(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009983
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】粉体の製造方法、情報処理方法、プログラム、情報処理装置、モデル生成方法、データ構造、学習済みモデル及び粉体
(51)【国際特許分類】
G01N 15/08 20060101AFI20230113BHJP
G01N 15/02 20060101ALI20230113BHJP
B01D 37/04 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
G01N15/08 C
G01N15/02 B
B01D37/04
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021113710
(22)【出願日】2021-07-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】大島 淳
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA09
4D116AA26
4D116BB11
4D116BC01
4D116KK07
4D116QA52C
4D116QA52F
4D116QA55C
4D116QA55D
4D116QA55F
4D116QC36
4D116QC39
4D116QC51
4D116VV30
(57)【要約】
【課題】粉体の濾過を好適に実施することができる粉体の製造方法等を提供する。
【解決手段】粉体の製造方法は、粉体の粒度に関する粒度特性値と、前記粉体の濾過特性に関する濾過特性値とを含むデータセットを記憶部からコンピュータが読み込む工程と、前記データセットを用いて、前記粒度特性値を入力した場合に前記濾過特性値を予測する学習済みモデルをコンピュータが構築する工程と、前記濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度特性値をコンピュータが取得する工程と、取得した前記原料粉体の粒度特性値を前記学習済みモデルに入力することで、前記原料粉体の濾過特性値をコンピュータが予測する工程と、前記原料粉体及び液体を含む原料と、濾過装置とを準備する工程と、予測された前記濾過特性値に基づき、前記濾過装置に前記原料を濾過させて前記原料粉体を得る工程とを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体の粒度に関する粒度特性値と、前記粉体の濾過特性に関する濾過特性値とを含むデータセットを記憶部からコンピュータが読み込む工程と、
前記データセットを用いて、前記粒度特性値を入力した場合に前記濾過特性値を予測する学習済みモデルをコンピュータが構築する工程と、
前記濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度特性値をコンピュータが取得する工程と、
取得した前記原料粉体の粒度特性値を前記学習済みモデルに入力することで、前記原料粉体の濾過特性値をコンピュータが予測する工程と、
前記原料粉体及び液体を含む原料と、濾過装置とを準備する工程と、
予測された前記濾過特性値に基づき、前記濾過装置に前記原料を濾過させて前記原料粉体を得る工程と
を含む粉体の製造方法。
【請求項2】
前記学習済みモデルを構築する工程において、複数の前記粒度特性値を入力した場合に前記濾過特性値を予測する前記学習済みモデルを構築し、
前記濾過特性値を予測する工程において、前記原料粉体の複数の粒度特性値を前記学習済みモデルに入力することで、前記原料粉体の濾過特性値を予測する
請求項1に記載の粉体の製造方法。
【請求項3】
前記原料粉体の粒度分布を計測する工程を含み、
前記粒度特性値を取得する工程は、
計測された前記粒度分布をコンピュータが取得する工程と、
取得した前記粒度分布から前記原料粉体の複数の粒度特性値をコンピュータが抽出する工程とを含む
請求項2に記載の粉体の製造方法。
【請求項4】
前記学習済みモデルを構築する工程において、前記複数の粒度特性値を入力した場合に、前記原料を濾過することにより形成される濾過ケークの平均濾過比抵抗を予測する前記学習済みモデルを構築することを含む
請求項3に記載の粉体の製造方法。
【請求項5】
前記学習済みモデルを構築する工程において、前記複数の粒度特性値を入力した場合に、前記原料を濾過することにより形成される濾過ケークの圧縮性指数を予測する前記学習済みモデルを構築することを含む
請求項3または4に記載の粉体の製造方法。
【請求項6】
前記学習済みモデルを構築する工程において、前記粒度特性値を入力した場合に、互いに異なる種類の前記濾過特性値を予測する複数の学習済みモデルを構築し、
前記濾過特性値を予測する工程において、前記原料粉体の粒度特性値を各学習済みモデルに入力することで、複数種類の前記濾過特性値を予測する
請求項1~5のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
【請求項7】
前記複数の粒度特性値は、体積基準の前記粒度分布における累積10%径または累積10%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、該粒度分布における累積50%径または累積50%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、下記式で表される粒子径の均一性または均一性と相関係数が0.9以上である粒度特性値のうち1つ以上を含む
請求項4~6のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
均一性=(ΣVi|dV50-di|)/(dV50ΣVi)
(Viは体積基準の粒度分布における粒子iの体積百分率、dV50は体積基準の粒度分布における累積50%径、diは体積基準の粒度分布における粒子iの粒子径)
【請求項8】
前記学習済みモデルを構築する工程において、前記複数の粒度特性値を入力した場合に、前記原料を濾過することにより形成される濾過ケークの平衡含液率を予測する前記学習済みモデルを構築することを含む
請求項3~5のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
【請求項9】
前記複数の粒度特性値は、体積基準の前記粒度分布における累積10%径または累積10%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、該粒度分布における累積50%径または累積50%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値のうち1つ以上を含む
請求項8に記載の粉体の製造方法。
【請求項10】
前記学習済みモデルを構築する工程において、前記複数の粒度特性値を入力した場合に、前記原料を濾過することにより形成される濾過ケークの脱液速度を予測する前記学習済みモデルを構築することを含む
請求項3~9のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
【請求項11】
前記複数の粒度特性値は、個数基準の前記粒度分布における累積90%径または累積90%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、体積基準の前記粒度分布における累積10%径または累積10%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、該粒度分布における累積50%径または累積50%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値のうち1つ以上を含む
請求項10に記載の粉体の製造方法。
【請求項12】
前記粒度分布を計測する工程は、レーザ回折・散乱法による粒子径の計測装置、又は前記原料の撮像画像を解析することにより粒子径を計測する計測装置を用いて、前記粒度分布を計測する
請求項3~11のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
【請求項13】
前記学習済みモデルを構築する工程において、最小二乗回帰モデルを前記学習済みモデルとして構築する
請求項1~12のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
【請求項14】
原料粉体の粒度に関する粒度特性値を取得し、
粉体の粒度特性値を入力した場合に、該粉体の濾過特性に関する濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルに、取得した前記原料粉体の粒度特性値を入力することで前記原料粉体の濾過特性値を予測する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項15】
原料粉体の粒度に関する粒度特性値を取得し、
粉体の粒度特性値を入力した場合に、該粉体の濾過特性に関する濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルに、取得した前記原料粉体の粒度特性値を入力することで前記原料粉体の濾過特性値を予測する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項16】
原料粉体の粒度に関する粒度特性値を取得する取得部と、
粉体の粒度特性値を入力した場合に、該粉体の濾過特性に関する濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルに、取得した前記原料粉体の粒度特性値を入力することで前記原料粉体の濾過特性値を予測する予測部と
を備える情報処理装置。
【請求項17】
粉体の粒度に関する粒度特性値と、前記粉体の濾過特性に関する濾過特性値とを含むデータセットを取得し、
前記データセットを用いて、前記粒度特性値を入力した場合に前記濾過特性値を予測する学習済みモデルを生成する
処理をコンピュータが実行するモデル生成方法。
【請求項18】
濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度分布を計測装置から取得し、
取得した前記粒度分布から、前記原料粉体の複数の粒度特性値を抽出し、
抽出した前記複数の粒度特性値を、粉体の粒度特性値及び濾過特性値を含むデータセットを学習済みのモデルに入力する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項19】
粉体の粒度分布と、該粉体の小スケール濾過試験の実験データとを取得し、
前記粒度分布から粒度特性値を抽出し、
前記実験データから前記粉体の濾過特性値を算出し、
前記粒度特性値に対し、前記濾過特性値を対応付けたデータセットを生成する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項20】
通信網を介して接続された端末装置から、濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度特性値を取得する取得部と、
粉体の粒度特性値を入力した場合に濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルに、取得した前記原料粉体の粒度特性値を入力することで前記原料粉体の濾過特性値を予測する予測部と、
予測した前記濾過特性値を前記端末装置に出力する出力部と
を備える情報処理装置。
【請求項21】
濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度分布をサーバコンピュータに出力し、
前記サーバコンピュータから、粉体の粒度特性値を入力した場合に濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルを用いて予測された前記原料粉体の濾過特性値を取得し、
取得した前記濾過特性値に応じた濾過装置の運転条件を表示部に表示する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項22】
粉体の粒度分布において累積頻度が所定値を取る粒子径と、
前記粒度分布の均一性を表す指標値と、
前記粒度分布に対応する前記粉体の濾過特性値とを有し、
コンピュータが、前記粒子径及び指標値を入力した場合に前記濾過特性値を出力する学習済みモデルを構築する、処理に用いられる訓練データのデータ構造。
【請求項23】
粉体の粒度特性値及び濾過特性値を含むデータセットを用いて機械学習がなされた学習済みモデルであって、
濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度特性値の入力を受け付け、入力された前記原料粉体の粒度特性値に基づいて前記原料粉体の濾過特性値を予測する
ようコンピュータを機能させるための学習済みモデル。
【請求項24】
濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度特性値をコンピュータが取得する工程と、
粉体の粒度特性値を入力した場合に、前記粉体の濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルに、取得した前記原料粉体の粒度特性値を入力することで、前記原料粉体の濾過特性値をコンピュータが予測する工程と、
前記原料粉体及び液体を含む原料と、濾過装置とを準備する工程と、
予測された前記濾過特性値に基づき、前記濾過装置に前記原料を濾過させて前記原料粉体を得る工程と
を含む粉体の製造方法。
【請求項25】
請求項1~13、24のいずれか1項に記載の粉体の製造方法を用いて製造された粉体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体の製造方法、情報処理方法、プログラム、情報処理装置、モデル生成方法、データ構造、学習済みモデル及び粉体に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体と液体との混合物から粉体を分離する濾過工程は、粉体の製造において重要な工程である。一方で、粉体を適切に濾過するためには、濾過対象の粉体の濾過特性(濾過の難度)を把握する必要がある。
【0003】
例えば特許文献1では、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率、固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力、及び沈降堆積層の空隙率を入力値とし、濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を出力値とするニューラルネットワークモデルを用いて、濾過比抵抗に関する特性値を算出する濾過特性推定方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る発明は、ニューラルネットワークモデルの入力値を得るために、圧縮透過試験、沈降実験等の試験を行う必要があり、必ずしも好適な方法とは言えない。
【0006】
一つの側面では、粉体の濾過を好適に実施することができる粉体の製造方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの側面に係る粉体の製造方法は、粉体の粒度に関する粒度特性値と、前記粉体の濾過特性に関する濾過特性値とを含むデータセットを記憶部からコンピュータが読み込む工程と、前記データセットを用いて、前記粒度特性値を入力した場合に前記濾過特性値を予測する学習済みモデルをコンピュータが構築する工程と、前記濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度特性値をコンピュータが取得する工程と、取得した前記原料粉体の粒度特性値を前記学習済みモデルに入力することで、前記原料粉体の濾過特性値をコンピュータが予測する工程と、前記原料粉体及び液体を含む原料と、濾過装置とを準備する工程と、予測された前記濾過特性値に基づき、前記濾過装置に前記原料を濾過させて前記原料粉体を得る工程とを含む。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面では、粉体の濾過を好適に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】粉体製造システムの構成例を示す説明図である。
【
図4】粉体の製造プロセスの一例を示す説明図である。
【
図5】実施の形態1に係る粉体の製造方法を示すフローチャートである。
【
図8】予測モデルの構築処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】濾過特性値の予測処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態2に係る予測モデルの評価結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、粉体製造システムの構成例を示す説明図である。本実施の形態では、粉体の粒度特性値及び濾過特性値を含むデータセットを学習済みの機械学習モデル(後述の予測モデル50)を用いて粉体の濾過特性値を予測し、当該濾過特性値に基づいて粉体を製造(濾過)する粉体製造システムについて説明する。粉体製造システムは、サーバ1、端末2、計測装置3、濾過装置4を含む。サーバ1及び端末2は、ネットワークNを介して通信接続されている。
【0011】
サーバ1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な情報処理装置である。なお、サーバ1に相当する装置は、パーソナルコンピュータ等であってもよい。本実施の形態においてサーバ1は、粉体の粒度特性値及び濾過特性値を含むデータセットを学習することで、粉体の粒度特性値を入力した場合に濾過特性値を予測する予測モデル50(
図6参照)を構築するモデル構築装置として機能する。粒度特性値は、粉体の粒度(粒子径)に関する特性値であり、具体的には後述の如く、粉体の粒度分布の計測データから抽出される累積径、均一性等である。濾過特性値は、粉体の濾過特性(濾過の難度)に関する特性値であり、具体的には後述の如く、粉体と液体とを混合した原料を濾過することにより形成される濾過ケークの濾過比抵抗等である。サーバ1は、これらの特性値から成るデータセットを学習し、予測モデル50を構築する。
【0012】
端末2は、サーバ1に通信接続されたローカルコンピュータであり、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末等である。例えば端末2にはサーバ1が構築した予測モデル50がインストールされており、端末2は、予測モデル50を用いて粉体の濾過特性値を予測する予測装置として機能する。具体的には、端末2は、濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度分布を計測装置3から取得し、取得した粒度分布から粉体の粒度特性値を抽出し、抽出した粒度特性値を予測モデル50に入力することで濾過比抵抗を予測する。
【0013】
計測装置3は、原料粉体の粒度分布を計測する装置であり、例えばレーザ回折・散乱法を用いて粒子径を計測する光学計測装置である。計測装置3は、原料粉体と液体とを懸濁した懸濁液(原料)、あるいは原料粉体を含んだ気流にレーザ光を照射し、粉体粒子の粒子径に応じて変化する散乱光の強度を計測することで粒度分布を計測する。
【0014】
濾過装置4は、原料粉体と液体とを混合した原料から原料粉体を分離する濾過装置であり、例えば遠心分離機である。濾過装置4は、濾材面(フィルタ)に給液された原料に遠心力を加えることで液体のみを通過させ、濾材面に濾過ケーク(粉体粒子の堆積層)を形成することで粉体を分離する。
【0015】
なお、本実施の形態では予測モデル50の構築(学習)及び濾過特性値の予測をサーバ1及び端末2がそれぞれ行うものとするが、各処理は同一のコンピュータが実行してもよい。例えば端末2は、計測装置3が計測した粒度分布のデータをサーバ1にアップロードし、サーバ1が予測モデル50を用いて濾過特性値を予測してもよい。
【0016】
図2は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1は、制御部11、主記憶部12、通信部13、及び補助記憶部14を備える。
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサであり、補助記憶部14に記憶されたプログラムP1を読み出して実行することにより、種々の情報処理、制御処理等を行う。主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の一時記憶領域であり、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部13は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。
【0017】
補助記憶部14は、大容量メモリ、ハードディスク等の不揮発性記憶領域であり、制御部11が処理を実行するために必要なプログラムP1、その他のデータを記憶している。また、補助記憶部14は、データセットDを記憶している。データセットDは、予測モデル50を構築するための訓練データであり、粉体の粒度特性値群に対し、正解の濾過特性値が対応付けられたデータセットである。
【0018】
なお、補助記憶部14はサーバ1に接続された外部記憶装置であってもよい。また、サーバ1は複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであっても良く、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。
【0019】
また、サーバ1は、非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体1aを読み取る読取部を備え、記録媒体1aからプログラムP1(プログラム製品)を読み込んでもよい。また、プログラムP1は単一のコンピュータ上で実行されてもよく、ネットワークNを介して相互接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
【0020】
図3は、端末2の構成例を示すブロック図である。端末2は、制御部21、主記憶部22、通信部23、表示部24、入力部25、及び補助記憶部26を備える。
制御部21は、一又は複数のCPU等のプロセッサであり、補助記憶部26に記憶されたプログラムP2を読み出して実行することにより、種々の情報処理を行う。主記憶部22は、RAM等の一時記憶領域であり、制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部23は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。表示部24は、液晶ディスプレイ等の表示画面であり、画像を表示する。入力部25は、キーボード、マウス等の操作インターフェイスであり、ユーザから操作入力を受け付ける。
【0021】
補助記憶部26は、ハードディスク、大容量メモリ等の不揮発性記憶領域であり、制御部21が処理を実行するために必要なプログラムP2、その他のデータを記憶している。また、補助記憶部26は、予測モデル50を記憶している。予測モデル50は、所定の訓練データを学習済みの機械学習モデルであり、粉体の粒度特性値を入力した場合に、粉体の濾過特性値を予測するモデルである。予測モデル50は、人工知能ソフトウェアの一部を構成するプログラムモジュールとしての利用が想定される。
【0022】
なお、端末2は、非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体2aを読み取る読取部を備え、記録媒体2aからプログラムP2(プログラム製品)を読み込んでもよい。また、プログラムP2は単一のコンピュータ上で実行されてもよく、ネットワークNを介して相互接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
【0023】
図4は、粉体の製造プロセスの一例を示す説明図である。
図4では、一般的な粉体の製造プロセスを図示している。
【0024】
図4左側に示すように、一般的な粉体の製造プロセスは、反応、濃縮、洗浄、晶析、濾過、及び乾燥操作の工程を含む。このうち、濾過工程では、原料粉体と液体とを混合した原料を遠心分離機等の濾過装置4で濾過し、粉体を得る。
【0025】
なお、粉体の濾過方法は遠心分離式に限定されず、加圧式、減圧式等の他の濾過方法を用いてもよい。
【0026】
ここで、濾過装置4での濾過を行う前に、小規模(小スケール)の濾過試験を行い、粉体の濾過特性を調べることが多い。製造者はまず、小規模の試験で原料粉体の濾過特性値を調べ、当該特性値を考慮した上で、大型の濾過装置4での濾過(スケールアップ)を行う。
【0027】
濾過特性値は、粉体の濾過特性を定量的に示す指標値であり、原料を濾過することで濾材面(フィルタ)に形成される濾過ケークの平均濾過比抵抗、圧縮性指数、平衡含液率、脱液速度等である。平均濾過比抵抗(m/kg)とは、濾材面に堆積するケークを液体が透過する際の透過のし難さ(抵抗)を表す。圧縮性指数とは、ケークの圧縮性の大小を表す値である。平衡含液率(wt.%)は、脱水平衡状態にある湿潤ケークの含液率を表す。脱液速度(mm/s)は、湿潤ケークを介して液体が脱液する速度を表す。
【0028】
なお、本実施の形態では濾過特性値として平均濾過比抵抗、圧縮性指数、平衡含液率、及び脱液速度を挙げるが、濾過特性値は他のパラメータ(例えばケークの空隙率)であってもよい。
【0029】
各濾過特性値を調べる試験としては、
図4右側に示す圧縮透過試験、遠心脱液試験などがある。圧縮透過試験は、粉体と液体との混合物を任意の測定圧力Pで圧縮させ、それぞれの圧力における液体の透過速度から平均濾過比抵抗α
m及び圧縮性指数nを計算する。遠心脱液試験は、濾材を敷いた濾過管に湿潤ケークを入れ、濾過管を小型の遠心分離機にセットして遠心脱液を行い、ケークの脱液時間と濾過管の重量変化とを測定することで平衡含液率及び脱液速度を計算する。
【0030】
各濾過特性値、及び各特性値の測定方法(試験)は公知なので、本明細書ではこれ以上の詳細な説明を省略する。
【0031】
なお、平均濾過比抵抗等は理論式(Kozeny-Carmanの式及びRuthの式)から導出することも可能であるが、理論式は複数のパラメータから成り立っており、簡易に測定できないパラメータ(空隙率、比表面積等)やKozeny定数という実験パラメータがあるため、理論式から理論値を簡便に導出することはできず、さらに理論値は実測値と乖離する場合が多いため、実際は上記のような試験を行うことが多い。
【0032】
上述の如く、一般的な粉体の濾過工程では、濾過装置4での大規模な濾過を行う前に試験を行う必要がある。そこで本実施の形態では、これらの試験を不要とすべく、予測モデル50を構築して濾過特性値を予測する。
【0033】
図5は、実施の形態1に係る粉体の製造方法を示すフローチャートである。
図5では、本実施の形態における粉体の製造工程を図示している。
【0034】
図5に示すように、本実施の形態に係る粉体の製造方法は、粉体の粒度特性値及び濾過特性値を含むデータセットDをサーバ1(コンピュータ)が読み込む工程(ステップS1)と、当該データセットDを用いて、粒度特性値を入力した場合に濾過特性値を予測する予測モデル50(学習済みモデル)をサーバ1が構築する工程(ステップS2)と、濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度特性値を端末2(コンピュータ)が取得する工程(ステップS3)と、取得した粒度特性値を予測モデル50に入力することで濾過特性値を端末2が予測する工程(ステップS4)と、原料粉体と液体とを含む原料及び濾過装置4を準備する工程(ステップS5)と、予測された濾過特性値に基づき、濾過装置4を用いて原料を濾過させて粉体を得る工程(ステップS6)とを含む。
【0035】
【0036】
図6は、予測モデル50に関する説明図である。
図6では、粉体の粒度特性値を予測モデル50に入力した場合に、粉体の濾過特性値(平均濾過比抵抗)が出力される様子を図示している。
【0037】
予測モデル50は、所定の訓練データ(データセットD)を学習済みのモデルであり、粉体の粒度特性値を入力した場合に、粉体の濾過特性値を予測するモデルである。本実施の形態では予測モデル50として、PLS回帰(Partial Least Squares Regression;部分的最小二乗回帰)モデルを用いる。
【0038】
なお、予測モデル50はPLS回帰モデルに限定されず、ニューラルネットワーク、決定木、SVM(Support Vector Machine)等の他の機械学習モデルであってもよい。
【0039】
予測モデル50の入力となる粒度特性値は、粉体の粒度に関する特性値であり、例えば
図6左側のグラフで示す粒度分布から抽出される粒子径等の値である。粒度分布は、粉体粒子の粒子径を横軸とし、各粒子径の粒子の頻度(含有割合)を縦軸とするヒストグラムであり、計測装置3により測定される。
【0040】
本実施の形態に係る計測装置3は、レーザ回折・散乱法を用いて粒度分布を測定する。すなわち、計測装置3は、測定対象の粉体を液体に懸濁させ、懸濁液にレーザ光を照射することにより生じる散乱光の強度を測定することで、粒度分布を測定する。なお、粒度分布には、粒子の含有個数Nを基準とするもの(縦軸の頻度が個数Nの百分率で表現されるもの)と、粒子の体積Vを基準とするもの(縦軸の頻度が体積Vの百分率で表現されるもの)とがあり、計測装置3は両者を計測可能となっている。計測装置3として、例えば英国Malvern Instruments社製のMastersizer 3000を用いることができる。
【0041】
なお、粒度分布の計測方法としてはレーザ回折・散乱法以外に、篩式(目開きの異なる複数の金網を上下に重ねた状態でふるい、各金網に残った粉体を元に粒度分布を計測)、重力/遠心沈降式(重力又は遠心力による粒子の沈降速度差を利用して粒度分布を計測)、画像解析式(粉体の撮像画像を解析することにより粒度分布を計測)等があり、これらの計測方法を用いてもよい。一方で、篩式は金網の目開きの大きさに依存して粒子径を分散的にしか計測できず、沈降式は粒子径の小さい粒子が大きい粒子に押され同伴すると正確なデータとならない。そのため、計測精度も考慮すると、レーザ回析・散乱法、及び画像解析式の計測装置3を用いると好適である。
【0042】
予測モデル50の入力となり得る粒度特性値(説明変数)には、以下の表1で示す13種類の指標値が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
【0044】
dX10、dX50、及びdX90(Xは粒子の個数N又は体積Vを表す)は、粒度分布における頻度の累積値が10%、50%、及び90%を取る粒子径を表す。以下の説明では、粒度分布における頻度の累積値がY%となる粒子径dXYを「累積Y%径」と呼ぶ。
【0045】
UXは、粒子径の均一性を表す指標値であり、粒度分布における中央値(dX50)からの絶対偏差の尺度を表す。具体的には、均一性UXは以下の式(1)で定義される。
【0046】
UX=(ΣXi|dX50-di|)/(dX50ΣXi)…(1)
【0047】
なお、Xiは粒度分布における粒子iの頻度(%)、diは粒子iの粒子径を表す。
【0048】
スパンSXは、粒度分布の幅を表す指標値であり、以下の式(2)で定義される。
【0049】
SX=(dX90-dX10)/dX50…(2)
【0050】
表1に示すように、dX10、dX50、dX90、均一性UX、及びスパンSXは、個数N及び体積Vを基準とした場合の双方で計算される。
【0051】
比表面積は、粒子の総面積を総体積で割った値である。D[3,2]は、粒子径の面積加重平均(面積モーメント径又はソーター平均径とも言う)である。D[4,3]は、粒子径の体積加重平均又は質量モーメント平均径(デ・ブロッカー平均)である。なお、比表面積等は、粒子が球状であると仮定して計算される。
【0052】
本実施の形態に係る予測モデル50は、上記の13種類の粒度特性値のうち、体積基準の累積10%径dV10、累積50%径dV50、及び均一性UVを入力として用いる。なお、予測モデル50に入力する説明変数は、後述する実施の形態2のように、予測対象の濾過特性値(目的変数)に応じて適宜に変更され得る。また、説明変数は上記の13種類のパラメータに限定されず、その他のパラメータ(粉体粒子の体積濃度(ランベルト-ベールの法則から計算)、レーザ光の散乱強度等)を用いてもよい。
【0053】
予測モデル50の出力となる濾過特性値は、既に述べたように平均濾過比抵抗、圧縮性指数等である。本実施の形態に係る予測モデル50は、これらの濾過特性値のうち、平均濾過比抵抗を出力とする。なお、後述の実施の形態2のように、他の濾過特性値(圧縮性指数、平衡含液率、脱液速度等)を出力としてもよい。
【0054】
サーバ1は、粉体の粒度特性値(体積基準の累積10%径dV10、累積50%径dV50、及び均一性UV)に対し、正解の濾過特性値が対応付けられた訓練データを用いて、予測モデル50を構築する。訓練データは、過去に製造(濾過)した粉体の実測値であり、例えばデータセットDとして補助記憶部14に記憶されている。サーバ1はデータセットDを補助記憶部14から読み込み、予測モデル50(PLS回帰モデル)を構築する。
【0055】
すなわち、サーバ1は、データセットDの粒度特性値及び濾過特性値から重みベクトルを算出し、算出した重みベクトルに基づき、粒度特性値(説明変数)を潜在変数(主成分)に変換する。サーバ1は、変換後の潜在変数の空間に濾過特性値(目的変数)を回帰し、潜在変数及び濾過特性値の回帰係数を算出する。サーバ1は、潜在変数(説明変数)と濾過特性値(目的変数)との間の共分散が最大化するようにモデル(重みベクトル、潜在変数、回帰係数等)の更新を繰り返し、予測モデル50を構築する。
【0056】
表1に示すように、予測モデル50に入力する各粒度特性値は同じ粒度分布から抽出される変数であり、説明変数同士で相関(多重共線性)を有する。従って、粒度特性値をそのまま説明変数として用いた単純な回帰モデルを構築した場合、学習時のデータセットDに依存して予測モデル50(回帰係数)が不安定になりやすい。そこで本実施の形態では、説明変数を潜在変数に変換することで多重共線性の問題に好適に対処可能なPLS回帰モデルを採用することで、予測モデル50が不安定になることを回避する。
【0057】
上述の如く、本実施の形態では体積基準の累積10%径dV10、累積50%径dV50、及び均一性UVを説明変数とし、平均濾過比抵抗を目的変数とする予測モデル50を構築する。本願の発明者の実験に依れば、平均濾過比抵抗の予測モデル50を構築する場合に、説明変数としてdV10、dV50、及びUVを用いることで、好適な実験結果が得られた。
【0058】
図7は、予測モデル50の評価結果を示す説明図である。
図7Aでは、予測モデル50が予測した濾過比抵抗の予測値と、実測値とを示すグラフを図示している。
図7Bでは、理論式(Kozeny-Carmanの式等)に基づく濾過比抵抗の予測値(理論値)と、実測値とを示すグラフを図示している。
図7A、Bを比較して分かるように、d
V10、d
V50、及びU
Vを入力とする予測モデル50は、理論式と比較して、予測値及び実測値の相関係数r、誤差MAEが共に良好な結果となった。そのため、本実施の形態ではd
V10、d
V50、及びU
Vを説明変数として採用する。
【0059】
次に、予測モデル50を用いて濾過特性値を予測し、粉体を製造(濾過)する際の工程について説明する。例えば端末2には、サーバ1が構築した予測モデル50がインストールされている。製造者は、原料粉体と液体とを懸濁した懸濁液を計測装置3にセットし、原料粉体の粒度分布を測定する。端末2は、計測装置3から粒度分布の計測データを取得する。
【0060】
端末2は、取得した粒度分布から、体積基準の累積10%径dV10、累積50%径dV50、及び均一性UVを抽出する。そして端末2は、抽出した各粒度特性値を予測モデル50に入力することで、濾過特性値、すなわち平均濾過比抵抗を予測する。例えば端末2は、平均濾過比抵抗の予測結果を表示部24に表示する(画面不図示)。
【0061】
製造者は、原料粉体と液体とを含む原料を準備し、濾過装置4により原料を濾過する。この場合に製造者は、予測モデル50により予測された平均濾過比抵抗に基づいて濾過装置4の運転条件を調整する。例えば製造者は、濾過装置4(遠心分離機)の運転速度(回転速度)、運転時間等を調整する。これにより、原料から液体を分離して粉体を得る。
【0062】
以上より、本実施の形態によれば、粒度特性値(粒度分布)の計測を行うのみで、圧縮透過試験等を行う必要なく濾過特性値を予測することができ、粉体の製造を好適に実施することができる。
【0063】
図8は、予測モデル50の構築処理の手順を示すフローチャートである。
図8に基づき、サーバ1が予測モデル50を構築する際の処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、粉体の粒度特性値及び濾過特性値を含むデータセットDを補助記憶部14から読み込む(ステップS11)。粒度特性値は、粉体の粒度に関する特性値であり、粉体の粒度分布から抽出される累積10%径、累積50%径、及び均一性である。濾過特性値は、粉体の濾過特性に関する特性値であり、原料を濾過することにより形成される濾過ケークの平均濾過比抵抗である。
【0064】
制御部11はデータセットDを用いて、粉体の粒度特性値を入力した場合に濾過特性値を予測する予測モデル50を構築する(ステップS12)。具体的には上述の如く、制御部11は、予測モデル50としてPLS回帰モデルを構築する。制御部11は、粒度特性値及び濾過特性値から重みベクトルを算出し、粒度特性値を潜在変数に変換する。制御部11は、変換後の潜在変数の空間に濾過特性値を回帰し、潜在変数及び濾過特性値の回帰係数を算出する。制御部11は、潜在変数及び濾過特性値の共分散が最大化するようにモデルの更新を繰り返し、予測モデル50を構築する。構築された予測モデル50は端末2にインストールされる。制御部11は一連の処理を終了する。
【0065】
図9は、濾過特性値の予測処理の手順を示すフローチャートである。
図9に基づき、端末2が濾過特性値を予測する際の処理内容について説明する。
端末2の制御部21は、濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度分布を計測装置3から取得する(ステップS31)。制御部21は、取得した粒度分布から粒度特性値(体積基準の粒度分布における累積10%径、累積50%径、及び均一性)を抽出する(ステップS32)。
【0066】
制御部21は、抽出した粒度特性値を予測モデル50に入力することで、原料粉体の濾過特性値を予測する(ステップS33)。制御部21は、予測した濾過特性値を出力(表示)し(ステップS34)、一連の処理を終了する。
【0067】
以上より、本実施の形態1によれば、粉体の濾過(製造)を好適に実施することができる。
【0068】
(実施の形態2)
実施の形態1では、濾過特性値として平均濾過比抵抗を予測する形態について説明した。一方で、平均濾過比抵抗以外の濾過特性値の予測モデル50を構築し、予測するようにしてもよい。本実施の形態では、他の濾過特性値の予測モデル50を構築する形態について述べる。なお、実施の形態1と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。
【0069】
図10は、実施の形態2に係る予測モデル50の評価結果を示す説明図である。
図10Aでは、圧縮性指数の予測モデル50の評価結果を図示している。
図10Bでは、平衡含液率の予測モデル50の評価結果を図示している。
図10Cでは、脱液速度の予測モデル50の評価結果を図示している。
【0070】
以下の説明では便宜上、実施の形態1で説明した平均濾過比抵抗の予測モデル50を符号51で表し、本実施の形態に係る圧縮性指数の予測モデル50を符号52、平衡含液率の予測モデル50を符号53、及び脱液速度の予測モデル50を符号54で表す。
【0071】
本実施の形態においてサーバ1は、平均濾過比抵抗の予測モデル51以外に、圧縮性指数、平衡含液率、及び脱液速度の予測モデル52~54をそれぞれ構築する。各予測モデル52~54は、実施の形態1で説明した平均濾過比抵抗の予測モデル51と同様のPLS回帰モデルである。
【0072】
圧縮性指数の予測モデル52における説明変数は、濾過比抵抗の予測モデル51と同様である。すなわち、圧縮性指数の予測モデル52は、体積基準の累積10%径dV10、累積50%径dV50、及び均一性UVを入力とする。ここで複数の粒度特性値は、体積基準の前記粒度分布における累積10%径または累積10%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、該粒度分布における累積50%径または累積50%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、下記式(3)で表される粒子径の均一性とまたは均一性と相関係数が0.9以上である粒度特性値のうち1つ以上を含む。
均一性=(ΣVi|dV50-di|)/(dV50ΣVi)・・(3)
(Viは体積基準の粒度分布における粒子iの体積百分率、dV50は体積基準の粒度分布における累積50%径、diは体積基準の粒度分布における粒子iの粒子径)
【0073】
一方で、平衡含液率及び脱液速度の予測モデル53、54は説明変数が異なる。具体的には、平衡含液率の予測モデル53は、体積基準の累積10%径dV10、及び累積50%径dV50を入力とするが、均一性UVは入力として用いない。ここで、複数の粒度特性値は、体積基準の粒度分布における累積10%径または累積10%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、該粒度分布における累積50%径または累積50%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値のうち1つ以上を含む。また、脱液速度の予測モデル54は、体積基準の累積10%径dV10、累積50%径dV50に加えて個数基準の累積90%径dN90を入力とし、均一性UVは入力として用いない。ここで、複数の粒度特性値は、個数基準の前記粒度分布における累積90%径または累積90%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、体積基準の前記粒度分布における累積10%径または累積10%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、該粒度分布における累積50%径または累積50%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値のうち1つ以上を含む。
【0074】
各予測モデル52、53、54における予測値及び実測値の対比グラフを
図10A~Cに図示する。
図10A~Cに図示するように、各予測モデル52、53、54は概ね良好な結果が得られた。
【0075】
サーバ1は、各予測モデル51~54の構築用のデータセットDを補助記憶部14に記憶してあり、各モデル用のデータセットDを用いて予測モデル51~54を構築する。すなわち、サーバ1は、訓練用のdV10、dV50及びUV(粒度特性値)に対し、正解の圧縮性指数(濾過特性値)が対応付けられたデータセットDを用いて、圧縮性指数の予測モデル52を構築する。また、サーバ1は、訓練用のdV10及びdV50に対し、正解の平衡含液率が対応付けられたデータセットDを用いて、平衡含液率の予測モデル53を構築する。また、サーバ1は、訓練用のdV10、dV50及びdN90に対し、正解の脱液速度が対応付けられたデータセットDを用いて、脱液速度の予測モデル54を構築する。
【0076】
例えば端末2には、各濾過特性値に対応する予測モデル51~54がインストールされる。端末2は、計測装置3から粒度分布の計測データを取得した場合、各予測モデル51~54に入力する粒度特性値を粒度分布から抽出する。そして端末2は、各予測モデル51~54に対応する粒度特性値を各予測モデル51~54に入力することで、各濾過特性値を予測する。端末2は、各濾過特性値の予測結果を表示する。製造者は、当該予測結果に基づき、濾過装置4の運転条件(運転速度、運転時間等)を調整する。
【0077】
上記の点以外は実施の形態1と同様であるため、本実施の形態ではフローチャートその他の詳細な説明を省略する。
【0078】
以上より、本実施の形態2によれば、平均濾過比抵抗以外の濾過特性値を予測することもできる。特に本実施の形態では、目的変数とする濾過特性値に応じて説明変数とする粒度特性値を入れ替えることで、各濾過特性値の予測を好適に行うことができる。なお、上述した各実施形態では予測モデル50を端末2に備える例を示したがこれに限るものではない。例えばサーバ1または他のコンピュータ(図示せず)に予測モデル50をデプロイしてもよい。具体的には、サーバ1に予測モデル51~54を記憶しておき、顧客の端末2から送信された粒度分布または粒度特性値と、結果を希望する濾過特性値の種類(平均濾過比抵抗、圧縮性指数、平衡含液率、または脱液速度)と、顧客識別情報とを受信する。サーバ1の制御部11は濾過特性値の種類に応じて対応する予測モデル50を選択する。制御部11は粒度分布を受信した場合、表1に示した式により粒度特性値を求める。制御部11は選択した予測モデル50に粒度特性値を入力し、濾過特性値を取得する。制御部11は濾過特性値を端末2へ送信する。端末2の制御部21は、表示部24に受信した濾過特性値の種類と、濾過特性値と、当該濾過特性値に応じた運転条件を表示する。なお、制御部21は濾過特性値に対応付けて運転条件(運転速度、運転時間)を記憶したテーブルを参照して、運転条件を特定すればよい。サーバ1の制御部11は、単位期間(例えば1月)毎に、各予測モデル51~54の利用回数を計数し、顧客識別情報に対応付けて記憶する。制御部11は計数した合計値に利用単価を乗じて利用額を算出し、顧客識別情報に対応する端末2へ利用額を送信する。なお、単価は各予測モデル51~54共通であってもよいし、モデルの生成難易度に応じて予測モデル51~54毎に異なる単価としてもよい。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0080】
1 サーバ
11 制御部
12 主記憶部
13 通信部
14 補助記憶部
P1 プログラム
D データセット
2 端末
21 制御部
22 主記憶部
23 通信部
24 表示部
25 入力部
26 補助記憶部
P2 プログラム
50 予測モデル
51 予測モデル
52 予測モデル
53 予測モデル
54 予測モデル
3 計測装置
4 濾過装置
【手続補正書】
【提出日】2022-03-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体の粒度に関する粒度特性値と、前記粉体の濾過特性に関する濾過特性値とを含むデータセットを記憶部からコンピュータが読み込む工程と、
前記データセットを用いて、前記粒度特性値を入力した場合に前記濾過特性値を予測する学習済みモデルをコンピュータが構築する工程と、
前記濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度特性値をコンピュータが取得する工程と、
取得した前記原料粉体の粒度特性値を前記学習済みモデルに入力することで、前記原料粉体の濾過特性値をコンピュータが予測する工程と、
前記原料粉体及び液体を含む原料と、濾過装置とを準備する工程と、
予測された前記濾過特性値に基づき、前記濾過装置に前記原料を濾過させて前記原料粉体を得る工程と
を含み、
前記学習済みモデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
粉体の製造方法。
【請求項2】
前記学習済みモデルを構築する工程において、複数の前記粒度特性値を入力した場合に前記濾過特性値を予測する前記学習済みモデルを構築し、
前記濾過特性値を予測する工程において、前記原料粉体の複数の粒度特性値を前記学習済みモデルに入力することで、前記原料粉体の濾過特性値を予測する
請求項1に記載の粉体の製造方法。
【請求項3】
前記原料粉体の粒度分布を計測する工程を含み、
前記粒度特性値を取得する工程は、
計測された前記粒度分布をコンピュータが取得する工程と、
取得した前記粒度分布から前記原料粉体の複数の粒度特性値をコンピュータが抽出する工程とを含む
請求項2に記載の粉体の製造方法。
【請求項4】
前記学習済みモデルを構築する工程において、前記複数の粒度特性値を入力した場合に、前記原料を濾過することにより形成される濾過ケークの平均濾過比抵抗を予測する前記学習済みモデルを構築することを含む
請求項3に記載の粉体の製造方法。
【請求項5】
前記学習済みモデルを構築する工程において、前記複数の粒度特性値を入力した場合に、前記原料を濾過することにより形成される濾過ケークの圧縮性指数を予測する前記学習済みモデルを構築することを含む
請求項3または4に記載の粉体の製造方法。
【請求項6】
前記学習済みモデルを構築する工程において、前記粒度特性値を入力した場合に、互いに異なる種類の前記濾過特性値を予測する複数の学習済みモデルを構築し、
前記濾過特性値を予測する工程において、前記原料粉体の粒度特性値を各学習済みモデルに入力することで、複数種類の前記濾過特性値を予測する
請求項1~5のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
【請求項7】
前記複数の粒度特性値は、体積基準の前記粒度分布における累積10%径または累積10%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、該粒度分布における累積50%径または累積50%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、下記式で表される粒子径の均一性または均一性と相関係数が0.9以上である粒度特性値のうち1つ以上を含む
請求項4~6のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
均一性=(ΣVi|dV50-di|)/(dV50ΣVi)
(Viは体積基準の粒度分布における粒子iの体積百分率、dV50は体積基準の粒度分布における累積50%径、diは体積基準の粒度分布における粒子iの粒子径)
【請求項8】
前記学習済みモデルを構築する工程において、前記複数の粒度特性値を入力した場合に、前記原料を濾過することにより形成される濾過ケークの平衡含液率を予測する前記学習済みモデルを構築することを含む
請求項3~5のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
【請求項9】
前記複数の粒度特性値は、体積基準の前記粒度分布における累積10%径または累積10%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、該粒度分布における累積50%径または累積50%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値のうち1つ以上を含む
請求項8に記載の粉体の製造方法。
【請求項10】
前記学習済みモデルを構築する工程において、前記複数の粒度特性値を入力した場合に、前記原料を濾過することにより形成される濾過ケークの脱液速度を予測する前記学習済みモデルを構築することを含む
請求項3~9のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
【請求項11】
前記複数の粒度特性値は、個数基準の前記粒度分布における累積90%径または累積90%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、体積基準の前記粒度分布における累積10%径または累積10%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、該粒度分布における累積50%径または累積50%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値のうち1つ以上を含む
請求項10に記載の粉体の製造方法。
【請求項12】
前記粒度分布を計測する工程は、レーザ回折・散乱法による粒子径の計測装置、又は前記原料の撮像画像を解析することにより粒子径を計測する計測装置を用いて、前記粒度分布を計測する
請求項3~11のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
【請求項13】
前記学習済みモデルを構築する工程において、最小二乗回帰モデルを前記学習済みモデルとして構築する
請求項1~12のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
【請求項14】
原料粉体の粒度に関する粒度特性値を取得し、
粉体の粒度特性値を入力した場合に、該粉体の濾過特性に関する濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルに、取得した前記原料粉体の粒度特性値を入力することで前記原料粉体の濾過特性値を予測し、
前記モデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項15】
原料粉体の粒度に関する粒度特性値を取得し、
粉体の粒度特性値を入力した場合に、該粉体の濾過特性に関する濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルに、取得した前記原料粉体の粒度特性値を入力することで前記原料粉体の濾過特性値を予測し、
前記モデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項16】
原料粉体の粒度に関する粒度特性値を取得する取得部と、
粉体の粒度特性値を入力した場合に、該粉体の濾過特性に関する濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルに、取得した前記原料粉体の粒度特性値を入力することで前記原料粉体の濾過特性値を予測する予測部とを備え、
前記モデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
情報処理装置。
【請求項17】
粉体の粒度に関する粒度特性値と、前記粉体の濾過特性に関する濾過特性値とを含むデータセットを取得し、
前記データセットを用いて、前記粒度特性値を入力した場合に前記濾過特性値を予測する学習済みモデルを生成し、
前記学習済みモデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
処理をコンピュータが実行するモデル生成方法。
【請求項18】
濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度分布を計測装置から取得し、
取得した前記粒度分布から、前記原料粉体の複数の粒度特性値を抽出し、
抽出した前記複数の粒度特性値を、粉体の粒度特性値及び濾過特性値を含むデータセットを学習済みのモデルに入力し、
前記モデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項19】
粉体の粒度分布と、該粉体の小スケール濾過試験の実験データとを取得し、
前記粒度分布から粒度特性値を抽出し、
前記実験データから前記粉体の濾過特性値を算出し、
前記粒度特性値に対し、前記濾過特性値を対応付けたデータセットを生成し、
前記データセットは、前記粒度特性値を入力した場合に前記濾過特性値を予測する学習済みモデルの生成に用いられ、
前記学習済みモデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項20】
通信網を介して接続された端末装置から、濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度特性値を取得する取得部と、
粉体の粒度特性値を入力した場合に濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルに、取得した前記原料粉体の粒度特性値を入力することで前記原料粉体の濾過特性値を予測する予測部と、
予測した前記濾過特性値を前記端末装置に出力する出力部とを備え、
前記モデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
情報処理装置。
【請求項21】
濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度分布をサーバコンピュータに出力し、
前記サーバコンピュータから、粉体の粒度特性値を入力した場合に濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルを用いて予測された前記原料粉体の濾過特性値を取得し、
取得した前記濾過特性値に応じた濾過装置の運転条件を表示部に表示し、
前記モデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項22】
濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度特性値をコンピュータが取得する工程と、
粉体の粒度特性値を入力した場合に、前記粉体の濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルに、取得した前記原料粉体の粒度特性値を入力することで、前記原料粉体の濾過特性値をコンピュータが予測する工程と、
前記原料粉体及び液体を含む原料と、濾過装置とを準備する工程と、
予測された前記濾過特性値に基づき、前記濾過装置に前記原料を濾過させて前記原料粉体を得る工程とを含み、
前記モデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
粉体の製造方法。
【請求項23】
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記粉体の粒度に関する粒度特性値を含む入力値と、前記粉体の濾過特性に関する濾過特性値とを含むデータセットを記憶部からコンピュータが読み込む工程と、
前記データセットを用いて、前記入力値を入力した場合に前記濾過特性値を予測する学習済みモデルをコンピュータが構築する工程と、
前記濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度特性値をコンピュータが取得する工程と、
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、取得した前記原料粉体の粒度特性値を含む入力値を前記学習済みモデルに入力することで、前記原料粉体の濾過特性値をコンピュータが予測する工程と、
前記原料粉体及び液体を含む原料と、濾過装置とを準備する工程と、
予測された前記濾過特性値に基づき、前記濾過装置に前記原料を濾過させて前記原料粉体を得る工程と
を含む粉体の製造方法。
【請求項24】
原料粉体の粒度に関する粒度特性値を取得し、
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、粉体の粒度特性値を含む入力値を入力した場合に、該粉体の濾過特性に関する濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルに、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、取得した前記原料粉体の粒度特性値を含む入力値を入力することで前記原料粉体の濾過特性値を予測する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項25】
粉体の粒度分布と、該粉体の小スケール濾過試験の実験データとを取得し、
前記粒度分布から粒度特性値を抽出し、
前記実験データから前記粉体の濾過特性値を算出し、
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、粉体の粒度特性値を含む入力値を入力した場合に濾過特性値を予測する学習済みモデルを生成するためのデータセットであって、算出した前記粒度特性値に対し、前記濾過特性値を対応付けたデータセットを生成する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項26】
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値であって試験を行うことにより得られる値を含まず、前記粉体の粒度に関する粒度特性値を含む入力値と、前記粉体の濾過特性に関する濾過特性値とを含むデータセットを記憶部からコンピュータが読み込む工程と、
前記データセットを用いて、前記入力値を入力した場合に前記濾過特性値を予測する学習済みモデルをコンピュータが構築する工程と、
前記濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度特性値をコンピュータが取得する工程と、
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値であって試験を行うことにより得られる値を含まず、取得した前記原料粉体の粒度特性値を含む入力値を前記学習済みモデルに入力することで、前記原料粉体の濾過特性値をコンピュータが予測する工程と、
前記原料粉体及び液体を含む原料と、濾過装置とを準備する工程と、
予測された前記濾過特性値に基づき、前記濾過装置に前記原料を濾過させて前記原料粉体を得る工程と
を含む粉体の製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記粉体の粒度に関する粒度特性値を含む入力値と、前記粉体の濾過特性に関する濾過特性値とを含むデータセットを記憶部からコンピュータが読み込む工程と、
前記データセットを用いて、前記入力値を入力した場合に前記濾過特性値を予測する学習済みモデルをコンピュータが構築する工程と、
前記濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度特性値をコンピュータが取得する工程と、
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、取得した前記原料粉体の粒度特性値を含む入力値を前記学習済みモデルに入力することで、前記原料粉体の濾過特性値をコンピュータが予測する工程と、
前記原料粉体及び液体を含む原料と、濾過装置とを準備する工程と、
予測された前記濾過特性値に基づき、前記濾過装置に前記原料を濾過させて前記原料粉体を得る工程と
を含み、
前記学習済みモデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
粉体の製造方法。
【請求項2】
前記学習済みモデルを構築する工程において、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、複数の前記粒度特性値を含む前記入力値を入力した場合に前記濾過特性値を予測する前記学習済みモデルを構築し、
前記濾過特性値を予測する工程において、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記原料粉体の複数の粒度特性値を含む前記入力値を前記学習済みモデルに入力することで、前記原料粉体の濾過特性値を予測する
請求項1に記載の粉体の製造方法。
【請求項3】
前記原料粉体の粒度分布を計測する工程を含み、
前記粒度特性値を取得する工程は、
計測された前記粒度分布をコンピュータが取得する工程と、
取得した前記粒度分布から前記原料粉体の複数の粒度特性値をコンピュータが抽出する工程とを含む
請求項2に記載の粉体の製造方法。
【請求項4】
前記学習済みモデルを構築する工程において、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記複数の粒度特性値を含む前記入力値を入力した場合に、前記原料を濾過することにより形成される濾過ケークの平均濾過比抵抗を予測する前記学習済みモデルを構築することを含む
請求項3に記載の粉体の製造方法。
【請求項5】
前記学習済みモデルを構築する工程において、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記複数の粒度特性値を含む前記入力値を入力した場合に、前記原料を濾過することにより形成される濾過ケークの圧縮性指数を予測する前記学習済みモデルを構築することを含む
請求項3または4に記載の粉体の製造方法。
【請求項6】
前記学習済みモデルを構築する工程において、前記入力値を入力した場合に、互いに異なる種類の前記濾過特性値を予測する複数の学習済みモデルを構築し、
前記濾過特性値を予測する工程において、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記原料粉体の粒度特性値を含む前記入力値を各学習済みモデルに入力することで、複数種類の前記濾過特性値を予測する
請求項1~5のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
【請求項7】
前記複数の粒度特性値は、体積基準の前記粒度分布における累積10%径または累積10%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、該粒度分布における累積50%径または累積50%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、下記式で表される粒子径の均一性または均一性と相関係数が0.9以上である粒度特性値のうち1つ以上を含む
請求項4~6のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
均一性=(ΣVi|dV50-di|)/(dV50ΣVi)
(Viは体積基準の粒度分布における粒子iの体積百分率、dV50は体積基準の粒度分布における累積50%径、diは体積基準の粒度分布における粒子iの粒子径)
【請求項8】
前記学習済みモデルを構築する工程において、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記複数の粒度特性値を含む前記入力値を入力した場合に、前記原料を濾過することにより形成される濾過ケークの平衡含液率を予測する前記学習済みモデルを構築することを含む
請求項3~5のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
【請求項9】
前記複数の粒度特性値は、体積基準の前記粒度分布における累積10%径または累積10%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、該粒度分布における累積50%径または累積50%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値のうち1つ以上を含む
請求項8に記載の粉体の製造方法。
【請求項10】
前記学習済みモデルを構築する工程において、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記複数の粒度特性値を含む前記入力値を入力した場合に、前記原料を濾過することにより形成される濾過ケークの脱液速度を予測する前記学習済みモデルを構築することを含む
請求項3~9のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
【請求項11】
前記複数の粒度特性値は、個数基準の前記粒度分布における累積90%径または累積90%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、体積基準の前記粒度分布における累積10%径または累積10%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値と、該粒度分布における累積50%径または累積50%径と相関係数が0.9以上である粒度特性値のうち1つ以上を含む
請求項10に記載の粉体の製造方法。
【請求項12】
前記粒度分布を計測する工程は、レーザ回折・散乱法による粒子径の計測装置、又は前記原料の撮像画像を解析することにより粒子径を計測する計測装置を用いて、前記粒度分布を計測する
請求項3~11のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
【請求項13】
前記学習済みモデルを構築する工程において、最小二乗回帰モデルを前記学習済みモデルとして構築する
請求項1~12のいずれか1項に記載の粉体の製造方法。
【請求項14】
原料粉体の粒度に関する粒度特性値を取得し、
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記粉体の粒度特性値を含む入力値を入力した場合に、該粉体の濾過特性に関する濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルに、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、取得した前記原料粉体の粒度特性値を含む入力値を入力することで前記原料粉体の濾過特性値を予測し、
前記モデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項15】
原料粉体の粒度に関する粒度特性値を取得し、
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記粉体の粒度特性値を含む入力値を入力した場合に、該粉体の濾過特性に関する濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルに、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、取得した前記原料粉体の粒度特性値を含む入力値を入力することで前記原料粉体の濾過特性値を予測し、
前記モデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項16】
原料粉体の粒度に関する粒度特性値を取得する取得部と、
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記粉体の粒度特性値を含む入力値を入力した場合に、該粉体の濾過特性に関する濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルに、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、取得した前記原料粉体の粒度特性値を含む入力値を入力することで前記原料粉体の濾過特性値を予測する予測部とを備え、
前記モデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
情報処理装置。
【請求項17】
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記粉体の粒度に関する粒度特性値を含む入力値と、前記粉体の濾過特性に関する濾過特性値とを含むデータセットを取得し、
前記データセットを用いて、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記粒度特性値を含む入力値を入力した場合に前記濾過特性値を予測する学習済みモデルを生成し、
前記学習済みモデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
処理をコンピュータが実行するモデル生成方法。
【請求項18】
濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度分布を計測装置から取得し、
取得した前記粒度分布から、前記原料粉体の複数の粒度特性値を抽出し、
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、抽出した前記複数の粒度特性値を含む入力値を、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記粉体の粒度特性値を含む入力値と、濾過特性値とを含むデータセットを学習済みのモデルに入力し、
前記モデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項19】
粉体の粒度分布と、該粉体の小スケール濾過試験の実験データとを取得し、
前記粒度分布から粒度特性値を抽出し、
前記実験データから前記粉体の濾過特性値を算出し、
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記粒度特性値を含む入力値に対し、前記濾過特性値を対応付けたデータセットを生成し、
前記データセットは、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記粒度特性値を含む入力値を入力した場合に前記濾過特性値を予測する学習済みモデルの生成に用いられ、
前記学習済みモデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項20】
通信網を介して接続された端末装置から、濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度特性値を取得する取得部と、
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記粉体の粒度特性値を含む入力値を入力した場合に濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルに、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、取得した前記原料粉体の粒度特性値を含む入力値を入力することで前記原料粉体の濾過特性値を予測する予測部と、
予測した前記濾過特性値を前記端末装置に出力する出力部とを備え、
前記モデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
情報処理装置。
【請求項21】
濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度分布をサーバコンピュータに出力し、
前記サーバコンピュータから、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記粉体の粒度特性値を含む入力値を入力した場合に濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルを用いて予測された前記原料粉体の濾過特性値を取得し、
取得した前記濾過特性値に応じた濾過装置の運転条件を表示部に表示し、
前記モデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項22】
濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度特性値をコンピュータが取得する工程と、
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記粉体の粒度特性値を含む入力値を入力した場合に、前記粉体の濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルに、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、取得した前記原料粉体の粒度特性値を含む入力値を入力することで、前記原料粉体の濾過特性値をコンピュータが予測する工程と、
前記原料粉体及び液体を含む原料と、濾過装置とを準備する工程と、
予測された前記濾過特性値に基づき、前記濾過装置に前記原料を濾過させて前記原料粉体を得る工程とを含み、
前記モデルは、固液混合物を濾過することにより形成される濾過ケークの空隙率に関する特性値、前記固液混合物の沈降を行うことにより形成される沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものと、前記濾過ケークに及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層が及ぼす圧力に関する特性値、前記沈降堆積層の空隙率に関する特性値、及び前記固液混合物に含まれる固体粒子の粒度分布に関する特性値を入力した場合に前記濾過ケークの濾過比抵抗に関する特性値を予測するものとを除く
粉体の製造方法。
【請求項23】
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、前記粉体の粒度に関する粒度特性値を含む入力値と、前記粉体の濾過特性に関する濾過特性値とを含むデータセットを記憶部からコンピュータが読み込む工程と、
前記データセットを用いて、前記入力値を入力した場合に前記濾過特性値を予測する学習済みモデルをコンピュータが構築する工程と、
前記濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度特性値をコンピュータが取得する工程と、
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、取得した前記原料粉体の粒度特性値を含む入力値を前記学習済みモデルに入力することで、前記原料粉体の濾過特性値をコンピュータが予測する工程と、
前記原料粉体及び液体を含む原料と、濾過装置とを準備する工程と、
予測された前記濾過特性値に基づき、前記濾過装置に前記原料を濾過させて前記原料粉体を得る工程と
を含む粉体の製造方法。
【請求項24】
原料粉体の粒度に関する粒度特性値を取得し、
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、粉体の粒度特性値を含む入力値を入力した場合に、該粉体の濾過特性に関する濾過特性値を予測するよう学習済みのモデルに、粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、取得した前記原料粉体の粒度特性値を含む入力値を入力することで前記原料粉体の濾過特性値を予測する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項25】
粉体の粒度分布と、該粉体の小スケール濾過試験の実験データとを取得し、
前記粒度分布から粒度特性値を抽出し、
前記実験データから前記粉体の濾過特性値を算出し、
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値を含まず、粉体の粒度特性値を含む入力値を入力した場合に濾過特性値を予測する学習済みモデルを生成するためのデータセットであって、算出した前記粒度特性値に対し、前記濾過特性値を対応付けたデータセットを生成する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項26】
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値であって試験を行うことにより得られる値を含まず、前記粉体の粒度に関する粒度特性値を含む入力値と、前記粉体の濾過特性に関する濾過特性値とを含むデータセットを記憶部からコンピュータが読み込む工程と、
前記データセットを用いて、前記入力値を入力した場合に前記濾過特性値を予測する学習済みモデルをコンピュータが構築する工程と、
前記濾過特性値を予測すべき原料粉体の粒度特性値をコンピュータが取得する工程と、
粉体を含む固液混合物の濾過により得られる値及び沈降を行うことにより得られる値であって試験を行うことにより得られる値を含まず、取得した前記原料粉体の粒度特性値を含む入力値を前記学習済みモデルに入力することで、前記原料粉体の濾過特性値をコンピュータが予測する工程と、
前記原料粉体及び液体を含む原料と、濾過装置とを準備する工程と、
予測された前記濾過特性値に基づき、前記濾過装置に前記原料を濾過させて前記原料粉体を得る工程と
を含む粉体の製造方法。