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特開2024-100314警報通知システム、移動体搭載装置及び監視装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100314
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】警報通知システム、移動体搭載装置及び監視装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240719BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240719BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240719BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20240719BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20240719BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20240719BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G08G1/00 J
G08G1/16 A
G08B21/00 U
G08B25/00 510M
G08B25/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004224
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】下大迫 和隆
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5H181
【Fターム(参考)】
5C086AA60
5C086BA22
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA08
5C086DA14
5C086DA33
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA07
5C087AA31
5C087BB20
5C087BB74
5C087DD13
5C087EE07
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG66
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181LL01
5H181LL07
5H181LL08
5H181MC16
(57)【要約】
【課題】道路等の移動経路上に存在する異常をより確実に伝送することができる警報通知システム、移動体搭載装置及び監視装置を提供すること。
【解決手段】警報通知システムSにおいて、移動体搭載装置1は、画像データを取得する画像データ取得部101と、画像データに含まれているオブジェクトに対して、所定の機械学習による学習済みモデルに基づくクラス分類を行うクラス分類部102と、オブジェクトの分類結果を第1監視装置2に送信する送信処理部120と、を有し、第1監視装置2は、学習済みモデルにより得られるクラス分類に基づいて生成されたテーブルを参照し、移動体搭載装置1から受信した分類結果に基づいて、警報の対象になるか否かを判定する判定部210と、判定部210により警報の対象になると判定された場合、警報の対象となるオブジェクトが存在していることを外部装置に通知する通知部208、308と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載される移動体搭載装置と、前記移動体搭載装置と通信可能であり、それぞれ異なるエリアに設置され、通信ネットワークを介して互いに通信可能な1つ以上の監視装置と、を備える警報通知システムであって、
前記移動体搭載装置は、
画像データを取得する画像データ取得部と、
前記画像データ取得部によって取得された前記画像データに含まれているオブジェクトを抽出し、抽出したオブジェクトに対して、所定の機械学習による学習済みモデルに基づくクラス分類を行うクラス分類部と、
前記クラス分類部により分類されたオブジェクトの分類結果を前記監視装置に送信する送信処理部と、を有し、
前記監視装置は、
前記所定の機械学習による学習済みモデルにより得られるクラス分類に基づいて生成されたテーブルを参照し、前記移動体搭載装置の前記送信処理部から受信した前記分類結果に基づいて、警報の対象になるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により警報の対象になると判定された場合、警報の対象となるオブジェクトが存在していることを外部装置に通知する通知部と、を有する警報通知システム。
【請求項2】
前記通知部は、前記移動体搭載装置から送信されてきた分類結果に基づいて、警報の対象になると判定された場合、自身が設置されている場所よりも移動経路上の離れた場所に設置されている前記外部装置としての路側機へ警報の対象となるオブジェクトが存在していることを通知する請求項1に記載の警報通知システム。
【請求項3】
前記分類結果には、クラスごとの確率スコアが含まれ、
前記判定部は、前記テーブルを参照し、前記分類結果に含まれている前記確率スコアに基づいて、警報の対象になるか否かを判定する請求項1に記載の警報通知システム。
【請求項4】
前記監視装置は、前記移動体搭載装置の前記クラス分類部による分類結果に含まれている前記確率スコアが所定の範囲である場合に、該分類結果に対応する前記画像データの送信要求信号を該画像データの送信元である前記移動体搭載装置に送信する送信部を有し、
前記移動体搭載装置は、
前記送信要求信号を受信した場合に、前記画像データから対象となるオブジェクトが含まれている特徴画像データを抽出する抽出部を有し、
前記送信処理部は、該特徴画像データを前記監視装置に送信する特徴画像データ送信部を有する請求項3に記載の警報通知システム。
【請求項5】
前記移動体搭載装置は、
前記画像データから対象となるオブジェクトが含まれている特徴画像データを抽出する抽出部を備え、
前記送信処理部は、前記クラス分類部により分類されたオブジェクトの分類結果と共に前記特徴画像データを前記監視装置に送信する特徴画像データ送信部を有する請求項1に記載の警報通知システム。
【請求項6】
前記監視装置は、
前記特徴画像データ送信部から受信した前記特徴画像データと、前記特徴画像データに含まれるオブジェクトに対して、前記移動体搭載装置の前記クラス分類部で用いられている前記所定の機械学習による学習済みモデルよりも高い精度の学習済みモデルに基づくクラス分類を行う高い精度のクラス分類部を更に有し、
前記判定部は、前記高い精度の学習済みモデルにより得られるクラス分類に基づいて生成されたテーブルを参照し、前記高い精度のクラス分類部により分類された分類結果に基づいて、警報の対象になるか否かを判定する請求項4又は5に記載の警報通知システム。
【請求項7】
前記移動体搭載装置は、
前記画像データを取得したときの位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部を更に有し、
前記送信処理部は、前記クラス分類により分類されたオブジェクトの分類結果とともに、前記位置情報取得部により取得された位置情報を前記監視装置に送信する請求項1に記載の警報通知システム。
【請求項8】
前記移動体搭載装置は、前記クラス分類部で用いる前記所定の機械学習による学習済みモデルを一意に識別する識別情報を記憶する第1記憶部を有し、
前記移動体搭載装置の前記送信処理部は、前記クラス分類により分類されたオブジェクトの分類結果とともに、前記所定の機械学習による学習済みモデルの識別情報を前記監視装置へ送信し、
前記監視装置は、前記判定部で用いる前記テーブルが生成された学習済みモデルを一意に識別する識別情報を記憶する第2記憶部と、
前記移動体搭載装置から送信されてきた識別情報と、前記第2記憶部に記憶されている識別情報を比較する比較部と、を備え、
前記通知部は、前記比較部により前記移動体搭載装置から送信されてきた識別情報と、前記第2記憶部に記憶されている識別情報とが一致しない場合、その旨を前記移動体搭載装置に送信する請求項1に記載の警報通知システム。
【請求項9】
請求項1に記載の前記移動体搭載装置と通信可能であり、それぞれ異なるエリアに設置され、通信ネットワークを介して互いに通信可能な1つ以上の監視装置を備える警報通知システムに含まれる監視装置であって、
画像データに含まれ、該画像データから抽出されたオブジェクトに対する所定の機械学習による学習モデルに基づく、クラス分類によって分類されたオブジェクトの分類結果を前記移動体搭載装置から取得する分類結果取得部と、
前記所定の機械学習による学習済みモデルにより得られるクラス分類に基づいて生成されたテーブルを参照し、前記移動体搭載装置の前記送信処理部から受信した前記分類結果に基づいて、警報の対象になるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により警報の対象になると判定された場合、警報の対象となるオブジェクトが存在していることを外部装置に通知する通知部と、を備える監視装置。
【請求項10】
移動体に搭載され、請求項1に記載の前記監視装置と通信可能な移動体搭載装置であって、
画像データを取得する画像データ取得部と、
前記画像データ取得部によって取得された前記画像データに含まれているオブジェクトを抽出し、抽出したオブジェクトに対して、所定の機械学習による学習済みモデルに基づくクラス分類を行うクラス分類部と、
前記クラス分類部で用いる前記所定の機械学習による学習済みモデルを一意に識別する識別情報を記憶する第1記憶部と、
前記クラス分類部により分類されたオブジェクトの分類結果と前記所定の機械学習による学習済みモデルの識別情報とを前記監視装置に送信する送信処理部と、を備える移動体搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報通知システム、移動体搭載装置及び監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路上の警報の対象の存在を通知するシステムが知られている。例えば特許文献1には、第1の車載機と、第2の車載機と、道路情報提供装置とから構成される道路異常警告システムが開示されている。第1の車載機は、車両から道路を撮像して得た画像データを取得し、この画像データに含まれるオブジェクトを検出し、車両の位置を検出する。第1の車載機は、オブジェクトが検出された場合、該オブジェクトを含む画像データ及びオブジェクトが検出されたときの車両の位置情報を道路情報提供装置へ送信し、また、オブジェクトが検出されたときの車両の位置情報を含み、道路上の異常を予告する異常予告情報を第2の車載機へ送信する。
【0003】
また、近年、自動車と道路側の通信設備(例えば、路側機)との間(V2I、Vehicle to Infrastructure)で、双方向の無線通信を実現する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-151798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、車載機で取得した画像データのサイズが大きい場合、特許文献1に記載のシステムをV2Iで実現しようとすると、個々の路側機の通信可能範囲に制限があるため、移動体が高速で路側機を通過すると、画像データのすべてを送信できない可能性がある。また、路側機周辺に多数の自動車が存在し、それぞれで通信を行っている場合には、画像データの送信に時間を要し、遅延が発生する可能性がある。
【0006】
本発明は、これらの事情を鑑み、道路等の移動経路上の警報の対象の存在をより確実に通知することができる警報通知システム、移動体搭載装置及び監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)警報通知システムは、移動体に搭載される移動体搭載装置と、前記移動体搭載装置と通信可能であり、それぞれ異なるエリアに設置され、通信ネットワークを介して互いに通信可能な1つ以上の監視装置と、を備える警報通知システムであって、前記移動体搭載装置は、画像データを取得する画像データ取得部と、前記画像データ取得部によって取得された前記画像データに含まれているオブジェクトを抽出し、抽出したオブジェクトに対して、所定の機械学習による学習済みモデルに基づくクラス分類を行うクラス分類部と、前記クラス分類部により分類されたオブジェクトの分類結果を前記監視装置に送信する送信処理部と、を有し、前記監視装置は、前記所定の機械学習による学習済みモデルにより得られるクラス分類に基づいて生成されたテーブルを参照し、前記移動体搭載装置の前記送信処理部から受信した前記分類結果に基づいて、警報の対象になるか否かを判定する判定部と、前記判定部により警報の対象になると判定された場合、警報の対象となるオブジェクトが存在していることを外部装置に通知する通知部と、を有する。
【0008】
(2)(1)に記載の警報通知システムにおいて、前記通知部は、前記移動体搭載装置から送信されてきた分類結果に基づいて、警報の対象になると判定された場合、自身が設置されている場所よりも移動経路上の離れた場所に設置されている前記外部装置としての路側機に警報の対象となるオブジェクトが存在していることを通知する。
【0009】
(3)(1)又は(2)に記載の警報通知システムにおいて、分類結果には、クラスごとの確率スコアが含まれ、前記判定部は、前記テーブルを参照し、前記分類結果に含まれている前記確率スコアに基づいて、警報の対象になるか否かを判定する。
【0010】
(4)(3)に記載の警報通知システムにおいて、監視装置は、前記移動体搭載装置の前記クラス分類部による分類結果に含まれているスコアが所定の範囲である場合に、該分類結果に対応する前記画像データの送信要求信号を該画像データの送信元である前記移動体搭載装置に送信する送信部を有し、前記移動体搭載装置は、前記送信要求信号を受信した場合に、前記画像データから対象となるオブジェクトが含まれている特徴画像データを抽出する抽出部を有し、前記送信処理部は、該特徴画像データを前記監視装置に送信する特徴画像データ送信部を有する。
【0011】
(5)(1)~(3)に記載の警報通知システムにおいて、前記移動体搭載装置は、前記画像データから対象となるオブジェクトが含まれている特徴画像データを抽出する抽出部を備え、前記送信処理部は、前記クラス分類部により分類されたオブジェクトの分類結果と共に前記特徴画像データを前記監視装置に送信する特徴画像データ送信部を有する。
【0012】
(6)(4)又は(5)に記載の警報通知システムにおいて、前記監視装置は、前記特徴画像データ送信部から受信した前記特徴画像データと、前記特徴画像データに含まれるオブジェクトに対して、前記移動体搭載装置の前記クラス分類部で用いられている前記所定の機械学習による学習済みモデルよりも高い精度の学習済みモデルに基づくクラス分類を行う高い精度のクラス分類部を更に有し、前記判定部は、前記高精度の学習済みモデルにより得られるクラス分類に基づいて生成されたテーブルを参照し、前記高い精度のクラス分類部により分類された分類結果に基づいて、警報の対象になるか否かを判定する。
【0013】
(7)(1)~(6)のいずれか1つに記載の警報通知システムにおいて、前記移動体搭載装置は、前記画像データを取得したときの位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部を更に有し、前記送信処理部は、前記クラス分類により分類されたオブジェクトの分類結果とともに、前記位置情報取得部により取得された位置情報を前記監視装置に送信する。
【0014】
(8)(1)~(7)のいずれか1つに記載の警報通知システムにおいて、前記移動体搭載装置は、前記クラス分類部で用いる所定の機械学習による学習済みモデルを一意に識別する識別情報を記憶する第1記憶部を有し、前記移動体搭載装置の前記送信処理部は、前記クラス分類により分類されたオブジェクトの分類結果とともに、前記所定の機械学習による学習済みモデルの識別情報を前記監視装置へ送信し、前記監視装置は、前記判定部で用いる前記テーブルが生成された学習済みモデルを一意に識別する識別情報を記憶する第2記憶部と、前記移動体搭載装置から送信されてきた識別情報と、前記第2記憶部に記憶されている識別情報を比較する比較部と、を備え、前記通知部は、前記比較部により前記移動体搭載装置から送信されてきた識別情報と、前記第2記憶部に記憶されている識別情報とが一致しない場合、その旨を前記移動体搭載装置に送信する。
【0015】
(9)監視装置は、(1)~(8)のいずれか1つに記載の前記移動体搭載装置と通信可能であり、それぞれ異なるエリアに設置され、通信ネットワークを介して互いに通信可能な1つ以上の監視装置を備える警報通知システムに含まれる監視装置であって、画像データに含まれ、該画像データから抽出されたオブジェクトに対する所定の機械学習による学習モデルに基づく、クラス分類によって分類されたオブジェクトの分類結果を前記移動体搭載装置から取得する分類結果取得部と、所定の機械学習による学習済みモデルにより得られるクラス分類に基づいて生成されたテーブルを参照し、前記移動体搭載装置の前記送信処理部から受信した前記分類結果に基づいて、警報の対象になるか否かを判定する判定部と、前記判定部により警報の対象になると判定された場合、警報の対象となるオブジェクトが存在していることを外部装置に通知する通知部と、を備える。
【0016】
(10)移動体搭載装置は、移動体に搭載され、(1)に記載の前記監視装置と通信可能な移動体搭載装置であって、画像データを取得する画像データ取得部と、前記画像データ取得部によって取得された前記画像データに含まれているオブジェクトを抽出し、抽出したオブジェクトに対して、所定の機械学習による学習済みモデルに基づくクラス分類を行うクラス分類部と、前記クラス分類部で用いる前記所定の機械学習による学習済みモデルを一意に識別する識別情報を記憶する第1記憶部と、前記クラス分類部により分類されたオブジェクトの分類結果と前記所定の学習済みモデルの識別情報とを前記監視装置に送信する送信処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、道路等の移動経路上に存在する異常をより確実に伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る警報通知システムを示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る移動体搭載装置のハードウェア及び機能ブロックの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態における移動体搭載装置のクラス分類部による分類結果の一例を示すテーブルである。
図4】本発明の一実施形態に係る第1監視装置のハードウェア及び機能ブロックの構成を示すブロック図である。
図5】所定の学習済みモデルにより得られるクラス分類に基づいて生成されたテーブルの一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態における第1監視装置の判定部による学習済みモデルのタイプに応じた警報の対象の判定基準の一例を示すテーブルである。
図7】本発明の一実施形態に係る第2監視装置のハードウェア及び機能ブロックの構成を示すブロック図である。
図8】本発明の一実施形態における警報通知処理のうち移動体搭載装置によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図9】本発明の一実施形態における警報通知処理のうち第1監視装置によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図10】本発明の一実施形態における警報通知処理のうち第1監視装置によって実行される図7に示す処理とは異なる処理の一例を示すフローチャートである。
図11】本発明の一実施形態における警報通知処理のうち移動体搭載装置によって実行される図7に示す処理のとは異なる処理の一例を示すフローチャートである。
図12】本発明の一実施形態における警報通知処理のうち第2監視装置によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る警報通知システムSについて説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものでない。また、以下の説明において参照する各図は、本開示の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本発明は、各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものでない。
【0020】
<警報通知システムSの構成と動作について>
本発明の一実施形態に係る警報通知システムSの全体的な構成について図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る警報通知システムS及び警報通知システムSが適用される道路4の一例を示す概略図である。本実施形態は、自動車等の車両が走行する道路上における警報の対象の存在を発見する場合に適用されるシステムを想定しているが、所定の移動経路に沿って移動する移動体、例えばドローンのような移動体の進行方向における警報の対象に対処するために適用することもできる。また鉄道のような移動体の進行方向における警報の対象に対処するために適用することもできる。
【0021】
警報通知システムSは、道路4上の画像データに含まれているオブジェクトを検出し、道路4上において警報の対象が存在していることを通知するための処理(以下、警報通知処理という)を実行するシステムである。警報通知システムSは、道路4上を走行する車両である移動体5に搭載される移動体搭載装置1と、移動体搭載装置1と無線通信可能な複数の第1監視装置2(監視装置)と、複数の第1監視装置2のそれぞれと通信ネットワークNWを介して通信可能に接続される第2監視装置3(監視装置)と、を備える。第1監視装置2は、道路4上または道路4脇などの道路4の周辺に設置される路側機6内に配置され、道路4上を走行する移動体5に搭載される移動体搭載装置1と無線通信可能である。第2監視装置3は、通信ネットワークNWを介して複数の路側機6と通信可能に接続される管制サーバ7内に配置される。
【0022】
図1に示すように、本実施形態では、高速道路等の片側2車線の道路4における警報の対象8の存在を通知するシステムを例に説明する。本実施形態における警報の対象8は、移動体5の通常の移動を妨げる要因となる障害物や道路4の状態等をいう。警報の対象8としては、例えばプラスチックや布、ビニール類等のプラスチック類、タイヤ、角材、ロードキル(動物の死骸)、道路4上に散乱した空き缶、道路4のひび割れ、道路4の白線のカスレ等が挙げられる。警報としては、例えば移動体5の操作者に道路4上に異常が存在することを知らせるための音声情報や文字情報等が挙げられる。道路4上の異常の例としては、交通事故や災害なども考えられる。災害とは、例えば、震災による道路のひび割れ、崩落等による道路の損傷や、豪雨による道路への落石や土砂流入などの道路または道路上の異常が挙げられる。道路4は、上り車線、下り車線、両車線を含む概念である。また、道路4上の異常のその他の例としては、道路上の付帯設備等の異常も考えられる。道路上の附帯設備とは、道路表示板や通信装置、照明設備やこれらの構造物、トンネル内の空調機器などの設備や構造物などが挙げられる。これらの付帯設備が、老朽化や前記災害などにより損傷、変形、破損などにより支障が発生した場合にも機械学習による異常の検知を行い発明の対象としてあげられる。
【0023】
通信ネットワークNWは、プライベートネットワークやインターネットを含むような広域通信網WAN(wide area network)が考えられる。前者のプライベートネットワークでは、例えばOLT(optical line terminal)、OLTと光回線を介して接続される複数のONU(optical network unit)等によって形成されたPONアクセスシステムや、レイヤ2スイッチやレイヤ3スイッチなどで構成することができる。一方でWAN通信網の例では、例えば、MPLS(Multiprotocol Label Switching)ネットワークなどで構成することができる。
【0024】
移動体搭載装置1は、例えば、カーナビゲーション、ITS(Intelligent Transportation System)及びV2X通信等を使用する機能を備える。移動体搭載装置1は、道路4上の画像データに含まれているオブジェクトを検出するとともに、第1監視装置2や第2監視装置3から送信される情報に基づいて運転者に道路4上における警報の対象の存在を報知する機能を有する。
【0025】
複数の第1監視装置2は、道路4の周辺(路側)等におけるそれぞれ異なるエリアに設置される。エリアとは、各第1監視装置2が各移動体5に搭載される移動体搭載装置1との通信を担当する範囲を意味し、例えば道路4に沿って設定された地理的範囲を示す。図1に示す例では、複数の第1監視装置2である第1監視装置2A、2B、2Cは、道路4に沿って互いに所定の間隔を空けて設置される。
【0026】
第1監視装置2は、道路4を走行する移動体5に搭載される移動体搭載装置1や周囲に存在する各種装置と無線通信することでV2X(vehicle-to-everything)通信サービスを提供する。また第1監視装置2は、無線通信が可能なエリア(以下、通信可能エリア)内を走行する移動体5の移動体搭載装置1や各種装置との無線通信等によって取得したデータを、通信ネットワークNWを介して第2監視装置3に送信する。また本実施形態における第1監視装置2は、道路4上に警報の対象が存在することを、通信ネットワークNWを介して他の第1監視装置2や第2監視装置3、移動体搭載装置1に通知する。
【0027】
第2監視装置3は、管制サーバ7内に配置され、通信ネットワークNWを介して複数の第1監視装置2と通信可能に接続される。本実施形態における第2監視装置3は、警報通知システムSの通信を管理する。
【0028】
<移動体搭載装置1の構成と動作について>
次に、警報通知処理における移動体搭載装置1の機能的構成について説明する。図2は、移動体搭載装置1のハードウェア及び機能ブロックの構成を例示するブロック図である。
【0029】
移動体搭載装置1は、図2に示すように処理部10と、撮像部11と、GNSS部12と、センサ部13と、記憶部(第1記憶部)14と、無線通信部15と、出力部16と、を備える。
【0030】
処理部10は、CPU等のプロセッサによって構成される演算装置であり、後述の記憶部14から各種プログラム、データを読み込んで実行し、移動制御の機能を実現する。本実施形態では、処理部10は、画像データ取得部101と、クラス分類部102と、抽出部103と、位置情報取得部110と、送信処理部120と、学習済みモデル照会部105と、学習済みモデル変更部106と、出力処理部107と、の各機能部のデータ処理を実行する。各機能部の動作については後述する。ここで学習済みモデルは、人工知能で得られたモデルであり、例えば、機械学習によるものであってもよいし、深層学習により得られたモデルであってもよい。
【0031】
撮像部11は、移動体5に配置され、移動体5が走行している道路4を撮像する。撮像部11は、図示はしないが、光学レンズ部、イメージセンサ等を備える。撮像部11は、撮像した画像データを処理部10に送信する。画像データは、静止画であっても動画であってもよい。また、レーダやLIDAR(Light Detection And Ranging)で得られた点群データであってもよい。
【0032】
GNSS(Global Navigation Satellite System)部12は、アンテナを含み、GNSS信号等を受信する。GNSS信号は、GPS(Global Positioning System)又は準天頂衛星システム等のGNSSを構成する航法衛星等から送信される。GNSS部12は、受信したGNSS信号を処理部10に送信する。
【0033】
センサ部13は、移動体5の周囲の情報を検出するための装置である。センサ部13としては、例えば移動体5の周囲に送信した送信波と反射された受信波に基づいて、移動体5の周囲に存在する物体との距離、方向、相対速度等を検出するレーダやLIDAR(Light Detection And Ranging)であってもよい。本実施形態では、センサ部13として移動体5の周囲にレーザ光を照射し、周囲の物体を点群データとして検出するLIDARを用いている。LIDARにより、高い精度で周囲の物体の位置や形状等を検出できる。センサ部13は、検出した点群データを処理部10に送信する。
【0034】
記憶部14は、ハードウェア群を移動体搭載装置1として機能させるための各種プログラム、及び各種データなどの記憶領域であり、ROM、RAM、フラッシュメモリ、半導体ドライブ(SSD)又はハードディスクドライブ(HDD)などで構成することができる。具体的には、記憶部14は、本実施形態の各機能を処理部10に実行させるためのプログラム、各種パラメータ、移動体搭載装置1のIDやIPアドレス等の識別情報、マップ情報、警報通知処理に利用されるデータ、学習済みモデル等が記憶される。マップ情報としては、例えばダイナミックマップ等が挙げられる。警報通知処理に利用されるデータとしては、例えば撮像部11によって撮像された画像データ及び該画像データの識別情報、該画像データの取得時刻、移動体搭載装置1の位置に関する情報、所定の機械学習による学習済みモデルを一意に識別する識別情報(以下、学習済みモデル識別情報という)、学習済みモデルに関する後述する学習済みモデル情報、後述するクラス分類部102による分類結果等が挙げられる。
【0035】
無線通信部15は、移動体搭載装置1が第1監視装置2と無線により通信するための処理を実行する。無線通信部15は、例えば画像データの識別情報、クラス分類部102による分類結果、学習済みモデル識別情報等を第1監視装置2又は第2監視装置3に送信し、各種制御信号を第1監視装置2から受信する。
【0036】
出力部16は、車両の運転者等の移動体5の操作者に光、音、映像又はこれらの組み合わせによって道路4上の異常の存在を報知する。出力部16は、例えば映像を表示するディスプレイや音を発生させるスピーカ、光を発生させるLED等の発光機器等によって構成される。
【0037】
次に、処理部10が移動体搭載装置1の警報通知処理を実行するための機能的構成について説明する。
【0038】
画像データ取得部101は、撮像部11によって撮像された画像データを取得する処理を実行する。画像データ取得部101は、例えば道路4上に存在するオブジェクトを被写体として含む画像データを取得する。
【0039】
クラス分類部102は、画像データに含まれているオブジェクトに対して、所定の学習済みモデルに基づくクラス分類を実行する。具体的には、クラス分類部102は、画像データ取得部101によって取得された画像データに含まれているオブジェクトを抽出し、抽出したオブジェクトに対して、所定の学習済みモデルに基づくクラス分類(以下、クラス分類処理という)を行う。
【0040】
図3は、クラス分類部102による分類結果の一例を示すテーブルである。クラス分類部102は、例えば画像データに含まれているオブジェクトが複数のクラスそれぞれに該当する確率スコアを推論する。例えばクラス分類には、図3に示すように複数のクラスが存在する。図3に示す例では、画像データ内のオブジェクトがタイヤに該当する確率スコアが0.75となっている。即ち、クラス分類部102は、道路4上にタイヤが存在する確率が75%であると推論している。
【0041】
学習済みモデルは、例えば道路4上に存在するオブジェクトを含む画像データと、オブジェクトの種類を示すクラスであるラベルデータとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、画像データに含まれているオブジェクトのクラスを分類するために構築された学習モデルである。学習済みモデルは、例えばニューラルネットワークによる深層学習によって構築されたものであってもよい。
【0042】
なお、本実施形態では、移動体搭載装置1は、後述する学習済みモデル照会部105及び学習済みモデル変更部106による処理により、クラス分類部102がオブジェクトのクラス分類を行うために用いる学習済みモデルの学習済みモデル情報を第1監視装置2及び第2監視装置3と共有する。学習済みモデル情報とは、例えば画像データ中のオブジェクトに対するクラス分類の分類基準、オブジェクトの種類を分類する各クラスの内容等が挙げられる。
【0043】
抽出部103は、後述する信号送信部207、307から送信される画像データの送信要求信号を受信した場合に、画像データから対象となるオブジェクトが含まれている特徴画像データを抽出する処理を実行する。
【0044】
位置情報取得部110は、移動体搭載装置1が画像データを取得したときの位置を示す位置情報(以下、取得位置情報という)を取得する処理を実行する。取得位置情報は、例えば撮像部11による画像データの撮像時又は画像データ取得部101による画像データの取得時における移動体搭載装置1自身の位置を示す自己位置情報であってもよく、道路4上におけるオブジェクトの位置を示すオブジェクト位置情報であってもよい。位置情報取得部110は、自己位置推定部111と、オブジェクト位置推定部112と、を有する。
【0045】
自己位置推定部111は、自己位置情報を推定する処理を実行する。例えば自己位置推定部111は、GNSS部12から受信したGNSS信号に基づいて、移動体搭載装置1の自己位置情報を推定してもよい。また例えば自己位置推定部111は、管制サーバ7から受信したマップ情報とセンサ部13から受信した移動体5の周囲の点群データ等に基づいて、自己位置情報を推定してもよい。
【0046】
オブジェクト位置推定部112は、オブジェクトの位置を示すオブジェクト位置情報を推定する処理を実行する。オブジェクト位置情報とは、例えばオブジェクトが存在する位置の緯度、経度および高度等の情報、道路4の中央側、道路脇等の道路4におけるオブジェクトの位置を含む情報である。オブジェクト位置推定部112は、例えば自己位置推定部111によって推定された自己位置情報、クラス分類部102によって検出された画像データ中におけるオブジェクトの位置情報、移動体5における撮像部11の配置、撮像部11の向き、倍率等の撮像部11による画像データの撮像条件に基づいてオブジェクト位置情報を推定する。位置情報取得部110は、自己位置推定部111によって推定された自己位置情報又はオブジェクト位置推定部112によって推定されたオブジェクト位置情報を取得位置情報として取得する。
【0047】
送信処理部120は、無線通信部15を介して第1監視装置2又は第2監視装置3にデータを送信する処理を実行する。第1監視装置2又は第2監視装置3に送信されるデータとしては、例えばクラス分類部102による分類結果、取得位置情報、画像データの識別情報、学習済みモデル識別情報等が挙げられる。
【0048】
また送信処理部120は、抽出部103によって画像データから抽出された特徴画像データを第1監視装置2に送信する処理を実行する特徴画像データ送信部121を有する。
【0049】
学習済みモデル照会部105は、クラス分類部102によるクラス分類処理に用いた自身の学習済みモデルが、所定の機械学習による学習済みモデルであるか問い合わせる処理を実行する。具体的には、学習済みモデル照会部105は、記憶部14から学習済みモデル及びその識別情報を読み出す。そして、学習済みモデル照会部105は、送信処理部120を制御して第1監視装置2又は第2監視装置3に学習済みモデルの識別情報を送信するとともに、自身の学習済みモデルが所定の機械学習による学習済みモデルであるか照会する要求を示す要求信号を送信することで学習済みモデル照会処理を実行する。
【0050】
学習済みモデル変更部106は、クラス分類部102によって用いられる学習済みモデルが所定の機械学習による学習済みモデルではない場合、学習済みモデルを第2監視装置3によって指定される学習済みモデルに変更する処理を実行する。例えば学習済みモデル変更部106は、第2監視装置3によって指定されたリンク先にアクセスし、ダウンロードすることにより、学習済みモデルを取得し、既存の学習済みモデルと差し替えることで学習済みモデルを変更してもよい。第2監視装置3によって指定される学習済みモデルは、第1監視装置2及び第2監視装置3が少なくとも学習済みモデル情報を記憶する学習済みモデルである。即ち、移動体搭載装置1が、第2監視装置3によって指定される学習済みモデルに変更することで、移動体搭載装置1と第1監視装置2及び第2監視装置3とが学習済みモデル情報を共有することになる。
【0051】
出力処理部107は、第1監視装置2又は第2監視装置3から警報の対象となるオブジェクトが存在していることを示す通知を受けると、出力部16を制御して道路4上にオブジェクトが存在することを示す警報を出力する。
【0052】
出力処理部107は、出力部16を制御して第1監視装置2又は第2監視装置3からの通知を出力する処理を実行する。例えば出力処理部107は、警報の対象となるオブジェクトのクラス、オブジェクト位置情報等の情報をディスプレイに表示してもよく、スピーカから音声によって発生させてもよい。これにより、移動体5の操作者は、道路4上に存在する障害物等を認識することができる。
【0053】
<第1監視装置2の構成と動作について>
次に、警報通知処理における第1監視装置2の機能的構成について説明する。図4は、第1監視装置2のハードウェア及び機能ブロックの構成を例示するブロック図である。
【0054】
第1監視装置2は、図4に示すように処理部20と、記憶部(第2記憶部)21と、通信I/F部22と、無線通信部23と、出力部24と、を備える。
【0055】
処理部20は、CPU等のプロセッサによって構成される演算装置であり、後述の記憶部21から各種プログラム、データを読み込んで実行し、移動制御の機能を実現する。本実施形態では、処理部20は、分類結果取得部201と、学習済みモデル識別情報取得部202と、特徴画像データ取得部203と、高精度クラス分類部204と、比較部205、判定部206、信号送信部(送信部)207、通知部208と、を備え、各機能部のデータ処理を実行する。各機能部の動作については後述する。
【0056】
記憶部21は、ハードウェア群を第1監視装置2として機能させるための各種プログラム、及び各種データなどの記憶領域であり、ROM、RAM、フラッシュメモリ、半導体ドライブ(SSD)又はハードディスクドライブ(HDD)などで構成することができる。具体的には、記憶部21は、本実施形態の各機能を処理部20に実行させるためのプログラム、第1監視装置2の制御プログラム、各種パラメータ、第1監視装置2のIPアドレスやMACアドレス等の識別情報、通信可能エリアを含む地理的なマップ情報に関する情報、複数の異なるタイプの所定の学習済みモデルの学習済みモデル情報、所定の学習済みモデルを一意に識別する識別情報等が記憶される。
【0057】
通信I/F部22は、第1監視装置2が通信ネットワークNWを介して通信するためのインターフェイスである。第1監視装置2は、通信I/F部22を介して第2監視装置3と通信可能に接続される。
【0058】
無線通信部23は、第1監視装置2が周囲の装置と無線によりV2X通信するための処理を実行する。無線通信部23は、第1監視装置2の通信可能エリア内を走行する移動体5に搭載される移動体搭載装置1と無線通信を行う。無線通信部23は、例えば移動体搭載装置1のクラス分類部102による分類結果や位置情報取得部110によって取得された取得位置情報等を受信する。
【0059】
出力部24は、移動体5の操作者に光、音、映像又はこれらの組み合わせによって道路4上の警報の対象の存在を報知する。出力部24は、例えば映像を表示するディスプレイや音を発生させるスピーカ、光を発生させるLED等の発光機器等によって構成される。
【0060】
次に、処理部20が第1監視装置2の警報通知処理を実行するための機能的構成について説明する。
【0061】
分類結果取得部201は、無線通信部23を介して移動体搭載装置1からクラス分類部102による分類結果を取得する処理を実行する。本実施形態では、分類結果取得部201は、クラス分類部102による分類結果とともに、該分類結果に対応する画像データ識別情報、取得位置情報等を取得する。
【0062】
学習済みモデル識別情報取得部202は、移動体搭載装置1からクラス分類部102による警報通知処理に用いた学習済みモデル識別情報を取得する処理を実行する。
【0063】
特徴画像データ取得部203は、移動体搭載装置1の特徴画像データ送信部121から特徴画像データを取得する処理を実行する。特徴画像データ取得部203は、後述する信号送信部207から送信される画像データの送信要求信号を受信した移動体搭載装置1から送信される特徴画像データを取得する。
【0064】
高精度クラス分類部204は、特徴画像データ取得部203によって取得された特徴画像データと、移動体搭載装置1のクラス分類部102で用いられている所定の学習済みモデルよりも高い精度の学習済みモデル(以下、高精度学習済みモデルという)に基づく高い精度のクラス分類を行う(以下、高精度クラス分類処理という)。具体的には、高精度クラス分類部204は、特徴画像データに含まれているオブジェクトに対して、高精度学習済みモデルに基づくクラス分類を行う。高精度学習済みモデルは、移動体搭載装置1のクラス分類部102によって用いられる学習済みモデルと異なるタイプのものであり、より分類精度の高いタイプである。
【0065】
比較部205は、移動体搭載装置1が用いた学習済みモデルが所定の学習済みモデルであるかを判定する処理を実行する。具体的には、比較部205は、学習済みモデル識別情報取得部202によって取得された学習済みモデル識別情報と、記憶部21に記憶された学習済みモデル識別情報とを比較し、それらの識別情報が一致する場合、移動体搭載装置1が用いた学習済みモデルが所定の学習済みモデルであると判定し、それらの識別情報が一致しない場合、その旨を学習済みモデル識別情報の送信先である移動体搭載装置1に送信する。
【0066】
判定部206は、画像データ内のオブジェクトが警報の対象となるかを判定する処理を実行する。図5は、所定の学習済みモデルにより得られるクラス分類に基づいて生成されたテーブルTの一例を示す図である。判定部206は、比較部205よって学習済みモデルが所定の学習済みモデルであると判定された場合、画像データ内のオブジェクトが警報の対象になるかを判定する処理(以下、警報対象判定処理という)を実行する。具体的には、判定部206は、図5に示す所定の学習済みモデルにより得られるクラス分類に基づいて生成されたテーブルTを参照し、移動体搭載装置1の送信処理部120から受信した分類結果に基づいて、警報対象判定処理を実行する。図5に示すように、テーブルTには、所定の学習済みモデルによって分類され、オブジェクトが警報の対象になる可能性のあるクラスの種類と、オブジェクトが警報の対象になる確率スコアの所定の閾値(以下、警報用閾値という)の一覧である。図5に示す例では、一のクラスの確率スコアが0.6以上である場合に、警報の対象になると判定される。判定部206は、例えば分類結果に含まれている確率スコアの中で最大となる確率スコアが警報用閾値以上である場合に、警報の対象になると判定してもよい。例えば図3に示す分類結果と図5に示すテーブルTにより警報対象判定処理を実行する場合、図3に示す分類結果では、タイヤの確率スコアが0.75であり、図5に示すテーブルTの警報用閾値が0.6以上であるので、オブジェクトが警報の対象になると判定される。
【0067】
判定部206は、学習済みモデルのタイプに応じて警報用閾値を変更してもよい。例えば判定部206は、分類精度や信頼性が高いタイプの学習済みモデルの警報用閾値をより低く設定してもよい。図6は、第1監視装置2の判定部206による学習済みモデルのタイプに応じた警報の対象の判定基準の一例を示すテーブルである。図6に示す例では、タイプAが最も分類精度が高いタイプの学習済みモデルであり、警報用閾値が0.6に設定されている。即ち、判定部206は、クラス分類部102による分類結果がタイプAの学習済みモデルを用いたものである場合、例えばオブジェクトの分類結果に含まれている確率スコアの中で最大となる確率スコアが0.6以上であると、オブジェクトが警報の対象になると判定する。一方で、判定部212は、クラス分類部102による分類結果がタイプCの学習済みモデルを用いたものである場合、例えばオブジェクトの分類結果に含まれている確率スコアの中で最大となる確率スコアが0.8以上でなければオブジェクトが警報の対象になると判定しない。なお、図6に示す例では、タイプA、B、C以外のその他のタイプの学習済みモデルである場合、判定部206は、警報通知判定処理を実行しない。
【0068】
信号送信部207は、移動体搭載装置1のクラス分類部102による分類結果に含まれている確率スコアの中で最大となる確率スコアが所定の範囲(例えば、0.4~0.6等)である場合に、その分類結果に対応する画像データの送信要求信号を該画像データの送信元である移動体搭載装置1に送信する。この送信要求信号を受信した移動体搭載装置1は、上述したように送信要求信号が示す画像データの特徴画像データを送信要求信号の送信元である第1監視装置2に送信する。そして、第1監視装置2の特徴画像データ取得部203によって特徴画像データが取得される。
【0069】
判定部206は、特徴画像データ取得部203によって特徴画像データが取得された場合、クラス分類部102による分類結果を用いずに、高精度クラス分類部204によって高精度クラス分類処理された分類結果に基づいて警報の対象となるオブジェクトが存在するかを判定してもよい。例えば判定部206は、高精度学習済みモデルにより得られるクラス分類に基づいて生成されたテーブルを参照し、高精度クラス分類部204により分類された分類結果に基づいて、オブジェクトが警報の対象となるか否を判定してもよい。具体的には判定部206は、高精度クラス分類部204による分類結果に含まれている確率スコアの中で最大となる確率スコアが所定の閾値(以下、高精度警報用閾値という)以上である場合に、警報の対象となるオブジェクトが存在すると判定してもよい。なお、高精度クラス分類処理を行わず、ユーザが特徴画像データを確認し、警報の対象となるオブジェクトが存在しているかを判定することもできる。
【0070】
通知部208は、判定部206によりオブジェクトが警報の対象になると判定された場合、警報の対象となるオブジェクトが存在していることを外部装置に通知する処理を実行する。外部装置とは、一の第1監視装置2自身以外の装置を意味し、例えば他の第1監視装置2であってもよく、第2監視装置3であってもよく、自身が配置される路側機6以外の他の路側機6であってもよい。他の路側機6は、第1監視装置2が配置されているものであってもよく、第1監視装置2が配置されていないものであってもよい。本実施形態では、通知部208は、第2監視装置3を介して第1監視装置2が配置されていない路側機6又は他の第1監視装置2に警報の対象になるオブジェクトが存在していることを通知する。通知部208は、例えば図1に示すように、オブジェクトが存在する道路4の順走方向X、即ち移動経路の進行方向においてオブジェクト位置情報が示す位置よりも後方のエリアに存在する他の第1監視装置2や移動体搭載装置1へ警報の対象となるオブジェクトが存在していることを通知する。即ち、通知部208は、自身が設置されている場所よりも道路4上の手前に設置されている他の第1監視装置2又は第1監視装置2が配置されていない路側機6に警報の対象となるオブジェクトが存在していることを通知する。これにより、警報の対象となるオブジェクトが存在する位置よりも後方のエリアに存在する移動体5の操作者に注意喚起を行い、移動体5の通常の移動を妨げる障害物等の存在を予め認識させることが可能となる。
【0071】
<第2監視装置3の構成と動作について>
次に、警報通知処理における第2監視装置3の機能的構成について説明する。図7は、第2監視装置3のハードウェア及び機能ブロックの構成を例示するブロック図である。
【0072】
第2監視装置3は、図7に示すように処理部30と、記憶部(第2記憶部)31と、通信I/F部32と、を備える。
【0073】
処理部30は、CPU等のプロセッサによって構成される演算装置であり、後述の記憶部31から各種プログラム、データを読み込んで実行し、移動制御の機能を実現する。本実施形態では、処理部30は、分類結果取得部301と、学習済みモデル識別情報取得部302と、特徴画像データ取得部303と、高精度クラス分類部304と、比較部305と、判定部306と、信号送信部307と、通知部308と、学習済みモデル変更指示部309と、通知統合部310と、を備え、各機能部のデータ処理を実行する。
【0074】
記憶部31は、ハードウェア群を第2監視装置3として機能させるための各種プログラム、及び各種データなどの記憶領域であり、ROM、RAM、フラッシュメモリ、半導体ドライブ(SSD)又はハードディスクドライブ(HDD)などで構成することができる。具体的には、記憶部31は、本実施形態の各機能を処理部30に実行させるためのプログラム、第2監視装置3の制御プログラム、各種パラメータ、第2監視装置3のIPアドレスやMACアドレス等の識別情報、複数の路側機6が通信可能エリアを含む地理的なマップ情報に関する情報、複数のタイプの学習済みモデルの学習済みモデル情報、判定部306で用いる所定の学習済みモデルを一意に識別する識別情報等が記憶される。
【0075】
通信I/F部32は、第2監視装置3が通信ネットワークNWを介して通信するためのインターフェイスである。第2監視装置3は、通信I/F部32を介して複数の第1監視装置2や他の通信装置と通信可能に接続される。
【0076】
次に、処理部30が第2監視装置3の警報通知処理を実行するための機能的構成について説明する。なお、上述した第1監視装置2が含む機能ブロックと同名の機能ブロックは同等の機能を有しており、重複する再度の説明は省略する場合がある。
【0077】
学習済みモデル変更指示部309は、比較部305によって学習済みモデルが所定の学習済みモデルではないと判定された場合に、学習済みモデル識別情報の送信元である移動体搭載装置1に学習済みモデルを所定の学習済みモデルに変更することを指示する変更指示信号を送信する。例えば変更指示信号には、所定の学習済みモデルをダウンロード可能なリンク先等の情報も含まれる。
【0078】
通知統合部310は、複数の第1監視装置2から警報の対象となるオブジェクトが存在することを示す通知を受けた場合に、同じオブジェクトに対する通知を統合する処理を実行する。具体的には通知統合部310は、分類結果取得部301によって取得された取得位置情報に基づいて通知が同じオブジェクトに対するものであるか判定し、その判定結果に基づいて通知を統合する。通知統合部310は、例えば対応する取得位置情報が同じ位置を示している通知同士を1つに統合する。そして、通知統合部310は、通知部308が宛先とした他の第1監視装置2に統合した通知を送信する。これにより、宛先となる第1監視装置2や該第1監視装置2と通信可能な移動体搭載装置1に重複した内容の通知が複数回送信される事態を防止できる。
【0079】
次に、本実施形態に係る警報通知システムSによる警報通知処理の流れについて説明する。なお、以下の動作説明における処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
【0080】
まず、警報通知システムSによる警報通知処理のうち移動体搭載装置1によって実行される処理の一例について説明する。図8は、移動体搭載装置1によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0081】
図8に示すように、ステップS11において、処理部10は、GNSS部12によって検出されたGNSS信号と、撮像部11によって撮像された画像データと、を取得する。具体的には、画像データ取得部101が、撮像部11から送信される画像データを取得し、自己位置推定部111は、GNSS部12から送信されるGNSS信号を受信する。
【0082】
ステップS12において、クラス分類部102は、クラス分類処理を実行する。具体的には、クラス分類部102は、ステップS11において取得された画像データに含まれているオブジェクトを抽出し、抽出したオブジェクトに対して、所定の学習済みモデルに基づくクラス分類を行う。
【0083】
ステップS13において、位置情報取得部110は、取得位置情報を取得する処理を実行する。具体的には、まず自己位置推定部111により、ステップS11で取得されたGNSS信号に基づいて、ステップS11で取得された画像データの撮像時における移動体搭載装置1の自己位置情報が推定される。そして、オブジェクト位置推定部112により、自己位置推定部111によって推定された自己位置情報、ステップS12で検出された画像データ中におけるオブジェクトの位置情報、画像データの撮像条件等に基づいてオブジェクト位置情報が推定される。
【0084】
ステップS14において、送信処理部120は、ステップS12で求めたクラス分類部102による分類結果、該分類結果に係る画像データの識別情報、ステップS12でのクラス分類処理で用いた学習済みモデルの識別情報、ステップS13で取得した取得位置情報等を第1監視装置2に送信する。
【0085】
次に、警報通知システムSによる警報通知処理のうち第1監視装置2によって実行される処理の一例について説明する。図9は、第1監視装置2によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0086】
図9に示すように、ステップS21において、処理部20の分類結果取得部201は、無線通信部23を介して移動体搭載装置1からステップS14で送信された、ステップS12で得られたクラス分類部102による分類結果、該分類結果に係る画像データの識別情報、取得位置情報等を取得する。また、学習済みモデル識別情報取得部202は、ステップS12でのクラス分類処理で用いた学習済みモデルの識別情報を取得する。
【0087】
ステップS22において、比較部205は、ステップS21で取得した学習済みモデルの識別情報に基づいて、ステップS12で用いた学習済みモデルが所定の学習済みモデルであるか否かを判定する。学習済みモデル照合部211は、所定の学習済みモデルではないと判定した場合(ステップS22;NO)、分類結果等の送信元の移動体搭載装置1にその旨を送信するとともに、処理をステップS21に戻す。一方で、学習済みモデル照合部211は、所定の学習済みモデルであると判定した場合(ステップS22;YES)、処理をステップS23に移行する。
【0088】
ステップS23において、判定部206は、所定の学習済みモデルにより得られるクラス分類に基づいて生成されたテーブルTを参照し、ステップS21で取得した分類結果に基づいて、ステップS12で抽出されたオブジェクトが警報の対象になるかを判定する処理を実行する。具体的には判定部206は、ステップS21で取得した分類結果に含まれている確率スコアの中で最大となる確率スコアが警報用閾値未満である場合(ステップS23;NO)、処理をステップS21に戻す。一方で、判定部206は、ステップS21で取得した分類結果に含まれている確率スコアの中で最大となる確率スコアが警報用閾値以上である場合(ステップS23;YES)、処理をステップS24に移行する。
【0089】
ステップS24において、通知部208は、他の第1監視装置2及び第2監視装置3に警報の対象になるオブジェクトが存在していることを通知する。例えば通知部208は、第1監視装置2自身が設置されている場所よりも道路4上の手前に設置されている他の第1監視装置2又は第1監視装置2が配置されていない路側機6に警報の対象になるオブジェクトが存在していることを通知する。これにより、一連の警報通知処理が終了する。
【0090】
次に、第1監視装置2が実行する図9に示す処理とは異なる処理の一例について図10を参照しながら説明する。図10は、警報通知システムSによる警報通知処理のうち第1監視装置2によって実行される図9に示す処理とは異なる処理の一例を示すフローチャートである。
【0091】
図10に示すように、処理部20は、ステップS21及びステップS22の処理を実行する。なお、ステップS21及びステップS22の処理は、図9に示すステップS21及びステップS22の処理と同様の処理であるので、その説明を省略する。
【0092】
処理部20は、ステップS22で比較部205が、ステップS12で用いた学習済みモデルが所定の学習済みモデルであると判定した場合、処理をステップS31に移行する。ステップS31において、判定部212は、ステップS21で取得した分類結果に含まれている確率スコアの中で最大となる確率スコアが所定の範囲であるか否かを判定する。判定部212は、分類結果に含まれている確率スコアの中で最大となる確率スコアが所定の範囲外である場合(ステップS31;NO)、処理をステップS23に移行する。ステップS23の処理の後、ステップS24に処理を移行するか警報通知処理を終了する。なお、ステップS23及びステップS24の処理は、図9に示すステップS23及びステップS24の処理と同様の処理であるので、その説明を省略する。一方で、判定部212は、分類結果に含まれている確率スコアの中で最大となる確率スコアが所定の範囲内である場合(ステップS31;YES)、処理をステップS32に移行する。
【0093】
ステップS32において、信号送信部207は、図8に示すステップS12で得られた分類結果に対応する画像データの送信要求信号を画像データの送信元である移動体搭載装置1に送信する。
【0094】
ステップS33において、特徴画像データ取得部203は、ステップS32で送信要求信号が送信された移動体搭載装置1から特徴画像データを取得する。
【0095】
ステップS34において、高精度クラス分類部204は、高精度クラス分類処理を実行する。具体的には、高精度クラス分類部204は、ステップS33で取得した特徴画像データと、記憶部21から抽出した高精度学習済みモデルとに基づいて、画像データに含まれているクラス分類を行う。
【0096】
ステップS35において、判定部206は、ステップS34で得られた分類結果に基づいて警報の対象となるオブジェクトが存在するかを判定する。具体的には判定部206は、ステップS34で得られた分類結果に含まれている確率スコアの中で最大となる確率スコアが高精度警報用閾値未満である場合(ステップS35;NO)、処理を終了する。一方で、判定部206は、分類結果に含まれている確率スコアの中で最大となる確率スコアが警報用閾値以上である場合(ステップS35;YES)、処理をステップS36に移行する。
【0097】
ステップS36において、通知部208は、警報の対象となるオブジェクトが存在していることを他の第1監視装置2及び第2監視装置3、路側機6等の外部装置に通知し、一連の警報通知処理が終了する。
【0098】
次に、警報通知システムSによる図8~10に示す処理とは異なる警報通知処理の一例について図11及び図12を参照しながら説明する。図11は、警報通知処理のうち移動体搭載装置1によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。図12は、第2監視装置3によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0099】
まず、移動体搭載装置1によって実行される処理の一例について図11を参照しながら説明する。
【0100】
図11に示すように、処理部10は、ステップS11~ステップS14の処理を実行する。なお、ステップS11~ステップS14の処理は、図8に示すステップS11~ステップS14の処理と同様の処理であるので、その説明を省略する。
【0101】
ステップS41において、学習済みモデル照会部105は、ステップS12で用いた学習済みモデルが、所定の学習済みモデルであるかを問い合わせる処理を実行する。例えば学習済みモデル照会部105は、第2監視装置3にステップS12で用いた学習済みモデルの識別情報を送信するとともに、学習済みモデルが所定のタイプであるか照合するように要求する要求信号を送信する。
【0102】
ステップS42において、第2監視装置3の比較部305によってステップS12で用いた学習済みモデルが所定の学習済みモデルであると判定された場合(ステップS42;YES)、処理部10による警報通知処理を終了する。一方で、所定の学習済みモデルではないと判定された場合(ステップS42;NO)、処理をステップS43に移行する。
【0103】
ステップS43において、学習済みモデル変更部106は、第2監視装置3によって指定されるタイプの学習済みモデルに変更する処理を実行する。例えば学習済みモデル変更部106は、第2監視装置3によって指定されたリンク先等にアクセスし、ダウンロードすることにより、学習済みモデルを取得し、既存の学習済みモデルと差し替える。その後、処理部10は、ステップS12~ステップS14と同様の内容のステップS44~ステップS46の処理を実行する。これにより、移動体搭載装置1は、第2監視装置3と学習済みモデル情報を共有した学習済みモデルを用いてクラス分類処理を実行した分類結果を第2監視装置3に送信することになる。
【0104】
ここで、学習済みモデルのクラス分類等の学習済みモデル情報を移動体搭載装置1と監視装置2、3で共有しない場合、例えば、移動体搭載装置1で有する学習済みモデルを使用してオブジェクトを推論して、確率スコアを監視装置2、3に送った場合、監視装置2、3では、どのような学習済みモデルによる確率スコアであるかを検証できないため、確率スコアを定量的に判断することが困難であると考えられる。また警報をあげるべきか否かを定量的に判断することが困難となる問題がある。
【0105】
これに対して、移動体搭載装置1側で監視装置2、3と情報が共有された所定の学習済みモデルを用いてクラス分類処理が行われるので、監視装置2、3側で把握しているクラス分類で確率スコアを検証でき、確率スコア等を定量的に判断することが容易になる。
【0106】
次に、第2監視装置3によって実行される処理の一例について図12を参照しながら説明する。
【0107】
図12に示すように、ステップS51において、処理部30の分類結果取得部301は、第1監視装置2等を介して移動体搭載装置1からステップS11で送信されたステップS12で求めたクラス分類部102による分類結果、該分類結果に係る画像データの識別情報、取得位置情報等を取得する。また、学習済みモデル識別情報取得部202は、ステップS12でのクラス分類処理で用いた学習済みモデルの識別情報を取得する。
【0108】
ステップS52において、比較部305は、ステップS11で取得した学習済みモデルの識別情報に基づいて、ステップS12で用いた学習済みモデルが所定の学習済みモデルであるか否かを判定する。比較部305は、ステップS12で用いた学習済みモデルが所定の学習済みモデルではないと判定した場合(ステップS52;NO)、処理をステップS53に移行する。そして、ステップS53において、学習済みモデル変更指示部309は、ステップS41で要求信号を送信した移動体搭載装置1に変更指示信号を送信し、処理をステップS51に戻す。一方で、比較部305は、ステップS12で用いた学習済みモデルが所定の学習済みモデルであると判定した場合(ステップS52;YES)、処理をステップS54に移行する。
【0109】
ステップS54において、判定部306は、ステップS51で取得した分類結果に基づいて警報の対象となるオブジェクトが存在するかを判定する。具体的には判定部306は、ステップS51で取得した分類結果に含まれている確率スコアの中で最大となる確率スコアが警報用閾値未満である場合(ステップS54;NO)、処理をステップS51に戻す。一方で、判定部312は、分類結果に含まれている確率スコアの中で最大となる確率スコアが警報用閾値以上である場合(ステップS54;YES)、処理をステップS55に移行する。
【0110】
ステップS55において、通知部308は、警報の対象になるオブジェクトが存在していることを第1監視装置2に通知する。例えば通知部308は、オブジェクトが存在する道路4の順走方向X、即ち移動経路の進行方向においてオブジェクト位置情報が示す位置よりも後方のエリアに存在する第1監視装置2へ警報の対象となるオブジェクトが存在していることを通知する。これにより、一連の警報通知処理が終了する。
【0111】
以上説明した実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0112】
本実施形態に係る警報通知システムSは、移動体5に搭載される移動体搭載装置1と、移動体搭載装置1と通信可能であり、それぞれ異なるエリアに設置され、通信ネットワークNWを介して互いに通信可能な1つ以上の監視装置2、3と、を備える警報通知システムSであって、移動体搭載装置1は、画像データを取得する画像データ取得部101と、画像データ取得部101によって取得された画像データに含まれているオブジェクトを抽出し、抽出したオブジェクトに対して、所定の機械学習による学習済みモデルに基づくクラス分類を行うクラス分類部102と、クラス分類部102により分類されたオブジェクトの分類結果を監視装置2、3に送信する送信処理部120と、を有し、監視装置2、3は、所定の機械学習による学習済みモデルにより得られるクラス分類に基づいて生成されたテーブルTを参照し、移動体搭載装置1の送信処理部120から受信した分類結果に基づいて、警報の対象になるか否かを判定する判定部206、306と、判定部206、306により警報の対象になると判定された場合、警報の対象となるオブジェクトが存在していることを外部装置に通知する通知部208、308と、を有する。これにより、移動体搭載装置1側で画像データに含まれているオブジェクトに対するクラス分類処理を行い、比較的容量が小さい分類結果が第1監視装置2、第2監視装置3側に送信され、監視装置2、3側でオブジェクトが警報の対象であるかが判定される。このため、容量が大きい画像データを送受信せずに道路4における警報の対象の存在を異なるエリアに伝えることができる。このため、移動体搭載装置1が搭載される移動体5の移動速度が速い場合であっても、道路4上の障害物等の存在を確実に異なるエリアに伝えることができる。
【0113】
ここで、学習済みモデルのクラス分類等の学習済みモデル情報を移動体搭載装置1と監視装置2、3で共有しない場合、例えば、移動体搭載装置1で有する学習済みモデルを使用してオブジェクトを推論して、確率スコアを監視装置2、3に送った場合、監視装置2、3では、どのような学習済みモデルによる確率スコアであるかを検証できないため、確率スコアを定量的に判断することが困難であると考えられる。また警報をあげるべきか否かを定量的に判断することが困難となる問題がある。
【0114】
これに対して本実施形態によれば、移動体5に搭載された移動体搭載装置1側で監視装置2、3と情報が共有された所定の機械学習による学習済みモデルを用いてクラス分類処理が行われるので、監視装置2、3側で把握しているクラス分類で確率スコアを検証できる。よって、移動体搭載装置1側からの確率スコア等を定量的に判断することが容易になる。
【0115】
また本実施形態に係る警報通知システムSにおいて、通知部208、308は、移動体搭載装置1から送信されてきた分類結果に基づいて、警報の対象になると判定された場合、自身が設置されている場所よりも道路4上の離れた場所に設置されている外部装置としての路側機6へ警報の対象となるオブジェクトが存在していることを通知する。これにより、路側機6を介して警報の対象となるオブジェクトが存在する位置から離れたエリアに存在する移動体5の操作者に道路4上の障害物等の存在する通知することができる。例えば警報の対象となるオブジェクトが存在する位置よりも後方のエリアに存在する移動体5の操作者に注意喚起を行い、道路4上の障害物等の存在を予め認識させることが可能となる。
【0116】
また本実施形態に係る警報通知システムSにおいて、分類結果には、クラスごとの確率スコアが含まれ、判定部206、306は、テーブルTを参照し、分類結果に含まれている確率スコアに基づいて、警報の対象になるか否かを判定する。これにより、より簡素な処理でオブジェクトが警報の対象となるかを判定することができる。
【0117】
また本実施形態に係る警報通知システムSにおいて、監視装置2、3は、移動体搭載装置1のクラス分類部102による分類結果に含まれている確率スコアが所定の範囲である場合に、該分類結果に対応する画像データの送信要求信号を該画像データの送信元である移動体搭載装置に送信する信号送信部207、307を有し、移動体搭載装置1は、送信要求信号を受信した場合に、画像データから対象となるオブジェクトが含まれている特徴画像データを抽出する抽出部103を有し、送信処理部120は、該特徴画像データを監視装置2、3に送信する特徴画像データ送信部121を有する。これにより、例えば移動体搭載装置1によるクラス分類処理の結果のみでオブジェクトが警報の対象であるか判定することが難しい場合、改めて監視装置2、3側でオブジェクトが警報の対象であるか判定することができる。また、移動体搭載装置1から監視装置2、3側に送信されるデータは、オブジェクトのみを抽出し、未加工の画像データと比較して容量が小さい特徴画像データであるので、より確実に装置間でデータを伝送することができる。
【0118】
また本実施形態に係る警報通知システムSにおいて、監視装置2、3は、特徴画像データ送信部121から受信した特徴画像データと、特徴画像データに含まれるオブジェクトに対して、移動体搭載装置1のクラス分類部102で用いられている所定の機械学習による学習済みモデルよりも高い精度の高精度学習済みモデルに基づくクラス分類を行う高精度クラス分類部204、304を更に有し、判定部206、306は、高精度学習済みモデルにより得られるクラス分類に基づいて生成されたテーブルを参照し、高精度クラス分類部204、304により分類された分類結果に基づいて、警報の対象になるか否かを判定する。これにより、例えば監視装置2、3側でも学習済みモデルを用いてオブジェクトが警報の対象であるか判定することができる。
【0119】
また本実施形態に係る警報通知システムSにおいて、移動体搭載装置1は、画像データを取得したときの位置を示す取得位置情報を取得する位置情報取得部110を更に有し、送信処理部120は、クラス分類により分類されたオブジェクトの分類結果とともに、位置情報取得部110により取得された取得位置情報を監視装置2、3に送信する。これにより、例えば警報の対象になるオブジェクトの位置に関する情報を考慮して、監視装置2、3側で警報の緊急性や重要度を調整することができる。
【0120】
また本実施形態に係る警報通知システムSにおいて、移動体搭載装置1は、クラス分類部102で用いる所定の学習済みモデルを一意に識別する識別情報を記憶する記憶部14を有し、移動体搭載装置1の送信処理部120は、クラス分類により分類されたオブジェクトの分類結果とともに、所定の学習済みモデルの識別情報を監視装置2、3へ送信し、監視装置2、3は、判定部206、306で用いるテーブルTが生成された学習済みモデルを一意に識別する識別情報を記憶する記憶部21、31と、移動体搭載装置1から送信されてきた識別情報と、記憶部21,31に記憶されている識別情報を比較する比較部205、305と、を備え、通知部208、308は、比較部205、305により移動体搭載装置1から送信されてきた識別情報と、記憶部21、31に記憶されている識別情報とが一致しない場合、その旨を移動体搭載装置1に送信する。これにより、より確実に移動体搭載装置1と監視装置2、3との間で情報が共有された学習済みモデルで画像データに含まれているオブジェクトが警報の対象になるか判定できる。
【0121】
また本実施形態に係る監視装置2、3は、移動体搭載装置1と通信可能であり、それぞれ異なるエリアに設置され、通信ネットワークNWを介して互いに通信可能な1つ以上の監視装置2、3を備える警報通知システムSに含まれる監視装置2、3であって、画像データに含まれ、該画像データから抽出されたオブジェクトに対する所定の機械学習による学習モデルに基づく、クラス分類によって分類されたオブジェクトの分類結果を移動体搭載装置1から取得する分類結果取得部201、301と、所定の機械学習による学習済みモデルにより得られるクラス分類に基づいて生成されたテーブルTを参照し、移動体搭載装置1の送信処理部120から受信した分類結果に基づいて、警報の対象になるか否かを判定する判定部206、306と、判定部206、306により警報の対象になると判定された場合、警報の対象となるオブジェクトが存在していることを外部装置に通知する通知部208、308と、を備える。本実施形態によれば、移動体5に搭載された移動体搭載装置1側で第1監視装置2等とクラス分類が共有された所定の機械学習による学習済みモデルを用いて画像データに含まれているオブジェクトに対するクラス分類処理が行われる。そして、比較的容量が小さい分類結果が監視装置2、3側に送信され、監視装置2、3側でオブジェクトが警報の対象であるかが判定される。これにより、容量が大きい画像データを送受信せずに道路4における警報の対象の存在を異なるエリアに伝えることができる。このため、移動体搭載装置1が搭載される移動体5の移動速度が速い場合であっても、道路4上の障害物等の存在を確実に異なるエリアに伝えることができる。
【0122】
また本実施形態に係る移動体搭載装置1は、移動体5に搭載され、監視装置2、3と通信可能な移動体搭載装置1であって、画像データを取得する画像データ取得部101と、画像データ取得部101によって取得された画像データに含まれているオブジェクトを抽出し、抽出したオブジェクトに対して、所定の機械学習による学習済みモデルに基づくクラス分類を行うクラス分類部102と、クラス分類部102で用いる所定の機械学習による学習済みモデルを一意に識別する識別情報を記憶する記憶部14と、クラス分類部により分類されたオブジェクトの分類結果と所定の機械学習による学習済みモデルの識別情報とを監視装置2、3に送信する送信処理部120と、を備える。これにより、移動体5に搭載された移動体搭載装置1側で学習済みモデルを用いてクラス分類処理を行い、比較的容量が小さい分類結果とともに使用した学習済みモデルの識別情報を監視装置2、3側に送信するので、監視装置2、3側で分類結果とその根拠となる情報をより確実に取得することができる。よって、移動体搭載装置1が搭載される移動体5の移動速度が速い場合であっても、道路4上の障害物等の存在を確実に異なるエリアに伝えることができる。
【0123】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0124】
上記実施形態では、抽出部103が監視装置2、3からの送信要求信号を受信した場合に、画像データから対象となるオブジェクトが含まれている特徴画像データを抽出していたが、送信要求信号の受信の有無にかかわらず、画像データから特徴画像データを抽出してもよい。そして、抽出した特徴画像データをオブジェクトの分類結果とともに監視装置2、3に送信してもよい。即ち、移動体搭載装置1は、画像データから対象となるオブジェクトが含まれている特徴画像データを抽出する抽出部を備え、送信処理部はクラス分類部により分類されたオブジェクトの分類結果と共に特徴画像データを監視装置2、3に送信する特徴画像データ送信部を有する構成であってもよい。
【0125】
例えば移動体搭載装置1が特徴画像データ送信部121を備えない構成であってもよく、第1監視装置2が特徴画像データ取得部203及び高精度クラス分類部204を備えない構成であってもよく、第2監視装置3が特徴画像データ取得部303及び高精度クラス分類部304を備えない構成であってもよい。
【0126】
また例えば移動体搭載装置1が学習済みモデル照会部105及び学習済みモデル変更部106を備えない構成であってもよい。
【0127】
また例えば第2監視装置3が学習済みモデル変更指示部309及び通知統合部310の少なくともいずれかを備えない構成であってもよい。反対に第1監視装置2が学習済みモデル変更指示部及び通知統合部の少なくともいずれかを備える構成であってもよい。
【0128】
また例えば警報通知システムSは、第2監視装置3を備えない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0129】
1、1A、1B、1C 移動体搭載装置
2 第1監視装置(監視装置)
3 第2監視装置(監視装置)
4 道路(移動経路)
5 移動体
101 画像データ取得部
102 クラス分類部
206、306 判定部
208、308 通知部
120 送信処理部
NW 通信ネットワーク
S 警報通知システム
T テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12