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  • 特開-物理量測定装置及び制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024100580
(43)【公開日】2024-07-26
(54)【発明の名称】物理量測定装置及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 3/00 20060101AFI20240719BHJP
   G01N 21/3504 20140101ALI20240719BHJP
【FI】
G01D3/00 C
G01N21/3504
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004683
(22)【出願日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165951
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 憲悟
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】合田 祐司
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 倖司
【テーマコード(参考)】
2F075
2G059
【Fターム(参考)】
2F075AA01
2F075AA06
2F075EE14
2F075EE18
2G059AA01
2G059BB01
2G059CC04
2G059EE01
2G059HH01
2G059MM14
(57)【要約】
【課題】安定した継続的な測定が可能な物理量測定装置及び制御装置が提供される。
【解決手段】物理量測定装置(10)は、測定対象の物理量に応じた信号を取得する信号取得部(11)と、信号取得部によって取得された信号に基づいて測定対象の物理量を算出する算出部(12)と、算出部が測定対象の物理量を算出する際に使用する算出用補正係数を第1補正係数として第1記憶領域(131)に記憶する記憶部(13)と、第1補正係数を更新する補正係数更新部(14)と、記憶部に第1補正係数の退避命令を発行する制御部(15)と、を有し、記憶部は、退避命令に基づいて、第1補正係数に基づいた値を第2補正係数として第2記憶領域(132)に退避する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の物理量に応じた信号を取得する信号取得部と、
前記信号取得部によって取得された信号に基づいて前記測定対象の物理量を算出する算出部と、
前記算出部が前記測定対象の物理量を算出する際に使用する算出用補正係数を第1補正係数として第1記憶領域に記憶する記憶部と、
前記第1補正係数を更新する補正係数更新部と、
前記記憶部に前記第1補正係数の退避命令を発行する制御部と、を有し、
前記記憶部は、前記退避命令に基づいて、前記第1補正係数に基づいた値を第2補正係数として第2記憶領域に退避する、物理量測定装置。
【請求項2】
前記制御部には退避要求が入力され、
前記退避命令は前記退避要求に基づいて発行される、請求項1に記載の物理量測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記補正係数更新部によって前記第1補正係数が更新されたことを示す更新通知を出力する、請求項2に記載の物理量測定装置。
【請求項4】
前記補正係数更新部は、前記第1補正係数の更新を自動的に行う、請求項2又は3に記載の物理量測定装置。
【請求項5】
前記制御部には更新要求が入力され、
前記補正係数更新部は、前記第1補正係数の更新を、前記更新要求に基づいて行う、請求項2又は3に記載の物理量測定装置。
【請求項6】
前記退避要求は退避実施制限情報を含み、
前記第2補正係数の前記第2記憶領域への退避は、前記退避実施制限情報に基づいて複数回の退避ステップに分けて実施される、請求項2又は3に記載の物理量測定装置。
【請求項7】
前記退避ステップは前記第2記憶領域内に、前記第2補正係数を退避するための領域を確保するステップと、前記第2補正係数を確保された領域に記憶するステップと、を含む、請求項6に記載の物理量測定装置。
【請求項8】
前記退避実施制限情報は、1回の前記退避ステップで退避する情報の大きさを含む、請求項6に記載の物理量測定装置。
【請求項9】
前記退避実施制限情報は、前記退避ステップの実施周期を含む、請求項6に記載の物理量測定装置。
【請求項10】
前記退避命令は、前記第2補正係数の前記第2記憶領域への退避で使用される電源電圧に基づいて発行される、請求項1に記載の物理量測定装置。
【請求項11】
前記退避要求は、前記第2補正係数の前記第2記憶領域への退避で使用される電源電圧に基づいて発行される、請求項2又は3に記載の物理量測定装置。
【請求項12】
入力された信号に基づいて測定対象の物理量を算出する算出部と、
前記算出部が前記測定対象の物理量を算出する際に使用する算出用補正係数を第1補正係数として第1記憶領域に記憶する記憶部と、
前記第1補正係数を更新する補正係数更新部と、
前記記憶部に前記第1補正係数の退避命令を発行する制御部と、を有し、
前記記憶部は、前記退避命令に基づいて、前記第1補正係数に基づいた値を第2補正係数として第2記憶領域に退避する、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は物理量測定装置及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象の物理量を測定する物理量測定装置が様々な分野で用いられている。物理量測定装置の例として、建物内で換気の判断などを行うために、COのガス濃度を測定するガスセンサが知られている。例えば特許文献1は、ベースライン補正後のCO濃度の測定値の誤差の重畳を防ぐ補正方法を開示する。特許文献1の補正方法では、測定値と移動平均値との差が継続して許容範囲内である場合にCO濃度の測定値が飽和したと判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-120114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、多くのガスセンサでは、経年変化に対応するために補正係数の自動更新又は指示された真値に合わせて補正係数の更新を行う機能を有している。更新された補正係数は、電源オフ時に失われないよう、ガスセンサ内の不揮発性メモリに記憶される。しかし、不揮発性メモリの種類(例えばEEPROM)によらず、不揮発性メモリへのデータ書き込みは消費電力が大きい。このことは、仮にガスセンサに搭載されているマイコン等の種類を変えても同じである。
【0005】
ガスセンサへの電力供給に、出力電流の制約が大きい小型電池、小型太陽光発電を含むエナジーハーベスティングによる電源が用いられることがある。このような電源が用いられる場合に、上記の補正係数の更新に伴う不揮発性メモリへのデータ書き込みによって電力不足となるおそれがある。
【0006】
ここで、不揮発性メモリへのデータ書き込みは、ガス濃度の測定時に常に発生するわけでない。つまり、補正係数の更新に伴う不揮発性メモリへのデータ書き込みは、不定期的に又は突発的に生じる。不揮発性メモリへのデータ書き込みがいつ発生しても対応できるように十分な電力を確保し続けるとすれば、大容量の電源が必要となり、ガスセンサのシステム全体のサイズが大きくなる。近年、ガスセンサには更なる小型化が求められており、大容量の電源を用意することは現実的でない。また、例えばエナジーハーベスティングによる電源を用いる構成の場合に、常に電力を確保し続けることは難しい。このような不揮発性メモリへのデータ書き込みによって電力が枯渇すると、安定した継続的な測定が妨げられる。
【0007】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、安定した継続的な測定が可能な物理量測定装置及び制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本開示の一実施形態に係る物理量測定装置は、
測定対象の物理量に応じた信号を取得する信号取得部と、
前記信号取得部によって取得された信号に基づいて前記測定対象の物理量を算出する算出部と、
前記算出部が前記測定対象の物理量を算出する際に使用する算出用補正係数を第1補正係数として第1記憶領域に記憶する記憶部と、
前記第1補正係数を更新する補正係数更新部と、
前記記憶部に前記第1補正係数の退避命令を発行する制御部と、を有し、
前記記憶部は、前記退避命令に基づいて、前記第1補正係数に基づいた値を第2補正係数として第2記憶領域に退避する。
【0009】
(2)本開示の一実施形態として、(1)において、
前記制御部には退避要求が入力され、
前記退避命令は前記退避要求に基づいて発行される。
【0010】
(3)本開示の一実施形態として、(2)において、
前記制御部は、前記補正係数更新部によって前記第1補正係数が更新されたことを示す更新通知を出力する。
【0011】
(4)本開示の一実施形態として、(2)又は(3)において、
前記補正係数更新部は、前記第1補正係数の更新を自動的に行う。
【0012】
(5)本開示の一実施形態として、(2)又は(4)において、
前記制御部には更新要求が入力され、
前記補正係数更新部は、前記第1補正係数の更新を、前記更新要求に基づいて行う。
【0013】
(6)本開示の一実施形態として、(2)から(5)のいずれかにおいて、
前記退避要求は退避実施制限情報を含み、
前記第2補正係数の前記第2記憶領域への退避は、前記退避実施制限情報に基づいて複数回の退避ステップに分けて実施される。
【0014】
(7)本開示の一実施形態として、(6)において、
前記退避ステップは前記第2記憶領域内に、前記第2補正係数を退避するための領域を確保するステップと、前記第2補正係数を確保された領域に記憶するステップと、を含む。
【0015】
(8)本開示の一実施形態として、(6)又は(7)において、
前記退避実施制限情報は、1回の前記退避ステップで退避する情報の大きさを含む。
【0016】
(9)本開示の一実施形態として、(6)から(8)のいずれかにおいて、
前記退避実施制限情報は、前記退避ステップの実施周期を含む。
【0017】
(10)本開示の一実施形態として、(1)から(8)のいずれかにおいて、
前記退避命令は、前記第2補正係数の前記第2記憶領域への退避で使用される電源電圧に基づいて発行される。
【0018】
(11)本開示の一実施形態として、(2)から(8)のいずれかにおいて、
前記退避要求は、前記第2補正係数の前記第2記憶領域への退避で使用される電源電圧に基づいて発行される。
【0019】
(12)本開示の一実施形態に係る制御装置は、
入力された信号に基づいて測定対象の物理量を算出する算出部と、
前記算出部が前記測定対象の物理量を算出する際に使用する算出用補正係数を第1補正係数として第1記憶領域に記憶する記憶部と、
前記第1補正係数を更新する補正係数更新部と、
前記記憶部に前記第1補正係数の退避命令を発行する制御部と、を有し、
前記記憶部は、前記退避命令に基づいて、前記第1補正係数に基づいた値を第2補正係数として第2記憶領域に退避する。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、安定した継続的な測定が可能な物理量測定装置及び制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る物理量測定装置の構成例を示す図である。
図2図2は、物理量測定方法の処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本開示の一実施形態に係る物理量測定装置及び制御装置が説明される。本開示の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、様々な変更を加えることができる。以下の実施形態は、本開示の内容を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが解決手段に必須であるとは限らない。
【0023】
図1は、本実施形態に係る物理量測定装置10の構成例を示す図である。物理量測定装置10は、測定対象の物理量を測定する。物理量測定装置10は、信号取得部11と、制御装置100と、を有する。制御装置100は、算出部12と、記憶部13と、補正係数更新部14と、制御部15と、を有する。
【0024】
物理量測定装置10は、特定の装置に限定されないが、本実施形態においてNDIR(Non Dispersive InfraRed)方式のガスセンサであるとして説明される。NDIR方式のガスセンサは、測定対象である被検出ガスに応じた吸収波長帯の赤外線を受光する検出素子(受光素子)及びその吸収波長帯の赤外線を発光する発光素子を用いて、ガス濃度を計測する。検出素子及び発光素子は信号取得部11に含まれる。信号取得部11はさらにADコンバータなどを含んでよい。被検出ガスは例えばCOであるが、これに限定されない。
【0025】
また、物理量測定装置10の制御装置100は、測定対象の物理量を算出する。本実施形態において制御装置100は、被検出ガスの濃度を算出する。制御装置100は、マイクロコントローラ等のプロセッサを含んで構成されてよい。プロセッサは例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってよい。算出部12、補正係数更新部14及び制御部15はプロセッサによって実現されてよい。つまり、プロセッサが動作のためのプログラムを必要とする場合は、例えば記憶部13に記憶されるプログラムを読み込んで、算出部12、補正係数更新部14及び制御部15として機能してよい。
【0026】
記憶部13は1つ以上のメモリである。本実施形態において、記憶部13は第1記憶領域131と、第2記憶領域132と、を含む。第1記憶領域131は、RAM、キャッシュ又はレジスタなどで構成され、ワークスペースとして使用される記憶領域である。第2記憶領域132はEEPROM等の不揮発性メモリで構成され、恒久的なデータ保存に使用される記憶領域である。第2記憶領域132に書き込まれたデータは、物理量測定装置10の電源オフ時にも失われない。しかし、第2記憶領域132へのデータ書き込みは、第1記憶領域131へのデータ書き込みと比べて大きな電力を要する。
【0027】
図1に示すように、物理量測定装置10は外部の電源によって電力を供給される。電源は出力電流の制約が大きい小型電池、小型太陽光発電を含むエナジーハーベスティングによる電源であってよい。電源は二次電池であってよいし、キャパシタであってよく、例えば小型太陽光発電を含むエナジーハーベスティングによって充電されてよい。外部装置は電源の充電の状態などを管理する。また、外部装置は物理量測定装置10と通信し、信号の送受信を行う。本実施形態において、物理量測定装置10の制御部15が、外部装置から後述する退避要求などを受け取り、外部装置に対して後述する更新通知などを出力する。外部装置はホストコンピュータなどであってよい。
【0028】
ここで、一般にガスセンサは、経年変化に対応するために補正係数の更新を行う機能を有している。更新された補正係数は、電源オフ時に失われないよう、ガスセンサ内の不揮発性メモリに記憶される。しかし、不揮発性メモリへのデータ書き込みは消費電力が大きい。近年の小型化の要求もあり、ガスセンサに電力を供給する電源を大容量とすることは難しい。そのため、従来、補正係数の更新に伴う不揮発性メモリへのデータ書き込みによって電力不足となって、安定した継続的な測定ができないという問題があった。本実施形態に係る物理量測定装置10(制御装置100)は、以下に説明する動作によって、安定した継続的な測定を可能にする。
【0029】
まず、信号取得部11は測定対象の物理量に応じた信号を取得する。本実施形態において、信号取得部11はCO濃度に応じた検出信号を取得して、算出部12に出力する。算出部12は、信号取得部11によって取得された信号に基づいて測定対象の物理量を算出する。本実施形態において、算出部12は、入力された検出信号に基づいてCO濃度を算出する。このとき、記憶部13では、算出部12が測定対象の物理量を算出する際に使用する算出用補正係数を第1補正係数として第1記憶領域131に記憶する。詳細に述べると、補正係数更新部14が、第1補正係数の更新を試行し、更新が必要であれば第1補正係数を更新して、記憶部13の第1記憶領域131に記憶させる。制御部15は、後述する条件が満たされる場合に、記憶部13に第1補正係数の退避命令を発行する。ここで、「退避」とは、恒久的に記憶することであって、不揮発性メモリに記憶することである。記憶部13は、退避命令に基づいて、第1補正係数に基づいた値を第2補正係数として第2記憶領域132に退避する。第2補正係数は、例えば更新された最新の第1補正係数の値である。
【0030】
ここで、退避命令を発行する条件には、電源から物理量測定装置10への電力が十分であることが含まれる。上記のように、電源の状態は外部装置によって管理されている。そのため、制御部15には外部装置からの退避要求が入力され、退避命令は退避要求に基づいて発行されてよい。ここで、退避要求は、外部装置から退避実行の許可に相当するため、退避許可と言い換えることが可能である。
【0031】
退避命令が退避要求に基づいて発行される場合において、制御部15は、補正係数更新部14によって第1補正係数が更新されたことを示す更新通知を、外部装置に対して出力してよい。電源を管理する外部装置と通信しながら退避を進めることによって、電力不足となって測定が継続できない事態を確実に回避することが可能になる。
【0032】
ここで、補正係数更新部14の第1補正係数の更新は、定期的に、又は、更新のための情報(測定値など)が揃ったら直ちに実行されてよい。つまり、補正係数更新部14は、第1補正係数の更新を自動的に行ってよい。また、第1補正係数についても、外部装置と通信しながら更新を進めることが可能である。例えば制御部15に外部装置から更新要求が入力され、補正係数更新部14は、第1補正係数の更新を、更新要求に基づいて行ってよい。
【0033】
さらに、第2補正係数の第2記憶領域132への退避の処理を分割することによって、1回あたりの書き込みに必要な電力又は記憶領域を小さくすることができる。例えば上記の外部装置からの退避要求は退避実施制限情報を含んでよい。そして、第2補正係数の第2記憶領域132への退避は、退避実施制限情報に基づいて複数回の退避ステップに分けて実施されてよい。退避ステップは第2記憶領域132内に、第2補正係数を退避するための領域を確保するステップと、第2補正係数を確保された領域に記憶するステップと、を含んでよい。領域を確保するとは、例えば古い第2補正係数が記憶されている領域をデータ消去によって書き込み可能とすることである。この場合に、第2記憶領域132の全体のサイズが大きくなることを抑えることができる。
【0034】
また、退避実施制限情報は、1回の退避ステップで退避する情報の大きさを含んでよい。一例として、第2補正係数が160バイトである場合に、退避実施制限情報は、1回の退避ステップで退避する情報の大きさを最大10バイト(16分の1)と指定してよい。この場合、少なくとも16回の退避ステップを経て160バイトすべての退避が完了する。また、退避実施制限情報は、退避ステップの実施周期を含んでよい。例えばエナジーハーベスティングによる電源などの場合に、電力が十分に蓄積されてから次の退避ステップが行われるように調整することができる。
【0035】
ここで、退避命令は退避要求を前提とするものでない。また、例えば物理量測定装置10が内部電源を有していることもあり得る。したがって、退避命令又は退避要求は、第2補正係数の第2記憶領域132への退避で使用される電源の状態(一例として電源電圧)に基づいて発行されればよい。
【0036】
図2は、物理量測定装置10が実行する物理量測定方法の処理を例示するフローチャートである。
【0037】
信号取得部11は、測定対象の物理量の測定が必要になるまで待機する(ステップS1のNo)。信号取得部11は、測定が必要になった場合に(ステップS1のYes)、測定対象の物理量に応じた信号を取得する(ステップS2)。ここで、測定が必要になるとは、例えば、一定周期で測定対象の物理量の測定を行っている場合に新たな測定が必要となる時刻に到達することであってよい。また、測定が必要になるとは、例えば、外部装置から新たな測定の実施を指示された状態になることであってよい。
【0038】
算出部12は、信号取得部11からの信号に基づいて測定対象の物理量を算出する(ステップS3)。
【0039】
補正係数更新部14は、第1補正係数の更新を試行する(ステップS4)。第1補正係数が更新されなければ(ステップS5のNo)、すなわち変更が必要でなかった場合に、処理がステップS7に進む。第1補正係数が更新されれば(ステップS5のYes)、制御部15は、補正係数更新部14によって第1補正係数が更新されたことを示す更新通知を、外部装置に対して出力する(ステップS6)。
【0040】
記憶部13が、更新された第1補正係数を第2補正係数として第2記憶領域132に退避していれば(ステップS7のYes)、一連の処理が終了する。記憶部13が、更新された第1補正係数を退避していなければ(ステップS7のNo)、処理がステップS8に進む。
【0041】
制御部15が外部装置から退避要求を受け取っていない場合に(ステップS8のNo)、一連の処理が終了する。外部装置から退避要求がある場合には(ステップS8のYes)、記憶部13は、更新された第1補正係数を第2補正係数として第2記憶領域132に退避する(ステップS9)。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る物理量測定装置10及び制御装置100は、上記の構成によって、安定した継続的な測定が可能である。本実施形態に係る物理量測定装置10の上記の構成は、ガスセンサに限らず、例えばバッテリー駆動の消費電力の低い各種の装置に適している。
【0043】
本開示の実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部などに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部などを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 物理量測定装置
11 信号取得部
12 算出部
13 記憶部
14 補正係数更新部
15 制御部
100 制御装置
131 第1記憶領域
132 第2記憶領域
図1
図2