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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100394
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】電子部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
H05K13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004369
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関家 一馬
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353EE32
5E353GG21
5E353HH11
5E353HH53
5E353HH56
5E353JJ29
5E353JJ48
5E353QQ01
5E353QQ15
(57)【要約】
【課題】電子部品の小型化に対応できると共に、生産性の向上が図れる電子部品実装装置を提供する。
【解決手段】配線基板Aに電子部品112を実装する電子部品実装装置1であって、配線基板Aを支持する配線基板支持テーブル10と、複数の電子部品112を収容したトレー110を載置するトレー載置テーブル20と、トレー110から電子部品112をピックアップして配線基板Aに実装する移載ヘッド30と、を含み構成される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板に電子部品を実装する電子部品実装装置であって、
配線基板を支持する配線基板支持テーブルと、複数の電子部品を収容したトレーを載置するトレー載置テーブルと、該トレーから電子部品をピックアップして該配線基板に実装する移載ヘッドと、
を含み構成される電子部品実装装置。
【請求項2】
該トレー載置テーブルには、電子部品の種類毎に複数のトレーが載置され、該移載ヘッドは必要な電子部品が収容されたトレーから電子部品をピックアップし該配線基板に実装する請求項1に記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
該トレーにはタック力を有するシートが配設され、複数の電子部品が該タック力により仮固定された請求項1に記載の電子部品実装装置。
【請求項4】
複数のトレーを収納するトレー収納ラックを備え、該トレー収納ラックから必要なトレーを該トレー載置テーブルまで搬送するトレー搬送手段が配設される請求項1に記載の電子部品実装装置。
【請求項5】
該トレーには、収容される電子部品の種類に応じた識別マークが配設され、該識別マークを読み取ることにより該トレー収納ラックから必要なトレーが該トレー搬送手段によって該トレー載置テーブルまで搬送される請求項4に記載の電子部品実装装置。
【請求項6】
複数の電子部品が収納されたリールセットが該移載ヘッドに隣接して配設され、該移載ヘッドは該リールセットから必要な電子部品をピックアップして該配線基板に実装する請求項1に記載の電子部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に電子部品を実装する電子部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハは、個々のデバイスチップに分割されて電子部品を構成し、携帯電話、パソコン、テレビ等の配線基板に実装される。
【0003】
電子部品を配線基板に実装する電子部品実装装置は、複数の電子部品が収納された電子部品収納テープをリールに巻回して構成したテープフィーダを複数並設したリールセットを備え、間欠的に送り出される該電子部品収納テープから必要な電子部品を移載ヘッドによって吸引保持し配線基板に実装する構成となっている(例えば特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-229298号公報
【特許文献2】特開平05-175700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したリールセットを使用する電子部品実装装置では、テープフィーダに収納された電子部品がなくなった場合、または種類の異なる電子部品を収納したテープフィーダに交換する場合には、該電子部品実装装置の稼働を停止する必要があり、生産性が悪いという問題があった。
【0006】
また、並設されるテープフィーダの数には制限があり、種類の異なる電子部品を収納したテープフィーダと既存のテープフィーダとを頻繁に交換しなければならず、該交換作業が面倒で、煩に堪えないという問題がある。
【0007】
さらに、電子部品の小型化が進んでいるにも関わらず、該電子部品収納テープの送り出しピッチ等の規制により、リールセットの小型化が制限され、生産性の向上に限界があるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、電子部品の小型化に柔軟に対応できると共に、生産性の向上が図れる電子部品実装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、配線基板に電子部品を実装する電子部品実装装置であって、配線基板を支持する配線基板支持テーブルと、複数の電子部品を収容したトレーを載置するトレー載置テーブルと、該トレーから電子部品をピックアップして該配線基板に実装する移載ヘッドと、を含み構成される電子部品実装装置が提供される。
【0010】
該トレー載置テーブルには、電子部品の種類毎に複数のトレーが載置され、該移載ヘッドは必要な電子部品が収容されたトレーから電子部品をピックアップし該配線基板に実装することが好ましい。該トレーにはタック力を有するシートが配設され、複数の電子部品が該タック力により仮固定されていることが好ましい。また、本発明の電子部品実装装置は、複数のトレーを収納するトレー収納ラックを備え、該トレー収納ラックから必要なトレーを該トレー載置テーブルまで搬送するトレー搬送手段が配設されてもよい。該トレーには、収容される電子部品の種類に応じた識別マークが配設され、該識別マークを読み取ることにより該トレー収納ラックから必要なトレーが該トレー搬送手段によって該トレー載置テーブルまで搬送されることが好ましい。さらに、複数の電子部品が収納されたリールセットが該移載ヘッドに隣接して配設され、該移載ヘッドは該リールセットから必要な電子部品をピックアップして該配線基板に実装するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電子部品実装装置は、配線基板を支持する配線基板支持テーブルと、複数の電子部品を収容したトレーを載置するトレー載置テーブルと、該トレーから電子部品をピックアップして該配線基板に実装する移載ヘッドと、を含み構成され、電子部品を収容したトレーから電子部品をピックアップして配線基板に実装するようにしているため、トレーの交換、トレーの追加によって、実装する電子部品の変更が容易に実現され、従来のように、装置の稼働を停止する必要がなくなり、又は停止する頻度が低下して、生産性が向上する。また、電子部品の小型化が進んでも、トレー上に密に電子部品を収容でき、電子部品の小型化に対応できる。特に、トレーにタック力を有するシートによって電子部品を仮固定する構成によれば、仕切りを設ける必要がなく小さい電子部品を多数収容すること可能になり、電子部品を配線基板に実装する際の柔軟性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の電子部品実装装置の全体斜視図である。
図2】電子部品を収容したトレーの斜視図である。
図3】トレー収納ラックからトレーを搬出する態様を示す斜視図である。
図4】トレーをトレー載置テーブルに載置する態様を示す斜視図である。
図5】トレー載置テーブルにトレーが載置され、配線基板に電子部品を実装可能になった状態を示す斜視図である。
図6】トレーから電子部品をピックアップする態様を示す斜視図である。
図7】電子部品を配線基板に実装する態様を示す斜視図である。
図8】リールセットから電子部品をピックアップする態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に基づいて構成される電子部品実装装置に係る実施形態について、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0014】
図1には、本実施形態の電子部品実装装置1の全体斜視図が示されている。図示の電子部品実装装置1は、電子部品が実装される配線基板Aを支持する配線基板支持テーブル10と、複数の電子部品を収容したトレーを載置するトレー載置テーブル20と、該トレーから電子部品をピックアップして配線基板Aに実装する移載ヘッド30と、を含み構成される。また、図示の実施形態では、複数のトレーを収納するトレー収納ラック40と、該トレー収納ラック40から必要なトレーを上記したトレー載置テーブル20まで搬送するトレー搬送手段50とが配設されると共に、複数の電子部品が収納されたリールセット60が移載ヘッド30に隣接して配設されている。電子部品実装装置1は、図示を省略する制御手段を備えており、該制御手段によって各作動部が制御されて、移載ヘッド30が、トレー及びリールセット60から必要な電子部品をピックアップして配線基板Aに実装する。なお、上記したトレー収納ラック40、トレー搬送手段50、及びリールセット60の配設は任意である。
【0015】
配線基板支持テーブル10は、第1X軸移動レール11と、第1移動基台12と、第1移動基台12上に配設されて、配線基板支持テーブル10を保持する第1Y軸移動レール13と、を備えている。第1移動基台12は、第1X軸移動レール11の案内溝11aに沿ってX軸方向に移動可能であり、図示を省略する駆動手段によってX軸方向の任意の位置に位置付けられる。該配線基板支持テーブル10は、第1Y軸移動レール13の案内溝13aに沿ってY軸方向に移動可能であり、図示を省略する駆動手段によってY軸方向の任意の位置に位置付けられる。配線基板支持テーブル10の上面10aには、図示を省略する吸引部が形成され、配線基板Aを吸引保持する。
【0016】
移載ヘッド30は、配線基板支持テーブル10のY軸方向で隣接した位置に配設される。移載ヘッド30は、第2X軸移動レール31と、第2移動基台32と、第2移動基台32に配設された搬送アーム33と、を備えている。第2移動基台32は、第2X軸移動レール31の案内溝31aに沿ってX軸方向に移動可能であり、図示を省略する駆動手段によってX軸方向の任意の位置に位置付けられる。該搬送アーム33は、昇降ロッド33aと、昇降ロッド33aの上端から水平に延びる水平アーム33bと、水平アーム33bの先端部に形成された吸着部33cと、を備えると共に、吸着部33cの下面側に吸着ノズル34、34を備えている。図示の実施形態では、2つの吸着ノズル34、34を備えているが、本発明はこれに限定されず、吸着ノズルの数は、1つであってもよいし3つ以上であってもよい。吸着ノズル34は、図示を省略する吸引手段に接続されて、吸着ノズル34の先端部に電子部品を吸着可能である。また、該吸着ノズル34は電子部品の吸着時、及び実装時に、下方に延びるように構成される。搬送アーム33は、第2移動基台32の内部に収容された図示を省略する駆動手段により旋回可能であると共にZ軸方向(上下方向)で昇降自在に制御される。
【0017】
トレー載置テーブル20は、移載ヘッド30を挟み、配線基板支持テーブル10と対向するY軸方向に配設される。図示のトレー載置テーブル20は、テーブル基台21を備え、テーブル基台21の上面22に複数(図示の実施形態では4つ)のテーブル本体T1~T4を備えている。テーブル本体T1~T4は、テーブル基台21の上面22に形成された案内溝22a~22dに沿って図示を省略する駆動手段によってY軸方向の任意の位置に移動可能に構成されている。テーブル本体T1~T4上には、電子部品を収容したトレーを位置決めして保持するための複数のピンPが配設されている。
【0018】
本実施形態の電子部品実装装置1は、図1に示すように、複数のトレーを収納するトレー収納ラック40を備えると共に、該トレー収納ラック40から必要なトレーを搬出して、上記のトレー載置テーブル20に搬送するトレー搬送手段50を備えている。該トレー搬送手段50によって、トレー収納ラック40から搬出されたトレーは、テーブル本体T1~T4のいずれかに載置される。
【0019】
図2には、上記したトレー収納ラック40に収納されるトレーの一例(トレー110)を示している。トレー110は、矩形状の底壁114の外周に前壁110a、後壁110b、側壁110c、及び側壁110dを備えている。底壁114には、タック力を有する粘着性のシートが配設されており、複数の電子部品112が、該タック力により仮固定され収容されている。該トレー110の前壁110aには、収容される電子部品の種類に応じた識別マーク116が配設されている。該識別マーク116は、例えばバーコード、マトリクス型2次元コード、数字、記号等により形成される。該識別マーク116を、例えばトレー搬送手段50に配設された検出手段によって読み取ることによりトレー110に収容された電子部品112の種類を判別することができ、該トレー収納ラック40から必要なトレーが選択されてトレー載置テーブル20の所定のテーブル本体に搬送される。上記した識別マーク116は、前壁110aのみならず、後壁110b、側壁110c、側壁110dにも配設することが可能であり、本実施形態では、後壁110bにも該識別マーク116が付与されている。
【0020】
図1に示されているように、トレー収納ラック40には、複数の棚40a~40eが形成され、各棚に電子部品を収容した複数のトレーが収納されている。該複数のトレーは、原則として上記したトレー110と同一の構成とされる。なお、図1では、説明の都合上、複数のトレーに収容された電子部品が上記した電子部品112と同一の形状で示しているが、実際は、トレー毎に異なる種類の電子部品が収容されており、例えば、トレー120には電子部品122が、トレー130には電子部品132が、トレー140には電子部品142が収容され、各トレーには、電子部品の種類に応じた識別マーク(例えばバーコード)が付与されている。該棚40a~40eは背面側も開放されており、電子部品実装装置1が稼働している最中であっても、背面側からトレーの交換、追加が可能である。
【0021】
図1に加え、図3、4を参照しながら、トレー搬送手段50について説明すると共に、トレー搬送手段50を作動して、トレー収納ラック40から所望のトレー110を搬出する態様について説明する。トレー搬送手段50は、第3X軸移動レール51の案内溝51aに沿ってX軸方向に移動する第3移動基台52と、第3移動基台52に配設され図示を省略する駆動手段により昇降可能に配設された昇降ロッド53と、昇降ロッド53に支持され図示を省略する駆動手段により昇降ロッド53を回転軸として回転可能に構成された回転基台54と、回転基台54の案内溝54aに沿って移動可能に構成された搬出基台55と、該搬出基台55に配設され該案内溝54aに沿う方向に延出する一対のロッド56a、56bとが配設されている。一対のロッド56a、56bは、図示を省略する駆動手段により両者の間隔を広げたり狭めたりすることが可能に構成されている。
【0022】
トレー収納ラック40からトレー載置テーブル20にトレーを搬送する際の実施態様についてより具体的に説明する。上記した制御手段によって、トレー収納ラック40に収納されたトレー110をトレー載置テーブル20のテーブル本体T1に搬送する指令が出されたならば、図3(a)に示すように、トレー収納ラック40のトレー110が収納された位置にトレー搬送手段50を移動する。図示の実施形態では、トレー110はトレー収納ラック40の棚40cに収納されており、トレー搬送手段50の回転基台54をトレー110の前に位置付ける。回転基台54の前面54bには、撮像手段57が配設されており(図4も併せて参照)、トレー110に配設された識別マーク116を読み取ることにより、トレー110に収容された電子部品が、所望の電子部品112であるか否かを判別することができる。なお、トレー110をトレー収納ラック40に収納する際に、トレー110の収納位置が制御手段に登録されるが、該識別マーク116を読み取り、収容された電子部品の判別がなされることにより、仮に誤収納があったとしても誤って搬出することが防止される。
【0023】
トレー搬送手段50の回転基台54をトレー110の前に位置付けたならば、図3(a)に示すように、搬出基台55を矢印R1で示す方向に移動して、一対のロッド56a、56bの間にトレー110を位置付けると共に、該一対のロッド56a、56bの間隔を狭めるように矢印R2で示す方向に移動してトレー110を挟持する。なお、該一対のロッド56a、56bの対向面には滑り止めのゴムシートが装着されており、トレー110の落下が防止される。
【0024】
次いで、図3(b)に示すように、一対のロッド56a、56bによってトレー110を挟持した状態で搬出基台55を矢印R3で示す方向に移動して、トレー収納ラック40の棚40cから搬出する。棚40cからトレー110を搬出したならば、図3(c)に示すように、回転基台54を、昇降ロッド53を中心にして矢印R4で示す方向に回転して、トレー110をトレー載置テーブル20側に移動させる。トレー110をトレー載置テーブル20側に移動させたならば、図4に示すように、第3移動基台52を第3X軸移動レール51の案内溝51aに沿って移動して、テーブル本体T1の近傍に位置付けると共に、搬出基台55を案内溝54aに沿って矢印R5で示す方向に移動して、トレー110をテーブル本体T1の上方に位置付ける。なお、テーブル本体T1の上方にトレー110を位置付ける際には、テーブル本体T1を、トレー載置テーブル20の案内溝22aに沿って矢印R6で示す方向に移動してトレー搬送手段50側の搬入位置に位置付けている。
【0025】
テーブル本体T1の上方にトレー110を位置付けたならば、上記した回転基台54を下降して、トレー110をテーブル本体T1に載置する。なお、この際、テーブル本体T1上の複数のピンPが、トレー110の下面側に形成された図示を省略する凹部に挿入されて位置決めされる。テーブル本体T1にトレー110を載置したならば、一対のロッド56a、56bの間隔を広げて一対のロッド56a、56bによるトレー110の挟持を解除し載置が完了する。トレー110の載置が完了したならば、上記と同様の手順により、トレー収納ラック40から、テーブル本体T2に対してトレー120を、テーブル本体T3に対してトレー130を、テーブル本体T4に対してトレー140を搬送して載置する。なお、本発明は、上記したトレー収納ラック40とトレー搬送手段50を備えることに限定されず、トレー収納ラック40とトレー搬送手段50を省略し、作業者によってテーブル本体T1~T4にトレー110~140を搬送して載置するようにしてもよい。
【0026】
トレー110~140を、テーブル本体T1~T4に載置したならば、図5に示すように、テーブル本体T1~T4を移載ヘッド30側の実装位置に移し、配線基板Aを保持した配線基板支持テーブル10を、第1X軸移動レール11に沿って中央に移動させると共に、Y軸移動レール13に沿って矢印R7で示す移載ヘッド30方向の実装位置に移動して、該トレー110~140に収容された電子部品112~142をピックアップして、配線基板Aに対して電子部品を実装する。なお、図5では、説明の都合上、トレー収納ラック40、トレー搬送手段50、及びリールセット60については、図示を省略している。
【0027】
配線基板Aに電子部品を実装するに際し、例えば、トレー120に収容された電子部品122、及びトレー130に収容された電子部品132を配線基板Aに実装する場合について説明する。まず、図6に示すように、移載ヘッド30の第2移動基台32を、第2X軸移動レール31の案内溝31aに沿って移動して、トレー載置テーブル20のテーブル本体T2の前に位置付ける。次いで、移載ヘッド30の搬送アーム33を所定の位置に上昇させると共に昇降ロッド33aを矢印R8で示す方向に回転して、搬送アーム33の吸着部33cの一方の吸着ノズル34を、トレー120の電子部品122上に位置付ける。なお、この際、テーブル本体T2をY軸方向に移動させることにより、該吸着ノズル34とピックアップする電子部品122の位置が平面視で一致させる。
【0028】
該一方の吸着ノズル34を電子部品122上に位置付けたならば、該吸着ノズル34を下降して電子部品122に当接させ、図示を省略する吸引手段を作動して電子部品122を吸着する。該吸着ノズル34によって電子部品122を吸着したならば、搬送アーム33を上昇し、第2移動基台32を第2X軸移動レール31の案内溝31aに沿って移動して、トレー載置テーブル20のテーブル本体T3に載置されたトレー130の前に位置付ける。次いで、上記と同様の手順により搬送アーム33の吸着部33cの他方の吸着ノズル34を、ピックアップする電子部品132上に位置付ける。なお、この際、トレー130の位置は、テーブル本体T3と共にY軸方向に移動して、他方の吸着ノズル34と電子部品132が平面視で一致するように移動させられる。該他方の吸着ノズル34を電子部品132上に位置付けたならば、該他方の吸着ノズル34を下降して電子部品132に当接させ、図示を省略する吸引手段を作動して電子部品132を吸着してピックアップする。なお、各電子部品122、132は、トレー120、130の底壁に配設されたタック力を有するシートにより仮固定されているが、上記した吸着ノズル34、34により吸着されピックアップされる際には、容易に脱離する程度のタック力で固定されており、上記したピックアップの妨げになることはない。
【0029】
移載ヘッド30の吸着ノズル34、34に電子部品122、132を吸着しピックアップしたならば、移載ヘッド30の搬送アーム33を上昇させると共に、図7に示すように、矢印R9で示す方向で回転して、一方の吸着ノズル34に吸着した電子部品122を、配線基板Aの所定の実装位置上に位置付け、一方の吸着ノズル34を下降して、該所定の実装位置に実装する。次いで、他方の吸着ノズル34に吸引された電子部品132を所定の実装位置上に位置付け、該他方の吸着ノズル34を下降して、該所定の実装位置に実装する。
【0030】
トレー110に収容された電子部品112、トレー140に収容された電子部品142等も上記と同様の手順により、配線基板A上の所定の実装位置に実装される。また、他のトレーに収容された別の種類の電子部品を実装する必要がある場合には、上記したトレー搬送手段50を作動して、トレー載置テーブル20のテーブル本体から、不要なトレーをトレー収納ラック40の所定の位置に搬送し、所望のトレーをトレー載置テーブル20の所定のテーブル本体に搬送し、上記した移載ヘッド30を作動して、該トレーから電子部品を配線基板Aに実装する。
【0031】
上記した実施形態によれば、電子部品を収容したトレーからピックアップして配線基板Aに実装するようにしているため、トレーの交換、トレーの追加によって、実装する電子部品の変更が容易に実現され、従来のように、比較的面倒なリールセットの交換が不要となることで、装置の稼働を停止する必要がなくなり、生産性が向上する。また、電子部品の小型化が進んでも、トレー上に密に電子部品を収容でき、電子部品の小型化に柔軟に対応できる。特に、上記したように、タック力を有するシートによって電子部品を仮固定する構成によれば、仕切りを設ける必要がなく小さい電子部品を多数収容すること可能になり、電子部品を配線基板に実装する際の柔軟性が向上する。
【0032】
なお、本発明は、図1図8に示すように、上記した構成に加えて、複数の電子部品が収納されたリールセット60を移載ヘッド30に隣接して配設し、必要に応じて移載ヘッド30がリールセット60から必要な電子部品をピックアップし、上記した配線基板Aに実装する構成を備えていてもよい。
【0033】
図示のリールセット60には、複数のテープフィーダ71~74が配設されている。各テープフィーダは、複数の電子部品が表面に貼着されカバーテープにより覆われて収納された電子部品収納テープと、該電子部品収納テープをガイドするガイド部材と、電子部品収納テープが巻回された供給リールと、剥離された後のカバーテープを巻き取る巻取りリールとを備えている(いずれも図示は省略する)。
【0034】
上記したリールセット60の、例えばテープフィーダ72から電子部品をピックアップして配線基板Aに実装する際には、図8に示すように、移載ヘッド30を第2X軸移動レール31の案内溝31aに沿って移動してリールセット60側に位置付け、搬送アーム33を回転して、リールセット60のピックアップ領域62に吸着部33cを位置付ける。このとき、テープフィーダ72の供給リールから導出された電子部品収納テープがピッチ送りされ、途中、該電子部品収納テープを覆うカバーテープが剥離され、電子部品収納テープに貼着された電子部品をピックアップ領域62に位置付ける。次いで、吸着部33cの吸着ノズル34によって電子部品収納テープ上の電子部品を吸着してピックアップし、図7に基づき説明したように、移載ヘッド30を配線基板Aの近傍に移動して、配線基板Aの所定の実装位置に実装する。
【0035】
上記したリールセット60を配設する実施形態によれば、リールセット60から電子部品をピックアップして配線基板Aに実装する間に、トレー載置テーブル20のテーブル本体に載置されたトレーを交換することができ、電子部品実装装置1の稼働を停止することが回避される。また、リールセット60を構成するいずれかのテープフィーダが空になって交換が必要になった場合であっても、テープフィーダの交換を実施している間に、トレー載置テーブル20のテーブル本体T1~T4に載置されたトレーから電子部品をピックアップして実装を継続することが可能であり、電子部品実装装置1の稼働を停止することが回避され、又は停止する時間が短縮される。
【0036】
なお、上記した実施形態では、トレー載置テーブル20のテーブル本体の数を4つとしたが、本発明はこれに限定されず、もっと多くのテーブル本体を配設してもよい。また、上記した実施形態におけるトレー載置テーブル20では、複数のテーブル本体T1~T4を、X軸方向に直列に配置したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図示のトレー載置テーブル20を、回転可能な円形のターンテーブルとし、該ターンテーブルの外周領域に上記した複数のテーブル本体を載置して保持するようにして、該ターンテーブルを回転制御することにより、所望の電子部品が収容されたトレーを順次移載ヘッド30側に位置付けるようにしてもよい。
【0037】
また、上記した実施形態では、トレー載置テーブル20に対向する位置に、独立したトレー収納ラック40を配設して、複数のトレーを収納したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記したトレー収納ラック40に替えてトレー載置テーブル20にトレー収納ラックを形成して複数のトレーを収納するようにして、テーブル基台21に形成した該トレー収納ラックからトレーを搬出して、テーブル基台21上のテーブル本体T1~T4に搬送するようにしてもよい。その際には、例えばテーブル本体T1~T4の上方にトレー収納ラックを形成したり、テーブル基台21の内部にトレー収納ラックを形成したりすればよい。
【符号の説明】
【0038】
1:電子部品実装装置
10:配線基板支持テーブル
11:第1X軸移動レール
12:第1移動基台
13:第1Y軸移動レール
13a:案内溝
20:トレー載置テーブル
21:テーブル基台
22:上面
22a~22d:案内溝
30:移載ヘッド
31:第2X軸移動レール
32:第2移動基台
33:搬送アーム
33a:昇降ロッド
33b:水平アーム
33c:吸着部
34:吸着ノズル
40:トレー収納ラック
40a~40e:棚
50:トレー搬送手段
51:第3X軸移動レール
52:第3移動基台
53:昇降ロッド
54:回転基台
54a:案内溝
54b:前面
55:搬出基台
56a、56b:ロッド
57:撮像手段
60:リールセット
62:ピックアップ領域
71~74:テープフィーダ
110:トレー
110a:前壁
110b:後壁
110c、110d:側壁
112:電子部品
114:底壁
116:識別マーク
120、130、140:トレー
122、132、142:電子部品
T1~T4:テーブル本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8