(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100235
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】シリコン窒化膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/318 20060101AFI20240719BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240719BHJP
C23C 16/42 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
H01L21/318 B
H01L21/31 C
C23C16/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004078
(22)【出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】野上 隆文
(72)【発明者】
【氏名】中野 嘉紀
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA06
4K030AA13
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4K030BA40
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5F058BF08
5F058BF23
5F058BF24
5F058BF26
5F058BF30
(57)【要約】
【課題】グラフェン膜の上にシリコン窒化膜を形成する際に、グラフェン膜の減膜を抑制し、グラフェン膜とシリコン窒化膜の密着性を向上する、シリコン窒化膜の形成方法を提供する。
【解決手段】処理容器内に表面にグラフェン膜を有する基板を準備する工程と、前記処理容器内に窒素含有ガスを供給する工程と、前記窒素含有ガスの供給後であって、前記処理容器内の圧力制御が安定した後に、前記処理容器内にSi前駆体ガスを供給する工程と、前記Si前駆体ガスの供給後であって、前記処理容器内の圧力制御が安定する前に、プラズマ生成用の高周波電力を供給して、前記処理容器内にプラズマを生成する工程と、前記基板をプラズマにさらして、前記グラフェン膜の上にシリコン窒化膜を形成する工程と、を有する、シリコン窒化膜の形成方法。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器内に表面にグラフェン膜を有する基板を準備する工程と、
前記処理容器内に窒素含有ガスを供給する工程と、
前記窒素含有ガスの供給後であって、前記処理容器内の圧力制御が安定した後に、前記処理容器内にSi前駆体ガスを供給する工程と、
前記Si前駆体ガスの供給後であって、前記処理容器内の圧力制御が安定する前に、プラズマ生成用の高周波電力を供給して、前記処理容器内にプラズマを生成する工程と、
前記基板をプラズマにさらして、前記グラフェン膜の上にシリコン窒化膜を形成する工程と、を有する、
シリコン窒化膜の形成方法。
【請求項2】
前記Si前駆体ガスの供給開始から前記高周波電力を供給開始するまでの間は、第1の期間を有し、前記第1の期間は、1秒以上10秒以下である、
請求項1に記載のシリコン窒化膜の形成方法。
【請求項3】
前記窒素含有ガスの供給開始から前記高周波電力を供給開始するまでの間は、第2の期間を有し、前記第2の期間は、20秒以上である、
請求項1に記載のシリコン窒化膜の形成方法。
【請求項4】
前記処理容器内に希釈ガスを供給する工程をさらに有し、
前記希釈ガスの供給開始は、前記高周波電力の供給開始と同時である、
請求項1に記載のシリコン窒化膜の形成方法。
【請求項5】
前記処理容器内に希釈ガスを供給する工程をさらに有し、
前記希釈ガスの供給開始は、前記高周波電力の供給開始よりも後に開始される、
請求項1に記載のシリコン窒化膜の形成方法。
【請求項6】
前記高周波電力の供給を開始してから前記希釈ガスの供給を開始するまでの間は、第3の期間を有し、前記第3の期間は、1秒以上5秒以下である、
請求項5に記載のシリコン窒化膜の形成方法。
【請求項7】
前記処理容器は、前記処理容器の上壁からガスを供給する第1のガス供給孔と、前記処理容器の側壁からガスを供給する第2のガス供給孔と、を有し、
前記Si前駆体ガスを供給する工程は、前記第1のガス供給孔から前記Si前駆体ガスを供給する、
請求項1に記載のシリコン窒化膜の形成方法。
【請求項8】
前記処理容器内に希釈ガスを供給する工程をさらに有し、
前記希釈ガスを供給する工程は、
前記第2のガス供給孔から前記希釈ガス及び前記Si前駆体ガスを供給する、
請求項7に記載のシリコン窒化膜の形成方法。
【請求項9】
前記処理容器は、前記処理容器の上壁からガスを供給する第1のガス供給孔と、前記処理容器の側壁からガスを供給する第2のガス供給孔と、を有し、
前記Si前駆体ガスを供給する工程は、前記第1のガス供給孔及び前記第2のガス供給孔から前記Si前駆体ガスを供給する、
請求項1に記載のシリコン窒化膜の形成方法。
【請求項10】
前記第1のガス供給孔から供給される前記Si前駆体ガスと、前記第2のガス供給孔から供給される前記Si前駆体ガスとの流量比は、1:3以上1:7以下である、
請求項8または請求項9に記載のシリコン窒化膜の形成方法。
【請求項11】
前記高周波電力は、マイクロ波である、
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のシリコン窒化膜の形成方法。
【請求項12】
前記窒素含有ガスは、
NH3、N2、N2とH2の混合ガスのうち少なくとも1つを含む、
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のシリコン窒化膜の形成方法。
【請求項13】
前記窒素含有ガスを供給する工程は、
前記窒素含有ガスとともに、酸素含有ガス及び/又は炭素含有ガスを供給する、
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のシリコン窒化膜の形成方法。
【請求項14】
前記Si前駆体ガスは、SiH4である、
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のシリコン窒化膜の形成方法。
【請求項15】
前記シリコン窒化膜は、SiN膜、SiON膜、SiCN膜、SiOCN膜のうちのいずれか1つである、
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のシリコン窒化膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シリコン窒化膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、窒素含有ガス及びSi含有ガスを導入し、次にマイクロ波発生装置からのマイクロ波を出力して、プラズマCVD法によりウェハ表面に窒化珪素膜を堆積させる処理が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一の側面では、本開示は、グラフェン膜の上にシリコン窒化膜を形成する際に、グラフェン膜の減膜を抑制し、グラフェン膜とシリコン窒化膜の密着性を向上する、シリコン窒化膜の形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、処理容器内に表面にグラフェン膜を有する基板を準備する工程と、前記処理容器内に窒素含有ガスを供給する工程と、前記窒素含有ガスの供給後であって、前記処理容器内の圧力制御が安定した後に、前記処理容器内にSi前駆体ガスを供給する工程と、前記Si前駆体ガスの供給後であって、前記処理容器内の圧力制御が安定する前に、プラズマ生成用の高周波電力を供給して、前記処理容器内にプラズマを生成する工程と、前記基板をプラズマにさらして、前記グラフェン膜の上にシリコン窒化膜を形成する工程と、を有する、シリコン窒化膜の形成方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、本開示は、グラフェン膜の上にシリコン窒化膜を形成する際に、グラフェン膜の減膜を抑制し、グラフェン膜とシリコン窒化膜の密着性を向上する、シリコン窒化膜の形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係るマイクロ波のプラズマ源を備えたプラズマ処理装置の構成例を示す図。
【
図2】一実施形態に係るシリコン窒化膜の形成方法を示すフローチャートの一例。
【
図3】一実施形態に係るシリコン窒化膜の形成方法のシーケンスを示す図の一例。
【
図4】一実施形態に係るシリコン窒化膜の形成方法を示すフローチャートの他の一例。
【
図5】一実施形態に係るシリコン窒化膜の形成方法のシーケンスを示す図の他の一例。
【
図7】グラフェン膜の上に窒素含有ガスとしてN
2ガスを用いてシリコン窒化膜を形成した場合におけるラマン分光法の結果の一例。
【
図8】グラフェン膜の上に窒素含有ガスとしてNH
3ガスを用いてシリコン窒化膜を形成した場合におけるラマン分光法の結果の一例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
[プラズマ処理装置]
本実施形態に係る成膜方法を実行するプラズマ処理装置の構成例について、
図1を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係るマイクロ波のプラズマ源を備えたプラズマ処理装置1の構成例を示す図である。プラズマ処理装置1は、基板Wにシリコン窒化膜を成膜する成膜装置である。ここで、シリコン窒化膜は、SiN膜、SiON膜、SiCN膜、SiOCN膜のうちのいずれか1つである。なお、以下の説明において、プラズマ処理装置1は、基板WにSiN膜を成膜する場合を例に説明する。
【0010】
プラズマ処理装置1は、処理容器10とプラズマ源2とを備える。処理容器10は、気密に構成されたアルミニウム等の金属材料からなる略円筒状であり、接地されている。プラズマ源2は、処理容器10内にマイクロ波を導入して表面波プラズマを形成する。処理容器10の天壁(上壁)10aは、金属製の本体部に、複数のマイクロ波放射機構42の誘電体部材(以下、誘電体窓56という。)が嵌め込まれて構成されている。これにより、プラズマ源2は天壁10aの複数の誘電体窓56を介して処理容器10内にマイクロ波を導入するようになっている。
【0011】
プラズマ処理装置1は制御装置130を有する。制御装置130は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、プラズマ処理装置1における半導体ウェハを一例とする基板Wの処理を制御するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカード等のコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御装置130にインストールされたものであってもよい。
【0012】
処理容器10内には、基板Wを水平に支持する載置台11が、処理容器10の底部中央に絶縁部材12aを介して立設された筒状の支持部材12により支持された状態で設けられている。載置台11及び支持部材12を構成する材料は、例えば、表面をアルマイト処理(陽極酸化処理)したアルミニウム等の金属や内部に高周波用の電極を有した絶縁性材料(セラミックス等)である。
【0013】
また、図示はしていないが、載置台11には、温度制御機構、基板Wの裏面に熱伝達用のガスを供給するガス流路、基板Wを搬送するために昇降する昇降ピン等が設けられている。さらに、基板Wを静電吸着するための静電チャックが設けられていてもよい。
【0014】
さらにまた、載置台11には、整合器13を介してRFバイアス電源14が電気的に接続されている。このRFバイアス電源14から載置台11にRFバイアス電力が供給されることにより、基板W側にプラズマ中のイオンが引き込まれ、膜質改善や面内均一性に寄与する。
【0015】
処理容器10の底部側方には排気管15が接続されており、この排気管15には真空ポンプを含む排気装置16が接続されている。この排気装置16を作動させることにより、処理容器10内を排気することができ、処理容器10内を減圧して所定の圧力に設定することができる。排気装置16は、いずれも不図示の真空ポンプ、APC(Adaptive Pressure Controller)バルブ、圧力センサ等を有する。圧力センサは、処理容器10内に設けてもよい。また、処理容器10の側壁10bには、基板Wの搬出入を行うための搬入出口17と、この搬入出口17を開閉するゲートバルブ18とが設けられている。
【0016】
また、プラズマ処理装置1は、処理容器10の天壁10aから処理容器10内に所定のガスを供給する第1のガスシャワー部(第1のガス供給孔)21と、及び第3のガスシャワー部(第3のガス供給孔)23を有する。また、プラズマ処理装置1は、処理容器10の側壁10bから処理容器10内に所定のガスを供給する第2のガスシャワー部(第2のガス供給孔)22を有する。第3のガスシャワー部23は、処理容器10の天壁10aから処理容器10内に所定のガスを供給する。第1のガスシャワー部21は、天壁10aと載置台11の間の位置からガスを供給する。第2のガスシャワー部22は、処理容器10内の天壁10aと載置台11の間の位置であって第1のガスシャワー部21より半径方向(水平方向)の外側の位置からガスを供給する。
【0017】
なお、第1のガスシャワー部21及び第3のガスシャワー部23は、
図1では便宜的に径方向にずらした位置に表示しているが、同一円上に交互に設けられている。第3のガスシャワー部23は、処理容器10の天壁に設けられ、第3のガス供給部83からガスライン86を通って運ばれたガスを第3位置から供給する。第1のガスシャワー部21は、処理容器10の天壁に設けられ、第1のガス供給部81からガスライン84を通って運ばれたガスを第3位置よりも低い第1位置から供給する。第2のガスシャワー部22は、処理容器10の側壁に設けられ、第2のガス供給部82からガスライン85を通って運ばれたガスを第3位置よりも低い第2位置から供給する。
【0018】
第1のガスシャワー部21及び第2のガスシャワー部22から原料ガス(成膜ガス)を供給する。例えば、SiN膜を形成する場合、第1のガスシャワー部21及び第2のガスシャワー部22からSi前駆体ガスを供給する。Si前駆体ガスは、例えばシラン(SiH4)ガス、ジクロロシラン(DCS)ガス、有機シランガス等のうち少なくともいずれか1つを含む。以下の説明において、Si前駆体ガスは、SiH4ガスであるものとして説明する。
【0019】
第3のガスシャワー部23から反応ガス(窒化ガス)を供給する。また、例えば、SiN膜を形成する場合、第3のガスシャワー部23から窒素含有ガスを供給する。窒素含有ガスは、例えばN2ガス、NH3ガス、N2とH2の混合ガス、のうち少なくともいずれか1つを含む。以下の説明において、窒素含有ガスは、N2ガスまたはNH3ガスであるものとして説明する。
【0020】
また、第1のガスシャワー部21及び第2のガスシャワー部22の少なくともいずれかから成膜ガスを供給してもよい。第3位置よりも低い第1位置及び/又は第2位置から成膜ガスを供給することにより、ガスの解離を抑制することができる。
【0021】
第1のガスシャワー部21、第2のガスシャワー部22及び第3のガスシャワー部23から成膜ガス以外の処理ガスを供給してもよい。また、第1のガスシャワー部21、第2のガスシャワー部22及び第3のガスシャワー部23から希釈ガスを供給してもよい。例えば、第1のガスシャワー部21及び第2のガスシャワー部22から供給されるガスは、Si含有ガス(SiH4)に加えて、炭素含有ガス(例えば、C2H6ガス)、窒素含有ガス(例えば、N2ガス、NH3ガス)希釈ガス(例えば、Arガス、Heガス)等を含んでいてもよい。また、例えば、第3のガスシャワー部23から供給されるガスは、窒素含有ガス(例えばN2ガス、NH3ガス)に加えて、希釈ガス(例えば、Arガス、Heガス)、フッ素含有ガス(例えばNF3ガス)、酸素含有ガス(例えばO2ガス)等を含んでいてもよい。また、希釈ガスとしてのArガス、Heガスは、プラズマ励起用のガスとして用いられてもよい。
【0022】
また、第1のガス供給部81、第2のガス供給部82及び第3のガス供給部83は、複数のガスを供給する場合、各ガスの供給及び停止を個別に制御することができるように構成されている。
【0023】
Si前駆体ガス及び窒素含有ガスを処理容器10内に供給することにより、プラズマ処理装置1は基板Wにシリコン窒化膜としてのSiN膜を成膜する。Si前駆体ガス、窒素含有ガス及び酸素含有ガスを処理容器10内に供給することにより、プラズマ処理装置1は基板Wにシリコン窒化膜としてのSiON膜を成膜する。Si前駆体ガス、窒素含有ガス及び炭素含有ガスを処理容器10内に供給することにより、プラズマ処理装置1は基板Wにシリコン窒化膜としてのSiCN膜を成膜する。Si前駆体ガス、窒素含有ガス、酸素含有ガス及び炭素含有ガスを処理容器10内に供給することにより、プラズマ処理装置1は基板Wにシリコン窒化膜としてのSiOCN膜を成膜する。
【0024】
また、クリーニングガスとしてのフッ素含有ガスを処理容器10内に供給することにより、処理容器10内の堆積物を除去する。
【0025】
プラズマ源2は、複数経路に分配してマイクロ波を出力するマイクロ波出力部30と、マイクロ波出力部30から出力されたマイクロ波を伝送するマイクロ波伝送部40とを有する。
【0026】
マイクロ波出力部30は、マイクロ波電源と、マイクロ波発振器と、アンプと、分配器とを有する。マイクロ波電源は、マイクロ波発振器に対して電力を供給する。マイクロ波発振器は、所定周波数(例えば860MHz)のマイクロ波を例えばPLL発振させる。アンプは、発振されたマイクロ波を増幅する。分配器では、マイクロ波の損失ができるだけ起こらないように、入力側と出力側のインピーダンス整合を取りながらアンプで増幅されたマイクロ波を分配する。なお、マイクロ波の周波数としては、860MHzの他に、915MHz等、700MHzから3GHzの範囲の種々の周波数を用いることができる。
【0027】
マイクロ波伝送部40は、複数のアンプ部41と、アンプ部41に対応して設けられた複数のマイクロ波放射機構42とを有する。マイクロ波放射機構42は、例えば、天壁10aの中央に1個、該中央のものを中心とした円周上に等間隔で6個、合計7個、配置されている。なお、本例では、中心のマイクロ波放射機構42と外周のマイクロ波放射機構42との間の距離と、外周のマイクロ波放射機構42間の距離とは等しくなるよう、これらは配置されている。
【0028】
アンプ部41は、分配器にて分配されたマイクロ波を各マイクロ波放射機構42に導く。マイクロ波放射機構42は、同軸管51を有する。同軸管51は、筒状の外側導体51a及びその中心に設けられた棒状の内側導体51bからなる同軸状のマイクロ波伝送路を有する。マイクロ波放射機構42は、アンプ部41で増幅されたマイクロ波を、同軸管51に給電する給電アンテナ(図示せず)、を有する。さらに、マイクロ波放射機構42は、負荷のインピーダンスをマイクロ波電源の特性インピーダンスに整合させるチューナと、同軸管からのマイクロ波を処理容器10内に放射するアンテナ部とを有する。
【0029】
アンテナ部は、同軸管51の下端部に設けられており、処理容器10の天壁10aの金属部分に嵌め込まれている。アンテナ部は、誘電体窓56を有し、誘電体窓56を透過したマイクロ波により、処理容器10内の誘電体窓56の直下部分に表面波プラズマが生成される。
【0030】
複数のプラズマ源2(誘電体窓56)は天井部の中央に一つと、外周部に6つ設けられている。複数のプラズマ源2(誘電体窓56)のそれぞれは、独立して各プラズマ源2から供給されるマイクロ波電力を制御できる。外周部のプラズマ源2(誘電体窓56)から供給されるマイクロ波電力は、中央部のプラズマ源2から供給されるマイクロ波電力よりも高くてもよいし、同じであってもよい。
【0031】
本実施形態の成膜方法は、処理容器10の天壁に配置されたプラズマ源2からマイクロ波電力を供給するプラズマ処理装置1にて実行することができる。
【0032】
[シリコン窒化膜の形成方法]
次に、プラズマ処理装置1を用いて基板Wにシリコン窒化膜を形成する形成方法について、
図2及び
図3を用いて説明する。
図2は、一実施形態に係るシリコン窒化膜の形成方法を示すフローチャートの一例である。
図3は、一実施形態に係るシリコン窒化膜の形成方法のシーケンスを示す図の一例である。
【0033】
ステップS101において、プラズマ処理装置1の処理容器10内に基板Wを搬入し、載置台11に載置して準備する。ここで、基板Wには、グラフェン膜が形成されている。ここで、グラフェン膜は、プラズマにさらされることによって消耗するおそれのある膜である。
【0034】
ステップS102において、窒素含有ガス(N2又はNH3)の供給を開始する。ここでは、第3のガスシャワー部23から処理容器10内に窒素含有ガスが供給される。ここで、窒素含有ガスの供給を開始することで、処理容器10内の圧力が変動する。制御装置130は、排気装置16のAPCバルブの開度を制御して、処理容器10内の圧力を所定の圧力となるように制御する。
【0035】
ステップS103において、窒素含有ガスの供給後であって、処理容器10内の圧力制御が安定した後に、換言すれば処理容器10内の圧力を制御する排気装置16のAPCバルブの開度制御が安定した後に、Si前駆体ガス(SH4)の供給を開始する。ここでは、ステップS102から引き続いて第3のガスシャワー部23から処理容器10内に窒素含有ガスが供給され続けている。また、第1のガスシャワー部21から処理容器10内にSi前駆体ガスが供給される。ここで、窒素含有ガスの供給に加えてSi前駆体ガスの供給を開始することで、処理容器10内の圧力が変動する。制御装置130は、排気装置16のAPCバルブの開度を制御して、処理容器10内の圧力を所定の圧力となるように制御する。
【0036】
ステップS104において、Si前駆体ガスの供給後であって、処理容器10内の圧力制御が安定する前に、換言すればAPCバルブの開度制御が安定する前に、マイクロ波をオン(印加)し、希釈ガス(Heガス)の供給を開始する。ここでは、ステップS103から引き続いて第3のガスシャワー部23から処理容器10内に窒素含有ガスが供給され続けており、第1のガスシャワー部21から処理容器10内にSi前駆体ガスが供給され続けている。また、第2のガスシャワー部22から処理容器10内に希釈ガスが供給される。これにより、処理容器10内にマイクロ波の電力が供給され、窒素含有ガス(N2又はNH3)及び希釈ガス(Heガス)によりプラズマが着火される。また、窒素含有ガス及びSi前駆体ガスの供給に加えて希釈ガスの供給を開始することで、処理容器10内の圧力が変動する。制御装置130は、排気装置16のAPCバルブの開度を制御して、処理容器10内の圧力を所定の圧力となるように制御する。
【0037】
また、ステップS104において、第2のガスシャワー部22から処理容器10内に、希釈ガスとともにSi前駆体ガスを供給してもよい。ここで、第1のガスシャワー部21から供給される前記Si前駆体ガスと、第2のガスシャワー部22から供給される前記Si前駆体ガスとの流量比は、1:3以上1:7以下としてもよい。
【0038】
ステップS105において、生成された処理ガスのプラズマに基板WをさらしてSiN膜を成膜する。
【0039】
ステップS106において、マイクロ波をオフする。これにより、処理容器10内へのマイクロ波の電力の供給が停止される。また、ステップS106において、ガス(窒素含有ガス、Si前駆体ガス、希釈ガス)の供給を停止する。これにより、本処理を終了する。
【0040】
ここで、Si前駆体ガスの供給開始(S103)からマイクロ波の印加を開始(S104)するまでの間は、第1の期間T1を有する。第1の期間T1は、Si前駆体ガスの供給を開始して処理容器10内の圧力変動が安定化するのに要する時間よりも短い時間である。例えば、第1の期間T1は、1秒以上10秒以下が好ましく、2秒以上6秒以下がより好ましい。
【0041】
また、窒素含有ガスの供給開始(S102)からマイクロ波の印加を開始(S104)するまでの間は、第2の期間T2を有する。第2の期間T2は、窒素含有ガスの供給を開始して処理容器10内の圧力変動が安定化するのに要する時間よりも長い時間である。例えば、第2の期間T2は、20秒以上である。
【0042】
また、窒素含有ガスの供給開始(S102)からSi前駆体ガスの供給開始(S103)するまでの間(T2-T1)は、窒素含有ガスの供給を開始して処理容器10内の圧力変動が安定化するのに要する時間よりも長い時間である。例えば、10秒以上が好ましい。
【0043】
なお、Si前駆体ガスは、ステップS103において第1のガスシャワー部21から処理容器10内に供給が開始され、ステップS104において第2のガスシャワー部22から処理容器10内に供給が開始されるものとして説明したが、これに限られるものではない。ステップS103において第1のガスシャワー部21及び第2のガスシャワー部22から処理容器10内に供給が開始されてもよい。
【0044】
また、希釈ガスは、第2のガスシャワー部22から供給される場合に限られず、第1のガスシャワー部21から第3のガスシャワー部23のうち少なくとも1つから供給されてもよい。
【0045】
なお、シリコン窒化膜を形成するプロセス条件の一例は、以下の通りである。
<プロセス条件>
SiH4流量:10sccm~100sccm
処理容器10内の圧力:6Pa~133Pa
マイクロ波の電力:1000~6000W
【0046】
次に、プラズマ処理装置1を用いて基板Wにシリコン窒化膜を形成する他の形成方法について、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は、一実施形態に係るシリコン窒化膜の形成方法を示すフローチャートの他の一例である。
図5は、一実施形態に係るシリコン窒化膜の形成方法のシーケンスを示す図の他の一例である。
【0047】
ステップS201において、プラズマ処理装置1の処理容器10内に基板Wを搬入し、載置台11に載置して準備する。ここで、基板Wには、グラフェン膜が形成されている。ここで、グラフェン膜は、プラズマにさらされることによって消耗するおそれのある膜である。
【0048】
ステップS202において、窒素含有ガス(N2又はNH3)の供給を開始する。ここでは、第3のガスシャワー部23から処理容器10内に窒素含有ガスが供給される。ここで、窒素含有ガスの供給を開始することで、処理容器10内の圧力が変動する。制御装置130は、排気装置16のAPCバルブの開度を制御して、処理容器10内の圧力を所定の圧力となるように制御する。
【0049】
ステップS203において、窒素含有ガスの供給後であって、処理容器10内の圧力制御が安定した後に、換言すれば処理容器10内の圧力を制御する排気装置16のAPCバルブの開度制御が安定した後に、Si前駆体ガス(SiH4)の供給を開始する。ここでは、ステップS202から引き続いて第3のガスシャワー部23から処理容器10内に窒素含有ガスが供給され続けている。また、第1のガスシャワー部21から処理容器10内にSi前駆体ガスが供給される。ここで、窒素含有ガスの供給に加えてSi前駆体ガスの供給を開始することで、処理容器10内の圧力が変動する。制御装置130は、排気装置16のAPCバルブの開度を制御して、処理容器10内の圧力を所定の圧力となるように制御する。
【0050】
ステップS204において、Si前駆体ガスの供給後であって、処理容器10内の圧力制御が安定する前に、換言すればAPCバルブの開度制御が安定する前に、マイクロ波をオン(印加)する。ここでは、ステップS203から引き続いて第3のガスシャワー部23から処理容器10内に窒素含有ガスが供給され続けており、第1のガスシャワー部21(及び第2のガスシャワー部22)から処理容器10内にSi前駆体ガスが供給され続けている。これにより、処理容器10内にマイクロ波の電力が供給され、窒素含有ガス(N2又はNH3)及びSi前駆体ガスによりプラズマが着火される。ここで、マイクロ波をオン(印加)して処理容器10にプラズマを生成すると、処理容器10の圧力が変動する。制御装置130は、排気装置16のAPCバルブの開度を制御して、処理容器10内の圧力を所定の圧力となるように制御する。
【0051】
ステップS205において、マイクロ波をオン(印加)した後であって、処理容器10内の圧力制御が安定した後に、換言すれば処理容器10内の圧力を制御する排気装置16のAPCバルブの開度制御が安定した後に、希釈ガス(Heガス)の供給を開始する。ここでは、ステップS204から引き続いて第3のガスシャワー部23から処理容器10内に窒素含有ガスが供給され続けており、第1のガスシャワー部21から処理容器10内にSi前駆体ガスが供給され続けている。また、第2のガスシャワー部22から処理容器10内に希釈ガスが供給される。また、窒素含有ガス及びSi前駆体ガスの供給に加えて希釈ガスの供給を開始することで、処理容器10内の圧力が変動する。制御装置130は、排気装置16のAPCバルブの開度を制御して、処理容器10内の圧力を所定の圧力となるように制御する。
【0052】
また、ステップS205において、第2のガスシャワー部22から処理容器10内に、希釈ガスとともにSi前駆体ガスを供給してもよい。ここで、第1のガスシャワー部21から供給される前記Si前駆体ガスと、第2のガスシャワー部22から供給される前記Si前駆体ガスとの流量比は、1:3以上1:7以下としてもよい。
【0053】
ステップS206において、生成された処理ガスのプラズマに基板WをさらしてSiN膜を成膜する。
【0054】
ステップS207において、マイクロ波をオフする。これにより、処理容器10内へのマイクロ波の電力の供給が停止される。また、ステップS207において、ガス(窒素含有ガス、Si前駆体ガス、希釈ガス)の供給を停止する。これにより、本処理を終了する。
【0055】
ここで、Si前駆体ガスの供給開始(S203)からマイクロ波の印加を開始(S204)するまでの間は、第1の期間T1を有する。第1の期間T1は、Si前駆体ガスの供給を開始して処理容器10内の圧力変動が安定化するのに要する時間よりも短い時間である。例えば、第1の期間T1は、1秒以上10秒以下が好ましく、2秒以上6秒以下がより好ましい。
【0056】
また、窒素含有ガスの供給開始(S202)からマイクロ波の印加を開始(S204)するまでの間は、第2の期間T2を有する。第2の期間T2は、窒素含有ガスの供給を開始して処理容器10内の圧力変動が安定化するのに要する時間よりも長い時間である。例えば、第2の期間T2は、20秒以上である。
【0057】
また、窒素含有ガスの供給開始(S202)からSi前駆体ガスの供給開始(S203)するまでの間(T2-T1)は、窒素含有ガスの供給を開始して処理容器10内の圧力変動が安定化するのに要する時間よりも長い時間である。例えば、10秒以上が好ましい。
【0058】
また、マイクロ波の印加を開始(S204)してから希釈ガスの供給を開始(S205)するまでの間は、第3の期間T3を有する。第3の期間T3は、プラズマ生成を開始して処理容器10内の圧力変動が安定化するのに要する時間よりも長い時間である。第3の期間T3は、1秒以上5秒以下が好ましく、例えば、2秒以上である。
【0059】
なお、Si前駆体ガスは、ステップS203において第1のガスシャワー部21から処理容器10内に供給が開始され、ステップS205において第2のガスシャワー部22から処理容器10内に供給が開始されるものとして説明したが、これに限られるものではない。ステップS203において第1のガスシャワー部21及び第2のガスシャワー部22から処理容器10内に供給が開始されてもよい。
【0060】
また、希釈ガスは、第2のガスシャワー部22から供給される場合に限られず、第1のガスシャワー部21から第3のガスシャワー部23のうち少なくとも1つから供給されてもよい。
【0061】
なお、シリコン窒化膜を形成するプロセス条件の一例は、以下の通りである。
<プロセス条件>
SiH4流量:10sccm~100sccm
処理容器10内の圧力:6Pa~133Pa
マイクロ波の電力:1000~6000W
【0062】
次に、グラフェン膜の上にシリコン窒化膜を成膜する処理について、
図6を用いてさらに説明する。
図6は、基板Wに形成される膜の模式図の一例である。
【0063】
図6(a)に示すように、グラフェン膜610の表面において、カーボン(C)は単結合または二重結合によって安定的に存在している。
【0064】
図6(b)は、他のシリコン窒化膜の形成方法によって、グラフェン膜610の上にシリコン窒化膜620を形成した場合を示す。ここでは、まず、窒素含有ガスを処理容器10内に供給する。次に、窒素含有ガスを供給した後にプラズマを着火する。そして、プラズマ着火後にSi前駆体ガスを処理容器10内に供給する。このようなプロセスによってグラフェン膜610の上にシリコン窒化膜620を形成する場合、グラフェン膜610が窒素含有ガスのプラズマにさらされることでエッチングされ、グラフェン膜610が減膜する。一方、グラフェン膜610の表面のカーボン(C)同士の結合が切断され、シリコン窒化膜620中のシリコン(Si)や窒素(N)と結合することにより、グラフェン膜610とシリコン窒化膜620の密着性は良好である。
【0065】
図6(c)は、更に他のシリコン窒化膜の形成方法によって、グラフェン膜610の上にシリコン窒化膜620を形成した場合を示す。ここでは、まず、窒素含有ガス及びSi前駆体ガスを処理容器10内に供給する。次に、窒素含有ガス及びSi前駆体ガスを供給した後にプラズマを着火する。このようなプロセスによってグラフェン膜610の上にシリコン窒化膜620を形成する場合、グラフェン膜610の減膜を抑制することができる。一方、プラズマ着火後にシリコン窒化膜が急激に成長するため、グラフェン膜610の表面のカーボン(C)同士の結合の切断が抑制され、カーボン(C)とシリコン窒化膜620中のシリコン(Si)や窒素(N)との結合が抑制され、グラフェン膜610とシリコン窒化膜620の密着性は悪くなる。
【0066】
図6(d)は、
図2から
図5に示す一実施形態に係るシリコン窒化膜の形成方法によって、グラフェン膜610の上にシリコン窒化膜620を形成した場合を示す。このようなプロセスによってグラフェン膜610の上にシリコン窒化膜620を形成する場合、グラフェン膜610の減膜を抑制しつつ、グラフェン膜610とシリコン窒化膜620の高い密着性を有する。
【0067】
次に、実験結果について、
図7及び
図8を用いて説明する。
図7は、グラフェン膜の上に窒素含有ガスとしてN
2ガスを用いてシリコン窒化膜を形成した場合におけるラマン分光法の結果の一例を示す。破線700は、
図6(c)におけるプロセスによってグラフェン膜の上にシリコン窒化膜を形成した場合における検出結果である。実線701は、第1の期間T1を2秒とした場合における検出結果である。一点鎖線702は、第1の期間T1を4秒とした場合における検出結果である。
【0068】
ここで、1300[cm-1]から1400[cm-1]の間に表れているピークは、グラフェン膜が残存していることを表している。
【0069】
第1の期間T1を2秒、4秒としたいずれの場合においても、ピークが見られることからグラフェン膜が残存していることがわかる。
【0070】
図8は、グラフェン膜の上に窒素含有ガスとしてNH
3ガスを用いてシリコン窒化膜を形成した場合におけるラマン分光法の結果の一例を示す。破線800は、
図6(c)におけるプロセスによってグラフェン膜の上にシリコン窒化膜を形成した場合における検出結果である。実線801は、第1の期間T1を2秒とした場合における検出結果である。一点鎖線802は、第1の期間T1を4秒とした場合における検出結果である。二点鎖線803は、第1の期間T1を2秒としつつ、ステップS103において第1のガスシャワー部21及び第2のガスシャワー部22からSi前駆体ガスを供給した場合における検出結果である。
【0071】
第1の期間T1を2秒、4秒としたいずれの場合においても、ピークが見られることからグラフェン膜が残存していることがわかる。また、ステップS203において第1のガスシャワー部21及び第2のガスシャワー部22からSi前駆体ガスを供給した場合であっても、ピークが見られることからグラフェン膜が残存していることがわかる。
【0072】
また、グラフェン膜の上に窒素含有ガスとしてN2ガスまたはNH3ガスを用いてシリコン窒化膜を形成し、「JIS K5400-8.5」に準拠した試験方法によって、グラフェン膜とシリコン窒化膜の密着性の試験を行った。
【0073】
この場合、
図6(c)におけるプロセスでシリコン窒化膜が成膜された基板Wおいては、グラフェン膜からシリコン窒化膜が剥離することが確認できた。
【0074】
一方、
図6(b)におけるプロセスでシリコン窒化膜が成膜された基板Wおいては、グラフェン膜からシリコン窒化膜が剥離せず、良好な密着性を有することが確認できた。
【0075】
また、
図2から
図5に示す一実施形態に係るシリコン窒化膜の形成方法のプロセス(
図6(d)におけるプロセス)でシリコン窒化膜が成膜された基板Wにおいて、窒素含有ガスとしてN
2ガスを用い第1の期間T1を2秒とした場合、窒素含有ガスとしてN
2ガスを用い第1の期間T1を4秒とした場合、窒素含有ガスとしてNH
3ガスを用い第1の期間T1を2秒とした場合、窒素含有ガスとしてNH
3ガスを用い第1の期間T1を4秒とした場合のそれぞれについて、試験を行った。いずれにおいても、グラフェン膜からシリコン窒化膜が剥離せず、良好な密着性を有することが確認できた。
【0076】
以上のように、Si前駆体ガスの供給後であって、処理容器10内の圧力制御が安定する前に、プラズマ着火をすることにより、グラフェン膜の減膜を抑制しつつ、グラフェン膜とシリコン窒化膜との密着性を向上させることが確認できた。
【0077】
以上、プラズマ処理装置1による一実施形態のシリコン窒化膜の形成方法について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0078】
W 基板
1 プラズマ処理装置
2 プラズマ源
10 処理容器
10a 天壁
10b 側壁
11 載置台
16 排気装置
21 第1のガスシャワー部(第1のガス供給孔)
22 第2のガスシャワー部(第2のガス供給孔)
23 第3のガスシャワー部(第3のガス供給孔)
81 第1のガス供給部
82 第2のガス供給部
83 第3のガス供給部
30 マイクロ波出力部
40 マイクロ波伝送部
41 アンプ部
42 マイクロ波放射機構
130 制御装置
610 グラフェン膜
620 シリコン窒化膜