(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099945
(43)【公開日】2023-07-14
(54)【発明の名称】液滴吐出装置
(51)【国際特許分類】
B05C 11/00 20060101AFI20230707BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230707BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20230707BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
B05C11/00
B41J2/01 303
B41J2/01 451
B05C11/10
B05C5/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022000230
(22)【出願日】2022-01-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】新井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松本 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】野々山 裕介
(72)【発明者】
【氏名】赤井 武志
【テーマコード(参考)】
2C056
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB13
2C056EB46
2C056EC26
2C056FA04
2C056FA10
4F041AA03
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA22
4F041BA38
4F042AA11
4F042BA02
4F042BA03
4F042BA08
4F042BA12
4F042CB03
4F042CB10
4F042DF05
4F042DH02
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】格納容器に形成された液滴格納部内に液滴を精密に配置しつつ、液滴を吐出する吐出部が格納容器に衝突してしまうことを抑制できるようにすること。
【解決手段】液滴吐出装置は、格納容器の液滴格納部に液滴を吐出する液滴吐出装置であって、ノズル孔から所定量の液滴を吐出する液滴吐出部と、格納容器を保持する格納容器保持部と、格納容器保持部によって保持された格納容器に対して液滴吐出部を相対的に移動させる移動部と、格納容器保持部によって保持された格納容器の表面の形状を検出する検出部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納容器の液滴格納部に液滴を吐出する液滴吐出装置であって、
ノズル孔から所定量の前記液滴を吐出する液滴吐出部と、
前記格納容器を保持する格納容器保持部と、
前記格納容器保持部によって保持された格納容器に対して前記液滴吐出部を相対的に移動させる移動部と、
前記格納容器保持部によって保持された格納容器の表面の形状を検出する検出部と
を備えることを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
複数種類の格納容器の各々の形状データを記憶する記憶部と、
前記検出部によって検出された前記格納容器の表面の一部の形状と、前記記憶部に記憶されている複数の形状データとを照合することにより、前記格納容器保持部によって保持された前記格納容器の種類を推定する推定部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記推定部は、
前記格納容器のサイズ、前記液滴格納部の数、前記液滴格納部の形状、前記液滴格納部のサイズ、および前記液滴格納部の形成間隔、の少なくともいずれか一つに基づいて、前記格納容器の種類を推定する
ことを特徴とする請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
入力された形状データを前記記憶部に登録する登録部
を備えることを特徴とする請求項2または3に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
ユーザからの使用する前記格納容器の種類の選択を受け付ける選択受付部と、
選択された前記格納容器の種類と、前記推定部によって推定された前記格納容器の種類とが異なる場合、警告を行う警告部と
を備えることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記格納容器の表面までの距離を非接触に検出する測距センサである
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記検出部は、前記格納容器の表面の画像を撮像する撮像装置である
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記液滴吐出部と前記検出部とを一体的に保持する保持部を備える
ことを特徴とする請求項6に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記液滴格納部は、凹状を有する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
前記検出部による前記格納容器の表面の形状の検出結果に基づいて、前記格納容器に蓋が装着されているか否かを判定する蓋判定部と、
前記蓋判定部によって前記格納容器に蓋が装着されている判定された場合、警告を行うとともに、前記液滴の吐出を行わないように制御する異常時処理部と
を備えることを特徴とする請求項9に記載の液滴吐出装置。
【請求項11】
前記液滴吐出部の前記ノズル孔の先端部を、前記格納容器の前記液滴格納部内に挿入させて、前記ノズル孔の先端部から所定量の前記液滴を吐出させる吐出制御部
を備えることを特徴とする請求項9または10に記載の液滴吐出装置。
【請求項12】
前記液滴吐出部は、インクジェットヘッドである
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ウェルプレートに形成されたウェル内に液滴を精密に配置する目的で、ウェルの内部にメンブレンのノズル孔を配置した状態で、ノズル孔から液滴を吐出する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の技術では、設定されたウェルプレートと異なる種類のウェルプレートが設置された場合、ノズル孔をウェルの内部に挿入するときに、吐出ヘッドがウェルプレートに衝突し、装置が破損する虞がある。
【0004】
本発明は、上述した従来技術の課題を解決するため、格納容器に形成された液滴格納部内に液滴を精密に配置しつつ、液滴を吐出する吐出部が格納容器に衝突してしまうことを抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、一実施形態に係る液滴吐出装置は、格納容器の液滴格納部に液滴を吐出する液滴吐出装置であって、ノズル孔から所定量の液滴を吐出する液滴吐出部と、格納容器を保持する格納容器保持部と、格納容器保持部によって保持された格納容器に対して液滴吐出部を相対的に移動させる移動部と、格納容器保持部によって保持された格納容器の表面の形状を検出する検出部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態に係る液滴吐出装置によれば、格納容器に形成された液滴格納部内に液滴を精密に配置しつつ、液滴を吐出する吐出部が格納容器に衝突してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る液滴吐出装置の構成の一例を示す図
【
図2】第1実施形態に係る液滴吐出装置に用いられる格納容器の構成の一例を示す図
【
図3】第1実施形態に係る液滴吐出装置が備える制御部の機能構成の一例を示す図
【
図4】第1実施形態に係る液滴吐出装置が備える制御部による処理の手順の一例を示すフローチャート
【
図5】第1実施形態に係る液滴吐出装置による距離の検出の一例を示す図
【
図6】第1実施形態に係る液滴吐出装置によって生成される形状データの一例を示す図
【
図7】第2実施形態に係る液滴吐出装置が備える制御部の機能構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
【0009】
〔第1実施形態〕
(液滴吐出装置100の構成の一例)
図1は、第1実施形態に係る液滴吐出装置100の構成の一例を示す図である。
図1に示す液滴吐出装置100は、格納容器10の表面10Aに形成された凹状の液滴格納部11の内部に、液滴吐出部101の先端部を配置した状態で、液滴吐出部101の先端部のノズル孔101Aから液滴を吐出することが可能な装置である。これにより、液滴吐出装置100は、液滴格納部11の上方から液滴を吐出する場合と比較して、液滴格納部11の内部への液滴の配置精度を高めることができる。
【0010】
液滴吐出装置100は、例えば、バイオプリンタとして用いることができる。この場合、液滴吐出装置100は、細胞含有液(「液滴」の一例)を、ウエルプレート(「格納容器」の一例)のウエル(「液滴格納部」の一例)内に吐出することができる。
【0011】
図1に示すように、液滴吐出装置100は、液滴吐出部101、検出部102、保持部103、格納容器保持部104、移動部105、フレーム106、および制御部110を備える。
【0012】
液滴吐出部101は、先端部(下端部)にノズル孔101Aを有しており、当該ノズル孔101Aから下方(Z軸負方向)に向けて、所定量の液滴を吐出することができる。液滴吐出部101には、例えば、インクジェットヘッドが用いられる。
【0013】
例えば、液滴吐出部101としてインクジェットヘッドを用いた場合、液滴吐出部101は、液室、ノズル孔101A、注入口、およびアクチュエータ(例えば、ピエゾ素子)を有して構成される。この場合、液滴吐出部101では、加圧手段によって液体を貯留する貯留容器が加圧されることにより、貯留容器から注入口を介して液室内に液体が供給される。さらに、液滴吐出部101では、アクチュエータに電圧が印加されて、液室内の液体がアクチュエータによって加圧されることにより、液室からノズル孔101Aを介して、所定量の液滴が吐出される。
【0014】
検出部102は、格納容器保持部104によって保持された格納容器10の形状を検出する。本実施形態では、検出部102は、赤外線等を用いて、当該検出部102から、格納容器保持部104によって保持された格納容器10の表面10Aまでの距離を検出する測距センサである。測距センサとしては、例えば、レーザセンサ、TOF(Time of Flight)センサ、超音波センサ、ミリ波レーダー等を用いることができる。
【0015】
保持部103は、液滴吐出部101および検出部102を保持する。保持部103は、移動部105(第1水平移動部105Bおよび垂直移動部105C)によって水平方向(X軸方向)、および垂直方向(Z軸方向)に移動可能に設けられている。保持部103は、水平方向に移動することで、液滴吐出部101および検出部102を水平方向に移動させることができる。第1実施形態に係る液滴吐出装置100は、保持部103によって液滴吐出部101および検出部102を保持することで、液滴吐出部101および検出部102を一体的且つ同時に水平方向に移動させることができるため、装置の小型化およびコストダウンを実現できる。
【0016】
格納容器保持部104は、格納容器10を保持する。例えば、
図1に示す例では、格納容器保持部104は、水平な平面状の載置面104Aを有しており、当該載置面104Aに載置された格納容器10を保持することができる。格納容器保持部104は、移動部105(第2水平移動部105A)によって水平方向(Y軸方向)に移動可能に設けられている。
【0017】
移動部105は、格納容器保持部104によって保持された格納容器10に対して、保持部103を相対的に移動させることにより、保持部103によって保持されている液滴吐出部101および検出部102を相対的に移動させることができる。ここで、「相対的に移動」とは、水平方向(X軸方向とY軸方向とを含む)への相対移動および垂直方向(Z軸方向)への相対移動を含む。これらの相対移動手段は、各軸方向への相対移動につきそれぞれ独立して存在してもよいし、1つの移動手段で複数の軸方向への相対移動を制御してもよい。移動部105は、垂直移動部105Cと、第1水平移動部105Bと、第2水平移動部105Aとを有する。垂直移動部105Cは、保持部103を上下方向(Z軸方向)に移動させることができる。第1水平移動部105Bは、保持部103を左右方向(X軸方向)に移動させることができる。第2水平移動部105Aは、格納容器保持部104を前後方向(Y軸方向)に移動させることができる。
【0018】
フレーム106は、各構成部を支持する。
図1に示す例では、フレーム106は、水平な平板状の基板106Aと、基板106Aの上面に垂直に立設された複数の支柱106Bとを有して構成されている。基板106Aの上面の中央部には、格納容器保持部104および第2水平移動部105Aが設置されている。複数の支柱106Bは、第1水平移動部105Bの左右両端部を、所定の高さ位置で支持する。
【0019】
制御部110は、液滴吐出部101による液滴の吐出、移動部105による保持部103の水平方向(X軸方向)への移動、及び垂直方向(Z軸方向)への移動、移動部105による格納容器保持部104の水平方向(Y軸方向)への移動、および、検出部102による格納容器10の形状の検出を制御する。
【0020】
(格納容器10の構成の一例)
図2は、第1実施形態に係る液滴吐出装置100に用いられる格納容器10の構成の一例を示す図である。
図2(a)は、格納容器10の平面図である。
図2(b)は、格納容器10のA-A断面図である。
【0021】
図2に示すように、格納容器10の表面10Aには、複数の液滴格納部11が形成されている。
図2に示す例では、格納容器10の表面10Aには、複数の液滴格納部11が、X軸方向に複数列を有し、Y軸方向に複数行を有する、マトリクス状に形成されている。また、
図2に示す例では、複数の液滴格納部11の各々は、下方(Z軸負方向)に向かって凹んだ凹状を有しており、且つ、平面視において円形状を有する。
【0022】
なお、液滴吐出装置100には、複数種類の格納容器10が用いられる。格納容器10の仕様(例えば、格納容器10のサイズ、液滴格納部11の数、配置パターン、形状、サイズ等)は、格納容器10の種類によって多様である。
【0023】
第1実施形態に係る液滴吐出装置100は、移動部105によって検出部102を水平方向(X軸方向)に、格納容器10を前後方向(Y軸方向)に移動させながら、検出部102によって格納容器10の表面10Aまでの距離を連続的に検出することにより、格納容器10の表面10Aの形状を測定(スキャン)することができる。すなわち、液滴吐出装置100は、格納容器10の表面10Aにおける、複数の液滴格納部11の各々の領域を判定することができる。しかしながら、検出部102の移動は、格納容器10に対してX軸方向およびY軸方向に相対的に移動すればよく、上記形態に限定されるものではない。例えば、検出部102または格納容器10のどちらかがX軸方向およびY軸方向に移動してもよいし、検出部102を前後方向(Y軸方向)に、格納容器10を水平方向(X軸方向)に移動させてもよい。
【0024】
そして、第1実施形態に係る液滴吐出装置100は、判定された複数の液滴格納部11の各々に対し、液滴吐出部101の先端部を挿入して、液滴吐出部101の先端部から所定量の液滴を、液滴格納部11内に吐出することができる。このため、第1実施形態に係る液滴吐出装置100は、液滴吐出部101の先端部を格納容器10の表面10Aに当接させることなく、液滴格納部11内に液滴吐出部101の先端部を高精度に挿入することができる。
【0025】
したがって、第1実施形態に係る液滴吐出装置100によれば、仕様が異なる複数種類の格納容器10が用いられる場合であっても、格納容器10の種類毎に表面10Aの形状を測定することで、複数の液滴格納部11の各々に対して、高精度に液滴を吐出することができる。
【0026】
(制御部110の機能構成)
図3は、第1実施形態に係る液滴吐出装置100が備える制御部110の機能構成の一例を示す図である。
【0027】
図3に示すように、制御部110は、検出制御部111、形状判定部112、および吐出制御部113を備える。
【0028】
検出制御部111は、検出部102による格納容器10の形状の検出を制御する。例えば、検出制御部111は、保持部103を水平方向(X軸方向)へ移動させ、格納容器保持部104を水平方向(Y軸方向)へ移動させながら、検出部102に、格納容器10の表面10Aまでの距離の連続的な検出を行わせる。そして、検出制御部111は、検出部102が距離を検出する毎に、検出部102から、検出された距離を示す距離データを取得する。すなわち、検出制御部111は、検出部102が複数の距離データを連続的に出力するのに応じて、格納容器10の表面10Aの位置毎の複数の距離データを連続的に取得する。
【0029】
形状判定部112は、検出制御部111によって取得された複数の距離データに基づいて、格納容器10の表面10Aの形状を判定する。
【0030】
例えば、形状判定部112は、格納容器10の表面10Aにおいて、検出された距離が第1の距離Haで一定で変化しない領域を、液滴格納部11が形成されていない領域として判定することができる。
【0031】
一方、形状判定部112は、格納容器10の表面10Aにおいて、検出された距離が第1の距離Haよりも大きい第2の距離Hbである領域を、液滴格納部11が形成されている領域として判定することができる。
【0032】
このようにして、形状判定部112は、格納容器10の表面10Aにおける複数の液滴格納部11の各々の形成領域(すなわち、位置、形状、およびサイズ)を判定することができる。
【0033】
吐出制御部113は、形状判定部112によって判定された格納容器10の形状に基づいて、液滴吐出部101による液滴の吐出を制御する。
【0034】
例えば、吐出制御部113は、形状判定部112によって形成領域が特定された、複数の液滴格納部11の各々に対し、液滴吐出部101に液滴を吐出させる。
【0035】
具体的には、吐出制御部113は、移動部105による保持部103の水平方向(X軸方向)への移動、及び格納容器保持部104の水平方向(Y軸方向)への移動を制御することにより、液滴吐出部101の先端部を、液滴格納部11の形成領域の上方に移動させる。
【0036】
そして、吐出制御部113は、移動部105による保持部103の垂直方向(Z軸方向)への移動を制御することにより、液滴吐出部101の先端部を、液滴格納部11内に挿入させる。
【0037】
さらに、吐出制御部113は、液滴吐出部101の先端部が液滴格納部11内に挿入された状態で、液滴吐出部101の先端部のノズル孔101Aから所定量の液滴を吐出させる。吐出制御部113は、複数の液滴格納部11の各々に対してこの制御を行うことにより、複数の液滴格納部11の各々に対し、高精度に液滴を配置することができる。
【0038】
制御部110の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0039】
(制御部110による処理の手順の一例)
図4は、第1実施形態に係る液滴吐出装置100が備える制御部110による処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0040】
まず、検出制御部111が、保持部103の水平方向(X軸方向)への移動、及び格納容器保持部104の水平方向(Y軸方向)への移動と、検出部102による格納容器10の表面10Aまでの距離の連続的な検出を開始させる(ステップS401)。
【0041】
そして、検出制御部111が、検出部102が複数の距離データを連続的に出力するのに応じて、格納容器10の表面10Aの位置毎の、複数の距離データを連続的に取得する(ステップS402)。
【0042】
次に、形状判定部112が、ステップS402で取得された複数の距離データに基づいて、格納容器10の表面10Aの形状を判定する(ステップS403)。この判定結果には、格納容器10の表面10Aにおける複数の液滴格納部11の各々の形成領域(位置、形状、およびサイズ等)が含まれる。
【0043】
次に、吐出制御部113が、移動部105による保持部103の水平方向(X軸方向)への移動、及び格納容器保持部104の水平方向(Y軸方向)への移動を制御することにより、液滴吐出部101の先端部を、ステップS403で判定された液滴格納部11の形成領域の上方に移動させる(ステップS404)。このとき、吐出制御部113は、液滴吐出部101の先端部が格納容器10の表面10Aに当接しないように、液滴吐出部101の先端部が完全に液滴格納部11の形成領域の範囲内に収まるようにする。
【0044】
次に、吐出制御部113が、移動部105による保持部103の垂直方向(Z軸方向)への移動を制御することにより、液滴吐出部101の先端部を、液滴格納部11内に挿入させる(ステップS405)。
【0045】
次に、吐出制御部113が、液滴吐出部101の先端部が液滴格納部11内に挿入された状態で、液滴吐出部101の先端部のノズル孔101Aから所定量の液滴を吐出させる(ステップS406)。
【0046】
次に、吐出制御部113が、全ての液滴格納部11への液滴の吐出が完了したか否かを判断する(ステップS407)。
【0047】
ステップS407において、全ての液滴格納部11への液滴の吐出が完了していないと判断された場合(ステップS407:No)、制御部110は、ステップS404へ処理を戻す。
【0048】
一方、ステップS407において、全ての液滴格納部11への液滴の吐出が完了したと判断された場合(ステップS407:Yes)、制御部110は、
図4に示す一連の処理を終了する。
【0049】
第1実施形態に係る液滴吐出装置100は、
図4に示す一連の処理を実行することにより、液滴吐出部101の先端部を格納容器10の表面10Aに当接させることなく、複数の液滴格納部11の各々に対し、高精度に液滴を配置することができる。
【0050】
(液滴吐出装置100による距離の検出の一例)
図5は、第1実施形態に係る液滴吐出装置100による距離の検出の一例を示す図である。
図6は、第1実施形態に係る液滴吐出装置100によって生成される形状データの一例を示す図である。
【0051】
図5(a)に示すように、第1実施形態に係る液滴吐出装置100は、検出部102によって、格納容器10の表面10Aにおける液滴格納部11が形成されていない領域までの距離を検出した場合、第1の距離Haが検出される。
【0052】
一方、
図5(b)に示すように、第1実施形態に係る液滴吐出装置100は、検出部102によって、格納容器10の表面10Aにおける液滴格納部11が形成されている領域までの距離を検出した場合、第1の距離Haよりも液滴格納部11の深さ分大きい第2の距離Hbが検出される。
【0053】
このため、第1実施形態に係る液滴吐出装置100は、検出部102を水平方向に移動させながら、検出部102によって格納容器10の表面10Aまでの距離を検出することにより、
図6に示すように、液滴格納部11が形成されていない位置の距離が第1の距離Haとなり、液滴格納部11が形成されている位置の距離が第2の距離Hbとなる、格納容器10の表面10Aの形状データ(位置と距離との関係を示す形状データ)を生成することができる。
【0054】
その際、第1実施形態に係る液滴吐出装置100は、格納容器10の表面10Aの全体をスキャンするように、検出部102を水平方向(X軸方向)に移動、及び格納容器保持部104を水平方向(Y軸方向)に移動させることにより、格納容器10の表面10Aの全体の形状を検出することができる。
【0055】
そして、第1実施形態に係る液滴吐出装置100は、この形状データに基づいて、液滴格納部11内に液滴吐出部101の先端部を挿入することにより、液滴吐出部101の先端部を格納容器10の表面10Aに当接させることなく、液滴格納部11内に液滴吐出部101の先端部を高精度に挿入することができる。
【0056】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る液滴吐出装置100に関し、第1実施形態に係る液滴吐出装置100からの変更点について説明する。
【0057】
(制御部110の機能構成)
図7は、第2実施形態に係る液滴吐出装置100が備える制御部110の機能構成の一例を示す図である。
【0058】
図7に示すように、第2実施形態に係る制御部110は、記憶部114、推定部115、登録部116、選択受付部117、警告部118、蓋判定部119、および異常時処理部120をさらに備える。
【0059】
記憶部114は、複数種類の格納容器10の各々の形状データを記憶する。
【0060】
推定部115は、検出部102によって検出された格納容器10の表面10Aの一部の形状と、記憶部114に記憶されている複数の形状データとを照合することにより、格納容器保持部104によって保持された格納容器10の種類を推定する。
【0061】
例えば、推定部115は、格納容器10のサイズ、液滴格納部11の数、液滴格納部11の形状、液滴格納部11のサイズ、および液滴格納部11の形成間隔、の少なくともいずれか一つに基づいて、格納容器10の種類を推定する。
【0062】
第2実施形態に係る液滴吐出装置100において、形状判定部112は、推定部115によって推定された格納容器10の形状データを記憶部114から取得することで、格納容器10の表面10Aの全体の形状を判定することができる。
【0063】
これにより、第2実施形態に係る液滴吐出装置100は、格納容器10の表面10Aの全体の形状を測定することなく、格納容器10の表面10Aの一部の形状の検出結果に基づいて、格納容器保持部104によって保持された格納容器10の種類を推定し、当該格納容器10の表面10Aの全体の形状を判定することができる。このため、第2実施形態に係る制御部110は、測定時間の短縮および構成の簡素化による、ダウンサイジングおよびコストダウンが可能である。
【0064】
登録部116は、入力された格納容器10の形状データを、記憶部114に登録する。これにより、第2実施形態に係る液滴吐出装置100は、記憶部114に形状データが記録されていない格納容器10を新たに使用する場合であっても、当該格納容器10の形状データを記憶部114に登録することで、推定部115による当該格納容器10の推定が可能となる。
【0065】
選択受付部117は、ユーザからの使用する格納容器10の種類の選択を受け付ける。例えば、選択受付部117は、記憶部に記憶されている複数の格納容器10の種類をディスプレイに表示して、複数の格納容器10の種類の中から、いずれか一つの格納容器10をユーザに選択させる。
【0066】
警告部118は、選択された格納容器10の種類と、推定部115によって推定された格納容器10の種類とが異なる場合、警告を行う。
【0067】
これにより、第2実施形態に係る液滴吐出装置100は、ユーザが格納容器10の種類の選択ミスを行った場合、当該選択ミスをユーザに通知できるとともに、誤った形状データによる液滴の吐出を行ってしまうことを抑制することができる。
【0068】
蓋判定部119は、検出部102による格納容器10の表面10Aの形状の検出結果に基づいて、格納容器10に蓋が装着されているか否かを判定する。例えば、蓋判定部119は、検出部102によって液滴格納部11が検出されなかった場合、または、検出部102による液滴格納部11の検出数が不足している場合、格納容器10に蓋が装着されていると判定する。
【0069】
異常時処理部120は、蓋判定部119によって格納容器10に蓋が装着されている判定された場合、警告を行うとともに、液滴吐出部101による液滴の吐出を行わないように制御する。
【0070】
これにより、第2実施形態に係る液滴吐出装置100は、格納容器10に蓋が装着されている場合、当該蓋の装着をユーザに通知できるとともに、蓋が装着されている格納容器10に対する誤った液滴の吐出を行ってしまうことを抑制することができる。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0072】
例えば、検出部102は、格納容器10の表面10Aの画像を撮像する撮像装置(例えば、ステレオカメラ)であってもよい。この場合、格納容器10の表面10Aの全体を一度に撮影できるため、検出部102を移動させながらの撮影は行わなくてもよい。
【0073】
なお、本書において、「格納容器保持部によって保持された格納容器に対して液滴吐出部を相対的に移動させる移動部」は、「格納容器保持部によって保持された格納容器に対して液滴吐出部を水平方向および垂直方向に相対的に移動させる移動部」と表現することもできるし、「格納容器保持部によって保持された格納容器に対して液滴吐出部を水平方向に相対的に移動させる水平移動部、および、格納容器保持部によって保持された格納容器に対して液滴吐出部を垂直方向に相対的に移動させる垂直移動部」と分けて表現することもできる。この場合、実施形態の第1水平移動部105Bおよび第2水平移動部105Aが「水平移動部」に相当し、実施形態の垂直移動部105Cが「垂直移動部」に相当する。また、「格納容器保持部によって保持された格納容器に対して液滴吐出部を第1の水平方向に相対的に移動させる第1水平移動部、格納容器保持部によって保持された格納容器に対して液滴吐出部を第1の水平方向と直交する第2の水平方向に相対的に移動させる第2水平移動部、および、格納容器保持部によって保持された格納容器に対して液滴吐出部を垂直方向に相対的に移動させる垂直移動部」と表現することもできる。
【符号の説明】
【0074】
10 格納容器
10A 表面
11 液滴格納部
100 液滴吐出装置
101 液滴吐出部
101A ノズル孔
102 検出部(測距センサ)
103 保持部
104 格納容器保持部
104A 載置面
105 移動部
105A 第2水平移動部
105B 第1水平移動部
105C 垂直移動部
106 フレーム
106A 基板
106B 支柱
110 制御部
111 検出制御部
112 形状判定部
113 吐出制御部
114 記憶部
115 推定部
116 登録部
117 選択受付部
118 警告部
119 蓋判定部
120 異常時処理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】