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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100363
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】処理装置および位置合わせ方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
H01L21/68 F
H01L21/68 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004312
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 淳
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA04
5F131BA24
5F131BB03
5F131BB23
5F131CA18
5F131DA33
5F131DA42
5F131DA43
5F131DB04
5F131DB58
5F131DB62
5F131DB76
5F131EA02
5F131EA03
5F131EA04
5F131EA24
5F131EB02
5F131EB67
5F131EB72
5F131HA09
5F131HA12
5F131HA13
5F131KA12
5F131KA45
5F131KA73
5F131KB12
5F131KB55
(57)【要約】
【課題】エンドエフェクタの位置合わせを容易に行うことができる処理装置および位置合わせ方法を提供する。
【解決手段】処理装置は、処理容器と、回転アームと、センサとを有する。処理容器は、複数の処理空間が形成されるように構成される。回転アームは、処理容器の中央部に回転軸が位置し、回転軸を中心として回転可能であり、複数の処理空間と同数のウエハを保持可能な複数のエンドエフェクタを備えるように構成される。センサは、エンドエフェクタの位置を検出するように構成される。また、複数のエンドエフェクタのうち、少なくとも1つのエンドエフェクタは、センサに対応する位置の形状が、他のエンドエフェクタのセンサに対応する位置の形状と異なる形状である。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理空間が形成されるように構成される処理容器と、
前記処理容器の中央部に回転軸が位置し、前記回転軸を中心として回転可能であり、複数の前記処理空間と同数のウエハを保持可能な複数のエンドエフェクタを備えるように構成される回転アームと、
前記エンドエフェクタの位置を検出するように構成されるセンサと、
を有し、
複数の前記エンドエフェクタのうち、少なくとも1つの前記エンドエフェクタは、前記センサに対応する位置の形状が、他の前記エンドエフェクタの前記センサに対応する位置の形状と異なる形状である、
処理装置。
【請求項2】
前記異なる形状は、前記処理容器の熱膨張の方向に対して斜辺を備え、
前記異なる形状を備える、少なくとも1つの前記エンドエフェクタについて前記センサで検出される信号は、前記処理容器内の温度に応じて変化する、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記センサは、第1のセンサと、第2のセンサとを備えるように構成され、
前記第1のセンサは、少なくとも1つの前記エンドエフェクタの前記異なる形状を検出可能な位置に配置され、
前記第2のセンサは、検出される前記信号が前記処理容器内の温度に応じて変化しない位置に配置される、
請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記エンドエフェクタは、前記回転軸を中心にして対向する位置に2組備えられ、隣り合う前記エンドエフェクタ間の間隔が回転方向の前後で異なる間隔である、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記エンドエフェクタは、前記回転軸を中心にして対向する位置に2組備えられ、隣り合う前記エンドエフェクタ間の間隔が回転方向の前後で同じ間隔である、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記異なる形状を備える前記エンドエフェクタは、1つであり、
他の前記エンドエフェクタは、3つであり、前記センサに対応する位置の形状が、同じ形状である、
請求項4または5に記載の処理装置。
【請求項7】
処理装置における位置合わせ方法であって、
前記処理装置は、
複数の処理空間が形成されるように構成される処理容器と、
前記処理容器の中央部に回転軸が位置し、前記回転軸を中心として回転可能であり、複数の前記処理空間と同数のウエハを保持可能な複数のエンドエフェクタを備えるように構成される回転アームと、
前記エンドエフェクタの位置を検出するように構成されるセンサと、
を有し、
複数の前記エンドエフェクタのうち、少なくとも1つの前記エンドエフェクタは、前記センサに対応する位置の形状が、他の前記エンドエフェクタの前記センサに対応する位置の形状と異なる形状であり、
a)前記回転アームを回転させたときに前記センサで検出される信号に基づいて、前記異なる形状を備える、少なくとも1つの前記エンドエフェクタを特定する工程と、
b)特定した前記エンドエフェクタが、前記センサで検出された位置に基づいて、特定した前記エンドエフェクタの基準位置を記憶する工程と、
c)前記基準位置に所定の回転角度を加減算することで、複数の前記処理空間のうち、特定の前記処理空間に、特定した前記エンドエフェクタを位置合わせする工程と、
を含む、位置合わせ方法。
【請求項8】
前記c)は、特定の前記処理空間に設けられた、前記ウエハを載置する載置台と、特定した前記エンドエフェクタとの間で、前記ウエハの受け渡しを行う位置に、特定した前記エンドエフェクタを位置合わせする、
請求項7に記載の位置合わせ方法。
【請求項9】
前記受け渡しを行う位置は、前記ウエハの中心と、前記載置台の中心とが一致する位置である、
請求項8に記載の位置合わせ方法。
【請求項10】
前記a)~前記c)は、前記処理空間において前記ウエハに対する処理が行われる温度にて実行する、
請求項7~9のいずれか1つに記載の位置合わせ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理装置および位置合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理システムにおいて、中心が同一の円周上に位置し且つそれぞれ載置台が配置された複数の処理空間を内部に有する処理容器と、複数の処理空間の載置台のそれぞれに載置するウエハを保持可能な複数の保持部を有し、円周の中心を回転軸として回転可能に設けられた回転アームと、隣り合う処理空間の間に位置し、回転アームの回転動作時に、回転アームに保持されたウエハの位置を検知可能なセンサとを有する処理モジュールが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-106560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、エンドエフェクタの位置合わせを容易に行うことができる処理装置および位置合わせ方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による処理装置は、処理容器と、回転アームと、センサとを有する。処理容器は、複数の処理空間が形成されるように構成される。回転アームは、処理容器の中央部に回転軸が位置し、回転軸を中心として回転可能であり、複数の処理空間と同数のウエハを保持可能な複数のエンドエフェクタを備えるように構成される。センサは、エンドエフェクタの位置を検出するように構成される。また、複数のエンドエフェクタのうち、少なくとも1つのエンドエフェクタは、センサに対応する位置の形状が、他のエンドエフェクタのセンサに対応する位置の形状と異なる形状である。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、エンドエフェクタの位置合わせを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一実施形態における基板処理システムの構成の一例を示す概略平面図である。
図2図2は、本実施形態における基板処理装置の構成の一例を示す分解斜視図である。
図3図3は、待機位置における処理空間と回転アームの位置関係の一例を示す図である。
図4図4は、ウエハの保持位置における処理空間と回転アームの位置関係の一例を示す図である。
図5図5は、本実施形態における基板処理装置内のウエハの移動経路の一例を示す図である。
図6図6は、センサの配置位置の一例を示す図である。
図7図7は、センサの位置と各エンドエフェクタとの位置関係の一例を示す図である。
図8図8は、基準となるエンドエフェクタと他のエンドエフェクタとのセンサに対応する位置の形状の違いの一例を示す図である。
図9図9は、回転アームの回転角度に応じてセンサで検出される信号の一例を示すタイミングチャートである。
図10図10は、基準となるエンドエフェクタの基準位置の一例を示す図である。
図11図11は、基準となる処理空間への回転角度の一例を示す図である。
図12図12は、本実施形態における基板処理装置の排気経路の一例を示す図である。
図13図13は、本実施形態における基板処理装置の構成の一例を示す概略断面図である。
図14図14は、本実施形態における回転アームの位置合わせ処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、開示する処理装置および位置合わせ方法の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0009】
複数のウエハを同時に1つの処理容器内で処理する形態の処理装置では、処理容器内に複数の処理空間が設けられており、これら複数の処理空間のうち2つ以上の処理空間でウエハに対して異なる処理が行われることがある。このような場合、処理装置では、2つ以上の処理空間の間でウエハを搬送する。このような処理装置では、処理容器内に回転アームを設け、回転アームによって2つ以上の処理空間の間で基板を搬送する技術が考えられる。この場合、回転アームの特定のエンドエフェクタが特定の処理空間に対応するように、回転アームの回転角度の位置合わせ、つまり、ティーチングを行うことが求められる。従来、処理容器の上部を開放した状態で目視によるティーチングが行われていた。しかしながら、複数の処理空間のX方向のピッチとY方向のピッチとが異なる場合、目視では位置合わせの基準となるエンドエフェクタを特定して回転アームの回転角度の位置合わせを行うことが困難である。そこで、エンドエフェクタの位置合わせを容易に行うことが期待されている。
【0010】
[基板処理システムの構成]
図1は、本開示の一実施形態における基板処理システムの構成の一例を示す概略平面図である。図1に示す基板処理システム1は、搬入出ポート11と、搬入出モジュール12と、真空搬送モジュール13a,13bと、基板処理装置2,2a,2bとを有する。図1において、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向(高さ方向)、搬入出ポート11を前後方向の手前側として説明する。搬入出モジュール12の手前側には搬入出ポート11、搬入出モジュール12の奥側には真空搬送モジュール13aが、それぞれ互いに前後方向に向けて接続されている。
【0011】
搬入出ポート11には、処理対象の基板を収容した搬送容器であるキャリアが載置される。基板は、直径が例えば300mmの円形基板であるウエハWである。搬入出モジュール12は、キャリアと真空搬送モジュール13aとの間でウエハWの搬入出を行うためのモジュールである。搬入出モジュール12は、搬送機構120により、常圧雰囲気中でキャリアとの間でウエハWの受け渡しを行う常圧搬送室121と、ウエハWが置かれる雰囲気を常圧雰囲気と真空雰囲気との間で切り替えるロードロック室122とを有する。
【0012】
真空搬送モジュール13a,13bは、真空雰囲気が形成された真空搬送室14a,14bをそれぞれ有する。真空搬送室14a,14bの内部には、基板搬送機構15a,15bがそれぞれ配置されている。真空搬送モジュール13aと真空搬送モジュール13bとの間は、真空搬送モジュール13a,13b間でウエハWの受け渡しを行うパス16が配置されている。真空搬送室14a,14bは、それぞれ、例えば平面視において矩形に形成される。真空搬送室14aの4つの側壁のうち、左右方向に互いに対向する辺には、基板処理装置2,2bがそれぞれ接続されている。真空搬送室14bの4つの側壁のうち、左右方向に互いに対向する辺には、基板処理装置2a,2bがそれぞれ接続されている。
【0013】
また、真空搬送室14aの4つの側壁のうち、手前側の辺には搬入出モジュール12内に設置されたロードロック室122が接続されている。常圧搬送室121とロードロック室122との間、ロードロック室122と真空搬送モジュール13aとの間、真空搬送モジュール13a,13bと基板処理装置2,2a,2bとの間には、ゲートバルブGが配置されている。ゲートバルブGは、互いに接続されるモジュールに各々設けられるウエハWの搬入出口を開閉する。
【0014】
基板搬送機構15aは、真空雰囲気中で搬入出モジュール12と、基板処理装置2,2bと、パス16との間でウエハWの搬送を行う。また、基板搬送機構15bは、真空雰囲気中でパス16と基板処理装置2a,2bとの間でウエハWの搬送を行う。基板搬送機構15a,15bは、多関節アームよりなり、ウエハWを保持する基板保持部を有する。基板処理装置2,2a,2bは、真空雰囲気中で複数枚(例えば2枚または4枚)のウエハWに対して一括で処理ガスを用いた基板処理を行う。このため、基板処理装置2,2a,2bに一括して2枚のウエハWを受け渡すように、基板搬送機構15a,15bの基板保持部は例えば2枚のウエハWを同時に保持できるように構成されている。なお、基板処理装置2,2aは、内部に設けた回転アームにより、真空搬送モジュール13a,13b側の載置台で受け取ったウエハWを奥側の載置台へと搬送することができる。また、基板処理装置2,2aは、内部に設けたセンサにより、回転アームによるウエハWの搬送の際に、ウエハWの位置を検知することができる。
【0015】
また、基板処理装置2,2a,2bは、載置台のY方向ピッチ(行間隔)がピッチPyで共通であるので、真空搬送モジュール13a,13bの左右方向に互いに対向する辺のいずれの場所にも接続可能である。図1の例では、真空搬送モジュール13aに基板処理装置2と基板処理装置2bとを接続し、真空搬送モジュール13bに基板処理装置2aと基板処理装置2bとを接続している。なお、基板処理装置2と、基板処理装置2aとは、プロセスアプリケーションに応じた、1つの載置台に対応する処理空間を含むリアクタ(処理容器)の直径が異なり、載置台のX方向ピッチ(列間隔)であるピッチPx1,Px2が異なる基板処理装置である。また、基板処理装置2aは、ピッチPx2がピッチPyと同じ値である。つまり、ピッチPyは、最も大きいリアクタのサイズに対応している。すなわち、基板処理装置2は、基板処理装置2aよりもリアクタのサイズが小さいので、ピッチPx1をピッチPx2よりも小さくすることができる。
【0016】
なお、基板処理装置2bは、載置台を2つ有するタイプの基板処理装置であり、基板処理装置2b内でウエハの搬送は行わず、2枚のウエハを同時に搬入して処理を行い、同時に搬出するタイプの基板処理装置である。
【0017】
基板処理システム1は、制御部8を有する。制御部8は、例えば、プロセッサ、記憶部、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータである。制御部8は、基板処理システム1の各部を制御する。制御部8は、入力装置を用いて、オペレータが基板処理システム1を管理するためにコマンドの入力操作等を行うことができる。また、制御部8では、表示装置により、基板処理システム1の稼働状況を可視化して表示することができる。さらに、制御部8の記憶部には、基板処理システム1で実行される各種処理をプロセッサにより制御するための制御プログラム、および、レシピデータ等が格納されている。制御部8のプロセッサが制御プログラムを実行して、レシピデータに従って基板処理システム1の各部を制御することにより、所望の基板処理が基板処理システム1で実行される。
【0018】
[基板処理装置の構成]
次に、図2から図13を用いて、基板処理装置2,2aを、例えばウエハWにプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)処理を行なう成膜装置に適用した例について説明する。図2は、本実施形態における基板処理装置の構成の一例を示す分解斜視図である。なお、基板処理装置2aの内部構成は、ピッチPx2がピッチPx1と異なることに関する点、並びに、ウエハWの位置を検知可能なセンサの配置位置を除いて、基板処理装置2と基本的に同様である。このため、以下においては、基板処理装置2aについては基板処理装置2と重複する説明を省略し、基板処理装置2を代表例として説明を行う。基板処理装置2,2aは、処理モジュールの一例である。
【0019】
図2に示すように、基板処理装置2は、平面視長方形の処理容器(真空容器)20を備えている。処理容器20は、内部を真空雰囲気に維持可能に構成される。処理容器20は、後述するガス供給部4およびマニホールド36で上面の開放部を閉塞して構成される。なお、図2では、処理空間S1~S4と、回転アーム3との関係が判りやすいように、内部の隔壁等を省略している。処理容器20は、真空搬送室14aまたは14bに接続される側の側面には、Y方向に並ぶように2個の搬入出口21が形成されている。搬入出口21は、ゲートバルブGによって開閉される。
【0020】
処理容器20の内部には、複数の処理空間S1~S4が設けられている。処理空間S1~S4には、それぞれ載置台22が配置されている。載置台22は上下方向に移動可能であり、ウエハWの処理時には上部に移動し、ウエハWの搬送時には下部に移動する。処理空間S1~S4の下部には、処理空間S1~S4を接続し、回転アーム3によってウエハWの搬送が行われる搬送空間Tが設けられている。また、処理空間S1,S2の下部の搬送空間Tは、各搬入出口21と接続され、基板搬送機構15a,15bにより真空搬送室14a,14bとの間でウエハWの搬入出が行われる。
【0021】
複数の処理空間S1~S4は、各々の中心が同一の円周C上に位置している。円周Cの中心は、基板処理装置2の中心、つまり処理容器20の中心と一致している。すなわち、複数の処理空間S1~S4は、上面側から見たとき、中心が処理容器20の中心と一致する円周C上に配置されている。
【0022】
処理空間S1~S4の各載置台22は、上面側から見たとき、2行2列にレイアウトされている。当該レイアウトは、行間隔と列間隔とが異なる寸法となっている。つまり、載置台22のY方向ピッチ(行間隔)のピッチPyと、X方向ピッチ(列間隔)のピッチPx1とを比べると、ピッチPy>ピッチPx1となっている。
【0023】
図3は、待機位置における処理空間と回転アームの位置関係の一例を示す図である。図4は、ウエハの保持位置における処理空間と回転アームの位置関係の一例を示す図である。図3および図4に示すように、回転アーム3は、載置台22のそれぞれに載置するウエハWを保持可能な4つのエンドエフェクタ32と、円周Cの中心位置に回転軸が位置するベース部材33とを有し、円周Cの中心を回転軸として回転可能に設けられている。4つのエンドエフェクタ32は、X形状となるようにベース部材33に接続される。回転アーム3におけるX形状は、図4に示すウエハWの保持位置において、X形状の行間隔に対応するY方向の寸法と、列間隔に対応するX方向の寸法とが異なる構成となっている。
【0024】
言い換えると、エンドエフェクタ32は、回転軸を中心にして2つのエンドエフェクタが対向する位置に2組備えられ、隣り合うエンドエフェクタ32間の間隔が回転方向の前後(Y方向の寸法とX方向の寸法)で異なる間隔である。なお、基板処理装置2aでは、エンドエフェクタ32は、回転軸を中心にして2つのエンドエフェクタが対向する位置に2組備えられ、隣り合うエンドエフェクタ32間の間隔が回転方向の前後(Y方向の寸法とX方向の寸法)で同じ間隔である。
【0025】
回転アーム3は、図3に示す待機位置において、処理空間S1~S4のそれぞれの間に位置することで、各載置台22の上下方向の移動を妨げない。図3では、各載置台22にウエハWが載置された状態である。この状態から例えば1列目と2列目のウエハWを入れ替えるように搬送する場合、つまり、処理空間S1,S2のウエハWを処理空間S3,S4に搬送し、処理空間S3,S4のウエハWを処理空間S1,S2に搬送する場合の回転アーム3の動きについて説明する。
【0026】
まず、各載置台22を下側の搬送空間Tの受け渡し位置まで移動させ、各載置台22に設けられた後述するリフトピン26を上昇させてウエハWを持ち上げる。次に、回転アーム3を時計回りに約30°回転させて、図4に示すように各エンドエフェクタ32を載置台22とウエハWとの間に挿入する。続いて、リフトピン26を下降させて各エンドエフェクタ32にウエハWを載置する。次に、回転アーム3を時計回りに180°回転させ、各載置台22上の保持位置にウエハWを搬送する。各載置台22がリフトピン26を上昇させてウエハWを受け取ると、回転アーム3を反時計回りに約30°回転させて、待機位置に移動する。このように、回転アーム3によって、1列目と2列目のウエハWを入れ替えるように搬送することができる。これにより、例えば、処理空間S1,S2と、処理空間S3,S4とで異なる処理(例えば、成膜処理とアニール処理)が行われる場合、回転アーム3によって、処理空間S1,S2と、処理空間S3,S4との間でウエハWを搬送することができる。したがって、例えば、処理空間S1,S2と、処理空間S3,S4とで異なる処理を繰り返すような場合(例えば、成膜処理とアニール処理とを繰り返す場合。)において、ウエハWの搬送に関する時間を短縮することができる。
【0027】
図5は、本実施形態における基板処理装置内のウエハの移動経路の一例を示す図である。図5では、真空搬送室14aから基板処理装置2の内部にウエハWを搬送する場合の移動経路を説明する。まず、真空搬送室14aの基板搬送機構15aにより、経路F1で示すように、同じ列の載置台22に対応する処理空間S1,S2の下部における搬送空間Tの受け渡し位置において、各載置台22に2枚同時にウエハWが搬入される。処理空間S1,S2の各載置台22がリフトピン26を上昇させてウエハWを受け取る。
【0028】
次に、回転アーム3を待機位置から時計回りに約30°回転させて、エンドエフェクタ32を処理空間S1,S2の下部の受け渡し位置にある載置台22とウエハWとの間に挿入し、リフトピン26を下降させて各エンドエフェクタ32にウエハWを載置する。ウエハWを載置すると、経路F2で示すように、回転アーム3を時計回りに180°回転させ、処理空間S3,S4の下部における搬送空間Tの受け渡し位置にある載置台22上(回転アーム3の保持位置。)にウエハWを搬送する。処理空間S3,S4の下部の受け渡し位置にある載置台22が、リフトピン26を上昇させてウエハWを受け取ると、回転アーム3を反時計回りに約30°回転させて、待機位置に移動する。この状態において、処理空間S1,S2の載置台22にはウエハWが載置されておらず、処理空間S3,S4の載置台22にはウエハWが載置されている。続いて、真空搬送室14aの基板搬送機構15aにより、経路F1で示すように、処理空間S1,S2の下部の受け渡し位置において、各載置台22に2枚同時にウエハWが搬入され、処理空間S1,S2の載置台22にウエハWが載置される。これにより、処理空間S1~S4の全ての載置台22にウエハWが載置される。
【0029】
搬出時も同様に、まず、処理空間S1,S2の下部の受け渡し位置にある載置台22に載置されたウエハWを、基板搬送機構15aにより真空搬送室14aに先に搬出する。次に、処理空間S3,S4の下部の受け渡し位置にある載置台22に載置されたウエハWを、回転アーム3により処理空間S1,S2の下部の受け渡し位置にある載置台22に搬送する。続いて、処理空間S1,S2の下部の受け渡し位置にある載置台22に載置されたウエハWを、基板搬送機構15aにより真空搬送室14aに搬出する。このように、2枚同時にウエハWを搬入出可能な基板搬送機構15aと、回転アーム3とを用いることで、処理空間S1~S4に対してウエハWを搬入出することができる。
【0030】
ところで、処理容器20内での回転アーム3によるウエハWの搬送時には、ウエハの受け渡し時における位置ずれや回転アーム3の振動等によって、ウエハWの位置が予め定められた基準位置(例えば、搬送先の処理空間S1~S4の中心位置等)からずれる場合がある。ウエハWの位置ずれは、処理空間S1~S4での処理の均一性を低下させる要因となる。
【0031】
そこで、基板処理装置2では、回転アーム3によるウエハWの搬送の際に、ウエハWの位置を検知する。具体的には、基板処理装置2は、隣り合う処理空間S1~S4の間に位置し、回転アーム3の回転動作時に、回転アーム3に保持されたウエハWの位置を検知可能なセンサを有する。図5の例では、基板処理装置2は、隣り合う処理空間S1とS2の間、および、隣り合う処理空間S3とS4の間に、それぞれセンサ31a,31bを有する。
【0032】
センサ31a,31bは、それぞれ、例えば2つの単位センサからなる組であって、基板処理装置2(処理容器20)の中心、つまり円周Cの中心位置を通るX方向の直線上に配置される。センサ31a,31bそれぞれの2つの単位センサは、円周Cの中心位置を通るX方向の直線上であって、円周Cの円弧を間に挟む位置に配置される。これは、処理容器20の熱膨張による膨張方向を、センサ31a,31bそれぞれの2つの単位センサの並び方向と同一方向とすることで、熱膨張時の2つの単位センサの位置関係の変化による検知誤差を少なくするためである。センサ31a,31bそれぞれの2つの単位センサとしては、例えば、光学式センサ又はミリ波式センサを用いることができる。
【0033】
なお、センサ31a,31bの配置位置は、基板処理装置2の中心を通る直線上であれば、X方向に限られない。また、載置台22のY方向ピッチ(行間隔)のピッチPyとX方向ピッチ(列間隔)のピッチPx2とが同一である基板処理装置2aにおいては、基板処理装置2aの中心を通るX方向の直線上およびY方向の直線上にセンサが配置されてもよい。図6は、センサの配置位置の一例を示す図である。図6に示す基板処理装置2aは、隣り合う処理空間S1とS2の間、隣り合う処理空間S3とS4の間、隣り合う処理空間S2とS3の間、隣り合う処理空間S4とS1の間に、それぞれセンサ31a~31dを有する。センサ31a,31bは、基板処理装置2a(処理容器20)の中心、つまり円周Cの中心位置を通るX方向の直線上に配置される。センサ31c,31dは、円周Cの中心位置を通るY方向の直線上に配置される。これは、処理容器20の熱膨張による膨張方向を、センサ31a~31dそれぞれの2つの単位センサの並び方向と同一方向とすることで、熱膨張時の2つの単位センサの位置関係の変化による検知誤差を少なくするためである。
【0034】
図5の説明に戻る。基板処理装置2は、センサ31a,31bでウエハWの位置を検知することによって、搬送先の処理空間S1~S4におけるウエハWの位置ずれのずれ量を検知することができる。例えば、基板処理装置2は、センサ31a,31bで検出されたウエハWの前後のエッジ位置と、回転アーム3に設けられた図示しないエンコーダの出力結果(ウエハWの回転角度)とに基づいて、ウエハWの位置ずれのずれ量を算出する。ウエハWの位置ずれのずれ量は、例えば、ウエハWの前後のエッジ位置およびウエハWの回転角度からずれ量を算出可能な数式モデル等を用いて、算出することができる。
【0035】
図5の例では、ポジションP24が、処理空間S2からS4への搬送時にウエハWの後側のエッジがセンサ31bを通過した状態を示し、ポジションP42が、処理空間S4からS2への搬送時にウエハWの後側のエッジがセンサ31aを通過した状態を示している。例えば、基板処理装置2は、ウエハWの後側のエッジがセンサ31bを通過する際、センサ31bで検知されたウエハWの後側のエッジ位置およびエンコーダの出力結果から、搬送先の処理空間S4におけるウエハWの位置ずれのずれ量を算出する。また、例えば、基板処理装置2は、ウエハWの前側のエッジがセンサ31bを通過する際、センサ31bで検知されたウエハWの前側のエッジ位置およびエンコーダの出力結果から、搬送先の処理空間S4におけるウエハWの位置ずれのずれ量を算出してもよい。また、例えば、基板処理装置2は、ウエハWの後側のエッジがセンサ31bを通過する際に検知したウエハWの位置ずれのずれ量と、ウエハWの前側のエッジがセンサ31bを通過する際に検知したウエハWの位置ずれのずれ量との平均値を算出してもよい。
【0036】
また、基板処理装置2は、回転アーム3によるウエハWの搬送の際に、検知したウエハWの位置ずれのずれ量に応じて、搬送先の処理空間S1~S4における載置台22を少なくともXY平面内で移動させることで、ウエハWの位置ずれを補正することができる。具体的には、基板処理装置2は、載置台22の位置を調整可能な調整機構700を有し、検知したずれ量に応じて、調整機構700を制御して載置台22を移動させることで、ウエハWの位置ずれを補正することができる。つまり、基板処理装置2は、載置台22が上昇したときに、ウエハWが処理空間S1~S4の中心に位置するように位置ずれを調整する。
【0037】
調整機構700およびセンサ31a,31bは、処理容器20の底部27(図13参照)の外面に固定されている。これは、調整機構700およびセンサ31a,31bを共通の部材である処理容器20に固定することで、処理容器20の熱膨張による、調整機構700とセンサ31a,31bとの位置関係の変化を抑制するためである。
【0038】
続いて、エンドエフェクタ32の位置合わせ(ティーチング)について説明する。図7は、センサの位置と各エンドエフェクタとの位置関係の一例を示す図である。なお、図7から図11では、回転アーム3の各エンドエフェクタ32について、位置合わせに利用する際に基準とするものをエンドエフェクタ32a、その他のものをエンドエフェクタ32bとして区別する場合がある。図7では、図4と同様に各エンドエフェクタ32が、載置台22間の待機位置にある状態を示している。また、図7から図11では、エンドエフェクタ32aを処理空間S4のウエハWの受け渡し位置に位置合わせする場合を一例として説明する。
【0039】
センサ31a,31bは、上述のようにウエハWの位置を検知するセンサであるが、エンドエフェクタ32の位置合わせを行う場合には、エンドエフェクタ32aの位置を検知するセンサとして用いる。図7に示すように、センサ31a,31bは、それぞれ組を構成するセンサ31a1,31a2と、センサ31b1,31b2とを有する。センサ31a1,31b1は、内周側のセンサであり、第1のセンサの一例である。センサ31a2,31b2は、外周側のセンサであり、第2のセンサの一例である。センサ31a1,31b1は、位置合わせを行う際に、エンドエフェクタ32aのセンサ31a1,31b1に対応する位置に設けられた凸部32a1を含む幅を検出する。なお、凸部32a1は、異なる形状の一例である。凸部32a1は、三角形状、台形状、半円状等の中心と斜辺等の他の部分とでエンドエフェクタ32aの幅が異なる形状であればよい。以下の説明では、エンドエフェクタ32aについて、センサ31b1,31b2を用いて位置合わせを行う場合を説明するが、回転アーム3を180°回転させて、センサ31a1,31a2を用いて処理空間S2に対して位置合わせを行ってもよい。また、4本のエンドエフェクタ32について、それぞれのセンサ31a1,31b1に対応する位置に、センサ31a1,31b1で検出される信号が、それぞれ異なるような形状を設けるようにしてもよい。
【0040】
図8は、基準となるエンドエフェクタと他のエンドエフェクタとのセンサに対応する位置の形状の違いの一例を示す図である。図8に示すように、エンドエフェクタ32aには、センサ31b1に対応する位置に凸部32a1が設けられており、当該位置の幅が広くなっている。一方、エンドエフェクタ32bには、センサ31b1に対応する位置に凸部32a1に相当する部分が設けられておらず、長さ方向の前後の位置と幅がほぼ同じである。エンドエフェクタ32aの凸部32a1は、頂部が常温時のセンサ31b1と合う位置であり、この場合、センサ31b1で検出される信号は、幅32cに対応する信号となる。一方、エンドエフェクタ32bのセンサ31b1に対応する位置において、常温時のセンサ31b1で検出される信号は、幅32dに対応する信号となる。
【0041】
図9は、回転アームの回転角度に応じてセンサで検出される信号の一例を示すタイミングチャートである。図9に示すタイミングチャート37は、回転アーム3を360°回転させた時にセンサ31b1で検出される信号の信号レベルを示している。なお、タイミングチャート37では、回転アーム3の回転速度を一定としている。また、タイミングチャート37では、エンドエフェクタ32a、32bの検出時をH、非検出時をLとした正論理で表しているが、負論理を用いてもよい。センサ31b1では、回転アーム3の回転角度に応じて、エンドエフェクタ32aの幅32cに対応する信号32c2と、エンドエフェクタ32bの幅32dに対応する信号32d2とが検出される。タイミングチャート37の例では、信号32c2は、信号32d2よりもHの検出時間が長い(回転角度が大きい)ので、エンドエフェクタ32aを特定することができる。つまり、制御部8は、凸部32a1の有無によって検出される信号が異なるので、エンドエフェクタ32aを特定することができる。
【0042】
図8の説明に戻って、処理容器20内が昇温された場合について説明する。昇温時には、処理容器20が中心から外側に向けて均等に熱膨張するので、処理容器20に固定されたセンサ31b1も外側に向けて移動する。昇温時に移動したセンサ31b1を、便宜上センサ31b3と表す。エンドエフェクタ32aは、処理容器20よりも膨張率が大幅に小さい材質(例えばアルミナ)で構成されるとともに、処理容器20内で円周Cの中心を回転軸として回転可能に保持されているため、処理容器20に固定されているセンサ31b3との位置関係が変わる。したがって、エンドエフェクタ32aの凸部32a1は、凸部32a1を形成する斜辺がセンサ31b3に対応する位置となる。この場合、センサ31b3で検出される信号は、幅32c1に対応する信号となる。同様に、エンドエフェクタ32bもセンサ31b3との位置関係が変わり、センサ31b3で検出される信号は、幅32d1に対応する信号となる。昇温時においても、幅32c1に対応する信号と幅32d1に対応する信号とは検出時間が異なるので、エンドエフェクタ32aを特定することができる。
【0043】
さらに、制御部8は、常温時の幅32cに対応する信号と、昇温時の幅32c1に対応する信号とを比較することで、処理容器20の膨張率を検出することができ、検出した膨張率をウエハWの搬送精度に反映することができる。例えば、制御部8は、載置台22を検出した膨張率に応じて移動させることで、膨張率をウエハWの中心と載置台22の中心との位置合わせに用いることができる。なお、エンドエフェクタ32aの先端部32a2は、昇温時に移動したセンサ31b2に対して、エンドエフェクタ32aの長手方向の位置は変化するが、回転アーム3の回転方向に対する位置は変化しない。すなわち、センサ31b1は、エンドエフェクタ32の検出と熱膨張の検出とを行い、センサ31b2は、エンドエフェクタ32の回転方向の位置の検出を行っている。
【0044】
次に、エンドエフェクタ32aの回転方向の基準位置について説明する。図10は、基準となるエンドエフェクタの基準位置の一例を示す図である。図10は、回転アーム3を待機位置から時計回りに約1回転弱、回転させて、エンドエフェクタ32aの先端部32a2がセンサ31b2に差し掛かった状態である。制御部8は、センサ31b2でエンドエフェクタ32aの先端部32a2が検出されたタイミングで、回転アーム3に設けられた図示しないエンコーダの出力結果(回転角度)をラッチ(記憶)する。図10の例では、このときの回転アーム3の中心(図7の円周Cの中心)からセンサ31b1,31b2を通る線38をエンドエフェクタ32aの回転角度の基準位置とする。つまり、制御部8は、センサ31b2で検出されたエンドエフェクタ32aの先端部32a2と、回転アーム3に設けられた図示しないエンコーダの出力結果(回転角度)とに基づいて、エンドエフェクタ32aの基準位置を特定する。また、本実施形態では、線38と、基準位置のエンドエフェクタ32aの中心軸とがなす角度を角度αとする。角度αは、エンドエフェクタ32aの形状に基づいて予め決定された角度であり、予め制御部8に記憶されている。
【0045】
図11は、基準となる処理空間への回転角度の一例を示す図である。図11は、エンドエフェクタ32aを基準位置である線38から時計回りに角度γ分回転させて、処理空間S4の載置台22との間におけるウエハWの受け渡し位置まで移動させた状態である。このときのエンドエフェクタ32aの中心軸と、基準位置である線38との角度βは、処理容器20における処理空間S4の配置に基づいて予め決定された角度であり、予め制御部8に記憶されている。つまり、制御部8は、エンドエフェクタ32aを、センサ31b2で先端部32a2が検出されてから角度α+角度β分だけ時計回りに回転させることで、処理空間S4の載置台22との間におけるウエハWの受け渡し位置に移動させることができる。なお、制御部8は、エンドエフェクタ32aを、センサ31b2で先端部32a2が検出されてから角度γだけ時計回りに回転させてもよい。この場合においても、制御部8は、エンドエフェクタ32aを処理空間S4の載置台22との間におけるウエハWの受け渡し位置に移動させることができる。また、回転アーム3は、ベース部材33にエンドエフェクタ32a,32bが高精度で組み付けられているので、処理空間S4においてエンドエフェクタ32aの位置合わせが完了すると、他のエンドエフェクタ32bについても、処理空間S1~S3に対して位置合わせが完了していることになる。また、処理空間S1~S4の受け渡し位置では、エンドエフェクタ32a,32bとリフトピン26とは干渉しない位置関係である。
【0046】
なお、制御部8は、位置合わせの完了後、実際のプロセス処理中においてもセンサ31a,31bを用いて各エンドエフェクタ32の位置を確認してもよい。また、制御部8は、任意のタイミングで回転アーム3を360°回転させて、センサ31a,31bを用いて各エンドエフェクタ32の位置を確認してもよい。例えば、制御部8は、確認結果に基づいて、熱膨張をウエハWの搬送精度に反映させたり、検出されるべきエンドエフェクタ32が検出されないことによりエンドエフェクタ32の破損を検知したりするようにしてもよい。
【0047】
さらに、制御部8は、センサ31b2で先端部32a2が検出された時のエンコーダの出力結果を、位置合わせ時のエンコーダの出力結果と比較することで、回転アーム3の駆動系(後述する2軸真空シール34等)の摩耗劣化診断や予測を行うことができる。例えば、制御部8は、エンコーダの出力結果が位置合わせ時のエンコーダの出力結果より大きい値である場合、歯車およびタイミングベルトの劣化等の駆動部の摩耗、取付部のネジ緩み等が発生していると診断することができる。また、例えば、制御部8は、エンコーダの出力結果が位置合わせ時のエンコーダの出力結果より小さい値である場合、エンドエフェクタ32へのデポの増加や取付部のネジ緩み等が発生していると診断することができる。
【0048】
他にも、センサ31a,31bが光学センサである場合、処理容器20の内部にデポが堆積すると、透過窓にもデポが付着するため光量が低下するので、制御部8は、当該光量を処理容器20内のクリーニング時期の指標として用いることができる。また、センサ31a,31bの光量が低下すると、センサ31a,31bの反応時間が遅れるので、制御部8は、エンコーダの出力結果を、位置合わせ時のエンコーダの出力結果と比較することで、同様にクリーニング時期の指標として用いることができる。
【0049】
図12は、本実施形態における基板処理装置の排気経路の一例を示す図である。図12では、後述するガス供給部4を外した状態で処理容器20を上面から見た場合を示している。図12に示すように、基板処理装置2の中心には、マニホールド36が配置される。マニホールド36は、処理空間S1~S4に接続される複数の排気路361を有する。各排気路361は、マニホールド36の中心下部において、後述するスラストナット35の孔351に接続される。各排気路361は、処理空間S1~S4の上部に設けられた各ガイド部材362内の環状の流路363に接続される。つまり、処理空間S1~S4内のガスは、流路363、排気路361、孔351を経由して、後述する合流排気口205へと排気される。
【0050】
図13は、本実施形態における基板処理装置の構成の一例を示す概略断面図である。図13の断面は、図12に示す基板処理装置2のA-A線における断面に相当する。4つの処理空間S1~S4は互いに同様に構成され、各々、ウエハWが載置される載置台22と、載置台22と対向して配置されたガス供給部4との間に形成される。言い換えると、処理容器20内には、4つの処理空間S1~S4それぞれについて、載置台22およびガス供給部4が設けられている。図13には、処理空間S1とS3とを示している。以下、処理空間S1を例にして説明する。
【0051】
載置台22は、下部電極を兼用するものであり、例えば金属もしくは、金属メッシュ電極を埋め込んだ窒化アルミ(AlN)からなる扁平な円柱状に形成される。載置台22は、支持部材23により下方から支持されている。支持部材23は、円筒状に形成され、鉛直下方に延伸し、処理容器20の底部27を貫通している。支持部材23の下端部は、処理容器20の外部に位置し、回転駆動機構600に接続されている。支持部材23は、回転駆動機構600により回転される。載置台22は、支持部材23の回転に応じて回転可能に構成されている。また、支持部材23の下端部には、載置台22の位置及び傾きを調整する調整機構700が設けられている。調整機構700は、センサ31a,31b(図5参照)とともに処理容器20の底部27の外面に固定されている。
【0052】
載置台22は、調整機構700により支持部材23を介して処理位置と受け渡し位置との間で昇降可能に構成されている。図13には、実線にて受け渡し位置にある載置台22を描き、破線にて処理位置にある載置台22をそれぞれ示している。また、受け渡し位置では、回転アーム3のエンドエフェクタ32を載置台22とウエハWとの間に挿入し、リフトピン26からウエハWを受け取る状態を示している。なお、処理位置とは、基板処理(例えば、成膜処理)を実行するときの位置であり、受け渡し位置とは、基板搬送機構15aまたはエンドエフェクタ32との間でウエハWの受け渡しを行う位置である。回転アーム3によって保持されたウエハWの移動経路(例えば、図5の経路F2)は、処理位置よりも処理容器20の底部27に近い位置に位置する。これにより、回転アーム3によるウエハWの搬送時に、ウエハWを処理容器20の底部27の外面に位置するセンサ31a,31b側に近づけることができることから、センサ31a,31bにおける検知精度を向上させることができる。
【0053】
載置台22には、ヒーター24が埋設されている。ヒーター24は、載置台22に載置された各ウエハWを例えば60℃~600℃程度に加熱する。また、載置台22は、接地電位に接続されている。
【0054】
また、載置台22には、複数(例えば3つ)のピン用貫通孔26aが設けられており、これらのピン用貫通孔26aの内部には、それぞれリフトピン26が配置されている。ピン用貫通孔26aは、載置台22の載置面(上面)から載置面に対する裏面(下面)まで貫通するように設けられている。リフトピン26は、ピン用貫通孔26aにスライド可能に挿入されている。リフトピン26の上端は、ピン用貫通孔26aの載置面側に吊り下げられている。すなわち、リフトピン26の上端は、ピン用貫通孔26aよりも大きい径を有しており、ピン用貫通孔26aの上端には、リフトピン26の上端よりも径及び厚みが大きく且つリフトピン26の上端を収容可能な凹部が形成されている。これにより、リフトピン26の上端は、載置台22に係止されてピン用貫通孔26aの載置面側に吊り下げられる。また、リフトピン26の下端は、載置台22の裏面から処理容器20の底部27側へ突出している。
【0055】
載置台22を処理位置まで上昇させた状態では、リフトピン26の上端がピン用貫通孔26aの載置側の凹部に収納される。この状態から載置台22を受け渡し位置に下降させると、リフトピン26の下端が処理容器20の底部27に当接し、リフトピン26がピン用貫通孔26a内を移動して、図13に示すように、リフトピン26の上端が載置台22の載置面から突出する。なお、この場合、リフトピン26の下端が処理容器20の底部27ではなく、底部側に位置するリフトピン当接部材のようなものに当接するようにしてもよい。
【0056】
ガス供給部4は、処理容器20の天井部における、載置台22の上方に、絶縁部材よりなるガイド部材362を介して設けられている。ガス供給部4は、上部電極としての機能を有する。ガス供給部4は、蓋体42と、載置台22の載置面と対向するように設けられた対向面をなすシャワープレート43と、蓋体42とシャワープレート43との間に形成されたガスの通流室44とを有する。蓋体42には、ガス供給管51が接続されると共に、シャワープレート43には、厚さ方向に貫通するガス吐出孔45が例えば縦横に配列され、ガスがシャワー状に載置台22に向けて吐出される。
【0057】
各ガス供給部4は、ガス供給管51を介してガス供給系50に接続されている。ガス供給系50は、例えば処理ガスである反応ガス(成膜ガス)や、パージガス、クリーニングガスの供給源や、配管、バルブV、流量調整部M等を備えている。ガス供給系50は、例えば、クリーニングガス供給源53と、反応ガス供給源54と、パージガス供給源55と、それぞれの供給源の配管に設けられたバルブV1~V3、および、流量調整部M1~M3とを有する。
【0058】
クリーニングガス供給源53は、流量調整部M1、バルブV1、リモートプラズマユニット(RPU:Remote Plasma Unit)531を介して、クリーニングガス供給路532に接続される。クリーニングガス供給路532は、RPU531の下流側にて4系統に分岐し、それぞれガス供給管51に接続されている。RPU531の下流側には分岐された分岐管毎にバルブV11~V14が設けられ、クリーニング時は対応するバルブV11~V14を開く。なお、図13では便宜上、バルブV11、V14のみが示されている。
【0059】
反応ガス供給源54およびパージガス供給源55は、それぞれ流量調整部M2,M3、および、バルブV2,V3を介して、ガス供給路52に接続される。ガス供給路52は、ガス供給管510を介してガス供給管51に接続される。なお、図13中、ガス供給路52およびガス供給管510は、各ガス供給部4に対応する各供給路および各供給管を纏めて示したものである。
【0060】
シャワープレート43には、整合器40を介して高周波電源41が接続されている。シャワープレート43は、載置台22に対向する上部電極としての機能を有する。上部電極であるシャワープレート43と下部電極である載置台22との間に高周波電力を印加すると、容量結合により、シャワープレート43から処理空間S1に供給されたガス(本例では反応ガス)をプラズマ化することができる。
【0061】
続いて、処理空間S1~S4から合流排気口205への排気経路について説明する。図12および図13に示すように、排気経路は、処理空間S1~S4の上部に設けられた各ガイド部材362内の環状の流路363から各排気路361を通り、マニホールド36の中心下部の合流部、孔351を経由して、合流排気口205へと向かう。なお、排気路361は、断面が、例えば円形状に形成されている。
【0062】
各処理空間S1~S4の周囲には、各処理空間S1~S4をそれぞれ囲むように排気用のガイド部材362が設けられている。ガイド部材362は、例えば処理位置にある載置台22の周囲の領域を、当該載置台22に対して間隔を開けて囲むように設けられた環状体である。ガイド部材362は、内部に例えば縦断面が矩形状であって、平面視、環状の流路363を形成するように構成されている。図12では、処理空間S1~S4、ガイド部材362、排気路361およびマニホールド36を概略的に示している。
【0063】
ガイド部材362は、処理空間S1~S4に向けて開口するスリット状のスリット排気口364を形成する。このようにして、各々の処理空間S1~S4の側周部にスリット排気口364が周方向に沿って形成されることになる。流路363には排気路361が接続され、スリット排気口364から排気された処理ガスをマニホールド36の中心下部の合流部、孔351へ向けて通流させる。
【0064】
処理空間S1-S2,S3-S4の組は、図12に示すように、上面側から見たとき、マニホールド36を囲んで180°回転対称に配置されている。これにより、各処理空間S1~S4からスリット排気口364、ガイド部材362の流路363、排気路361を介して孔351に至る処理ガスの通流路は、孔351を囲んで180°回転対称に形成されていることになる。
【0065】
孔351は、処理容器20の中心部に配置された2軸真空シール34のスラスト配管341の内側である合流排気口205を介して排気管61に接続されている。排気管61は、バルブ機構7を介して真空排気機構をなす真空ポンプ62に接続されている。真空ポンプ62は、例えば一つの処理容器20に一つ設けられており、各真空ポンプ62の下流側の排気管は合流して、例えば工場排気系に接続される。
【0066】
バルブ機構7は、排気管61内に形成された処理ガスの通流路を開閉するものであり、例えばケーシング71と、開閉部72とを有する。ケーシング71の上面には、上流側の排気管61と接続される第1の開口部73、ケーシング71の側面には下流側の排気管と接続される第2の開口部74がそれぞれ形成されている。
【0067】
開閉部72は、例えば第1の開口部73を塞ぐ大きさに形成された開閉弁721と、ケーシング71の外部に設けられ、開閉弁721をケーシング71内において昇降させる昇降機構722とを有する。開閉弁721は、図13に一点鎖線で示す第1の開口部73を塞ぐ閉止位置と、図13に実線で示す第1および第2の開口部73,74よりも下方側に退避する開放位置との間で昇降自在に構成される。開閉弁721が閉止位置にあるときには、合流排気口205の下流端が閉じられて、処理容器20内の排気が停止される。また、開閉弁721が開放位置にあるときには、合流排気口205の下流端が開かれて、処理容器20内が排気される。
【0068】
続いて、2軸真空シール34およびスラストナット35について説明する。2軸真空シール34は、スラスト配管341と、ロータ343と、本体部345と、ダイレクトドライブモータ348とを有する。なお、図13では、2軸真空シール34の軸受と磁性流体シールの図示を省略している。
【0069】
スラスト配管341は、回転しない中心軸であり、スラストナット35を介して、基板処理装置2の中心上部にかかるスラスト荷重を受け止める。つまり、スラスト配管341は、処理空間S1~S4を真空雰囲気とした際に、基板処理装置2の中心部にかかる真空荷重を受け止めることで、基板処理装置2の上部の変形を抑制する。また、スラスト配管341は、中空構造であり、その内部は合流排気口205となっている。スラスト配管341の上面は、スラストナット35の下面と当接される。また、スラスト配管341の上部の内面と、スラストナット35の内周側の凸部の外面との間は、図示しないOリングによって密封されている。
【0070】
スラストナット35の外周側面は、ネジ構造となっており、スラストナット35は処理容器20の中心部の隔壁に螺合されている。処理容器20の中心部は、その上部にマニホールド36が設けられている。スラスト荷重は、マニホールド36、処理容器20の中心部の隔壁、スラストナット35およびスラスト配管341で受け止めることになる。
【0071】
ロータ343は、スラスト配管341と同心円に配置され、回転アーム3の中心における回転軸である。また、ロータ343には、ベース部材33が接続されている。ロータ343が回転することで、回転アーム3、つまりエンドエフェクタ32およびベース部材33が回転する。
【0072】
本体部345は、その内部にロータ343と、ダイレクトドライブモータ348を格納する。ダイレクトドライブモータ348は、ロータ343と接続され、ロータ343を駆動することで回転アーム3を回転させる。
【0073】
このように、2軸真空シール34は、1軸目の回転しない中心軸であるスラスト配管341が処理容器20の上部の荷重を支えつつ、ガス排気配管の役目を担い、2軸目のロータ343が回転アーム3を回転させる役目を担う。
【0074】
[基板処理装置の動作]
次に、図14を用いて、実施形態における基板処理装置の動作について説明する。図14は、本実施形態における回転アームの位置合わせ処理の一例を示すフローチャートである。なお、図14に示す各種の処理は、主として、制御部8による制御に基づいて実行される。また、以下の説明では、特定したエンドエフェクタ32aを、基準とする処理空間S4に対して位置合わせ(ティーチング)する場合について説明する。
【0075】
制御部8は、基板処理装置2の処理容器20内を、ウエハWに対する処理が行われる温度、例えば60℃~600℃程度に昇温させるように基板処理装置2を制御する。制御部8は、基板処理装置2を制御して、回転アーム3を待機位置から時計回りに1回転させて(ステップS101)、センサ31b1,31b2で検出される信号を取得する。なお、位置合わせ処理は、処理容器20内が常温のままで行ってもよい。
【0076】
制御部8は、取得した、回転アーム3を回転させたときにセンサ31b1で検出される信号に基づいて、凸部32a1を備えるエンドエフェクタ32aを特定する(ステップS102)。
【0077】
制御部8は、特定したエンドエフェクタ32aがセンサ31b2で検出された位置に基づいて、特定したエンドエフェクタ32aの基準位置(図10中、線38を基にした位置)を記憶する(ステップS103)。このとき、制御部8は、基準位置に対応するエンコーダの出力結果(出力値)を、当該基準位置に対応付けて記憶する。つまり、制御部8は、センサ31b2でエンドエフェクタ32aの先端部32a2が検出されたタイミングで、回転アーム3に設けられたエンコーダの出力値をラッチする。制御部8は、エンドエフェクタ32aの先端部32a2が検出されたタイミングにおけるエンコーダの出力値と、エンドエフェクタ32aの形状に基づく角度αとを対応付ける。
【0078】
制御部8は、処理容器20における処理空間S4の配置に基づいて予め決定された角度である角度βに対応付けられたエンコーダの出力値を、角度αに対応付けられたエンコーダの出力値に加算する。つまり、制御部8は、角度αと角度βとを加算する。なお、制御部8は、エンドエフェクタ32aの先端部32a2が検出されたタイミングにおけるエンコーダの出力値に、処理空間S4の配置に基づいて予め決定された角度である角度γに対応付けられたエンコーダの出力値を加算してもよい。つまり、制御部8は、基準位置に角度γを加算してもよい。制御部8は、基板処理装置2を制御して、回転アーム3を角度α+角度β分または角度γ分だけ時計回りに回転させることで、複数の処理空間S1~S4のうち、基準とする処理空間S4に、特定したエンドエフェクタ32aを位置合わせする(ステップS104)。すなわち、制御部8は、基板処理装置2を制御して、特定の処理空間S4に設けられたウエハWを載置する載置台22と、特定したエンドエフェクタ32aとの間でウエハWの受け渡しを行う位置に、特定したエンドエフェクタ32aを位置合わせする。このとき、ウエハWの受け渡しを行う位置は、ウエハWの中心と、載置台22の中心とが一致する位置である。このように、特定のエンドエフェクタ32aの基準位置と回転角度に基づいて基準とする処理空間S4に位置合わせするので、エンドエフェクタ32の位置合わせを容易に行うことができる。すなわち、処理容器20内が昇温真空下であっても、自動シーケンスでティーチングを実施することができる。
【0079】
以上、本実施形態によれば、処理装置(基板処理装置2)は、処理容器20と、回転アーム3と、センサ31bとを有する。処理容器20は、複数の処理空間S1~S4が形成されるように構成される。回転アーム3は、処理容器20の中央部に回転軸が位置し、回転軸を中心として回転可能であり、複数の処理空間S1~S4と同数のウエハWを保持可能な複数のエンドエフェクタ32を備えるように構成される。センサ31bは、エンドエフェクタ32の位置を検出するように構成される。また、複数のエンドエフェクタ32のうち、少なくとも1つのエンドエフェクタ32aは、センサ31bに対応する位置の形状が、他のエンドエフェクタ32bのセンサ31bに対応する位置の形状と異なる形状(凸部32a1)である。その結果、エンドエフェクタ32の位置合わせを容易に行うことができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、異なる形状は、処理容器20の熱膨張の方向に対して斜辺を備える。また、異なる形状を備える、少なくとも1つのエンドエフェクタ32aについてセンサ31bで検出される信号は、処理容器20内の温度に応じて変化する。その結果、処理容器20の膨張率を検出することができる。また、検出した膨張率をウエハWの搬送精度に反映することができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、センサ31bは、第1のセンサ(センサ31b1)と、第2のセンサ(センサ31b2)とを備えるように構成される。第1のセンサは、少なくとも1つのエンドエフェクタ32aの異なる形状を検出可能な位置に配置される。第2のセンサは、検出される信号が処理容器20内の温度に応じて変化しない位置に配置される。その結果、昇温時および常温時のいずれの場合でも、エンドエフェクタ32の位置合わせを容易に行うことができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、エンドエフェクタ32は、回転軸を中心にして2つのエンドエフェクタが対向する位置に2組備えられ、隣り合うエンドエフェクタ32間の間隔が回転方向の前後で異なる間隔である。その結果、載置台22のY方向ピッチとX方向ピッチとが異なる処理容器20内で回転し、4つのエンドエフェクタ32がX形状となる回転アーム3について、エンドエフェクタ32の位置合わせを容易に行うことができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、エンドエフェクタ32は、回転軸を中心にして2つのエンドエフェクタが対向する位置に2組備えられ、隣り合うエンドエフェクタ32間の間隔が回転方向の前後で同じ間隔である。その結果、載置台22のY方向ピッチとX方向ピッチとが同じである処理容器20内で回転し、4つのエンドエフェクタ32がX形状となる回転アーム3について、エンドエフェクタ32の位置合わせを容易に行うことができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、異なる形状を備えるエンドエフェクタ32aは、1つである。また、他のエンドエフェクタ32bは、3つであり、センサ31b1に対応する位置の形状が、同じ形状である。その結果、エンドエフェクタ32aを特定することができる。
【0085】
また、本実施形態によれば、処理装置における位置合わせ方法は、a)回転アーム3を回転させたときにセンサ31bで検出される信号に基づいて、異なる形状を備える、少なくとも1つのエンドエフェクタ32aを特定する工程と、b)特定したエンドエフェクタ32aが、センサ31bで検出された位置に基づいて、特定したエンドエフェクタ32aの基準位置を記憶する工程と、c)基準位置に所定の回転角度を加減算することで、複数の処理空間S1~S4のうち、特定の処理空間S4に、特定したエンドエフェクタ32aを位置合わせする工程とを含む。その結果、エンドエフェクタ32の位置合わせを容易に行うことができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、工程c)は、特定の処理空間S4に設けられた、ウエハWを載置する載置台22と特定したエンドエフェクタ32aとの間でウエハWの受け渡しを行う位置に、特定したエンドエフェクタ32aを位置合わせする。その結果、エンドエフェクタ32の位置合わせを容易に行うことができる。
【0087】
また、本実施形態によれば、受け渡しを行う位置は、ウエハWの中心と、載置台22の中心とが一致する位置である。その結果、処理空間S1~S4の各載置台22と各エンドエフェクタ32との間でウエハWの受け渡しを行うことができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、工程a)~工程c)は、処理空間S1~S4においてウエハWに対する処理が行われる温度にて実行する。その結果、昇温時でもエンドエフェクタ32の位置合わせを容易に行うことができる。
【0089】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0090】
例えば、上記実施形態では、基板処理装置2,2aが基板処理としてプラズマCVD処理を行なう装置である例を説明したが、プラズマエッチング等の他の基板処理を行う任意の装置に開示技術を適用してもよい。
【0091】
また、上記した実施形態では、2軸真空シール34におけるロータ343の駆動方法としてダイレクトドライブモータ348を用いたが、これに限定されない。例えば、ロータ343にプーリを設けて、2軸真空シール34の外部に設けたモータからタイミングベルトで駆動してもよい。
【0092】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)
複数の処理空間が形成されるように構成される処理容器と、
前記処理容器の中央部に回転軸が位置し、前記回転軸を中心として回転可能であり、複数の前記処理空間と同数のウエハを保持可能な複数のエンドエフェクタを備えるように構成される回転アームと、
前記エンドエフェクタの位置を検出するように構成されるセンサと、
を有し、
複数の前記エンドエフェクタのうち、少なくとも1つの前記エンドエフェクタは、前記センサに対応する位置の形状が、他の前記エンドエフェクタの前記センサに対応する位置の形状と異なる形状である、
処理装置。
(2)
前記異なる形状は、前記処理容器の熱膨張の方向に対して斜辺を備え、
前記異なる形状を備える、少なくとも1つの前記エンドエフェクタについて前記センサで検出される信号は、前記処理容器内の温度に応じて変化する、
前記(1)に記載の処理装置。
(3)
前記センサは、第1のセンサと、第2のセンサとを備えるように構成され、
前記第1のセンサは、少なくとも1つの前記エンドエフェクタの前記異なる形状を検出可能な位置に配置され、
前記第2のセンサは、検出される前記信号が前記処理容器内の温度に応じて変化しない位置に配置される、
前記(2)に記載の処理装置。
(4)
前記エンドエフェクタは、前記回転軸を中心にして対向する位置に2組備えられ、隣り合う前記エンドエフェクタ間の間隔が回転方向の前後で異なる間隔である、
前記(1)~(3)のいずれか1つに記載の処理装置。
(5)
前記エンドエフェクタは、前記回転軸を中心にして対向する位置に2組備えられ、隣り合う前記エンドエフェクタ間の間隔が回転方向の前後で同じ間隔である、
前記(1)~(3)のいずれか1つに記載の処理装置。
(6)
前記異なる形状を備える前記エンドエフェクタは、1つであり、
他の前記エンドエフェクタは、3つであり、前記センサに対応する位置の形状が、同じ形状である、
前記(4)または(5)に記載の処理装置。
(7)
処理装置における位置合わせ方法であって、
前記処理装置は、
複数の処理空間が形成されるように構成される処理容器と、
前記処理容器の中央部に回転軸が位置し、前記回転軸を中心として回転可能であり、複数の前記処理空間と同数のウエハを保持可能な複数のエンドエフェクタを備えるように構成される回転アームと、
前記エンドエフェクタの位置を検出するように構成されるセンサと、
を有し、
複数の前記エンドエフェクタのうち、少なくとも1つの前記エンドエフェクタは、前記センサに対応する位置の形状が、他の前記エンドエフェクタの前記センサに対応する位置の形状と異なる形状であり、
a)前記回転アームを回転させたときに前記センサで検出される信号に基づいて、前記異なる形状を備える、少なくとも1つの前記エンドエフェクタを特定する工程と、
b)特定した前記エンドエフェクタが、前記センサで検出された位置に基づいて、特定した前記エンドエフェクタの基準位置を記憶する工程と、
c)前記基準位置に所定の回転角度を加減算することで、複数の前記処理空間のうち、特定の前記処理空間に、特定した前記エンドエフェクタを位置合わせする工程と、
を含む、位置合わせ方法。
(8)
前記c)は、特定の前記処理空間に設けられた、前記ウエハを載置する載置台と、特定した前記エンドエフェクタとの間で、前記ウエハの受け渡しを行う位置に、特定した前記エンドエフェクタを位置合わせする、
前記(7)に記載の位置合わせ方法。
(9)
前記受け渡しを行う位置は、前記ウエハの中心と、前記載置台の中心とが一致する位置である、
前記(8)に記載の位置合わせ方法。
(10)
前記a)~前記c)は、前記処理空間において前記ウエハに対する処理が行われる温度にて実行する、
前記(7)~(9)のいずれか1つに記載の位置合わせ方法。
【符号の説明】
【0093】
1 基板処理システム
2,2a,2b 基板処理装置
3 回転アーム
8 制御部
11 搬入出ポート
12 搬入出モジュール
13a,13b 真空搬送モジュール
14a,14b 真空搬送室
15a,15b 基板搬送機構
16 パス
20 処理容器
21 搬入出口
22 載置台
26 リフトピン
31a,31b,31a1,31a2,31b1,31b2 センサ
32,32a,32b エンドエフェクタ
32a1 凸部
33 ベース部材
34 2軸真空シール
35 スラストナット
36 マニホールド
50 ガス供給系
205 合流排気口
C 円周
S1~S4 処理空間
T 搬送空間
W ウエハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14