実施例1の各エッチング速度の測定値は、具現例で限定する範囲内に含まれるものと測定された。
【0228】
以上、好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している具現例の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0229】
100 ブランクマスク
10 光透過性基板
20 遮光膜
21 第1遮光層
22 第2遮光層
25 遮光パターン膜
30 位相反転膜
200 フォトマスク
【外国語明細書】