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特開2024-100315通信システム、サーバ装置及び車載装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100315
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】通信システム、サーバ装置及び車載装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240719BHJP
   H04W 4/44 20180101ALI20240719BHJP
【FI】
G08G1/09 F
H04W4/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004225
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】下大迫 和隆
【テーマコード(参考)】
5H181
5K067
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181LL01
5H181LL07
5H181LL08
5H181MC16
5K067AA33
(57)【要約】
【課題】データの送信元とインフラ設備との間で、データをより確実に伝送することができる通信システム、サーバ装置及び車載装置を提供すること。
【解決手段】通信システム100は、移動体5に搭載される車載装置1と、それぞれ異なるエリアに設置され、通信ネットワークNWを介して互いに通信可能な複数の路側機2、サーバ装置3を備え、車載装置1は、画像データDを複数のブロックに分割する画像データ分割部104と、画像データDを複数のブロック毎に路側機2を介してサーバ装置3に送信するブロック送信部111と、ブロック送信部111によるブロックの送信時の自己位置情報を送信する位置情報送信部113と、を有し、サーバ装置3は、自己位置情報に基づいてブロックを受信したことを示すACKを送信するACK送信部305又はブロックを受信していないことを示すNACKを送信するNACK送信部305Aと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載される車載装置と、前記車載装置と通信可能であり、それぞれ異なるエリアに設置され、通信ネットワークを介して互いに通信可能な複数の路側機と、サーバ装置を備える通信システムであって、
前記車載装置は、
データを複数のブロックに分割するデータ分割部と、
データを複数の前記ブロック毎に前記路側機を介して前記サーバ装置に送信するブロック送信部と、
前記ブロック送信部による前記ブロックの送信時の自身の位置情報を、前記路側機を介して前記サーバ装置に送信する位置情報送信部と、を有し、
前記サーバ装置は、
前記路側機を介して前記位置情報に基づいて、前記車載装置が搭載されている移動体の走行エリアの前記路側機へ向けて、前記ブロックを受信したことを示す肯定応答信号又は前記ブロックを受信していないことを示す否定応答信号を前記ブロックの送信元の前記車載装置に送信する信号送信部と、を備える通信システム。
【請求項2】
前記信号送信部は、前記位置情報と、前記移動体の走行情報および実際の走行エリアを含む過去の移動体の走行経路データとを一組のデータとし、多数の前記一組のデータを教師データとして構築された学習モデルに基づいて、前記移動体の走行エリアを推定する請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記車載装置は、前記データ分割部によって分割されたデータを構成する前記ブロックの数を送信するデータ関連情報送信部を更に備える請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記サーバ装置の前記信号送信部は、前記車載装置から前記ブロック送信部によって送信される一のブロックを前記サーバ装置が受信した場合に、該一のブロックを受信したことを示す肯定応答信号を前記一のブロックの送信元の前記車載装置に送信し、
前記車載装置の前記ブロック送信部は、前記肯定応答信号を受信した場合に、前記サーバ装置が受信したことが前記肯定応答信号によって示された前記一のブロックとは異なる一のブロックの送信を開始する請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記サーバ装置の前記信号送信部は、前記車載装置から前記ブロック送信部によって送信される一のブロックを前記サーバ装置が受信していない場合に、該一のブロックを受信していないことを示す否定応答信号を前記一のブロックの送信元の前記車載装置に送信し、
前記車載装置の前記ブロック送信部は、前記否定応答信号を受信した場合に、前記サーバ装置が受信していないことが前記否定応答信号によって示された前記一のブロックを再送信する請求項3に記載の通信システム。
【請求項6】
前記車載装置の前記データ関連情報送信部は、前記データ分割部によって複数のブロックに分割されたデータの送信を開始することを示す開始信号を送信し、
前記サーバ装置の前記信号送信部は、前記開始信号を受信してから所定の時間経過しても受信していない前記ブロックが存在する場合に、該ブロックを受信していないことを示す否定応答信号を前記ブロックの送信元の前記車載装置に送信する請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記データ分割部は、前記車載装置が搭載されている前記移動体の移動速度に基づいて、データを分割するサイズを決定し、決定したサイズに基づいて、データを複数のブロックに分割する請求項1~6のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項8】
請求項1に記載の前記車載装置と通信可能であり、それぞれ異なるエリアに設置され、通信ネットワークを介して互いに通信可能な複数の路側機を備える通信システムに含まれるサーバ装置であって、
前記路側機を介して前記位置情報に基づいて、前記車載装置が搭載されている移動体の走行エリアの前記路側機に向けて、前記ブロックを受信したことを示す肯定応答信号又は前記ブロックを受信していないことを示す否定応答信号を前記ブロックの送信元の前記車載装置に送信する信号送信部を備えるサーバ装置。
【請求項9】
移動体に搭載され、請求項1に記載の前記路側機及び前記サーバ装置と通信可能な車載装置であって、
データを複数のブロックに分割するデータ分割部と、
データを複数の前記ブロック毎に前記路側機を介して前記サーバ装置に送信するブロック送信部と、
前記ブロック送信部による前記ブロックの送信時の自身の位置情報を、前記路側機を介して前記サーバ装置に送信する位置情報送信部と、
前記サーバ装置から前記ブロックを受信したことを示す肯定応答信号又は前記ブロックを受信していないことを示す否定応答信号を受信する信号受信部と、を備える車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、サーバ装置及び車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路等を移動している移動体と道路側の通信装置等のインフラ設備との間でデータを伝送する通信システムが知られている。例えば特許文献1には、第1の車載機と、第2の車載機と、道路情報提供装置とから構成される道路異常警告システムが開示されている。第1の車載機は、車両から道路を撮像して得た画像データを取得し、この画像データに含まれるオブジェクトを検出し、車両の位置を検出する。第1の車載機は、オブジェクトが検出された場合、該オブジェクトを含む画像データ及びオブジェクトが検出されたときの車両の位置情報を道路情報提供装置へ送信し、また、オブジェクトが検出されたときの車両の位置情報を含み、道路上の異常を予告する異常予告情報を第2の車載機へ送信する。
【0003】
また、近年、自動車と道路側の通信装置(例えば、路側機)との間(V2I、Vehicle to Infrastructure)で、双方向の無線通信を実現する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-151798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、車載機で取得した画像データのサイズが大きい場合、特許文献1に記載のシステムをV2Iで実現しようとすると、個々の路側機の通信可能範囲に制限があるため、移動体が高速で路側機を通過すると、画像データのすべてを送信できない可能性がある。また、路側機周辺に多数の自動車が存在し、それぞれで通信を行っている場合には、画像データの送信に時間を要し、遅延が発生する可能性がある。
【0006】
本発明は、本発明は、これらの事情を鑑み、データの送信元とインフラ設備との間で、データをより確実に伝送することができる通信システム、サーバ装置及び車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)通信システムは、移動体に搭載される車載装置と、前記車載装置と通信可能であり、それぞれ異なるエリアに設置され、通信ネットワークを介して互いに通信可能な複数の路側機と、サーバ装置を備える通信システムであって、前記車載装置は、データを複数のブロックに分割するデータ分割部と、データを複数の前記ブロック毎に前記路側機を介して前記サーバ装置に送信するブロック送信部と、前記ブロック送信部による前記ブロックの送信時の自身の位置情報を、前記路側機を介して前記サーバ装置に送信する位置情報送信部と、を有し、前記サーバ装置は、前記路側機を介して前記位置情報に基づいて、前記車載装置が搭載されている前記移動体の走行エリアの前記路側機へ向けて、前記ブロックを受信したことを示す肯定応答信号又は前記ブロックを受信していないことを示す否定応答信号を前記ブロックの送信元の前記車載装置に送信する信号送信部と、を備える。
【0008】
(2)(1)に記載の通信システムにおいて、前記信号送信部は、前記位置情報と、前記移動体の走行情報および実際の走行エリアを含む過去の移動体の走行経路データとを一組のデータとし、多数の前記一組のデータを教師データとして構築された学習モデルに基づいて、前記移動体の走行エリアを推定する。
【0009】
(3)(1)又は(2)に記載の通信システムにおいて、前記車載装置は、前記データ分割部によって分割されたデータを構成する前記ブロックの数を送信するデータ関連情報送信部を更に備える。
【0010】
(4)(3)に記載の通信システムにおいて、前記サーバ装置の前記信号送信部は、前記車載装置から前記ブロック送信部によって送信される一のブロックを前記サーバ装置が受信した場合に、該一のブロックを受信したことを示す肯定応答信号を前記一のブロックの送信元の前記車載装置に送信し、前記車載装置の前記ブロック送信部は、前記肯定応答信号を受信した場合に、前記サーバ装置が受信したことが前記肯定応答信号によって示された前記一のブロックとは異なる一のブロックの送信を開始する。
【0011】
(5)(3)に記載の通信システムにおいて、前記サーバ装置の前記信号送信部は、前記車載装置から前記ブロック送信部によって送信される一のブロックを前記サーバ装置が受信していない場合に、該一のブロックを受信していないことを示す否定応答信号を前記一のブロックの送信元の前記車載装置に送信し、前記車載装置の前記ブロック送信部は、前記否定応答信号を受信した場合に、前記サーバ装置が受信していないことが前記否定応答信号によって示された前記一のブロックを再送信する。
【0012】
(6)(5)に記載の通信システムにおいて、前記車載装置の前記データ関連情報送信部は、前記データ分割部によって複数のブロックに分割されたデータの送信を開始することを示す開始信号を送信し、前記サーバ装置の前記信号送信部は、前記開始信号を受信してから所定の時間経過しても受信していない前記ブロックが存在する場合に、該ブロックを受信していないことを示す否定応答信号を前記ブロックの送信元の前記車載装置に送信する。
【0013】
(7)(1)~(6)のいずれか1つに記載の通信システムにおいて、前記データ分割部は、前記車載装置が搭載されている前記移動体の移動速度に基づいて、データを分割するサイズを決定し、決定したサイズに基づいて、データを複数のブロックに分割する。
【0014】
(8)サーバ装置は、(1)に記載の前記車載装置と通信可能であり、それぞれ異なるエリアに設置され、通信ネットワークを介して互いに通信可能な複数の路側機を備える通信システムに含まれるサーバ装置であって、前記路側機を介して前記位置情報に基づいて、前記車載装置が搭載されている前記移動体の走行エリアの前記路側機に向けて、前記ブロックを受信したことを示す肯定応答信号又は前記ブロックを受信していないことを示す否定応答信号を前記ブロックの送信元の前記車載装置に送信する信号送信部を備える。
【0015】
(9)車載装置は、移動体に搭載され、(1)に記載の前記サーバ装置と通信可能な車載装置であって、データを複数のブロックに分割するデータ分割部と、データを複数の前記ブロック毎に前記路側機を介して前記サーバ装置に送信するブロック送信部と、前記ブロック送信部による前記ブロックの送信時の自身の位置情報を、前記路側機を介して前記サーバ装置に送信する位置情報送信部と、前記サーバ装置から前記ブロックを受信したことを示す肯定応答信号又は前記ブロックを受信していないことを示す否定応答信号を受信する信号受信部と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、データの送信元とインフラ設備との間で、データをより確実に伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る通信システム及び通信システムが適用される道路を示す模式図である。
図2】第1実施形態に係る車載装置のハードウェア及び機能ブロックの構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る路側機のハードウェア及び機能ブロックの構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態に係るサーバ装置のハードウェア及び機能ブロックの構成を示すブロック図である。
図5】第1実施形態に係る通信システムにおいてACKが送信された場合の様子を示す模式図である。
図6】第1実施形態に係る通信システムにおいてサーバ装置に画像データの全てのブロックが送信された状態を示す模式図である。
図7】第1実施形態に係る通信システムの画像データ伝送処理のうち車載装置によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図8】第1実施形態に係る通信システムの画像データ伝送処理のうちサーバ装置によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図9】第2実施形態に係る通信システム及び通信システムが適用される道路を示す模式図である。
図10】第2実施形態に係る車載装置のハードウェア及び機能ブロックの構成を示すブロック図である。
図11】第2実施形態に係る路側機のハードウェア及び機能ブロックの構成を示すブロック図である。
図12】第2実施形態に係るサーバ装置のハードウェア及び機能ブロックの構成を示すブロック図である。
図13】第2実施形態に係る通信システムにおいてNACKが送信された場合の様子を示す模式図である。
図14】第2実施形態に係る通信システムにおいてサーバ装置に画像データの全てのブロックが送信された状態を示す模式図である。
図15】第2実施形態に係る通信システムの画像データ伝送処理のうち車載装置によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図16】第2実施形態に係る通信システムの画像データ伝送処理のうちサーバ装置によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る通信システム100について説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものでない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本発明は、各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものでない。
【0019】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る通信システム100の全体的な構成について図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る通信システム100及び通信システム100が適用される道路4の一例を示す概略図である。本実施形態は、道路上を移動する自動車等に搭載される車載装置と路側機やサーバ装置等のインフラ設備との間で行われる通信に適用されるシステムを想定しているが、所定の移動経路に沿って移動する移動体、例えばドローンのような移動体に搭載される車載装置とインフラ設備との間で行われる通信に適用することもできる。
【0020】
通信システム100は、道路4を走行する移動体5側から道路4側の通信装置等のインフラ設備にデータを伝送するためのシステムである。通信システム100は、道路4上または道路4脇などの道路4の周辺に設置され、道路4上を走行する車両である移動体5に搭載される車載装置1と、車載装置1と無線通信可能な複数の路側機2と、複数の路側機2のそれぞれと通信ネットワークNWを介して通信可能に接続されるサーバ装置3と、を備える。
【0021】
車載装置1から路側機2及びサーバ装置3に伝送されるデータは特に限定されない。例えば、画像データであってもよく、音声データであってもよく、テキストデータであってもよい。本実施形態では、道路4上に存在するオブジェクトTが含まれる画像データDを車載装置1から路側機2を介してサーバ装置3に伝送する画像データ伝送処理を行う場合を例に説明する。また、図1では、車載装置1から送信する画像データDを二点鎖線で示している。
【0022】
通信ネットワークNWは、プライベートネットワークやインターネットを含むような広域通信網WAN(wide area network)が考えられる。前者のプライベートネットワークでは、例えばOLT(optical line terminal)、OLTと光回線を介して接続される複数のONU(optical network unit)等によって形成されたPONアクセスシステムや、レイヤ2スイッチやレイヤ3スイッチなどで構成することができる。一方でWAN通信網の例では、例えば、MPLS(Multiprotocol Label Switching)ネットワークなどで構成することができる。
【0023】
車載装置1は、例えば、カーナビゲーション、ITS(Intelligent Transportation System)及びV2X通信等を使用する機能を備える。車載装置1は、道路4上に存在する警報の対象Tを含む画像データDを取得するとともに、路側機2やサーバ装置3から送信される情報に基づいて運転者に道路4上の警報の対象Tの存在を報知する機能を有する。警報の対象Tとしては、例えばプラスチックや布、ビニール類等のプラスチック類、タイヤ、角材、ロードキル(動物の死骸)、道路4上に散乱した空き缶、道路4のひび割れ、道路4の白線のカスレ等が挙げられる。警報としては、例えば移動体5の操作者に道路4上に異常が存在することを知らせるための音声情報や文字情報等が挙げられる。道路4上の異常の例としては、交通事故や災害なども考えられる。災害とは、例えば、震災による道路のひび割れ、崩落等による道路の損傷や、豪雨による道路への落石や土砂流入などの道路または道路上の異常が挙げられる。また、道路4上の異常のその他の例としては、道路上の付帯設備等の異常も考えられる。道路上の附帯設備とは、道路表示板や通信装置、照明設備やこれらの構造物、トンネル内の空調機器などの設備や構造物などが挙げられる。これらの付帯設備が、老朽化や前記災害などにより損傷、変形、破損などにより支障が発生した場合にも異常の対象として挙げられる。
【0024】
路側機2は、RSU(road side unit)等とも呼ばれる。複数の路側機2は、道路4の周辺(路側)等におけるそれぞれ異なるエリアに設置される。エリアとは、各路側機2が各移動体5の車載装置1との通信を担当する範囲を意味し、例えば道路4に沿って設定された地理的範囲を示す。図1に示す例では、複数の路側機2である路側機2A、2B、2C、2Dは、道路4に沿って互いに所定の間隔を空けて設置される。
【0025】
路側機2は、道路4を走行する移動体5に搭載される車載装置1や周囲に存在する各種装置と無線通信することでV2X(vehicle-to-everything)通信サービスを提供する。また路側機2は、無線通信が可能なエリア(以下、通信可能エリア)内を走行する移動体5や各種装置との無線通信等によって取得したデータを、通信ネットワークNWを介してサーバ装置3に送信する。
【0026】
サーバ装置3は、通信ネットワークNWを介して複数の路側機2と通信可能に接続される。本実施形態におけるサーバ装置3は、道路4上を走行する各移動体5に搭載される車載装置1から画像データ等の各種情報を収集して解析し、道路4や交通状況の監視等を行っている。例えば、サーバ装置3は、画像データDに警報の対象Tが含まれているか否か判定してもよい。
【0027】
<第1実施形態の車載装置1の構成と動作について>
次に、画像データ伝送処理における車載装置1の機能的構成について説明する。図2は、車載装置1のハードウェア及び機能ブロックの構成を例示するブロック図である。
【0028】
車載装置1は、図2に示すように処理部10と、撮像部11と、GNSS部12と、センサ部13と、記憶部14と、無線通信部15と、を備える。
【0029】
処理部10は、CPU等のプロセッサによって構成される演算装置であり、後述の記憶部14から各種プログラム等を読み込んで実行し、各種機能を実現する。本実施形態では、処理部10は、画像データ取得部101と、自己位置情報推定部102と、走行情報取得部103と、画像データ分割部(データ分割部)104と、ACK受信部105と、送信処理部110と、の各機能部の処理を実行する。各機能部の動作については後述する。
【0030】
撮像部11は、移動体5に配置され、移動体5が走行している道路4を撮像する。撮像部11は、図示はしないが、光学レンズ部、イメージセンサ等を備える。撮像部11は、撮像した画像データを処理部10に送信する。画像データとしては、静止画であっても動画であってもよい。
【0031】
GNSS(Global Navigation Satellite System)部12は、アンテナを含み、GNSS信号等を受信する。GNSS信号は、GPS(Global Positioning System)又は準天頂衛星システム等のGNSSを構成する航法衛星等から送信される。GNSS部12は、受信したGNSS信号を処理部10に送信する。
【0032】
センサ部13は、移動体5の周囲の情報を検出するための装置である。センサ部13としては、例えば移動体5の周囲に送信した送信波と反射された受信波に基づいて、移動体5の周囲に存在する物体との距離、方向、相対速度等を検出するレーダやLIDAR(Light Detection And Ranging)であってもよい。本実施形態では、センサ部13として移動体5の周囲にレーザ光を照射し、周囲の物体を点群データとして検出するLIDARを用いている。LIDARにより、高い精度で周囲の物体の位置や形状等を検出できる。センサ部13は、検出した点群データを処理部10に送信する。
【0033】
記憶部14は、ハードウェア群を車載装置1として機能させるための各種プログラム、及び各種データなどの記憶領域であり、ROM、RAM、フラッシュメモリ、半導体ドライブ(SSD)又はハードディスクドライブ(HDD)などで構成することができる。具体的には、記憶部14は、本実施形態の各機能を処理部10に実行させるためのプログラム、各種パラメータ、車載装置1のIDやIPアドレス等の識別情報、マップ情報、画像データ伝送処理に利用される情報等が記憶される。マップ情報としては、例えばダイナミックマップ等が挙げられる。画像データ伝送処理に利用される情報としては、例えば撮像部11によって撮像された画像データD及び該画像データDの識別情報、該画像データDの取得時刻情報、該画像データDの撮像時の車載装置1の位置情報等が挙げられる。
【0034】
無線通信部15は、車載装置1が路側機2と無線通信を行うための処理を実行する。無線通信部15は、例えば画像データDや画像データDの識別情報、画像データDの分割情報、車載装置1の位置情報等を路側機2に送信し、路側機2を介して各種信号をサーバ装置3から受信する。
【0035】
次に、処理部10が車載装置1の画像データ伝送処理を実行するための機能的構成について説明する。
【0036】
画像データ取得部101は、撮像部11によって撮像された画像データDを取得する処理を実行する。画像データ取得部101は、撮像部11によって撮像された画像データに含まれているオブジェクトを抽出し、オブジェクトが抽出されたものを画像データDとして取得してもよい。
【0037】
自己位置情報推定部102は、車載装置1自身の位置を示す自己位置情報を推定する処理を実行する。例えば自己位置情報推定部102は、GNSS部12から受信したGNSS信号に基づいて、車載装置1の自己位置情報を推定してもよい。また例えば自己位置情報推定部102は、サーバ装置3から受信したマップ情報とセンサ部13から受信した移動体5の周囲の点群データ等に基づいて、自己位置情報を推定してもよい。
【0038】
走行情報取得部103は、車載装置1が搭載された移動体5の走行情報を取得する処理を実行する。走行情報としては、移動体5の移動速度、目的地、走行予定経路、ステアリング情報等が挙げられる。
【0039】
画像データ分割部104は、画像データ取得部101によって取得された画像データDを複数のブロックに分割する処理を実行する。画像データDを複数のブロックに分割する方法は特に限定されない。例えば、画像データ分割部104は、走行情報取得部103によって取得された移動体5の移動速度に基づいて、画像データDを分割するサイズを決定し、決定したサイズに基づいて、画像データDを複数のブロックに分割してもよい。例えば画像データ分割部104は、移動体5の移動速度が速いほど分割された画像データDのブロック数が多くなるように画像データDを分割してもよい。また例えば画像データ分割部104は、移動速度に拘わらず、各ブロックが予め定められたサイズになるように画像データDを分割してもよい。またブロックは、複数のメッセージから構成されていてもよく、1つのメッセージから構成されていてもよい。
【0040】
ACK受信部105は、肯定応答信号(以下、ACKという)を受信する処理を実行する。ACKは、送信処理部110の後述するブロック送信部111から送信されたブロックが路側機2及びサーバ装置3の少なくともいずれかによって受信されたことを示す信号である。
【0041】
送信処理部110は、ブロック送信部111と、画像データ関連情報送信部112と、位置情報送信部113と、走行情報送信部114と、を備える。
【0042】
ブロック送信部111は、画像データ分割部104によって複数のブロックに分割された画像データDをブロック毎に送信する処理を実行する。ブロック送信部111は、ACKに基づいてブロックを送信する。例えば、ブロック送信部111は、サーバ装置3から送信されるACKを受信するまで次のブロックを送信せず、ACKを受信した場合に次のブロックを送信する。具体的には、ブロック送信部111は、ACKを受信した場合に、路側機2及びサーバ装置3の少なくとも何れかが受信したことがACKによって示された一のブロックとは異なる一のブロックの路側機2への送信を開始する。なお、ブロック送信部111は、最初に送信される一のブロック(以下、1つ目のブロックという)の送信後、一定時間内に1つ目のブロックに対するACKを受信しない場合、所定の時間が経過後に、1つ目のブロックを再送信してもよい。
【0043】
また画像データ関連情報送信部112は、ブロック送信部111によってブロック毎に送信される画像データDに関する画像データ関連情報を送信する処理を実行する。画像データ関連情報としては、例えば送信する画像データDの識別情報、画像データ分割部104によって分割された画像データDを構成するブロックの数、ブロック送信部111が画像データDの送信を開始することを示す開始信号等が挙げられる。また、各ブロックには、それぞれを識別するための固有の情報(以下、ブロックの識別情報という)が付与されている。各ブロックを送信するときに、ブロックの識別情報も一緒に送信される。本実施形態では、画像データ関連情報送信部112は、ブロック送信部111によるブロックの送信が開始される前又は最初にブロックが送信される際に、サーバ装置3に画像データ関連情報を送信する。ここで、最初にブロックが送信される際に、サーバ装置3に画像データ関連情報を送信する構成の場合、最初のブロックの識別情報も一緒に送信する。サーバ装置3は、画像データDを構成するブロックの数等を含む画像データ関連情報を取得することで、車載装置1から送信される画像データDの識別情報や該画像データDを構成するブロックの数等を把握することができる。
【0044】
位置情報送信部113は、自己位置情報推定部102によって推定された自己位置情報を、無線通信部15を介して路側機2に送信する。具体的には位置情報送信部113は、ブロック送信部111による一のブロックの送信時における自己位置情報を、路側機2を介してサーバ装置3に送信する。
【0045】
走行情報送信部114は、走行情報取得部103によって取得された走行情報を、無線通信部15を介して路側機2に送信する。例えば走行情報送信部114は、ブロック送信部111による一のブロックの送信時における移動体5の走行情報を路側機2及びサーバ装置3に送信する。なお、送信処理部110は、一のブロックと、該ブロックの識別情報と、該ブロックの送信時における自己位置情報と、移動体5の走行情報を互いに紐付けて、宛先をサーバ装置3とし、周囲に存在する路側機2に対してブロードキャストで送信してもよい。
【0046】
<第1実施形態の路側機2の構成と動作について>
次に、画像データ伝送処理における路側機2の機能的構成について説明する。図3は、路側機2のハードウェア及び機能ブロックの構成を例示するブロック図である。
【0047】
路側機2は、図3に示すように処理部20と、記憶部21と、通信I/F部22と、無線通信部23と、を備える。
【0048】
処理部20は、CPU等のプロセッサによって構成される演算装置であり、後述の記憶部21から各種プログラム、データを読み込んで実行し、各種機能を実現する。本実施形態では、処理部20は、受信処理部201と、送信処理部202と、ACK送信部203と、の各機能部の処理を実行する。各機能部の動作については後述する。なお、処理部20の画像データ伝送機能は、ハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェアで実現されていてもよい。
【0049】
記憶部21は、ハードウェア群を路側機2として機能させるための各種プログラム、及び各種データなどの記憶領域であり、ROM、RAM、フラッシュメモリ、半導体ドライブ(SSD)又はハードディスクドライブ(HDD)などで構成することができる。具体的には、記憶部21は、本実施形態の各機能を処理部20に実行させるためのプログラム、路側機2の制御プログラム、各種パラメータ、路側機2のIPアドレスやMACアドレス等の識別情報、複数の路側機2の通信可能エリアを含む地理的なマップ情報等が記憶される。
【0050】
通信I/F部22は、路側機2が通信ネットワークNWを介して通信するためのインターフェイスである。路側機2は、通信I/F部22を介してサーバ装置3や他の路側機2と通信可能に接続される。
【0051】
無線通信部23は、路側機2が周囲の装置と無線によりV2X通信するための処理を実行する。無線通信部23は、路側機2の通信可能エリア内を走行する移動体5に搭載される車載装置1と無線通信を行う。
【0052】
次に、処理部20が画像データ伝送処理を実行するための機能的構成について説明する。
【0053】
受信処理部201は、無線通信部23を介して通信可能エリア内を走行する移動体5に搭載される車載装置1から画像データD、画像データDの画像データ関連情報、車載装置1の自己位置情報及び走行情報等を受信するための処理を実行する。また、受信処理部201は、通信I/F部22を介してサーバ装置3からのACK等の各種信号を受信するための処理を実行する。
【0054】
送信処理部202は、受信処理部201が受信した画像データDや画像データDの識別情報、画像データDを構成するブロックの数、各ブロックの識別情報、車載装置1の自己位置情報及び走行情報等をサーバ装置3に送信する処理を実行する。また送信処理部202は、受信処理部201が受信したACK等の各種信号を移動体5が走行する道路4に向けてブロードキャストで送信する処理を実行する。
【0055】
ACK送信部203は、受信処理部201がブロックを受信した場合に、該ブロックを受信したことを示すACKを送信する処理を実行する。ここで、ACKを送信する処理は、原則的に、ACK送信部203が行うが、後述するように、ACK送信部203ではなく、ACK送信部305で行ってもよい。例えばACK送信部203は、受信処理部201によって取得された車載装置1の自己位置情報及び走行情報、記憶部21に記憶されたマップ情報等に基づいて、自身や他の路側機2を介してブロックの送信元の車載装置1にACKを送信する。具体的には、ACK送信部203は、車載装置1によるブロック送信時における自己位置情報及び走行情報に基づいて、ブロックの送信元である車載装置1が搭載されている移動体5の走行エリアの前記路側機に向けて走行エリアを推定し、車載装置1が存在する可能性のあるエリアを通信可能エリアとしてカバーしている路側機2を抽出し、抽出した路側機2にACKを送信してもよい。本明細書における走行エリアとは、車載装置1が搭載されている移動体5が走行しているか又は走行する予定の地点から道路4に沿って設定された地理的範囲をいう。また、例えば、ACK送信部203は、予測部としての機能を有し、自己位置情報及び走行情報と車載装置1が搭載されている移動体5の実際の走行エリアとを一組のデータとし、多数の一組のデータを教師データとして構築された学習モデルに基づいて、走行エリアを推定し、推定した走行エリアの路側機2を推定してもよい。ACK送信部203は、例えば、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)やLSTMを利用し、過去の走行データから将来の走行エリアを推測することが可能である。
【0056】
<第1実施形態のサーバ装置3の構成と動作について>
次に、画像データ伝送処理におけるサーバ装置3の機能的構成について説明する。図4は、サーバ装置3のハードウェア及び機能ブロックの構成を例示するブロック図である。
【0057】
サーバ装置3は、図4に示すように処理部30と、記憶部31と、通信I/F部32と、を備える。
【0058】
処理部30は、CPU等のプロセッサによって構成される演算装置であり、後述の記憶部31から各種プログラム、データを読み込んで実行し、各種機能を実現する。本実施形態では、処理部30は、画像データ関連情報取得部301と、ブロック取得部302と、位置情報取得部303と、走行情報取得部304と、ACK送信部305と、ブロック統合部306と、の各機能部の処理を実行する。各機能部の動作については後述する。なお、処理部30の画像データ伝送処理の機能は、ハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェアで実現されていてもよい。
【0059】
記憶部31は、ハードウェア群をサーバ装置3として機能させるための各種プログラム、及び各種データなどの記憶領域であり、ROM、RAM、フラッシュメモリ、半導体ドライブ(SSD)又はハードディスクドライブ(HDD)などで構成することができる。具体的には、記憶部31は、本実施形態の各機能を処理部30に実行させるためのプログラム、サーバ装置3の制御プログラム、各種パラメータ、サーバ装置3に通信可能に接続される複数の路側機2のIPアドレスやMACアドレス等の識別情報、複数の路側機2の通信可能エリアを含む地理的なマップ情報等が記憶される。
【0060】
通信I/F部32は、サーバ装置3が通信ネットワークNWを介して通信するためのインターフェイスである。サーバ装置3は、通信I/F部32を介して複数の路側機2や他の通信装置と通信可能に接続される。
【0061】
次に、処理部30が画像データ伝送処理を実行するための機能的構成について説明する。
【0062】
画像データ関連情報取得部301は、車載装置1から路側機2を介して送信される画像データ関連情報を取得する処理を実行する。画像データ関連情報取得部301は、例えば車載装置1による画像データDのブロックの送信が開始される前又は最初のブロックが送信される際に、画像データ関連情報を取得する。これにより、画像データ関連情報取得部301は、車載装置1から送信される画像データDの識別情報や該画像データDを構成するブロックの数を予め把握することができる。
【0063】
ブロック取得部302は、送信処理部110によって路側機2を介して送信されたブロックを取得する処理を実行する。本実施形態では、ブロック取得部302は、ブロックとともに該ブロックの識別情報を取得する。これにより、サーバ装置3は、車載装置1によって送信される画像データDのうちどのブロックを取得したかを把握することができる。
【0064】
位置情報取得部303は、ブロック送信部111によるブロックの送信時における車載装置1の自己位置情報を取得する処理を実行する。これにより、サーバ装置3は、ブロックの送信元である車載装置1の位置を把握することができる。
【0065】
走行情報取得部304は、ブロック送信部111によるブロックの送信時における車載装置1の走行情報を取得する処理を実行する。これにより、サーバ装置3は、ブロックの送信元である車載装置1を搭載した移動体5の移動速度等や移動ルート等を予測することができる。
【0066】
ACK送信部305は、ブロック取得部302がブロックを取得した場合に、サーバ装置3が該ブロックを受信したことを示すACKを送信する処理を実行する。例えばACK送信部305は、車載装置1の自己位置情報及び走行情報に基づいて、路側機2を介してブロックの送信元の車載装置1にACKを送信する。具体的には、ACK送信部305は、車載装置1によるブロック送信時における自己位置情報及び走行情報に基づいて、ブロックの送信元である車載装置1が搭載されている移動体5の走行エリアを推定し、車載装置1が存在する可能性のあるエリアを通信可能エリアとしてカバーしている路側機2を抽出し、抽出した路側機2にACKを送信することで、車載装置1にACKを送信してもよい。即ち、ACK送信部305は、車載装置1が搭載されている移動体5の走行エリアの路側機2へ向けてACKを送信してもよい。
【0067】
ブロック統合部306は、車載装置1から受信した複数のブロックを統合し、画像データDを生成する処理を実行する。ブロック統合部306は、画像データ関連情報に基づいて、ブロック取得部302が画像データDを構成する全てのブロックを受信したと判定した場合に、全てのブロックを統合し、画像データDを生成する。
【0068】
処理部30は、ブロック統合部306によって生成された画像データDに含まれるオブジェクトが警報の対象となるか否かを判定し、その結果を出力する処理を実行してもよい。例えば処理部30は、オブジェクトに対して学習済みモデルを用いてクラス分類を行うことによってオブジェクトが警報の対象となるか否かを判定してもよい。また例えばサーバ装置3のユーザが、生成された画像データDに含まれるオブジェクトが警報の対象となるか目視により確認してもよい。
【0069】
次に、道路4における画像データ伝送処理の一例について図1図5図6を参照しながら説明する。図1では、車載装置1が分割された画像データDのうちブロックB1を送信している状態を示している。図5では、サーバ装置3がブロックB1、B2を受信した状態を示している。図6では、サーバ装置3が全てのブロックを受信した状態を示している。また図5及び図6では、サーバ装置3が受信する画像データDを二点鎖線で示しており、ブロックB1~B5のうちドットで示すブロックはサーバ装置3が受信済みのブロックを意味している。また図5及び図6では、ACKが送信される様子を一点鎖線で示している。なお、図1図5図6に示す例では、車載装置1は、ブロックB1、B2、B3、B4、B5の順でブロックを送信する。
【0070】
図1に示すように、車載装置1は、画像データDを5つのブロックB1~B5に分割し、路側機2Aを介してブロックB1を自己位置情報や走行情報とともにサーバ装置3に送信する。図5に示すように、ブロックB1を受信したサーバ装置3は、車載装置1から送信された自己位置情報及び走行情報に基づいて、ブロックB1を受信したことを示すACKを車載装置1と通信可能な路側機2A、2Bに送信する。車載装置1は、ブロックB1を受信したことを示すACKを受信すると、ブロックB2の送信を開始する。なお、車載装置1は、ブロックB1の送信後、一定時間内にブロックB1に対するACKを受信しない場合、所定の時間が経過後に、ブロックB1を再送信してもよい。車載装置1、路側機2及びサーバ装置3は、ブロックB3~B5についても同様の処理を行う。図6に示すように、サーバ装置3がブロックB5を受信すると、ブロックB5を受信したことを示すACKを車載装置1と通信可能な路側機2C、2Dに送信する。そして、サーバ装置3は、受信したブロックB1~B5を統合し、画像データDを生成する。これにより、通信システムSによる画像データDの伝送処理が終了する。
【0071】
次に、本実施形態に係る通信システム100による画像データ伝送処理の流れについて説明する。なお、以下の動作説明における処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
【0072】
まず、通信システム100による画像データ伝送処理のうち車載装置1によって実行される処理の一例について説明する。図7は、画像データ伝送処理のうち車載装置1によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0073】
図7に示すように、ステップS11において、処理部10の画像データ取得部101は、撮像部11によって撮像された画像データDを取得する処理を実行する。図7に示す例では、画像データ取得部101は、画像に含まれているオブジェクトを抽出することにより、オブジェクトが抽出された画像データDを取得する。ここで、処理部10は、例えば、自己位置情報を利用して、画像データDを取得(撮像)した場所の情報(撮像場所情報)を取得する。
【0074】
ステップS12において、走行情報取得部103は、車載装置1自身が搭載された移動体5の移動速度を取得する処理を実行する。
【0075】
ステップS13において、画像データ分割部104は、ステップS11で取得した画像データDを、ステップS12で取得した移動体5の移動速度に基づいて、画像データDを分割するサイズを決定し、決定したサイズに基づいて、画像データDを複数のブロックに分割する処理を実行する。
【0076】
ステップS14において、送信処理部110は、ステップS11で取得した画像データDに関する画像データ関連情報をサーバ装置3に送信する処理を実行する。例えば送信処理部110は、路側機2を介してステップS11で取得した画像データDの識別情報やステップS13で分割した画像データDを構成するブロックの数、画像データDの撮像場所情報等をサーバ装置3に送信する。なお、各ブロックの識別情報は、各ブロックを送信するタイミングで一緒に送信される。
【0077】
ステップS15において、ブロック送信部111は、路側機2を介してステップS13で分割した複数のブロックのうち一のブロックをサーバ装置3に送信する。このとき、ブロック送信部111は、一のブロックの識別情報もサーバ装置3に送信する。送信処理部110は、ステップS15で最初に送信する一のブロックにステップS14で送信する画像データ関連情報を含めてサーバ装置3に送信してもよい。即ち、ステップS14の処理とステップS15で送信する最初の一のブロックを送信する処理を同時に行ってもよい。
【0078】
ステップS16において、送信処理部110は、ステップS15での一のブロックの送信時の車載装置1の自己位置情報と走行情報を、路側機2を介して送信する処理を実行する。具体的には、自己位置情報推定部102によって自己位置情報が推定され、走行情報取得部103によって移動体5の走行情報が取得される。そして、これら自己位置情報及び走行情報が送信処理部110によって一のブロックに紐付けられて送信される。
【0079】
ステップS17において、処理部10は、サーバ装置3から路側機2を介してACKを受信したか否かを判定する処理を実行する。処理部10は、ACK受信部105がACKを受信していないと判定した場合(ステップS17;NO)、処理をステップS15に戻す。一方で、処理部10は、ACK受信部105がACKを受信したと判定した場合(ステップS17;YES)、処理をステップS18に移行する。
【0080】
ステップS18において、処理部10は、サーバ装置3から路側機2を介して、ステップS13で分割した画像データDの全てのブロックに対するACKを受信したか否かを判定する処理を実行する。処理部10は、ステップS13で分割した画像データDの全てのブロックに対するACKを受信していないと判定した場合(ステップS18)、処理をステップS19に移行する。そして、ブロック送信部111によって送信されるブロックを、サーバ装置3が受信したことがこれまで受信したACKによって示されたブロックとは異なる一のブロックに変更する。その後、処理部10は、処理をステップS15に戻す。一方で、処理部10は、ステップS13で分割した画像データDの全てのブロックに対するACKを受信したと判定した場合(ステップS18;YES)、画像データ伝送処理を終了する。
【0081】
次に、通信システム100による画像データ伝送処理のうちサーバ装置3によって実行される処理の一例について説明する。図8は、サーバ装置3によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0082】
ステップS21において、画像データ関連情報取得部301は、ステップS14で車載装置1から送信された画像データ関連情報を取得する処理を実行する。サーバ装置3は、画像データ関連情報を取得することで、車載装置1から送信される画像データDの識別情報や該画像データDを構成するブロックの数を把握することができる。
【0083】
ステップS22において、処理部30は、車載装置1から路側機2を介して一のブロックを受信したか否かを判定する処理を実行する。処理部30は、ブロック取得部302によってブロックが取得されておらず、車載装置1から一のブロックを受信していないと判定した場合(ステップS22;NO)、所定の時間経過後にステップS22の処理を繰り返す。一方で、処理部30は、ブロック取得部302によってブロックが取得され、車載装置1から一のブロックを受信したと判定した場合(ステップS22;YES)、処理をステップS23に移行する。このとき、処理部30は、ステップS16でサーバ装置3に送信された自己位置情報と走行情報も受信する。
【0084】
ステップS23において、ACK送信部305は、ステップS22で受信した一のブロックの送信元である車載装置1に一のブロックを受信したことを示すACKを送信する処理を実行する。このとき、ACK送信部305は、ステップS22で受信した自己位置情報と走行情報を用いて一のブロックの送信元である車載装置1の走行エリアを推定する。そして、ACK送信部305は、車載装置1が存在する可能性のあるエリアを通信可能エリアとしてカバーしている路側機2を抽出し、抽出した路側機2にACKを送信する。路側機2に送信されたACKは、一のブロックの送信元である車載装置1が搭載されている移動体5の走行エリアにブロードキャストで送信される。
【0085】
ステップS24において、処理部30は、画像データDを構成する全てのブロックに対するACKを、ACK送信部305がステップS11で取得した画像データDの送信元である車載装置1に送信したか否かを判定する処理を実行する。具体的には、処理部30は、ステップS21で取得した画像データDを構成するブロックの数等を含む画像データ関連情報を参照し、画像データDを構成する全てのブロックに対するACKを送信したか判定する。処理部30は、画像データDを構成する全てのブロックに対するACKを送信していないと判定した場合(ステップS24;NO)、処理をステップS22に戻す。一方で、処理部30は、ステップS13で分割した画像データDを構成する全てのブロックに対するACKを受信したと判定した場合(ステップS24;YES)、処理をステップS25に移行する。
【0086】
ステップS25において、ブロック統合部306は、ステップS22で受信した全てのブロックを統合し、画像データDを生成する処理を実行する。その後、処理部30は画像データ伝送処理を終了する。
【0087】
以上説明した第1実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0088】
本実施形態に係る通信システム100は、移動体5に搭載される車載装置1と、車載装置1と通信可能であり、それぞれ異なるエリアに設置され、通信ネットワークNWを介して互いに通信可能な複数の路側機2と、サーバ装置3を備える通信システム100であって、車載装置1は、画像データDを複数のブロックに分割する画像データ分割部104と、画像データDを複数のブロック毎に路側機2を介してサーバ装置3に送信するブロック送信部111と、ブロック送信部111によるブロックの送信時の自己位置情報を、路側機2を介してサーバ装置3に送信する位置情報送信部113と、を有し、サーバ装置3は、路側機2を介して自己位置情報に基づいて、車載装置1が搭載されている移動体5の走行エリアの路側機2へ向けて、ブロックを受信したことを示すACKをブロックの送信元の車載装置1に送信するACK送信部203、305と、を備える。これにより、送信元が移動している状態でサイズが大きい画像データD等が送信される場合であっても、画像データDを分割したブロック毎に送信するので複数の路側機(例えば、路側機2Aから路側機2B)に跨ってブロックを送信することにより、路側機2にブロックをより確実に送信できる。またブロックを受信したサーバ装置3が車載装置1の位置情報に基づいてACKを返信するので、車載装置1側で送信したブロックがサーバ装置3で受信されたか確認することができる。よって、移動している画像データDの送信元とサーバ装置3等のインフラ設備との間で、より確実に画像データDを伝送することができる。
【0089】
また本実施形態に係る通信システム100は、ACK送信部203、305は、位置情報と、移動体5の走行情報および実際の走行エリアを含む過去の移動体5の走行経路データとを一組のデータとし、多数の一組のデータを教師データとして構築された学習モデルに基づいて、移動体5の走行エリアを推定する。これにより、正確に移動体5が将来走行するエリアを特定でき、より確実に車載装置1にACKを届けることができる。
【0090】
また本実施形態に係る通信システム100は、車載装置1は、画像データ分割部104によって分割された画像データDを構成するブロックの数を送信する画像データ関連情報送信部112を更に備える。これにより、サーバ装置3側で画像データDを構成するブロックの数をより確実に把握できる。
【0091】
また本実施形態に係る通信システム100は、サーバ装置3のACK送信部305は、車載装置1からブロック送信部111によって送信される一のブロックをサーバ装置3が受信した場合に、該一のブロックを受信したことを示すACKを一のブロックの送信元の車載装置1に送信し、車載装置1のブロック送信部111は、ACKを受信した場合に、サーバ装置3が受信したことがACKによって示された一のブロックとは異なる一のブロックの送信を開始する。これにより、サーバ装置3側でブロックを受信したことを確認した後に、車載装置1側で次のブロックを送信することになるので、より確実に画像データDを伝送することができる。
【0092】
また本実施形態に係る通信システム100において、画像データ分割部104は、車載装置1が搭載されている前記移動体の移動速度に基づいて、画像データDを分割するサイズを決定し、決定したサイズに基づいて、画像データDを複数のブロックに分割する。これにより、より確実に同じ路側機2に一のブロックを送信できる。
【0093】
また本実施形態に係るサーバ装置3は、車載装置1と通信可能であり、それぞれ異なるエリアに設置され、通信ネットワークNWを介して互いに通信可能な複数の路側機2を備える通信システム100に含まれるサーバ装置3であって、複数の路側機2を介して自己位置情報に基づいて、車載装置1が搭載されている移動体5の走行エリアの路側機2に向けて、ブロックを受信したことを示すACKをブロックの送信元の車載装置1に送信するACK送信部305を備える。これにより、移動している画像データDの送信元と路側機2やサーバ装置3等のインフラ設備との間で、より確実に画像データDを伝送することができる。
【0094】
また本実施形態に係る車載装置1は、移動体に搭載され、サーバ装置3と通信可能な車載装置1であって、画像データDを複数のブロックに分割する画像データ分割部104と、画像データDを複数のブロック毎に路側機2を介してサーバ装置3に送信するブロック送信部111と、ブロック送信部111によるブロックの送信時の自身位置情報を、路側機2を介してサーバ装置3に送信する位置情報送信部113と、サーバ装置3からブロックを受信したことを示すACKを受信するACK受信部105と、を備える。これにより、移動している画像データDの送信元と路側機2やサーバ装置3等のインフラ設備との間で、より確実に画像データDを伝送することができる。
【0095】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る通信システム100Aについて説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成については詳細な説明を省略する。
【0096】
第2実施形態に係る通信システム100Aは、図9に示すように、道路4上または道路4脇などの道路4の周辺に設置され、道路4上を走行する車両である移動体5に搭載される車載装置1と、車載装置1と無線通信可能な複数の路側機2と、複数の路側機2のそれぞれと通信ネットワークNWを介して通信可能に接続されるサーバ装置3と、を備える。本実施形態の通信システム100Aは、画像データ伝送処理における車載装置1とサーバ装置3の機能的構成が第1実施形態とは異なる。
【0097】
<第2実施形態の車載装置1の構成と動作について>
まず、画像データ伝送処理における車載装置1の機能的構成について説明する。図10は、車載装置1のハードウェア及び機能ブロックの構成を例示するブロック図である。なお、上述した第1実施形態の車載装置1が含む同名の機能ブロックと同等の機能を有しており、重複する再度の説明は省略する。
【0098】
第2実施形態の車載装置1は、図10に示すように処理部10Aと、撮像部11と、GNSS部12と、センサ部13と、記憶部14と、無線通信部15と、を備える。
【0099】
処理部10Aは、CPU等のプロセッサによって構成される演算装置であり、後述の記憶部14から各種プログラム、データを読み込んで実行し、各種機能を実現する。本実施形態では、処理部10Aは、画像データ取得部101と、自己位置情報推定部102と、走行情報取得部103と、画像データ分割部104と、NACK受信部105Aと、送信処理部110Aと、の各機能部の処理を実行する。各機能部の動作については後述する。
【0100】
NACK受信部105Aは、否定応答信号(以下、NACKという)を受信する処理を実行する。NACKは、サーバ装置3が送信処理部110Aの後述するブロック送信部111Aからブロックを受信していないことを示す信号である。
【0101】
送信処理部110Aは、ブロック送信部111Aと、画像データ関連情報送信部112Aと、位置情報送信部113Aと、走行情報送信部114Aと、を備える。
【0102】
ブロック送信部111Aは、画像データ分割部104によって分割された複数のブロックに分割された画像データDをブロック毎に送信する処理を実行する。本実施形態のブロック送信部111Aは、一のブロックずつ順に路側機2に送信する。またブロック送信部111Aは、サーバ装置3から路側機2を介してNACKを受信した場合に、サーバ装置3が受信していないことがNACKによって示されたブロックを、路側機2を介して路側機2に送信する。例えばブロック送信部111Aは、まず分割された画像データDを構成する全てのブロックを路側機2に送信する処理を行う。そしてブロック送信部111Aは、全てのブロックの送信後にNACKを受信した場合に、NACKによってサーバ装置3が受信していないことが示されたブロックを路側機2に送信してもよい。
【0103】
また画像データ関連情報送信部112Aは、ブロック送信部111Aによってブロック毎に送信する画像データDに関する画像データ関連情報を送信する処理を実行する。画像データ関連情報としては、例えば送信する画像データDの識別情報、画像データ分割部104によって分割された画像データDを構成するブロックの数、ブロック送信部111Aが画像データDの送信を開始することを示す開始信号等が挙げられる。本実施形態では、画像データ関連情報送信部112Aは、ブロック送信部111によるブロックの送信が開始される前又は最初にブロックが送信される際に、サーバ装置3に画像データ関連情報を送信する。サーバ装置3は、画像データDを構成するブロックの数等を含む画像データ関連情報を取得することで、車載装置1から送信される画像データDの識別情報や該画像データDを構成するブロックの数等を把握することができる。なお、各ブロックを送信するときに、ブロックの識別情報も一緒に送信される。
【0104】
位置情報送信部113Aは、自己位置情報推定部102によって推定された自己位置情報を、無線通信部15を介して路側機2に送信する。例えば位置情報送信部113Aは、ブロック送信部111Aによる一のブロックの送信時における自己位置情報を、路側機2を介してサーバ装置3に送信する。
【0105】
走行情報送信部114Aは、走行情報取得部103によって取得された走行情報を、無線通信部15を介して路側機2に送信する。例えば走行情報送信部114Aは、ブロック送信部111Aによる一のブロックの送信時における移動体5の走行情報を、路側機2を介してサーバ装置3に送信する。なお、送信処理部110Aは、一のブロックと、該ブロックの識別情報と、該ブロックの送信時における自己位置情報と、移動体5の走行情報を互いに紐付けて、宛先をサーバ装置3とし、周囲に存在する路側機2に対してブロードキャストで送信してもよい。
【0106】
<第2実施形態の路側機2の構成と動作について>
次に、画像データ伝送処理における路側機2の機能的構成について説明する。図11は、第2実施形態の路側機2のハードウェア及び機能ブロックの構成を例示するブロック図である。第2実施形態の路側機2は、処理部20AがACK送信部203を備えず、受信処理部201及び送信処理部202のみを備える点が第1実施形態とは主に異なる。その他構成については、上述した第1実施形態の路側機2と同等の機能を有しており、再度の説明は省略する。
【0107】
<第2実施形態のサーバ装置3の構成と動作について>
次に、画像データ伝送処理におけるサーバ装置3の機能的構成について説明する。図12は、サーバ装置3のハードウェア及び機能ブロックの構成を例示するブロック図である。なお、上述した第1実施形態のサーバ装置3が含む同名の機能ブロックと同等の機能を有しており、重複する再度の説明は省略する。
【0108】
第2実施形態のサーバ装置3は、図12に示すように処理部30Aと、記憶部31と、通信I/F部32と、を備える。
【0109】
処理部30Aは、CPU等のプロセッサによって構成される演算装置であり、後述の記憶部31から各種プログラム、データを読み込んで実行し、各種機能を実現する。本実施形態では、処理部30Aは、画像データ関連情報取得部301と、ブロック取得部302と、位置情報取得部303と、走行情報取得部304と、NACK送信部305Aと、ブロック統合部306と、の各機能部の処理を実行する。各機能部の動作については後述する。なお、処理部30Aの画像データ伝送処理の機能は、ハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェアで実現されていてもよい。
【0110】
NACK送信部305Aは、ブロック取得部302がブロックを取得していない場合、サーバ装置3が該ブロックを受信していないことを示すNACKを送信する処理を実行する。例えばNACK送信部305Aは、ブロック取得部302によって最初のブロックが受信されてから所定の時間経過しても、画像データ関連情報が示す分割された画像データDを構成する全てのブロックが受信されていない場合、受信されていないブロックを示すNACKを送信してもよい。また例えばNACK送信部305Aは、画像データ関連情報取得部301が開始信号を受信してから所定の時間経過しても、画像データ関連情報が示す分割された画像データDを構成する全てのブロックのうち受信していないブロックが存在する場合に、受信されていないブロックを示すNACKを送信してもよい。
【0111】
NACK送信部305Aは、位置情報取得部303及び走行情報取得部304によって取得された車載装置1の自己位置情報及び走行情報に基づいて、路側機2を介してブロックの送信元の車載装置1にNACKを送信する。具体的には、NACK送信部305Aは、自己位置情報及び走行情報に基づいて、ブロックの送信元である車載装置1の走行エリアを推定し、該車載装置1が存在する可能性のあるエリアを通信可能エリアとしてカバーしている路側機2を抽出し、抽出した路側機2にNACKを送信することで、車載装置1にNACKを送信してもよい。即ち、NACK送信部305Aは、車載装置1が搭載されている移動体5の走行エリアの路側機2へ向けてNACKを送信してもよい。
【0112】
次に、道路4における第2実施形態の画像データ伝送処理の一例について図9図13図14を参照しながら説明する。図9では、車載装置1が分割された画像データDのうちブロックB1を送信している状態を示している。図13では、サーバ装置3がNACKを送信した状態を示している。図14では、サーバ装置3が全てのブロックを受信した状態を示している。また図13及び図14では、サーバ装置3が受信する画像データDを二点鎖線で示しており、ブロックB1~B5のうちドットで示すブロックはサーバ装置3が受信済みのブロックを意味している。また図13では、NACKが送信される様子を一点鎖線で示している。なお、図9図13図14に示す例では、車載装置1は、ブロックB1、B2、B3、B4、B5の順でブロックを送信する。
【0113】
図9に示すように、車載装置1は、画像データDを5つのブロックB1~B5に分割し、路側機2Aを介してブロックB1を自己位置情報や走行情報、画像データDを構成するブロックの数(図9に示す例では5つ)や開始信号を含む画像データ関連情報とともにサーバ装置3に送信する。なお、車載装置1は、ブロックB1を送信する前に、路側機2Aを介して開始信号を含む画像データ関連情報をサーバ装置3に送信してもよい。車載装置1は、道路4を走行しながらブロックB2~B5についても路側機2に送信する。サーバ装置3は、開始信号を受信してから所定の時間経過しても、図13に示すように分割された画像データDを構成する全てのブロックB1~B5を受信していない場合、車載装置1に向かってNACKを送信する。図14に示す例では、サーバ装置3は、ブロックB2を受信していないので、ブロックB2を受信していないことを示すNACKを、車載装置1と通信可能な路側機2B、2Cに送信する。車載装置1は、ブロックB2を受信していないことを示すNACKを受信すると、ブロック2Bを送信する。図14に示すように、サーバ装置3は、ブロックB2を受信すると、受信したブロックB1~B5を統合し、画像データDを生成する。これにより、通信システムSによる画像データDの伝送処理が終了する。
【0114】
次に、本実施形態に係る通信システム100Aによる画像データ伝送処理の流れについて説明する。なお、以下の動作説明における処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
【0115】
まず、通信システム100Aによる画像データ伝送処理のうち車載装置1によって実行される処理の一例について説明する。図15は、画像データ伝送処理のうち車載装置1によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0116】
図15に示すように、ステップS31において、処理部10Aの画像データ取得部101は、撮像部11によって撮像された画像データDを取得する処理を実行する。図15に示す例では、画像データ取得部101は、画像に含まれているオブジェクトを抽出することにより、オブジェクトが抽出された画像データDを取得する。
【0117】
ステップS32において、走行情報取得部103は、車載装置1自身が搭載された移動体5の移動速度を取得する処理を実行する。
【0118】
ステップS33において、画像データ分割部104は、ステップS31で取得した画像データDを、ステップS32で取得したい移動体5の移動速度に基づいて、画像データDを分割するサイズを決定し、決定したサイズに基づいて、画像データDを複数のブロックに分割する処理を実行する。
【0119】
ステップS34において、送信処理部110Aは、ステップS31で取得した画像データに関する画像関連情報をサーバ装置3に送信する処理を実行する。例えば送信処理部110Aは、路側機2を介してステップS31で取得した画像データDの識別情報やステップS33で分割した画像データDを構成するブロックの数等をサーバ装置3に送信する。
【0120】
ステップS35において、ブロック送信部111Aは、路側機2を介してステップS33で分割した全てのブロックを1ブロックずつサーバ装置3に送信する。このとき、ブロック送信部111Aは、ブロックの識別情報もサーバ装置3に送信する。送信処理部110は、ステップS35で最初に送信する一のブロックにステップS34で送信する画像データ関連情報を含めてサーバ装置3に送信してもよい。即ち、ステップS34の処理とステップS35で送信する最初の一のブロックを送信する処理を同時に行ってもよい。また、送信処理部110Aは、一のブロックとともに、該ブロックの送信時の車載装置1の自己位置情報と走行情報を、路側機2を介してサーバ装置3に送信する処理も実行する。具体的には、自己位置情報推定部102によって自己位置情報が推定され、走行情報取得部103によって移動体5の走行情報が取得される。そして、これら自己位置情報及び走行情報が送信処理部110によって一のブロックに紐付けられて送信される。
【0121】
ステップS36において、処理部10Aは、サーバ装置3から路側機2を介してNACKを受信したか否かを判定する処理を実行する。処理部10Aは、NACK受信部105AがNACKを受信したと判定した場合(ステップS36;YES)、処理をステップS37に移行する。そして、ステップS37において、ステップS36で受信したNACKに示されたブロックをサーバ装置3に送信し、所定の時間経過後に処理をステップS36に戻す。一方で、処理部10Aは、ステップS35で最後にブロックを送信してから所定の時間経過してもNACK受信部105AがNACKを受信しないと判定した場合(ステップS36;NO)、画像データ伝送処理を終了する。
【0122】
次に、通信システム100Aによる画像データ伝送処理のうちサーバ装置3によって実行される処理の一例について説明する。図16は、サーバ装置3によって実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0123】
ステップS41において、画像データ関連情報取得部301は、ステップS34で車載装置1から送信された画像データ関連情報を取得する処理を実行する。サーバ装置3は、画像データ関連情報を取得することで、車載装置1から送信される画像データDの識別情報や該画像データDを構成するブロックの数を把握することができる。
【0124】
ステップS42において、処理部30Aは、車載装置1から路側機2を介してステップS33で分割された画像データDを構成する全てのブロックを受信したか否かを判定する処理を実行する。具体的には、処理部30Aは、ステップS42で取得した画像データDを構成するブロックの数等を含む画像データ関連情報を参照し、画像データDを構成する全てのブロックを受信したか判定する。処理部30Aは、一のブロックとともにステップS36でサーバ装置3に送信された自己位置情報と走行情報も受信する。処理部30Aは、ステップS41で開始信号を取得してから所定の時間経過してもブロック取得部302によって全てのブロックが取得されておらず、車載装置1から全てのブロックを受信していないと判定した場合(ステップS42;NO)、処理をステップS43に移行する。一方で、処理部30Aは、ブロック取得部302によって全てのブロックが取得され、車載装置1から全てのブロックを受信したと判定した場合(ステップS42;YES)、処理をステップS45に移行する。
【0125】
ステップS43において、NACK送信部305Aは、ブロックの送信元である車載装置1に、ステップS42で受信していないと判定されたブロックを受信していないことを示すNACKを送信する処理を実行する。このとき、NACK送信部305Aは、ステップS42で受信した自己位置情報と走行情報を用いてブロックの送信元である車載装置1の走行エリアを推定する。そして、NACK送信部305は、車載装置1が存在する可能性のあるエリアを通信可能エリアとしてカバーしている路側機2を抽出し、抽出した路側機2にNACKを送信する。路側機2に送信されたNACKは、一のブロックの送信元である車載装置1が搭載されている移動体5の走行エリアにブロードキャストで送信される。
【0126】
ステップS44において、処理部30Aは、ステップS43で送信されたNACKに示されたブロックを受信したか否かを判定する処理を実行する。処理部30Aは、ステップS43でNACKを送信してから所定の時間経過しても、NACKに示されたブロックがブロック取得部302によって取得されておらず、NACKに示されたブロックを受信していないと判定した場合(ステップS44;NO)、処理をステップS43に戻す。一方で、処理部30Aは、NACKに示されたブロックがブロック取得部302によって取得され、NACKに示されたブロックを受信したと判定した場合(ステップS44;YES)、処理をステップS45に移行する。
【0127】
ステップS45において、ブロック統合部306は、受信した全てのブロックを統合し、画像データDを生成する処理を実行する。その後、処理部30Aは画像データ伝送処理を終了する。
【0128】
以上説明した第2実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0129】
本実施形態に係る通信システム100Aは、移動体5に搭載される車載装置1と、車載装置1と通信可能であり、それぞれ異なるエリアに設置され、通信ネットワークNWを介して互いに通信可能な複数の路側機2と、サーバ装置3を備える通信システム100Aであって、車載装置1は、画像データDを複数のブロックに分割する画像データ分割部104と、画像データDを複数のブロック毎に路側機2を介してサーバ装置3に送信するブロック送信部111Aと、ブロック送信部111Aによるブロックの送信時の自己位置情報を、路側機2を介してサーバ装置3に送信する位置情報送信部113Aと、を有し、サーバ装置3は、路側機2を介して自己位置情報に基づいて、車載装置1が搭載されている移動体5の走行エリアの路側機2へ向けて、ブロックを受信していないことを示すNACKをブロックの送信元の車載装置1に送信するNACK送信部305Aと、を備える。これにより、送信元が移動している状態でサイズが大きい画像データD等が送信される場合であっても、画像データDを分割したブロック毎に送信するので、複数の路側機に跨ってブロックを送信することにより、路側機2にブロックをより確実に送信できる。またブロックを受信していない場合にサーバ装置3が車載装置1の位置情報に基づいてNACKを返信するので、車載装置1側で送信したブロックがサーバ装置3で受信されたか確認することができる。よって、移動している画像データDの送信元と路側機2やサーバ装置3等のインフラ設備との間で、より確実に画像データDを伝送することができる。
【0130】
また本実施形態に係る通信システム100Aは、NACK送信部305Aは、位置情報と、移動体5の走行情報および実際の走行エリアを含む過去の移動体5の走行経路データとを一組のデータとし、多数の一組のデータを教師データとして構築された学習モデルに基づいて、移動体5の走行エリアを推定する。これにより、正確に移動体5が将来走行するエリアを特定でき、より確実に車載装置1にNACKを届けることができる。
【0131】
また本実施形態に係る通信システム100Aは、車載装置1は、画像データ分割部104によって分割された画像データDを構成するブロックの数を送信する画像データ関連情報送信部112Aを更に備える。これにより、サーバ装置3側で画像データDを構成するブロックの数をより確実に把握できる。
【0132】
また本実施形態に係る通信システム100Aにおいて、サーバ装置3のNACK送信部305Aは、車載装置1からブロック送信部111Aによって送信される一のブロックをサーバ装置3が受信していない場合に、該一のブロックを受信していないことを示すNACKを一のブロックの送信元の車載装置1に送信し、車載装置1のブロック送信部111Aは、NACKを受信した場合に、サーバ装置3が受信していないことがNACKによって示された一のブロックを再送信する。これにより、サーバ装置3側でブロックを受信していない場合に、車載装置1側でサーバ装置3が受信していないブロックを再送信することになるので、より確実に画像データDを伝送することができる。
【0133】
また本実施形態に係る通信システム100Aにおいて、車載装置1は、画像データ分割部104によって分割された画像データDのブロックそれぞれの識別情報と、複数のブロックに分割された画像データDの送信を開始することを示す開始信号と、を送信する画像データ関連情報送信部112Aと、を更に有し、サーバ装置3のNACK送信部は、開始信号を受信してから所定の時間経過しても受信していないブロックが存在する場合に、該ブロックを受信していないことを示すNACKをブロックの送信元の車載装置1に送信する。これにより、車載装置1からサーバ装置3に伝送されていないブロックをより確実に特定することができる。
【0134】
また本実施形態に係る通信システム100Aにおいて、画像データ分割部104は、車載装置1が搭載されている前記移動体の移動速度に基づいて、画像データDを分割するサイズを決定し、決定したサイズに基づいて、画像データDを複数のブロックに分割する。これにより、より確実に同じ路側機2に一のブロックを送信できる。
【0135】
また本実施形態に係るサーバ装置3は、車載装置1と通信可能であり、それぞれ異なるエリアに設置され、通信ネットワークNWを介して互いに通信可能な複数の路側機2を備える通信システム100に含まれるサーバ装置3であって、路側機2を介して自己位置情報に基づいて、車載装置1が搭載されている移動体5の走行エリアの路側機2に向けて、ブロックを受信していないことを示すNACKをブロックの送信元の車載装置1に送信するNACK送信部305Aを備える。これにより、移動している画像データDの送信元と路側機2やサーバ装置3等のインフラ設備との間で、より確実に画像データDを伝送することができる。
【0136】
また本実施形態に係る車載装置1は、移動体に搭載され、路側機2及びサーバ装置3と通信可能な車載装置1であって、画像データDを複数のブロックに分割する画像データ分割部104と、画像データDを複数のブロック毎に路側機2を介してサーバ装置3に送信するブロック送信部111Aと、ブロック送信部111Aによるブロックの送信時の自身位置情報を、路側機2を介してサーバ装置3に送信する位置情報送信部113Aと、サーバ装置3からブロックを受信していないことを示すNACKを受信するNACK受信部105Aと、を備える。これにより、移動している画像データDの送信元と路側機2やサーバ装置3等のインフラ設備との間で、より確実に画像データDを伝送することができる。
【0137】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0138】
上記第1実施形態では、ブロック送信部111は、ACKを受信するまで同じ一のブロックをサーバ装置3に送信し、ACKを受信した場合に送信する一のブロックを切り替えていたが、ACKの受信の有無に拘わらず送信する一のブロックを切り替えてもよい。例えば、ブロック送信部111は、ACKを受信しなくても異なる一のブロックを順次送信してもよい。
【0139】
また例えば上記第1実施形態において、路側機2がACK送信部203を備えず、サーバ装置3のみからACKが送信される構成であってもよい。
【0140】
また例えば上記第1実施形態及び第2実施形態において、図1及び図9に示すように、サーバ装置3は路側機2の外部に配置され、通信ネットワークNWを介して通信可能に接続されていたが、路側機2内に配置してもよい。即ち、サーバ装置3が配置される路側機2は、車載装置1から自身及び他の路側機2によって受信された複数のブロックを受信し、画像データDを構成する全てのブロックを統合し、画像データDを生成する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0141】
1 車載装置
2 路側機
3 サーバ装置
5 移動体
100、100A 通信システム
104 画像データ分割部(データ分割部)
111、111A ブロック送信部
113、113A 位置情報送信部
203、305 ACK送信部(信号送信部)
305A NACK送信部(信号送信部)
D 画像データ
NW 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16