(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100508
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240719BHJP
【FI】
H01L21/304 651Z
H01L21/304 648G
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004554
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】梅▲崎▼ 翔太
(72)【発明者】
【氏名】林田 貴大
(72)【発明者】
【氏名】中島 幹雄
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA09
5F157AB02
5F157AB13
5F157AB33
5F157AC03
5F157AC15
5F157CB14
5F157CB26
5F157CE25
5F157CF14
5F157CF34
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF74
5F157CF92
5F157CF99
5F157DA21
5F157DB32
(57)【要約】
【課題】基板のパターン倒壊を抑制できる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による基板処理装置は、液体が付着した基板を、超臨界状態の処理流体を用いて乾燥させる基板処理装置であって、前記基板を内部に収容する処理容器と、前記処理容器内の保持位置において前記基板を水平姿勢で保持する保持部と、前記処理容器内に前記処理流体を供給する流体供給部と、を有し、前記流体供給部は、前記処理容器内を昇圧する途中で、前記保持部に保持された前記基板の径方向外側から供給される前記処理流体の流れを変更するよう構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が付着した基板を、超臨界状態の処理流体を用いて乾燥させる基板処理装置であって、
前記基板を内部に収容する処理容器と、
前記処理容器内の保持位置において前記基板を水平姿勢で保持する保持部と、
前記処理容器内に前記処理流体を供給する流体供給部と、
を有し、
前記流体供給部は、前記処理容器内を昇圧する途中で、前記保持部に保持された前記基板の径方向外側から供給される前記処理流体の流れを変更するよう構成される、
基板処理装置。
【請求項2】
前記流体供給部は、前記処理容器内の前記処理流体の密度変化により前記処理流体の流れを変更する変更部材を有する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記変更部材は、前記処理容器内の前記処理流体の密度変化により回転する、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記変更部材は、前記処理容器内の前記処理流体の密度変化により昇降する、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記流体供給部は、前記処理容器内の圧力変化により前記処理流体の流れを変更する変更部材を有する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記変更部材は、前記処理容器内の圧力変化により回転する、
請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記変更部材は、前記処理容器内の圧力変化により昇降する、
請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記流体供給部は、前記処理容器内の前記処理流体の温度変化により前記処理流体の流れを変更する変更部材を有する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記変更部材は、前記処理容器内の前記処理流体の温度変化により伸縮する、
請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記流体供給部は、前記処理容器内の前記処理流体の密度変化により前記保持部を昇降させることで前記保持部に対する前記処理流体の流れを変更する変更部材を有する、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記流体供給部は、前記処理容器内の圧力変化により前記保持部を昇降させることで前記保持部に対する前記処理流体の流れを変更する変更部材を有する、
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項12】
液体が付着した基板を、超臨界状態の処理流体を用いて乾燥させる基板処理装置を用いた基板処理方法であって、
前記基板処理装置は、
前記基板を内部に収容する処理容器と、
前記処理容器内の保持位置において前記基板を水平姿勢で保持する保持部と、
前記処理容器内に前記処理流体を供給する流体供給部と、
を有し、
前記流体供給部が、前記処理容器内を昇圧する途中で、前記保持部に保持された前記基板の径方向外側から供給される前記処理流体の流れを変更することを有する、
基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面に集積回路の積層構造を形成する半導体装置の製造工程においては、薬液洗浄、ウエットエッチング等の液処理が行われる。液処理において基板の表面に付着した液体等は、例えば超臨界状態の処理流体を用いた乾燥方法により除去される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板のパターン倒壊を抑制できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板処理装置は、液体が付着した基板を、超臨界状態の処理流体を用いて乾燥させる基板処理装置であって、前記基板を内部に収容する処理容器と、前記処理容器内の保持位置において前記基板を水平姿勢で保持する保持部と、前記処理容器内に前記処理流体を供給する流体供給部と、を有し、前記流体供給部は、前記処理容器内を昇圧する途中で、前記保持部に保持された前記基板の径方向外側から供給される前記処理流体の流れを変更するよう構成される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板のパターン倒壊を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る基板処理装置を示す概略図である。
【
図2】
図2は、処理部の一例を示す水平断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、各工程における圧力変化を示す図である。
【
図5】
図5は、第1例に係る変更部材を示す図である。
【
図6】
図6は、第1例に係る変更部材を示す図である。
【
図7】
図7は、第2例に係る変更部材を示す図である。
【
図8】
図8は、第2例に係る変更部材を示す図である。
【
図9】
図9は、第3例に係る変更部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。本明細書において、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向及びY軸方向は水平方向、Z軸方向は鉛直方向である。
【0009】
〔基板処理装置〕
図1を参照し、実施形態に係る基板処理装置1について説明する。
図1は、実施形態に係る基板処理装置1を示す概略図である。
【0010】
基板処理装置1は、超臨界状態の処理流体を用いて基板Wに付着した液体を乾燥させる装置である。基板処理装置1は、処理部2と、流体供給システム3と、排出部4と、制御部5とを有する。
【0011】
処理部2は、処理容器110と、保持部120とを有する。処理容器110は、基板Wを収容可能な処理空間が内部に形成された容器である。基板Wは、例えば半導体ウエハであってよい。保持部120は、処理容器110内に設けられる。保持部120は、処理容器110内の保持位置において基板Wを水平姿勢で保持する。処理部2は、処理容器110内の圧力を検出する圧力センサと、処理容器110内の温度を検出する温度センサとを有してもよい。処理部2の詳細については後述する。
【0012】
流体供給システム3は、供給流路L11を有する。供給流路L11は、処理容器110に接続される。供給流路L11は、処理容器110内に流体を供給する。供給流路L11には、流体供給源S11、開閉弁V11、加熱機構HE11、開閉弁V12及びフィルタF11が、上流から順に設けられる。供給流路L11には、図示しないオリフィス、開閉弁、温度センサ、圧力センサ、ラインヒータ等が設けられてもよい。
【0013】
流体供給源S11は、流体の供給源を含む。流体は、例えば処理流体を含む。処理流体は、例えば二酸化炭素(CO2)であってよい。流体は、不活性ガスを含んでもよい。不活性ガスは、例えば窒素(N2)ガスであってよい。
【0014】
開閉弁V11は、流体の流れのオン及びオフを切り換えるバルブである。開閉弁V11は、開状態では下流の加熱機構HE11に流体を流し、閉状態では下流の加熱機構HE11に流体を流さない。
【0015】
加熱機構HE11は、流体を設定温度に加熱し、設定温度の流体を下流に供給する。
【0016】
開閉弁V12は、流体の流れのオン及びオフを切り換えるバルブである。開閉弁V12は、開状態では下流のフィルタF11に流体を流し、閉状態では下流のフィルタF11に流体を流さない。
【0017】
フィルタF11は、供給流路L11を流れる流体を濾過し、流体に含まれる異物を取り除く。これにより、流体を用いた基板処理の際に、基板Wの表面にパーティクルが発生することを抑制できる。
【0018】
排出部4は、排出流路L12を有する。排出流路L12は、処理容器110に接続される。排出流路L12は、処理容器110内から流体を排出する。排出流路L12には、流量計FM11、背圧弁BV11及び開閉弁V13が、上流から順に設けられる。排出流路L12には、図示しない開閉弁、温度センサ、圧力センサ、ラインヒータ等が設けられてもよい。
【0019】
流量計FM11は、排出流路L12を流れる流体の流量を検出する。
【0020】
背圧弁BV11は、排出流路L12の一次側圧力が設定圧力を超えた場合には弁開度を調整して二次側に流体を流すことにより、一次側圧力を設定圧力に維持する。例えば、背圧弁BV11の設定圧力は、制御部5により流量計FM11の出力に基づいて調整される。
【0021】
開閉弁V13は、流体の流れのオン及びオフを切り換えるバルブである。開閉弁V13は、開状態では下流の排出流路L12に流体を流し、閉状態では下流の排出流路L12に流体を流さない。
【0022】
制御部5は、各種のセンサから計測信号を受信し、各種の機能要素に制御信号を送信する。計測信号は、例えば温度センサの検出信号、圧力センサの検出信号、流量計FM11の検出信号を含む。制御信号は、例えば開閉弁V11、V12、V13の開閉信号、背圧弁BV11の設定圧力信号を含む。
【0023】
制御部5は、例えばコンピュータであってよい。制御部5は、演算部5aと記憶部5bとを備える。記憶部5bには、基板処理装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。演算部5aは、記憶部5bに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板処理装置1の動作を制御する。プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されたものであって、記憶媒体から制御部5の記憶部5bにインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、ハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカード等がある。
【0024】
〔処理部〕
図2を参照し、処理部2の一例について説明する。
図2は、処理部2の一例を示す水平断面図である。
【0025】
処理部2は、処理容器110と、保持部120と、流体供給部130と、蓋体140とを有する。
【0026】
処理容器110は、基板Wを収容可能な処理空間S1を内部に形成する。処理空間S1は、処理容器110により外側から覆われて区画される。処理空間S1のY軸方向の両端は、処理容器110に覆われることなく開口する。処理空間S1の両端の開口は、相互に対向する。処理空間S1の両端の開口は、保持位置に保持された基板Wを挟むように位置する。
【0027】
保持部120は、処理容器110内に設けられる。保持部120は、処理容器110内の保持位置において基板Wを水平姿勢で保持する。
【0028】
流体供給部130は、供給本体131と、変更部材132とを有する。
【0029】
供給本体131は、処理空間S1のY軸方向正側の開口を覆う。供給本体131は、例えばステンレス鋼により形成される。供給本体131と処理容器110との間には、図示しない封止部材が設けられる。封止部材は、流体供給部130と処理容器110との間における処理空間S1の気密性を確保する。供給本体131には、凹部131aと、内部流路131bと、複数の吐出口131cとが設けられる。
【0030】
凹部131aは、供給本体131の処理空間S1側に設けられる。凹部131aは、処理空間S1と連通する供給空間S2を形成する。
【0031】
内部流路131bは、供給本体131内に設けられる。内部流路131bは、X軸方向に沿って延びる。内部流路131bの両端の開口には、それぞれ供給流路L11から分岐された第1分岐流路L11a及び第2分岐流路L11bが接続される。内部流路131bには、第1分岐流路L11a及び第2分岐流路L11bから処理流体Fが供給される。
【0032】
複数の吐出口131cは、内部流路131bに沿ってX軸方向に並んで設けられる。各吐出口131cは、内部流路131bと供給空間S2とを連通させる。各吐出口131cは、保持位置に保持された基板Wの径方向外側に設けられる。各吐出口131cは、供給空間S2に向けて処理流体Fを吐出する。複数の吐出口131cは、X軸方向において、保持位置に保持された基板Wの全範囲にわたって分散して配置されてよい。複数の吐出口131cは、Z軸方向に多段に設けられてもよい。
【0033】
変更部材132は、例えば供給空間S2に設けられる。変更部材132は、処理空間S1に設けられてもよい。変更部材132は、処理空間S1と供給空間S2とにわたって設けられてもよい。変更部材132は、例えば保持位置に保持された基板Wと複数の吐出口131cとの間に設けられる。変更部材132は、供給本体131に着脱自在に取り付けられてよい。この場合、変更部材132の交換が容易である。変更部材132は、処理容器110内を昇圧する途中で、保持部120に保持された基板Wの径方向外側から供給される処理流体の流れを変更するよう構成される。変更部材132の詳細については後述する。
【0034】
蓋体140は、処理空間S1のY軸方向負側の開口を覆う。蓋体140と処理容器110との間には、図示しない封止部材が設けられる。封止部材は、蓋体140と処理容器110との間における処理空間S1の気密性を確保する。蓋体140と処理容器110との間のZ軸方向負側には、排出口140aが設けられる。排出口140aは、排出流路L12に接続される。処理空間S1内の処理流体Fは、排出口140aを介して排出される。
【0035】
〔基板処理方法〕
図3及び
図4を参照し、基板処理装置1を用いて実行される基板処理方法について説明する。以下に示される基板処理方法は、記憶部5bに記憶された処理レシピ及び制御プログラムに基づいて、制御部5の制御の下で、自動的に実行される。
図3は、実施形態に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図4は、各工程における圧力変化を示す図である。
図4において、横軸は時間を示し、縦軸は処理容器110内の圧力を示す。
【0036】
図3に示されるように、実施形態に係る基板処理方法は、準備工程ST1と、昇圧工程ST2と、流通工程ST3と、減圧工程ST4とを有する。
【0037】
準備工程ST1では、処理容器110内に基板Wが搬入される。基板Wは、洗浄処理が施され、表面のパターンの凹部内にイソプロピルアルコール(IPA)が充填された状態で、保持部120の上に載置される。
【0038】
昇圧工程ST2は、準備工程ST1の後に行われる。昇圧工程ST2では、開閉弁V11、V12が開状態とされ、開閉弁V13が閉状態とされる。これにより、流体供給源S11の処理流体は、供給流路L11を経由して流体供給部130の複数の吐出口131cから処理容器110内に向けて吐出される。昇圧工程ST2では、開閉弁V13が閉状態であるため、処理容器110内から処理流体は流出しない。このため、
図4に示されるように、処理容器110内の圧力は徐々に上昇する。昇圧工程ST2では、処理容器110内に供給される処理流体の圧力が臨界圧力よりも低い。このため、処理流体は気体状態で処理容器110内に供給される。その後、処理容器110内への処理流体の充填の進行と共に処理容器110内の圧力は増加し、処理容器110内の圧力が臨界圧力を超えると、処理容器110内に存在する処理流体は超臨界状態となる。
【0039】
昇圧工程ST2では、処理容器110内を昇圧する途中で、変更部材132が、保持部120に保持された基板Wの径方向外側から供給される処理流体の流れを変更する。例えば、変更部材132は、処理容器110内の圧力が臨界圧力に達した時点において、処理流体の流れを基板Wの下方に向かう第1方向から基板Wの上方に向かう第2方向に変更してもよい。この場合、変更部材132は、処理容器110内の圧力が大気圧から臨界圧力までの範囲において処理流体の流れを第1方向に維持し、処理容器110内の圧力が臨界圧力から処理圧力までの範囲において処理流体の流れを第2方向に維持する。
【0040】
処理容器110内の圧力が臨界圧力よりも高い所定の圧力に達すると、昇圧工程ST2を終了し、流通工程ST3に移行する。
【0041】
流通工程ST3は、昇圧工程ST2の後に行われる。流通工程ST3では、開閉弁V11、V12、V13が開状態とされる。これにより、流体供給源S11の処理流体は、供給流路L11を経由して流体供給部130の複数の吐出口131cから処理容器110内に向けて吐出される。処理容器110内に供給された処理流体は、排出流路L12を経由して処理容器110内から排出される。流通工程ST3では、処理容器110内への処理流体の供給と処理容器110内からの処理流体の排出とが同時に行われる。このため、
図4に示されるように、処理容器110内の圧力は一定又は略一定に維持される。
【0042】
流通工程ST3では、変更部材132は、例えば処理流体の流れを第2方向に維持する。流通工程ST3を行うことにより、基板Wのパターンの凹部内においてIPAから処理流体への置換が促進される。
【0043】
パターンの凹部内においてIPAから処理流体への置換が完了すると、流通工程ST3を終了し、減圧工程ST4に移行する。
【0044】
減圧工程ST4は、流通工程ST3の後に行われる。減圧工程ST4では、開閉弁V13が開状態とされ、開閉弁V11、V12が閉状態とされる。これにより、処理容器110内に処理流体が供給されることなく、処理容器110内から処理流体が排出される。このため、
図4に示されるように、処理容器110内の圧力は徐々に低下する。減圧工程ST4により処理容器110内の圧力が処理流体の臨界圧力よりも低くなると、超臨界状態の処理流体は気化し、パターンの凹部内から離脱する。これにより、1枚の基板Wに対する乾燥処理が終了する。
【0045】
実施形態によれば、昇圧工程ST2において、処理容器110内を昇圧する途中で、変更部材132が、保持位置に保持された基板Wの径方向外側から処理容器110内に向けて供給される処理流体の流れを第1方向から第2方向に変更する。このため、基板Wのパターン倒壊を抑制できる。この点について以下に述べる。
【0046】
少なくとも昇圧工程ST2の初期には、処理容器110内の圧力が低いので、超臨界状態ではなく気体状態の処理流体が処理容器110内に供給される。基板Wの表面に付着した液膜が気体状態の処理流体の流れに晒されると、液膜が蒸発し、気体と液体の界面が基板表面の凹凸パターンに現れ、表面張力によって凹凸パターンの倒壊が生じうる。昇圧工程ST2の初期において、比較的高流速の処理流体の流れが基板Wの径方向外端W1上の液膜に直接衝突すると、基板Wの径方向外端W1上の液膜の蒸発が生じやすい。
【0047】
これに対し、実施形態では、昇圧工程ST2の初期において処理流体の流れが基板Wの径方向外端W1上の液膜に直接衝突しないように処理流体の流れを調整し、昇圧工程ST2の途中で処理流体の流れを変更する。このため、昇圧工程ST2の初期では、昇圧工程ST2の後期よりも、基板Wの径方向外端W1上の液膜に直接向かう処理流体の流れが少ない。このため、処理容器110内に気体状態の処理流体を供給したことに起因する基板Wの径方向外端W1上の液膜の蒸発が抑制される。
【0048】
昇圧工程ST2の後期と流通工程ST3では、昇圧工程ST2の初期とは異なり、基板W上の液膜を超臨界流体に置換すべく、超臨界流体の流れを液膜の上に形成する。その目的で、処理流体の流れが基板Wの径方向外端W1上の液膜に直接衝突してもよい。超臨界流体は、臨界温度以上の温度と、臨界圧力以上の圧力下におかれた流体であり、液体と気体の区別がつかない状態の流体である。超臨界流体の流れによって液膜が蒸発しても、気体と液体の界面が凹凸パターンに現れることはなく、表面張力による凹凸パターンの倒壊が生じない。
【0049】
実施形態によれば、昇圧工程ST2と流通工程ST3とにおいて、共通の流体供給部130から処理容器110内に向けて処理流体を供給する。このため、昇圧工程ST2と流通工程ST3とにおいて異なる流体供給部から処理容器110内に向けて処理流体を供給する場合と比べて、処理部2の構造が複雑化しにくい。
【0050】
〔変更部材〕
(第1例)
図5及び
図6を参照し、第1例に係る変更部材210について説明する。変更部材210は、前述した変更部材132として適用可能である。
図5及び
図6は、第1例に係る変更部材210を示す図である。
図5及び
図6は、
図2におけるA-A線矢視断面図である。
図5及び
図6では、保持部120の図示を省略する。
【0051】
変更部材210は、供給空間S2に設けられる。変更部材210は、本体211と、フロート212とを有する。
【0052】
本体211は、X軸方向に沿って延びる。本体211は、X軸方向に沿って延びる支点211c回りに回転可能である。本体211には、処理流体が通流可能な複数の穴211hが設けられる。複数の穴211hは、X軸方向に沿って並んで設けられる。本体211は、支点211c回りに回転することで、複数の穴211hを通過する処理流体の流れを変更する。
【0053】
フロート212は、本体211に取り付けられる。フロート212は、支点211cよりもY軸方向負側に取り付けられる。フロート212は、処理容器110内の処理流体の密度変化により昇降し、本体211を支点211c回りに回転させる。フロート212は、処理容器110内の処理流体の密度が所定の密度よりも小さい場合に下降する。フロート212は、処理容器110内の処理流体の密度が所定の密度以上の場合に上昇する。所定の密度は、処理流体が気体状態から超臨界状態となるときの密度であってよい。
【0054】
図5に示されるように、フロート212が下降すると、本体211が支点211cを回転軸として右回りに回転する。このため、
図5中の矢印で示されるように、複数の穴211hを通過した処理流体の流れが、基板Wの下方に向かう流れとなる。
【0055】
図6に示されるように、フロート212が上昇すると、本体211が支点211cを回転軸として左回りに回転する。このため、
図6中の矢印で示されるように、複数の穴211hを通過した処理流体の流れが、基板Wの上方に向かう流れとなる。
【0056】
変更部材210によれば、処理容器110内の処理流体の密度変化により本体211が回転することで、処理流体の流れが変更される。例えば、処理容器110内に気体状態の処理流体が供給されると、フロート212が下降して本体211が支点211cを回転軸として右回りに回転し、複数の穴211hを通過した処理流体の流れが、基板Wの下方に向かう流れとなる。すなわち、気体状態の処理流体の流れが基板Wの径方向外端上の液膜に直接衝突しないように調整される。このため、基板Wの径方向外端上の液膜LFの蒸発が抑制される。その結果、基板Wのパターン倒壊を抑制できる。
【0057】
(第2例)
図7及び
図8を参照し、第2例に係る変更部材220について説明する。変更部材220は、前述した変更部材132として適用可能である。
図7及び
図8は、第2例に係る変更部材220を示す図である。
図7及び
図8は、
図2におけるA-A線矢視断面図である。
図7及び
図8では、保持部120の図示を省略する。
【0058】
変更部材220は、処理空間S1と供給空間S2とにわたって設けられる。変更部材220は、本体221と、シリンダ222とを有する。
【0059】
本体221は、X軸方向に沿って延びる。本体221は、X軸方向に沿って延びる支点221c回りに回転可能である。本体221には、処理流体が通流可能な複数の穴221hが設けられる。複数の穴221hは、X軸方向に沿って並んで設けられる。本体221は、支点221c回りに回転することで、複数の穴221hを通過する処理流体の流れを変更する。
【0060】
シリンダ222は、本体221に取り付けられる。シリンダ222は、処理容器110内の圧力変化によりロッドが伸縮し、本体221を支点221c回りに回転させる。シリンダ222は、処理容器110内の圧力が所定の圧力よりも小さい場合にロッドが伸張する。シリンダ222は、処理容器110内の圧力が所定の圧力以上の場合にロッドが収縮する。所定の圧力は、処理流体の臨界圧力であってよい。
【0061】
図7に示されるように、シリンダ222のロッドが伸長すると、本体221が支点221cを回転軸として右回りに回転する。このため、
図7中の矢印で示されるように、複数の穴221hを通過した処理流体の流れが、基板Wの下方に向かう流れとなる。
【0062】
図8に示されるように、シリンダ222のロッドが収縮すると、本体221が支点221cを回転軸として左回りに回転する。このため、
図8中の矢印で示されるように、複数の穴221hを通過した処理流体の流れが、基板Wの上方に向かう流れとなる。
【0063】
変更部材220によれば、処理容器110内の圧力変化により本体221が回転することで、処理流体の流れが変更される。例えば、処理容器110内に気体状態の処理流体が供給されると、シリンダ222のロッドが伸長して本体221が支点221cを回転軸として右回りに回転し、複数の穴211hを通過した処理流体の流れが基板Wの下方に向かう流れとなる。すなわち、気体状態の処理流体の流れが基板Wの径方向外端上の液膜に直接衝突しないように調整される。このため、基板Wの径方向外端上の液膜LFの蒸発が抑制される。その結果、基板Wのパターン倒壊を抑制できる。
【0064】
(第3例)
図9及び
図10を参照し、第3例に係る変更部材230について説明する。変更部材230は、前述した変更部材132として適用可能である。
図9及び
図10は、第3例に係る変更部材230を示す図である。
図9及び
図10は、
図2におけるA-A線矢視断面図である。
図9及び
図10では、保持部120の図示を省略する。
【0065】
変更部材230は、処理空間S1に設けられる。変更部材230は、本体231と、フロート232とを有する。
【0066】
本体231は、X軸方向及びZ軸方向に沿って延びる平板状を有する板状部材である。本体231は、処理流体の流れを遮断する。本体231は、下降位置と上昇位置との間で昇降する。下降位置は、基板Wの上方に向かう処理流体の流れを遮断する位置であってよい。上昇位置は、下降位置よりも上方の位置である。上昇位置は、基板Wの上方に向かう処理流体の流れを遮断しない位置であってよい。
【0067】
フロート232は、本体231の下端に取り付けられる。フロート232は、処理容器110内の処理流体の密度変化により昇降し、本体231を下降位置と上昇位置との間で昇降させる。フロート232は、処理容器110内の処理流体の密度が所定の密度よりも小さい場合に下降する。フロート232は、処理容器110内の処理流体の密度が所定の密度以上の場合に上昇する。所定の密度は、処理流体が気体状態から超臨界状態となるときの密度であってよい。
【0068】
図9に示されるように、フロート232が下降すると、本体231が下降位置まで下降する。この場合、基板Wの上方に向かう処理流体の流れが本体231により遮断される。このため、
図9中の矢印で示されるように、処理流体の流れが、基板Wの下方に向かう流れとなる。
【0069】
図10に示されるように、フロート232が上昇すると、本体231が上昇位置まで上昇する。この場合、基板Wの上方に向かう処理流体の流れが本体231により遮断されない。このため、
図10中の矢印で示されるように、処理流体の流れは、基板Wの上方に向かう流れと、基板Wの下方に向かう流れとを含む。
【0070】
変更部材230によれば、処理容器110内の処理流体の密度変化により本体231が昇降することで、処理流体の流れが変更される。例えば、処理容器110内に気体状態の処理流体が供給されると、フロート232が下降して本体231が下降位置まで下降する。これにより、基板Wの上方に向かう処理流体の流れが本体231により遮断される。すなわち、気体状態の処理流体の流れが基板Wの径方向外端上の液膜に直接衝突しないように調整される。このため、基板Wの径方向外端上の液膜LFの蒸発が抑制される。その結果、基板Wのパターン倒壊を抑制できる。
【0071】
(第4例)
図11及び
図12を参照し、第4例に係る変更部材240について説明する。変更部材240は、前述した変更部材132として適用可能である。
図11及び
図12は、第4例に係る変更部材240を示す図である。
図11及び
図12は、
図2におけるA-A線矢視断面図である。
図11及び
図12では、保持部120の図示を省略する。
【0072】
変更部材240は、処理空間S1に設けられる。変更部材240は、本体241と、シリンダ242とを有する。
【0073】
本体241は、X軸方向及びZ軸方向に沿って延びる平板状を有する板状部材である。本体241は、処理流体の流れを遮断する。本体241は、下降位置と上昇位置との間で昇降する。下降位置は、基板Wの上方に向かう処理流体の流れを遮断する位置であってよい。上昇位置は、下降位置よりも上方の位置である。上昇位置は、基板Wの上方に向かう処理流体の流れを遮断しない位置であってよい。
【0074】
シリンダ242は、本体241に取り付けられる。シリンダ242は、処理容器110内の圧力変化によりロッドが伸縮し、本体241を上昇位置と下降位置との間で昇降させる。シリンダ242は、処理容器110内の圧力が所定の圧力よりも小さい場合にロッドが伸張する。シリンダ242は、処理容器110内の圧力が所定の圧力以上の場合にロッドが収縮する。所定の圧力は、処理流体の臨界圧力であってよい。
【0075】
図11に示されるように、シリンダ242のロッドが伸長すると、本体241が下降位置まで下降する。この場合、基板Wの上方に向かう処理流体の流れが本体241により遮断される。このため、
図11中の矢印で示されるように、処理流体の流れが、基板Wの下方に向かう流れとなる。
【0076】
図12に示されるように、シリンダ242のロッドが収縮すると、本体241が上昇位置まで上昇する。この場合、基板Wの上方に向かう処理流体の流れが本体241により遮断されない。このため、
図12中の矢印で示されるように、処理流体の流れは、基板Wの上方に向かう流れと、基板Wの下方に向かう流れとを含む。
【0077】
変更部材240によれば、処理容器110内の圧力変化により本体241が昇降することで、処理流体の流れが変更される。例えば、処理容器110内に気体状態の処理流体が供給されると、シリンダ242のロッドが伸長して本体241が下降位置まで下降する。これにより、基板Wの上方に向かう処理流体の流れが本体241により遮断される。すなわち、気体状態の処理流体の流れが基板Wの径方向外端上の液膜に直接衝突しないように調整される。このため、基板Wの径方向外端上の液膜LFの蒸発が抑制される。その結果、基板Wのパターン倒壊を抑制できる。
【0078】
(第5例)
図13から
図15を参照し、第5例に係る変更部材250について説明する。変更部材250は、前述した変更部材132として適用可能である。
図13から
図15は、第5例に係る変更部材250を示す図である。
図13(a)、
図14(a)及び
図15は、
図2におけるA-A線矢視断面図である。
図13(b)は、
図13(a)におけるB-B線矢視断面図である。
図14(b)は、
図14(a)におけるC-C線矢視断面図である。
図13から
図15では、保持部120の図示を省略する。
【0079】
変更部材250は、供給空間S2に設けられる。変更部材250は、固定部251、252と、樹脂プレート253、254とを有する。
【0080】
固定部251は、X軸方向負側に設けられる。固定部251は、Y軸方向に沿って延在する。固定部251は、Y軸方向負側の端部及びY軸方向正側の端部が供給本体131に固定されてよい。
【0081】
固定部252は、X軸方向正側に設けられる。固定部252は、固定部251から離隔して設けられる。固定部252は、Y軸方向に沿って延在する。固定部252は、固定部251と平行に設けられる。固定部252は、Y軸方向負側の端部及びY軸方向正側の端部が供給本体131に固定されてよい。
【0082】
樹脂プレート253、254は、X軸方向及びY軸方向に延びる平板状を有する板状部材である。樹脂プレート253、254は、X軸方向負側の端部が固定部251に固定され、X軸方向正側の端部が固定部252に固定される。樹脂プレート254は、樹脂プレート253の下方に設けられる。樹脂プレート253、254は、処理容器110内の処理流体の温度変化により伸縮する樹脂材料により形成される。樹脂プレート253、254は、供給本体131よりも線膨張係数が大きい材料により形成されてよい。
【0083】
図13(a)及び
図13(b)に示されるように、第1温度において、樹脂プレート253、254は、互いに密着し、密着面が基板Wと同じ高さ位置となる。これにより、
図13(a)中の矢印で示されるように、基板Wの径方向外端上の液膜に直接衝突する処理流体の流れが樹脂プレート253、254により遮断される。第1温度は、60℃であってよい。
【0084】
図14(a)及び
図14(b)に示されるように、第2温度において、樹脂プレート253、254は各々が伸張して撓むことで互いに離隔し、基板Wと同じ高さ位置に隙間G1を形成する。これにより、
図14(a)中の矢印で示されるように、基板Wの径方向外端上の液膜に直接衝突する処理流体の流れが樹脂プレート253、254により遮断されない。第2温度は、第1温度よりも高い温度である。第2温度は、120℃であってよい。
【0085】
変更部材250によれば、処理容器110内の処理流体の温度変化により樹脂プレート253、254が変形することで、処理流体の流れが変更される。例えば、処理容器110内に気体状態の処理流体が第1温度で供給されると、樹脂プレート253、254が互いに密着する。これにより、基板Wの径方向外端上の液膜に直接衝突する処理流体の流れが樹脂プレート253、254により遮断される。すなわち、気体状態の処理流体の流れが基板Wの径方向外端上の液膜に直接衝突しないように調整される。その結果、基板Wのパターン倒壊を抑制できる。
【0086】
なお、
図15に示されるように、第1温度よりも高くかつ第2温度よりも低い第3温度において、樹脂プレート253、254は、第2温度における樹脂プレート253、254により形成される隙間G1よりも狭い隙間G2を形成するよう構成されてもよい。
【0087】
(第6例)
図16及び
図17を参照し、第6例に係る変更部材260について説明する。変更部材260は、前述した変更部材132として適用可能である。
図16及び
図17は、第6例に係る変更部材260を示す図である。
図16及び
図17は、
図2におけるA-A線矢視断面図である。
【0088】
変更部材260は、処理空間S1及び供給空間S2にわたって設けられる。変更部材260は、ノズル261と、ベース262と、昇降部材263と、接続部材264と、フロート265とを有する。
【0089】
ノズル261は、供給空間S2に設けられる。ノズル261は、X軸方向に沿って延びる。ノズル261は、向きが固定された固定ノズルであってよい。ノズル261は、供給本体131に固定されてよい。ノズル261には、処理流体が通流可能な複数の穴261hが設けられる。複数の穴261hは、X軸方向に沿って並んで設けられる。ノズル261は、各穴261hから処理流体を水平に吐出する。
【0090】
ベース262は、処理容器110内の底面上に固定される。ベース262は、平面視において保持部120と重なる位置に複数設けられてよい。
【0091】
昇降部材263は、ベース262に昇降可能に取り付けられる。昇降部材263は、上端が保持部120に接続される。昇降部材263は、ベース262にガイドされながら保持部120を昇降可能に支持する。
【0092】
接続部材264は、昇降部材263とフロート265とを接続する。接続部材264は、支点264c回りに回転する。
【0093】
フロート265は、処理容器110内の処理流体の密度変化により昇降し、接続部材264を支点264c回りに回転させ、昇降部材263を介して保持部120を上昇位置と下降位置との間で昇降させる。上昇位置は、複数の穴261hを通過した処理流体の流れが、基板Wの下方に向かう流れとなる位置であってよい。下降位置は、上昇位置よりも下方の位置である。下降位置は、複数の穴261hを通過した処理流体の流れが、基板Wの上方に向かう流れとなる位置であってよい。フロート265は、処理容器110内の処理流体の密度が所定の密度よりも小さい場合に下降する。フロート265は、処理容器110内の処理流体の密度が所定の密度以上である場合に上昇する。所定の密度は、処理流体が気体状態から超臨界状態となるときの密度であってよい。
【0094】
図16に示されるように、フロート265が下降すると、接続部材264が支点264cを回転軸として左回りに回転する。これにより、接続部材264に接続された昇降部材263が上方に移動し、保持部120が上昇位置まで上昇する。このため、
図16中の矢印で示されるように、複数の穴261hを通過した処理流体の流れが、基板Wの下方に向かう流れとなる。
【0095】
図17に示されるように、フロート265が上昇すると、接続部材264が支点264cを回転軸として右回りに回転する。これにより、接続部材264に接続された昇降部材263が下方に移動し、保持部120が下降位置まで下降する。このため、
図17中の矢印で示されるように、複数の穴261hを通過した処理流体の流れが、基板Wの上方に向かう流れとなる。
【0096】
変更部材260によれば、処理容器110内の処理流体の密度変化により保持部120が昇降することで、処理流体の流れが変更される。例えば、処理容器110内に気体状態の処理流体が供給されると、フロート265が下降して接続部材264が支点264cを回転軸として左回りに回転する。これにより、接続部材264に接続された昇降部材263が上方に移動し、保持部120が上昇位置まで上昇する。このため、複数の穴261hを通過した処理流体の流れが、基板Wの下方に向かう流れとなる。すなわち、気体状態の処理流体の流れが基板Wの径方向外端上の液膜LFに直接衝突しないように調整される。このため、基板Wの径方向外端上の液膜LFの蒸発が抑制される。その結果、基板Wのパターン倒壊を抑制できる。
【0097】
(第7例)
図18及び
図19を参照し、第7例に係る変更部材270について説明する。変更部材270は、前述した変更部材132として適用可能である。
図18及び
図19は、第7例に係る変更部材270を示す図である。
図18及び
図19は、
図2におけるA-A線矢視断面図である。
【0098】
変更部材270は、処理空間S1及び供給空間S2にわたって設けられる。変更部材270は、ノズル271と、シリンダ272とを有する。
【0099】
ノズル271は、供給空間S2に設けられる。ノズル271は、X軸方向に沿って延びる。ノズル271は、向きが固定された固定ノズルであってよい。ノズル271は、供給本体131に固定されてよい。ノズル271には、処理流体が通流可能な複数の穴271hが設けられる。複数の穴271hは、X軸方向に沿って並んで設けられる。ノズル271は、各穴271hから処理流体を水平に吐出する。
【0100】
シリンダ272は、保持部120に取り付けられる。シリンダ272は、平面視において保持部120と重なる位置に複数設けられてよい。シリンダ272は、処理容器110内の圧力変化によりロッドが伸縮し、保持部120を上昇位置と下降位置との間で昇降させる。上昇位置は、複数の穴271hを通過した処理流体の流れが、基板Wの下方に向かう流れとなる位置であってよい。下降位置は、上昇位置よりも下方の位置である。下降位置は、複数の穴271hを通過した処理流体の流れが、基板Wの上方に向かう流れとなる位置であってよい。シリンダ272は、処理容器110内の圧力が所定の圧力よりも小さい場合にロッドが伸長する。シリンダ272は、処理容器110内の圧力が所定の圧力以上の場合にロッドが収縮する。所定の圧力は、処理流体の臨界圧力であってよい。
【0101】
図18に示されるように、シリンダ272のロッドが伸長すると、保持部120が上昇位置まで上昇する。このため、
図18中の矢印で示されるように、複数の穴271hを通過した処理流体の流れが、基板Wの下方に向かう流れとなる。
【0102】
図19に示されるように、シリンダ272のロッドが収縮すると、保持部120が下降位置まで下降する。このため、
図19中の矢印で示されるように、複数の穴271hを通過した処理流体の流れが、基板Wの上方に向かう流れとなる。
【0103】
変更部材270によれば、処理容器110内の圧力変化により保持部120が昇降することで、処理流体の流れが変更される。例えば、処理容器110内に気体状態の処理流体が供給されると、シリンダ272のロッドが伸長して保持部120が上昇位置まで上昇する。このため、複数の穴271hを通過した処理流体の流れが、基板Wの下方に向かう流れとなる。すなわち、気体状態の処理流体の流れが基板Wの径方向外端上の液膜LFに直接衝突しないように調整される。このため、基板Wの径方向外端上の液膜LFの蒸発が抑制される。その結果、基板Wのパターン倒壊を抑制できる。
【0104】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 基板処理装置
110 処理容器
120 保持部
130 流体供給部
W 基板